ポストホルダー取付け穴内面の溝:ポストを安定にかつ再現性良く固定するための構造


ポストホルダー取付け穴内面の溝:ポストを安定にかつ再現性良く固定するための構造


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ポストホルダ: 穴の内側の長方形の溝について

 

Contact Point between post holder and post
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図 2:上から見た図。ポストとポストホルダの間の3つの接触点(赤で表示)で、ポストのYZ軸に対する移動や回転を止めています。X軸に対する移動や回転は摩擦力で抑止されます。

Broached channel in post holder
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図 1:当社のポストホルダの穴の内側には鋭いエッジの溝が加工されています。

Linear Broach

図3:ブローチには上図のように刃が並んでおり、その高さは徐々に高くなっています。刃を材料に接触させ、機械でブローチを表面の端から端まで引っ張ります。各刃はそれぞれ少量の材料を削りとり、ブローチ加工された溝の深さは刃全体の高さの差と同じになります。

当社の全てのポストホルダには、穴の内側に沿って平行なエッジを有する溝が作られています(図1)。止めネジ(セットスクリュ)を締め付けることで、ポストが溝の2つのエッジに押し付けられます(図2)。エッジ間の距離が広いため(ポストホルダ内径の約半分)、ポストはエッジに対して安定に保持され、また再現性も得られます。

溝の2つのエッジに接触することでY軸とZ軸に対する移動と回転が止められるため、ポストの6つの自由度のうちの4つが拘束されます。また、ポスト側面と溝のエッジ間の摩擦により、残りの2つの自由度であるX軸に対する移動と回転が抑止されます。

穴の内側に溝が無い場合には、ポストとポストホルダの接触は1本の線になります。ポストにはZ軸回りの回転とY軸に沿った移動の自由度が残り、その位置は安定しません。

この不安定さによる光学セットアップ内の各部品位置のシフト量がサブマイクロメートルのレベルであったとしても、累積することでシステムの性能に重大な悪影響を及ぼす場合があります。また、システムを頻繁に再アライメントする必要が生じるかもしれません。

ブローチ加工
ポストを安定に保持するためには、溝のエッジは直線状でなければならず、隆起や凹凸があってはなりません。これらのポストホルダの溝は、ミクロンスケールで見ても直線状の鋭いエッジを有しています。エッジの直線性が不完全な場合には、ポストがホルダ内で動いたり、ホルダ内でのポストの位置再現性が得られなくなったりする場合があります。

溝の滑らかで直線状のエッジは、ブローチ加工と呼ばれる機械加工によって作ることができます。ブローチ(図3)は鋸に似ていますが、その刃の高さは徐々に高くなっています。

表面に沿ってブローチを引っ張ると、各刃はそれぞれ少量の材料を削り取ります。ブローチによって切削される溝の深さは、刃全体の高さの差(H2 - H1 )に等しくなります。

溝を作るうえでブローチ加工が他の加工方法に比べて好まれる理由は、直線状の加工が可能であるほかに大量生産にも対応できるためです。

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最終更新日:2019年12月11日


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