超短パルスフェムト秒ファイバーレーザー、1550 nm

- Erbium-Doped All-PM-Fiber Design
- <40 fs Ultrafast Pulses
- >500 mW Average Output Power
- Peak Power: >60 kW
FSL1550
1550 nm Ultrafast Femtosecond Fiber Laser

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前面パネルのディスプレイには、励起レベル、温度、発振器、シャッタおよびレーザの状態が表示されます。
特長
- 超短パルス:パルス幅40 fs以下(典型値)
- 中心波長:1560 nm ± 30 nm
- 平均出力500 mW以上、パルスエネルギ5 nJ以上、繰り返し周波数100 MHz
- 自由空間に出力されるコリメートビーム(ビーム径:2 mm、公称値)
- コントローラが内蔵された空冷型の筐体
用途
- スーパーコンティニウム光発生
- テラヘルツ発生
- 超高速分光
- 多光子イメージング
当社のハイパワーのエルビウム添加超短パルスファイバーレーザはターンキー式の光源で、1550 nmの波長帯で超短パルス(40 fs以下)を発生します。このレーザは、基本繰返し周波数100 MHzにおいて、500 mW以上の平均パワーで出力し、60 kW以上の高いピークパワーを実現します。短いパルス幅と高いピークパワーとの組み合わせにより、超短パルスファイバーレーザFSL1550は、スーパーコンティ二ウム光発生やテラヘルツ光発生のような非線形光学の用途に適した光源となっています。また、高い繰返し周波数により、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)などの用途にも適しています。このレーザは、自由空間光部分や可動部品のないオール偏波保持(PM)ファイバ設計となっているため、環境安定性に優れています。
レーザの超短パルス幅は、非線形パルスを圧縮し、ファイバの分散および非線形性の影響を制御することで得られます。この設計により、出力パルス幅は出力パワーレベルの関数になります。 超短パルスファイバーレーザは、500 mW以上のパワーレベルにおいてパルス圧縮状態が最適化されるように設計されています(FWHM<40 fs)。すべてのシステムには、最適なパワーレベルとそれよりも低いいくつかのパワーのセットポイントにおける、パルスの強度プロファイルの測定値を示すデータシートが付属します。周波数分解光ゲート法(FROG)で測定した出力パルスの典型的な強度プロファイルと、出力パルスの典型的な光スペクトルは、「グラフ」タブでご覧いただけます。
超短パルスファイバーレーザFSL1550は、コントローラがベンチトップ型筐体内部に内蔵されているため、小型で使いやすい光源となっています。レーザープラットフォームには標準的なØ25.4 mm(Ø1インチ)の台座付きの脚がついており、付属のクランプフォークCF175を4つ使用して光学テーブルに固定し、ビーム安定性を向上させることができます。レーザは公称値2 mm径のコリメート光を出力し、光学テーブル面から76.2 mm上部に位置する前面パネルの開口部からアクセス可能です。電子制御のシャッタは、レーザ出射部分のアクセスを制御するために使用されます。筐体には除震機能も付いており、冷却ファンの振動が出力ビームの安定性や光学テーブルに与える影響を低減します。
レーザをEnableにするスイッチや、シャッタ制御、出力パワー調整などのユーザ制御機能は前面パネルから操作できます。緑色のLEDインジケータは、シャッタが開いておりレーザ出力がONになっている時に点灯します。レーザ出力を示すLEDは、レーザがONになると素早く3秒間点滅します。超短パルスファイバーレーザの前面パネルディスプレイには、システムの励起レベルおよび温度や出射などの状態を示すインジケータも付いています(右の写真参照)。さらに安全性を高めるために、背面パネルのBNCコネクタにインターロック回路を接続できるようになっています。詳細については「前面&背面パネル」タブをご覧ください。
超短パルスファイバーレーザは、AC電源電圧の選択が不要な、100~240 VACで動作するユニバーサル電源を内蔵しています。また、日本国内対応の電源コードが付属しています。
当社では、2 µmフェムト秒ファイバーレーザFSL1950Fや、 中赤外域スーパーコンティ二ウム光源SC4500のようなファイバーレーザ もご用意しています。2 µmフェムト秒レーザは、500 mW以上の平均出力パワーで超短パルス(<80 fs)を発生します。 スーパーコンティ二ウム光源は、約1.3 μm~4.5 μmの波長範囲で、300 mW以上の平均出力パワーを有するコリメートビームを出力します。性能についての詳細は、それぞれの製品紹介ページをご覧ください。
Item # | FSL1550 |
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Center Wavelength | 1560 nm ± 30 nm |
Pulse Width (FWHM) | < 40 fs (Typical) < 50 fs (Max) |
Peak Powera | > 60 kW |
Output Powerb | > 500 mW (Average) |
Repetition Rate | 100 MHz (Nominal) |
Pulse Energy | > 5 nJ |
Polarization Extinction Ratio | > 15 dB |
Beam Size | Ø2 mm (Nominal) |
Output Power Stabilityc | < 0.4% / °C |
Dimensions (L x W x H) | 403.6 mm x 432.0 mm x 147.3 mm (15.89" x 17.01" x 5.80") |
Electrical Requirements | |
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Input Voltage | 100 - 240 V |
Frequency | 50 - 60 Hz |
Power Consumption | 400 W (Max) |
Environmental Requirements | |
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Room Temperature Range | 17 °C to 25 °C |
Room Temperature Stability | < 3 °C over 24 Hours |
性能はユニットにより異なります。このデータは当社のファイバーレーザFSL1550の典型値であり、参考としてご提示しています。保証される仕様については「仕様」タブをご覧ください。

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ファイバーレーザFSL1550からの出力パルスの典型的な強度プロファイル この強度プロファイルは周波数分解光ゲート法(FROG)を用いて測定されたシングルライントレースです。出力パルスのパワーは510 mWとなっています。

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前面パネル

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背面パネル
Front Panel | |
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Callout | Description |
1 | Push-Button Power Switch |
2 | Shutter Open/Close Switch |
3 | Emission Indicator |
4 | Laser Output Aperture |
5 | Shutter Indicator |
6 | Adjustment Knob (Push to Adjust) |
7 | Laser Enable Switch |
Back Panel | |
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Callout | Description |
1 | Interlock Input (BNC) |
2 | Trigger Signal Output (BNC) |
3 | AC Power On/Off Switch |
4 | Fuse Tray |
5 | AC Power Cord Connector |
ファイバーレーザFSL1550には下記のコンポーネントが含まれます。
- ベンチトップ型レーザーユニット
- インターロック短絡用BNCコネクタ(取付済み)
- IEC電源コード
- クランプフォークCF175(4個)
THz時間ドメイン分光システムの概要
THz放射を利用した時間ドメイン分光法(TDS)では、フィールドの強度だけしか直接測定できない光学場の分光法とは異なり、検出したい放射の振幅と位相の両方を測定できます。この手法を利用して、金属やガスなどさまざまな材料を測定できます。これらのシステムで使用されるTHz放射は、光伝導アンテナPCA800のペアによって生成および検出できるため、0.1~3THzの範囲での分光測定が可能です。上記のシステムでは、使用する部品と、THzアンテナPCA800のペアを使用して構築できるTHz TDSシステムの基本的な光学配置図の1例を示しています。THz TDSについての詳細は、「Tutorial: An introduction to terahertz time domain spectroscopy (THz-TDS)」1をご参照ください。
THz放射の生成
THz TDSシステムへは、主に中心波長800 nm付近のフェムト秒パルスレーザ光を入力します(上図内左下参照)。このパルスは、β-BBO結晶NLC07を使用してフェムト秒ファイバーレーザFSL1550の出力光を2倍の周波数に変換して入力することができます。これらのレーザは、ペアの光伝導アンテナPCA800の性能データを得るために、このようなシステムに使用されています。
上記システムでは、光入力パルスは2つのビームに分岐され、光の大部分(90%)はTHz放射を生成します(上図では励起システムと表示されています)。レシーバーアンテナの信号は小さく、ロックインアンプが推奨されるため、THzの放射信号を変調する必要があります。この変調は、励起ビームに光チョッパを使用するか、光伝導アンテナのバイアス電圧を変調して行います。上記のシステムでは光チョッパを使用して光入力パルスを変調していますが、これにより、光伝導アンテナからのTHz放射が変調されます。
効率的なTHzを発生させるために、励起ビームは光伝導アンテナの光入力面に対して垂直で、アクティブエリアに集光して入射します。レーザの偏光方向は、光伝導アンテナPCA800の入力側に刻印されているPol.軸に対して平行にアライメントする必要があります。光伝導アンテナの推奨フルエンスレベル(J/cm2)を超えないようご注意ください。
光伝導アンテナの飽和レベルまでは、入力する光パワーが大きいほど、より多くのTHzパワーが出力されます。THz出力スペクトルは光入力特性にも依存します。例えば、入力パルスの分散補償はTHzの発生効率とTHz出力のスペクトルプロファイルの両方に影響を与えます2。簡単に言えば、フーリエ変換限界パルスが入力される場合、それよりも長いチャープ入力パルスの入力時よりも広いスペクトル成分を有するTHzが放射されます。これはチャープパルスの遅延した周波数成分がTHz放射と干渉して弱め合い、そのスペクトルプロファイルに影響を与えるためです。
光入力パルスに加えて、内蔵された同軸ケーブルを介して光伝導アンテナPCA800全体に電圧も印加します 上記のシステムでは光伝導アンテナにDC電圧を印加しています。推奨制限内で印加される電圧が大きいほど、より多くのTHzパワーが光伝導アンテナから放出されます。光チョッパを使用しない場合は、変調電圧を光伝導アンテナに印加してTHz出力を変調することができます。

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THz電界のフーリエ変換のグラフ。THzスペクトルグラフの青い網掛け部分は、光伝導アンテナPCA800の推奨周波数領域を示しています。
エミッターアンテナからのTHz出力は、光軸に対して15°の発散角を有し、THzレンズまたは軸外放物面ミラーのいずれかを使用しコリメートまたは集光することができます。試料を通過したTHz放射光は、同じタイプのレンズまたはミラーを使用して、光をTHzレシーバーアンテナに送ることができます。エミッターアンテナ出力からレシーバーアンテナ入力へは、1:1のイメージングをお勧めいたします。THz入力ビームは、レシーバーアンテナのTHz入力側にあるSi製ハイパー半球レンズ(THzレンズ)で集光されます。
オプティカル・ディレイラインおよびTHz信号の検出
レシーバーアンテナでの検出には、THz波の入力とフェムト秒レーザ入力パルスの両方が必要です。上図のように、エミッターアンテナでTHz放射を発生させるのに使用されるパルスの10%は分岐され、レシーバーアンテナで使用されます。これは図内では「Delay beam(遅延ビーム)」と表示されています。
分割されたパルスのうち10%(Delay)の部分が、励起部分で発生したTHzパルスと同じタイミングでレシーバーアンテナに到達するように光路が設定されます。この遅延光路を設定する場合は、90/10ビームスプリッタからレシーバーアンテナPCA800までの光路全体を考慮するようにしてください。これには、光伝導アンテナPCA800に内蔵された厚さ7.1 mm、屈折率約3.41のHRFZ-Siレンズと、集光用の外付けレンズも含まれます。レシーバーアンテナ部分では、エミッターアームと同じ光学設計で入力レーザービームをディテクターアンテナの検出部にアライメントします。ただし、強度はエミッターアンテナで使用される値の約10%と、はるかに低くなっています。
フェムト秒光パルスの幅はTHzパルスよりもかなり短くなっています。したがって、それらは、アンテナで短時間(光パルスの幅分)だけオーバーラップします。THzパルス全体をサンプリングするために、電動ステージ(ステッパ、DCサーボ、またはボイスコイル駆動のようなステージ)に取り付けられたレトロリフレクタなどを使用して光パルス遅延がスキャンされます。また、当社ではオプティカル・ディレイラインシステムを介して最大4000 psの可変遅延に対応可能な一体型システムもご用意しています。
レシーバーアンテナ用出力BNCケーブルの信号レベルは低くなるため、ロックインアンプを使用して平均化することをお勧めいたします。光チョッパへの信号またはエミッターアンテナへの変調信号を使用してロックインアンプをトリガします。
右上のグラフはTHz電界データの一例です。ここではアンテナPCA800に対して、フェムト秒ファイバーレーザFSL1550の第2高調波発生を入力しました。光入力スペクトルの中心波長は775 nmで、分散が補正されているため、パルス幅は24 fsになりました。光伝導アンテナにはBNCコネクタを介して15 VのDCバイアスを印加し、信号の変調周波数(変調にはビームチョッパを使用)は4 kHzでした。軸外放物面ミラーMPD229-M03のペアを使用してエミッターアンテナPCA800からのTHz放射をコリメートし、レシーバーアンテナPCA800に再び集光させました。電界のフーリエ変換を行うことによりTHz放射のスペクトルを計算できます(右下のグラフ参照)。
このシステムは時間ドメイン分光法の実験にお使いいただけます。試料の光路長は電界信号への効果を測定して得ることができます。THz放射光路に光路長が追加されると、電界信号は時間軸でシフトします。THz領域内のスペクトル特性は、光路に試料を挿入した場合と挿入しない場合のTHzスペクトルを比較して測定することもできます。
参考文献
- J. Neu and C. A. Schmuttenmaer, "Tutorial: An introduction to terahertz time domain spectroscopy (THz-TDS)," Journal of Applied Physics 124.23 (2018) p. 231101.
- J. Hamazaki, K. Furusawa, N. Sekine, A. Kasamatsu, and I. Hosako, "Effects of chirp of pump pulses on broadband terahertz pulse spectra generated by optical rectification," Japanese Journal of Applied Physics 55.11 (2016) p. 110305.
レーザの安全性とクラス分類
レーザを取り扱う際には、安全に関わる器具や装置を適切に取扱い、使用することが重要です。ヒトの目は損傷しやすく、レーザ光のパワーレベルが非常に低い場合でも障害を引き起こします。当社では豊富な種類の安全に関わるアクセサリをご提供しており、そのような事故や負傷のリスクの低減にお使いいただけます。可視域から近赤外域のスペクトルでのレーザ発光がヒトの網膜に損傷を与えうるリスクは極めて高くなります。これはその帯域の光が目の角膜やレンズを透過し、レンズがレーザーエネルギを、網膜上に集束してしまうことがあるためです。
安全な作業および安全に関わるアクセサリ
- クラス3または4のレーザを取り扱う場合は、必ずレーザ用保護メガネを装着してください。
- 当社では、レーザのクラスにかかわらず、安全上無視できないパワーレベルのレーザ光線を取り扱う場合は、ネジ回しなどの金属製の器具が偶然に光の方向を変えて再び目に入ってしまうこともあるので、レーザ用保護メガネを必ずご使用いただくようにお勧めしております。
- 特定の波長に対応するように設計されたレーザ保護眼鏡は、装着者を想定外のレーザ反射から保護するために、レーザ装置付近では常に装着してください。
- レーザ保護眼鏡には、保護機能が有効な波長範囲およびその帯域での最小光学濃度が刻印されています。
- レーザ保護カーテンやレーザー安全保護用布は実験室内での高エネルギーレーザの遮光にご使用いただけます。
- 遮光用マテリアルは、直接光と反射光の両方を実験装置の領域に封じ込めて外に逃しません。
- 当社の筺体システムは、その内部に光学セットアップを収納し、レーザ光を封じ込めて危険性を最小限に抑えます。
- ピグテール付き半導体レーザは、他のファイバに接続、もしくは他のファイバとの接続を外す際には、レーザ出力をOFFにしてください。パワーレベルが10 mW以上の場合には特にご注意ください。
- いかなるビーム光も、テーブルの範囲で終端させる必要があります。また、レーザ使用中には、研究室の扉は必ず閉じていなければなりません。
- レーザ光の高さは、目線の高さに設定しないでください。
- 実験は光学テーブル上で、全てのレーザービームが水平を保って直進するように設定してください。
- ビーム光路の近くで作業する人は、光を反射する不要な装飾品やアクセサリ(指輪、時計など)をはずしてください。
- レンズや他の光学装置が、入射光の一部を、前面や背面で反射する場合がありますのでご注意ください。
- あらゆる作業において、レーザは必要最小限のパワーで動作するようにご留意ください。
- アライメントは、可能な限りレーザの出力パワーを低減して作業を行ってください。
- ビームパワーを抑えるためにビームシャッタや フィルタをお使いください。
- レーザのセットアップの近くや実験室には、適切なレーザ標識やラベルを掲示してください。
- クラス3Rやクラス4のレーザ(安全確保用のインターロックが必要となるレーザーレベルの場合)で作業する場合は、警告灯をご用意ください。
- ビームトラップの代用品としてレーザービュワーカードを使用したりしないでください。
レーザ製品のクラス分け
レーザ製品は、目などの損傷を引き起こす可能性に基づいてクラス分けされています。国際電気標準会議(The International Electrotechnical Commission 「IEC」)は、電気、電子工学技術関連分野の国際規格の策定および普及を行う国際機関で、IEC60825-1は、レーザ製品の安全性を規定するIEC規格です。レーザ製品のクラス分けは下記の通りです
Class | Description | Warning Label |
---|---|---|
1 | ビーム内観察用の光学機器の使用を含む、通常の条件下での使用において、安全とみなされているクラス。このクラスのレーザ製品は、通常の使用範囲内では、人体被害を及ぼすエネルギーレベルのレーザを発光することがないので、最大許容露光量(MPE)を超えることはありません。このクラス1のレーザ製品には、筐体等を開かない限り、作業者がレーザに露光することがないような、完全に囲われた高出力レーザも含まれます。 | ![]() |
1M | クラス1Mのレーザは、安全であるが、望遠鏡や顕微鏡と併用した場合は危険な製品になり得ます。この分類に入る製品からのレーザ光は、直径の大きな光や拡散光を発光し、ビーム径を小さくするために光を集束する光学素子やイメージング用の光学素子を使わない限り、通常はMPEを超えることはありません。しかし、光を再び集光した場合は被害が増大する可能性があるので、このクラスの製品であっても、別の分類となる場合があります。 | ![]() |
2 | クラス2のレーザ製品は、その出力が最大1 mWの可視域での連続放射光に限定されます。瞬目反射によって露光が0.25秒までに制限されるので、安全と判断されるクラスです。このクラスの光は、可視域(400~700 nm)に限定されます。 | ![]() |
2M | このクラスのレーザ製品のビーム光は、瞬目反射があるので、光学機器を通して見ない限り安全であると分類されています。このクラスは、レーザ光の半径が大きい場合や拡散光にも適用されます。 | ![]() |
3R | クラス3Rのレーザ製品は、直接および鏡面反射の観察条件下で危険な可視光および不可視光を発生します。特にレンズ等の光学機器を使用しているときにビームを直接見ると、目が損傷を受ける可能性があります。ビーム内観察が行われなければ、このクラスのレーザ製品は安全とみなされます。このクラスでは、MPE値を超える場合がありますが、被害のリスクレベルが低いクラスです。可視域の連続光のレーザの出力パワーは、このレベルでは5 mWまでとされています。 | ![]() |
3B | クラス3Bのレーザは、直接ビームを見た場合に危険なクラスです。拡散反射は通常は有害になることはありませんが、高出力のクラス3Bレーザを使用した場合、有害となる場合もあります。このクラスで装置を安全に操作するには、ビームを直接見る可能性のあるときにレーザ保護眼鏡を装着してください。このクラスのレーザ機器にはキースイッチと安全保護装置を設け、さらにレーザ安全表示を使用し、安全照明がONにならない限りレーザがONにならないようにすることが求められます。Class 3Bの上限に近いパワーを出力するレーザ製品は、やけどを引き起こすおそれもあります。 | ![]() |
4 | このクラスのレーザは、皮膚と目の両方に損傷を与える場合があり、これは拡散反射光でも起こりうるとみなされています。このような被害は、ビームが間接的に当たった場合や非鏡面反射でも起こることがあり、艶消し面での反射でも発生することがあります。このレベルのレーザ機器は細心の注意を持って扱われる必要があります。さらに、可燃性の材質を発火させることもあるので、火災のリスクもあるレーザであるとみなされています。クラス4のレーザには、キースイッチと安全保護装置が必要です。 | ![]() |
全てのクラス2以上のレーザ機器には、上記が規定する標識以外に、この三角の警告標識が表示されていなければいけません。 | ![]() |
パルスレーザ:パワーとエネルギーの計算
パルスレーザからの放射光が、使用するデバイスや用途に適合するかどうかを判断する上で、レーザの製造元から提供されていないパラメータを参照しなければならない場合があります。このような場合、一般には入手可能な情報から必要なパラメータを算出することが可能です。次のような場合を含めて、必要な結果を得るには、ピークパルスパワー、平均パワー、パルスエネルギ、その他の関連するパラメータを必要とすることがあります。
- 生物試料を損傷させないように保護する
- フォトディテクタなどのセンサにダメージを与えることなくパルスレーザ光を測定する
- 物質内で蛍光や非線形効果を得るために励起を行う
パルスレーザ光のパラメータは下の図1および表に示します。参照用として、計算式の一覧を以下に示します。資料を ダウンロードしていただくと、これらの計算式のほかに、パルスレーザ光の概要、異なるパラメータ間の関係性、および計算式の適用例がご覧いただけます。
計算式 | ||||
![]() | 、 | ![]() | ||
![]() | ||||
![]() | ||||
![]() | ||||
平均パワーから算出するピークパワー、ピークパワーから算出する平均パワー : | ||||
![]() | 、 | ![]() | ||
平均パワーおよびデューティーサイクルから算出するピークパワー*: | ||||
![]() | *デューティーサイクル(![]() |

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図1: パルスレーザ光の特性を記述するためのパラメータを、上のグラフと下の表に示します。パルスエネルギ (E)は、パルス曲線の下側の黄色の領域の面積に対応します。このパルスエネルギは斜線で表された領域の面積とも一致します。
パラメータ | シンボル | 単位 | 説明 | ||
---|---|---|---|---|---|
パルスエネルギ | E | ジュール[J] | レーザの1周期中に放射される1パルスの全放射エネルギ。 パルスエネルギはグラフの黄色の領域の面積に等しく、 これは斜線部分の面積とも一致します。 | ||
周期 | Δt | 秒 [s] | 1つのパルスの開始から次のパルスの開始までの時間 | ||
平均パワー | Pavg | ワット[W] | パルスとして放射されたエネルギが、1周期にわたって 均一に広がっていたと仮定したときの、 光パワーの大きさ(光パワー軸上の高さ) | ||
瞬時パワー | P | ワット[W] | 特定の時点における光パワー | ||
ピークパワー | Ppeak | ワット [W] | レーザから出力される最大の瞬時パワー | ||
パルス幅 | ![]() | 秒 [s] | パルスの開始から終了までの時間。一般的にはパルス形状の 半値全幅(FWHM)を基準にしています。 パルス持続時間とも呼ばれます。 | ||
繰り返し周波数 | frep | ヘルツ [Hz] | パルス光が放射される頻度を周波数で表示した量。 周期とは逆数の関係です。 |
計算例
下記のパルスレーザ光を測定するのに、最大入力ピークパワーが75 mW
のディテクタを使用するのは安全かどうかを計算してみます。
- 平均パワー: 1 mW
- 繰り返し周波数: 85 MHz
- パルス幅: 10 fs
1パルスあたりのエネルギは、
と低いようですが、ピークパワーは、
となります。このピークパワーはディテクタの
最大入力ピークパワーよりも5桁ほど大きく、
従って、上記のパルスレーザ光を測定するのに
このディテクタを使用するのは安全ではありません。
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