1x2ハイパワー対応融着型シングルモード光ファイバーカプラー(タップ)、970~1070 nm
- 50 W Power Handling
- 970 - 1070 nm Operating Range
- 30 dB, 40 dB, and 50 dB Tap Ratios
- 1x2 Port Configuration
HPCR6
High Power, 1x2 Coupler, 30 dB Tap Ratio
Split Signals with 1x2 ConfigurationPlease Wait
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各カプラには型番とシリアルナンバ、そして入出力ポートに主な仕様が刻印されています。出力側のタップは識別しやすいように赤色の印が付いています。
特長
- 動作波長範囲: 970~1070 nm
- 高出力増幅器および高出力レーザをモニタ可能な50 Wのパワーハンドリング
- Nd:YAGおよびイッテルビウム添加ファイバーレーザに対応
- 30 dB、40 dB、50 dBタップ付きの1x2カプラ
- ファイバ:長さ0.8 m (公差+0.075 m / -0.0 m)
- クリーブおよび融着接続用シザーカット端
- 各カプラには個別の検査データシートをご提供。サンプルはこちらからご覧いただけます。
- 波長やタップのカスタマイズについては当社 までお問い合わせください。
当社のシングルモードの高出力光ファイバーカプラ(タップ)は1 µm周辺において幅広い透過スペクトル領域を有します。1x2カプラは30 dB、40 dB、50 dBの3種類のタップからお選びいただけます。タップの分岐比は、White Port(信号出力)とRed Port(タップ出力)の光出力の比になります。これらのカプラの最大入力パワー(トータル)は、融着接続後では50 Wとなります(詳細は「損傷閾値」タブをご参照ください)。ハイパワーで使用するときのカプラの性能と信頼性は、実際のセットアップでの使用状況によって決まります。詳細については当社までお問い合わせください。
両端のファイバの長さは0.8 mで、端部はシザーカットされ、コネクタは付いていません。筐体には製品型番、タップの分岐比、そして入出力側をそれぞれ示すInputとOutputの文字が刻印されています。各カプラには性能データを含む個別の検査データシートをご提供しています。こちらのカプラは入力ポートから入った光を2つの出力ポートに分岐させる用途向けに設計され、テストされています。双方向性はないのでビームコンバイナの用途にはお勧めいたしません。 必須というわけではありませんが、必要に応じてこれらのタップに適切なサイズのヒートシンクを十分な熱接触により使用することで、さらに安定動作が得られます。
1x2カプラの使用されないポートは筐体内部で終端処理され、後方反射を抑えています。その他詳細については、「1x2カプラのチュートリアル」タブをご覧ください。
カスタム仕様および組み込み用途(OEM用途)向けファイバーカプラ
当社のカプラは当社の北米にある製造施設で製造しており、設計チームによるカスタムソリューションをご提供可能です。波長範囲、ファイバ種類、分岐比、ポートの構成や筐体がカスタム仕様のカプラに対応いたします。また各カプラには検査データシートをご提供しています。お問い合わせやご相談は当社 までご連絡ください。
Alternative Fiber Coupler & Splitter Options | ||||||||||||
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Double-Clad Couplers | Single Mode Couplers | Single Mode PLC Splitters | High-Power SM Couplers | Multimode Couplers | Polarization-Maintaining Couplers | Wavelength Division Multiplexers (WDM) | ||||||
2x2 | 1x2 | 2x2 | 1x4 | 1x8 | 1x16 | 1x2 | 2x2 | 1x2 | 2x2 | 1x2 | 2x2 |
1x2溶融型光ファイバーカプラの仕様の定義
このタブでは、1x2カプラの主な仕様項目に関する定義について説明します。 1x2カプラは2x2光ファイバーカプラと同様の工程で製造されますが、第2の入力ポートは後方反射を最小に抑える当社独自の方法によって内部で終端処理されています。 1x2カプラは光コンバイナの用途にはお勧めしておりません。光を分岐する場合にのみお使いください。 異なる波長の光を結合させる用途には、シングルモードの波長分割多重(WDM)カプラをご用意しております。 1x2カプラのポートは下の図のような構成になっています。
過剰損失
過剰損失(dB)は、全出力パワーの全入力パワーに対する比で決まります。
Pport1は、Port 1の入力パワー、Pport2+Pport3はPorts 2と3の出力パワーの合計です。パワーの単位は全てmWです。
偏波依存性損失(PDL)
偏波依存性損失は、偏光状態によって変化した透過率の最大値と最小値の比率と定義されます。この仕様値は、偏光を維持するよう設計されていなカプラのみに適用します。PDLは常にdB単位で表し、下記の式で求めることができます。
このときPmax は、すべての偏光状態を走査したときのカプラの透過率の最大値です。Pminは同じく偏光を走査した時の最小の透過率です。
光反射減衰量(ORL)/ダイレクティビティ
ダイレクティビティは、ポート1を入力部として使用した際に、カプラ内部で終端処理されたファイバ端で損失する入射光の割合として規定されます。 以下の式を用いて計算し、dBで表します。
Pport1ならびにPport1bは、それぞれPort 1ならびに内部で終端処理されたファイバでの光パワー(mW)です。 この出力パワーはカプラの分岐部における後方反射によるもので、Port 2と3の出力側のロスに相当します。50:50のカプラにおけるダイレクティビティは、光反射減衰量(ORL)と等しくなります。
挿入損失
挿入損失は、カプラのどちらかの出力ポート(信号またはタップ)からの出力パワーに対する、入力パワーの比として定義されます。 挿入損失は常にデシベル(dB)で表します。 一般的に以下の式で定義されます。
ここで、Pinは入力パワー(mW)、Poutは出力パワー(mW)です。 当社の1x2カプラは、信号出力、タップ出力両方の仕様値を規定しています。仕様書には常に信号出力の挿入損失が先に記載されています。 特定の出力(Port 2またはPort 3)の挿入損失は以下の式で定義します。
挿入損失には分岐の影響(例:ほかの出力ポートに伝達される光)と過剰損失(例:カプラから失われる光)の両方が含まれます。各出力ポート(信号出力とタップ出力)ごとに許容される最大挿入損失は規定されています。しかしそれぞれの出力ポートの挿入損失は、ほかの出力ポートに分岐した光と相関しているため、両方の出力ポートで同時に最大挿入損失に達することはありません。
挿入損失のdBm単位での計算
挿入損失は、dBmの単位で表した光パワーでも簡単に求められます。 下の式はmWならびにdBmで表した光パワー間の関係です。
従って、dBで表す挿入損失は、以下の式で求められます。
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分岐比計算結果のグラフ表示
分岐比
挿入損失(dB)はカプラの各分岐からの出力パワーに対する入力パワーの比ですが、ここでは波長の関数として表しています。 これには分岐の影響と過剰損失値が含まれています。 分岐比は挿入損失の測定値から算出します。 分岐比(%)は各出力ポート(ポート2および3)からの光パワーの、両方の出力ポートからの光パワーの合計に対する比で、これも波長の関数として表しています。 経路Aは、ポート1からポート2へ伝播する光を表し、経路Bはポート1からポート3へ伝播する光を表します。 水の吸収帯域などのスペクトル特性については、どちらの分岐も等しく影響を受けるため、分岐比には影響が現れません。
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均一性計算結果のグラフ表示
均一性
均一性も、分岐比と同様に挿入損失の測定値から算出できます。 均一性とは規定の帯域における挿入損失の変化量(dB)のことです。 規定のスペクトル領域において、挿入損失がどれだけ均一に分布しているかを表す尺度です。 経路Aの均一性は、挿入損失の最大値と赤い実線で示された挿入損失曲線(上のグラフ参照)との差になります。 経路Bの均一性は、青い実線で示された挿入損失曲線と挿入損失の最小値の差になります。
ステップ1
カプラの1本目の分岐(経路A)となるファイバの一方に光源を接続し、もう一方はスイッチに接続します。このスイッチには光スペクトラムアナライザ(OSA)が接続されています。
ステップ2
ファイバおよびスイッチを通過した光源のスペクトルをOSAで測定し、ゼロ調整をします。
ステップ3
2本目の分岐(経路B)となるファイバの一方に光源を接続し、もう一方はスイッチの2番目のポートに接続します。このスイッチにはOSAが接続されています。 ファイバおよびスイッチを通過した光源のスペクトルを同様に測定し、ゼロ調整をします。
ステップ4
2本のファイバは製造ステーションで溶融結合し、カプラ構成となります。 この溶融結合過程において、カプラの両端からの出力はOSAでモニタされます。 カプラの分岐比や過剰損失、挿入損失の値が求められた仕様値に達した時点で溶融結合を中止します。
1x2カプラでは、ファイバ端のいずれか一方がカプラの筐体内部で終端処理されています。終端処理は出力からの後方反射を抑えるように施されています。
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挿入損失(dB)は、入力パワーに対するカプラの各分岐部分からの出力パワーの波長毎の比を表しています。 これにより分岐比と過剰損失が得られます。 分岐比は挿入損失の測定値から算出します。 分岐比(%)は各出力ポート(AおよびB)からの光パワーと両方の出力ポートからの光パワーの合計との比を波長毎に表したものです。 どちらの分岐部分も等しく影響を受けるため、吸水域などのスペクトル特性の影響は受けません。 当社の広帯域カプラの分岐比のグラフをご覧になるには、下の表のInfoアイコンをクリックしてください。
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均一性 も同様に挿入損失の測定値から算出できます。 均一性とは規定の帯域における挿入損失の変化量(dB)のことです。 規定のスペクトル領域において、挿入損失がどれだけ均一に分布しているかを表す尺度です。 経路A の均一性は、挿入損失の最大値と赤い実線で示された挿入損失曲線(上のグラフ参照)との差になります。 経路B の均一性は、青い実線で示された挿入損失曲線と挿入損失の最小値の差になります。 広帯域カプラの均一性を表すグラフをご覧になるには、下の表のInfoアイコンをクリックしてください。
Quick Links |
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Damage at the Air / Glass Interface |
Intrinsic Damage Threshold |
Preparation and Handling of Optical Fibers |
レーザによる石英ファイバの損傷
このチュートリアルではコネクタ無し(素線)ファイバ、コネクタ付きファイバ、およびレーザ光源に接続するその他のファイバ部品に関連する損傷メカニズムを詳しく説明しています。そのメカニズムには、空気/ガラス界面(自由空間結合時、またはコネクタ使用時)ならびにファイバ内における損傷が含まれます。ファイバ素線、パッチケーブル、または溶融型カプラなどのファイバ部品の場合、損傷につながる複数の可能性(例:コネクタ、ファイバ端面、機器そのもの)があります。ファイバが対処できる最大パワーは、常にそれらの損傷メカニズムの中の最小の限界値以下に制限されます。
損傷閾値はスケーリング則や一般的なルールを用いて推定することはできますが、ファイバの損傷閾値の絶対値は利用方法やユーザ定義に大きく依存します。このガイドは、損傷リスクを最小に抑える安全なパワーレベルを推定するためにご利用いただくことができます。適切な準備と取扱い方法に関するガイドラインにすべて従えば、ファイバ部品は規定された最大パワーレベルで使うことができます。最大パワーの値が規定されていない場合は、部品を安全に使用するために下表の「実用的な安全レベル」の範囲に留めてご使用ください。 パワー処理能力を低下させ、ファイバ部品に損傷を与える可能性がある要因は、ファイバ結合時のミスアライメント、ファイバ端面の汚れ、あるいはファイバそのものの欠陥などですが、これらに限られるわけではありません。特定の用途におけるファイバのパワー処理能力に関するお問い合わせは当社までご連絡ください。
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損傷のないファイバ端
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損傷のあるファイバ端
空気/ガラス界面における損傷
空気/ガラス界面ではいくつかの損傷メカニズムが存在する可能性があります。自由空間結合の時、またはコネクタで2本のファイバを結合した時、光はこの界面に入射します。高強度の光は端面を損傷し、ファイバのパワー処理能力の低下や恒久的な損傷につながる場合があります。コネクタ付きのファイバで、コネクタがエポキシ接着剤でファイバに固定されている場合、高強度の光によって発生した熱により接着剤が焼けて、ファイバ端面に残留物が残る可能性があります。
Estimated Optical Power Densities on Air / Glass Interfacea | ||
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Type | Theoretical Damage Thresholdb | Practical Safe Levelc |
CW (Average Power) | ~1 MW/cm2 | ~250 kW/cm2 |
10 ns Pulsed (Peak Power) | ~5 GW/cm2 | ~1 GW/cm2 |
ファイバ素線端面での損傷メカニズム
ファイバ端面での損傷メカニズムはバルクの光学素子の場合と同様なモデル化ができ、UV溶融石英(UVFS)基板の標準的な損傷閾値を石英ファイバに当てはめることができます。しかしバルクの光学素子とは異なり、光ファイバの空気/ガラス界面においてこの問題に関係する表面積やビーム径は非常に小さく、特にシングルモードファイバの場合はそれが顕著です。 パワー密度が与えられたとき、ファイバに入射するパワーは、小さいビーム径に対しては小さくする必要があります。
右の表では光パワー密度に対する2つの閾値が記載されています。理論的な損傷閾値と「実用的な安全レベル」です。一般に、理論的損傷閾値は、ファイバ端面の状態も結合状態も非常に良いという条件で、損傷のリスク無しにファイバの端面に入射できる最大パワー密度の推定値を表しています。「実用的な安全レベル」のパワー密度は、ファイバ損傷のリスクが極めて小さくなる値を示しています。ファイバまたはファイバ部品をこの実用的な安全レベルを超えて使用することは可能ですが、その時は取扱い上の注意事項を適切に守り、使用前にローパワーで性能をテストする必要があります。
シングルモードの実効面積の計算
シングルモードファイバの実効面積は、モードフィールド径(MFD)、すなわちファイバ内の光が伝搬する部分の断面積によって定義されます。この面積にはファイバのコアとクラッドの一部が含まれます。シングルモードファイバとの結合効率を良くするためには、入射ビーム径をファイバのモードフィールド径に合致させなければなりません。
例として、シングルモードファイバSM400を400 nmで使用した時のモードフィールド径(MFD)は約Ø3 µmで、SMF-28 Ultraを1550 nmで使用したときのモードフィールド径(MFD)はØ10.5 µmです。これらのファイバの実効面積は下記の通り計算します。
SM400 Fiber: Area = Pi x (MFD/2)2 = Pi x (1.5 µm)2 = 7.07 µm2 = 7.07 x 10-8 cm2
SMF-28 Ultra Fiber: Area = Pi x (MFD/2)2 = Pi x (5.25 µm)2 = 86.6 µm2 = 8.66 x 10-7 cm2
ファイバ端面が対応できるパワーを推定するには、パワー密度に実効面積を乗じます。なおこの計算は均一な強度プロファイルを想定しています。しかしほとんどのレーザービームでは、シングルモード内でガウス分布を示すため、ビームの端よりも中央のパワー密度が高くなります。よって、これらの計算は損傷閾値または実用的安全レベルに対応するパワーとは若干異なることを考慮する必要があります。連続光源を想定して上記のパワー密度の推定値を使用すると、それぞれのパワーは下記のように求められます。
SM400 Fiber: 7.07 x 10-8 cm2 x 1 MW/cm2 = 7.1 x 10-8 MW = 71 mW (理論的損傷閾値)
7.07 x 10-8 cm2 x 250 kW/cm2 = 1.8 x 10-5 kW = 18 mW (実用的な安全レベル)
SMF-28 Ultra Fiber: 8.66 x 10-7 cm2 x 1 MW/cm2 = 8.7 x 10-7 MW = 870 mW (理論的損傷閾値)
8.66 x 10-7 cm2 x 250 kW/cm2 = 2.1 x 10-4 kW = 210 mW (実用的な安全レベル)
マルチモードの実効面積
マルチモードファイバの実効面積は、そのコア径によって定義されますが、一般にシングルモードファイバのMFDよりもはるかに大きくなります。当社では最適な結合を得るためにコア径のおよそ70~80%にビームを集光することをお勧めしています。マルチモードファイバでは実効面積が大きくなるほどファイバ端面でのパワー密度は下がるので、より大きな光パワー(通常キロワットオーダ)を入射しても損傷は生じません。
フェルール・コネクタ付きファイバに関する損傷メカニズム
コネクタ付きシングルモード石英ファイバに入力可能なパワー処理限界値(概算)を示したグラフ。各線はそれぞれの損傷メカニズムに応じたパワーレベルの推定値を示しています。 入力可能な最大パワーは、損傷メカニズムごとに制限されるパワーのうちの一番小さな値(実線で表示)によって制限されます。
コネクタ付きファイバのパワー処理能力に関しては、ほかにも考慮すべき点があります。ファイバは通常、エポキシ接着剤でセラミック製またはスチール製のフェルールに取り付けられています。光がコネクタを通してファイバに結合されると、コアに入射せずにファイバを伝搬する光は散乱されてファイバの外層からフェルール内へ、さらにフェルール内でファイバを保持する接着剤へと伝搬します。光の強度が大きいとエポキシ接着剤が焼け、それが蒸発して残留物がコネクタ端面に付着します。これによりファイバ端面に局所的に光を吸収する部分ができ、それに伴って結合効率が減少して散乱が増加するため、さらなる損傷の原因となります。
エポキシ接着剤に関連する損傷は、いくつかの理由により波長に依存します。一般に、光の散乱は長波長よりも短波長で大きくなります。短波長用のMFDの小さなシングルモードファイバへの結合時には、ミスアライメントに伴ってより多くの散乱光が発生する可能性があります。
エポキシ樹脂が焼損するリスクを最小に抑えるために、ファイバ端面付近のファイバとフェルール間にエポキシ接着剤の無いエアギャップを有するファイバーコネクタを構築することができます。当社の高出力用マルチモードファイバーパッチケーブルでは、このような設計のコネクタを使用しております。
複数の損傷メカニズムがあるときのパワー処理限界値を求める方法
ファイバーケーブルまたはファイバ部品において複数の損傷要因がある場合(例:ファイバーパッチケーブル)、入力可能なパワーの最大値は必ずファイバ部品構成要素ごとの損傷閾値の中の一番小さな値により決まります。この値が一般的にはパッチケーブルの端面に入射可能な最大のパワーを表します(出力パワーではありません)。
右のグラフは、シングルモードパッチケーブルにおけるファイバ端面での損傷とコネクタでの損傷に伴うパワー処理限界の推定値を例示しています。 ある波長におけるコネクタ付きファイバの総合的なパワー処理限界値は、その波長に対する2つの制限値の小さい方の値(実線)によって制限されます。488 nm付近で使用しているシングルモードファイバは主にファイバ端面の損傷(青い実線)によって制限されますが、1550 nmで使用しているファイバはコネクタの損傷(赤い実線)によって制限されます。
マルチモードファイバの実効面積はコア径で定義され、シングルモードファイバの実効面積より大きくなります。その結果、ファイバ端面のパワー密度が小さくなり、大きな光パワー(通常キロワットオーダ)を入射してもファイバに損傷は生じません(グラフには表示されていません)。しかし、フェルール・コネクタの損傷による限界値は変わらないため、マルチモードファイバが処理できる最大パワーはフェルールとコネクタによって制限されることになります。
上記の値は、取り扱いやアライメントが適切で、それらによる損傷が生じない場合のパワーレベルです。また、ファイバはここに記載されているパワーレベルを超えて使用されることもあります。しかし、そのような使い方をする場合は一般に専門的な知識が必要で、まずローパワーでテストして損傷のリスクを最小限に抑える必要があります。その場合においても、ハイパワーで使用するファイバ部品は消耗品と捉えた方が良いでしょう。
ファイバ内の損傷閾値
空気/ガラス界面で発生する損傷に加え、ファイバのパワー処理能力はファイバ内で発生する損傷メカニズムによっても制限されます。この制限はファイバ自体が本質的に有するもので、すべてのファイバ部品に適用されます。ファイバ内の損傷は、曲げ損失による損傷とフォトダークニングによる損傷の2つに分類されます。
曲げ損失
ファイバが鋭く曲げられると、コア内を伝搬する光がコア/クラッド界面において反射する際に、その反射角が全反射臨界角よりも大きくなります。曲げ損失は、このように内部全反射ができなくなることにより生じる損失です。このような状況下では、光はファイバから局所的に漏れだします。漏れる光のパワー密度は一般に大きく、ファイバのコーティングや補強チューブが焼損する可能性があります。
特殊ファイバに分類されるダブルクラッドファイバは、コアに加えてファイバのクラッド(2層目)も導波路として機能するため、曲げ損失による損傷のリスクが抑えられます。クラッドと被覆の界面の臨界角をコアとクラッドの界面の臨界角より大きくすることで、コアから漏れた光はクラッド内に緩く閉じ込められます。その後、光はセンチメートルからメートルオーダーの距離に渡って漏れ出しますが、局所的ではないため損傷リスクは最小に留められます。当社ではメガワットレベルの大きなパワーにも対応するNA 0.22のダブルクラッドマルチモードファイバを製造、販売しております。
フォトダークニング
もう1つのファイバ内の損傷メカニズムとして、特にコアにゲルマニウムが添加されたファイバをUVや短波長の可視光で使用した時に起こるフォトダークニングまたはソラリゼーションがあります。これらの波長で使用されたファイバは時間の経過とともに減衰量が増加します。 フォトダークニングが発生するメカニズムはほとんど分かっていませんが、その現象を緩和するファイバはいくつか開発されています。例えば、水酸イオン(OH)が非常に低いファイバはフォトダークニングに耐性があることが分かっています。またフッ化物などのほかの添加物もフォトダークニングを低減させる効果があります。
しかし、上記の対応をとったとしても、UV光や短波長に使用したファイバはいずれフォトダークニングが生じます。よってこれらの波長で使用するファイバは消耗品としてお考えください。
光ファイバの準備ならびに取扱い方法
一般的なクリーニングならびに操作ガイドライン
この一般的なクリーニングならびに操作ガイドラインはすべてのファイバ製品向けにお勧めしております。さらに付属資料やマニュアルに記載された個々の製品に特化したガイドラインも遵守してください。損傷閾値の計算は、すべてのクリーニングおよび取扱い手順に適切に従ったときにのみ適用することができます。
(コネクタ付き、またはファイバ素線に関わらず)ファイバを設置または組み込む前に、すべての光源はOFFにしてください。これにより、損傷の可能性のあるコネクタまたはファイバの脆弱な部分に集光されたビームが入射しないようにすることができます。
ファイバやコネクタ端面の品質がファイバのパワー処理能力に直結します。ファイバを光学系に接続する前に必ずファイバ端を点検してください。端面はきれいで、入射光の散乱を招く汚れや汚染物質があってはなりません。ファイバ素線は使用前にクリーブし、クリーブの状態が良好であることを確認するためにファイバ端面の点検をしてください。
ファイバを光学系に融着接続する場合、ハイパワーで使用する前にまずローパワーで融着接続の状態が良いことを確認してください。融着接続の品質が良くないと接続面での散乱が増え、ファイバ損傷の原因となる場合があります。
システムのアライメントや光結合の最適化などの作業はローパワーで行ってください。これによりファイバの(コア以外の)他の部分の露光が最小に抑えられます。ハイパワーのビームがクラッド、被覆またはコネクタに集光された場合、散乱光による損傷が発生する可能性があります。
ハイパワーでファイバを使用するための要点
光ファイバやファイバ部品は一般には安全なパワー限界値内で使用する必要がありますが、アライメントや端面のクリーニングがとても良い理想的な条件下では、ファイバ部品のパワー限界値を上げることができる場合があります。入力または出力パワーを増加させる前に、システム内のファイバ部品の性能と安定性を確認し、またすべての安全ならびに操作に関する指示に従わなければなりません。下記はファイバ内またはファイバ部品内の光パワーをの増大させること加を検討していするときに役立つご提案です。
ファイバースプライサを使用してファイバ部品をシステムに融着接続すると、空気/ファイバ界面での損傷の可能性を最小化できます。品質の高い融着接続が実現されるよう、すべて適切なガイドラインに則って実施する必要があります。融着接続の状態が悪いと、散乱や融着接続面での局所的な加熱などが発生し、ファイバを損傷する可能性があります。
ファイバまたはファイバ部品の接続後、ローパワーでシステムのテストやアライメントを実施してください。システムパワーを必要な出力パワーまで徐々に上昇させ、その間、定期的にすべての部品が適切にアライメントされ、結合効率が入力パワーによって変動していないことを確認します。
ファイバを鋭く曲げると曲げ損失が発生し、ファイバのストレスを受けた部分から光が漏れる可能性があります。ハイパワーで使用している時は、大量の光が小さな局所領域(歪みのある領域)から流出すると局所的に加熱され、ファイバが損傷する可能性があります。使用中はファイバの曲げが生じないよう配慮し、曲げ損失を最小限に抑えてください。
また、用途に適したファイバを選ぶことも損傷防止に役立ちます。例えば、ラージモードエリアファイバは、標準的なシングルモードファイバをハイパワー光用として用いる場合の良い代替品となります。優れたビーム品質を有しながらMFDも大きいため、空気/ファイバ界面でのパワー密度は小さくなります。
ステップインデックスシングルモード石英ファイバは、一般にUV光やピークパワーの大きなパルス光には使用しませんが、これはその用途に伴う空間パワー密度が大きいためです。
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下の図に、当社の1x2および2x2シングルモードカプラのラインナップを掲載しています。 各カプラの製品ページをご覧いただくには色付きのバーをクリックしてください。1020 nm ± 50 nm (オレンジ色)は最大50 Wまでの高出力用途用に設計されています。
広帯域カプラの詳しい検査手順は「カプラの検査」タブ内に記載されております。
Item # | Info | Wavelength Range | Tap Ratioa,b,c (Click for Plot) | Coupling Ratio Tolerancea | Maximum Power Leveld | Polarization Dependent Loss (PDL)a,b | Optical Return Lossa,b (Directivity) | Excess Lossa,b | Fiber Typee |
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HPCR6 | 970 - 1070 nm | 30 dB | +2.5 / -1 dB | 50 W | ≤0.2 dB | ≥35 dB | < 0.2 dB (Typ.) | HI1060 (0.14 NA) | |
HPCR7 | 40 dB | +5 / -1 dB | |||||||
HPCR8 | 50 dB | +5 / -1 dB |