連続式可変型NDフィルターホイール、30 mmケージシステム用


  • Continuously Variable Neutral Density Filter Wheel
  • SM1 Lens Tube and 30 mm Cage System Compatible

NDM2

Wheel Rotates Into
and Out of Beam Path

Related Items


Please Wait
Variable ND Selection Guide
ImageRound Step NDRound Continuous NDCage CompatibleRectangular Step NDRectangular Continuous NDVariable Absorptive ND Filter
ND Filter
Type
Round StepRound
Continuous
Cage
Compatible
Rectangular
Step
Rectangular
Continuous
Variable Absorptive ND Filter
Optic Cleaning Tutorial

特長

  • 円形、連続可変、反射型(金属)NDフィルタ
  • 光学濃度範囲: 0~2.0または0~4.0
  • Ø50 mm フィルターホイール
  • SM1レンズチューブと30 mmケージシステム用

これらの30 mmケージシステム用円形連続可変反射型NDフィルタは、コーティング範囲内において回転による線形の減衰調整が可能です。これらのフィルタは、SM1レンズチューブL30 mmケージシステムに対応しています。材質はUV溶融石英で、270°の範囲は完全に金属のインコネルコーティングが施されており、UV域と中赤外域で平坦なスペクトル特性が 確実に得られます。これらのフィルタの光学濃度は、0~2.0または0~4.0です。光学濃度と角度の詳細については「仕様」タブをご参照ください。

円形フィルターホイールの直径は50 mmで、光路外へ移動できる回転式レバーアームに装着されています。 回転軸上には角度目盛が印字されており、フィルタを精密に同じ位置へ戻すことができます。さらにベース部分にM4のネジ切り穴があるので、Ø12 mm~Ø12.7 mm(Ø1/2インチ)ポストやアクセサリと接続が可能です。フィルターホイールの両側のプレートにもSM1の内ネジ付きポートがあり、当社のERケージアセンブリロッド用の4個の貫通穴もあります。

光学濃度(OD)は光学フィルタによりもたらされる減衰率、つまり入射ビームの光パワーをどれだけ減少させるかを示しています。光学濃度(OD)は透過率Tの関数として次の方程式で表されます。

Optical Density Equation

Tは0から1の間の値です。光学濃度の高いNDフィルタ(吸収型)を選択した場合、入射光の吸収率は高く、透過率は低くなります。透過率を高く、吸収率を低くするためには、低い光学濃度のNDフィルタが適切と言えます。例えば、光学濃度2のフィルタでは透過率が0.01であり、フィルタは入射ビームのパワーを1%まで減衰させるという結果になります。最大光学濃度4のフィルタにおいては典型的に、コーティングのない範囲からコーティングのある範囲へ移行する際にパワーが最大約50%減衰する場合があります。

これらのフィルタに施されたインコネルコーティングは、非常に硬い金属合金で通常の使用条件では経年劣化に対して高い耐性を示しますが、高温では酸化しやすいという性質があります。したがって、NDフィルタは100°C未満での使用が推奨されます。

これらのフィルタはレーザ安全用としてご提供している製品ではありません。当社は実験環境の安全性を高める製品として、迷光や反射光を大幅に低減する安全用および遮光用製品を多数ご提供しています。

General Specifications
Substrate MaterialUV Fused Silicaa
Diameter Tolerance (A & B)Outer Diameter: +0.00/-0.25 mm
Inner Diameter:+0.25/- 0.00 mm
Thickness Tolerance (C & D)±0.25 mm
Coating Radial Angle (E)±1o
Spectral Range240 - 1200 nm
CoatingFront: Inconel (NiCrFe)
Back: Uncoated
Irregularity (per cm2)<λ
Surface Quality60-40 Scratch-Dig
Wedge<3 arcmin
Optical Density Tolerance±5% (At Both Extremes)
  • リンクをクリックいただくと基板の詳細がご覧いただけます。
  Round Continuously Variable Metallic ND Filters (Unmounted Dimensions)
Item #Optical Density (OD)ABCDEF
NDM20 - 2.050 mm7.5 mm8 mm48 mm270o2 mm
NDM40 - 4.050 mm7.5 mm8 mm48 mm270o2 mm

光学濃度と角度の関係式

光学濃度と角度の関係は下記の1次関数式で表すことができます:

OD =

ODは光学濃度を表し、θはdegree(°)で表される角度です。 mの値は、各NDフィルタの光学濃度範囲で決まります:

  • 光学濃度が0~2.0のフィルタでは、 m = 0.00741
  • 光学濃度が0~4.0のフィルタでは、 m = 0.0148

上記の数式では、コーティングの開始点を0°とし、コーティングの終点を270º (光学濃度が最高となる点)としています。

NDM2 SmartPack Packaging
Click to Enlarge

NDM2 Packaging

Smart Pack

Item #% Weight
Reduction
CO2-Equivalent
Reductiona
NDM2 58.64% 2.08 kg
NDM2/M 58.64% 3.07 kg
NDM4 58.64% 6.13 kg
NDM4/M 58.64% 4.50 kg

Smart Pack

  • Reduce Weight of Packaging Materials
  • Increase Usage of Recyclable Packing Materials
  • Improve Packing Integrity
  • Decrease Shipping Costs

Thorlabs' Smart Pack Initiative is aimed at waste minimization while still maintaining adequate protection for our products. By eliminating any unnecessary packaging, implementing packaging design changes, and utilizing eco-friendly packaging materials for our customers when possible, this initiative seeks to improve the environmental impact of our product packaging. Products listed above are now shipped in re-engineered packaging that minimizes the weight and the use of non-recyclable materials.b As we move through our product line, we will indicate re-engineered packages with our Smart Pack logo.

  • Travel-based emissions reduction calculations are estimated based on the total weight reduction of packaging materials used for all of 2013’s product sales, traveling 1,000 miles on an airplane, to provide general understanding of the impact of packaging material reduction. Calculations were made using the EPA’s shipping emissions values for different modes of transport.
  • Some Smart Pack products may show a negative weight reduction percentage as the substitution of greener packaging materials, such as the Greenwrap, at times slightly increases the weight of the product packaging.

ケージシステムの概要

当社のケージアセンブリシステムでは、自由で迅速な組み立てと正確なアライメントが可能で、大きなオプトメカニクスシステムを構築するのに便利です。

16 mm、30 mm、60 mmのケージシステム規格

当社はケージシステム用ロッドを取り付けるネジ穴同士の中心間の距離に従って、3つの規格に分けています(下図参照)。 16 mmのケージシステム30 mmのケージシステム60 mmのケージシステムはそれぞれØ12 mm~Ø12.7 mm(Ø1/2インチ)、Ø25 mm~Ø25.4 mm(Ø1インチ)、Ø50 mm~Ø50.8 mm(Ø2インチ)の光学素子を納められる設計です。 小さなサイズの光学素子を大きなサイズのケージシステムに直接組み込むことのできる特殊設計のケージプレートもご提供しています。

標準ネジ規格

ケージシステムは、しっかりと規定された取付け方法とネジ規格により、多くの種類の製品が直接取り付けられるように柔軟性の高いアセンブリシステムとなっています。 最も使用されている3つのネジ規格として、当社のSM05シリーズ、SM1シリーズ、SM2シリーズがあり、これら全てのネジ規格は、一般的な大きさの光学素子が収納できるように規定されています。 当社のレンズチューブのような構成要素部品は、これらの規格に対応する部品に直接取り付けられます。


ケージシステムの接続性を規定する標準のケージプレート寸法の1例
Standard Cage System Measurements
Cage System16 mm30 mm60 mm
Thread SeriesSM05SM1SM2
Rod to Rod Spacing16 mm (0.63")30 mm (1.18")60 mm (2.36")
Total Length25 mm (0.98")41 mm (1.60")71.1 mm (2.80")
ケージシステム部品
ケージロッド16 mmロッドは、ケージプレート、光学素子マウントなどの部品をケージシステムに組み込む際に利用します。 16 mmケージシステムにはSRシリーズケージロッド、30 mmや60 mmケージシステムにはERシリーズケージロッドを使用します。
30 mm
60 mm
ケージプレート16 mmケージプレートはケージシステムの基本となる構成部品です。 ケージプレートの中心穴にはSMシリーズのネジ切り加工が施されている場合やネジ切りなしの場合がありますが、この中心穴には業界標準規格の光学素子や当社のSMシリーズのレンズチューブが挿入できます。他にも FiberPort用など特殊な穴が開いているケージプレートもあります。
30 mm
60 mm
光学素子用マウント16 mm当社ではケージシステム用に特別に設計された固定式、キネマティック式、回転式、移動マウントをご用意しています。
30 mm
60 mm
ケージキューブ16 mmケージキューブは、プリズムやミラーなどの大きな光学素子、そしてビームスプリッタなどの光路に対して一定の角度で位置決めする必要のある光学素子を納めるのに適しています。 当社では、光学素子がマウント済みのケージキューブ、および何もマウントしていないケージキューブをご用意しています。
30 mm
60 mm
交換用止めネジ(セットスクリュ)交換用止めネジは、当社の16 mmケージシステム製品用 (SS4B013SS4B025SS4B038)および30 mmケージシステム製品用(SS4MS5SS4MS4)にご用意しております。
ポストおよびブレッドボード取付け用部品ケージシステムの取付け方法についてはケージシステム構築部品のページをご参照ください。 ケージシステムは、テーブルの表面に対して、平行または直角の両方の向きに取付けできます。
ケージシステム変換アダプタケージシステム変換用アダプタは、異なるケージシステムやネジ規格の部品を組み合わせるために用います。
特殊部品当社では幅広い部品がケージシステムに組み込めるように、特別設計のケージシステム用部品もご提供しています。例としてはフィルターホイールHeNeレーザーマウントFiberPort用ケージプレートアダプタなどがあります。 ケージシステム関連製品の詳細は、関連ページをご参照ください。
Damage Threshold Specifications
Optical DensityDamage Threshold
0.30.025 J/cm2 (355 nm, 10 ns, 10 Hz, Ø0.772 mm)
1.00.05 J/cm2 (355 nm, 10 ns, 10 Hz, Ø0.772 mm)
2.00.075 J/cm2 (355 nm, 10 ns, 10 Hz, Ø0.772 mm)

当社の連続可変型金属NDフィルタの損傷閾値データ

右の仕様は当社の固定減衰タイプの反射型NDフィルタの測定値ですが、連続可変型の金属NDフィルタも右に記載されている値と同様の性能を発揮します。 損傷閾値の仕様は、光学濃度が同じであればサイズにかかわらずすべてのフィルタで同じです。

 

レーザによる損傷閾値について

このチュートリアルでは、レーザ損傷閾値がどのように測定され、使用する用途に適切な光学素子の決定にその値をどのようにご利用いただけるかを総括しています。お客様のアプリケーションにおいて、光学素子を選択する際、光学素子のレーザによる損傷閾値(Laser Induced Damage Threshold :LIDT)を知ることが重要です。光学素子のLIDTはお客様が使用するレーザの種類に大きく依存します。連続(CW)レーザは、通常、吸収(コーティングまたは基板における)によって発生する熱によって損傷を引き起こします。一方、パルスレーザは熱的損傷が起こる前に、光学素子の格子構造から電子が引き剥がされることによって損傷を受けます。ここで示すガイドラインは、室温で新品の光学素子を前提としています(つまり、スクラッチ&ディグ仕様内、表面の汚染がないなど)。光学素子の表面に塵などの粒子が付くと、低い閾値で損傷を受ける可能性があります。そのため、光学素子の表面をきれいで埃のない状態に保つことをお勧めします。光学素子のクリーニングについては「光学素子クリーニングチュートリアル」をご参照ください。

テスト方法

当社のLIDTテストは、ISO/DIS 11254およびISO 21254に準拠しています。

初めに、低パワー/エネルギのビームを光学素子に入射します。その光学素子の10ヶ所に1回ずつ、設定した時間(CW)またはパルス数(決められたprf)、レーザを照射します。レーザを照射した後、倍率約100倍の顕微鏡を用いた検査で確認し、すべての確認できる損傷を調べます。特定のパワー/エネルギで損傷のあった場所の数を記録します。次に、そのパワー/エネルギを増やすか減らすかして、光学素子にさらに10ヶ所レーザを照射します。このプロセスを損傷が観測されるまで繰返します。損傷閾値は、光学素子が損傷に耐える、損傷が起こらない最大のパワー/エネルギになります。1つのミラーBB1-E02の試験結果は以下のようなヒストグラムになります。

LIDT metallic mirror
上の写真はアルミニウムをコーティングしたミラーでLIDTテストを終えたものです。このテストは、損傷を受ける前のレーザのエネルギは0.43 J/cm2 (1064 nm、10 ns pulse、 10 Hz、Ø1.000 mm)でした。
LIDT BB1-E02
Example Test Data
Fluence# of Tested LocationsLocations with DamageLocations Without Damage
1.50 J/cm210010
1.75 J/cm210010
2.00 J/cm210010
2.25 J/cm21019
3.00 J/cm21019
5.00 J/cm21091

試験結果によれば、ミラーの損傷閾値は 2.00 J/cm2 (532 nm、10 ns pulse、10 Hz、 Ø0.803 mm)でした。尚、汚れや汚染によって光学素子の損傷閾値は大幅に低減されるため、こちらの試験はクリーンな光学素子で行っています。また、特定のロットのコーティングに対してのみ試験を行った結果ではありますが、当社の損傷閾値の仕様は様々な因子を考慮して、実測した値よりも低めに設定されており、全てのコーティングロットに対して適用されています。

CWレーザと長パルスレーザ

光学素子がCWレーザによって損傷を受けるのは、通常バルク材料がレーザのエネルギを吸収することによって引き起こされる溶解、あるいはAR(反射防止)コーティングのダメージによるものです[1]。1 µsを超える長いパルスレーザについてLIDTを論じる時は、CWレーザと同様に扱うことができます。

パルス長が1 nsと1 µs の間のときは、損傷は吸収、もしくは絶縁破壊のどちらかで発生していると考えることができます(CWとパルスのLIDT両方を調べなければなりません)。吸収は光学素子の固有特性によるものか、表面の不均一性によるものかのどちらかによって起こります。従って、LIDTは製造元の仕様以上の表面の質を有する光学素子にのみ有効です。多くの光学素子は、ハイパワーCWレーザで扱うことができる一方、アクロマティック複レンズのような接合レンズやNDフィルタのような高吸収光学素子は低いCWレーザ損傷閾値になる傾向にあります。このような低い損傷閾値は接着剤や金属コーティングにおける吸収や散乱によるものです。

Linear Power Density Scaling

線形パワー密度におけるLIDTに対するパルス長とスポットサイズ。長パルス~CWでは線形パワー密度はスポットサイズにかかわらず一定です。 このグラフの出典は[1]です。

Intensity Distribution

繰返し周波数(prf)の高いパルスレーザは、光学素子に熱的損傷も引き起こします。この場合は吸収や熱拡散率のような因子が深く関係しており、残念ながらprfの高いレーザが熱的影響によって光学素子に損傷を引き起こす場合の信頼性のあるLIDTを求める方法は確立されておりません。prfの大きいビームでは、平均出力およびピークパワーの両方を等しいCW出力と比較する必要があります。また、非常に透過率の高い材料では、prfが上昇してもLIDTの減少は皆無かそれに近くなります。

ある光学素子の固有のCWレーザの損傷閾値を使う場合には、以下のことを知る必要があります。

  1. レーザの波長
  2. ビーム径(1/e2)
  3. ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)
  4. レーザのパワー密度(トータルパワーをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)

ビームのパワー密度はW/cmの単位で計算します。この条件下では、出力密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません(右グラフ参照)。平均線形パワー密度は、下の計算式で算出できます。

ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。次に、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときはビームの強度が1/e2の2倍のパワー密度を有します(右下図参照)。

次に、光学素子のLIDTの仕様の最大パワー密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です。おおよその目安として参考にできるのは、損傷閾値は波長に対して比例関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(つまり、1310 nmで10 W/cmのLIDTならば、655 nmでは5 W/cmと見積もります)。

CW Wavelength Scaling

この目安は一般的な傾向ですが、LIDTと波長の関係を定量的に示すものではありません。例えば、CW用途では、損傷はコーティングや基板の吸収によってより大きく変化し、必ずしも一般的な傾向通りとはなりません。上記の傾向はLIDT値の目安として参考にしていただけますが、LIDTの仕様波長と異なる場合には当社までお問い合わせください。パワー密度が光学素子の補正済みLIDTよりも小さい場合、この光学素子は目的の用途にご使用いただけます。

当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社は個別の情報やテスト結果の証明書を発行することもできます。損傷解析は、類似した光学素子を用いて行います(お客様の光学素子には損傷は与えません)。試験の費用や所要時間などの詳細は、当社までお問い合わせください。

パルスレーザ

先に述べたように、通常、パルスレーザはCWレーザとは異なるタイプの損傷を光学素子に引き起こします。パルスレーザは損傷を与えるほど光学素子を加熱しませんが、光学素子から電子をひきはがします。残念ながら、お客様のレーザに対して光学素子のLIDTの仕様を照らし合わせることは非常に困難です。パルスレーザのパルス幅に起因する光学素子の損傷には、複数の形態があります。以下の表中のハイライトされた列は当社の仕様のLIDT値が当てはまるパルス幅に対する概要です。

パルス幅が10-9 sより短いパルスについては、当社の仕様のLIDT値と比較することは困難です。この超短パルスでは、多光子アバランシェ電離などのさまざまなメカニクスが損傷機構の主流になります[2]。対照的に、パルス幅が10-7 sと10-4 sの間のパルスは絶縁破壊、または熱的影響により光学素子の損傷を引き起こすと考えられます。これは、光学素子がお客様の用途に適しているかどうかを決定するために、レーザービームに対してCWとパルス両方による損傷閾値を参照しなくてはならないということです。

Pulse Durationt < 10-9 s10-9 < t < 10-7 s10-7 < t < 10-4 st > 10-4 s
Damage MechanismAvalanche IonizationDielectric BreakdownDielectric Breakdown or ThermalThermal
Relevant Damage SpecificationNo Comparison (See Above)PulsedPulsed and CWCW

お客様のパルスレーザに対してLIDTを比較する際は、以下のことを確認いただくことが重要です。

Energy Density Scaling

エネルギ密度におけるLIDTに対するパルス長&スポットサイズ。短パルスでは、エネルギ密度はスポットサイズにかかわらず一定です。このグラフの出典は[1]です。

  1. レーザの波長
  2. ビームのエネルギ密度(トータルエネルギをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)
  3. レーザのパルス幅
  4. パルスの繰返周波数(prf)
  5. 実際に使用するビーム径(1/e2 )
  6. ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)

ビームのエネルギ密度はJ/cm2の単位で計算します。右のグラフは、短パルス光源には、エネルギ密度が適した測定量であることを示しています。この条件下では、エネルギ密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません。ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。ここで、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときは一般にビームの強度が1/e2のときの2倍のパワー密度を有します。

次に、光学素子のLIDTの仕様と最大エネルギ密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です[3]。経験則から、損傷閾値は波長に対して以下のような平方根の関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(例えば、1064 nmで 1 J/cm2のLIDTならば、532 nmでは0.7 J/cm2と計算されます)。

Pulse Wavelength Scaling

 

波長を補正したエネルギ密度を得ました。これを以下のステップで使用します。

ビーム径は損傷閾値を比較する時にも重要です。LIDTがJ/cm2の単位で表される場合、スポットサイズとは無関係になりますが、ビームサイズが大きい場合、LIDTの不一致を引き起こす原因でもある不具合が、より明らかになる傾向があります[4]。ここで示されているデータでは、LIDTの測定には<1 mmのビーム径が用いられています。ビーム径が5 mmよりも大きい場合、前述のようにビームのサイズが大きいほど不具合の影響が大きくなるため、LIDT (J/cm2)はビーム径とは無関係にはなりません。

次に、パルス幅について補正します。パルス幅が長くなるほど、より大きなエネルギに光学素子は耐えることができます。パルス幅が1~100 nsの場合の近似式は以下のようになります。

Pulse Length Scaling

お客様のレーザのパルス幅をもとに、光学素子の補正されたLIDTを計算するのにこの計算式を使います。お客様の最大エネルギ密度が、この補正したエネルギ密度よりも小さい場合、その光学素子はお客様の用途でご使用いただけます。ご注意いただきたい点は、10-9 s と10-7 sの間のパルスにのみこの計算が使えることです。パルス幅が10-7 sと10-4 sの間の場合には、CWのLIDTも調べなければなりません。

当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社では個別のテスト情報やテスト結果の証明書を発行することも可能です。詳細は、当社までお問い合わせください。


[1] R. M. Wood, Optics and Laser Tech. 29, 517 (1997).
[2] Roger M. Wood, Laser-Induced Damage of Optical Materials (Institute of Physics Publishing, Philadelphia, PA, 2003).
[3] C. W. Carr et al., Phys. Rev. Lett. 91, 127402 (2003).
[4] N. Bloembergen, Appl. Opt. 12, 661 (1973).

レーザーシステムが光学素子に損傷を引き起こすかどうか判断するプロセスを説明するために、レーザによって引き起こされる損傷閾値(LIDT)の計算例をいくつかご紹介します。同様の計算を実行したい場合には、右のボタンをクリックしてください。計算ができるスプレッドシートをダウンロードいただけます。ご使用の際には光学素子のLIDTの値と、レーザーシステムの関連パラメータを緑の枠内に入力してください。スプレッドシートでCWならびにパルスの線形パワー密度、ならびにパルスのエネルギ密度を計算できます。これらの値はスケーリング則に基づいて、光学素子のLIDTの調整スケール値を計算するのに用いられます。計算式はガウシアンビームのプロファイルを想定しているため、ほかのビーム形状(均一ビームなど)には補正係数を導入する必要があります。 LIDTのスケーリング則は経験則に基づいていますので、確度は保証されません。なお、光学素子やコーティングに吸収があると、スペクトル領域によってLIDTが著しく低くなる場合があります。LIDTはパルス幅が1ナノ秒(ns)未満の超短パルスには有効ではありません。

Intensity Distribution
ガウシアンビームの最大強度は均一ビームの約2倍です。

CWレーザの例
波長1319 nm、ビーム径(1/e2)10 mm、パワー0.5 Wのガウシアンビームを生成するCWレーザーシステム想定します。このビームの平均線形パワー密度は、全パワーをビーム径で単純に割ると0.5 W/cmとなります。

CW Wavelength Scaling

しかし、ガウシアンビームの最大パワー密度は均一ビームの約2倍です(右のグラフ参照)。従って、システムのより正確な最大線形パワー密度は1 W/cmとなります。

アクロマティック複レンズAC127-030-CのCW LIDTは、1550 nmでテストされて350 W/cmとされています。CWの損傷閾値は通常レーザ光源の波長に直接スケーリングするため、LIDTの調整値は以下のように求められます。

CW Wavelength Scaling

LIDTの調整値は350 W/cm x (1319 nm / 1550 nm) = 298 W/cmと得られ、計算したレーザーシステムのパワー密度よりも大幅に高いため、この複レンズをこの用途に使用しても安全です。

ナノ秒パルスレーザの例:パルス幅が異なる場合のスケーリング
出力が繰返し周波数10 Hz、波長355 nm、エネルギ1 J、パルス幅2 ns、ビーム径(1/e2)1.9 cmのガウシアンビームであるNd:YAGパルスレーザーシステムを想定します。各パルスの平均エネルギ密度は、パルスエネルギをビームの断面積で割って求めます。

Pulse Energy Density

上で説明したように、ガウシアンビームの最大エネルギ密度は平均エネルギ密度の約2倍です。よって、このビームの最大エネルギ密度は約0.7 J/cm2です。

このビームのエネルギ密度を、広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDT 1 J/cm2、そしてNd:YAGレーザーラインミラーNB1-K08のLIDT 3.5 J/cm2と比較します。LIDTの値は両方とも、波長355 nm、パルス幅10 ns、繰返し周波数10 Hzのレーザで計測しました。従って、より短いパルス幅に対する調整を行う必要があります。 1つ前のタブで説明したようにナノ秒パルスシステムのLIDTは、パルス幅の平方根にスケーリングします:

Pulse Length Scaling

この調整係数により広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDTは0.45 J/cm2に、Nd:YAGレーザーラインミラーのLIDTは1.6 J/cm2になり、これらをビームの最大エネルギ密度0.7 J/cm2と比較します。広帯域ミラーはレーザによって損傷を受ける可能性があり、より特化されたレーザーラインミラーがこのシステムには適していることが分かります。

ナノ秒パルスレーザの例:波長が異なる場合のスケーリング
波長1064 nm、繰返し周波数2.5 Hz、パルスエネルギ100 mJ、パルス幅10 ns、ビーム径(1/e2)16 mmのレーザ光を、NDフィルタで減衰させるようなパルスレーザーシステムを想定します。これらの数値からガウシアン出力における最大エネルギ密度は0.1 J/cm2になります。Ø25 mm、OD 1.0の反射型NDフィルタ NDUV10Aの損傷閾値は355 nm、10 nsのパルスにおいて0.05 J/cm2で、同様の吸収型フィルタ NE10Aの損傷閾値は532 nm、10 nsのパルスにおいて10 J/cm2です。1つ前のタブで説明したように光学素子のLIDTは、ナノ秒パルス領域では波長の平方根にスケーリングします。

Pulse Wavelength Scaling

スケーリングによりLIDTの調整値は反射型フィルタでは0.08 J/cm2、吸収型フィルタでは14 J/cm2となります。このケースでは吸収型フィルタが光学損傷を防ぐには適した選択肢となります。

マイクロ秒パルスレーザの例
パルス幅1 µs、パルスエネルギ150 µJ、繰返し周波数50 kHzで、結果的にデューティーサイクルが5%になるレーザーシステムについて考えてみます。このシステムはCWとパルスレーザの間の領域にあり、どちらのメカニズムでも光学素子に損傷を招く可能性があります。レーザーシステムの安全な動作のためにはCWとパルス両方のLIDTをレーザーシステムの特性と比較する必要があります。

この比較的長いパルス幅のレーザが、波長980 nm、ビーム径(1/e2)12.7 mmのガウシアンビームであった場合、線形パワー密度は5.9 W/cm、1パルスのエネルギ密度は1.2 x 10-4 J/cm2となります。これをポリマーゼロオーダ1/4波長板WPQ10E-980のLIDTと比較してみます。CW放射に対するLIDTは810 nmで5 W/cm、10 nsパルスのLIDTは810 nmで5 J/cm2です。前述同様、光学素子のCW LIDTはレーザ波長と線形にスケーリングするので、CWの調整値は980 nmで6 W/cmとなります。一方でパルスのLIDTはレーザ波長の平方根とパルス幅の平方根にスケーリングしますので、1 µsパルスの980 nmでの調整値は55 J/cm2です。光学素子のパルスのLIDTはパルスレーザのエネルギ密度よりはるかに大きいので、個々のパルスが波長板を損傷することはありません。しかしレーザの平均線形パワー密度が大きいため、高出力CWビームのように光学素子に熱的損傷を引き起こす可能性があります。


Posted Comments:
Chaman Gupta  (posted 2022-07-02 02:12:19.883)
Do you have any cage-compatible continuously variable absorptive ND filter wheel?
jdelia  (posted 2022-07-06 12:38:56.0)
Thank you for contacting Thorlabs. Unfortunately, our variable ND filter wheels are all reflective. I have contacted you directly regarding alternative options for your application.
wiebke.jahr  (posted 2017-11-22 14:37:42.71)
What are the damage thresholds for the ND filterwheel? Can I just use the damage thresholds from the Reflective ND filters (NDxxx series) to estimate?
nbayconich  (posted 2017-12-14 04:11:23.0)
Thank you for contacting Thorlabs. The variable filters used in these filter wheels are the same as NDC series UVFS variable filters located here. https://www.thorlabs.com/newgrouppage9.cfm?objectgroup_id=1393&pn=NDC-100C-2#1389 The damage thresholds recorded on this webpage will be applicable for the NDM series filter wheels.
user  (posted 2017-10-31 17:17:53.163)
What intensity can this handle? Thanks.
nbayconich  (posted 2017-12-27 04:47:37.0)
Thank you for contacting Thorlabs. The variable filters used in these filter wheels are the same as NDC series UVFS variable filters located here. https://www.thorlabs.com/newgrouppage9.cfm?objectgroup_id=1393&pn=NDC-100C-2#1389 The pulsed damage thresholds recorded on this webpage will be applicable for the NDM series filter wheels. We do not yet have CW damage threshold data for these optics. Please reach out to us at techsupport@thorlabs.com to discuss you application for these filters.
Benjamin.krueger-extern  (posted 2017-01-11 12:56:05.58)
Hello, How is the spectral Transmission up to 1600 nm? Is there any data available? We would like to measure at 1550 nm with your Filter wheel
tfrisch  (posted 2017-01-20 09:44:14.0)
Hello, thank you for contacting Thorlabs. For most NIR applications, the Inconel coating would still have a suitable reflectance, but I will reach out to you directly to discuss your application.
patrick.lu  (posted 2015-08-03 18:00:38.63)
Is there a way to replace the continuously variable filter with one that has discrete steps? We would like to use something like this in a camera imaging application, but we don't want one side of the field of view to experience different attenuation from the other side.
besembeson  (posted 2015-08-19 02:11:33.0)
Response from Bweh at Thorlabs USA: I will followup with you on a special quotation and discuss your application further.
Michael.Roth  (posted 2013-10-21 17:25:01.78)
How does the reflective ND-filter work when light travels in the wrong direction through the filter? In my application the ND-filter would stand in front of a mirror, so the light would travel through the filter in both directions. Thank you for your help.
tcohen  (posted 2013-10-29 13:14:00.0)
Response from Tim at Thorlabs: The ND filter can be used in reverse. Only one side is coated, so instead of having your first surface with an attenuation to reach a specified OD and having a Fresnel reflection on the back surface as a percentage of the remaining power, you will instead have the Fresnel reflection as a percentage of the original incident power. So you change the ratio of the reflections of the two surfaces.
user  (posted 2010-08-24 17:53:39.0)
A reply from Jens at Thorlabs: this product is based on a continuously variable metallic ND filter and hence is reflective.
rjaculbia  (posted 2010-08-24 05:21:13.0)
is the nd filter wheel here reflective? Thanks.
+1 数量 資料 型番 - インチ規格 定価(税抜) 出荷予定日
NDM2 Support Documentation
NDM2円形連続式可変型NDフィルターホイール、 ケージシステム対応、OD=0~2.0 (インチ規格)
¥76,652
7-10 Days
NDM4 Support Documentation
NDM4円形連続式可変型NDフィルターホイール、 ケージシステム対応、OD=0~4.0(インチ規格)
¥76,652
7-10 Days
+1 数量 資料 型番 - ミリ規格 定価(税抜) 出荷予定日
NDM2/M Support Documentation
NDM2/M円形連続式可変型NDフィルターホイール、 ケージシステム対応、OD=0~2.0(ミリ規格)
¥76,652
Today
NDM4/M Support Documentation
NDM4/M円形連続式可変型NDフィルターホイール、 ケージシステム対応、OD=0~4.0(ミリ規格)
¥76,652
Today