ケーラー照明について
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顕微鏡におけるケーラー照明について
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図1:光源の像として発光素子の構造が見えます(左)。ケーラー照明では、光源の像が試料面やカメラセンサ面に形成されず、試料面の照明は均一になります(右)。
複数の要素で構成される顕微鏡システムでは、ケーラー照明になるように調整することができます。ケーラー照明では、ランプやLEDのような光源から集光される光と、試料から集光される光とで像の結び方が異なります。光源からの光は、試料(物体)面やカメラのセンサ面に結像させないようにします。試料面の照明では、一般に幅広い角度から均一に光が当たるようにしますが、これは高分解能イメージングを行う上では必要とされます。その結果、ケーラー照明ではランプやLED光源の像がカメラセンサ上で重畳(スーパーインポーズ)されないことになります。
光源の像
光源からの光が試料面に結像すると、均一な光が試料に当たらないことになります(例:図1左)。この画像では発光体の構造がはっきりと見えています。これに対してケーラー照明では、光を平行光線束にして試料面に照射するため、試料面での照明は均一になります(図1右)。また、光学系を調整してケーラー照明とすることで、カメラセンサ上に光源が結像することも防止できます。それにより、光源の発光体の構造が試料の画像に重畳されることは無くなります。
照明光路
照明光路は、光源から始まり、試料を通ってカメラセンサに到達します。下の動画(動画1)では、ランプまたはLEDなどの分散光源からの光線を追跡しています。
光源上の複数の放射ポイントから、光は様々な角度で放射されます。その光は集光レンズで集光され、さらに伝播する光は視野絞りによってその最大径が制限されます。次に光は視野レンズを通過し、それにより開口絞りの位置で光源の各ポイントの像が形成されます。開口絞りはコンデンサーレンズの前側焦点面に配置されるため、開口絞りでの光源の像のアライメントは重要です。
開口絞りにおける光源の像からの光は、コンデンサーレンズによって平行光線束に変換されます。各光線束は光源の像の個々の点から始まります。特定の光線束が試料面に入射する角度は、その光源上の点が光軸から離れているほど大きくなります。言い換えれば、開口絞りを絞ることで照明の角度範囲は狭くなり、試料面での照明強度も低下します。
光源の像の位置は、コンデンサーレンズの前側焦点面にあるため、試料面には平行光線束のみが入射します。試料面では光源の像は形成されず、照明は均一になります。
試料面を透過した光源からの光は、対物レンズの後側焦点面(対物レンズとチューブレンズの間)で結像します。光源の像はカメラセンサ上では形成されないため、像の品質は維持されます。
イメージング光路
イメージング光路は試料面から始まり、カメラセンサで終わります。動画ではこの光路の光線も追跡しています。試料上の各点からの光はカメラセンサ上の1点に結像します。
動画1:透過型顕微鏡における光学素子(左)は、ケーラー照明が得られるように調整された状態で表示されます。その条件下では、動画の照明光路を追跡した光線で示されるように、試料面は均一に照明され、光源の像が試料面やカメラセンサ上で重畳することはありません。一方、イメージング光路を追跡した光線は、同じ光学素子の配置で 試料面の像がカメラセンサ上に形成されることを示しています。
「Insights-ヒント集」は下記リンクからご覧いただけます。 | 最終更新日:2021年6月18日 |
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