線形状-線形状配列ファイバーバンドル


  • Multimode Fiber Bundles with Low-OH or High-OH Fiber
  • Linear-to-Linear Coherently Mapped Configuration
  • Optimized for Use with Spectrometers with an Entrance Slit

BFA200LS02

SMA Connector with
Linear Bundle End

Application Idea

Linear-to-Linear Bundles are Ideal for Absorption Spectroscopy, See Applications tab for More Information

Black Rubber and Metal Threaded
Dust Caps Included

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Item #BFA105HS02BFA105LS02BFA200HS02BFA200LS02
Number of Fibers7
Fiber Core SizeØ105 µmØ200 µm
Linear End Fiber
Dimensions
0.90 mm x 0.13 mm1.55 mm x 0.23 mm
Fiber NA0.22a
Hydroxyl Ion ContentHigh OHLow OHHigh OHLow OH
Wavelength Range250 - 1200 nm400 - 2400 nm250 - 1200 nm400 - 2400 nm
Fiber Attenuation Plot
Length2 +0.075/-0 m
ConnectorsSMA905
  • バンドルのNA値は、終端処理なしの1本のファイバの仕様に基づきます。

特長

  • 7本のファイバが線形状に配列されたファイバーバンドル
  • 低OHまたは高OH、コア径Ø105 µmまたはØ200 µmのマルチモードファイバ
  • ケーブルは2 m長、SMA905コネクタ付き
  • コヒーレントマッピング構造(両端のファイバ位置が同じ構造)
  • 線形状先端は分光器入射スリットの形状に合うため、高効率に信号受信が可能
  • 線形状先端はライン照射パターンを生成可能
Linear Fiber Array Alignment Mark
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分光器CCS100(/M)の入射スリット(20 µm x 2 mm)透過後のファイバーバンドルBFA105HS02からの出射光プロファイル
Linear Bundle End
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線形状のバンドル先端
Linear Fiber Array Alignment Mark
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コネクタの応力緩和スリーブに線形状ファイバーアレイ軸が刻印

こちらのファイバーバンドルは、両端とも7本のファイバが線形状に配列された構造となっております。 線形状-線形状配列ファイバーバンドルケーブルは、入射スリットを持つ分光器ほか光学機器の結合効率を上げる際に使用されます。 線形状の先端は、単ファイバや円状配列のバンドルよりも入射スリットの形に合うため、スリットを有するデバイスへの入射光量を増やすことができます(詳細は、「バンドルとケーブルの違い」タブをご参照ください)。 また線形状の先端は楕円形に放電する典型的な放電ランプや、吸収分光等のキュベットを使用した測定に適しています(詳細は「用途」タブをご覧ください)。

この線形状-線形状配列ファイバーバンドルにはSMA905コネクタが付いており、当社のCCD分光器を含むほとんどの分光器にお使いいただけます。 コア径がØ105 µmまたはØ200 µmのマルチモードファイバで構成されており、水酸化物イオン(OH)の濃度が高いバージョン(250~1200 nm用)と低いバージョン(400~2400 nm用)がございます。 耐久性を上げるため、ファイバはステンレス製保護ジャケット(FT05SS)に納められています。

バンドルケーブルの線形状先端を分光器などのデバイスに接続する際は、ファイバーアレイの向きを入射スリットにアライメントさせる必要があります。アライメントが容易にできるよう、コネクタースリーブにはファイバーアレイ軸が示された線が刻印されています(左の写真参照)。 バンドルとスリットを精密にアライメントする必要はありませんが、±5°を超えるようなミスアライメントは信号強度が低減する原因となることがあります。信号強度を最大化するためには、分光器内の光量をモニタしながらバンドルを回転させ、適切な値に到達後、SMAコネクタのネジ部分を締め付けてバンドルを固定してください。 これらのファイバーバンドルを当社のCCD分光器とお使いになる際には、ファイバーアレイが垂直になるように接続してください。

各パッチケーブルには、コネクタの先端を埃や他の危険から守るゴム製保護キャップと金属製保護キャップがそれぞれ2個ずつ付属しています。 SMAコネクタ用ゴム製ファイバーキャップCAPMや金属製ネジ付きファイバーキャップCAPSMは別売りしています。

注: バンドルのファイバはコヒーレントにマッピングされているので、両先端での配置順は同じです。詳細は「用途」タブをご覧ください。

Linear Bundle Coherence
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線形状-線形状配列バンドルで両端ファイバ位置を合わせています(コヒーレントマッピング)

使用例

線形状-線形状配列バンドルのコヒーレンス
バンドルの各ファイバは両端でコヒーレントに配列されています。右の図で示しているように、両先端のファイバの順番は同じ、もしくは片端を180°回転させると逆になります。

線形状-線形状配列バンドルの利点
線形状の先端は、「バンドルとケーブルの違い」タブで示しているように単ファイバや円状配列のバンドルよりも入射スリットの形に合います。 吸収分光法で使用されるキュベットの形(下記参照)も分光器の細い入射スリットと同じように、単ファイバや円状配列のバンドルよりも先端が線形状のバンドルの方が合い、吸収分光測定の効率が向上します。 キュベットや分光器の入射スリットのほかにも、典型的な放電ランプは楕円形に放電するので、線形状バンドル端の方が結合効率が良くなります。

吸収分光法
分光器は、特定の電磁スペクトル域での入射光の特性を測定します。 光が細胞や粒子を含む試料を透過してから分光器に到達するとき、試料の含有物に吸収または散乱されると分光器に到達する光量は減少します。 試料を透過する光の割合を測定することを吸収分光法と言い、酵素反応過程の測定、試料の濃度測定、試料の吸収スペクトルの測定の際に用います。  そのような測定の基本的なセットアップは下記のとおりです。セットアップ内で使用している部品のリストも掲載しています。

吸収スペクトル測定用セットアップリスト

#Item #QtyDescription
1SLS2011Stabilized Fiber-Coupled Light Source, 300 - 2600 nm
2BFA105HS022Linear-to-Linear Bundle, 7 x Ø105 µm Core Fibers, High-OH
3CVH1001Cuvette Holder for Micro & Macro Cuvettes 
4CV10Q1001100 µL Super Micro Cuvette with Cap, 8.5 mm Beam Height
5CVH100-COL1SMA-to-SM1 Fiber Adapter
6CCS1001Compact Spectrometer, 350 - 700 nm
Linear Bundle Coherence
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線形状-線形状配列バンドルで両端ファイバ位置を合わせています(コヒーレントマッピング)

線形ファイバーバンドルとシングルファイバーパッチケーブルの比較

入射スリットのスループットの比較
スリットに対しては、線形ファイバーバンドルの方が標準的なシングルファイバーパッチケーブルに比べてスループット量が著しく高くなります。下の画像では、線形ファイバーバンドルの方が、標準的なファイバーパッチケーブルと比べて分光器の入射スリットの配列により近い形で光が出射されていることを示しています。グラフでは、広帯域光源SLS201を分光器CCS100で測定する際、線形バンドルならびに標準的なパッチケーブルを使用した場合のスペクトルを比較しています。グラフで示しているように、コア径Ø105 µmの線形バンドルの出力は、シングル(1本)の同じファイバーケーブルに対して最大で約500%増、コア径Ø200 µmの線形バンドルの場合は、最大で約300%増となりました。

 

コア径Ø105 µmのケーブルの比較

7本のファイバーバンドル
Linear Fiber Array Alignment Mark
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1本のファイバーケーブル
Linear Fiber Array Alignment Mark
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左:分光器CCS100の入射スリット(20 µm x 2 mm)透過後の線形バンドルBFA105HS02からの出射光プロファイル。
右:分光器CCS100の入射スリット(20 µm x 2 mm)透過後のファイバーパッチケーブルM15L01からの出射光プロファイル。

Linear Fiber Array Alignment Mark
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分光器CCS100で取得した広帯域光源SLS201のスペクトルを、線形ファイバーバンドルBFL105HS02使用時とシングルファイバーパッチケーブルM15L01使用時で比較。線形バンドルは最大で約500%増の信号強度をもたらします。

 

コア径Ø200 µmのケーブルの比較

7本のファイバーバンドル
Linear Fiber Array Alignment Mark
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1本のファイバーケーブル
Linear Fiber Array Alignment Mark
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左:分光器CCS100の入射スリット(20 µm x 2 mm)透過後の線形バンドルBFA200HS02からの出射光プロファイル。注: バンドルの外側約2本のファイバの光は、分光器スリット直近のØ1.2 mmの内部開口により遮断されています。
右:分光器CCS100の入射スリット(20 µm x 2 mm)透過後のファイバーパッチケーブルM25L01からの出射光プロファイル。

Linear Fiber Array Alignment Mark
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分光器CCS100で取得した広帯域光源SLS201のスペクトルを、線形ファイバーバンドルBFL200HS02使用時とシングルファイバーパッチケーブルM25L01使用時で比較。線形バンドルは最大で約300%増の信号強度をもたらします。
Fan Out Cable
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カスタム仕様の1対4のファンアウトケーブル

コネクタ部分のファイバーバンドルの配列例

カスタムファイバーバンドル

当社では、カスタム仕様の分岐なし、またはファンアウトファイバーバンドルをランダムまたはマッピング配列でご提供しております。 下の表は、当社が現在生産するバンドルの性能です。表に記載されていない性能のバンドルをご希望の場合は、当社へお問い合わせください。

当社の通常の生産工程以上の技術を必要とする仕様をご希望の場合は、ご提供できないこともございますのでご了承ください。お客様のご用途に応じた製造が可能 かどうかについては、お気軽にご相談ください。カスタムバンドルのお見積りをご希望の場合には、ご希望のバンドルの配列を絵や図面でお送りください。

Fluoride Fiber Bundle
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カスタム仕様フッ化物ファイバーバンドル、SMA905コネクタ付き
Custom Bundle Capabilities
Bundle
Configuration
StraightaFan Out (2 or More Legs)a,b
Fiber
Types
Single ModeStandard (320 to 2100 nm), Ultra-High NA (960 to 1600 nm),
Photosensitive (980 to 1600 nm)
Multimode0.10 NA Step Index (280 to 750 nm), 0.22 NA Step Index (190 to 2500 nm),
0.39 NA Step Index (300 to 2200 nm), Multimode Graded Index (750 to 1450 nm),
Multimode ZrF4 (285 nm to 4.5 µm)
Tubing OptionscThorlabs' Stock Furcation Tubing, Stainless Steel Tubing or Black Heat Shrink Tubing
ConnectorsSMA905 (Ø2 mm Max Cored), FC/PC (Ø800 µm Max Cored),
Ø1/4" Probe, or Flat-Cleaved Unterminated Fiber
Length Tolerancee±0.14 m
Active Area
Geometryf
Round or Linear
Angle PolishingOn Special Request. Available for up to Ø105 µm Core on Single Fiber End.
Please Inquire for More Information.
  • 20本のバンドルでは、最大1本のダークファイバの混在が典型的に含まれています。つまり、バンドルの95%のファイバは破損していないことになります。1端あたりに複数本のファイバが入っているバンドルの場合、一般的に5~10%のダークファイバが混在します。
  • これらのバンドルは均等な光パワー分布が必要な用途には向いておりません。
  • チューブは、ファイバの種類、バンドル内のファイバの本数、ならびに長さによって選択に制約があります。 カスタム仕様のバンドル、とくにファンアウトバンドルには通常1種類以上のチューブが使用されます。
  • 非分岐端の最大コア径です。分岐端のコア径を合わせると非分岐端のコア径となります。
  • Length Tolerance(長さの公差)の仕様は、≤2 mのバンドルに適用されます。 2 mを超えるバンドルの長さの公差については当社までお問い合わせください。
  • ファンアウトバンドル端面のファイバ間距離やファイバ配列については保証しておりません。

標準品以外のカスタム仕様のバンドルをご希望の場合は、当社までお問い合わせください。

レーザによる石英ファイバの損傷

このチュートリアルではコネクタ無し(素線)ファイバ、コネクタ付きファイバ、およびレーザ光源に接続するその他のファイバ部品に関連する損傷メカニズムを詳しく説明しています。そのメカニズムには、空気/ガラス界面(自由空間結合時、またはコネクタ使用時)ならびにファイバ内における損傷が含まれます。ファイバ素線、パッチケーブル、または溶融型カプラなどのファイバ部品の場合、損傷につながる複数の可能性(例:コネクタ、ファイバ端面、機器そのもの)があります。ファイバが対処できる最大パワーは、常にそれらの損傷メカニズムの中の最小の限界値以下に制限されます。

損傷閾値はスケーリング則や一般的なルールを用いて推定することはできますが、ファイバの損傷閾値の絶対値は利用方法やユーザ定義に大きく依存します。このガイドは、損傷リスクを最小に抑える安全なパワーレベルを推定するためにご利用いただくことができます。適切な準備と取扱い方法に関するガイドラインにすべて従えば、ファイバ部品は規定された最大パワーレベルで使うことができます。最大パワーの値が規定されていない場合は、部品を安全に使用するために下表の「実用的な安全レベル」の範囲に留めてご使用ください。 パワー処理能力を低下させ、ファイバ部品に損傷を与える可能性がある要因は、ファイバ結合時のミスアライメント、ファイバ端面の汚れ、あるいはファイバそのものの欠陥などですが、これらに限られるわけではありません。特定の用途におけるファイバのパワー処理能力に関するお問い合わせは当社までご連絡ください。

Power Handling Limitations Imposed by Optical Fiber
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損傷のないファイバ端
Power Handling Limitations Imposed by Optical Fiber
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損傷のあるファイバ端

空気/ガラス界面における損傷

空気/ガラス界面ではいくつかの損傷メカニズムが存在する可能性があります。自由空間結合の時、またはコネクタで2本のファイバを結合した時、光はこの界面に入射します。高強度の光は端面を損傷し、ファイバのパワー処理能力の低下や恒久的な損傷につながる場合があります。コネクタ付きのファイバで、コネクタがエポキシ接着剤でファイバに固定されている場合、高強度の光によって発生した熱により接着剤が焼けて、ファイバ端面に残留物が残る可能性があります。

Estimated Optical Power Densities on Air / Glass Interfacea
TypeTheoretical Damage ThresholdbPractical Safe Levelc
CW
(Average Power)
~1 MW/cm2~250 kW/cm2
10 ns Pulsed
(Peak Power)
~5 GW/cm2~1 GW/cm2
  • すべての値はコネクタ無し(素線)の石英ファイバに対する仕様で、クリーンな状態のファイバ端面への自由空間結合に適用されます。
  • 損傷リスク無しでファイバ端面に入射できる最大パワー密度の推定値です。これはシステムに大きく依存するため、ハイパワーで使用する前に光学系内のファイバ部品の性能ならびに信頼性の確認をお客様ご自身で実施していただく必要があります。
  • ほとんどの使用状態でファイバを損傷することなく端面に入射できる安全なパワー密度の推定値です。

ファイバ素線端面での損傷メカニズム

ファイバ端面での損傷メカニズムはバルクの光学素子の場合と同様なモデル化ができ、UV溶融石英(UVFS)基板の標準的な損傷閾値を石英ファイバに当てはめることができます。しかしバルクの光学素子とは異なり、光ファイバの空気/ガラス界面においてこの問題に関係する表面積やビーム径は非常に小さく、特にシングルモードファイバの場合はそれが顕著です。 パワー密度が与えられたとき、ファイバに入射するパワーは、小さいビーム径に対しては小さくする必要があります。

右の表では光パワー密度に対する2つの閾値が記載されています。理論的な損傷閾値と「実用的な安全レベル」です。一般に、理論的損傷閾値は、ファイバ端面の状態も結合状態も非常に良いという条件で、損傷のリスク無しにファイバの端面に入射できる最大パワー密度の推定値を表しています。「実用的な安全レベル」のパワー密度は、ファイバ損傷のリスクが極めて小さくなる値を示しています。ファイバまたはファイバ部品をこの実用的な安全レベルを超えて使用することは可能ですが、その時は取扱い上の注意事項を適切に守り、使用前にローパワーで性能をテストする必要があります。

シングルモードの実効面積の計算
シングルモードファイバの実効面積は、モードフィールド径(MFD)、すなわちファイバ内の光が伝搬する部分の断面積によって定義されます。この面積にはファイバのコアとクラッドの一部が含まれます。シングルモードファイバとの結合効率を良くするためには、入射ビーム径をファイバのモードフィールド径に合致させなければなりません。

例として、シングルモードファイバSM400を400 nmで使用した時のモードフィールド径(MFD)は約Ø3 µmで、SMF-28 Ultraを1550 nmで使用したときのモードフィールド径(MFD)はØ10.5 µmです。これらのファイバの実効面積は下記の通り計算します。

SM400 Fiber: Area = Pi x (MFD/2)2 = Pi x (1.5 µm)2 = 7.07 µm= 7.07 x 10-8 cm2

 SMF-28 Ultra Fiber: Area = Pi x (MFD/2)2 = Pi x (5.25 µm)2 = 86.6 µm= 8.66 x 10-7 cm2

ファイバ端面が対応できるパワーを推定するには、パワー密度に実効面積を乗じます。なおこの計算は均一な強度プロファイルを想定しています。しかしほとんどのレーザービームでは、シングルモード内でガウス分布を示すため、ビームの端よりも中央のパワー密度が高くなります。よって、これらの計算は損傷閾値または実用的安全レベルに対応するパワーとは若干異なることを考慮する必要があります。連続光源を想定して上記のパワー密度の推定値を使用すると、それぞれのパワーは下記のように求められます。

SM400 Fiber: 7.07 x 10-8 cm2 x 1 MW/cm2 = 7.1 x 10-8 MW = 71 mW (理論的損傷閾値)
     7.07 x 10-8 cm2 x 250 kW/cm2 = 1.8 x 10-5 kW = 18 mW (実用的な安全レベル)

SMF-28 Ultra Fiber: 8.66 x 10-7 cm2 x 1 MW/cm2 = 8.7 x 10-7 MW = 870 mW (理論的損傷閾値)
           8.66 x 10-7 cm2 x 250 kW/cm2 = 2.1 x 10-4 kW = 210 mW (実用的な安全レベル)

マルチモードの実効面積
マルチモードファイバの実効面積は、そのコア径によって定義されますが、一般にシングルモードファイバのMFDよりもはるかに大きくなります。当社では最適な結合を得るためにコア径のおよそ70~80%にビームを集光することをお勧めしています。マルチモードファイバでは実効面積が大きくなるほどファイバ端面でのパワー密度は下がるので、より大きな光パワー(通常キロワットオーダ)を入射しても損傷は生じません。

フェルール・コネクタ付きファイバに関する損傷メカニズム

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コネクタ付きシングルモード石英ファイバに入力可能なパワー処理限界値(概算)を示したグラフ。各線はそれぞれの損傷メカニズムに応じたパワーレベルの推定値を示しています。 入力可能な最大パワーは、損傷メカニズムごとに制限されるパワーのうちの一番小さな値(実線で表示)によって制限されます。

コネクタ付きファイバのパワー処理能力に関しては、ほかにも考慮すべき点があります。ファイバは通常、エポキシ接着剤でセラミック製またはスチール製のフェルールに取り付けられています。光がコネクタを通してファイバに結合されると、コアに入射せずにファイバを伝搬する光は散乱されてファイバの外層からフェルール内へ、さらにフェルール内でファイバを保持する接着剤へと伝搬します。光の強度が大きいとエポキシ接着剤が焼け、それが蒸発して残留物がコネクタ端面に付着します。これによりファイバ端面に局所的に光を吸収する部分ができ、それに伴って結合効率が減少して散乱が増加するため、さらなる損傷の原因となります。

エポキシ接着剤に関連する損傷は、いくつかの理由により波長に依存します。一般に、光の散乱は長波長よりも短波長で大きくなります。短波長用のMFDの小さなシングルモードファイバへの結合時には、ミスアライメントに伴ってより多くの散乱光が発生する可能性があります。

エポキシ樹脂が焼損するリスクを最小に抑えるために、ファイバ端面付近のファイバとフェルール間にエポキシ接着剤の無いエアギャップを有するファイバーコネクタを構築することができます。当社の高出力用マルチモードファイバーパッチケーブルでは、このような設計のコネクタを使用しております。

複数の損傷メカニズムがあるときのパワー処理限界値を求める方法

ファイバーケーブルまたはファイバ部品において複数の損傷要因がある場合(例:ファイバーパッチケーブル)、入力可能なパワーの最大値は必ずファイバ部品構成要素ごとの損傷閾値の中の一番小さな値により決まります。この値が一般的にはパッチケーブルの端面に入射可能な最大のパワーを表します(出力パワーではありません)。 

右のグラフは、シングルモードパッチケーブルにおけるファイバ端面での損傷とコネクタでの損傷に伴うパワー処理限界の推定値を例示しています。 ある波長におけるコネクタ付きファイバの総合的なパワー処理限界値は、その波長に対する2つの制限値の小さい方の値(実線)によって制限されます。488 nm付近で使用しているシングルモードファイバは主にファイバ端面の損傷(青い実線)によって制限されますが、1550 nmで使用しているファイバはコネクタの損傷(赤い実線)によって制限されます。

マルチモードファイバの実効面積はコア径で定義され、シングルモードファイバの実効面積より大きくなります。その結果、ファイバ端面のパワー密度が小さくなり、大きな光パワー(通常キロワットオーダ)を入射してもファイバに損傷は生じません(グラフには表示されていません)。しかし、フェルール・コネクタの損傷による限界値は変わらないため、マルチモードファイバが処理できる最大パワーはフェルールとコネクタによって制限されることになります。

上記の値は、取り扱いやアライメントが適切で、それらによる損傷が生じない場合のパワーレベルです。また、ファイバはここに記載されているパワーレベルを超えて使用されることもあります。しかし、そのような使い方をする場合は一般に専門的な知識が必要で、まずローパワーでテストして損傷のリスクを最小限に抑える必要があります。その場合においても、ハイパワーで使用するファイバ部品は消耗品と捉えた方が良いでしょう。

ファイバ内の損傷閾値

空気/ガラス界面で発生する損傷に加え、ファイバのパワー処理能力はファイバ内で発生する損傷メカニズムによっても制限されます。この制限はファイバ自体が本質的に有するもので、すべてのファイバ部品に適用されます。ファイバ内の損傷は、曲げ損失による損傷とフォトダークニングによる損傷の2つに分類されます。

曲げ損失
ファイバが鋭く曲げられると、コア内を伝搬する光がコア/クラッド界面において反射する際に、その反射角が全反射臨界角よりも大きくなります。曲げ損失は、このように内部全反射ができなくなることにより生じる損失です。このような状況下では、光はファイバから局所的に漏れだします。漏れる光のパワー密度は一般に大きく、ファイバのコーティングや補強チューブが焼損する可能性があります。

特殊ファイバに分類されるダブルクラッドファイバは、コアに加えてファイバのクラッド(2層目)も導波路として機能するため、曲げ損失による損傷のリスクが抑えられます。クラッドと被覆の界面の臨界角をコアとクラッドの界面の臨界角より大きくすることで、コアから漏れた光はクラッド内に緩く閉じ込められます。その後、光はセンチメートルからメートルオーダーの距離に渡って漏れ出しますが、局所的ではないため損傷リスクは最小に留められます。当社ではメガワットレベルの大きなパワーにも対応するNA 0.22のダブルクラッドマルチモードファイバを製造、販売しております。

フォトダークニング
もう1つのファイバ内の損傷メカニズムとして、特にコアにゲルマニウムが添加されたファイバをUVや短波長の可視光で使用した時に起こるフォトダークニングまたはソラリゼーションがあります。これらの波長で使用されたファイバは時間の経過とともに減衰量が増加します。 フォトダークニングが発生するメカニズムはほとんど分かっていませんが、その現象を緩和するファイバはいくつか開発されています。例えば、水酸イオン(OH)が非常に低いファイバはフォトダークニングに耐性があることが分かっています。またフッ化物などのほかの添加物もフォトダークニングを低減させる効果があります。

しかし、上記の対応をとったとしても、UV光や短波長に使用したファイバはいずれフォトダークニングが生じます。よってこれらの波長で使用するファイバは消耗品としてお考えください。

光ファイバの準備ならびに取扱い方法

一般的なクリーニングならびに操作ガイドライン
この一般的なクリーニングならびに操作ガイドラインはすべてのファイバ製品向けにお勧めしております。さらに付属資料やマニュアルに記載された個々の製品に特化したガイドラインも遵守してください。損傷閾値の計算は、すべてのクリーニングおよび取扱い手順に適切に従ったときにのみ適用することができます。

  1. (コネクタ付き、またはファイバ素線に関わらず)ファイバを設置または組み込む前に、すべての光源はOFFにしてください。これにより、損傷の可能性のあるコネクタまたはファイバの脆弱な部分に集光されたビームが入射しないようにすることができます。

  2. ファイバやコネクタ端面の品質がファイバのパワー処理能力に直結します。ファイバを光学系に接続する前に必ずファイバ端を点検してください。端面はきれいで、入射光の散乱を招く汚れや汚染物質があってはなりません。ファイバ素線は使用前にクリーブし、クリーブの状態が良好であることを確認するためにファイバ端面の点検をしてください。

  3. ファイバを光学系に融着接続する場合、ハイパワーで使用する前にまずローパワーで融着接続の状態が良いことを確認してください。融着接続の品質が良くないと接続面での散乱が増え、ファイバ損傷の原因となる場合があります。

  4. システムのアライメントや光結合の最適化などの作業はローパワーで行ってください。これによりファイバの(コア以外の)他の部分の露光が最小に抑えられます。ハイパワーのビームがクラッド、被覆またはコネクタに集光された場合、散乱光による損傷が発生する可能性があります。

ハイパワーでファイバを使用するための要点
光ファイバやファイバ部品は一般には安全なパワー限界値内で使用する必要がありますが、アライメントや端面のクリーニングがとても良い理想的な条件下では、ファイバ部品のパワー限界値を上げることができる場合があります。入力または出力パワーを増加させる前に、システム内のファイバ部品の性能と安定性を確認し、またすべての安全ならびに操作に関する指示に従わなければなりません。下記はファイバ内またはファイバ部品内の光パワーをの増大させること加を検討していするときに役立つご提案です。

  1. ファイバースプライサを使用してファイバ部品をシステムに融着接続すると、空気/ファイバ界面での損傷の可能性を最小化できます。品質の高い融着接続が実現されるよう、すべて適切なガイドラインに則って実施する必要があります。融着接続の状態が悪いと、散乱や融着接続面での局所的な加熱などが発生し、ファイバを損傷する可能性があります。

  2. ファイバまたはファイバ部品の接続後、ローパワーでシステムのテストやアライメントを実施してください。システムパワーを必要な出力パワーまで徐々に上昇させ、その間、定期的にすべての部品が適切にアライメントされ、結合効率が入力パワーによって変動していないことを確認します。

  3. ファイバを鋭く曲げると曲げ損失が発生し、ファイバのストレスを受けた部分から光が漏れる可能性があります。ハイパワーで使用している時は、大量の光が小さな局所領域(歪みのある領域)から流出すると局所的に加熱され、ファイバが損傷する可能性があります。使用中はファイバの曲げが生じないよう配慮し、曲げ損失を最小限に抑えてください。

  4. また、用途に適したファイバを選ぶことも損傷防止に役立ちます。例えば、ラージモードエリアファイバは、標準的なシングルモードファイバをハイパワー光用として用いる場合の良い代替品となります。優れたビーム品質を有しながらMFDも大きいため、空気/ファイバ界面でのパワー密度は小さくなります。

  5. ステップインデックスシングルモード石英ファイバは、一般にUV光やピークパワーの大きなパルス光には使用しませんが、これはその用途に伴う空間パワー密度が大きいためです。


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線形状-線形状配列ファイバーバンドル、コア径Ø105 µmマルチモードファイバ付き

Item #Hydroxyl
Content
Wavelength
Range
Fiber
Item #
# of
Fibers
Linear End
Fiber Dimensions
Fiber Core
Diameter
Fiber Cladding
Diameter
Coating DiameterNAMinimum Bend Radius
Short TermaLong Termb
BFA105HS02High OH250 - 1200 nmcFG105UCA70.90 mm x 0.13 mm105 +1/-3 µm125 +1/-2 µm250 ± 10 µm 0.22 ± 0.02d19 mm32 mm
BFA105LS02Low OH400 - 2400 nmFG105LCA
  • ステンレス製チューブによって制限
  • 光ファイバによって制限
  • 300 nm未満の波長で使用するとソラリゼーションが発生する可能性があります。耐ソラリゼーションファイバを使用したカスタムバンドルをご希望の場合は、当社までお問い合わせください。
  • バンドルのNAは使用している各ファイバのNAと同じです。
+1 数量 資料 型番 - ユニバーサル規格 定価(税抜) 出荷予定日
BFA105HS02 Support Documentation
BFA105HS02Linear-to-Linear Bundle, 7 x Ø105 µm Core Fibers, High-OH, SMA, 2 m Long
¥55,215
7-10 Days
BFA105LS02 Support Documentation
BFA105LS02Linear-to-Linear Bundle, 7 x Ø105 µm Core Fibers, Low-OH, SMA, 2 m Long
¥55,215
7-10 Days
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線形状-線形状配列ファイバーバンドル、コア径Ø200 µmマルチモードファイバ付き

Item #Hydroxyl
Content
Wavelength
Range
Fiber
Item #
# of
Fibers
Linear End
Fiber Dimensions
Fiber Core
Diameter
Fiber Cladding
Diameter
Coating DiameterNAMinimum Bend Radius
Short TermaLong Terma
BFA200HS02High OH250 - 1200 nmbFG200UEA71.55 mm x 0.23 mm200 ± 4 µm 220 ± 2 µm320 ± 16 µm 0.22 ± 0.02c23 mm46 mm
BFA200LS02Low OH400 - 2400 nmFG200LEA
  • 光ファイバによって制限
  • 300 nm未満の波長で使用するとソラリゼーションが発生する可能性があります。耐ソラリゼーションファイバを使用したカスタムバンドルをご希望の場合は、当社までお問い合わせください。
  • バンドルのNAは使用している各ファイバのNAと同じです。
+1 数量 資料 型番 - ユニバーサル規格 定価(税抜) 出荷予定日
BFA200HS02 Support Documentation
BFA200HS02Linear-to-Linear Bundle, 7 x Ø200 µm Core Fibers, High-OH, SMA, 2 m Long
¥60,142
7-10 Days
BFA200LS02 Support Documentation
BFA200LS02Linear-to-Linear Bundle, 7 x Ø200 µm Core Fibers, Low-OH, SMA, 2 m Long
¥60,142
7-10 Days