AC結合とDC結合の選択について


AC結合とDC結合の選択について


Please Wait

 

電気信号:AC結合 vs DC結合

 

Modulated signal with and without a DC Offset
Click to Enlarge

図 1:信号のDCオフセットは信号の平均値です。青い線(ACのみ)の平均振幅は0なので、DCオフセットはありません。赤い信号(ACとDC)は、赤い信号のACオフセットが0ではないこと以外、青い信号と同一です。DC結合は赤い信号を変化させることなく通過させます。AC結合ではDCオフセットを除去し、信号の低周波成分を減衰させます。

機器にAC結合とDC結合の電気入力の選択肢がある場合、変調信号入力に対して、DC結合の方がよい選択であることが多々あります。

AC結合とDC結合
AC結合とDC結合は、入力信号と、機器のその他の電気回路の間のインターフェイスです。

DC結合は直流結合で、本質的にワイヤが信号の入力部に接続しています。この導電結合は直流成分と交流成分である信号の周波数成分すべてを伝送します。図1の赤い線の直流成分は0ではありません。

AC結合の主な特長はコンデンサを信号入力部に対して直列に配置することです。コンデンサはハイパスフィルタとして機能し、阻止コンデンサと呼ばれることもあります。AC結合ではDCならびに低周波成分が大きく減衰されます。このような静電結合は、入力信号からDCオフセットを除去し、AC成分のみを通過させるために使用されます。図1の青い線にはAC周波数成分しかありません。 

可能な場合、DC入力をご使用ください
DC入力が好ましい理由は多くあります。低周波数応答性が良く、信号のDC成分をAC成分とともにモニタでき、また信号の周波数成分に影響を及ぼさないため、信号の歪みを生じさせません。

DCオフセットが大きいか、AC入力によるフィルタリングが必要な場合を除き、DC入力をお勧めいたします。DCオフセットが大きいことの問題の1つは、機器の分解能よりも低いレベルまで下げる場合があることです。極端なケースにおいてはDCオフセットにより光のクリッピングや飽和効果が生じる場合があります。

なお、DC入力であっても、信号の歪みがないことは保証されませんのでご留意ください。歪みはデバイスの帯域幅の不足や、終端でのインピーダンスの不一致などほかの理由で起こる場合があります。

Modulated signal before and after high-pass filtering
Click to Enlarge

図 3:上のグラフの青い曲線のように変調信号によってはDC成分がなくても、少なくない量の低周波成分は存在します。この信号がAC結合のハイパスフィルタによってフィルタイングされると、結果信号に歪みが生じます。緑の線はその1例です。

High Pass RC Filter Response
Click to Enlarge

図 2:コンデンサがベースのハイパスフィルタの周波数応答性をモデル化しています。カットオフ周波数(Fc)は35 Hzで、図3の信号のフィルタリングに使用されました。信号の繰り返し周波数は 200 Hzです。

AC入力を使用する理由
AC結合は信号のDC成分を阻止することにより、信号の全体の振幅を減少させることができます。これにより、機器の測定分解能を向上することができ、また飽和やクリッピングの問題も克服できます。情報伝送を高周波成分で行う場合、そして低周波成分に関心がない場合、AC結合は良い結果をもたらします。また一部の通信用途などDCの周波数成分が容認されない用途においてはAC結合が好ましい場合があります。

AC入力を使用する場合
AC結合を使用した場合、AC結合がハイパスフィルタとして機能し、信号の周波数成分に影響を及ぼすことを念頭におくことが重要です。

図2で示すように、AC結合はDCオフセットを除去するだけでなく、関心のある低周波成分も減衰させる場合があります。AC結合は結果、信号の歪みにつながる場合があります。ハイパスフィルタの影響を説明するため、図3では繰り返し周波数が200 Hzのバイナリ信号を、カットオフ周波数(Fc)35 Hzのハイパスフィルタでフィルタリングする前と後のグラフを示しています。

AC結合のデジタル通信信号では、DCオフセットのないDCバランスのとれた信号を使用することによりこの問題を軽減しています。信号のDCバランスが取れていない場合、一連の信号は高い信号レベルに張り付いてしまう場合があります。これにより、信号が静電フィルタリングの影響を受け、non-zeroのDCレベルが生じることがあり、その結果、ビットエラーをもたらされます。

「Insights-ヒント集」は下記リンクからご覧いただけます。 
一覧を見る

最終更新日:2019年12月4日


Posted Comments:
No Comments Posted