Nd:YAGレーザ用ハーモニックビームスプリッター

- Split Light in Nd:YAG Applications into Harmonics
- Separate 266 nm, 355 nm, 532 nm, and 1064 nm Light
- UV Fused Silica Substrate with Beamsplitter and AR Coatings
- Available in Ø1/2", Ø1", and Ø2"
HBSY12
Ø1" Beamsplitter Reflects
532 nm and Transmits 1064 nm
HBSY0534
Ø1/2" Beamsplitter Reflects
266 nm and 355 nm, Transmits
532 nm and 1064 nm
HBSY21
Ø2" Beamsplitter Reflects
1064 nm and Transmits 532 nm
Harmonic Beamsplitters Separate
Harmonics of Nd:YAG Lasers (Not to Scale)

Please Wait
Common Specifications | |
---|---|
Clear Aperture | >80% of Diameter |
Surface Flatness | λ/10 @ 632.8 nm Over Clear Aperture |
Surface Quality | 10-5 Scratch-Dig |
Thickness Tolerance | ±0.40 mm |
Diameter Tolerance | +0.00 mm/-0.20 mm |
Wedge Angle | 30 arcmin |
Wedge Tolerance | ±10 arcmin |
AOIa | 45° |
Substrate | Fused Silica |
特長
- Nd:YAG用途向けに設計された4種類の波長構成
- 反射波長:1064 nm、透過波長:532 nm
- 反射波長:532 nm、透過波長:1064 nm
- 反射波長:355 nm、透過波長:532 nm・1064 nm
- 反射波長:266 nm・355 nm、透過波長:532 nm・1064 nm
- 前面はビームスプリッターコーティング
- 裏面は透過光波長用のAR Vコーティング
- S偏光ならびにP偏光の両方に高い反射率(下表の青いアイコン参照)
- Ø12.7 mm(Ø1/2インチ)、Ø25.4 mm(Ø1インチ)またはØ50.8 mm(Ø2インチ)のUV溶融石英基板をご用意
ハーモニックビームスプリッタ(ハーモニックセパレータ)は、Nd:YAGレーザ光源から高調波を分離するように設計されており、4種類の波長構成からお選びいただけます(選択可能な波長は下表をご参照ください)。
UV溶融石英基板の前面にはビームスプリッタ反射コーティングが施されており、裏面には透過波長用の反射防止(AR)Vコーティングが施されています。 どちらのコーティングも45°の入射角(AOI)に最適化されています。 各ビームスプリッタのエッジ部分には、型番と推奨する光の進行方向を示す矢印が刻印されています(左下の図をご参照ください)が、ビームスプリッタに入射するビームの伝搬方向を逆向きにして、分波器ではなく合波器として使用することもできます。
前面および裏面の反射光によって生じる不要な干渉(ゴースト像など)を減少させるために、ビームスプリッタの裏面にはAR Vコーティングが施されています。 コーティングされていない基板に光が45°で入射すると約4%が反射しますが、ビームスプリッタの裏面にARコーティングを施すと、この反射率はコーティ ングの全有効範囲において平均1%未満に減少します。 さらに、各ビームスプリッタには30 arcminのウェッジがあることで、AR Vコーティングで防止しきれなかった反射光の一部を拡散します。
当社では、幅広い種類のダイクロイックミラーやキューブならびにプレート型ビームシャッタも取り揃えています。 また、ご要望の多いレーザーラインにおける高パワーの用途向けとして、マウント付きとマウント無しビームスプリッターキューブもご用意しています。

実物大ではありません
Damage Threshold Specifications | ||
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Item # | Damage Threshold | |
HBSY051 HBSY11 HBSY21 | CW | 250 W/cm (532 nm, Ø0.684 mm) |
Pulsed | 5 J/cm2 (532 nm, Ø0.279 mm, 10 ns, 10 Hz) 5 J/cm2 (1064 nm, Ø0.31 mm, 10 ns, 10 Hz) | |
HBSY052 HBSY12 HBSY22 | CW | 250 W/cm (532 nm, Ø0.684 mm) |
Pulsed | 7.5 J/cm2 (532 nm, Ø0.279 mm, 10 ns, 10 Hz) 7.5 J/cm2 (1064 nm, Ø0.31 mm, 10 ns, 10 Hz) | |
HBSY053 HBSY13 HBSY23 | CW | 250 W/cm (532 nm, Ø0.684 mm) |
Pulsed | 2 J/cm2 (355 nm, Ø0.384 mm, 10 ns, 10 Hz) 5 J/cm2 (532 nm, Ø0.430 mm, 10 ns, 10 Hz) 10 J/cm2 (1064 nm, Ø0.644 mm, 10 ns, 10 Hz) | |
HBSY0534 HBSY134 HBSY234 | CW | 250 W/cm (532 nm, Ø0.684 mm) |
Pulsed | 0.5 J/cm2 (266 nm, Ø0.237 mm, 10 ns, 10 Hz) 2 J/cm2 (355 nm, Ø0.345 mm, 10 ns, 10 Hz) 5 J/cm2 (532 nm, Ø0.399 mm, 10 ns, 10 Hz) 7.5 J/cm2 (1064 nm, Ø0.475 mm, 10 ns, 10 Hz) |
当社のハーモニックビームスプリッタの損傷閾値データ
右の仕様は当社のNd:YAGレーザ用ハーモニックビームスプリッタの測定データです。
レーザによる損傷閾値について
このチュートリアルでは、レーザ損傷閾値がどのように測定され、使用する用途に適切な光学素子の決定にその値をどのようにご利用いただけるかを総括しています。お客様のアプリケーションにおいて、光学素子を選択する際、光学素子のレーザによる損傷閾値(Laser Induced Damage Threshold :LIDT)を知ることが重要です。光学素子のLIDTはお客様が使用するレーザの種類に大きく依存します。連続(CW)レーザは、通常、吸収(コーティングまたは基板における)によって発生する熱によって損傷を引き起こします。一方、パルスレーザは熱的損傷が起こる前に、光学素子の格子構造から電子が引き剥がされることによって損傷を受けます。ここで示すガイドラインは、室温で新品の光学素子を前提としています(つまり、スクラッチ&ディグ仕様内、表面の汚染がないなど)。光学素子の表面に塵などの粒子が付くと、低い閾値で損傷を受ける可能性があります。そのため、光学素子の表面をきれいで埃のない状態に保つことをお勧めします。光学素子のクリーニングについては「光学素子クリーニングチュートリアル」をご参照ください。
テスト方法
当社のLIDTテストは、ISO/DIS 11254およびISO 21254に準拠しています。
初めに、低パワー/エネルギのビームを光学素子に入射します。その光学素子の10ヶ所に1回ずつ、設定した時間(CW)またはパルス数(決められたprf)、レーザを照射します。レーザを照射した後、倍率約100倍の顕微鏡を用いた検査で確認し、すべての確認できる損傷を調べます。特定のパワー/エネルギで損傷のあった場所の数を記録します。次に、そのパワー/エネルギを増やすか減らすかして、光学素子にさらに10ヶ所レーザを照射します。このプロセスを損傷が観測されるまで繰返します。損傷閾値は、光学素子が損傷に耐える、損傷が起こらない最大のパワー/エネルギになります。1つのミラーBB1-E02の試験結果は以下のようなヒストグラムになります。

上の写真はアルミニウムをコーティングしたミラーでLIDTテストを終えたものです。このテストは、損傷を受ける前のレーザのエネルギは0.43 J/cm2 (1064 nm、10 ns pulse、 10 Hz、Ø1.000 mm)でした。

Example Test Data | |||
---|---|---|---|
Fluence | # of Tested Locations | Locations with Damage | Locations Without Damage |
1.50 J/cm2 | 10 | 0 | 10 |
1.75 J/cm2 | 10 | 0 | 10 |
2.00 J/cm2 | 10 | 0 | 10 |
2.25 J/cm2 | 10 | 1 | 9 |
3.00 J/cm2 | 10 | 1 | 9 |
5.00 J/cm2 | 10 | 9 | 1 |
試験結果によれば、ミラーの損傷閾値は 2.00 J/cm2 (532 nm、10 ns pulse、10 Hz、 Ø0.803 mm)でした。尚、汚れや汚染によって光学素子の損傷閾値は大幅に低減されるため、こちらの試験はクリーンな光学素子で行っています。また、特定のロットのコーティングに対してのみ試験を行った結果ではありますが、当社の損傷閾値の仕様は様々な因子を考慮して、実測した値よりも低めに設定されており、全てのコーティングロットに対して適用されています。
CWレーザと長パルスレーザ
光学素子がCWレーザによって損傷を受けるのは、通常バルク材料がレーザのエネルギを吸収することによって引き起こされる溶解、あるいはAR(反射防止)コーティングのダメージによるものです[1]。1 µsを超える長いパルスレーザについてLIDTを論じる時は、CWレーザと同様に扱うことができます。
パルス長が1 nsと1 µs の間のときは、損傷は吸収、もしくは絶縁破壊のどちらかで発生していると考えることができます(CWとパルスのLIDT両方を調べなければなりません)。吸収は光学素子の固有特性によるものか、表面の不均一性によるものかのどちらかによって起こります。従って、LIDTは製造元の仕様以上の表面の質を有する光学素子にのみ有効です。多くの光学素子は、ハイパワーCWレーザで扱うことができる一方、アクロマティック複レンズのような接合レンズやNDフィルタのような高吸収光学素子は低いCWレーザ損傷閾値になる傾向にあります。このような低い損傷閾値は接着剤や金属コーティングにおける吸収や散乱によるものです。
線形パワー密度におけるLIDTに対するパルス長とスポットサイズ。長パルス~CWでは線形パワー密度はスポットサイズにかかわらず一定です。 このグラフの出典は[1]です。

繰返し周波数(prf)の高いパルスレーザは、光学素子に熱的損傷も引き起こします。この場合は吸収や熱拡散率のような因子が深く関係しており、残念ながらprfの高いレーザが熱的影響によって光学素子に損傷を引き起こす場合の信頼性のあるLIDTを求める方法は確立されておりません。prfの大きいビームでは、平均出力およびピークパワーの両方を等しいCW出力と比較する必要があります。また、非常に透過率の高い材料では、prfが上昇してもLIDTの減少は皆無かそれに近くなります。
ある光学素子の固有のCWレーザの損傷閾値を使う場合には、以下のことを知る必要があります。
- レーザの波長
- ビーム径(1/e2)
- ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)
- レーザのパワー密度(トータルパワーをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)
ビームのパワー密度はW/cmの単位で計算します。この条件下では、出力密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません(右グラフ参照)。平均線形パワー密度は、下の計算式で算出できます。
ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。次に、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときはビームの強度が1/e2の2倍のパワー密度を有します(右下図参照)。
次に、光学素子のLIDTの仕様の最大パワー密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です。おおよその目安として参考にできるのは、損傷閾値は波長に対して比例関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(つまり、1310 nmで10 W/cmのLIDTならば、655 nmでは5 W/cmと見積もります)。
この目安は一般的な傾向ですが、LIDTと波長の関係を定量的に示すものではありません。例えば、CW用途では、損傷はコーティングや基板の吸収によってより大きく変化し、必ずしも一般的な傾向通りとはなりません。上記の傾向はLIDT値の目安として参考にしていただけますが、LIDTの仕様波長と異なる場合には当社までお問い合わせください。パワー密度が光学素子の補正済みLIDTよりも小さい場合、この光学素子は目的の用途にご使用いただけます。
当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社は個別の情報やテスト結果の証明書を発行することもできます。損傷解析は、類似した光学素子を用いて行います(お客様の光学素子には損傷は与えません)。試験の費用や所要時間などの詳細は、当社までお問い合わせください。
パルスレーザ
先に述べたように、通常、パルスレーザはCWレーザとは異なるタイプの損傷を光学素子に引き起こします。パルスレーザは損傷を与えるほど光学素子を加熱しませんが、光学素子から電子をひきはがします。残念ながら、お客様のレーザに対して光学素子のLIDTの仕様を照らし合わせることは非常に困難です。パルスレーザのパルス幅に起因する光学素子の損傷には、複数の形態があります。以下の表中のハイライトされた列は当社の仕様のLIDT値が当てはまるパルス幅に対する概要です。
パルス幅が10-9 sより短いパルスについては、当社の仕様のLIDT値と比較することは困難です。この超短パルスでは、多光子アバランシェ電離などのさまざまなメカニクスが損傷機構の主流になります[2]。対照的に、パルス幅が10-7 sと10-4 sの間のパルスは絶縁破壊、または熱的影響により光学素子の損傷を引き起こすと考えられます。これは、光学素子がお客様の用途に適しているかどうかを決定するために、レーザービームに対してCWとパルス両方による損傷閾値を参照しなくてはならないということです。
Pulse Duration | t < 10-9 s | 10-9 < t < 10-7 s | 10-7 < t < 10-4 s | t > 10-4 s |
---|---|---|---|---|
Damage Mechanism | Avalanche Ionization | Dielectric Breakdown | Dielectric Breakdown or Thermal | Thermal |
Relevant Damage Specification | No Comparison (See Above) | Pulsed | Pulsed and CW | CW |
お客様のパルスレーザに対してLIDTを比較する際は、以下のことを確認いただくことが重要です。
エネルギ密度におけるLIDTに対するパルス長&スポットサイズ。短パルスでは、エネルギ密度はスポットサイズにかかわらず一定です。このグラフの出典は[1]です。
- レーザの波長
- ビームのエネルギ密度(トータルエネルギをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)
- レーザのパルス幅
- パルスの繰返周波数(prf)
- 実際に使用するビーム径(1/e2 )
- ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)
ビームのエネルギ密度はJ/cm2の単位で計算します。右のグラフは、短パルス光源には、エネルギ密度が適した測定量であることを示しています。この条件下では、エネルギ密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません。ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。ここで、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときは一般にビームの強度が1/e2のときの2倍のパワー密度を有します。
次に、光学素子のLIDTの仕様と最大エネルギ密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です[3]。経験則から、損傷閾値は波長に対して以下のような平方根の関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(例えば、1064 nmで 1 J/cm2のLIDTならば、532 nmでは0.7 J/cm2と計算されます)。
波長を補正したエネルギ密度を得ました。これを以下のステップで使用します。
ビーム径は損傷閾値を比較する時にも重要です。LIDTがJ/cm2の単位で表される場合、スポットサイズとは無関係になりますが、ビームサイズが大きい場合、LIDTの不一致を引き起こす原因でもある不具合が、より明らかになる傾向があります[4]。ここで示されているデータでは、LIDTの測定には<1 mmのビーム径が用いられています。ビーム径が5 mmよりも大きい場合、前述のようにビームのサイズが大きいほど不具合の影響が大きくなるため、LIDT (J/cm2)はビーム径とは無関係にはなりません。
次に、パルス幅について補正します。パルス幅が長くなるほど、より大きなエネルギに光学素子は耐えることができます。パルス幅が1~100 nsの場合の近似式は以下のようになります。
お客様のレーザのパルス幅をもとに、光学素子の補正されたLIDTを計算するのにこの計算式を使います。お客様の最大エネルギ密度が、この補正したエネルギ密度よりも小さい場合、その光学素子はお客様の用途でご使用いただけます。ご注意いただきたい点は、10-9 s と10-7 sの間のパルスにのみこの計算が使えることです。パルス幅が10-7 sと10-4 sの間の場合には、CWのLIDTも調べなければなりません。
当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社では個別のテスト情報やテスト結果の証明書を発行することも可能です。詳細は、当社までお問い合わせください。
[1] R. M. Wood, Optics and Laser Tech. 29, 517 (1998).
[2] Roger M. Wood, Laser-Induced Damage of Optical Materials (Institute of Physics Publishing, Philadelphia, PA, 2003).
[3] C. W. Carr et al., Phys. Rev. Lett. 91, 127402 (2003).
[4] N. Bloembergen, Appl. Opt. 12, 661 (1973).
レーザーシステムが光学素子に損傷を引き起こすかどうか判断するプロセスを説明するために、レーザによって引き起こされる損傷閾値(LIDT)の計算例をいくつかご紹介します。同様の計算を実行したい場合には、右のボタンをクリックしてください。計算ができるスプレッドシートをダウンロードいただけます。ご使用の際には光学素子のLIDTの値と、レーザーシステムの関連パラメータを緑の枠内に入力してください。スプレッドシートでCWならびにパルスの線形パワー密度、ならびにパルスのエネルギ密度を計算できます。これらの値はスケーリング則に基づいて、光学素子のLIDTの調整スケール値を計算するのに用いられます。計算式はガウシアンビームのプロファイルを想定しているため、ほかのビーム形状(均一ビームなど)には補正係数を導入する必要があります。 LIDTのスケーリング則は経験則に基づいていますので、確度は保証されません。なお、光学素子やコーティングに吸収があると、スペクトル領域によってLIDTが著しく低くなる場合があります。LIDTはパルス幅が1ナノ秒(ns)未満の超短パルスには有効ではありません。

Figure 71A ガウシアンビームの最大強度は均一ビームの約2倍です。
CWレーザの例
波長1319 nm、ビーム径(1/e2)10 mm、パワー0.5 Wのガウシアンビームを生成するCWレーザーシステム想定します。このビームの平均線形パワー密度は、全パワーをビーム径で単純に割ると0.5 W/cmとなります。
しかし、ガウシアンビームの最大パワー密度は均一ビームの約2倍です(Figure 71A参照)。従って、システムのより正確な最大線形パワー密度は1 W/cmとなります。
アクロマティック複レンズAC127-030-CのCW LIDTは、1550 nmでテストされて350 W/cmとされています。CWの損傷閾値は通常レーザ光源の波長に直接スケーリングするため、LIDTの調整値は以下のように求められます。
LIDTの調整値は350 W/cm x (1319 nm / 1550 nm) = 298 W/cmと得られ、計算したレーザーシステムのパワー密度よりも大幅に高いため、この複レンズをこの用途に使用しても安全です。
ナノ秒パルスレーザの例:パルス幅が異なる場合のスケーリング
出力が繰返し周波数10 Hz、波長355 nm、エネルギ1 J、パルス幅2 ns、ビーム径(1/e2)1.9 cmのガウシアンビームであるNd:YAGパルスレーザーシステムを想定します。各パルスの平均エネルギ密度は、パルスエネルギをビームの断面積で割って求めます。
上で説明したように、ガウシアンビームの最大エネルギ密度は平均エネルギ密度の約2倍です。よって、このビームの最大エネルギ密度は約0.7 J/cm2です。
このビームのエネルギ密度を、広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDT 1 J/cm2、そしてNd:YAGレーザーラインミラーNB1-K08のLIDT 3.5 J/cm2と比較します。LIDTの値は両方とも、波長355 nm、パルス幅10 ns、繰返し周波数10 Hzのレーザで計測しました。従って、より短いパルス幅に対する調整を行う必要があります。 1つ前のタブで説明したようにナノ秒パルスシステムのLIDTは、パルス幅の平方根にスケーリングします:
この調整係数により広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDTは0.45 J/cm2に、Nd:YAGレーザーラインミラーのLIDTは1.6 J/cm2になり、これらをビームの最大エネルギ密度0.7 J/cm2と比較します。広帯域ミラーはレーザによって損傷を受ける可能性があり、より特化されたレーザーラインミラーがこのシステムには適していることが分かります。
ナノ秒パルスレーザの例:波長が異なる場合のスケーリング
波長1064 nm、繰返し周波数2.5 Hz、パルスエネルギ100 mJ、パルス幅10 ns、ビーム径(1/e2)16 mmのレーザ光を、NDフィルタで減衰させるようなパルスレーザーシステムを想定します。これらの数値からガウシアン出力における最大エネルギ密度は0.1 J/cm2になります。Ø25 mm、OD 1.0の反射型NDフィルタ NDUV10Aの損傷閾値は355 nm、10 nsのパルスにおいて0.05 J/cm2で、同様の吸収型フィルタ NE10Aの損傷閾値は532 nm、10 nsのパルスにおいて10 J/cm2です。1つ前のタブで説明したように光学素子のLIDTは、ナノ秒パルス領域では波長の平方根にスケーリングします。
スケーリングによりLIDTの調整値は反射型フィルタでは0.08 J/cm2、吸収型フィルタでは14 J/cm2となります。このケースでは吸収型フィルタが光学損傷を防ぐには適した選択肢となります。
マイクロ秒パルスレーザの例
パルス幅1 µs、パルスエネルギ150 µJ、繰返し周波数50 kHzで、結果的にデューティーサイクルが5%になるレーザーシステムについて考えてみます。このシステムはCWとパルスレーザの間の領域にあり、どちらのメカニズムでも光学素子に損傷を招く可能性があります。レーザーシステムの安全な動作のためにはCWとパルス両方のLIDTをレーザーシステムの特性と比較する必要があります。
この比較的長いパルス幅のレーザが、波長980 nm、ビーム径(1/e2)12.7 mmのガウシアンビームであった場合、線形パワー密度は5.9 W/cm、1パルスのエネルギ密度は1.2 x 10-4 J/cm2となります。これをポリマーゼロオーダ1/4波長板WPQ10E-980のLIDTと比較してみます。CW放射に対するLIDTは810 nmで5 W/cm、10 nsパルスのLIDTは810 nmで5 J/cm2です。前述同様、光学素子のCW LIDTはレーザ波長と線形にスケーリングするので、CWの調整値は980 nmで6 W/cmとなります。一方でパルスのLIDTはレーザ波長の平方根とパルス幅の平方根にスケーリングしますので、1 µsパルスの980 nmでの調整値は55 J/cm2です。光学素子のパルスのLIDTはパルスレーザのエネルギ密度よりはるかに大きいので、個々のパルスが波長板を損傷することはありません。しかしレーザの平均線形パワー密度が大きいため、高出力CWビームのように光学素子に熱的損傷を引き起こす可能性があります。
Posted Comments: | |
Christian Fries
 (posted 2022-04-14 09:48:28.157) Dear Sir or Madam,
we think that the coating of HBSY051 changes reflection with varying humidity. Probably a dry environment dries out the coating and reflection is changed. We use the reflection to measure laser power using a photodiode and the signal varies over a very large amount (nearly over the full signal) when opening the case or using zero-air. That renders measuring completely useless for us.
Best regards. jdelia
 (posted 2022-05-05 08:56:05.0) Thank you for contacting Thorlabs. It is likely that there would be variation with humidity but it is surprising that your environmental conditions are causing a full signal variation with changing conditions. We have contacted you directly to discuss your application further. julien.fersing
 (posted 2019-01-22 19:23:14.717) Hello,
I am using a HBSY12 to separate 1064 nm and 532 nm. The reflectance is given for a 45 ° incidence angle. Do you know the tolerance on this angle ? Has it to be very precisely 45 °or it can be 45 ° +/- some degrees ?
Thank you
Julien YLohia
 (posted 2019-01-28 02:48:04.0) Hello Julien, thank you for contacting Thorlabs. The exact angle will depend from run-to-run, but should be very close to 45 deg. We recommend starting with this angle and tweaking the position around till the optimal transmission/reflection is achieved. albert.romann
 (posted 2018-11-15 08:50:29.377) Hi there, are transmission and reflection data (unpol, s- and p-pol preferred) available for the V-coating - at least at the harmonics wavelength?
(HBSYx1 and HBSYx2 for AOI 45°). YLohia
 (posted 2018-11-15 09:51:55.0) Hello, this information is given for the 532/1064 V-coating on our AR Coatings page: https://www.thorlabs.com/newgrouppage9.cfm?objectgroup_id=5840&tabname=AR%20Coating
We don't perform s- & p-polarization tests on the AR coatings since the difference is negligible.
Additionally, more data for the beamsplitter coating can be found on the product family page in a download link under the reflectance/transmission curves.
HBSYx1: https://www.thorlabs.com/images/tabimages/HBSYx1_Performance.xlsx
HBSYx2: https://www.thorlabs.com/images/tabimages/HBSYx2_Performance.xlsx stefan.trautner
 (posted 2015-10-13 16:10:57.77) Hi, is it possible that below a wavelength of 220 nm the transmission goes to zero? When i use this beamsplitter for LIBS applications with a 1064 nm Laser i don't get a signal below 220 nm, the rest of the spectrum looks fine. besembeson
 (posted 2015-10-15 06:21:53.0) Response from Bweh at Thorlabs USA: Performance at other wavelengths (as in the 200 to 2600 nm data we show on website) will vary from lot to lot and is not guaranteed and there is a small possibility to have zero transmission around 220nm. Performance is guaranteed to meet the stated specifications at 532 nm and 1064 nm. zoli.gorocs
 (posted 2014-06-26 18:19:34.343) Hi,
I bought this harmonic beamsplitter to clean up the higher order harmonics (532nm 1064nm) from a 266nm UV laser. The beam hits the optical element at a 45 degree angle. The reflected beam has several higher spatial orders, it essentially looks like light diffracted by a 1D grating. Is this normal?
Bests,
Zoltan Gorocs
Postdoctoral Scholar,
UCLA. jlow
 (posted 2014-07-15 02:22:52.0) Response from Jeremy at Thorlabs: The beam profile should not be distorted like that. I would first double check to make sure that the beamsplitter is facing the right way. It's hard to diagnose this without seeing the actual beam profile. I will contact you directly to discuss about this. |
当社では、Nd:YAGレーザ用に最適化した光学素子を幅広くご用意しています。詳細は下記をご参照ください。


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これらのビームスプリッタは1064 nmの光を反射
1064 nmと532 nmにおける全ての反射率曲線と透過率曲線をご覧になるには上のグラフをクリックしてください。200~2600 nmの波長における反射と透過のデータはこちらからご覧いただけます。532 nmおよび1064 nmについては、仕様に記載されている性能が保証されます。これ以外の波長における性能についてはロット毎に異なり、保証はされません。
Item # | Diameter | Thickness | Beamsplitter Coating | AR V-Coating | AOIa | Damage Thresholdb |
---|---|---|---|---|---|---|
HBSY051 | 1/2" | 3.0 mm (0.12") | Reflectance > 99% at 1064 nm Transmission > 95% at 532 nm | Reflectance < 0.5% at 532 nm | 45° | 250 W/cm (532 nm, Ø0.684 mm) 5 J/cm2 (532 nm, Ø0.279 mm, 10 ns, 10 Hz) 5 J/cm2 (1064 nm, Ø0.31 mm, 10 ns, 10 Hz) |
HBSY11 | 1" | 5.0 mm (0.20") | ||||
HBSY21 | 2" | 8.0 mm (0.31") |


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これらのビームスプリッタは532 nmの光を反射
532 nmと1064 nmにおける全ての反射率曲線と透過率曲線をご覧になるには上のグラフをクリックしてください。200~2600 nmの波長における反射と透過のデータはこちらからご覧いただけます。 532 nmおよび1064 nmについては、仕様に記載されている性能が保証されます。 これ以外の波長における性能についてはロット毎に異なり、保証はされません。
Item # | Diameter | Thickness | Beamsplitter Coating | AR V-Coating | AOIa | Damage Thresholdb |
---|---|---|---|---|---|---|
HBSY052 | 1/2" | 3.0 mm (0.12") | Reflectance > 99% at 532 nm Transmission > 95% at 1064 nm | Reflectance < 0.5% at 1064 nm | 45° | 250 W/cm (532 nm, Ø0.684 mm) 7.5 J/cm2 (532 nm, Ø0.279 mm, 10 ns, 10 Hz) 7.5 J/cm2 (1064 nm, Ø0.31 mm, 10 ns, 10 Hz) |
HBSY12 | 1" | 5.0 mm (0.20") | ||||
HBSY22 | 2" | 8.0 mm (0.31") |


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これらのビームスプリッタは355 nmの光を反射
355 nm、532 nmおよび1064 nmにおける全ての反射率曲線と透過率曲線をご覧になるには上のグラフをクリックしてください。200~2600 nmの波長における反射と透過のデータはこちらからご覧いただけます。355 nm、532 nmおよび1064 nmについては、仕様に記載されている性能が保証されます。これ以外の波長における性能についてはロット毎に異なり、保証はされません。
Item # | Diameter | Thickness | Beamsplitter Coating | AR V-Coating | AOIa | Damage Thresholdb |
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HBSY053 | 1/2" | 3.0 mm (0.12") | Reflectance: > 99% at 355 nm Transmission: > 95% at 532 nm and 1064 nm | Dual V-Coat: Reflectance < 0.5% at 532 nm and 1064 nm | 45° | 250 W/cm (532 nm, Ø0.684 mm) 2 J/cm2 (355 nm, Ø0.384 mm, 10 ns, 10 Hz) 5 J/cm2 (532 nm, Ø0.430 mm, 10 ns, 10 Hz) 10 J/cm2 (1064 nm, Ø0.644 mm, 10 ns, 10 Hz) |
HBSY13 | 1" | 5.0 mm (0.20") | ||||
HBSY23 | 2" | 8.0 mm (0.31") |


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これらのビームスプリッタは266 nmと355 nmの光を反射
266 nm、355 nm、532 nmおよび1064 nmにおける全ての反射率曲線と透過率曲線をご覧になるには上のグラフをクリックしてください。200~2600 nmの波長における反射と透過のデータはこちらからご覧いただけます。266 nm、355 nm、532 nmおよび1064 nmについては、仕様に記載されている性能が保証されます。 これ以外の波長における性能についてはロット毎に異なり、保証はされません。
Item # | Diameter | Thickness | Beamsplitter Coating | AR V-Coating | AOIa | Damage Thresholdb |
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HBSY0534 | 1/2" | 3.0 mm (0.12") | Reflectance: > 90% at 266 nm > 99% at 355 nm Transmission: > 95% at 532 nm and 1064 nm | Dual V-Coat: Reflectance < 0.5% at 532 nm and 1064 nm | 45° | 250 W/cm (532 nm, Ø0.684 mm) 0.5 J/cm2 (266 nm, Ø0.237 mm, 10 ns, 10 Hz) 2 J/cm2 (355 nm, Ø0.345 mm, 10 ns, 10 Hz) 5 J/cm2 (532 nm, Ø0.399 mm, 10 ns, 10 Hz) 7.5 J/cm2 (1064 nm, Ø0.475 mm, 10 ns, 10 Hz) |
HBSY134 | 1" | 5.0 mm (0.20") | ||||
HBSY234 | 2" | 8.0 mm (0.31") |