顕微鏡用水浸対物レンズ(Water Dipping/Immersion)

- Especially Suited for Multiphoton Imaging
- Numerical Aperture Options: 0.30 to 1.15
- Working Distance Options: 0.59 to 5.5 mm
- Options for UV to NIR Wavelengths
Dendridic Spine Image Collected with the N60X-NIR Objective at a Laser Wavelength of 1040 nmb
TL20X-MPL
0.6 NA, 5.5 mm WD
N25X-APO-MP
1.1 NA, 2.0 mm WD
Deep Tissue Imaging of Mouse Embryo Section with the N20X-PFH Objectivea
N20X-PFH
1.0 NA, 2.0 mm WD
N16XLWD-PF
0.8 NA, 3.0 mm WD
a. This mouse embryo sample is courtesy of Dr. Rieko Ajima, National Cancer Institute, Frederick, MD.
b. This dendritic spine image is courtesy of Dr. Tobias Rose, Max Planck Institute for Neurobiology, Martinsreid, Germany.

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Objective Lens Selection Guide |
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Objectives |
Super Apochromatic Microscope Objectives Microscopy Objectives, Dry Microscopy Objectives, Oil Immersion Physiology Objectives, Water Dipping or Immersion Phase Contrast Objectives Long Working Distance Objectives Reflective Microscopy Objectives UV Focusing Objectives VIS and NIR Focusing Objectives |
Scan Lenses and Tube Lenses |
Scan Lenses F-Theta Scan Lenses Infinity-Corrected Tube Lenses |

Did You Know?
システムの倍率は、顕微鏡対物レンズ、チューブレンズ、接眼レンズなど、複数の光学素子の組み合わせによって決まります。詳細は「倍率視野」タブをご参照ください。

Click for Details
Figure 1.1 水浸対物レンズ(Water Dipping、Water Immersion)の設計例
顕微鏡用対物レンズの種類の詳細は「対物レンズチュートリアル」タブをご参照ください。)
特長
- 大きな開口数(NA)と長い作動距離(WD)
- 無限遠補正されたアポクロマートまたはプランフルオール(プランフルオリート)設計
当社では、生理学の用途向けに設計された、様々な倍率の精選された水浸対物レンズをご用意しています。 これらの対物レンズは、広い波長域にわたって優れた性能を有するため、生命科学分野で用いられる多光子顕微鏡法などのイメージングにおいて、励起光や放射信号光を透過させるのに特に適しています。 下記掲載のアポクロマートおよびプランフルオール(プランフルオリート)対物レンズは複数の波長に対して色収差の補正を行っており、UV~近赤外の波長域の光をシャープにフォーカスできます。
作動距離(WD)が長く、先端のアプローチ角が大きいため、光学素子を追加したり電気生理学でよく使用されるマイクロマニピュレータなどのツールを配置したりするのに十分なスペースを確保することができます。また開口数(NA)も大きいため、励起光を小さな体積に集束させることができ、これは軸方向および横方向の分解能向上に寄与します。信号光の集光においても、開口数が大きいために組織内で散乱される光子を捉えることができ、大きな信号強度を得ることができます。
Water dipping用の水浸対物レンズは、カバーガラスを使用せず、対物レンズの先端を試料を覆う水に浸してメニスカスを形成するか、あるいは完全に水没させて使用します。Water immersion用の水浸対物レンズは、カバーガラスの上に水を一滴垂らし、対物レンズの先端とカバーガラスとの間にメニスカスを形成して使用します。対物レンズN25X-APO-MPおよびN25X-APO-MP1300には補正環が付いており、カバーガラスの有無にかかわらず使用できます。Figure 1.1では、2種類の典型的な水浸対物レンズ(Water dipping/immersion)がご覧いただけます。
これらの対物レンズにはM25 x 0.75またはM32 x 0.75のネジが付いており、同焦点距離は60 mmまたは75 mmです。 こちらの対物レンズを他のネジ規格でご使用の場合は、顕微鏡対物レンズ用ネジアダプタのページをご覧ください。当社では、M25 x 0.75ネジ付き対物レンズの同焦点距離を60 mmから75 mmに延長する同焦点距離エクステンダPLE153もご用意しております。
Magnification | 10X | 16X | 20X | 25X | 40X | 60X | |||
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Item # | N10XW-PF | N16XLWD-PF | TL20X-MPL | N20X-PFH | N25X-APO-MP | N25X-APO-MP1300 | N40XLWD-NIR | N40X-NIR | N60X-NIR |
Manufacturer | Nikon | Thorlabs | Olympus | Nikon | |||||
Manufacturer Part # | MRH07120 | MRP07220 | TL20X-MPL | 1-U2B965 | MRD77220 | MRD77225 | MRD77410 | MRD07420 | MRD07620 |
Objective Class | Plan Fluorite | Plan Fluorite | Apochromat | Plan Fluorite | Apochromat | Apochromat | Apochromat | Apochromat | Apochromat |
Numerical Aperture (NA) | 0.30 | 0.80 | 0.60 | 1.00 | 1.10 | 1.15 | 0.80 | 1.00 | |
Effective Focal Length (EFL) | 20 mm | 12.5 mm | 10.0 mm | 9.0 mm | 8.0 mm | 5.0 mm | 5.0 mm | 3.3 mm | |
Entrance Pupila | Ø12 mm | Ø20.0 mm | Ø12 mm | Ø18 mm | Ø17.6 mm | Ø11.5 mm | Ø8.0 mm | Ø6.7 mm | |
Working Distance | 3.5 mm | 3.0 mm | 5.5 mm | 2.00 mm | 2.0 mm | 0.59 - 0.61 mm | 3.5 mm | 2.8 mm | |
Resolutionb | 1.1 µm | 0.4 µm | 0.6 µm | 0.3 µm | 0.3 µm | 0.3 µm | 0.4 µm | 0.3 µm | |
Parfocal Length | 60 mm | 75 mm | 58.4 mm | 75 mm | 75 mm | 60 mm | |||
Design Tube Lens Focal Lengthc | 200 mm | 180 mm | 200 mm | ||||||
Coverslip Correctiond | N/A | 0 - 0.17 mm | 0.15 - 0.19 mm | N/A | |||||
Immersion | Water Dipping | Water Dipping or Water Immersion (Coverslip) | Water Immersion (Coverslip) | Water Dipping | |||||
Wavelength Range | 360 - 1500 nm | 380 - 1100 nm | 400 - 900 nm | 400 - 900 nm | 380 - 1050 nm | 420 - 1400 nm | 360 - 1100 nm | 380 - 1100 nm | 380 - 1100 nm |
Threading | M25 x 0.75 | M32 x 0.75 | M25 x 0.75 | M25 x 0.75 | M32 x 0.75 | M25 x 0.75 | |||
Thread Depth | 5.1 mm | 5.0 mm | 3.6 mm | 5.8 mm | 4.7 mm | 5.1 mm | |||
Temperature Rangee | -18 - 60 °C (0 - 140 °F) | N/A | -18 - 60 °C (0 - 140 °F) |
Chromatic Aberration Correction per ISO Standard 19012-2 | ||
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Objective Class | Common Abbreviations | Axial Focal Shift Tolerancesa |
Achromat | ACH, ACHRO, ACHROMAT | |δC' - δF'| ≤ 2 x δob |
Semiapochromat (or Fluorite) | SEMIAPO, FL, FLU | |δC' - δF'| ≤ 2 x δob |δF' - δe| ≤ 2.5 x δob |δC' - δe| ≤ 2.5 x δob |
Apochromat | APO | |δC' - δF'| ≤ 2 x δob |δF' - δe| ≤ δob |δC' - δe| ≤ δob |
Super Apochromat | SAPO | See Footnote b |
Improved Visible Apochromat | VIS+ | See Footnotes b and c |
顕微鏡用対物レンズの各部名称
各部名称をクリックすると詳細をご覧いただけます。
上の顕微鏡用対物レンズは1例です。アスタリスク(*)で示されている機構はすべての対物レンズに備わっているわけではありません。必要性や用途に応じて、追加されたり、位置が変更されたり、あるいは削除されたりしています。
対物レンズのチュートリアル
このチュートリアルでは対物レンズの様々な機構や表示、およびそれらが示す対物レンズの性能について説明します。
対物レンズの種類と収差補正
対物レンズは一般にその種類によって分類されています。対物レンズの種類によって、対物レンズがどのようにイメージング収差を補正するかが簡単に分かります。 対物レンズの種類によって示される収差補正には、像面湾曲と色収差の2つがあります。
像面湾曲(またはペッツヴァルの湾曲)は、対物レンズの焦点面が球面状に湾曲している状態を表します。この収差があるレンズでは、像面の中心に焦点を合わせると四隅が焦点から外れてしまうため、ワイドフィールド観察やレーザ走査などが困難になります。種類が「Plan」から始まる対物レンズの場合は、その焦点面が平面になるように補正されています。
また結像に際して色収差が生じる場合があり、そのときには1点から放射された光は波長により分散して1点に焦点を結びません。対物レンズによっては、性能と設計の複雑性の間でバランスをとるために、有限数のターゲット波長においてそれらの収差を補正するものがあります。
5種類の一般的な対物レンズを右表に示します。このうち3種類のみがISO 19012-2: Microscopes -- Designation of Microscope Objectives -- Chromatic Correctionで定義されています。より良い性能を表すために、当社ではISO規格には無い2つの種類を追加しています。
浸漬方法
詳細についてはそれぞれの対物レンズの画像をクリックしてご覧ください。
対物レンズは、イメージングのための光が透過する媒質によって分類することができます。ドライ対物レンズは空気中で使用しますが、液浸(DippingまたはImmersion)対物レンズは対物レンズと試料の間に液体を介在させて使用するように設計されています。
用語解説 | |
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後方焦点距離と無限遠補正 | 後方焦点距離は、中間結像面の位置を定義します。最新の対物レンズではこの面が無限遠の位置に置かれ(無限遠補正と呼ばれる)、そのようなレンズには(∞)が記されています。無限遠補正対物レンズは、対物レンズと接眼レンズの間にチューブレンズを挿入して使用するように設計されています。顕微鏡システムの互換性向上に加えて、このような無限遠補正された空間が対物レンズとチューブレンズの間にあることで、ほかのモジュール(ビームスプリッタ、フィルタ、同焦点距離エクステンダなど)を光路内に配置することが可能になります。 なお、旧型の対物レンズや特殊なタイプの対物レンズは、有限の後方焦点距離で設計されている場合があります。当初、有限の後方焦点距離の対物レンズは、顕微鏡の接眼レンズに直接対応するように作られていました。 |
入射瞳径(EP) | 入射瞳径(EP)は有効口径とも呼ばれ、対物レンズを適切に機能させるために使用すべき適切なビーム径に対応します。 EP = 2 × NA × Effective Focal Length (入射瞳径 = 2 × 開口数(NA) × 有効焦点距離) |
視野数と視野 | 視野数は、物体空間の視野の直径(mm単位)に対物レンズの倍率を乗じた値です。 Field Number = Field of View Diameter × Magnification(視野数= 視野直径 × 倍率) |
倍率 | 対物レンズの倍率(M)はチューブレンズの焦点距離(L)を対物レンズの焦点距離(F)で割った値です。有効焦点距離はEFLと略記されることがあります。 M = L / EFL . システムの総合倍率は、対物レンズの倍率に接眼レンズまたはカメラチューブの倍率を乗じて得られます。顕微鏡用対物レンズ筐体に示されている倍率は、その対物レンズに対応する焦点距離のチューブレンズと組み合わせてお使いになる場合にのみ正しい値です。対物レンズには、倍率を示す色のリングが付いています。これは比較的どのメーカでも共通しています。詳細は上の「顕微鏡用対物レンズの各部名称」をご覧ください。 |
開口数(NA) | 開口数は、対物レンズの最大受光角を表す無次元量です。一般的には下の式で表されます。 NA = ni × sinθa ここでθaは対物レンズの最大受光角度の1/2(半角)、niは媒質の屈折率です。典型的な媒質は空気ですが、水や油などほかの物質の場合もあります。 |
作動距離 | 作動距離(WD)は対物レンズの設計に依存しており、対物レンズの前面から試料の上部(カバーガラスを使用しない場合)まで、またはカバーガラスの上部までの距離を表します。対物レンズに刻印されているカバーガラスの厚さの仕様値により、カバーガラスを使用すべきかどうかが分かります。 |

カメラで画像を表示する場合、システム倍率は対物レンズの倍率とカメラチューブの倍率の積です。三眼鏡筒で画像を表示する時のシステム倍率は、対物レンズの倍率と接眼レンズの倍率の積です。
Manufacturer | Tube Lens Focal Length |
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Leica | f = 200 mm |
Mitutoyo | f = 200 mm |
Nikon | f = 200 mm |
Olympus | f = 180 mm |
Thorlabs | f = 200 mm |
Zeiss | f = 165 mm |
倍率と試料領域の計算方法
倍率
システムの倍率はシステム内の各光学素子の倍率の積で求めます。倍率のある光学素子には右図の通り、対物レンズ、カメラチューブ、そして三眼鏡筒の接眼レンズが含まれます。なお、各製品仕様に記載されている倍率は通常、すべて同じメーカの光学素子を使用した時のみ有効であることにご留意ください。同じメーカの光学素子を使用していない場合、システムの倍率は下記の通り、まず対物レンズの有効倍率を求めたあと算出する必要があります。
下記の例をお手持ちの顕微鏡に応用する場合には、上のMagnification and FOV Calculator(赤いボタンをクリック)をダウンロードしてご使用ください。こちらの計算用エクセルファイルはマクロを使用したスプレッドシートになっています。計算を行う際はマクロを有効にする必要があります。マクロを有効にするには、ファイルを開いて、上部にある黄色いメッセージバー上の「編集を有効にする」ボタンをクリックしてください。
例1:カメラの倍率
試料をカメラでイメージングする場合、イメージは対物レンズとカメラチューブによって拡大されます。倍率が20倍のNikon製対物レンズと倍率が0.75倍のNikon製カメラチューブを使用している場合、カメラの倍率は20倍 × 0.75倍 = 15倍となります。
例2:三眼鏡筒の倍率
三眼鏡筒を通して試料をイメージングする場合、イメージは対物レンズの倍率と三眼鏡筒内の接眼レンズによって拡大されます。倍率が20倍のNikon製対物レンズと接眼レンズの倍率が10倍のNikon製三眼鏡筒を使用している場合、接眼レンズでの倍率は20倍 × 10倍 = 200倍となります。なお、右図のように接眼レンズでの像はカメラチューブを通りません。
メーカが異なる対物レンズと顕微鏡を使用する場合
倍率は根源的な値ではなく、特定のチューブレンズの焦点距離を推定して計算し、導き出す値です。右の表のように各顕微鏡メーカはチューブレンズに様々な焦点距離を設定しています。そのため異なるメーカの光学素子を組み合わせる場合、システムの倍率を算出するには対物レンズの有効倍率を計算する必要があります。
対物レンズの有効倍率は式1で求められます。
![]() | (Eq. 1) |
ここでDesign Magnificationは対物レンズに印字されている倍率、fTube Lens in Microscopeは使用する顕微鏡内のチューブレンズの焦点距離、fDesign Tube Lens of ObjectiveはDesign Magnificationを算出するために対物レンズのメーカが使用したチューブレンズの焦点距離です。焦点距離は右表に記載されています。
Leica、Mitutoyo、Nikonならびに当社ではチューブレンズの焦点距離は同じです。これらのメーカの光学素子を組み合わせた場合、倍率の変換は必要ありません。対物レンズの有効倍率が算出されたら、上記のようにシステムの倍率が計算できます。
例3:三眼鏡筒の倍率(異なるメーカを使用)
三眼鏡筒を通して試料をイメージングする場合、イメージは対物レンズの倍率と三眼鏡筒内の接眼レンズによって拡大されます。この例では倍率が20倍のOlympus製対物レンズと接眼レンズの倍率が10倍のNikon製三眼鏡筒を使用します。
式1と右の表によりNikon製顕微鏡内のOlympus製対物レンズの有効倍率を下記の通り計算しました。
![]() |
Olympus製対物レンズの有効倍率は22.2倍で、三眼鏡筒の接眼レンズの倍率は10倍なので、接眼レンズでの倍率は、22.2倍 × 10倍 = 222倍となります。

カメラでイメージングする試料領域
試料をカメラでイメージングする場合、試料領域の寸法はカメラセンサの寸法とシステム倍率を使用して下の式2で求められます。
![]() | (Eq. 2) |
カメラセンサの寸法はメーカが提供しています。またシステム倍率は対物レンズの倍率とカメラチューブの倍率の積です(例1をご参照ください)。必要に応じ、対物レンズの倍率を例3のように調整します。
倍率が高くなればなるほど分解能も向上しますが、視野は狭くなります。倍率と視野の関係性については右の図でご覧いただけます。
例4:試料領域
当社のサイエンティフィックカメラ1501M-USB(旧製品)内のカメラセンサの寸法は8.98 mm × 6.71 mmです。このカメラを例1のNikon製対物レンズと三眼鏡筒に使用した場合、システム倍率は15倍となります。イメージングの領域は下記の通りになります。
![]() |
試料領域例
下のマウス腎臓の画像はすべて同じ対物レンズとカメラを使用して取得しました。ただし、カメラチューブのみ違う製品を使用しています。左から右の画像にいくにつれカメラチューブの倍率が下がっていますが、視野が広くなる分、細部も小さくなり見にくくなることが分かります。
分解能のチュートリアル
多くのイメージングにおいて、対物レンズの分解能は重要なパラメータです。このチュートリアルでは、対物レンズの分解能を定義するために使用されるさまざまな約束事について説明します。当社のサイトに掲載しているすべてのイメージング用対物レンズには、レイリー分解能の理論値を示しています。ここに示すそれ以外の基準に基づく記述方法は、情報提供の目的で提示しています。
分解能
対物レンズの分解能は、物体の近接した構造を識別する性能を表します。これは多くの場合、2つの点光源で構成される物体を想定し、これらの2つの点光源を分解できる最小間隔を求めることによって理論的に定量化します。点光源をイメージングしてみると、単体の明るい点となることはなく、回折の影響を受けて幅の広い強度プロファイルとして現れます。このプロファイルはエアリーディスクとして知られ、強度の高い中央のピークと、それを囲む強度の低いリングから構成されます。そのため、2つの互いに近接する点光源から生成されるイメージは、2つの重なり合うエアリーディスクプロファイルから構成されることになります。したがって、対物レンズの分解能は2つのプロファイルを一意的に識別できる最小間隔によって決めることができます。どのような状態であれば2つのプロファイルが分解されたとするのかという点について、基本的な基準はありません。しかし、実際に使用されている基準は幾つかあります。顕微鏡イメージングの分野で最も一般的に使用されている基準としては、レイリーの基準とアッベの基準の2つがあります。その他の基準としては、天文学の分野でより一般的に用いられているスパローの基準があります。
レイリーの基準
レイリーの基準では、一方の強度プロファイルの最初の極小値の位置が、もう一方の強度プロファイルの最大値の位置と一致したときに、2つの重なり合うエアリーディスクプロファイルが分解されたとします[1]。エアリーディスクの最初の強度の極小値は、中心の最大値から半径1.22λf/Dの位置に生じることを示すことができます。ここで、λは光の波長、fは対物レンズの焦点距離、Dは入射瞳の直径です。したがって、開口数(NA = 0.5*D/f)を用いて、レイリー分解能は次の式で表されます。
rR = 0.61λ/NA
レイリー分解能に等しい距離だけ離れた2つのエアリーディスクの理想的なイメージを左下に示します。光源はインコヒーレント光源であると仮定しています。この図の2つの最大値を通る水平な線に沿って、その強度分布をグラフ化すると右側の図が得られます。この強度プロファイルの図における垂直の点線により、一方のエアリーディスクの最大値の位置と、もう一方のエアリーディスクの最初の極小値の位置が一致していることが分かります。2つの最大値の間には極小値があり、それにより2つの白いピークの間には灰色の領域が現れています。

左:2つの点光源がレイリー分解能によって分離されたとき、それらは分解されたとみなします。2つの白いピークの間に灰色の領域がはっきりと見えます。
上:垂直の点線により、一方の強度プロファイルの最大値の位置が、もう一方の強度プロファイルの最初の極小値の位置と一致していることが分かります。

当社では、ウェブサイトに掲載しているすべてのイメージング用対物レンズについて、そのレイリー分解能の理論値を個別の製品説明ページでご提示しています。
アッベの基準
アッベの理論では、画像形成を回折の二重プロセスとして表現します[2]。そのフレームワークでは、2つの構造が距離dだけ離れているとき、それらを分解するには少なくとも0次と1次の両方の回折光が対物レンズの開口部を通過する必要があるとします。1次回折光はsin(θ1) = λ/dで表される角度θ1の方向に現れるため、分解可能な最小の物体間距離、すなわち対物レンズの分解能はd = λ/n*sin(α)で与えられます。ここで、αは対物レンズの半開口角、係数nはイメージング媒体の屈折率です。この結果は、実際の限界に対して2倍の過大評価をしています。理由は、0次光とともに対物レンズを通過しなければならない1次光は少なくとも1つあればよいわけですが、ここでは両方の1次光を通過させているためです。上記の結果を2で除し、さらに開口数の定義(NA = n*sin(α))を使用することで、有名なアッベの分解能限界が得られます。
rA = 0.5λ/NA
下の画像は、アッベの分解能限界で分離された2つのエアリーディスクを表しています。レイリー限界と比較して、原点における強度の減少を識別するのは大分困難になります。右側の強度分布図を見ると、中心の強度の減少はわずか2%です。

左:アッベの分解能限界によって分離された2つの点光源 最大値と中央の極小値の間のコントラストは観察可能ではありますが、レイリー限界と比較するとはるかに弱くなっています。
上:このグラフでは2つの最大値の間に小さな強度の減少が見られます。

スパローの基準
2つの点光源の間の距離がレイリーまたはアッベの分解能基準に対応する場合、重ね合わせられた強度プロファイルにおける2つの最大値の間の原点に極小値が見えます。そういった意味では、これらの評価基準では2つの点光源を分解することができています。しかし、点光源間の距離がアッベの分解能限界を超えてさらに小さくなると、2つの独立した最大値は1つの中央の最大値に一体化され、2つの光源からの寄与を個々に分解することができなくなります。スパローの基準では、中央の極小値が中央の最大値に変化したときに分解能限界に達したとします。
スパローの分解能限界では、重ね合わせられた強度プロファイルの中心は平坦になります。これは、位置に関する微分係数が原点でゼロになることを意味します。しかし、原点でのこの1次微分係数は、重ね合わせられた強度プロファイルの極小値または最大値であるため、常にゼロです(厳密に言えば、これは2つの光源の強度が等しい場合にのみ当てはまります)。従って、原点の強度が極小値から最大値に変化するときにスパローの分解能限界に到達したことになるため、このときに2次微分係数の符号が正から負に変化する必要があります。このようにスパローの基準は2次微分係数に課される条件となり、2次微分係数がゼロのときに分解能限界に到達することになります[3]。 この条件を2つのエアリーディスクが重ね合わせられた強度プロファイルに適用すると、スパロー分解能が次のように得られます。
rS = 0.47λ/NA
左下の画像は、スパローの分解能限界の距離に置かれた2つのエアリーディスクのイメージを示しています。上記のように2つのピークの間では強度が一定であり、原点での強度のくぼみはありません。右側のグラフでは、原点付近で強度が一定であることを確認できます。

左:スパローの分解能限界によって分離された2つのエアリーディスクのプロファイル レイリーやアッベの限界とは異なり、原点で強度は減少しません。
上:スパローの分解能限界では、重ね合わせられた強度分布は原点付近で一定になります。ここではスケールが1に規格化されています。

参考文献
[1] Eugene Hecht, "Optics," 4th Ed., Addison-Wesley (2002)
[2] S.G. Lipson, H. Lipson, and D.S. Tannhauser, "Optical Physics," 3rd Ed., Cambridge University Press (1995)
[3] C.M. Sparrow, "On Spectroscopic Resolving Power," Astrophys. J. 44, 76-87 (1916)
Posted Comments: | |
raphael Dahan
 (posted 2025-03-29 20:44:24.477) Hi
I am interested in the axial resolution specifications of the N20X-PFH objective, particularly in the context of confocal microscopy. Specifically, do you have any measurements or simulations of its axial resolution when used in confocal reflection mode around 800 nm?
Any relevant data or insights would be greatly appreciated.
Best regards,
Raphael su zeyu
 (posted 2024-09-19 15:42:15.093) 请问这款TL20X-MPL物镜的有效视场是多大? cdolbashian
 (posted 2024-10-28 11:20:23.0) Thank you for reaching out to us with this inquiry. You asked the following question: "What is the effective field of view of this TL20X-MPL objective lens?". On the specs tab, we have a graph displaying the FOV vs Strehl ratio, so you can see the FOV and the quality of the performance as a function of displacement from center of the FOV. Tianhao LI
 (posted 2024-07-04 12:17:17.963) In your description of this product I think there is a typo: "The N40XLWD-NIR objective features a correction collar for coverslips that are 0.15 - 0.91 mm thick. All three of these objectives also feature spring-loaded retractable housing designs to protect the optics and sample from collision damage."
While the correction collar from my understanding should only correct 0.15 - 0.19 mm cover glass, is that right? cdolbashian
 (posted 2024-07-19 04:13:46.0) Thank you for reaching out to us with this inquiry. At the time of posting this, the change should have already taken effect. Thank you for finding this presentation error. li yancheng
 (posted 2023-05-31 01:37:40.667) how many dispersion(GVD)(fs^2/mm) Will this product apply at wavelength:900nm、1200nm?
N40XLWD-NIR - 40X Nikon CFI APO LWD NIR Objective, 1.15 NA, 0.59 - 0.61 mm WD cdolbashian
 (posted 2023-06-01 03:53:14.0) Thank you for reaching out to us with this inquiry. While we at Thorlabs would love to provide you with such an answer, these are Nikon objectives, and as such, we do not have access to their test data. ZL QU
 (posted 2023-03-22 16:34:02.103) Can this objective lens be mounted on an inverted microscope? If so, how to prevent water from spilling when the objective is upside down ksosnowski
 (posted 2023-04-03 01:36:54.0) Hello, thanks for reaching out to Thorlabs. These Immersion Objectives are intended for upright use and in inverted applications there is no mechanism to catch spills. Depending on the exact setup it may be possible to contain a small bead of liquid between the objective and sample with the media surface tension however we have not tested this type of application. I've reached out directly to discuss this setup further. William Frost
 (posted 2022-05-13 18:09:06.233) We would like to try out the N16XLWD-PF Nikon objective lens as a way to decide whether we will purchase it. Is that possible? Feel free to connect me with a sales person that could help me with this. jdelia
 (posted 2022-05-20 11:49:00.0) Thank you for contacting Thorlabs. I have contacted you directly regarding the possibility of loaning out these objectives. Robert Campbell
 (posted 2021-11-10 12:40:07.423) Hello,
I'm incorporating the N16XLWD-PF and I need to know its weight (not the shipping weight, which I've found elsewhere). It is being used on a dynamically tuned focus stage & it is replacing an existing objective, so I need to match the overall mass of the objective and mounting bracket. I will need to either add or remove weight depending on the weight of the N16XLWD-PF.
Thanks,
Rob Campbell YLohia
 (posted 2021-11-12 04:06:52.0) Hello Rob, thank you for contacting Thorlabs. The approximate weight of this Nikon objective is listed in the engineering drawing (AutoCAD pdf) as 0.13 kg. Gerd Wiebusch
 (posted 2020-02-19 14:54:40.183) Dir Sirs,
is it possible to test (borrow) this new objective before buying?
Best regards
Gerd Wiebusch llamb
 (posted 2020-02-20 04:07:44.0) Hello Gerd, thank you for your interest in Thorlabs products. Unfortunately we will not be able to offer loan/test units on our objective lenses. user
 (posted 2019-08-08 12:55:18.337) The diameter of the front glass of this objective is 6 mm and not 6.4 mm mentioned in your Auto CAD PDF file. I appended the link from the manufacturer.
https://www.microscope.healthcare.nikon.com/images/diagrams/Optics/CFI75-Water-Dipping-Series/cfi75_lwd_16x_w.svg llamb
 (posted 2019-08-08 03:17:25.0) Thank you for bringing this to our attention. We will update our online drawings accordingly. |


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Figure G1.1 ライトシート顕微鏡セットアップ内の対物レンズTL20X-MPL。大きなアプローチ角と長い作動距離(WD)により、狭いイメージング領域に設置可能です。
- 格子ライトシート顕微鏡のための励起光用対物レンズとして設計
- 無限遠補正、アポクロマート補正
- 200 mmチューブレンズ使用時の倍率は20X
- Water Dipping用の水密構造
- M25 x 0.75ネジ付き
Water Dipping用対物レンズTL20X-MPLは、主として励起光用の対物レンズとして設計されており、特に格子ライトシート多光子顕微鏡や、焦点領域近傍にスペースを確保しにくいアプリケーションに適しています。作動距離が長く、外径も小さいうえに、先端のアプローチ角も大きいため、設置時に占めるスペースを最小限に抑えることができます。従って、試料の近くで他の光学素子やツールを操作しなければならない多くの生理学に関するアプリケーションでご利用いただけます。
Figure G1.1では、ベッセルビーム格子ライトシート多光子顕微鏡において、対物レンズTL20X-MPLを励起光用として使用する方法を示しています。5.5 mmの長い作動距離は、対物レンズTL20X-MPLをイメージング用対物レンズに隣接して設置するときに、そのスペースを確保するのに有用です。また格子ライトシート顕微鏡に必要とされる大きな励起シートを形成するのにも有用です。
TL20X-MPLの倍率は20Xで、当社の浸水対物レンズ(Water dipping/immersion)の中で最も作動距離が長くなっています。アポクロマート設計により、400 nm~900 nmにおいて優れた色収差補正の性能を有します。仕様の波長範囲にわたってほぼ回折限界の性能を有します。レンズの性能データについてはTable G1.2の青いInfoアイコンをクリックしてご覧ください。
この対物レンズは生物試料に対して無害な2液型の特殊な接着剤で密封されています。TL20X-MPLはM25 x 0.75ネジ付きで、当社の
DIY Cerna®システムにも対応しています。当社ではM32 x 0.75ネジに変換するためのアダプタM32M25Sをご用意しています。

Protective Accessories | |
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Objective | Objective Case |
N25X-APO-MP | Lid: OC2M32 Canister: OC24 |
N25X-APO-MP1300 | |
N40XLWD-NIR | Lid: OC2M25 Canister: OC24 |
N40X-NIR | |
N40X-NIR |
- 多光子イメージングおよび生命科学分野でのアプリケーションに適した製品
- 無限遠補正、アポクロマート補正
- 仕様に示す倍率は200 mmチューブレンズ使用時の値
- M32 x 0.75またはM25 x 0.75のネジ付き
こちらのNikon製アポクロマート水浸対物レンズ(Water Dipping)は、25X、40X、60Xの倍率でご用意しています。これらのアポクロマートレンズは、近赤外域を含む仕様波長範囲において、優れた色収差補正の性能を有します。 蛍光顕微鏡、 明視野顕微鏡、近赤外域を含むDIC顕微鏡などに適しています。
対物レンズN25X-APO-MPおよびN25X-APO-MP1300には、回転式のカバーガラス用補正環が付いており、厚さ0~0.17 mmのカバーガラスによる収差を補正します。0 mmとした場合は、カバーガラス無しでWater dipping対物レンズとして使用することができます。対物レンズN40XLWD-NIRには、厚さ0.15~0.19 mmのカバーガラス用の補正環が付いています。こちらの3種類全ての対物レンズの筐体はバネで伸縮するようになっており、レンズと試料の衝突によるダメージを軽減します。
こちらの対物レンズを他のネジ規格でご使用の場合は、顕微鏡対物レンズ用ネジアダプタのページをご覧ください。
Item # | Wavelength Range | M | WD | EFL | NA | EPa | PFL | Coverslip Correctionb | Immersion Method | Objective Threading |
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N25X-APO-MP | 380 - 1050 nm | 25X | 2.0 mm | 8.0 mm | 1.10 | 17.6 mm | 75 mm | 0 - 0.17 mm | Water Dipping or Water Immersion (Coverslip) | M32 x 0.75 4.7 mm Depth |
N25X-APO-MP1300 | 420 - 1400 nm | |||||||||
N40XLWD-NIR | 360 - 1100 nm | 40X | 0.59 - 0.61 mm | 5.0 mm | 1.15 | 11.5 mm | 60 mm | 0.15 - 0.19 mm | Water Immersion (Coverslip) | M25 x 0.75 5.1 mm Depth |
N40X-NIR | 380 - 1100 nm | 3.5 mm | 5.0 mm | 0.80 | 8.0 mm | N/A | Water Dipping | |||
N60X-NIR | 60X | 2.8 mm | 3.3 mm | 1.0 | 6.7 mm |
*価格について - こちらの製品は新設研究室サポートプログラムをはじめとするすべてのお値引きの対象外となります。予めご了承ください。

Protective Accessories | |
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Objective | Objective Case |
N10XW-PF | Lid: OC2M25 Canister: OC24 |
N16XLWD-PF | Lid: OC2M32 Canister: OC24 |
- 多光子イメージングおよび生命科学分野でのアプリケーションに適した製品
- 無限遠補正されたプランフルオール設計
- 仕様に示す倍率は200 mmチューブレンズ使用時の値
- M32 x 0.75またはM25 x 0.75のネジ付き
こちらのNikon製プランフルオール(プランフルオリート)水浸対物レンズ(Water Dipping)は、10Xまたは16Xの倍率でご用意しています。プランフルオール対物レンズでは平坦な焦点面が形成され、複数の波長に対して球面収差と色収差が補正されます。こちらの対物レンズはどちらも蛍光顕微鏡、明視野顕微鏡、 DIC 顕微鏡にお使いいただけますが、対物レンズN10XW-PFは波長360 nmまで補正されているためUV蛍光顕微鏡にも適しています。
こちらの対物レンズを他のネジ規格でご使用の場合は、顕微鏡対物レンズ用ネジアダプタのページをご覧ください。
Item # | Wavelength Range | M | WD | EFL | NA | EPa | PFL | Coverslip Correction | Immersion Method | Objective Threading |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
N10XW-PF | 360 - 1500 nm | 10X | 3.5 mm | 20 mm | 0.30 | 12.0 mm | 60 mm | N/A | Water Dipping | M25 x 0.75 5.1 mm Depth |
N16XLWD-PF | 380 - 1100 nm | 16X | 3.0 mm | 12.5 mm | 0.80 | 20.0 mm | 75 mm | M32 x 0.75 5.0 mm Depth |
*価格について - こちらの製品は新設研究室サポートプログラムをはじめとするすべてのお値引きの対象外となります。予めご了承ください。

- 蛍光顕微鏡および生命科学分野でのアプリケーションに適した製品
- 無限遠補正されたプランフルオール設計
- 180 mmチューブレンズ使用時の倍率は20X
- M25 x 0.75ネジ付き
こちらのOlympus製プランフルオール(プランフルオリート)水浸対物レンズ(Water Dipping)の倍率は20Xで、400~900 nmの波長範囲で軸上色収差を補正します。プランフルオール対物レンズでは平坦な焦点面が形成され、複数の波長に対して球面収差と色収差が補正されます。蛍光顕微鏡、明視野顕微鏡、DIC 顕微鏡などにお使いいただけます。
N20X-PFHはM25 x 0.75ネジ付きです。当社ではM32 x 0.75ネジに変換するためのアダプタM32M25Sをご用意しています。N20X-PFHは大きな入射瞳径(EP)を有し、焦点距離180 mmのチューブレンズ用に設計されています。
Item # | Wavelength Range | M | WD | EFL | NA | EPa | PFL | Coverslip Correction | Immersion Method | Objective Threading |
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N20X-PFH | 400 - 900 nm | 20X | 2.00 mm | 9.0 mm | 1.00 | 18 mm | 75 mm | N/A | Water Dipping | M25 x 0.75 5.8 mm Depth |
*価格について - こちらの製品は新設研究室サポートプログラムをはじめとするすべてのお値引きの対象外となります。予めご了承ください。