フェムト秒パルスコンプレッサ
- Maximize Image Contrast from Multiphoton Microscopes
- Designed for Multiphoton Imaging Lasers
- Adjustable Compensation for Wavelengths from 700 to 1050 nm or 1450 to 1800 nm
FSPC
Femtosecond Pulse Compressor for 700 to 1050 nm Pulses
FSPC17
Femtosecond Pulse Compressor for 1450 to 1800 nm Pulses
(Shown With Base Plate Installed)
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(左)分散補償機能無しで取得したサンプル画像。(右)分散補償機能ありで取得したサンプル画像。パルス幅が短く、コントラストが高くなっています。
特長
- 700~1050 nmまたは1450 nm~1800 nmに対応するパルスコンプレッサ
- 2光子または3光子イメーイング用レーザに対応
- 調整可能な分散補償範囲
- 型番FSPC: -12 500~0 fs2 (@800 nm)
- 型番FSPC17: +750~+4000 fs2 (@1650 nm)
当社のフェムト秒パルスコンプレッサは、多光子顕微鏡で発生するパルス幅の広がりを補正します。右のサンプル画像のように、パルス幅の広がりは多光子顕微鏡によるイメージのコントラストを著しく低下させる場合があります。
当社のBergamo® IIIシリーズのような多光子顕微鏡は、パルス幅が約100 fsで近赤外パルスを発するフェムト秒レーザを利用しています。パルス幅を狭くするために、このパルス光はより広い範囲の波長域から成り立っています。
試料に到達時のパルス幅が、レーザから発するパルスと同程度に狭いことが理想です。しかし、顕微鏡内の光学素子を伝搬すると(例えば蛍光イメージングフィルタ、 ダイクロイックミラー、走査レンズや対物レンズ*など)、パルス幅は広がります。波長によってガラスの屈折率が異なるため、波長がそれぞれ異なる速度で移動するからです。対して、空気内を伝搬する際には、パルス幅は変わりません。パルス光に含まれる波長に対する空気の屈折率はほぼ一定なので、パルス内の波長は実効的に同じ速度で伝搬します。
この広がりの現象は、群遅延分散(GDD)と呼ばれ、「群遅延」タブに詳述しています。フェムト秒パルスコンプレッサは、顕微鏡によって発生したパルスレーザの群遅延分散を補償し、試料に到達するパルスをできるだけ短くすることによってイメージの高コントラストを維持しています。通常、1500 nm以下の多光子励起パルスには負の群遅延分散補償が必要であり、1500 nmを超えるパルスには正の群遅延分散補償が必要です。
*参照: P. E. Hänninen and S. W. Hell, Bioimaging 2, 117 (1994); M. Müller, J. Squier, and G. J. Brakenhoff, Opt. Lett. 20, 1038 (1995); G. J. Brakenhoff, M. Müller, and J. Squier, J. Microsc. 179, 253 (1995); J. B. Guild, C. Xu, and W. W. Webb, Appl. Opt. 36, 397 (1997); and M. Müller, J. Squier, R. Wolleschensky, U. Simon, and G. J. Brakenhoff, J. Microsc. 191, 141 (1997).
下のグラフは、フェムト秒パルスコンプレッサFSPCの正味の透過率と群遅延分散の前置補償を示しています。
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青い網掛け部分は、フェムト秒パルスコンプレッサの前置補償の値を示しています。
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フェムト秒パルスコンプレッサの透過率の計算値を示したグラフ
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下のグラフは、フェムト秒パルスコンプレッサFSPC17の透過率の計算値、群遅延分散の前置補償、デバイス内のARコート付きセレン化亜鉛(ZnSe)プリズムの反射率、Cコーティング付きウィンドウの反射率を示しています。
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生データはこちらからダウンロードいただけます
Cコーティング付きUV溶融石英(UVFS)ウィンドウ(型番WG40530-C)表面の反射率。青い網掛け部分(1050~1700 nm)は、-Cコーティングの平均反射率が0.5%以下の波長範囲を示しています。
フェムト秒パルスコンプレッサによるイメージコントラストの向上
レーザーパルスが分散補償機能のない多光子顕微鏡に送られた場合、パルスが顕微鏡内の光学素子を伝搬するうちに、透過材料の屈折率波長依存性によって正または負分散の影響を受けます。多くの顕微鏡システムと対物レンズで使用されているガラスの組み合わせにより、レーザーパルスは通常、1500 nmより短い波長では正分散の影響を受け、1500 nmより長いパルスでは負分散の影響を受けます。正分散のパルス内では、長い波長が短い波長よりも速く伝搬し(つまり、赤の方が青より速く移動します)、負分散のパルス内ではその逆のことがおこります(つまり、青の方が赤より速く移動します)。どちらの場合も、試料に到達したレーザーパルスの幅は拡大し、コントラストが低下します。
フェムト秒パルスコンプレッサFSPCは、2光子顕微鏡システムで一般的に使用される700~1050 nmの波長範囲のパルスに負分散を与えます。フェムト秒パルスコンプレッサFSPC17は、3光子顕微鏡システムで使用される1450~1800 nmの波長範囲のパルスに正分散を与えます。 その後、顕微鏡によってこのパルスは正または負分散(波長によって異なります)の影響を受けるので、結果、試料に到達したパルスは再び狭くなり、コントラストが向上するのです。
下の図では正分散補償を行っています。
パルスコンプレッサFSPCによる実験の柔軟性
パルスコンプレッサFSPCは、700~1050 nmのレーザーパルスに負の群遅延分散(GDD)をもたらします。この分散量は、ユニット側面のノブを回すことによって調整が可能です。そのため、セットアップ内の対物レンズや蛍光イメージングフィルタ、または光学素子を交換しても簡単に再調整することができます。下のグラフでは波長毎に得られるGDD値を曲線で表しています。プリズムの変位量(ユニットに表示されます)と分散量の変換もご確認いただけます (プリズムの変位量は校正手順によって定義されており、詳細はマニュアルに記載されています)。)
Posted Comments: | |
Clayton Moss
 (posted 2024-07-22 14:13:31.6) What is the median total optical beam path length for the FSPC? I couldn't find a value in the manual, my estimate is about 0.85 m. cdolbashian
 (posted 2024-07-29 02:06:34.0) Thank you for reaching out to us with this inquiry. The median path length is indeed approximately 850mm. Biao-Feng Zeng
 (posted 2022-12-05 08:00:52.89) I want to know whether the wavelength range of FSPC can be expanded to be in the range of 600-1100 nm. jdelia
 (posted 2022-12-05 03:28:19.0) Thank you for contacting Thorlabs. I have contacted you directly to discuss the feasibility of your custom request. |
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分散調整ノブと表示
- 波長範囲700~1050 nmでの材料分散を補正
- 2光子イメージング用レーザに対応
- 調整可能な分散補償範囲:-12 500 fs2~0 fs2 (@800 nm)
パルスコンプレッサは、700~1050 nmの動作波長をサポートするので、Coherent社のChameleon™レーザ製品を含むTi:サファイアレーザーシステムに対応します。右表内のグラフでは波長毎による分散補償の範囲を示しています。
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アパーチャーをアライメント穴に組み入れ
右の写真にある筐体外部のノブを回すと、分散を調整することができ、様々な顕微鏡構成に適した群遅延分散補償を得ることができます。このノブはプリズムをビームにどれだけ挿入するかを調整しています。この機能があることにより、フィルタや対物レンズ、またはレーザ波長を変更しても分散性能が変わることがありません。
ノブを回すと、プリズムがどのくらい挿入されたかが表示されます。大きな数値は、光路にプリズムがより多く挿入されたことを意味するので、より大きい正分散が設定されたことになります。ユニット側面には3.5 mmメス型のオーディオジャックが付いています。プリズム変位に比例する電圧を出力するのでモニタとして使用することができます。プリズム挿入量と分散の変換図が「群遅延」タブ内にあります。
設置
フェムト秒パルスコンプレッサは、レーザと顕微鏡の間の光路に設置してください。ビーム高は、120.7 mm(Coherent社のChameleon™用)レーザと108.0 mm(一般的なレーザ用)の2種類に対応しています。ビーム高は、ユニットに付いているベースプレートによって設定されます。ビーム高を108.0 mmに設定する場合、ベースプレートの3本のボルトを9/64インチ六角レンチまたはボールドライバで緩め、ベースプレートをユニットから取り外してください。パルスコンプレッサを光学テーブルに固定するためのクランプCL5とCL8が3つずつ付属しています。
パルスコンプレッサ設置時には、まず入射ビームと出射ビームをアライメントする必要があります。当社では初期アライメント用にカスタム仕様のアパーチャーをご提供しています(右の写真参照)。アライメント手順の詳細はマニュアルに記載されています。内部の光学素子は全て発送前に当社にてアライメント済みとなっております。
- 波長範囲1450~1800 nmでの材料分散を補正
- フェムト秒レーザFSLOPAX1 と組み合わせて使用する設計
- 調整可能な分散補償範囲:+750 fs2~+4000 fs2
- 30 mmケージシステムに取り付け可能
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顕微鏡の対物レンズ下のパルス幅を、セレン化亜鉛(ZnSe)プリズムの挿入量(プラス追加の6 mmの溶融石英)の関数として表しています。前置補正GDD値は上の軸に示されています。パルスコンプレッサFSPC17を使用しない場合のパルス幅は、顕微鏡に入射する前は平均62 fs、顕微鏡の対物レンズ下では111 fsでした。
パルスコンプレッサFSPC17は、1450~1800 nmの動作波長に対応します。1600~1700 nmの波長で発光するフェムト秒レーザFSLOPAX1と組み合わせて使用する設計になっています。 このパルスコンプレッサは、入力光パルスがセレン化亜鉛(ZnSe) プリズムのセットを通過する距離を調整することにより、正分散(正常分散)を与えて前置補正します。この波長範囲は、負分散(異常分散)による群遅延分散(GDD)の影響を受けやすい1650 nmの励起波長を使用する3光子顕微鏡システムの分散を補正するのに適しています。右表内のグラフでは波長毎による分散補償の範囲を示しています。
パルスコンプレッサのパルス幅広がり低減機能を実証するために、レーザFSLOPAX1と多光子顕微鏡システムの間のビーム光路にパルスコンプレッサFSPC17を設置して測定を行いました。測定結果は右下のグラフに示しています*。この実験で、パルスコンプレッサは顕微鏡の対物レンズ下で測定された1650 nmのパルス幅(時間)を約37%減少させました。
筐体外部のノブを回すと、分散値を調整することができ、様々な顕微鏡構成に適した群遅延分散補償を得ることができます。このノブはセレン化亜鉛(ZnSe)プリズムをビームにどれだけ挿入するかを調整しています。この機能があることにより、フィルタや対物レンズ、またはレーザ波長を変更しても分散性能が変わることがありません。 システムの正味分散には2つの溶融石英ウィンドウ(型番WG40530-C)も含まれています。ウィンドウの合計6 mmのガラス厚とこの範囲での異常分散(1 mmあたり(-41 fs2)は、パルスコンプレッサFSPC17が達成可能な最小のGDD量を小さくすることに寄与しています。パルスコンプレッサが用途に必要な分散範囲を補正できない場合は、レンズチューブにガラス製ウィンドウを追加して分散範囲を小さい方にシフト(型番WG40530-Cなどの溶融石英ウィンドウ)、あるいは大きい方にシフト(型番
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GDDおよびプリズム挿入スケールとインジケータ
GDDは、調整可能なセレン化亜鉛(ZnSe)の光路長と、厚さ6 mmの溶融石英ウィンドウの固定された光路長によって決定されます。
ノブを回転させると、下の写真のように、セレン化亜鉛セレン化亜鉛(ZnSe)プリズム材料の光パルスが通過部分の長さ(下軸)に対して、1650 nmで校正されたGDD値(上軸)を示すインジケータが、ユニット側面の溝に沿って移動します。
設置
パルスコンプレッサはレーザと顕微鏡の間の光路に設置してください。内部の光学素子はあらかじめアライメントしてあるため、ユニットを開ける必要はありませんが、入射ビームのみユニット側面にあるポートの1つにアライメントする必要があります。アライメントの補助用に、ポートの中央を示す水平および垂直のマークがあります。両ポートの周囲にあるケージロッド取り付け用の#4-40タップ穴を使用して、30 mmケージシステムをアライメント用のジグとして取り付けることができます。 また、このパルスコンプレッサは底面にある#8-32ネジ穴を使用して台座付きピラーポストにも取り付けられます。筐体側面の溝を使用してクランプCL4(3つ付属しています) またはCL5Aを固定することもできます。
注: パルスコンプレッサFSPC17内の光学素子は、硬度が低く危険物質でもあるセレン化亜鉛(ZnSe)製です。プリズムに損傷を与えてセレン化亜鉛の粉塵が発生しないように、十分な注意が必要です。デバイスの通常の動作ではセレン化亜鉛に触れる必要はありません。レンズを取り扱う際にはお客様の安全のため、手袋の着用、取り扱い後の適切な手洗いなど、すべての安全上のご注意をお守りください。 パルスコンプレッサFSPC17を廃棄される場合には、関連法規則ならびに地方自治体の基準に従って廃棄してください。ZnSeの製品安全データシート(SDS)はこちらからダウンロードいただけます。
*データご提供:Dr. Raluca Niesner and Anne Bias, Institute of the Leibniz Association, Deutsches Rheuma-Forschungszentrum (DRFZ), Berlin, Germany.