円形ピエゾアクチュエーター、チップ型および多段チップ型、移動量2.8 µm~12.0 µm


  • Round Stacks and Chips with Ø5.0 mm or Ø8.3 mm
  • Up to 12.0 µm Maximum Free Stroke Displacement
  • Higher Drive Voltage and Displacement than Similar Square Piezos
  • Longer Lifetime than Square Piezos for Identical Operating Conditions

Silver Dot Indicates Positive Electrode

PK25FA2P2

Ø5.0 mm Stack with Flat Ceramic End Plates,
75 mm Wires

PA25FEW

Ø5.0 mm Chip, 75 mm Wires

PA25LE

Ø8.3 mm Chip, Bare Electrodes

Arrows Indicate Direction of Expansion

PA25FE

Ø5.0 mm Chip, Bare Electrodes

PKLEQ5

Ø8.3 mm, 0.5 mm Thick End Plate

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Electrodes with and without Dot
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銀色の●は正の極性を示しています(左上)。負の極性側には何も印は付いていません(右上)。

特長

  • Ø5.0 mmまたはØ8.3 mmの円形断面
  • チップ型は裸電極またはワイヤ付き
  • 多段チップ型はセラミック製のフラットエンドプレートとワイヤ付き
  • 駆動電圧範囲:0~200 V
  • 開ループシステム用
  • 真空用ならびに組み込み用途(OEM用途)に適した製品
  • カスタム仕様にも対応可能(詳細は当社までお問い合わせください)。
  • フラットエンドプレートを別売りでご用意

当社では円形ピエゾアクチュエータとして、裸電極付きのチップ型、ワイヤ付きチップ型、ならびに複数のチップをエポキシ樹脂とガラスビーズで接着した多段チップ型をご用意しています。チップ型はØ5.0 mmまたはØ8.3 mmのワイヤ付きおよびワイヤ無しでご用意しており、最大フリーストロークは、200 Vの駆動電圧でそれぞれ2.8 µm または3.3 µmです。Ø5.0 mmの多段チップ型の移動量は200 Vの駆動電圧で11.0 µm、Ø8.3 mmでは12.0 µmです。チップ型PA25FEWとPA25LEW、多段チップ型PK25FA2P2とPK25LA2P2には75 mmのワイヤが付いています。多段チップの平坦な端面にはセラミック製のエンドプレートが付いています。 コンパクトで軽量なため、精密移動システムに簡単に組み込むことができます。精密な研削加工により、設計値に対する加工精度は±5 µm以下です。

円形ピエゾ素子vs.四角形ピエゾ素子
円形のピエゾアクチュエータは四角のピエゾアクチュエータと比べていくつかの利点があります。こちらの円形のピエゾ素子では負荷が表面全体に均一に分散しますが、四角のピエゾアクチュエータではその鋭角的なコーナに応力が集中します。応力が集中する場所はほかの場所よりも簡単に亀裂が入りやすく、アクチュエータの故障の原因にもなります。応力による亀裂が発生しにくい円形のピエゾアクチュエータは、四角のピエゾアクチュエータよりも薄い層で作製することが可能なため、同じ駆動電圧でも大きい変位量が得られます。当社の円形ピエゾアクチュエータは、ストロークが最大になるように設計を最適化しています。さらに、同じ条件下で駆動した場合は円形ピエゾアクチュエータの寿命は四角のピエゾアクチュエータよりも長く、また円形ピエゾアクチュエータの方がより高い電圧で駆動可能です。円形ピエゾ素子の最大定格駆動電圧は200 Vですが、四角のピエゾ素子では150 Vとなります。断面が四角のピエゾアクチュエータは、四角(長方形)の方が設置しやすいコーナ等に設置する場合や、低コストのアクチュエータをお探しの場合に適しています。

チップ型ピエゾアクチュエータの構造と使用方法
チップ型ピエゾアクチュエータは、積層された圧電セラミック層から形成されます。各層に電極をスクリーン印刷し、等方加圧してチップを形成します。これらの電極は電気的に並列です。各チップの外径面ならびに上面と底面はセラミックの絶縁層で覆われています。駆動電圧は外径面にスクリーン印刷された2つの電極に印加します。これらのチップ型と多段チップ型のアクチュエータには、正バイアスをかける電極に銀色のドットが付いています(上の写真参照)。ワイヤ付きアクチュエータの場合は、赤いワイヤが正の電極にはんだ付けされています。

Piezo Tutorial

こちらのアクチュエータの最大変位量は、各製品に規定されている最大変位用負荷をプリロードすることによって得られます。実際の最大変位量は製品によって異なり、実験的に決定する必要があります。しかし最大変位量は必ずフリーストローク変位量よりも大きくなります。チップ型ピエゾアクチュエータに負荷を取り付ける際は、荷重がアクチュエータの軸に沿って伝達されるようにしてください。詳細については「取扱い」タブをご参照ください。

様々な負荷条件に対応できるように、こちらのアクチュエータのアクセサリとして、セラミック製のフラットエンドプレート も別途ご用意しています。

チップ型ピエゾアクチュエータの寸法、電圧範囲、コーティングについてはカスタム仕様によるご注文も承ります。また、大量注文にも対応可能です。詳細については当社までお問い合わせください。

Piezo Manufacturing

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PZTブロックを個々の素子に切断する様子

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バインダのバーンアウトおよび焼結後のPZT素子

当社におけるピエゾアクチュエータの製造について

チップ型ピエゾの製造やその多段化の作業は当社の施設内で行い、各製造工程を当社で管理しております。これにより、特注や組み込み用途(OEM用途)のデバイスなどを高品質かつ安価でご提供することが可能になります。当社におけるチップ型ピエゾの製造工程の概要は以下の通りです。詳細については、ピエゾ素子の製造能力のページをご参照ください。

  • チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)またはBiScO3-PbTiO3 (BSPT)の粉末で形成されたフレキシブルシートからブロックを作成
    • 各シート上に内部電極をスクリーン印刷
    • 印刷したシートを積み重ねて層を形成  
    • 層状のシートを等方プレス
  • ブロックを個々の素子にダイシング(切断)
  • 素子に熱処理を施して溶媒やバインダ材の残留物を除去
  • 素子を焼結して圧電性の圧粉を融着させ、PZTまたはBSPT結晶を生成
  • 厳しい寸法公差(±5 µm)を得るために、素子をラップ研磨
  • 素子に外部電極をスクリーン印刷
  • 素子を分極処理して、PZTまたはBSPT結晶の軸を揃える

使用上の注意点

Mechanical Drawing of Unwired Chip
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図1: TA0505D024Wの概略図。正の電極に近い側に+マークが付いています。
Mechanical Drawing of Unwired Chip
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図2: PK4DMP2の概略図。正の電極に近い側に+マークが並んでいます。

電源接続
このデバイスには、正バイアスを印加する必要があります。正の極性のワイヤに正のバイアスを印加し、もう一方のワイヤは接地してください。デバイスに負のバイアスを印加すると機械的故障につながる可能性があります。ワイヤが付いた状態で出荷される製品については、赤色が正極性のワイヤです(製品写真をご参照ください)。ワイヤ付きのチップ型アクチュエータでは、赤いワイヤは+マークが付いた側の電極(図1参照)に接続されています (製品によっては、銀色の●が正の極性を示す場合もあります)。多段チップ型アクチュエータでは、赤いワイヤは+マーク(または銀色の●)が並んでいる側に接続されています(図2参照)。接地するワイヤは黒色で、正の電極が接続されている面の反対側に接続されています。

注:駆動後のピエゾアクチュエータには電荷が蓄積しています。プラスとマイナスのワイヤを直接接続すると放電し、火花の発生や、さらには故障する危険性もあります。 この電荷を解放するために、当社ではワイヤの間に抵抗(>1 kΩ)を挿入することをお勧めしています。

プリロード
こちらのアクチュエータの最大変位量は各製品に規定されている最大変位用負荷をプリロードすることによって得られます。実際の最大変位量は製品によって異なり、実験的に決定する必要があります。しかし最大変位量は必ずフリーストローク変位量よりも大きくなります。プリロードによりアクチュエータのストロークは長くなります。これは製造時の分極処理ではピエゾ素子内の強誘電体粒子をすべて同じ方向に揃えることができないためです。アクチュエータに対して機械的にプリロードを負荷すると、揃っていない粒子の多くはより理想に近い方向に揃ってきます。ピエゾ材質に駆動電圧をかけると強誘電体粒子の向きが回転し、印加電界にアライメントします。この結果ピエゾ材質が次元的に変化します。強誘電体粒子が初期の段階でもっと同じ方向にアライメントされていると、駆動電圧が大きいほどピエゾ材質の次元変化も大きくなります。適切な最大変位用負荷以上のプリロードを負荷すると、本来の最大変位量よりも小さな変位量しか得られなくなります。これは負荷が大きすぎると、駆動電圧に応じて粒子が向きを変えるのを抑制してしまうためです。

リード線の電極へのはんだ付け
リード線を電極に再接続する場合、はんだ付けの温度は370 °C以下、時間は2秒以下で行ってください。リード線は電極の中心にはんだ付けし、できるだけ熱が広がらないようにしてください。

ピエゾアクチュエータへの負荷の取り付け方
ピエゾセラミックは脆弱で、引張力に対する強度が高くありません。そのため、負荷を取り付ける際は、アクチュエータに対して横方向の力や曲げの力がかからないようにしてください。 外部負荷が圧縮力のように見えても、正しく負荷がかからないと曲げモーメントが発生し、ピエゾデバイス内部に大きな引張応力が発生することがあります。ピエゾアクチュエータへの負荷の取付け方が不適切な場合、アクチュエータを損傷するような内部応力が容易に発生します。 それを防止するには、アクチュエータにかかる負荷がアクチュエータの変位軸に沿って伝達されるように外部負荷を取り付けることが必要です。負荷はできる限りアクチュエータの取付け面の中心部にかかるようにし、また取付け面に対してできるだけ均一にかかるようにしてください。平坦な取付け面の付いたアクチュエータに負荷の平坦な面を取り付ける場合は、2つの面が十分に平坦で滑らかであること、また取付けの平行性も十分であることを確認してください。

Temperature Rise Plot
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負荷をピエゾアクチュエータに取り付ける正しい方法と誤った方法

様々な負荷条件に対応できるように、こちらのアクチュエータのアクセサリとして、セラミック製のフラットエンドプレートも別途ご用意しています。PZTピエゾチップに負荷を取り付ける場合は、接着剤として、EPO-TEK 353NDやLoctite® Hysol® 9340など、80 °C以下の温度で硬化するエポキシ樹脂のご使用をお勧めします。BiScO3-PbTiO3 (BSPT)ピエゾアクチュエータの場合は、硬化温度120 °C以下、融点250 °C以上の無機接着剤の使用を推奨します。EPO-TEK 353NDは安全にご使用いただけますが、250 °Cで強度が低下するため、機械的構造を保つためにプリロードをかける必要があります。負荷はピエゾアクチュエータの変位する面にのみ取り付けてください。負荷を変位しない面に取付けると、アクチュエータの故障につながる場合があります。 以下では、ピエゾアクチュエータに負荷を取り付ける際の正しい方法と誤った方法について解説しています。

Displacement Plot
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平面プレート(A、誤)と半球状プレート(B、正)をそれぞれ取り付けたピエゾアクチュエータを使用してレバーアームを動かす様子。

左の図では、レバーアームを動かす際の誤った方法(A、左側の図)と正しい方法(B、右側の図)を示しています。正しい方法では半球状のエンドプレートが使用され、レバーアームの角度にかかわらず荷重は分散されてアクチュエータ全体に伝達されます。左の図のAはピエゾアクチュエータとレバーアームの誤った取付け方法です。全ての荷重がアクチュエータの一端にかかり、アクチュエータにとって危険な状態です。このような不均一な負荷は、曲げモーメントのようなアクチュエータにとって危険な応力が発生する原因になります。

右図は、ピエゾアクチュエータに平坦な底面を有する軸外負荷を取り付ける際の誤った方法(A)と正しい方法(B)を示しています。Aの方法では、全ての荷重がアクチュエータの一端にかかり、アクチュエータにとって危険な状態です。このような不均一な負荷は、曲げモーメントのようなアクチュエータにとって危険な応力が発生する原因になります。正しい方法のBでは、フレクシャーマウントが軸外負荷の平坦な取付け面とアクチュエータの平坦な取付け面のインターフェイスになっています。フレクシャーマウントにより、負荷がアクチュエータのプレート表面に均一に分散され、荷重はアクチュエータ全体にかかっています。

高い周波数で動作させる場合
高い周波数で動作させるには、外部に温度制御システムを取り付けてデバイスを冷やす必要がある場合があります。高い周波数で動作させるとピエゾデバイス内部の温度は上昇しますが、PZTピエゾアクチュエータの最高動作温度は130 °C以下です。より高温でも使用できる製品として、最高動作温度250 °CのBSPTピエゾアクチュエータをご用意しています。各製品のデバイス温度の駆動電圧周波数に対する依存性は、下のinfoアイコンinfo iconをクリックしてご覧いただけます。デバイスの温度は、仕様の最高動作温度を超えないようにしなければなりません。

負荷荷重と共振周波数の関係
多くの用途において、ピエゾアクチュエータの長さがどの程度の速度で変化するかということは重要なパラメータです。長さが変化する速度は、ピエゾアクチュエータの共振周波数、ドライバの最大帯域幅、ピエゾアクチュエータの静電容量、駆動信号の振幅など、様々な要因に依存します。電圧によって伸びる長さ(伸長値)は、アクチュエータ駆動電圧とピエゾアクチュエータの長さの関数になります。 静電容量が大きくなるほど、アクチュエータの長さの変化は遅くなります。

印加電圧が急激に変化すると、ピエゾアクチュエータの長さも急速に変化します。印加電圧の大きさによりピエゾアクチュエータの伸長値が決定されます。駆動電圧信号がステップ関数の場合、アクチュエータの長さ変化の開始から終了までの最小時間Tminは、共振周波数の周期のおよそ1/3となります。ピエゾに負荷がかかっていない場合、共振周波数をƒoとすると、最小応答時間は以下の式で表わすことができます。

公称伸長値に達すると、この長さの近傍でアクチュエータが減衰振動します。振動を軽減するためのコントローラを組み込むこともできますが、それによりアクチュエータの応答性は低下します。

アクチュエータに負荷を加えると、ピエゾアクチュエータの共振周波数は低下します。負荷無しの場合のアクチュエータの共振周波数が与えられている場合には、ピエゾアクチュエータの質量m、負荷の質量Mを用いて、負荷のある場合の共振周波数(ƒo')を以下の式で求めることができます。


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図3: ピエゾアクチュエータの絶縁方法:
(a) 標準なチップ型および多段チップ型ではチップ内部(In-Chip)で絶縁、
(b) 共焼成積層型アクチュエータでは積層上(On-Stack)で絶縁

共焼成チップ型、共焼成積層型、多段チップ型ピエゾアクチュエータ
当社の共焼成チップ型と共焼成積層型のアクチュエータ は、一般的には類似した構造をしています。どちらも電極層と焼結前のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のピエゾ層を交互に積み上げています(高温でもお使いいただける BiScO3-PbTiO3 (BSPT) 製ピエゾ層を用いた共焼成チップ型ピエゾアクチュエータもご用意しています)。積み上げられた構造はその後1つのモノリシックユニットに焼結されます。極性の異なる電源電極は互いに反対側に取り付けられています。各層ごとの内部電極は、隣り合う内部電極が同じ極性を持たないように、電源電極のどちらか一方と接続されます。共焼成チップ型と共焼成積層型のピエゾアクチュエータの最も大きな違いは、内部電極を極性が反対の電源電極から絶縁する方法です。これらの絶縁方法はアクチュエータの機械的特性に影響します。2つの異なる方法で作られたアクチュエータを図3に示します。

チップ型(In-Chip Insulation)の場合、反対の極性の内部電極が交互に積み重ねられています。内部電極層はピエゾ層の全幅より短くなっています。極性が同じ電極はチップの一方の端に揃えられており、もう1つの極性の電極はチップの反対側の端に揃えられています。電極が反対側の末端まで達していないため、その電極の先端部分はPZTまたはBSPTで囲まれた状態になります。電極の先端を囲むPZTまたはBSPTは絶縁体であり、それにより反対の極性の電源電極から絶縁されます。この電極の絶縁方法では、電極の先端部に応力の発生する領域が生じます。応力は電極両端での厚さの急激な変化と、電極間のPZTまたはBSPTが駆動電圧信号に応答したときに、電極の先にある絶縁体のPZTまたはBSPTが応答しないことで生じる引張応力によって発生します。この応力により、この手法を用いて作られるチップの最大高さは制限されます。チップの高さは、発生する内部応力が小さく、チップの寿命や性能に影響を及ぼさない範囲に制限されます。チップは、エポキシ樹脂コーティングよりも優れた耐湿性と耐熱性のあるセラミック層で封じられています。

チップの高さ、つまりピエゾアクチュエータの最大ストロークを大きくする方法として、多段チップ型でピエゾアクチュエータを作る方法があります。この方法では複数のチップをガラスビーズとエポキシを使用して接着します。多段チップ型は共焼成チップ型ならびに積層型に比べて長く作ることができるため、サブミリ秒の応答時間と低電圧駆動を保持したまま、大きな変位量を得ることができます。チップ構成全体がセラミックバリア層内に密閉されているため、多段チップ型の方がエポキシ樹脂コーティングで密閉された共焼成チップ型よりも湿度と熱への耐性に優れています。

共焼成積層型(On-Stack Insulation)の場合、電極はPZT層の全幅にかかります。電極は、反対極性の電源電極の側面も含めて、アクチュエータの全側面まで伸びています。内部電極の端はアクチュエータの側面にあるガラスのフィラメントにより電源電極から絶縁されます。精密に局所化されたガラスフィラメントは、内部電極を電源電極から絶縁するとともに、フィラメントで覆われる表面も最小限に抑えています。そのため、電源電極から内部電極への接続性能を低下させることなく、またアクチュエータの動作にも影響を与えません。電極が全幅をカバーするこの絶縁方法を使用したピエゾアクチュエータでは、発生する内部応力が均一であるという特徴があります。共焼成積層型では、従ってIn-Chip Insulation方法を使用して作られるチップ型よりも高く積層したアクチュエータを作ることができます。共焼成積層型は、ガラスビーズエポキシによる不活性な接着層がある多段チップ型よりもアクティブなPZTの割合が高くなっています。これらはエポキシ樹脂でコーティングされています。

DC電圧で駆動したときのデバイスの推定寿命
ピエゾデバイスの寿命は動作温度、印加電圧ならびに相対湿度の関数となります。DC電圧が印加されているときには、寿命はピエゾデバイスの電極で発生する湿度による電解反応によって短くなります。この反応により水素が発生し、陰極から陽極に向けて金属の樹状突起が形成されます。電解反応により遊離した水素は、ピエゾ素子と化学反応を起こして劣化させます。形成された樹状突起は陰極と陽極を電気的に接続することになり、その結果として、漏れ電流のレベルが上昇します。ピエゾデバイスが故障しているかどうかは、以下の試験では漏れ電流レベルが規定の閾値よりも高くなっているかどうかで判断しています。

当社のピエゾデバイスは4面がセラミック製の防湿層で覆われているため、湿度がデバイスの寿命に及ぼす影響を最小限に抑えています。ピエゾデバイスの寿命測定についてのご要望を受けて、当社ではセラミックで絶縁された低電圧駆動のピエゾデバイスに対する環境試験を実施しました。その結果を用いて、平均故障時間(MTTF)を見積るための単純なモデルを作成しました。前提として、湿度、温度、印加電圧が既知である必要があります。推定MTTFは、動作温度、相対湿度、電圧に対応する3つの係数の積となります。各パラメータに対応する係数は下記のグラフに示されています。また、このデータをダウンロードし、それを用いて計算したり、必要に応じて内挿したりすることが可能です。

下記の3つのグラフにおける曲線の実線部分は当社が試験を実施した範囲を示しています。これらの測定範囲はよく使用される環境条件を考慮して設定しました。実線から続いている点線部分は外挿値で、デバイスを使用する際に遭遇する可能性のある環境条件の範囲を示しています。

Engraved Back of OAP
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fTと温度の関係を示したデータを含むエクセルファイルは、こちらをクリックしてご覧いただけます。
寿命推定のためのMTTF計算式: MTTF = fV * fT * fH

相対湿度、デバイス温度、DC駆動電圧がわかれば、デバイスの寿命が推定可能です。寿命は、電圧、温度および湿度に係る各係数の積で与えられ、それらは右、下、右下にある3つのグラフから求めることができます。

例えば、PK2FSF1タイプのデバイスを、相対湿度75%の環境下で、電圧60 V、温度30 °Cで駆動する場合:

  • 下のグラフから、電圧係数は427(PK2FSF1の最大定格電圧 Vmaxは75 V、よってV/Vmax = 60 V / 75 V = 0.80)となります。
  • 右のグラフで、温度係数は83です。
  • 右下のグラフで、湿度係数は2.8です。

よって、MTTF = 472 * 83 * 2.8 = 99234.8時間となり、11年以上となります。

注:こちらのページのグラフは、当社のセラミック保護の低電圧チップ型ピエゾアクチュエータにのみ適用できます。

Engraved Back of OAP
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こちらのfHと相対湿度の関係を示したデータを含むエクセルファイルは、こちらをクリックしてご覧いただけます。

Engraved Back of OAP
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fVとV/Vmaxの関係を示したデータを含むエクセルファイルは、こちらをクリックしてご覧いただけます。

これらの温度、電圧および湿度の係数を得るためのデータは、6種類の異なる動作環境下での試験による測定値をもとに分析され、グラフ化されています。異なる10個の専用デバイスのセットを、それぞれ異なる駆動電圧、デバイス温度、相対湿度の組合せによる環境下で試験を行いました。デバイスに閾値100 nAを上回るレベルの漏れ電流が発生した時点で、故障としました。温度、湿度および電圧がそれぞれ寿命に与える影響は以下の関係式を仮定して求めています:

  • MTTF = fV(V) * fT(T) * fH(H)
  • 電圧のべき乗に比例: fV(V) = A1Vb1
  • 相対湿度に対しては、指数関数で変化:  fH(T) = A2ecH
  • 温度に対しては、アレニウスの式: fT(H) = A3eb2/T

ここでA1、A2、A3、b1、b2、cは測定データの分析により決定される定数、VはDC駆動電圧、Tはデバイスの温度、Hは相対湿度です。MTTFと各係数との数学的関係式が異なるので、MTTFの各係数への依存性を決定できます。そのようにして得られたのが上図のプロットデータです。グラフ内の青い網掛け部分の曲線は、実験データです。点線部分は外挿値です。

これらのデバイスの寿命試験は引き続き実施されています。追加データは準備ができ次第掲載いたします。温度制御用の製品としては、当社のTEC素子などのラインナップがございます。また、温度および湿度のモニタには当社のUSB温湿度ロガーをご利用いただけます。

真空対応製品のクリーニングについて
真空に対応しているピエゾアクチュエータについては、青いinfoアイコン(info icon)をクリックしてご覧いただける仕様表に、対応する真空レベルが記載されています。この真空レベルに到達させるのに特別なクリーニングは必要ありませんが、ご使用時にはこれらの製品をイソプロピルアルコール(IPA)で超音波洗浄を行い、さらに60 °Cで2時間ベーキングすることをお勧めします。デバイスをそのほかの有機溶剤には浸漬しないでください。


Posted Comments:
捷 徐  (posted 2022-08-29 19:14:06.69)
这款产品的重复性如何?
cdolbashian  (posted 2022-09-07 03:00:59.0)
Thank you for contacting Thorlabs. Unlike conventional motor actuators, the stroke of the piezo actuator will demonstrate hysteresis in an open-loop system. The exact shape and characteristics of the hysteresis is heavily dependent upon the applied voltage difference as well as environmental and system conditions such as temperature or the applied load. Experiences suggest that, during a 1000 cycles’ testing under stable condition, the displacement’s variation is less than 5%. Closed-loop system can essentially eliminate the hysteresis using a feedback loop. The piezo hysteresis graphs can be found by clicking on the blue icon in spec table.
lwest  (posted 2017-09-15 00:22:15.777)
Is it possible to run this device at any negative voltage? I would like to apply -5V to 5V in my application.
tfrisch  (posted 2017-09-26 02:53:54.0)
Hello, thank you for contacting Thorlabs. Axial piezo chips and stacks should not be driven at negative voltages, so you should add a DC bias to your drive signal to make the minimum value zero.
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200 V 円形ピエゾアクチュエータ、チップ型

Item #aInfoPre-Attached
Wires
Displacement
(Free Stroke)b
DimensionscResonant
Frequency
Load for
Maximum Displacementd
CapacitanceBlocking
Forcee
End Faces
PA25FEinfoNo2.8 µm ± 15%Diameter:
5.0 mm ± 0.1 mm
Length:
2.0 mm ± 5 µm
350 kHz310 N (70 lbs)150 nF ± 15%780 N
(175 lbs)
No Plates
PA25FEWinfoYes
PA25LEinfoNo3.3 µm ± 15%Diameter:
8.3 mm ± 0.1 mm
Length:
2.0 mm ± 5 µm
235 kHz720 N (162 lbs)850 nF ± 15%1800 N
(405 lbs)
No Plates
PA25LEWinfoYes
  • 特記のない限り、上記はすべて25 °Cでの値。こちらのアクチュエータは開ループコントローラMDT69xBまたはKPZ101とのご使用をお勧めします。閉ループコントローラMPZ601(≤75 V)またはBPC30xもお使いいただけます。こちらのページでご紹介しているアクチュエータには歪ゲージが付いていないため、位置フィードバックを行うことはできません。閉ループフィードバックが必要な場合には、当社のピエゾアクチュエータPK4FYC2またはPZS001をご検討ください。
  • 「Free Stroke(最大ストローク)」変位量は、無負荷時です。
  • 寸法はチップにおける仕様です。ワイヤ付きの製品の場合、ワイヤ接続部を除く寸法となります。
  • 変位量は負荷により変動します。記載の負荷を使用した場合、これらのチップはフリーストローク変位量よりも大きい最大変位量を有します。
  • 150 Vにおける値
アイコン等について
info icon表内にあるこのアイコンをクリックしていただくことで、各製品固有の仕様書と図面が記載してあるウィンドウを開くことができます。
+1 数量 資料 型番 - ユニバーサル規格 定価(税抜) 出荷予定日
PA25FE Support Documentation
PA25FECustomer Inspired! チップ型円形ピエゾアクチュエータ、200 V、変位量2.8 µm、Ø5.0 mm、長さ2.0 mm、裸電極付き
¥10,424
Volume Pricing
7-10 Days
PA25FEW Support Documentation
PA25FEWCustomer Inspired! チップ型円形ピエゾアクチュエータ、200 V、変位量2.8 µm、Ø5.0 mm、長さ2.0 mm、ワイヤ付き
¥10,735
Volume Pricing
Today
PA25LE Support Documentation
PA25LEチップ型円形ピエゾアクチュエータ、200 V、変位量3.3 µm、Ø8.3 mm、長さ2.0 mm、裸電極付き
¥12,286
Volume Pricing
7-10 Days
PA25LEW Support Documentation
PA25LEWチップ型円形ピエゾアクチュエータ、200 V、変位量3.3 µm、Ø8.3 mm、長さ2.0 mm、ワイヤ付き
¥12,605
Volume Pricing
Today
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200 V 円形ピエゾアクチュエータ、多段チップ型

Item #aInfoPre-Attached
Wires
Displacement
(Free Stroke)b
DimensionscResonant
Frequency
Load for
Maximum Displacementd
CapacitanceBlocking
Forcee
End Faces
PK25FA2P2infoYes11.0 µm ± 15%Diameter:
5.0 mm ± 0.1 mm
Length:
9.0 mm ± 0.1 mm
135 kHz310 N (70 lbs)570 nF ± 15%780 N (175 lbs)Flat Plates
PK25LA2P2infoYes12.0 µm ± 15%Diameter:
8.3 mm ± 0.1 mm
Length:
9.0 mm ± 0.1 mm
125 kHz720 N (162 lbs)2.2 µF ± 15%1800 N (405 lbs)Flat Plates
  • 特記のない限り、上記はすべて25 °Cでの値。こちらのアクチュエータは開ループコントローラMDT69xBまたはKPZ101とのご使用をお勧めします。閉ループコントローラMPZ601(≤75 V)またはBPC30xもお使いいただけます。こちらのページでご紹介しているアクチュエータには歪ゲージが付いていないため、位置フィードバックを行うことはできません。閉ループフィードバックが必要な場合には、当社のピエゾアクチュエータPK4FYC2またはPZS001をご検討ください。
  • 「Free Stroke(最大ストローク)」変位量は、無負荷時です。
  • 寸法はチップにおける仕様です。ワイヤ付きの製品の場合、ワイヤの接続部分、ポリイミドテープ、およびワイヤを除く寸法となります。
  • 変位量は負荷により変動します。記載の負荷を使用した場合、これらのチップはフリーストローク変位量よりも大きい最大変位量を有します。
  • 150 Vにおける値
アイコン等について
info icon表内にあるこのアイコンをクリックしていただくことで、各製品固有の仕様書と図面が記載してあるウィンドウを開くことができます。
+1 数量 資料 型番 - ユニバーサル規格 定価(税抜) 出荷予定日
PK25FA2P2 Support Documentation
PK25FA2P2Customer Inspired! 多段チップ型円形ピエゾアクチュエータ、200 V、変位量11.0 µm、Ø5.0 mm、長さ9.0 mm、フラットエンドプレート2個
¥18,031
Volume Pricing
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PK25LA2P2 Support Documentation
PK25LA2P2多段チップ型円形ピエゾアクチュエータ、200 V、変位量12.0 µm、Ø8.3 mm、長さ9.0 mm、フラットエンドプレート2個
¥20,424
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円形フラットエンドプレート

Circular End Plates
Item #DiameterThicknessToleranceCompatible Piezo Chips
PKFEQ55.00 mm0.50 mm±0.04 mmPA25FE(W)
PKLEQ58.30 mm0.50 mm±0.04 mmPA25LE(W)
  • 2種類のサイズをご用意
  • 接触点での負荷をピエゾの面全体に分散
  • 16個セットでご用意

上記の多段チップ型ピエゾアクチュエータに使用されているフラットプレートは、別途ご購入いただくことも可能です。お手持ちのピエゾチップに合わせて3種類のサイズをご用意しております(右の表参照)。フラットエンドプレートは、接触点での負荷を多段チップ型ピエゾアクチュエータまたはチップ型ピエゾアクチュエータの端面全体に分散するために用いられます。ピエゾアクチュエータの端面に取り付けるフラットエンドプレートを選ぶ際は、その端面で負荷が均等に分散されるように、エンドプレートの底面形状がピエゾアクチュエータの断面形状と整合していることが重要です。これらのフラットエンドプレートの寸法の公差は±0.04 mmです。

+1 数量 資料 型番 - ユニバーサル規格 定価(税抜) 出荷予定日
PKFEQ5 Support Documentation
PKFEQ5NEW!エンドプレート、Ø5.00 mm, 厚さ0.50 mm、16個セット
¥3,851
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PKLEQ5 Support Documentation
PKLEQ5NEW!エンドプレート、Ø8.30 mm, 厚さ0.50 mm、16個セット
¥5,105
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