2波長用偏波保持波長分割多重(WDM)カプラ

- Combine Two Wavelengths in PM PANDA Fiber
- Unterminated, FC/PC, or FC/APC Outputs
- Connector Key Aligned to Slow Axis
Combine Two Wavelengths into a Single Fiber Output
WP9850B
980 nm / 1550 nm WDM with Unterminated Outputs
WP9864A
980 nm / 1064 nm WDM with FC/APC Connectors
Split Two Wavelengths from a Single Fiber Input

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WDMカプラの筐体には型番とポートの波長が刻印されています。コモンポートは1本のファイバが付いている側で、被覆は白色です。

PANDA型PMファイバの断面図
特長
- PANDA型偏波保持ファイバを使用した波長分割多重(WDM)カプラ
- 2種類の波長の入力光を合波または分波
- 980 nm / 1064 nm
- 980 nm / 1550 nm
- 1310 nm / 1550 nm
- ファイバ:長さ0.8 m (公差+0.075 m / -0.0 m)
- コネクターキーはスロー軸に対してアライメント
- カプラには個別の検査データシートをご提供
(「PER測定」タブ参照。サンプルデータシートは こちらからご覧いただけます。)
当社の溶融型偏波保持波長分割多重(PM WDM)カプラは、入射光の偏光状態を維持しながら偏波保持ファイバ内で2種類の波長を結合します。また、双方向で使用可能であり、コモンポートに入力した2種類の波長を2つの異なる出力ポートに分波することもできます。広帯域光源からの出射光を分岐する設計ではありません。様々な用途においても簡単にカスタマイズが可能なため、設計サイクルと新規プロジェクト構築の短時間化につなげていただけます。カスタム仕様のご注文については当社までお問い合わせください。
偏波保持型WDMカプラは980 nm/1064 nm、980 nm/1550 nm、1310 nm / 1550 nmの3種類の組み合わせをご用意しております。 FC/PCまたはFC/APCコネクタ付き、あるいはコネクタ無しからお選びいただけます。こちらのWDMカプラはPANDA型の偏波保持ファイバを使用しているため、光がファイバのスロー軸に沿って入射した際に高い偏光消光比(PER)を維持することができます。右図のように、ストレスロッドがファイバーコアと並んで存在し、応力を付与することでファイバーコア内に複屈折を生じさせ偏波保持動作を可能にしています。
当社の偏波保持型WDMの偏光消光比は≥20 dB(コネクタ含む)で、動作範囲は-40 °C~85 °Cと広範囲です。これらのWDMは、様々なテストの実施により高いPERが実証されています。テストについての詳細は「PER測定」のタブをご参照ください。各WDMカプラのテスト結果を記載した検査データシートをご提供しています。980/1550 nmの偏波保持型WDMのサンプルデータシートは こちらからご覧いただけます。また、各カプラには仕様書をご用意しており、そこには挿入損失の波長特性のグラフが示されています。下の赤いアイコン()をクリックしてください。すべての仕様はスロー軸入射に基づいております。
カスタム仕様および組み込み用途(OEM用途)向けWDMカプラ
当社のWDMカプラは当社の北米にある製造施設で製造しており、設計チームによるカスタムソリューションをご提供可能です。コネクタ、ファイバ種類、ポートの構成や筐体、または波長の組み合わせがカスタム仕様のカプラに対応いたします。また各カプラには検査データシートをご提供しています。お問い合わせやご相談は当社までご連絡ください。
Other Wavelength Division Multiplexers (WDMs) | |||||
---|---|---|---|---|---|
2-Wavelength WDMs | 3-Wavelength WDMs | Polarization-Maintaining WDMs | Fused Fiber Couplers | ||
Visible/NIR (λ ≤ 785 nm) | Infrared (λ ≥ 980 nm) | Visible/NIR | Visible | Infrared |
WDM(波長分割多重)カプラ
当社のWDM(波長分割多重)カプラは光を2つの異なる波長に分波もしくは合波するよう設計されています。当社では、可視域(VIS)、近赤外域(NIR)、赤外域(IR)のスペクトルにわたるさまざまな波長の組合せでカプラをご用意しています。可視域用WDMカプラは、一般に顕微鏡用途で多色合成画像の生成に使用されるため、「波長コンバイナ」とも呼ばれています。
右の動画は1x2 WDMカプラの基本的な動作原理を示しています。規定の波長用として設定されているポートにその帯域範囲内の光を入射します。こちらのWDMカプラでは、それらの光を波長多重し、信号の損失を最小に抑えながら一つのコモンポートから出力します。
特に明記されていなければ、当社のWDMカプラは双方向に機能します。つまり、コモンポートから入射した2波長信号を成分波長に分波することもできます。合波/分波を適切に行うには、入射信号にはそのWDMカプラで規定された波長のみが含まれている必要があります。仕様の帯域幅の外側での透過率と結合性能を推計する際には、挿入損失グラフを参考にしていただけます。当社の刻印付きの赤い筐体のWDMカプラには、このデータが付属の製品個別のデータシートにも掲載されています。

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グラフ内で網掛けされた領域は、各ポートにおいて規定の性能を満たす帯域幅を示しています。
挿入損失とアイソレーション
WDMカプラの性能は、一般に挿入損失を用いて数値化されます。下記で定義されているように、挿入損失(dB)は、WDMカプラの各分岐部分における入力パワーと出力パワーの割合です。光学系では、挿入損失は次の式で定義されます。
ここで、Pinは入力パワー(mW)、Poutは出力パワー(mW)です。
カプラの各ポートは、規定された1つの波長では挿入損失が低くなる(高い透過率となる)一方で、他のポートの波長においては透過しないように(透過損失が大きくなるように)設計されているため、ポート間のクロストークは最小限に抑えられています。アイソレーションは、規定外の波長の挿入損失として定義されています。そのため、dBの値が高いことがWDMカプラを使用した信号分波の用途には望ましいということになります。たとえば、右のグラフに示されているように、長波長ポート(赤い点線)の640 nm周辺における挿入損失は低く(透過率が高く)なりますが(赤い網掛け領域)、短波長ポート(青線)では25 dB以上の挿入損失となり、高いアイソレーションを示すことがわかります(青い網掛け領域)。
WDMカプラの製造工程
ここでは、当社のWDMカプラの製造工程および性能評価のプロセスをステップを追ってご紹介します。

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図ではファイバを短波長ポートは青、長波長ポートは赤に色分けしています。
ステップ 1
最初の段階では、2本のファイバのコアが近接するように融着します。これによって、光は融着範囲において、2本のファイバのコア間をエバネセント結合として知られる挙動で伝播します。 この融着工程は、モニタしながら実施され、所望の挿入損失およびアイソレーションの仕様値が得られた時点で終了します。
一方には広帯域光源、もう一方には光スペクトラムアナライザ(OSA)を配置し、これらを使用して融着工程の間、短波長ポートからの出力をモニタします。波長毎の挿入損失はOSAから得たスペクトルから算出します。
ステップ 2
WDMカプラの性能を評価するため、ステップ1の後、ステップ1の後、広帯域光源およびOSAを使用して長波長ポートでの出力を測定します。ステップ1およびステップ2で得られた測定結果を組み合わせることによって、各チャンネルにおける挿入損失とアイソレーションを計算することができます。
Item #a | Description | Qty. |
---|---|---|
Light Source (Not Shown) | ||
S5FC1005P | PM Benchtop SLD Source, 1550 nm | 1 |
P1-1550PM-FC-1 | Patch Cable, FC/PC, 1550 nm, PM Panda Style, 1 m | 1 |
Linear Polarizer Module | ||
PAF-X-11-PC-Cb | FiberPort, FC/PC, 1050 nm - 1620 nm | 2 |
CP08FP(/M) | Cage Plates for Mounting FiberPorts | 2 |
LPNIR050-MP2 | Linear Polarizer | 1 |
CRM1P(/M) | Cage Rotation Mount | 1 |
SM1A6T | Adapter with External SM1 Threads and Internal SM05 Threads | 1 |
ER2-P4 | 2" (50.8 mm) Long Cage Rods, 4 Pack | 1 |
Analyzer Module | ||
PAF-X-11-PC-Cb | FiberPort, FC/PC, 1050 nm - 1620 nm | 1 |
CP08FP(/M) | Cage Plates for Mounting FiberPorts | 1 |
LPNIR050-MP2 | Linear Polarizer | 1 |
CRM1P(/M) | Cage Rotation Mount | 1 |
SM1A6T | Adapter with External SM1 Threads and Internal SM05 Threads | 1 |
CP33(/M) | SM1-Threaded (1.035"-40) Cage Plate | 1 |
PM122D | Digital Power Meter, 700 - 1800 nm | 1 |
ER2-P4 | 2" (50.8 mm) Long Cage Rods, 4 Pack | 1 |

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1550 nmPMカプラの消光比を測定するための
セットアップ
偏波消光比(PER)の測定
偏波消光比(PER)は、偏波保持(PM)ファイバまたは装置の、異なる偏光軸間におけるクロスカップリングを抑える能力を表す値です。熱、屈曲、引っ張りなどによるファイバ内部へのストレスはPERを変化させます。
ファイバーカプラ内のPER測定には2通りの方法があります。 最も一般的なのは、低コヒーレンス(非偏光または円偏光)で広帯域な光源、および直線偏光子とパワーメータを用いて消光比を測定する方法です。もう1つは、高コヒーレンスで狭帯域な光源を使用して、偏光計によりPERを測定する方法です。
当社では、プレミアムタイプのPMファイバーカプラの消光比測定には、上記のパワーメータを用いた方法を適用しています。パワーメータのセットアップ例は右の写真ならびに表をご覧ください。広帯域光源からの光を直線偏光子モジュールに入射させ、カプラに入射する偏光状態を設定します。ファイバの一端から入射した光はアナライザーモジュールに送られ、モジュール内の偏光子とパワーメータによって出力光が測定されます。 このアナライザーモジュールの代わりに 消光比メータを使用することも可能です。
PERは以下の手順で測定します。
テスト手順
- PMカプラのファイバ端面を測定用セットアップに接続する準備
- 素線のファイバ端は、被覆を除去してクリーブします。その際は、BFT1のようなファイバ素線ターミネータを使用して一時的な終端処理を行ってください。
- 終端処理されたファイバ端をクリーニングし、コネクタ端面を検査します。
- 測定を行わないファイバには光ファイバーターミネータを取り付けます。
- パワーメータの測定値が最小パワーとなるように、直線偏光子モジュールおよびアナライザーモジュール内の偏光子を調整します。 この測定値をPminとして記録します。
- アナライザの回転マウントを90°回転させます。その際の測定値をPmaxとして記録します。
PminならびにPmaxを測定したら、下の公式を用いて消光比を算出できます。

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標準のPMファイバーカプラPN1550R5A1を使用した7時間の温度サイクルテストでは、White-White、White-Redで測定されたPERが広い温度範囲にわたってほぼ一定であったことを示しています。

White-Whiteを通ると信号出力、
White-Redではタップ出力となります。
温度サイクルテスト
氷点下でPMカプラを使用するとカプラ筐体に使用されている接着剤が収縮するため、通常、PER性能は低下します。これは、接着剤の収縮によってカプラ内の光の偏光状態が乱されるために起こります。軟性接着剤を用いることで低温環境での操作による影響を軽減できますが、高温環境においては信頼性の問題が発生します。接着剤は高温で恒久的に軟化し、カプラの光学特性を変化させてしまいます。
当社のPMカプラは、独自のパッケージング工程や設計を採用し、非常に広い動作温度範囲(-40 °C~85 °C)にわたってもPERおよびその他の光学特性を著しく変化させることがない接着剤を厳選しています。
Quick Links |
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Damage at the Air / Glass Interface |
Intrinsic Damage Threshold |
Preparation and Handling of Optical Fibers |
レーザによる石英ファイバの損傷
このチュートリアルではコネクタ無し(素線)ファイバ、コネクタ付きファイバ、およびレーザ光源に接続するその他のファイバ部品に関連する損傷メカニズムを詳しく説明しています。そのメカニズムには、空気/ガラス界面(自由空間結合時、またはコネクタ使用時)ならびにファイバ内における損傷が含まれます。ファイバ素線、パッチケーブル、または溶融型カプラなどのファイバ部品の場合、損傷につながる複数の可能性(例:コネクタ、ファイバ端面、機器そのもの)があります。ファイバが対処できる最大パワーは、常にそれらの損傷メカニズムの中の最小の限界値以下に制限されます。
損傷閾値はスケーリング則や一般的なルールを用いて推定することはできますが、ファイバの損傷閾値の絶対値は利用方法やユーザ定義に大きく依存します。このガイドは、損傷リスクを最小に抑える安全なパワーレベルを推定するためにご利用いただくことができます。適切な準備と取扱い方法に関するガイドラインにすべて従えば、ファイバ部品は規定された最大パワーレベルで使うことができます。最大パワーの値が規定されていない場合は、部品を安全に使用するために下表の「実用的な安全レベル」の範囲に留めてご使用ください。 パワー処理能力を低下させ、ファイバ部品に損傷を与える可能性がある要因は、ファイバ結合時のミスアライメント、ファイバ端面の汚れ、あるいはファイバそのものの欠陥などですが、これらに限られるわけではありません。特定の用途におけるファイバのパワー処理能力に関するお問い合わせは当社までご連絡ください。

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損傷のないファイバ端

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損傷のあるファイバ端
空気/ガラス界面における損傷
空気/ガラス界面ではいくつかの損傷メカニズムが存在する可能性があります。自由空間結合の時、またはコネクタで2本のファイバを結合した時、光はこの界面に入射します。高強度の光は端面を損傷し、ファイバのパワー処理能力の低下や恒久的な損傷につながる場合があります。コネクタ付きのファイバで、コネクタがエポキシ接着剤でファイバに固定されている場合、高強度の光によって発生した熱により接着剤が焼けて、ファイバ端面に残留物が残る可能性があります。
Estimated Optical Power Densities on Air / Glass Interfacea | ||
---|---|---|
Type | Theoretical Damage Thresholdb | Practical Safe Levelc |
CW (Average Power) | ~1 MW/cm2 | ~250 kW/cm2 |
10 ns Pulsed (Peak Power) | ~5 GW/cm2 | ~1 GW/cm2 |
ファイバ素線端面での損傷メカニズム
ファイバ端面での損傷メカニズムはバルクの光学素子の場合と同様なモデル化ができ、UV溶融石英(UVFS)基板の標準的な損傷閾値を石英ファイバに当てはめることができます。しかしバルクの光学素子とは異なり、光ファイバの空気/ガラス界面においてこの問題に関係する表面積やビーム径は非常に小さく、特にシングルモードファイバの場合はそれが顕著です。 パワー密度が与えられたとき、ファイバに入射するパワーは、小さいビーム径に対しては小さくする必要があります。
右の表では光パワー密度に対する2つの閾値が記載されています。理論的な損傷閾値と「実用的な安全レベル」です。一般に、理論的損傷閾値は、ファイバ端面の状態も結合状態も非常に良いという条件で、損傷のリスク無しにファイバの端面に入射できる最大パワー密度の推定値を表しています。「実用的な安全レベル」のパワー密度は、ファイバ損傷のリスクが極めて小さくなる値を示しています。ファイバまたはファイバ部品をこの実用的な安全レベルを超えて使用することは可能ですが、その時は取扱い上の注意事項を適切に守り、使用前にローパワーで性能をテストする必要があります。
シングルモードの実効面積の計算
シングルモードファイバの実効面積は、モードフィールド径(MFD)、すなわちファイバ内の光が伝搬する部分の断面積によって定義されます。この面積にはファイバのコアとクラッドの一部が含まれます。シングルモードファイバとの結合効率を良くするためには、入射ビーム径をファイバのモードフィールド径に合致させなければなりません。
例として、シングルモードファイバSM400を400 nmで使用した時のモードフィールド径(MFD)は約Ø3 µmで、SMF-28 Ultraを1550 nmで使用したときのモードフィールド径(MFD)はØ10.5 µmです。これらのファイバの実効面積は下記の通り計算します。
SM400 Fiber: Area = Pi x (MFD/2)2 = Pi x (1.5 µm)2 = 7.07 µm2 = 7.07 x 10-8 cm2
SMF-28 Ultra Fiber: Area = Pi x (MFD/2)2 = Pi x (5.25 µm)2 = 86.6 µm2 = 8.66 x 10-7 cm2
ファイバ端面が対応できるパワーを推定するには、パワー密度に実効面積を乗じます。なおこの計算は均一な強度プロファイルを想定しています。しかしほとんどのレーザービームでは、シングルモード内でガウス分布を示すため、ビームの端よりも中央のパワー密度が高くなります。よって、これらの計算は損傷閾値または実用的安全レベルに対応するパワーとは若干異なることを考慮する必要があります。連続光源を想定して上記のパワー密度の推定値を使用すると、それぞれのパワーは下記のように求められます。
SM400 Fiber: 7.07 x 10-8 cm2 x 1 MW/cm2 = 7.1 x 10-8 MW = 71 mW (理論的損傷閾値)
7.07 x 10-8 cm2 x 250 kW/cm2 = 1.8 x 10-5 kW = 18 mW (実用的な安全レベル)
SMF-28 Ultra Fiber: 8.66 x 10-7 cm2 x 1 MW/cm2 = 8.7 x 10-7 MW = 870 mW (理論的損傷閾値)
8.66 x 10-7 cm2 x 250 kW/cm2 = 2.1 x 10-4 kW = 210 mW (実用的な安全レベル)
マルチモードの実効面積
マルチモードファイバの実効面積は、そのコア径によって定義されますが、一般にシングルモードファイバのMFDよりもはるかに大きくなります。当社では最適な結合を得るためにコア径のおよそ70~80%にビームを集光することをお勧めしています。マルチモードファイバでは実効面積が大きくなるほどファイバ端面でのパワー密度は下がるので、より大きな光パワー(通常キロワットオーダ)を入射しても損傷は生じません。
フェルール・コネクタ付きファイバに関する損傷メカニズム

コネクタ付きシングルモード石英ファイバに入力可能なパワー処理限界値(概算)を示したグラフ。各線はそれぞれの損傷メカニズムに応じたパワーレベルの推定値を示しています。 入力可能な最大パワーは、損傷メカニズムごとに制限されるパワーのうちの一番小さな値(実線で表示)によって制限されます。
コネクタ付きファイバのパワー処理能力に関しては、ほかにも考慮すべき点があります。ファイバは通常、エポキシ接着剤でセラミック製またはスチール製のフェルールに取り付けられています。光がコネクタを通してファイバに結合されると、コアに入射せずにファイバを伝搬する光は散乱されてファイバの外層からフェルール内へ、さらにフェルール内でファイバを保持する接着剤へと伝搬します。光の強度が大きいとエポキシ接着剤が焼け、それが蒸発して残留物がコネクタ端面に付着します。これによりファイバ端面に局所的に光を吸収する部分ができ、それに伴って結合効率が減少して散乱が増加するため、さらなる損傷の原因となります。
エポキシ接着剤に関連する損傷は、いくつかの理由により波長に依存します。一般に、光の散乱は長波長よりも短波長で大きくなります。短波長用のMFDの小さなシングルモードファイバへの結合時には、ミスアライメントに伴ってより多くの散乱光が発生する可能性があります。
エポキシ樹脂が焼損するリスクを最小に抑えるために、ファイバ端面付近のファイバとフェルール間にエポキシ接着剤の無いエアギャップを有するファイバーコネクタを構築することができます。当社の高出力用マルチモードファイバーパッチケーブルでは、このような設計のコネクタを使用しております。
複数の損傷メカニズムがあるときのパワー処理限界値を求める方法
ファイバーケーブルまたはファイバ部品において複数の損傷要因がある場合(例:ファイバーパッチケーブル)、入力可能なパワーの最大値は必ずファイバ部品構成要素ごとの損傷閾値の中の一番小さな値により決まります。この値が一般的にはパッチケーブルの端面に入射可能な最大のパワーを表します(出力パワーではありません)。
右のグラフは、シングルモードパッチケーブルにおけるファイバ端面での損傷とコネクタでの損傷に伴うパワー処理限界の推定値を例示しています。 ある波長におけるコネクタ付きファイバの総合的なパワー処理限界値は、その波長に対する2つの制限値の小さい方の値(実線)によって制限されます。488 nm付近で使用しているシングルモードファイバは主にファイバ端面の損傷(青い実線)によって制限されますが、1550 nmで使用しているファイバはコネクタの損傷(赤い実線)によって制限されます。
マルチモードファイバの実効面積はコア径で定義され、シングルモードファイバの実効面積より大きくなります。その結果、ファイバ端面のパワー密度が小さくなり、大きな光パワー(通常キロワットオーダ)を入射してもファイバに損傷は生じません(グラフには表示されていません)。しかし、フェルール・コネクタの損傷による限界値は変わらないため、マルチモードファイバが処理できる最大パワーはフェルールとコネクタによって制限されることになります。
上記の値は、取り扱いやアライメントが適切で、それらによる損傷が生じない場合のパワーレベルです。また、ファイバはここに記載されているパワーレベルを超えて使用されることもあります。しかし、そのような使い方をする場合は一般に専門的な知識が必要で、まずローパワーでテストして損傷のリスクを最小限に抑える必要があります。その場合においても、ハイパワーで使用するファイバ部品は消耗品と捉えた方が良いでしょう。
ファイバ内の損傷閾値
空気/ガラス界面で発生する損傷に加え、ファイバのパワー処理能力はファイバ内で発生する損傷メカニズムによっても制限されます。この制限はファイバ自体が本質的に有するもので、すべてのファイバ部品に適用されます。ファイバ内の損傷は、曲げ損失による損傷とフォトダークニングによる損傷の2つに分類されます。
曲げ損失
ファイバが鋭く曲げられると、コア内を伝搬する光がコア/クラッド界面において反射する際に、その反射角が全反射臨界角よりも大きくなります。曲げ損失は、このように内部全反射ができなくなることにより生じる損失です。このような状況下では、光はファイバから局所的に漏れだします。漏れる光のパワー密度は一般に大きく、ファイバのコーティングや補強チューブが焼損する可能性があります。
特殊ファイバに分類されるダブルクラッドファイバは、コアに加えてファイバのクラッド(2層目)も導波路として機能するため、曲げ損失による損傷のリスクが抑えられます。クラッドと被覆の界面の臨界角をコアとクラッドの界面の臨界角より大きくすることで、コアから漏れた光はクラッド内に緩く閉じ込められます。その後、光はセンチメートルからメートルオーダーの距離に渡って漏れ出しますが、局所的ではないため損傷リスクは最小に留められます。当社ではメガワットレベルの大きなパワーにも対応するNA 0.22のダブルクラッドマルチモードファイバを製造、販売しております。
フォトダークニング
もう1つのファイバ内の損傷メカニズムとして、特にコアにゲルマニウムが添加されたファイバをUVや短波長の可視光で使用した時に起こるフォトダークニングまたはソラリゼーションがあります。これらの波長で使用されたファイバは時間の経過とともに減衰量が増加します。 フォトダークニングが発生するメカニズムはほとんど分かっていませんが、その現象を緩和するファイバはいくつか開発されています。例えば、水酸イオン(OH)が非常に低いファイバはフォトダークニングに耐性があることが分かっています。またフッ化物などのほかの添加物もフォトダークニングを低減させる効果があります。
しかし、上記の対応をとったとしても、UV光や短波長に使用したファイバはいずれフォトダークニングが生じます。よってこれらの波長で使用するファイバは消耗品としてお考えください。
光ファイバの準備ならびに取扱い方法
一般的なクリーニングならびに操作ガイドライン
この一般的なクリーニングならびに操作ガイドラインはすべてのファイバ製品向けにお勧めしております。さらに付属資料やマニュアルに記載された個々の製品に特化したガイドラインも遵守してください。損傷閾値の計算は、すべてのクリーニングおよび取扱い手順に適切に従ったときにのみ適用することができます。
(コネクタ付き、またはファイバ素線に関わらず)ファイバを設置または組み込む前に、すべての光源はOFFにしてください。これにより、損傷の可能性のあるコネクタまたはファイバの脆弱な部分に集光されたビームが入射しないようにすることができます。
ファイバやコネクタ端面の品質がファイバのパワー処理能力に直結します。ファイバを光学系に接続する前に必ずファイバ端を点検してください。端面はきれいで、入射光の散乱を招く汚れや汚染物質があってはなりません。ファイバ素線は使用前にクリーブし、クリーブの状態が良好であることを確認するためにファイバ端面の点検をしてください。
ファイバを光学系に融着接続する場合、ハイパワーで使用する前にまずローパワーで融着接続の状態が良いことを確認してください。融着接続の品質が良くないと接続面での散乱が増え、ファイバ損傷の原因となる場合があります。
システムのアライメントや光結合の最適化などの作業はローパワーで行ってください。これによりファイバの(コア以外の)他の部分の露光が最小に抑えられます。ハイパワーのビームがクラッド、被覆またはコネクタに集光された場合、散乱光による損傷が発生する可能性があります。
ハイパワーでファイバを使用するための要点
光ファイバやファイバ部品は一般には安全なパワー限界値内で使用する必要がありますが、アライメントや端面のクリーニングがとても良い理想的な条件下では、ファイバ部品のパワー限界値を上げることができる場合があります。入力または出力パワーを増加させる前に、システム内のファイバ部品の性能と安定性を確認し、またすべての安全ならびに操作に関する指示に従わなければなりません。下記はファイバ内またはファイバ部品内の光パワーをの増大させること加を検討していするときに役立つご提案です。
ファイバースプライサを使用してファイバ部品をシステムに融着接続すると、空気/ファイバ界面での損傷の可能性を最小化できます。品質の高い融着接続が実現されるよう、すべて適切なガイドラインに則って実施する必要があります。融着接続の状態が悪いと、散乱や融着接続面での局所的な加熱などが発生し、ファイバを損傷する可能性があります。
ファイバまたはファイバ部品の接続後、ローパワーでシステムのテストやアライメントを実施してください。システムパワーを必要な出力パワーまで徐々に上昇させ、その間、定期的にすべての部品が適切にアライメントされ、結合効率が入力パワーによって変動していないことを確認します。
ファイバを鋭く曲げると曲げ損失が発生し、ファイバのストレスを受けた部分から光が漏れる可能性があります。ハイパワーで使用している時は、大量の光が小さな局所領域(歪みのある領域)から流出すると局所的に加熱され、ファイバが損傷する可能性があります。使用中はファイバの曲げが生じないよう配慮し、曲げ損失を最小限に抑えてください。
また、用途に適したファイバを選ぶことも損傷防止に役立ちます。例えば、ラージモードエリアファイバは、標準的なシングルモードファイバをハイパワー光用として用いる場合の良い代替品となります。優れたビーム品質を有しながらMFDも大きいため、空気/ファイバ界面でのパワー密度は小さくなります。
ステップインデックスシングルモード石英ファイバは、一般にUV光やピークパワーの大きなパルス光には使用しませんが、これはその用途に伴う空間パワー密度が大きいためです。
Posted Comments: | |
Daniel Higginbottom
 (posted 2021-08-15 20:39:28.303) Hi,
I would like to request polarization maintaining 980/1330 wavelength division multiplexers. Is it possible to commission a custom part? YLohia
 (posted 2021-08-27 03:04:47.0) Hello, custom WDMs can be requested by emailing techsales@thorlabs.com. We will discuss the possibility of offering this directly. user
 (posted 2020-05-18 13:06:08.42) Is it possible to supply such a WDM for custom wavelengths? In particular, 760 nm and 935 nm are of interest. nbayconich
 (posted 2020-05-19 04:26:50.0) Thank you for contacting Thorlabs. We can provide custom WDM's, I will reach out to you directly with more information. user
 (posted 2015-11-30 10:18:33.653) Hi, how much insertion loss does WD202EPM have if I launch light in the fast axis, for both pump and signal? And how is the extinction ratio defined? Thank you. besembeson
 (posted 2015-12-02 02:40:25.0) Response from Bweh at Thorlabs USA: You should expect similar performance with the fast axis. The extinction ratio will similarly be defined as 10 x log (power in slow axis/power in fast axis). |

Item # | Info | Operating Wavelengths | Bandwidth | Insertion Lossa | Isolationa | Extinction Ratioa | Directivitya | Max Powerb | Fiber Typec | Termination |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
WP9864B | ![]() | 980 nm / 1064 nm | ±5 nm | ≤0.6 dB (Click for Plot) | ≥17 dB | ≥20 dB | ≥60 dB | 1 W (Bare Fiber) 5 W (Spliced) | PM 98-U25D | No Connectors, Scissor Cut |
WP9864F | ![]() | 1 W (Connectors or Bare) 5 W (Spliced) | FC/PCd | |||||||
WP9864A | ![]() | FC/APCd |

Item # | Info | Operating Wavelengths | Bandwidth | Insertion Lossa | Isolationa | Extinction Ratioa | Directivitya | Max Powerb | Fiber Typec | Termination |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
WP9850B | ![]() | 980 nm / 1550 nm | ±10 nm / ±15 nm | ≤0.6 dB (Click for Plot) | ≥16 dB | ≥20 dB | ≥60 dB | 1 W (Bare Fiber) 5 W (Spliced) | PM 98-U25D | No Connectors, Scissor Cut |
WP9850F | ![]() | 1 W (Connectors or Bare) 5 W (Spliced) | FC/PCd | |||||||
WP9850A | ![]() | FC/APCd |

Item # | Info | Operating Wavelengths | Bandwidth | Insertion Lossa | Isolationa,b | Extinction Ratioc | Directivitya | Max Powerd | Fiber Typee | Termination |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
WP1350B | ![]() | 1310 nm / 1550 nm | ±5 nm / ±5 nm | ≤0.6 dB (Click for Plot) | ≥17.0 dB | ≥20.0 dB | ≥60 dB | 1 W (Bare Fiber) 5 W (Spliced) | PM 13-U25D | No Connectors, Scissor Cut |
WP1350F | ![]() | 1 W (Connectors or Bare) 5 W (Spliced) | FC/PCf | |||||||
WP1350A | ![]() | FC/APCf |