1x1ロータリージョイント、FC/PCマルチモードパッチケーブル用

Back View
RJ1
Compatible with FC/PC Connectors
Flat Edge to Prevent Rolling when Placed on a Table
Application Idea
Mount the RJ1 Rotary Joint vertically by using a SM1RC lens tube slip ring, an RA90RS adapter, and Ø1/2" and Ø1" posts.
Front View
- <±3.0% Rotational Variation over 400 - 700 nm Range
- Protects Against Fiber Damage from Moving Specimen
- Recommended for FC/PC Patch Cables with ≥Ø200 μm Core, 0.22 to 0.50 NA

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Specificationsa | ||
---|---|---|
Operating Wavelength | 400 - 700 nm | |
Transmission | LED | > 60% (Typical) |
Laser | > 70% (Typical) | |
Rotational Variation of Transmission | ±3.0% (Max) ±1.5% (Typical) | |
Start-Up Torque | < 150 µN·m | |
Recommended Fiber Core Diameter | ≥Ø200 µm | |
Recommended Fiber NA | 0.22 - 0.50 NA |
特長
- 被験体が動くことによるファイバの損傷を防止
- ワイドキー(2.2 mm)、ナローキー(2.0 mm)のどちらのFC/PCパッチケーブルにも対応
- 400~700 nmの波長範囲にわたり一貫した性能を維持
- 回転時でも小さな透過率変動 (「性能」タブ参照)
- 精密ベアリングにより極めて滑らかな回転を実現
- コア径≥Ø200 µm、NA 0.22~0.50のパッチケーブルaを推奨
- ファイバ出力型マルチモードレーザまたはファイバ出力型LED用に設計され、試験済み
- 筐体には取付け用のSM1外ネジ付き
- 双方向型のデバイス
FC/PCマルチモードパッチケーブル用の1x1ロータリージョイントRJ1は、回転に伴う変動の少ない1入力1出力のロータリージョイントです。オプトジェネティクス用に設計されており、被験体が動いてもパッチケーブルが回転接続部で自由に回転するため、ファイバの損傷や強度変動のリスクを低減できます。パッチケーブルはロータリージョイントRJ1から取り外せるため、損傷したファイバを簡単に交換できます。また、実験に適したコア径やNA、被覆のタイプなどを選択できるため、パッチケーブルが一体となったデバイスよりも柔軟性が高くなっています。特に、入力には励起用のLEDやレーザにマッチしたパッチケーブルを選択し、出力にはカニューラのサイズにマッチしたフェルールを有するパッチケーブルを選択することができます。

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1x1ロータリージョイントRJ1の挿入損失は、光源SLS201と光スペクトラムアナライザを使用して測定しました。青い網掛けの部分は動作波長範囲を示しています。
光学設計
このロータリージョイントに対しては、LEDとマルチモードレーザの両方の光源が使用でき、さらにオプトジェネティクスにおいて広く使用されているパッチケーブルが使用できるように、幅広い試験を行っています。また、ファイバをロータリージョイントのどちら側のコネクタに挿入しても、ファイバ端がコリメートレンズの焦点にくるように設計されています。使用されている高NAの色補正レンズは優れたアクロマティック性能を有し、ファイバのNAに対してオーバーフィルするようなLED光源の使用にも適しています。ロータリージョイントRJ1は双方向性があり、LEDに対する典型的な全透過率は60%、回転による変動は±3.0%以下です。
RJ1の組み立て時における試験とアライメント調整には、コア径Ø200 µm、NA 0.39のファイバーパッチケーブルと470 nmのファイバ出力型LED M470F3(旧製品)を用いています。当社では、ほかのパッチケーブルや光源を用いてアライメントと最適化を行い、カスタム仕様のロータリージョイントスプリッタとしてご提供することも可能です。詳しくは当社までお問い合わせください。
機械的構造
ロータリージョイントRJ1の機械設計にはいくつかの特徴があり、それにより多くの用途に対して一貫した光学性能が得られるようになっています。精密なベアリングを採用しており、そのため極めて滑らかな回転と長寿命がもたらされ、ジョイント回転時の信号強度の変動も小さく抑えられています。スタートアップトルクが<150 µN·mと小さく、そのため被験体の動きに対してジョイントが自由に動くことができます。入出力ポートには公差の厳しいインサートが用いられており、これによりパッチケーブルとロータリージョイント間のアライメントの最適化と再現性が実現されています。また筐体の一部が平面になっており、RJ1をテーブル上においても転がることはありません。
当社では、ロータリージョイントを垂直に保持できるマウントをいくつかご用意しています。ロータリージョイントにはSM1外ネジが付いており、SM1固定マウントに取り付けられます。そのほか、レンズチューブ用クランプSM1TCまたはレンズチューブ用スリップリングSM1RC/Mを用いて、Ø30.5 mmの筐体を直接取り付けることもできます。この方法では光学ポストアセンブリに直接取り付けられるため、多くの実験の構成要件に合った取付けや配置が可能になります。
対応するパッチケーブル
ロータリージョイントRJ1の入出力ポートには、2.0 mmナローキーおよび2.2 mmワイドキー付きFC/PCコネクタが取り付けられます。最良の性能を得るには、コア径≥Ø200 µm、NA 0.22~0.50のマルチモードパッチケーブルのご使用をお勧めいたします(試験データは「性能」タブ内でご覧いただけます)。コア径Ø200 µm、NA 0.22のシングルクラッドファイバでは、ロータリージョイントRJ1の仕様は保証されませんのでご注意ください。代わりにFG200LCCやFG200UCCのようなTECSベースの第2クラッドが付いたファイバはお使いいただけます。
当社のファイバ出力型LED光源に接続するときには、一方にFC/PCコネクタ、もう一方にSMA905コネクタの付いたマルチモードハイブリッドパッチケーブルを使用してください。出力側にFC/PCオプトジェネティクスパッチケーブルを接続すれば、インターコネクタやスリーブを用いて当社のØ1.25 mmやØ2.5 mmのカニューラを取り付けることができます。
性能仕様を満たすには、ファイバ端とコネクタはクリーンな状態でなければなりません。埃やゴミが付着していると回転に伴う変動が増大し、透過率も低下します。当社では、コネクタ付きファイバ、ファイバーコネクタ、ファイバーバルクヘッドなどのためのファイバークリーニング用品をご用意しています。
オプトジェネティクス製品、In Vivo用
当社ではin vivoのオプトジェネティクス用に設計された製品を豊富に取り揃えております。上の「OGセレクションガイド」タブから様々な用途に対応した製品のラインナップをご覧ください。

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ロータリージョイントRJ1は双方向型のデバイスです。上図は性能試験時の入出力方向を示しています。
典型的な性能データとその比較
オプトジェネティクスの用途において、被験体に到達する光の強度と安定性はロータリージョイントの透過率が回転によってどのくらい変動するかによって決まります。これは接続したパッチケーブルのコア径やNAのほか、光源の波長やビームの広がり角の影響も受けます。
下のグラフは、ロータリージョイントRJ1に7種類のパッチケーブルと3種類の光源を組み合わせたときの典型的な透過率とそのばらつきを示しています。この試験で使用した光源(3種類)は、470 nm LED M470F3(旧製品)、473 nmマルチモードレーザS1FC473MM、および590 nm LED M590F3です。これらの試験結果は、RJ1が様々な種類のファイバと光源に対して性能が一貫していることを示しています。一般に、RJ1に大きいコア径のファイバを使用すると透過率が大きくなり、また回転に伴う変動が小さくなるのが観察できます。また、RJ1と他社製のロータリージョイントの透過率も比較しています。当社における試験では、590 nmのLED光源を使用した場合にRJ1の透過率が他社製品よりも高くなり、コア径またはNAの異なるファイバを使用した場合に安定性が他社製品よりも高くなりました。各グラフの生データは、下の黄色のバーをクリックするとご覧いただけます。
なお、ロータリージョイントRJ1の仕様は、NA 0.39または0.50のマルチモードファイバ、およびコア径≥Ø200 µm、NA 0.22のデュアルクラッドファイバを使用した場合にのみ保証されます。コア径Ø200 µm、NA 0.22のシングルクラッドファイバを使用した場合には、仕様性能は得られませんのでご注意ください(下のグラフ参照)。コア径Ø200 µm、NA 0.22のファイバをお使いになる場合は、FG200LCCやFG200UCCのような外側にTECSベースのクラッドが付いたデュアルクラッドファイバを、出力側(緑色のデータ)または入出力の両側(青色のデータ)にお使いいただくことをお勧めします。試験に使用した個別のファイバについての詳細は、下の黄色のバーをクリックするとご覧いただけます。
ロータリージョイントRJの透過率は、ファイバーアダプタS120-FCを取り付けたデジタルパワーメータPM120Dを使用して測定しました。下のデータはRJ1の典型的な性能を示しています。ロータリージョイントの性能には個体差がありますが、コアサイズ、NA、クラッドタイプに関して推奨されたファイバをご使用いただいた場合には、透過率と回転変動の仕様値は保証されます。コア径Ø105 µm、NA 0.22のファイバはコアサイズが推奨範囲外(つまり性能が保証されていない)であるため、試験データは参考用としてご覧ください。

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ロータリージョイントRJ1に入射した全光量に対する出力光の割合を透過率(パーセント)として表示。エラーバーは、ロータリージョイントが回転したときに測定されたばらつきを示しています。ジョイントの試験は、コア径Ø200 μm、NA0.22のファイバを使用して以下の3種類の構成で実施しました:入出力ともシングルクラッド;入力がシングルクラッド、出力がデュアルクラッド;入出力ともデュアルクラッド。最良の性能は出力にデュアルクラッドファイバを接続したときに得られました。

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様々な光源とパッチケーブルを用いて、ロータリージョイントRJ1(赤)と他社製のロータリージョイント(黒)の透過率を比較。RJ1は590 nmのLEDを使用したときに他社製品よりも高い透過率を示し、様々なパッチケーブルを使用したときに他社製品よりも安定した性能を示しました。この測定では、ロータリージョイントの入出力にシングルクラッドファイバを使用しましたが、コア径Ø200 µm、NA 0.22の場合のみ例外的にデュアルクラッドファイバを使用しました。
典型的な性能の生データはこちらをご覧ください。
Fiber Core Diameter | Fiber NA | Input Patch Cablea | Output Patch Cable | Light Source | RJ1 Rotary Joint | Non-Thorlabs Rotary Joint | ||
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Average Transmission | Rotational Variation | Average Transmission | Rotational Variation | |||||
105 µmb | 0.22 | M43L01 | M61L01 | 473 nm Laser | 58.2% | 2.9% | 14.6% | 5.3% |
M18L01 | 470 nm LED | 51.0% | 5.0% | 66.1% | 12.4% | |||
590 nm LED | 57.5% | 4.5% | 50.6% | 3.8% | ||||
200 µmc | 0.22 | M122L01 | M122L01 | 473 nm Laser | 66.1% | 1.9% | 57.1% | 4.9% |
M91L01 | 470 nm LED | 56.4% | 4.2% | 67.4% | 7.0% | |||
590 nm LED | 59.8% | 5.0% | 60.6% | 3.1% | ||||
200 µmd | 0.22 | M122L01 | M84L01 | 473 nm Laser | 71.5% | 0.7% | 74.9% | 0.3% |
M91L01 | 470 nm LED | 68.8% | 2.0% | 73.5% | 1.5% | |||
590 nm LED | 75.1% | 1.1% | 72.3% | 1.1% | ||||
200 µme | 0.22 | M132L01 | M84L01 | 473 nm Laser | 72.4% | 0.8% | 42.3% | 1.0% |
M133L01 | 470 nm LED | 64.4% | 1.7% | 71.6% | 2.1% | |||
590 nm LED | 68.2% | 1.5% | 58.0% | 0.5% | ||||
200 µm | 0.39 | M72L01 | M81L01 | 473 nm Laser | 69.4% | 1.4% | 92.0% | 3.1% |
M75L01 | 470 nm LED | 60.2% | 1.2% | 66.1% | 3.5% | |||
590 nm LED | 63.8% | 1.4% | 50.9% | 1.4% | ||||
200 µm | 0.5 | M123L01 | M104L01 | 473 nm Laser | 65.8% | 0.9% | 57.7% | 3.2% |
M129L01 | 470 nm LED | 63.8% | 1.3% | 51.4% | 3.0% | |||
590 nm LED | 73.6% | 1.2% | 45.7% | 1.1% | ||||
300 µm | 0.39 | M69L01 | M56L01 | 473 nm Laser | 66.1% | 0.9% | 81.7% | 1.8% |
M12L01 | 470 nm LED | 60.9% | 1.2% | 68.0% | 1.8% | |||
590 nm LED | 69.4% | 1.0% | 62.8% | 1.3% | ||||
400 µm | 0.39 | M74L01 | M82L01 | 473 nm Laser | 72.8% | 0.9% | 74.8% | 2.1% |
M76L01 | 470 nm LED | 64.8% | 1.1% | 58.5% | 4.3% | |||
590 nm LED | 72.6% | 1.7% | 68.2% | 3.2% | ||||
400 µm | 0.5 | M124L01 | M128L01 | 473 nm Laser | 75.1% | 0.7% | 78.9% | 0.7% |
M131L01 | 470 nm LED | 62.0% | 0.7% | 74.0% | 0.3% | |||
590 nm LED | 70.5% | 1.1% | 67.3% | 0.2% |

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ロータリージョイントRJ1のこの透過率(典型値)は、様々なファイバ出力型LEDとパワーメータPM120D を用いて測定しました。エラーバーは、ロータリージョイントの回転に伴って測定された変動を示しています。このデータはコア径Ø200 μm、NA 0.39のファイバーパッチケーブルを使用して測定しました。
LED Item # | Wavelengtha | Typical Opsin |
---|---|---|
M470F3b | 470 nm | ChR2, ChR2-SFO |
M490F3b | 490 nm | Rh-CT, ChR2 (E123A) |
M505F1 | 505 nm | ChRGR, Opto-α1AR, Opto-β2AR |
M530F2 | 530 nm | C1V1, VChR1 |
M565F3 | 565 nm | Arch, VChR1-SFO |
M590F3 | 590 nm | ChR2-SFO, eNpHR3.0 |
M625F2 | 625 nm | ReChR |
LEDの性能
当社のファイバ出力型LEDとドライバは、オプトジェネティクスの実験セットアップへの組み込みに適しています。in vivoの実験手順では、1つまたは2つのLED光源からの光を被験体に埋め込まれている光ファイバーカニューラに結合し、光に応答するオプシンタンパク質の励起に使用します。このような光刺激実験にLEDが多用される理由は、幅広い波長域にわたり高出力が得られ、さらにレーザと比べて強度分布の均一性に優れているためです。
右のグラフは、様々なファイバ出力型LED(右表に記載)を光源として使用したときのロータリージョイントRJ1の典型的な透過率を示しています。入力と出力にはØ200 µm, 0.39 NAのマルチモードファイバーパッチケーブルを使用しました。RJ1の透過率測定にはファイバーアダプタS120-FCを取り付けたデジタルパワーメータPM120D を使用しました。

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Figure 79A 光ファイバ内の全反射
光ファイバ内の光の伝搬
光ファイバは光学製品を大分類すると光導波路の一部で、内部全反射(TIR)を利用して個体または液体構造内に光を閉じ込め、伝搬させます。その中でも光ファイバは数多くの用途に使用され、一般的な例としては光通信、分光、照明などがあげられます。
広く使用されているガラス(石英)ファイバの構造の1つにFigure 79Aで示しているステップインデックスファイバがあります。ステップインデックスファイバのコアは周りのクラッド層よりも屈折率の高い材料でできています。光が周りの媒質により屈折するのではなく、コアとクラッドの界面で反射する入射角が存在します。ファイバ内で全反射する条件を満たすために、ファイバの入射角をある角度より低くしなければなりません。この角度は受光角度、θaccと定義されます。角度を求めるにはスネルの法則が使用されます。
ここでncoreはファイバのコアの屈折率、ncladはファイバのクラッドの屈折率、nは外側の媒質の屈折率、θcritは臨界角、そしてθaccはファイバの受光角度の半角となります。開口数はファイバの製造メーカが使用する無次元数で、光ファイバの受光角度により規定されます。下記の式で表します。
大径コアのステップインデックスファイバ(マルチモード)では、この式を用いてNAが直接求められます。NAはファーフィールドビームのプロファイルをたどり、ビームの中心からビーム強度が最大の5%になる点までの角度を測ることによって、実験によっても求められます。しかし、計算式でNAを直接求めることが最も正確な値を得る方法になります。
光ファイバ内のモード数
光ファイバ内で光が伝搬する経路はファイバの導波モードとして知られています。コア・クラッド領域の物理的寸法、屈折率、そして波長により、1本の光ファイバ内では1から何千のモードが存在することになります。最も一般的に製造されているのは2種類で、シングルモードファイバ(単一導波モードが存在)とマルチモードファイバ(多数の導波モードが存在)があります。マルチモードファイバにおいては、低次モードではファイバのコア内に光を空間的に閉じ込める傾向があり、一方、高次モードではコアとクラッドの界面近くで光を空間的に閉じ込める傾向があります。
光ファイバのモード数(シングルモードまたはマルチモード)はいくつかのシンプルな計算により予測することができます。規格化された光の周波数(V-number)は自由空間光周波数に比例する無次元数ですが、光ファイバの導波特性を示します。V-numberは下の式で定義されます。
Vは規格化周波数(V-number)、aはファイバのコア半径、λは自由空間波長です。マルチモードファイバのV-numberは大きく、例えば、コアØ50 µm、NA0.39のマルチモードファイバのV-numberは波長1.5 µmにおいて40.8です。
V-numberが大きいマルチモードファイバにおけるモード数は下の関係式で概算します。
上記のコアØ50 µm、NA0.39のマルチモードファイバの例では、ファイバ内を同時期に伝搬するモード数は約832となります。
シングルモードファイバはV-numberが2.405未満あると定義されています。これは光がファイバの基本モードのみに結合することを表しています。この条件を満たすためにシングルモードファイバは同じ波長でのマルチモードファイバに比べてコアサイズとNAが大幅に小さくなります。1つの例として、SMF-28 Ultraのシングルモードファイバの公称NAは0.14、コアはØ8.2 µmで、1550 nmにおけるVナンバは2.404です。

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Figure 79B マクロベンドロスによる減衰

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Figure 79C マイクロベンドロスによる減衰

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Figure 79D マルチモードファイバFT200EMT透過後のビームプロファイル測定結果。旧製品LED M565F1(代替品 M565F3) の光がコアではなく、ファイバのクラッドに導かれていることが示されています。
減衰の要因
光ファイバ内の損失は減衰とも呼ばれ、ファイバの全伝送損失を予測するために特性化し、数値化されます。これらの損失の原因は通常波長に依存し、またファイバそのものに使用されている材料からファイバの曲げによるものなど様々です。減衰が生じる一般的な要因を下記に説明しております。
吸収
標準的な光ファイバ内の光はファイバ材料を介して導かれているため、光がファイバを伝搬するにつれて吸収による損失があります。標準的なファイバは溶融石英を使用して製造され、1300 nm~1550 nmで透過するよう最適化されています。これよりも長い波長(>2000 nm)だと、溶融石英内の多光子相互作用により、大幅な吸収につながります。フッ化ジルコニウム(ZrF4 )やフッ化インジウム(InF3)が主に中赤外域用ファイバの製造に使用されているのは、これらの波長で低損失だからです。ZrF4 ならびにInF3 の(多光子相互作用が起こらない)限界波長はそれぞれ約3.6 µmと4.6 µmです。
ファイバ内の異物も吸収損失の原因となります。 不純物質の1例は、1300 nmと2.94 µm付近の光を吸収する、ファイバのガラス内に閉じ込めれた水分子です。アプリケーションによっては(光通信など)はこの波長領域を利用するため、ファイバ内の水分子が信号を大幅に減衰します。
製造メーカではよくファイバーガラス内のイオンの密度を制御することでファイバの透過・減衰特性の調整を行っています。例えば、水酸化物イオン(OH-)はもともと石英に含まれていて、近赤外~赤外スペクトル域で光を吸収します。そのため、低OHのファイバは通信波長での透過に適しています。一方で高OHのファイバは通常、UV波長で透過率が増加するため、蛍光用途やUV~可視域での分光用途向けに適しています。
散乱
光ファイバの用途の多くでは、光散乱が損失の主な原因です。散乱は媒質の屈折率の変化が起きた場所で生じます。このような屈折率の変化には不純物、粒子、泡など外因的なものと、ガラスの密度、組成、相状態の変動による内因的なものがあります。散乱は光の波長に反比例しますので、UVや青色のスペクトル領域などの短い波長では大きな散乱損失が起こります。適切なファイバのクリーニング、処理、ならびに保管手順により、大きな散乱損失を招くファイバ先端の不純物を最小限に留めることができます。
曲げ損失
光ファイバの外部ならびに内部形状の変化によって起こる損失は曲げ損失と呼ばれています。通常曲げ損失はマクロベンドロスとマイクロベンドロスの2つのカテゴリーに分けられます。
マクロベンドロスは一般的に光ファイバの物理的な曲げ、例えば細いコイルに巻くような場合に生じる損失です。Figure 79Dのように、導波光はファイバのコアならびにクラッド領域内に空間的に分布されています。ファイバを曲げた場合、径の外側付近の光は速度を上げないことには同じ空間モードプロファイルを維持することはできません。維持できない場合、放射光として光エネルギが周囲に奪われます。曲げ半径が大きいと曲げに関わる損失は小さくなります。ただし、推奨するファイバの曲げ半径より小さい曲げ半径では大幅な曲げ損失となります。光ファイバは、短時間であれば小さい曲げ半径でも動作可能ですが、長期間保管する際の曲げ半径は推奨する値よりも大きくしてください。 適切な保管状態(温度と曲げ半径)でファイバの恒久的な損傷の可能性を下げることができます。ファイバ収納リールFSR1は高曲げ損失が最小に抑えられるよう設計されています。
マイクロベンドロスは、ファイバの内部形状、とりわけコアとクラッド層の変化により起こります。これらのファイバ構造内のランダムな変化(凹凸など)は、内部全反射に必要な条件を妨げ、伝搬する光がファイバの外に漏れる非伝搬モードに結合する原因となります(Figure 79Dをご覧ください)。曲げ半径によるマクロベンドロスとは異なり、マイクロベンドロスはファイバの製造過程で起こるファイバの恒久的な欠陥によるものです。
クラッドモード
マルチモードファイバ内の光のほとんどはコア内の内部全反射により伝搬しますが、高次モードでは、クラッドとコーティング・バッファの界面での内部全反射によりコア層とクラッド層の両方で光を伝搬する場合があります。これはクラッドモードと呼ばれます。Figure 79Dのビームプロファイル測定はこの1例です。ファイバのコア内よりもクラッド内で高い強度のクラッドモードを示しています。これらは非伝搬モードの(つまり、内部全反射の条件を満たさない)場合と、ファイバをかなり長く伝搬する場合があります。クラッドモードは一般的に高次のため、ファイバの曲げや欠陥によるマイクロベンドは損失の原因となります。クラッドモードは、2本のファイバをコネクタで接続した場合、簡単に結合できないため消失します。
クラッドモードはそのビームの空間プロファイルへの影響により、用途(例:自由空間への入射)によっては望ましくない場合があります。ファイバ長が長くなると、このモードは自然に減衰します。ファイバ長が短い場合(<10 m)、希望する伝搬モードを維持しながらファイバからクラッドモードを除去する方法の1つとして、マンドレルラップを使用してクラッドモードが除去できる半径で曲げる方法があります。
入射状態
アンダーフィルの入射状態
幅広い開口で光を受容する大径マルチモードファイバの場合、ファイバに結合する光の状態(例:光源種類、ビーム径、NA)が透過性能に著しい影響を及ぼすことがあります。アンダーフィルの入射状態は、入射光の界面でのビーム径ならびにNAがファイバのコア径ならびにNAよりも小さいときに起こります。一般的な例としてレーザ光源を大径マルチモードファイバに入射する例があります。Figure 79Eならびにビームプロファイル測定画面でご覧いただけるように、アンダーフィルの入射状態ではファイバの中心に光を空間的に集光する傾向があり、高次モードよりも低次モードが得やすくなります。その結果、マクロベンドの影響は少なく、クラッドモードもありません。アンダーフィルの入射状態における挿入損失の測定値は典型値よりも低い傾向にあり、またパワー密度はファイバのコアの方がより高くなります。
オーバーフィルの入射状態
オーバーフィルの入射状態は、入射光の界面でのビーム径ならびにNAがファイバのコア径ならびにNAよりも大きいときに起こる状態によって定義されます。この状態はLED光源の光を小径マルチモードファイバに入射する場合に得られます。オーバーフィルの入射状態ではファイバのコア全体とクラッドの一部に光があたり、低次モードと高次モードが均一に得られ(Figure 79F参照)、そしてクラッドモードに結合する可能性が高くなります。高次モードの割合が高くなることにより、オーバーフィル状態のファイバは曲げにさらに敏感になります。オーバーフィルの入射状態における挿入損失の測定値は典型値よりも高い傾向にありますが、全体的な出力パワーはアンダーフィルの入射状態に比べて高くなります。
アンダーフィルとオーバーフィルの入射状態には、用途の要件によって長所や欠点があります。マルチモードファイバの基本性能を測定するには、ファイバのコア径に対して70~80%のビーム径の入射光を使用することをお勧めします。オーバーフィル状態のファイバは、短い距離では出力パワーが高くなります。しかし、長い距離(>10~ 20 m)では減衰の影響をより受けやすい高次モードが消失します。
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Quick Links | |||
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Single-Site Stimulation | |||
One Light Source to One Cannula Implant | |||
Multilateral Stimulation | |||
One Light Source to Two Cannula Implants Using Rotary Joint Splitter | |||
One or Two Light Sources to Two Cannula Implants | |||
One Light Source to Seven Cannula Implants | |||
Two Light Sources into One Dual-Core Cannula Implant | |||
Illumination | |||
Fiber-Coupled LEDs and Drivers |
オプトジェネティクスセレクションガイド
当社では、多岐にわたるオプトジェネティクス部品をご用意しております。以下では、標準的な構成における製品の互換性について説明しています。こちらのガイドに記載されていないオプトジェネティクス用カスタム製品などについては、当社までお問い合わせください。
単領域刺激
1つの光源を1つの埋め込み用カニューラに使用する場合
試料へin vivoの光刺激を行う最もシンプルな方法は、1つのLED光源に1本のファイバを接続する方法です。1つのLEDドライバで単一波長のLED光源を制御し、パッチケーブルによるファイバ接続を通じて光源からの光を生体組織に埋め込み済みのカニューラから出力します。このセットアップを製作するために必要なパッチケーブルとカニューラについては、下の図および対応表をご参照ください。適切なLEDとドライバをお選びいただくには、下記または製品ページをご覧ください。
各部品をクリックすると詳細がご覧いただけます。

Ø1.25 mm (LC)フェルール用パッチケーブル、カニューラ、インターコネクタはこちらをクリックしてください。
Ø2.5 mm (FC)フェルール用パッチケーブル、カニューラ、インターコネクタはこちらをクリックしてください。
両側同時刺激
試料内の複数の場所に正確かつ同時に光を導く機能は、多様なオプトジェネティクス実験に求められています。例えば、同時刺激の技術は一般に空間的に離れた2つの領域にあるニューロンに要求された行動を引き起こさせるために使用されます。ニューロンの同時阻害や同時刺激を含むより複雑な実験では、2つの異なる単一波長の光を近接した場所に照射することで複数のカニューラを挿入する必要がなくなり、試料に与えるストレスを減らすことができます。
両側刺激は実験内容に応じてそれぞれ異なる構成で行われます。以下では当社のオプトジェネティクス製品を使用した種々の構成例をご覧いただけます。
オプション1:ロータリージョイントスプリッタを用いて、1つの光源を2つの埋め込み用カニューラに使用する場合
当社の1x2 ロータリージョイントスプリッタRJ2はオプトジェネティクス用に設計されており、1つの入力光を2つの出力光に均等に分岐します。ロータリージョイントのインターフェース部分は、接続されたパッチケーブルが自由に回転できる構造になっているため、被験動物の動きによるファイバ損傷のリスクが低減します。このセットアップを構築するために必要なケーブルとカニューラについては、下の図および対応表をご参照ください。LEDとドライバについての詳細は、下記または 製品ページをご参照ください。

ロータリージョイントスプリッタRJ2と組み合わせて使用するうえで推奨されるØ1.25 mm (LC)フェルール用部品についてはこちらをクリックしてください。
ロータリージョイントスプリッタRJ2と組み合わせて使用するうえで推奨されるØ2.5 mm (FC)フェルール用部品についてはこちらをクリックしてください。
オプション2:1つまたは2つの光源を2つの埋め込み用カニューラに使用する場合
試料を2つの出力で刺激する実験(2つのカニューラの埋め込み)には、2種類の方法があります。1つの光源を2つのカニューラに接続して光を同時制御する場合、2分岐ファイバーバンドルを用いてLEDからの光をそれぞれのカニューラに分岐させることができます。デュアル波長による光刺激(2種類の波長をそれぞれのカニューラから出力)を行う場合、またはカニューラ間の分岐比を制御したい場合は、マルチモードカプラを用いて1つまたは2つのLED光源をカニューラに接続します。1つのケーブル端しか使用しなかった場合、未使用のカプラのケーブル端にライトトラップを取り付けることができます。このセットアップを構築するために必要なケーブルとカニューラについては、下の図および対応表をご参照ください。 LEDとドライバについての詳細は、下記または製品ページをご参照ください。
各部品をクリックすると詳細がご覧いただけます。


オプション3: 1つの光源を7つの埋め込み用カニューラに使用する場合
1つの光源を7つのカニューラに接続して光を同時制御したい場合は、7分岐ファイバーバンドルを用いることでLEDからの光をそれぞれのカニューラに分岐することができます。このセットアップを構築するために必要なケーブルとカニューラについては、下の図および対応表をご参照ください。LEDとドライバについての詳細は、下記または製品ページをご参照ください。
各部品をクリックすると詳細がご覧いただけます。

2つの光源を1つの埋め込み用デュアルコアカニューラに使用する場合
試料を両側から同時に刺激する用途では、2つのカニューラを近接(約1 mm)して設置する必要があります。当社では、このような特殊な用途に適したデュアルコアパッチケーブルならびにカニューラをご用意しております。各コアは別々の光源によって駆動するため、試料の同じ領域内の神経細胞を同時に刺激、抑制することができます。このセットアップを製作するために必要なケーブルとカニューラについては、下の図および対応表をご参照ください。LEDとドライバについての詳細は、下記または製品ページをご参照ください。

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Part Selection Table (Click Links for Item Description Popup) | |||||||||
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Common Fiber Properties | |||||||||
Core Diameter | 200 µm | ||||||||
Wavelength Range | 400 - 2200 nm | ||||||||
NA | 0.39 | ||||||||
Fiber Type | FT200EMT | ||||||||
Ferrule Stylea | FC (Ø2.5 mm) | ||||||||
Dual-Core Patch Cable | FC/PC Input | BFY32FL1 | |||||||
SMA905 Input | BFY32SL1 | ||||||||
Compatible Mating Sleeve/Interconnect | ADAF1 ADAF2 ADAF4-5 | ||||||||
Dual-Core Fiber Optic Cannulaec | Stainless Steel | CFM32L10 CFM32L20 |
LED Item # | Wavelengtha | Typical Opsin | Output Powerb | Color |
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M405F3c | 405 nm | mmilCFP, hcriGFP | 3.7 mW | UV |
M430F1 | 430 nm | ChR2 | 7.5 mW | Violet |
M455F3 | 455 nm | ChIEF, bPAC | 24.5 mW | Royal Blue |
M470F4 | 470 nm | ChR2, ChR2-SFO | 20 mW | Blue |
M490F4 | 490 nm | Rh-CT, ChR2 (E123A) | 2.8 mW | Blue |
M505F3 | 505 nm | ChRGR, Opto-α1AR, Opto-β2AR | 11.7 mW | Cyan |
M530F3 | 530 nm | C1V1, VChR1 | 9.6 mW | Green |
M565F3 | 565 nm | Arch, VChR1-SFO | 13.5 mW | Lime |
M595F2 | 595 nm | ChR2-SFO, eNpHR3.0 | 11.5 mW | Amber |
M625F2 | 625 nm | ReChR | 17.5 mW | Red |
照明

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M405F1
ファイバ出力型LEDとドライバ
当社のファイバ出力型LEDは、オプトジェネティクス用途にも適しています。幅広い波長のラインナップと機構部のオプトジェネティクスパッチケーブルへの簡便な接続が特長の製品となっております。当社のファイバ出力型LEDは、280 nm~1050 nmの公称波長範囲でご用意しています。右の表では、オプトジェネティクスの用途によく使用される波長のLEDを記載しています。下のリンクをクリックすると対応するLEDドライバがご覧いただけます。