開口数(NA)とマルチモードファイバーの受光角
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NAはファイバの受光角を表す指標となり得るか
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図1:入射角が≤θmaxの光線は、コアとクラッドの界面で全反射(TIR)するため、マルチモードファイバのコア内に閉じ込められます。全反射する条件は、ncore > nclad です。
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図2:コアとクラッドの境界での光の作用は、コアとクラッドの屈折率に依存し、端面に入射された光がコア内に結合するかを決定します。NAは幾何学的計算と、図の上にある2つの式を用いて求められます。
開口数(NA)は、ほとんどのマルチモードファイバにおいて図1のように最大の受光角を表します。この関係性はシングルモードファイバにおいては適用することができません。
受光角とNA
光線モデルでは、光線がファイバのコアに結合するか否かは入射角によって決まります。カットオフ角は最大受光角(θmax )で、NAに関連します(図1)。
入射角が≤θmaxの光線は、ファイバのコアとクラッド間の境界において全反射(TIR)します。これらの光線はファイバ内を伝搬していくので、コア内に閉じ込められたままとなります。
入射角がθmaxよりも大きい光線については、コアとクラッド間の境界で屈折し、部分的に透過する成分が生じます。この光はしばらくの間クラッド内を伝搬する場合がありますが、最終的にはファイバから損失していきます。
関係性は幾何学によって定義されます
NAとθmaxの関係性が図2で示されています。両界面にはスネルの法則が用いられ、sin(90°) = 1が代入されています。この図では、コアとクラッド間の境界で全反射が生じる最も極端な条件を示しています。
コアncore とクラッドnclad の屈折率が重要な役割を果たします。全反射が起きるにはncoreがnclad よりも大きくなければなりません。その差が大きければ大きいほど、NAと最大受光角も大きくなります。
入射角とファイバのモード
入射角が≤θmax のとき、入射光はマルチモードファイバの導波モードのどれか1つに結合されます。一般的に言えば、入射角が小さければ小さいほど、励起されるファイバのモード次数も小さくなります。次数が小さいモードは、強度をコアの中心近くに集中させます。次数が最も小さいモードは、端面に垂直に入射された光によって励起されます。
シングルモードファイバではご利用いただけません
シングルモードファイバの場合、図2のような光線モデルは使用できず、計算した開口数(受光角)は、最大の入射角度に等しくはなく、またファイバの集光能力を表すものではありません。
シングルモードファイバの導波モードは1つ、次数が最も小さいモードで、入射角が0°の光によって励起されます。しかし、NAを計算すると、その値は0ではありません。光線モデルでは、シングルモードファイバから放射、または結合される光線の広がり角を正確に予測することもできません。ビームの広がりは回折効果によって起こりますが、光線モデルにおいては考慮されていません。しかし、波動光学モデルによれば説明可能です。ガウシアンビームの伝搬モデルを使用すれば高確度でビームの広がり角を求めることができます。
「Insights-ヒント集」は下記リンクからご覧いただけます。 | 最終更新日:2020年1月20日 |
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