開口数(NA)がシングルモードファイバーの良いパラメータとはならない理由


開口数(NA)がシングルモードファイバーの良いパラメータとはならない理由


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NAによりシングルモードファイバからのビーム広がり角がわかるか

開口数(NA)を使用してシングルモードファイバから出射される、あるいはシングルモードファイバに結合する光円錐を概算する場合、大きな誤差が生じる場合があります。広がり角はガウシアンビーム伝搬モデルを使用した方がより良い概算値が得られます。このモデルにより、広がり角を算出し、用途に適したビームスポットサイズを得ることができます。

シングルモードファイバにおけるモードフィールド径(MFD)内は、ビームパワーの約86%が含まれるため、MFDによりスポットサイズを決めることは、シングルモードファイバから光をコリメートしたり、光を集光する際の適切な定義であるとされています。一次近似でファーフィールドで測定されたとき、

 ,

は、広がり角または受光角(θSM )(単位:ラジアン)です。これは1/2ビーム角で、波長()依存し、ビームのウェスト径はファイバのMFDに等しく設定されています。[1]

Rayleigh Range:
Beam Radius at Distance z:
 

Figure 1.1  青い線は、シングルモードファイバからの出射光の広がり角(θSM )をNAを用いて計算した結果を示しています。赤い線は、ガウシアンビーム伝搬モデルを使用して計算されており、これにより、ビームスポット径の大きな誤差を回避することができます。

こちらのグラフではSM980-5.8-125からのビームをモデル化しています。NAは0.13、MFDは6.4 µmの値を使用しています。動作波長は980 nm、レイリー範囲は32.8 µmでした。

ガウシアンビームによるアプローチ
シングルモードファイバの端面から出射される光は円錐状に広がりますが、この光はファイバ軸から様々な角度で出力する複数の光線と同様の振る舞いにはなりません。

この光はガウシアンビームに似ており、モデル化ができます。放射光がガウシアンビームと同様に伝搬するのは、光の導波モードがガウス分布に近似しているからです。

ガウシアンビームの広がり角は、光線として作用する光を想定して計算された広がり角度とは実質的に異なります。光線モデルを使用した場合、広がり角はsin-1(NA)となります。しかし、NAと広がり角の関係性は高次マルチモードファイバのみ有効です。

Figure 1.1では、NAを使用して広がり角を計算すると大きな違いが生じる可能性を示しています。 ガウシアンビームでは、広がり角はビームパワーの86%を含む領域とされており、この領域の境界円における強度は、ピーク強度の1/e2となっています。

式(2)と(3)は、シングルモードファイバ端面から出射されるビームの広がり角を正確にモデル化するガウシアンビームの式です。計算に使用するファイバのMFD、NAならびに動作波長を含む値はグラフ下に記載されています。ビーム発散角は、1/e2半径によって定義されたビームサイズの変化により算出されています。ビームサイズは、z < zの距離においては非線形で、ファーフィールド(z >> z)においてはほぼ線形に変化します。

グラフに記載されている角度は各曲線の傾斜から計算されました。式(1)で求めたファーフィールドの概算が使用された場合、広がり角は0.098ラジアン(5.61°)です。

参考文献
[1] Andrew M. Kowalevicz Jr. and Frank Bucholtz, Beam Divergence from an SMF-28 Optical Fiber (NRL/MR/5650--06-8996) (Naval Research Laboratory, Washington, DC, 2006).

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最終更新日:2020年2月28日
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Posted Comments:
Jeff Chang  (posted 2025-01-21 15:39:50.73)
I want to know, does that mean the NA value of SMF is meaningless?
EGies  (posted 2025-01-22 01:47:12.0)
Thank you for contacting Thorlabs. For predicting the output divergence from a single mode fiber, using a Gaussian beam model based on the mode field diameter (MFD) of the fiber leads to more accurate results. However, NA still acts as an important design parameter for single mode fiber, and indirectly affects the final divergence angle coming out of the fiber. NA is theoretically defined as NA = square root [(Refractive index of core)^2 – (Refractive Index of clad)^2]. By manipulating NA and core diameter, you can get single mode fibers with different properties. I have reached out to you directly with further info.
Pat Harris  (posted 2022-09-28 12:37:31.553)
I realize the question I'm asking may not have a straightforward answer but I'm looking for a sort of first approximation perspective. When launching a laser output from a multimode fiber and assuming the NA is used as the half angle beam divergence in radians where is the angle referenced? Is it in 1/e^2 or 1/e^3? Thank you very much for your time and consideration. pat
jgreschler  (posted 2022-10-04 02:55:19.0)
Thank you for reaching out to Thorlabs. For multimode fibers we define NA by calculation, as on this webpage: https://www.thorlabs.com/newgrouppage9.cfm?objectgroup_id=10417. I have reached out to you directly to discuss this application further.