1x4ファイバースプリッタ、偏波保持ファイバ(PMF)
- 1310/1550 nm Dual-Window Splitters
- Split Input Evenly into 4 Ports
- 2.0 mm Narrow Key FC/PC or FC/APC Connectors
TPQ1315HF
FC/PC Connectors
TPQ1315HA
FC/APC Connectors
Use for Splitting Signals
Please Wait
PANDA型PMファイバの断面図
コネクタのキーはファイバのスロー軸にアライメントされています。
特長
- 偏波保持ファイバースプリッタ、1310/1550 nm ± 40 nm
- 入力信号を4つの出力ポートに均等分岐
- 2.0 mmナローキーFC/PCまたはFC/APCコネクタ付き
- ファイバ:長さ0.8 m (公差+0.075 m / -0.0 m)
- 各スプリッタには個別の検査データシートをご提供(「PER測定」タブ参照。サンプルデータシートはこちらからご覧いただけます)。
- 取付ベースFCQB(下記参照)を用いて光学テーブルに取り付け可能
- 波長、分岐比、コネクタについては、カスタム仕様に対応できます。当社までお問い合わせください。
PLC(プレーナ光波回路)タイプで偏波保持ファイバ入出力の1x4スプリッタは、入力信号を4つの出力ポートに均等に分岐し、多チャンネル用途に適しています。光が1つのファイバーコアから他方に結合される溶融型カプラとは異なり、こちらのデバイスは伝搬する光信号を分岐する連続導波路として動作します。各スプリッタの波長帯域幅は、中心波長1310 nmおよび1550 nmの両方で±40 nmです。複数の光源から1つの出力ポートへの合波に使用することはできません。
スプリッタはPANDAファイバを用いて製造されています。右図のように、ストレスロッドはファイバーコアに平行に存在し、応力を付与することでファイバーコア内に複屈折を生じさせ偏波保持動作を可能にしています。仕様値の分岐比ならびに高い偏光消光比(PER)を維持するためには、直線偏光をファイバのスロー軸に沿って入射する必要があります。
当社の偏波保持スプリッタの偏光消光比(PER)は、18.0 dB以上(コネクタを含む)です。なお、PERは温度によって変化します。詳細は、「PER測定」タブ内の「温度サイクルテスト」のセクションをご参照ください。最大パワーレベルは、コネクタ付きやファイバ素線の場合は300 mW、融着接続の場合は500 mWとなります(詳細は「損傷閾値」タブをご参照ください)。また、様々なテストの実施により高いPERが実証されています。テストについての詳細は「PER測定」のタブをご参照ください。1310/1550 nmの偏波保持ファイバースプリッタのサンプルデータシートはこちらからご覧いただけます。
各偏波保持ファイバースプリッタは100.0 mm x 80.0 mm x 10.0 mmの小型の筐体に納められていて、4つの貫通穴により取付ベースFCQB(別売り、下記参照)を取り付け可能です。スプリッタは標準品として、FC/PCまたはFC/APCコネクタ(2.0 mmナローキー)付きでご提供しています。 各スプリッタにはファイバーキャップも5個付属します。ファイバはØ900 µmのHytrel®*チューブで被覆されており、ファイバ長は0.8 mです。
カスタム仕様および組み込み用途(OEM用途)向けファイバースプリッタ
当社のスプリッタは当社の北米にある製造施設で製造しており、設計チームによるカスタムソリューションをご提供可能です。波長範囲、ファイバ種類、分岐比、ポートの構成、アライメント軸や筐体がカスタム仕様のスプリッタに対応いたします。また各スプリッタには検査データシートをご提供しています。お問い合わせやご相談は当社までご連絡ください。
*Hytrel®はDuPont Polymers社の登録商標です。
Alternative Fiber Coupler & Splitter Options | |||||||||||||
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Double-Clad Couplers | Single Mode Couplers | Single Mode PLC Splitters | Multimode Couplers | Polarization-Maintaining Couplers | Polarization-Maintaining PLC Splitters | Wavelength Division Multiplexers (WDM) | |||||||
2x2 | 1x2 | 2x2 | 1x4 | 1x8 | 1x16 | 1x2 | 2x2 | 1x2 | 2x2 | 1x4 | 1x8 | 1x16 |
1×4 PLC型スプリッタの仕様
このタブでは、1×4プレーナ光導波路スプリッタの主な仕様について説明します。これらのデバイスは入力信号を4個の出力ポートに均等に分岐する導波路型スプリッタです。このスプリッタはコンバイナとしてのご利用はお勧めしておりません。光の分岐にのみお使いください。異なる波長の光を合波させる場合には、波長分割多重(WDM)カプラをご用意しております。
過剰損失
過剰損失(dB)は、全入力パワーと全出力パワーの比で決まります。
ここで、Pinputは入力パワー、Pport1+Pport2+Pport3+Pport4は全出力パワーです。全てのパワーの単位はmWです。
挿入損失
挿入損失は、デバイスへの入力パワーと各ポートの出力パワーとの比で定義されます。挿入損失は常にデシベル(dB)で表されます。一般的に挿入損失は以下の式で定義されます。
ここで、Pin は入力パワー(mW)、Poutは出力パワー(mW)です。 1x4スプリッタの場合、挿入損失値は各出力ポートごとに仕様として規定されています。特定の出力ポートの挿入損失は、Port 1やPort 2を例にすると、以下の式で表されます。
挿入損失には本質的に分岐分(他の出力ポートに伝達される光)と過剰損失(スプリッタで失われる光)の両方の影響が含まれます。出力ポートごとに許容される最大挿入損失が仕様として規定されています。しかし、それぞれの出力ポートの挿入損失は他の出力ポートに分岐された光と相関しているため、すべての出力ポートで同時に最大挿入損失となることはありません。
挿入損失のdBm単位での計算
挿入損失は、dBmの単位で表された光パワーからも簡単に求められます。下の式はmWとdBmで表された光パワー間の関係です。
これより、dBで表される挿入損失は以下の式で求められます。
光反射減衰量(ORL)
光反射減衰量(ORL)は、反射より部品の入力ポートに戻る光のことです。
分岐比
挿入損失(dB)は入力パワーと各分岐からの出力パワーの比で表され、波長の関数になります。これには分岐の影響と過剰損失が含まれています。分岐比は挿入損失の測定値から算出されます。分岐比(%)は、1つの出力ポートからの光パワーと、すべての出力ポートからの光パワーの合計との比で定義され、これも波長の関数になります。水の吸収帯域などのスペクトル特性に関わる影響は、すべての分岐で等しいため、分岐比には影響しません。
均一性
均一性も、分岐比と同様に挿入損失の測定値から算出されます。均一性とは、仕様帯域幅内での挿入損失の変動量(dB)で、波長に依存します。仕様のスペクトル範囲において、挿入損失がどれだけ均一であるかを表す尺度です。均一性は、1つの出力端における規定波長での挿入損失と、同じ出力端における仕様波長範囲での最大挿入損失との差の絶対値、または規定波長での挿入損失と最小挿入損失との差の絶対値のうち大きな方として定義されます。
Item #a | Description | Qty. |
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Light Source (Not Shown) | ||
S5FC1005P | PM Benchtop SLD Source, 1550 nm | 1 |
P1-1550PM-FC-1 | Patch Cable, FC/PC, 1550 nm, PM Panda Style, 1 m | 1 |
Linear Polarizer Module | ||
PAF-X-11-PC-Cb | FiberPort, FC/PC, 1050 nm - 1620 nm | 2 |
CP08FP(/M) | Cage Plates for Mounting FiberPorts | 2 |
LPNIR050-MP2 | Linear Polarizer | 1 |
CRM1P(/M) | Cage Rotation Mount | 1 |
SM1A6T | Adapter with External SM1 Threads and Internal SM05 Threads | 1 |
ER2-P4 | 2" (50.8 mm) Long Cage Rods, 4 Pack | 1 |
Analyzer Module | ||
PAF-X-11-PC-Cb | FiberPort, FC/PC, 1050 nm - 1620 nm | 1 |
CP08FP(/M) | Cage Plates for Mounting FiberPorts | 1 |
LPNIR050-MP2 | Linear Polarizer | 1 |
CRM1P(/M) | Cage Rotation Mount | 1 |
SM1A6T | Adapter with External SM1 Threads and Internal SM05 Threads | 1 |
CP33(/M) | SM1-Threaded (1.035"-40) Cage Plate | 1 |
PM122D | Digital Power Meter, 700 - 1800 nm | 1 |
ER2-P4 | 2" (50.8 mm) Long Cage Rods, 4 Pack | 1 |
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1550 nmPMカプラの消光比を測定するための
セットアップ
偏波消光比(PER)の測定
偏波消光比(PER)は、偏波保持(PM)ファイバまたは装置の、異なる偏光軸間におけるクロスカップリングを抑える能力を表す値です。熱、屈曲、引っ張りなどによるファイバ内部へのストレスはPERを変化させます。
ファイバーカプラ内のPER測定には2通りの方法があります。 最も一般的なのは、低コヒーレンス(非偏光または円偏光)で広帯域な光源、および直線偏光子とパワーメータを用いて消光比を測定する方法です。もう1つは、高コヒーレンスで狭帯域な光源を使用して、偏光計によりPERを測定する方法です。
当社では、プレミアムタイプのPMファイバーカプラの消光比測定には、上記のパワーメータを用いた方法を適用しています。パワーメータのセットアップ例は右の写真ならびに表をご覧ください。広帯域光源からの光を直線偏光子モジュールに入射させ、カプラに入射する偏光状態を設定します。ファイバの一端から入射した光はアナライザーモジュールに送られ、モジュール内の偏光子とパワーメータによって出力光が測定されます。 このアナライザーモジュールの代わりに 消光比メータを使用することも可能です。
PERは以下の手順で測定します。
テスト手順
- PMカプラのファイバ端面を測定用セットアップに接続する準備
- 素線のファイバ端は、被覆を除去してクリーブします。その際は、BFT1のようなファイバ素線ターミネータを使用して一時的な終端処理を行ってください。
- 終端処理されたファイバ端をクリーニングし、コネクタ端面を検査します。
- 測定を行わないファイバには光ファイバーターミネータを取り付けます。
- パワーメータの測定値が最小パワーとなるように、直線偏光子モジュールおよびアナライザーモジュール内の偏光子を調整します。 この測定値をPminとして記録します。
- アナライザの回転マウントを90°回転させます。その際の測定値をPmaxとして記録します。
PminならびにPmaxを測定したら、下の公式を用いて消光比を算出できます。
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標準のPMファイバーカプラPN1550R5A1を使用した7時間の温度サイクルテストでは、White-White、White-Redで測定されたPERが広い温度範囲にわたってほぼ一定であったことを示しています。
White-Whiteを通ると信号出力、
White-Redではタップ出力となります。
温度サイクルテスト
氷点下でPMカプラを使用するとカプラ筐体に使用されている接着剤が収縮するため、通常、PER性能は低下します。これは、接着剤の収縮によってカプラ内の光の偏光状態が乱されるために起こります。軟性接着剤を用いることで低温環境での操作による影響を軽減できますが、高温環境においては信頼性の問題が発生します。接着剤は高温で恒久的に軟化し、カプラの光学特性を変化させてしまいます。
当社のPMカプラは、独自のパッケージング工程や設計を採用し、非常に広い動作温度範囲(-40 °C~85 °C)にわたってもPERおよびその他の光学特性を著しく変化させることがない接着剤を厳選しています。
Quick Links |
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Damage at the Air / Glass Interface |
Intrinsic Damage Threshold |
Preparation and Handling of Optical Fibers |
レーザによる石英ファイバの損傷
このチュートリアルではコネクタ無し(素線)ファイバ、コネクタ付きファイバ、およびレーザ光源に接続するその他のファイバ部品に関連する損傷メカニズムを詳しく説明しています。そのメカニズムには、空気/ガラス界面(自由空間結合時、またはコネクタ使用時)ならびにファイバ内における損傷が含まれます。ファイバ素線、パッチケーブル、または溶融型カプラなどのファイバ部品の場合、損傷につながる複数の可能性(例:コネクタ、ファイバ端面、機器そのもの)があります。ファイバが対処できる最大パワーは、常にそれらの損傷メカニズムの中の最小の限界値以下に制限されます。
損傷閾値はスケーリング則や一般的なルールを用いて推定することはできますが、ファイバの損傷閾値の絶対値は利用方法やユーザ定義に大きく依存します。このガイドは、損傷リスクを最小に抑える安全なパワーレベルを推定するためにご利用いただくことができます。適切な準備と取扱い方法に関するガイドラインにすべて従えば、ファイバ部品は規定された最大パワーレベルで使うことができます。最大パワーの値が規定されていない場合は、部品を安全に使用するために下表の「実用的な安全レベル」の範囲に留めてご使用ください。 パワー処理能力を低下させ、ファイバ部品に損傷を与える可能性がある要因は、ファイバ結合時のミスアライメント、ファイバ端面の汚れ、あるいはファイバそのものの欠陥などですが、これらに限られるわけではありません。特定の用途におけるファイバのパワー処理能力に関するお問い合わせは当社までご連絡ください。
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損傷のないファイバ端
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損傷のあるファイバ端
空気/ガラス界面における損傷
空気/ガラス界面ではいくつかの損傷メカニズムが存在する可能性があります。自由空間結合の時、またはコネクタで2本のファイバを結合した時、光はこの界面に入射します。高強度の光は端面を損傷し、ファイバのパワー処理能力の低下や恒久的な損傷につながる場合があります。コネクタ付きのファイバで、コネクタがエポキシ接着剤でファイバに固定されている場合、高強度の光によって発生した熱により接着剤が焼けて、ファイバ端面に残留物が残る可能性があります。
Estimated Optical Power Densities on Air / Glass Interfacea | ||
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Type | Theoretical Damage Thresholdb | Practical Safe Levelc |
CW (Average Power) | ~1 MW/cm2 | ~250 kW/cm2 |
10 ns Pulsed (Peak Power) | ~5 GW/cm2 | ~1 GW/cm2 |
ファイバ素線端面での損傷メカニズム
ファイバ端面での損傷メカニズムはバルクの光学素子の場合と同様なモデル化ができ、UV溶融石英(UVFS)基板の標準的な損傷閾値を石英ファイバに当てはめることができます。しかしバルクの光学素子とは異なり、光ファイバの空気/ガラス界面においてこの問題に関係する表面積やビーム径は非常に小さく、特にシングルモードファイバの場合はそれが顕著です。 パワー密度が与えられたとき、ファイバに入射するパワーは、小さいビーム径に対しては小さくする必要があります。
右の表では光パワー密度に対する2つの閾値が記載されています。理論的な損傷閾値と「実用的な安全レベル」です。一般に、理論的損傷閾値は、ファイバ端面の状態も結合状態も非常に良いという条件で、損傷のリスク無しにファイバの端面に入射できる最大パワー密度の推定値を表しています。「実用的な安全レベル」のパワー密度は、ファイバ損傷のリスクが極めて小さくなる値を示しています。ファイバまたはファイバ部品をこの実用的な安全レベルを超えて使用することは可能ですが、その時は取扱い上の注意事項を適切に守り、使用前にローパワーで性能をテストする必要があります。
シングルモードの実効面積の計算
シングルモードファイバの実効面積は、モードフィールド径(MFD)、すなわちファイバ内の光が伝搬する部分の断面積によって定義されます。この面積にはファイバのコアとクラッドの一部が含まれます。シングルモードファイバとの結合効率を良くするためには、入射ビーム径をファイバのモードフィールド径に合致させなければなりません。
例として、シングルモードファイバSM400を400 nmで使用した時のモードフィールド径(MFD)は約Ø3 µmで、SMF-28 Ultraを1550 nmで使用したときのモードフィールド径(MFD)はØ10.5 µmです。これらのファイバの実効面積は下記の通り計算します。
SM400 Fiber: Area = Pi x (MFD/2)2 = Pi x (1.5 µm)2 = 7.07 µm2 = 7.07 x 10-8 cm2
SMF-28 Ultra Fiber: Area = Pi x (MFD/2)2 = Pi x (5.25 µm)2 = 86.6 µm2 = 8.66 x 10-7 cm2
ファイバ端面が対応できるパワーを推定するには、パワー密度に実効面積を乗じます。なおこの計算は均一な強度プロファイルを想定しています。しかしほとんどのレーザービームでは、シングルモード内でガウス分布を示すため、ビームの端よりも中央のパワー密度が高くなります。よって、これらの計算は損傷閾値または実用的安全レベルに対応するパワーとは若干異なることを考慮する必要があります。連続光源を想定して上記のパワー密度の推定値を使用すると、それぞれのパワーは下記のように求められます。
SM400 Fiber: 7.07 x 10-8 cm2 x 1 MW/cm2 = 7.1 x 10-8 MW = 71 mW (理論的損傷閾値)
7.07 x 10-8 cm2 x 250 kW/cm2 = 1.8 x 10-5 kW = 18 mW (実用的な安全レベル)
SMF-28 Ultra Fiber: 8.66 x 10-7 cm2 x 1 MW/cm2 = 8.7 x 10-7 MW = 870 mW (理論的損傷閾値)
8.66 x 10-7 cm2 x 250 kW/cm2 = 2.1 x 10-4 kW = 210 mW (実用的な安全レベル)
マルチモードの実効面積
マルチモードファイバの実効面積は、そのコア径によって定義されますが、一般にシングルモードファイバのMFDよりもはるかに大きくなります。当社では最適な結合を得るためにコア径のおよそ70~80%にビームを集光することをお勧めしています。マルチモードファイバでは実効面積が大きくなるほどファイバ端面でのパワー密度は下がるので、より大きな光パワー(通常キロワットオーダ)を入射しても損傷は生じません。
フェルール・コネクタ付きファイバに関する損傷メカニズム
コネクタ付きシングルモード石英ファイバに入力可能なパワー処理限界値(概算)を示したグラフ。各線はそれぞれの損傷メカニズムに応じたパワーレベルの推定値を示しています。 入力可能な最大パワーは、損傷メカニズムごとに制限されるパワーのうちの一番小さな値(実線で表示)によって制限されます。
コネクタ付きファイバのパワー処理能力に関しては、ほかにも考慮すべき点があります。ファイバは通常、エポキシ接着剤でセラミック製またはスチール製のフェルールに取り付けられています。光がコネクタを通してファイバに結合されると、コアに入射せずにファイバを伝搬する光は散乱されてファイバの外層からフェルール内へ、さらにフェルール内でファイバを保持する接着剤へと伝搬します。光の強度が大きいとエポキシ接着剤が焼け、それが蒸発して残留物がコネクタ端面に付着します。これによりファイバ端面に局所的に光を吸収する部分ができ、それに伴って結合効率が減少して散乱が増加するため、さらなる損傷の原因となります。
エポキシ接着剤に関連する損傷は、いくつかの理由により波長に依存します。一般に、光の散乱は長波長よりも短波長で大きくなります。短波長用のMFDの小さなシングルモードファイバへの結合時には、ミスアライメントに伴ってより多くの散乱光が発生する可能性があります。
エポキシ樹脂が焼損するリスクを最小に抑えるために、ファイバ端面付近のファイバとフェルール間にエポキシ接着剤の無いエアギャップを有するファイバーコネクタを構築することができます。当社の高出力用マルチモードファイバーパッチケーブルでは、このような設計のコネクタを使用しております。
複数の損傷メカニズムがあるときのパワー処理限界値を求める方法
ファイバーケーブルまたはファイバ部品において複数の損傷要因がある場合(例:ファイバーパッチケーブル)、入力可能なパワーの最大値は必ずファイバ部品構成要素ごとの損傷閾値の中の一番小さな値により決まります。この値が一般的にはパッチケーブルの端面に入射可能な最大のパワーを表します(出力パワーではありません)。
右のグラフは、シングルモードパッチケーブルにおけるファイバ端面での損傷とコネクタでの損傷に伴うパワー処理限界の推定値を例示しています。 ある波長におけるコネクタ付きファイバの総合的なパワー処理限界値は、その波長に対する2つの制限値の小さい方の値(実線)によって制限されます。488 nm付近で使用しているシングルモードファイバは主にファイバ端面の損傷(青い実線)によって制限されますが、1550 nmで使用しているファイバはコネクタの損傷(赤い実線)によって制限されます。
マルチモードファイバの実効面積はコア径で定義され、シングルモードファイバの実効面積より大きくなります。その結果、ファイバ端面のパワー密度が小さくなり、大きな光パワー(通常キロワットオーダ)を入射してもファイバに損傷は生じません(グラフには表示されていません)。しかし、フェルール・コネクタの損傷による限界値は変わらないため、マルチモードファイバが処理できる最大パワーはフェルールとコネクタによって制限されることになります。
上記の値は、取り扱いやアライメントが適切で、それらによる損傷が生じない場合のパワーレベルです。また、ファイバはここに記載されているパワーレベルを超えて使用されることもあります。しかし、そのような使い方をする場合は一般に専門的な知識が必要で、まずローパワーでテストして損傷のリスクを最小限に抑える必要があります。その場合においても、ハイパワーで使用するファイバ部品は消耗品と捉えた方が良いでしょう。
ファイバ内の損傷閾値
空気/ガラス界面で発生する損傷に加え、ファイバのパワー処理能力はファイバ内で発生する損傷メカニズムによっても制限されます。この制限はファイバ自体が本質的に有するもので、すべてのファイバ部品に適用されます。ファイバ内の損傷は、曲げ損失による損傷とフォトダークニングによる損傷の2つに分類されます。
曲げ損失
ファイバが鋭く曲げられると、コア内を伝搬する光がコア/クラッド界面において反射する際に、その反射角が全反射臨界角よりも大きくなります。曲げ損失は、このように内部全反射ができなくなることにより生じる損失です。このような状況下では、光はファイバから局所的に漏れだします。漏れる光のパワー密度は一般に大きく、ファイバのコーティングや補強チューブが焼損する可能性があります。
特殊ファイバに分類されるダブルクラッドファイバは、コアに加えてファイバのクラッド(2層目)も導波路として機能するため、曲げ損失による損傷のリスクが抑えられます。クラッドと被覆の界面の臨界角をコアとクラッドの界面の臨界角より大きくすることで、コアから漏れた光はクラッド内に緩く閉じ込められます。その後、光はセンチメートルからメートルオーダーの距離に渡って漏れ出しますが、局所的ではないため損傷リスクは最小に留められます。当社ではメガワットレベルの大きなパワーにも対応するNA 0.22のダブルクラッドマルチモードファイバを製造、販売しております。
フォトダークニング
もう1つのファイバ内の損傷メカニズムとして、特にコアにゲルマニウムが添加されたファイバをUVや短波長の可視光で使用した時に起こるフォトダークニングまたはソラリゼーションがあります。これらの波長で使用されたファイバは時間の経過とともに減衰量が増加します。 フォトダークニングが発生するメカニズムはほとんど分かっていませんが、その現象を緩和するファイバはいくつか開発されています。例えば、水酸イオン(OH)が非常に低いファイバはフォトダークニングに耐性があることが分かっています。またフッ化物などのほかの添加物もフォトダークニングを低減させる効果があります。
しかし、上記の対応をとったとしても、UV光や短波長に使用したファイバはいずれフォトダークニングが生じます。よってこれらの波長で使用するファイバは消耗品としてお考えください。
光ファイバの準備ならびに取扱い方法
一般的なクリーニングならびに操作ガイドライン
この一般的なクリーニングならびに操作ガイドラインはすべてのファイバ製品向けにお勧めしております。さらに付属資料やマニュアルに記載された個々の製品に特化したガイドラインも遵守してください。損傷閾値の計算は、すべてのクリーニングおよび取扱い手順に適切に従ったときにのみ適用することができます。
(コネクタ付き、またはファイバ素線に関わらず)ファイバを設置または組み込む前に、すべての光源はOFFにしてください。これにより、損傷の可能性のあるコネクタまたはファイバの脆弱な部分に集光されたビームが入射しないようにすることができます。
ファイバやコネクタ端面の品質がファイバのパワー処理能力に直結します。ファイバを光学系に接続する前に必ずファイバ端を点検してください。端面はきれいで、入射光の散乱を招く汚れや汚染物質があってはなりません。ファイバ素線は使用前にクリーブし、クリーブの状態が良好であることを確認するためにファイバ端面の点検をしてください。
ファイバを光学系に融着接続する場合、ハイパワーで使用する前にまずローパワーで融着接続の状態が良いことを確認してください。融着接続の品質が良くないと接続面での散乱が増え、ファイバ損傷の原因となる場合があります。
システムのアライメントや光結合の最適化などの作業はローパワーで行ってください。これによりファイバの(コア以外の)他の部分の露光が最小に抑えられます。ハイパワーのビームがクラッド、被覆またはコネクタに集光された場合、散乱光による損傷が発生する可能性があります。
ハイパワーでファイバを使用するための要点
光ファイバやファイバ部品は一般には安全なパワー限界値内で使用する必要がありますが、アライメントや端面のクリーニングがとても良い理想的な条件下では、ファイバ部品のパワー限界値を上げることができる場合があります。入力または出力パワーを増加させる前に、システム内のファイバ部品の性能と安定性を確認し、またすべての安全ならびに操作に関する指示に従わなければなりません。下記はファイバ内またはファイバ部品内の光パワーをの増大させること加を検討していするときに役立つご提案です。
ファイバースプライサを使用してファイバ部品をシステムに融着接続すると、空気/ファイバ界面での損傷の可能性を最小化できます。品質の高い融着接続が実現されるよう、すべて適切なガイドラインに則って実施する必要があります。融着接続の状態が悪いと、散乱や融着接続面での局所的な加熱などが発生し、ファイバを損傷する可能性があります。
ファイバまたはファイバ部品の接続後、ローパワーでシステムのテストやアライメントを実施してください。システムパワーを必要な出力パワーまで徐々に上昇させ、その間、定期的にすべての部品が適切にアライメントされ、結合効率が入力パワーによって変動していないことを確認します。
ファイバを鋭く曲げると曲げ損失が発生し、ファイバのストレスを受けた部分から光が漏れる可能性があります。ハイパワーで使用している時は、大量の光が小さな局所領域(歪みのある領域)から流出すると局所的に加熱され、ファイバが損傷する可能性があります。使用中はファイバの曲げが生じないよう配慮し、曲げ損失を最小限に抑えてください。
また、用途に適したファイバを選ぶことも損傷防止に役立ちます。例えば、ラージモードエリアファイバは、標準的なシングルモードファイバをハイパワー光用として用いる場合の良い代替品となります。優れたビーム品質を有しながらMFDも大きいため、空気/ファイバ界面でのパワー密度は小さくなります。
ステップインデックスシングルモード石英ファイバは、一般にUV光やピークパワーの大きなパルス光には使用しませんが、これはその用途に伴う空間パワー密度が大きいためです。
Posted Comments: | |
Doug Bopp
 (posted 2023-08-20 12:58:23.52) Hello,
Are these 1x4 PM FC/APC devices available for custom order for 780 nm?
Best,
Doug ksosnowski
 (posted 2023-08-21 04:07:54.0) Hello Doug, thanks for reaching out to Thorlabs. I've reached out directly to discuss possibilities of offering this wavelength option as a custom item. For these requests we recommend contacting techsupport@thorlabs.com directly. |
Item # | Info | Center Wavelength | Bandwidth | Coupling Ratioa (Click for Plot) | Extinction Ratiob | Insertion Lossa | Uniformitya | Fiberc,d | Terminatione |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
TPQ1315HF | 1310 nm / 1550 nm | ±40 nm | 25:25:25:25 | ≥18.0 dB (Typ.) | ≤7.5 dB (Each Output Port) | ≤0.4 dB | Equivalent to PM 15-U25D | FC/PC | |
TPQ1315HA | FC/APC |
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ベースFCQBは、当社のWDMカプラ、1x4カプラ、スプリッタなどが納められている赤いパッケージ(上記参照)用に設計されています。
- 以下の製品用の取付けベースです。
- 3波長WDMカプラ
- 1x4カプラ
- 1x4、1x8または1x16スプリッタ
- 4個のM2タップ穴で光ファイバーコンポーネント用筐体の取付け
- 長さ57.2 mmの貫通スロットはM6ネジに対応
- 取付け用M2ネジが4本付属
取付けベースFCQBにはM6キャップスクリュに対応する長さ57.2 mmの貫通スロットが2つあり、光学テーブルなどのタップ穴のある表面に固定できます。 貫通スロットは取付けベースの両端に付いており、その間隔は101.6 mmです。貫通スロットの間にある4つのM2タップ穴の配置は、当社の3波長WDMカプラ, 1x4 SMカプラ、1x4 PM スプリッタ、1x8 SMスプリッタ、1x8 PMスプリッタ、1x16 SMスプリッタ、または1x16 PMスプリッタの貫通穴の配置と一致しています。取付け用の4本のM2ネジは付属しています。