ミラー径とレーザービーム径の関係について


ミラー径とレーザービーム径の関係について


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レーザのビーム径に基づいてミラー径を選択するルールはあるか

 

 

レーザのビーム径はミラーの有効径よりも大幅に小さくなければなりません(図1)。ビーム径はミラー径の1/3以下に制限するのが一般的なルールです。このようなルールに従うことで、ビームがミラー表面の周辺でコーティングの境界と相互作用したり、あるいは光学素子のエッジでクリップされたりすることで収差が生じるリスクを制限することができます。

Beam spot centered on a much larger diameter mirror.
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図1:ミラーの有効径は、ビーム径よりも大きい必要があります。一般的なルールでは、ビームの1/e2径より少なくとも3倍以上大きい径のミラーを使用することを推奨しています。

Beam spots on two mirrors, showing the beam is not always centered in the exact center of the mirror.
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図2:径の大きなミラーを使用すると、レーザースポットが完全にミラーの中心にない時や、斜めからの入射によりビーム径が引き延ばされた時にも、柔軟に対応してビーム品質を維持することができます。

ビーム径と光パワー
レーザ光がガウシアンの強度プロファイルを有する場合、ビーム径は1/e2の強度になるポイントで測定するのが一般的です。可視のビームを観察すると、通常1/e2径はビームを取り囲むように見えます。しかし、1/e2径における光の強度はピーク強度の13.5%であり、この直径の外側にも測定可能なパワーが存在します。

ミラーはビームの全パワーを反射するのに十分な大きさの直径(D )を有するのが最適です。反射されるパワーの比率(PT )は、

のように、Dと1/e2ビーム強度の径(d )、またはミラーの半径(r )と1/e2ビーム強度の半径(w )を使用して求められます。[1]

ミラーの径がビームの1/e2径より1.52倍大きい場合、ミラーはパワーの99%を反射できます。ミラー径を大きくしてビーム径の2倍にした場合、パワーの99.96%を反射します。ビームが完全にミラーの中心にない場合、反射される光の割合は小さくなります。

ビーム位置と有効径
ミラーの光学性能は有効径の全領域に対して定められますが、この有効径にはミラー周辺の細い円環部分は含まれません。レーザ光を有効径内に制限するのは、ミラー周辺部の性能が知られてないため適切な方法です。また、有効径からはみ出た光は、ミラーのエッジでクリップされるリスクがあります。

ミラー径がビーム径の2倍あり、かつビームが完全にミラーの中心にある場合、ビームの光学的品質は維持され、ビームのほぼすべてのパワーが反射されます。しかし、何らかのミスアライメントがあれば、ビームの品質は影響を受けます。より大きなミラーを使用すると、アライメント時に柔軟性が得られ、ビームが完全に有効径の中心にない場合にも対応できます。そのため、ビーム径より少なくとも3倍以上大きい有効径を有するミラーを使用することが有用です。

ビームアライメントに関する追加情報は
こちらの動画ページでご覧ください。

参考文献
[1] Bahaa E. A. Saleh and Malvin Carl Teich, Fundamentals of Photonics (John Wiley & Sons, Inc., New York, 1991) p. 85.

「Insights-ヒント集」は下記リンクからご覧いただけます。  
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最終更新日:2020年10月12日


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