歪ゲージ付きピエゾアクチュエーター
- Co-Fired and Discrete Stack Options
- Strain Gauges Attached to Actuators in Wheatstone Bridge Circuit Configuration
- Pre-Amplification Circuit Available for Use with Strain Gauge Reader
PZS001
Co-Fired Piezo Actuator, 17.4 µm Stroke
6.0 mm x 7.0 mm x 20.0 mm
AMP002
Strain Gauge Pre-Amp Circuit
PK4FYC2
Discrete Stack Piezo Actuator, 38.5 µm Stroke
7.3 mm x 7.3 mm x 36.0 mm
PC4GRC2
Co-Fired Piezo Actuator, 21.0 µm Stroke
8.5 mm x 9.5 mm x 20.0 mm
Please Wait
Piezo Selection Guide |
---|
Piezoelectric Ceramic Stacks |
Discrete, Square |
Discrete, Square with Through Hole |
Discrete, Round |
Discrete, Ring |
Discrete, Hermetically Sealed |
Discrete, Shear (1D to 3D Positioners) |
Co-Fired: Square, Square with Through Hole, Round, & Ring |
Co-Fired or Discrete: Square with Strain Gauges |
Piezoelectric Crystal Stacks |
Square |
Piezoelectric Chips |
Mounted Piezoelectric Actuators |
Ultrasonic Piezo Chips & Transducers |
Vibrating Piezo Actuator |
特長
- エポキシ樹脂のコーティングにより粗雑な取扱いや、機械的・化学的な汚染から保護
- 閉ループ動作用に設計
- 最大変位量:9.0 µm~100.0 µm
- 最大駆動電圧:75 V、100 V、150 V
- 歪ゲージリーダKSG101に対応するプリアンプ回路
ピエゾアクチュエータは、それぞれ4つの抵抗歪ゲージで構成されたホイートストーンブリッジ回路がピエゾアクチュエータに直接接着されています。 これらのアクチュエータは閉ループシステム用に設計されており、モニタされた歪ゲージの信号はピエゾを制御する駆動電圧を決定するのに用いられます。開ループ動作と異なり、閉ループ動作ではその変位量は制御され、動作中の変位情報も取得できます。閉ループ動作は、ヒステリシスの補償にも使用されます。
4つの箔歪ゲージは、アクチュエータを密封する耐久性のあるエポキシ樹脂コーティングに取り付けられ、リード線は歪ゲージ回路の端子にはんだ付けされています。2つのゲージは隣り合わせでアクチュエータの1面に、ほかの2つのゲージはその反対側の面に接着されています。ゲージの各ペアでは、1つがアクティブ、1つがパッシブです。アクティブゲージは、アクチュエータの長さの変化に対する応答が最大となる方向に取付けられます。パッシブゲージはアクチュエータの長さの変化に対する応答が最小となる方向に取り付けられます。これは主に温度の変化に応答し、歪測定における温度の影響を低減します。
どちらもアクチュエータのプラスとマイナスの電極にリード線がはんだ付けされています。共焼成積層型ピエゾアクチュエータは、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の層と電極を交互に配置したあと、1つのモノリシック構造に焼結して作られます。多段チップ型ピエゾアクチュエータは、個々に焼結された複数のチップ型ピエゾアクチュエータをエポキシ樹脂とガラス製ビーズで接着して組み立てます。また2つのアクチュエータは導電体と絶縁方法が異なります。詳細については「動作」タブをご覧ください。
当社ではこちらのピエゾアクチュエータには歪ゲージリーダKSG101とプリアンプ回路AMP002(下記参照)のご使用をお勧めしております。
使用方法
アクチュエータPZS001に負荷を取り付ける場合は、室温硬化のエポキシ樹脂接着剤の使用をお勧めいたします。その他のピエゾアクチュエータに負荷を取り付ける場合は、接着剤EPO-TEK 353NDやLoctite® Hysol® 9340など、80 °C以下の温度で硬化するエポキシ樹脂接着剤のご使用をお勧めします。ピエゾアクチュエータに機械的な負荷を取り付ける場合、トルクを発生させないために、負荷がアクチュエータの端面の中央にかかるようにすることが重要です。アクチュエータを組み込む際にプリロードを負荷するように設計されている場合は、その大きさはブロッキングフォース(Blocking Force)の仕様値の50%を超えないように設定することをお勧めします。詳細は「取扱い」タブをご覧ください。
こちらの多段チップ型ピエゾアクチュエータと共焼成積層型アクチュエータPZS001については、赤のリード線をアクチュエータ駆動用電源の高電圧側に接続しなければなりません。以下に示すその他の共焼成積層型アクチュエータの場合は、緑のリード線を電源の高電圧側に接続してください。ピエゾアクチュエータを逆バイアス電圧では駆動しないでください。デバイスが破損する可能性があります。ピエゾアクチュエータは、液体の中、あるいは可燃性のガスまたは液体があるところでは使用しないでください。また、有機溶剤での洗浄はしないでください。
多段チップ型アクチュエータ、歪ゲージ付き
共焼成積層型アクチュエータ、歪ゲージ付き
AMP002のピン接続
Dタイプ オス型
PIN | Function |
---|---|
1 | Oscillator Input |
2 | + 15 V Input Supply |
3 | - 15 V Input Supply |
4 | 0 V Supply |
5 | Amplifier Output |
6 | 0 V Supply |
7 | ID Resistor Connection |
8-9 | N/C |
使用上の注意点
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図1: ピエゾアクチュエータの絶縁方法:
(a)標準のチップ型および多段チップ型ではチップ内部(In-Chip)で絶縁、
(b)共焼成積層型アクチュエータでは積層上(On-Stack)で絶縁
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図2: 静止時のロッドの長さはLで、歪による伸びはΔLです。
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図3: 金属箔歪ゲージの導電体は、電極パッド間をグリッド状のルートを経由して接続しています。上に示す軸に沿った力に対して、応答は最大になります。
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図4: 4つの歪ゲージはホイートストンブリッジを構成し、2つがアクティブ抵抗、2つがパッシブ抵抗のアームになります。パッシブアームは歪測定時における温度変化の影響を最小化するのに寄与します。上に記載されているワイヤの色は、PK4FYC2、PC4QMC2、PC4QQC2、PC4GQC2およびPC4GRC2のワイヤの色に一致しています(PZS001の-Vexワイヤは白色です)。
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図5: 各歪ゲージのペアにおいて、1つはアクティブ、1つはパッシブです。アクティブゲージは上に示す軸に沿った力に対して最大の応答をするように配置されています。パッシブゲージはそれに対して直交する方向に配置されています。
共焼成チップ型、共焼成積層型、多段チップ型ピエゾアクチュエータ
当社の共焼成チップ型と 共焼成積層型のアクチュエータ は、一般的には類似した構造をしています。どちらも電極層と焼結前のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のピエゾ層を交互に積み上げています(高温でもお使いいただける BiScO3-PbTiO3 (BSPT) 製ピエゾ層を用いた共焼成チップ型ピエゾアクチュエータもご用意しています)。積み上げられた構造はその後1つのモノリシックユニットに焼結されます。極性の異なる電源電極は互いに反対側に取り付けられています。各層ごとの内部電極は、隣り合う内部電極が同じ極性を持たないように、電源電極のどちらか一方と接続されます。共焼成チップ型と共焼成積層型のピエゾアクチュエータの最も大きな違いは、内部電極を極性が反対の電源電極から絶縁する方法です。これらの絶縁方法はアクチュエータの機械的特性に影響します。2つの異なる方法で作られたアクチュエータを図1に示します。
チップ型(In-Chip Insulation)の場合、反対の極性の内部電極が交互に積み重ねられています。内部電極層はピエゾ層の全幅より短くなっています。極性が同じ電極はチップの一方の端に揃えられており、もう1つの極性の電極はチップの反対側の端に揃えられています。電極が反対側の末端まで達していないため、その電極の先端部分はPZTまたはBSPTで囲まれた状態になります。電極の先端を囲むPZTまたはBSPTは絶縁体であり、それにより反対の極性の電源電極から絶縁されます。この電極の絶縁方法では、電極の先端部に応力の発生する領域が生じます。応力は電極両端での厚さの急激な変化と、電極間のPZTまたはBSPTが駆動電圧信号に応答したときに、電極の先にある絶縁体のPZTまたはBSPTが応答しないことで生じる引張応力によって発生します。この応力により、この手法を用いて作られるチップの最大高さは制限されます。チップの高さは、発生する内部応力が小さく、チップの寿命や性能に影響を及ぼさない範囲に制限されます。チップは、エポキシ樹脂コーティングよりも優れた耐湿性と耐熱性のあるセラミック層で封じられています。
チップの高さ、つまりピエゾアクチュエータの最大ストロークを大きくする方法として、それらのチップを重ねて多段チップ型のピエゾアクチュエータを構成する方法があります。この方法では複数のチップをガラスビーズとエポキシを使用して直列に接着します。多段チップ型は共焼成チップ型や積層型に比べて長いアクチュエータを作ることができ、サブミリ秒の応答時間と低電圧駆動という特性を保持したまま、大きな変位量を得ることができます。構成要素のチップがすべてセラミックバリア層内に密閉されるため、多段チップ型の方がエポキシ樹脂コーティングで密閉された共焼成積層型よりも湿度と熱への耐性に優れています。
共焼成積層型(On-Stack Insulation)の場合、電極はPZT層の全幅にかかります。電極は、反対極性の電源電極の側面も含めて、アクチュエータの全側面まで伸びています。内部電極の端はアクチュエータの側面にあるガラスのフィラメントにより電源電極から絶縁されます。精密に局所化されたガラスフィラメントは、内部電極を電源電極から絶縁するとともに、フィラメントで覆われる表面も最小限に抑えています。そのため、電源電極から内部電極への接続性能を低下させることなく、またアクチュエータの動作にも影響を与えません。電極が全幅をカバーするこの絶縁方法を使用したピエゾアクチュエータでは、発生する内部応力が均一であるという特徴があります。共焼成積層型では、従ってIn-Chip Insulation方法を使用して作られるチップ型よりも高く積層したアクチュエータを作ることができます。共焼成積層型は、ガラスビーズエポキシによる不活性な接着層がある多段チップ型よりもアクティブなPZTの割合が高くなっています。これらはエポキシ樹脂でコーティングされています。
取り付けられた歪センサで歪みを測定する方法
歪εは加わった力に対する物体の変形量を表し、長さLの変化率で定義されます。図2を参照してください。
金属箔歪ゲージは、微小歪と言われる小さな歪の測定によく用いられます。箔ゲージは試験対象の物体に取り付けて使用されます。物体の歪は直接歪ゲージに伝達され、ゲージは物体とともに伸縮します。箔歪ゲージの電気抵抗は、導電素子の長さに対して線形的に変化するため、歪ゲージの抵抗をモニタすることにより歪が測定できます。導電体のグリッドパターンを図3に示しますが、記載された軸に沿って張力または圧力が負荷された時に導電体の変形は最大になります。それに直交する方向に力が負荷されたときには、導電体の寸法や電気抵抗にはわずかな影響しか現れません。
図4のホイートストーンブリッジ回路に用いられた4つの箔ゲージは、一般に抵抗の微小な変化の測定に使用されます。この分圧回路の4つのゲージは、ホイートストーンブリッジのそれぞれ独立した抵抗アームとして機能します。回路には励起電圧Vexをかけ、出力電圧Voを測定します。出力電圧は、歪によって変動する4つのアームの抵抗とともに変化します。
当社のピエゾアクチュエータの場合、4つのゲージのうちの2つがアクチュエータの1面に隣接して接着されています。ほかの2つのゲージはアクチュエータの反対側に同様に接着されています。各ペアの1つのゲージは、アクティブゲージとしてアクチュエータの伸縮方向に沿って配置され、もう1つのゲージはそれに直交して配置されます(図5参照)。アクティブゲージは、アクチュエータの長さの変化に対して最大の応答をする方向に配置されています。もう一方のパッシブゲージは、アクチュエータの長さの変化にはわずかにしか応答せず、その抵抗値の変化は主に温度変化に対する応答です。金属箔ゲージの抵抗は温度にも歪にも影響されるので、回路にパッシブゲージを組み込むのは、歪測定で温度変化による影響を最小に抑えたい場合の1つの方法です。
歪ゲージの感度は、電気抵抗Rの変化率と長さの変化率の比で定義され、ゲージ率と呼ばれています。
当社のすべてのピエゾアクチュエータのゲージ率は2です。
歪はゲージ率、励起電圧、そして出力電圧の測定値を用いて計算します。
当社のピエゾアクチュエータでは、利便性のために製造時に歪ゲージのはんだタブにワイヤを取り付けています。ワイヤのゲージは0.5 mmで、機能が特定できるように色分けされています。赤ワイヤは+Vex、黒ワイヤは-Vex(PZS001の-Vexには白ワイヤ)、青ワイヤは+Vo、黄ワイヤは-Voに接続されています。
当社では、ピエゾアクチュエータからの歪センサ信号は、プリアンプ回路AMP002で増幅してからKSG101などの歪ゲージリーダに接続することをお勧めしています。歪の小さな変化を測定するために金属箔ゲージを使用する場合は、測定する前にセンサの信号を増幅するのが一般的です。
金属箔歪ゲージを使用してピエゾアクチュエータの歪を測定する方法については、歪ゲージのチュートリアルをご覧ください。
電源接続
このデバイスには、電極に接続されたワイヤを使用して正バイアスを印加する必要があります。正の極性のワイヤに正のバイアスを印加し、もう一方のワイヤは接地してください。デバイスに負のバイアスを印加すると機械的故障につながる可能性があります。正のバイアスを印加するワイヤは赤色または緑色、接地用のワイヤは黒色または白色になっています。
ピエゾアクチュエータへの負荷の取付け
ピエゾセラミックは脆弱で、許容張力も高くはありません。アクチュエータに対して横方向の力や曲げの力がかからないようにしてください。圧縮方向の外部負荷でも、それに曲げモーメントが伴う場合、ピエゾデバイス内部に高い引っ張り応力が発生することがあります。そのように負荷のかけ方が正しくない場合には、ピエゾアクチュエータには破損の原因となるような内部応力が容易に発生します。破損を防ぐには、アクチュエータにかかる荷重がアクチュエータの軸に沿って伝達されるように外部負荷を取り付けることが必要です。負荷はできる限りアクチュエータの取付け面の中心部にかかるようにし、また取付け面に対してできるだけ均一にかかるようにしてください。平坦な取付け面の付いたアクチュエータに平坦な面を有する負荷を取り付ける場合は、2つの面が十分に平坦で滑らかであること、また取付けの平行性も十分であることを確認してください。外部負荷の方向とアクチュエータの軸に角度がある場合は、半球状のエンドプレートまたはフレクシャージョイントを装着したアクチュエータを使用して、アクチュエータに対して安全に荷重がかかるようにしてください。
当社のAEシリーズピエゾアクチュエータに負荷を取り付ける際には、室温硬化のエポキシ樹脂接着剤の使用をお勧めいたします。ピエゾアクチュエータPC4FLに負荷を取り付ける場合は、EPO-TEK 353NDやLoctite® Hysol® 9340など、80 °C以下の温度で硬化するエポキシ樹脂をご使用ください。負荷は必ずピエゾアクチュエータの変位する面に取り付けてください。この面にはコーティングがありません。当社の共焼成積層型ピエゾアクチュエータのコーティングされた面は変位せず、この面に負荷を取り付けるとアクチュエータの機械的故障につながる恐れがあります。ピエゾアクチュエータPC4FLには、内部応力を最小に抑えるためのアクセサリであるØ5 mm半球状エンドプレートPKFESP(25個入りパック)や円錐形エンドカップ PKFCUP(10個入りパック)の取付けが可能です。以下では、エンドプレートを装着したピエゾアクチュエータに負荷を取り付ける際の正しい方法と誤った方法について説明しています。
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図6: 平面プレート(A、誤)と半球状のプレート(B、正)をそれぞれ装着したピエゾアクチュエータを使用してレバーアームを動かしている様子)
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図7: 負荷をPZTアクチュエータに取り付ける正しい方法と誤った方法
左の図では、レバーアームを動かす際の誤った方法(A、左側の図)と正しい方法(B、右側の図)を示しています。正しい方法では半球状のエンドプレートが使用され、レバーアームの角度にかかわらず荷重は分散されてアクチュエータ全体に伝達されます。左側の図はピエゾアクチュエータとレバーアームの誤った取付け方法で、全ての荷重がピエゾアクチュエータの一端にかかっています。このような不均一な負荷は、曲げモーメントのようなアクチュエータにとって危険な応力を発生する可能性があります。
右図では、ピエゾアクチュエータに平坦な底面を有する軸外負荷を取り付ける際の誤った方法(左側の図、A)と3つの正しい方法を示しています。AならびにBは、左の図で示されている、誤った方法と正しい方法に似ています。正しい方法であるCでは、取付け面としてPKFCUPのような円錐形のエンドカップを使用しています。負荷とは平面で接し、凹面がエンドプレートの半球状のドームに接しています。正しい方法のDでは、フレクシャーマウントで軸外負荷とアクチュエータのそれぞれのフラットな取付け面を接続しています。フレクシャーマウントにより、負荷がアクチュエータのプレート表面に均一に分散され、荷重はアクチュエータ全体にかかっています。
高い周波数で動作させる場合
高い周波数で動作させるには、外部に温度制御システムを取り付けてデバイスを冷やす必要がある場合があります。高い周波数でピエゾ素子を動作させると、デバイスの内部温度が上昇します。デバイス温度の駆動周波数に対する依存性については、下記の赤いアイコン()をクリックしたのち、Spec Sheetでご覧いただけます。デバイスの温度は、仕様の最大動作温度を超えてはいけません。
負荷荷重と共振周波数の関係
多くの用途において、ピエゾアクチュエータの長さがどの程度の速度で変化するかということは重要なパラメータです。長さが変化する速度は、ピエゾアクチュエータの帯域幅(共振周波数)、ドライバの最大帯域幅(スルーレート)、ピエゾアクチュエータの静電容量、駆動信号の振幅など、様々な要因に依存します。電圧によって伸びる長さ(伸長値)は、アクチュエータ駆動電圧とピエゾアクチュエータの長さの関数になります。静電容量が大きくなるほど、アクチュエータの長さの変化は遅くなります。
印加電圧が急激に変化すると、ピエゾアクチュエータの長さも急速に変化します。印加電圧の大きさによりピエゾアクチュエータの伸長値が決定されます。駆動電圧信号がステップ関数の場合、アクチュエータの長さ変化の開始から終了までの最小時間Tminは、共振周波数の周期のおよそ1/3となります。ピエゾに負荷がかかっていない場合、共振周波数をƒoとすると、最小応答時間は以下の式で表わすことができます。
公称伸長値に達すると、この長さの近傍でアクチュエータが減衰振動します。振動を軽減するためのコントローラを組み込むこともできますが、それによりアクチュエータの応答性は低下します。
アクチュエータに負荷を加えると、ピエゾアクチュエータの共振周波数は低下します。負荷無しのアクチュエータの共振周波数が与えられている場合には、ピエゾアクチュエータの質量m、負荷の質量Mを用いて、負荷のある場合の共振周波数(ƒo')を以下の式で求めることができます。
ピエゾアクチュエータの帯域幅に関するチュートリアル
多くの高速用途では、ピエゾ素子の形状変化する速度を知ることが必須となります。 ピエゾコントローラとピエゾ積層の帯域幅は、下記の数値がわかることで、計算で求められるようになります。
- コントローラが供給可能な最大電流量。下記で例としてとりあげられているBPCシリーズのピエゾコントローラでは、この数値は0.5 Aです。
- ピエゾ素子の負荷容量。容量が大きいほどシステムは遅くなります。
- 信号振幅の最適値(V)。この振幅がピエゾ素子の伸長寸法を決定します。
- ドライバの最大帯域幅。この数値は駆動負荷に依存しません。
出力コンデンサを駆動する際には、帯電と放電にそれぞれ電流が必要です。 帯電電荷の変化dV/dtはスルーレートと呼ばれています。 静電容量が大きいほど、必要とされる電流量は大きくなります。
例えば100 µmのピエゾ積層において静電容量が20 µFで、最大電流量が0.5 AのBPCシリーズピエゾコントローラで駆動されるとき、スルーレートは下記の数式で求められます。
したがって電圧が瞬間的に0 V から75 Vに変化するとき、出力電圧が75 Vに達するには3 msかかります。
注記: これらの計算式においては、ドライバの最大帯域幅は計算によって得られる帯域幅よりもずっと大きな値であり、ドライバの帯域幅は制限要因とならないことを前提としています。 なおこれらの数式が、開ループシステムにしか適用できない点にご注意ください。 閉ループモードでは、フィードバックループの応答の遅延がさらに帯域幅を制限します。
正弦波信号
システムの帯域幅は、通常は所定の振幅の正弦信号に対するシステムの応答により規定します。 正弦信号のピーク振幅がA、ピーク‐ピーク電圧がVpp、そして周波数がfの条件で駆動されているピエゾ素子については、以下の数式が成立します。
右の図は、時間の経過とともに変化する電圧を表しています。 スルーレートの最大値、または電圧の最大の変化は、t = 2nπ, (n=0, 1, 2,...)が成立する時点となり、右図では点 aで示されています。
上記の数式から下記が導出できます。
それゆえに下記が成立します。
上記の例では最大電圧(75 V)での帯域幅は下記の値になることがわかります。
.
ピエゾが小さく、静電容量が1/10になると、結果は10倍向上して約1060 Hzとなります。 また、積層が100 µmのままであっても、ピーク‐ピーク電圧が7.5 V(10% の最大振幅値)であれば、結果は同様に10倍向上して約1060 Hzとなります。
三角波信号
ピエゾアクチュエータが三角波で駆動される場合、最大電圧がVpeakで、最小電圧が 0の時、スルーレートは勾配もしくは下記に等しくなります。
.
あるいはf = 1/Tであるので、下記が導出できます。
矩形波信号
ピエゾアクチュエータが矩形波で駆動される場合、最大電圧がVpeakで、最小電圧が 0の時、スルーレートが最小の立ち上がりと立ち下がりの数値を制限します。この条件では、信号の立ち上がりまたは立ち下がりの途中では、スルーレートは勾配に等しくなります。 trが最小立ち上がり時間であるとき、下記の数式が成り立ちます。
この式により、下記の数式が成立することもわかります。
.
ピエゾの動作や理論についてはピエゾ素子のチュートリアルをご参照ください。
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- 耐性の高いエポキシ樹脂コーティング
- セラミック製エンドプレート
- 最大変位量:11.2 µm~100.0 µm
- 歪ゲージの回路配置により、歪測定に対する温度の影響を最小化
こちらの多段チップ型アクチュエータには、それぞれフルブリッジ歪ゲージが付いています。フルブリッジ歪ゲージでは、4つの金属箔歪ゲージがホイートストーンブリッジを構成するように接続されています。各歪ゲージの抵抗値は350 Ω、ゲージ率は2です。歪ゲージコントローラは、歪ゲージからのフィードバック信号を用いて、ピエゾアクチュエータを線形動作させます。KSG101のような歪ゲージリーダを使ってフィードバック信号をモニタするには、まず信号を下記のAMP002のようなプリアンプ回路に接続する必要があります。アクチュエータPK4FYC2およびPK3HUC2をAMP002に適切に接続するには、3 kΩの抵抗器(付属しておりません)が必要です。同様に、アクチュエータPK4GA7C2をAMP002に適切に接続するには、18 kΩの抵抗器(付属しておりません)が必要です。抵抗器の使用方法はプリアンプ回路AMP002のマニュアルをご参照ください。アクチュエータPK2FMC2の場合は、AMP002に接続するための抵抗器は必要ありません。
アクチュエータの電極と歪ゲージ回路の電気接続部にはワイヤが取り付けられています。アクチュエータの電極には、歪ゲージに取り付けられたワイヤよりも大きな径のワイヤが取付けられています。赤と黒の歪ゲージリード線は、歪ゲージへの入力電圧(ブリッジ励起電圧)の供給用です。青と黄の歪ゲージリード線は、歪ゲージからの出力電圧のモニタ用です。詳細については「取扱い」タブをご覧ください。
駆動後のピエゾアクチュエータには電荷が蓄積しています。赤と黒のワイヤを直接接続すると放電し、火花の発生や、さらには故障する危険性もあります。この電荷を解放するために、当社では赤と黒のワイヤの間に抵抗(>1 kΩ)を挿入することをお勧めしています。
Item #a,b | Maximum Drive Voltage | Displacement (Free Stroke)c | Actuator End Face Area | Actuator Length | Resonant Frequencyd,e | Recommended Preload | Capacitancef | Blocking Forceg |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
PK2FMC2 | 75 V | 11.2 µm ± 15% | 5.0 mm x 5.0 mm | 10.5 mm | 115 kHz ± 15% | < 400 N (90 lbs) | 4.2 µF ± 15% | 1000 N (225 lbs) |
PK3HUC2 | 100 V | 32.0 µm ± 15% | 10.0 mm x 10.0 mm | 30.0 mm | 41 kHz ± 15% | < 1600 N (360 lbs) | 21.0 µF ± 15% | 4000 N (899 lbs) |
PK4FYC2 | 150 V | 38.5 µm ± 15% | 5.0 mm x 5.0 mm | 36.0 mm | 34 kHz ± 15% | < 400 N (90 lbs) | 3.5 µF ± 15% | 1000 N (225 lbs) |
PK4GA7C2 | 150 V | 100.0 µm ± 15% | 7.0 mm x 7.0 mm | 90.0 mm | 14 kHz ± 15% | < 785 N (176 lbs) | 16.0 µF ± 15% | 1960 N (441 lbs) |
- 耐久性の高いエポキシ樹脂コーティング
- 最大変位量:9.0~21.0 µm
- 歪ゲージの回路配置により、歪測定に対する温度の影響を最小化
こちらの共焼成積層型アクチュエータには、それぞれフルブリッジ歪ゲージが付いています。フルブリッジ歪ゲージでは、4つの金属箔歪ゲージがホイートストーンブリッジを構成するように接続されています。各歪ゲージの抵抗値は350 Ω、ゲージ率は2です。歪ゲージコントローラは、歪ゲージからのフィードバック信号を用いて、ピエゾアクチュエータを線形動作させます。KSG101のような歪ゲージリーダを使ってフィードバック信号をモニタするには、まず下記のAMP002ようなプリアンプ回路に接続する必要があります。アクチュエータPC4WMC2は、AMP002の回路に適切に接続するために1.1 kΩの抵抗器(付属しておりません)が必要です。その他の共焼成積層型アクチュエータについては、AMP002に接続するための抵抗器は必要ありません。
アクチュエータの電極と歪ゲージ回路の電気接続部にはワイヤが取り付けられています。アクチュエータの電極には、歪ゲージに取り付けられたワイヤよりも大きな径のワイヤが取付けられています。赤と黒の歪ゲージリード線は、歪ゲージへの入力電圧(ブリッジ励起電圧)の供給用です。青と黄の歪ゲージリード線は、歪ゲージからの出力電圧のモニタ用です。 詳細については「取扱い」タブをご覧ください。
Item #a | Maximum Drive Voltage | Displacement (Free Stroke) | Actuator End Face Area | Actuator Length | Resonant Frequencyb,c | Recommended Preload | Capacitanced | Blocking Force |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
PC4QMC2e | 150 V | 9.0 µm ± 15%f | 5.0 mm x 5.0 mm | 10.0 mm | 115 kHz ± 10% | < 400 N (90 lbs) | 650 nF ± 15% | 1000 N (225 lbs)g |
PC4WMC2e | 150 V | 10.0 µm ± 15%f | 3.0 mm x 2.0 mm | 10.0 mm | 115 kHz ± 10% | < 100 N (22.5 lbs) | 180 nF ± 15% | 250 N (55 lbs)g |
PZS001 | 150 V | 17.4 ± 2.0 μm (± 11%) | 5.0 mm x 5.0 mm | 20.0 mm | 69 kHz | 425 N (95.5 lbs) Max | 1.40 µF ± 20% | 850 N (191 lbs) |
PC4QQC2e | 150 V | 19.0 µm ± 11%f | 5.0 mm x 5.0 mm | 18.0 mm | 65 kHz ± 10% | < 400 N (90 lbs) | 1.35 µF ± 15% | 1000 N (225 lbs)g |
PC4GQC2e | 150 V | 19.0 µm ± 11%f | 7.0 mm x 7.0 mm | 18.0 mm | 64 kHz ± 10% | < 800 N (180 lbs) | 2.5 µF ± 15% | 2000 N (450 lbs)g |
PC4GRC2e | 150 V | 21.0 µm ± 11%f | 7.0 mm x 7.0 mm | 20.0 mm | 59 kHz ± 10% | < 800 N (180 lbs) | 2.8 µF ± 15% | 2000 N (450 lbs)g |
AMP002のようなプリアンプ回路は、多くの場合、歪信号を増幅して歪ゲージリーダ側に送ることを要求されます。上記のピエゾアクチュエータに取り付けられた歪ゲージ回路のように、測定される歪が非常に小さいと出力信号も小さく、一般にプリアンプ回路は必須になります。
AMP002はフルブリッジ歪ゲージ用のプリアンプ回路で、取り外し可能なカバーが付いています。PCBの寸法は41 mm x 57 mmで、フルブリッジ歪ゲージのリード線をはんだ付けするための端子が4つと、歪ゲージリーダ接続用のD-sub 9ピンオス型コネクタが付いています。スタンドアローン型の歪ゲージリーダKSG101に接続するのに必要なケーブルも付属しています。利得を1~10,000倍の間で連続的に変化させる可変抵抗と、フルブリッジ歪ゲージのバランスをとるDCオフセット用の可変抵抗が付いています。このユニットを当社の歪ゲージリーダに接続すると、歪ゲージ回路に対して必要な入力電圧を供給します。
ピエゾアクチュエータの最大変位量によっては、アクチュエータをAMP002に接続する際、抵抗器(R6)が必要な場合があります。AMP002のマニュアルには、抵抗器の選び方の表と接続箇所を示した回路図が記載されています。AMP002の回路に接続するためには、アクチュエータPK4FYC2とPK3HUC2に3 kΩの抵抗器、PK4GA7C2に18 kΩの抵抗器が必要です。抵抗器はいずれも付属しておりませんので、別途ご用意いただく必要があります。PK2FMC2および共焼成積層型アクチュエータは、AMP002の回路に接続するための抵抗器は必要ありません。