HeNeレーザーのチュートリアル


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概要

HeNeレーザは、研究や産業用の様々な分野で使用されている小型ガスレーザです。これらのレーザでは、主に可視スペクトルの赤色領域である632.8 nmの波長が使われています。当社の赤色HeNeガスレーザ製品は、0.5~35 mWを安定的に出力します。ビームは基本のガウシアンビームです。モデルにより、出力は直線偏光、もしくはランダム偏光となります。

HeNeレーザの利得媒質は、ヘリウムとネオンが 5:1から20:1の比率で混合された気体で、ガラス管に低圧力で封入されています。このレーザの励起源は、ガラス管の端にあるアノードとカソード間の高電圧の電気放電です。このレーザの光共振器には、レーザ管の片方の端に反射率の高いフラットミラーが配置され、もう一方の端には、透過率が約1%の凹型の出力用のミラーを配置します(下図参照)。HeNeレーザには、小型のものが多く、共振器長は約15 cmから50 cmです。

HeNe Schematic
光共振器
(1)レーザ孔、(2)共振器内ビーム、(3)出力カプラ、(4)出力ビーム
Typical HeNe Parameters
Beam Diameter1 mm
Full Angle Beam Divergence (α)1.5 mrad
Cavity Length (L)0.15 m (0.5 mW) to 1 m (35 mW)
Reflectivity at High Reflector (HR)>99.99%
Transmission at Output Coupler (OC)~1%

HeNeの偏光

ランダム偏光ビーム
ランダム偏光のHeNeレーザでは、急速(ナノ秒レベル)に直線偏光の方向がランダムに変わるビームが出力します。ランダム偏光のレーザは、光路に偏光依存素子のない用途に適しています。レーザを使用する時間スケールによっては、パワーの大きな変動を引き起こす場合があります。

偏光ビーム
HeNe偏光レーザの偏光状態は直線で、偏光に敏感な用途に適しています。

HeNeの線幅

赤色HeNeレーザは632 nmまたは633 nmとされていますが、大気中では632.816 nmです。HeNeレーザの波長利得曲線は、実際には複数の縦モードから構成されており、そのモードは温度やその他の要因による共振器長の変化により変動しています。

HeNeレーザの線幅は、用途によって特定されます。HeNeレーザの軸モード構造の特性は、モード数、フリースペクトルレンジ(FSR)、ドップラ幅(下図参照)で決まります。各軸モードの線幅は、通常は小さな値(~kHz)であるため、基本的なレーザーパラメータではなく、外部要因や測定の時間スケールで主に決まります。多くの干渉用途では、最も影響の大きなパラメータはコヒーレンス長です。これは、最も離れた軸モードによって決まります。赤色のHeNeレーザのコヒーレンス長は、約30 cmです。

HeNe Gain Curves

HeNe利得曲線
HeNe Energy Levels

HeNeエネルギー準位

HeNeエネルギー準位

HeNeレーザにおける発振のプロセスは、気体中のヘリウム原子と電気放電から生じる電子の衝突から始まります。これにより、ヘリウムは基底状態 から長寿命の準安定励起状態に遷移します。励起されたヘリウム原子はその後、基底状態のネオン原子と衝突し、励起状態のネオン原子を生成します。励起状態に遷移するネオン原子の数は、反転分布状態となるまで増加し続けます。異なる状態の間の自然放出、あるいは誘導放出によって、632.82 nmの波長の光が放出されると同時に、他の波長も放出されます(右図参照)。このような状態から電子はすばやく基底状態に落ちます。HeNeレーザの出力に限界があるのは、ネオンの下準位は電流によってリニアに変化する一方で、上準位は飽和してしまうためです。

レーザ共振器は補正ミラー付きの設計も可能で、長さを調整することで、他の波長出力が可能になります。赤外線の遷移は3.39 µmと1.15 µm の波長で、可視領域では緑(543.365 nm)、黄色(593.932 nm)、橙黄色(604.613 nm)とオレンジ色(611.802 nm)と複数の遷移があります(下図参照)。赤色HeNeレーザの典型的な出力である波長632.8 nmでは、1.15 µmや3.39 µmのような他の波長の発振と比べてレーザの利得は非常に低くなります。

用途

  • 計測
  • クリーンルーム用モニタリング機器
  • 食物選別
  • フローサイトメトリ
  • 共焦点顕微鏡
  • イメージング用および医療用器具
  • 不透明度のモニタリング
  • アライメント
  • 海上視線誘導システム

環境について

適切なレーザ性能を得るには、使用環境は重要な要因です。汚染された環境では、光学素子も汚れて出力値が期待値を下回る場合があります。また、雑音の多い環境では、大きな振動源の影響で出力ビームが不安定になる場合もあります。周囲の振動の影響は、光学テーブルに正しく取り付けることで低減できます。レーザの使用環境で温度変化が大きい場合、レーザ出力の振幅が大きくなることがあります。HeNeレーザには、後方反射の影響を受けにくい性質がありますが、レーザに向けた大きな逆方向への反射が起こると、予測できない出力の変化が発生する場合があり ます。フリースペース用アイソレータを使えばこのような影響を抑制、または取り除くことができます。このHeNeレーザの製品群は、単一周波数や長いコヒーレンス長が必要とされる用途や実験には適していません。


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