1.533 µm 周波数ロックレーザー
- Frequency Stabilized to NIST-Traceable Transition of C2H2
- High Side Mode Suppression Ratio (SMSR) of at Least 35 dB
- Stability Better than ±25 MHz
- Fiber-Coupled Optical Output
LLD1530
Front Panel displays LED status indicators, includes a toggle between AUTO and MANUAL modes, and provides a control to trigger laser frequency re-locking.
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上のグラフは、2台のLLD1530とビートノイズを使用して周波数の安定性を測定して得られたLLD1530の真空発振波長の典型値です。ビートノイズを発生させるため、1台のLLD1530は意図的に既定の光周波数から少しずらして動作させました。この周波数の測定結果を波長に変換してグラフに表示しています。レーザは実環境においてMANUALモードで動作させ、データ取得中は再ロック機能を作動させていません。LLD1530の長期安定性の限界値である1532.8323 nm ± 80 fm は赤い点線で示されています。仕様の詳細とビートノイズを使用した測定については、「仕様」タブをご参照ください。
LLD1530は、サイドフリンジロッキング手法を使用しています。ターゲットの真空波長(赤い四角)は、23 °CにおけるP(13)アセチレンガス吸収線(干渉稿)の長波長側にある半値半幅(HWHM)の位置と一致します。詳細については「周波数のロック」タブをご覧ください。
特長
- 分布帰還(DFB)レーザをベースとした周波数ロックレーザーシステム
- 真空発光波長:1532.8323 nm
- NISTトレーサブルなアセチレン(C2H2)の遷移を基準に、周波数を安定化
- 優れた低ドリフト性能
- 前面パネルのLEDおよびデジタルI/O信号が周波数のロック状態を表示
- 2つの動作モード
- AUTO(自動)モード:必要に応じてレーザ周波数を自動的に再ロック
- MANUAL(手動)モード:お客様のトリガによりレーザ周波数の再ロック
用途
- 干渉計
- フーリエ変換赤外分光機器(FTIR)のリファレンス
- ガス検知
- 機器の校正
- 通信用途(高密度波長分割多重(DWDM)、195.5875 THzでのグリッドスロット:12.5 GHz)
当社の周波数ロックレーザLLD1530は、狭線幅でDFB半導体レーザをベースとしたターンキーシステムです。1532.8323 nmの真空発光波長と35 dB以上の高いSMSRを有します。NIST(米国の国立標準技術研究所)トレーサブルなアセチレン分子遷移に対して、レーザ周波数をアクティブに安定化させます。また、起動時の絶対確度は±25 MHz以内となっています。起動直後の発光周波数は±25 MHzで安定的に維持され、長期的にも周波数確度は±50 MHzとなります。LLD1530は正確な周波数基準装置であり、起動後すぐに、優れた安定性および確度・精度を有する低ノイズのレーザ発光が可能な設計になっています。この光源は、用件の厳しいFTIR装置や、機器の校正、ガス検知、コヒーレント通信などの用途に適しています。
当社の周波数基準光源は、10 °C~40 °Cの温度範囲で使用可能です。レーザの電源をオンにして有効にした時の周囲温度がこの範囲内であれば、起動完了直後、レーザ発光の周波数は精密な起動時アルゴリズムによって設定値にロックされます。周波数のロックは、アセチレンガス吸収スペクトルのP(13)吸収線とサイドフリンジロッキング手法を用いて行われます。レーザの真空波長は、右下のグラフ内で赤い印の付いているP(13)吸収線で安定化されます。
AUTO(自動)モード
LLD1530はAUTOモードでの駆動をお勧めいたします。このモードではターゲット周波数の±25 MHz以内でのレーザ出力を維持します。発光周波数とターゲットの周波数の絶対差が25 MHz近く(ただしこれ以下)に設定した閾値を超えた場合、周波数を自動的に再ロックする手順が始まります。周波数の再ロックが開始される閾値についての詳細は、「仕様」タブをご覧ください。AUTOモードでは、RELOCKボタンは無効になっています。
MANUAL(手動)モード
MANUALモードは、再ロックの手順における発光強度や波長の変化が悪影響を与える可能性のある用途での使用を想定しています。前面パネル上のボタンでAUTOおよびMANUALモードを切り替えることができます。MANUALモードでの駆動時には、AUTOであれば周波数の再ロック手順が始まる閾値に達すると、再ロックが必要であることを示すRELOCK NEEDEDのLEDが点灯します。LLD1530は連続駆動できますが、RELOCK NEEDEDのLEDが点灯している間は仕様の周波数確度は保障されません。発光周波数と設定した周波数の絶対差が25 MHzを超えると、LOCKEDのLEDが消灯します。MANUALモードでの駆動時は、RELOCKボタンを押せばいつでも周波数の再ロック手順を開始させることができます。
電気的および光学的I/O
LLD1530の光出力は、FC/APCコネクタを介したファイバーインターフェイスです。背面パネルにあるメス型DB9コネクタがデジタルI/Oのインターフェイスとなり、ここからレーザの有効化や駆動モードの選択、周波数再ロック手順の開始、駆動状況に関する情報の取得が行えます。レーザ筐体のコントローラおよびインジケータの概要については「前面および背面パネル」タブ、デジタルI/Oインターフェイスに関する情報については「ピン配列」タブをご覧ください。
Specifications | ||||
---|---|---|---|---|
Typical | Max | |||
Center Vacuum Wavelength | 1532.8323 | nm | ||
Stability (Long Term, After Warm Up)a | - | <±10 | ±25 | MHz |
- | <±0.08 | ±0.2 | pm | |
- | <±0.00033 | ±0.00085 | cm-1 | |
Accuracy (at Start Up) | - | <±15 | ±25 | MHz |
- | <±0.12 | ±0.2 | pm | |
- | <±0.00050 | ±0.00085 | cm-1 | |
Precision (at Start Up, After Warm Up)b | - | <1 | - | MHz |
- | <0.008 | - | pm | |
- | <0.00003 | - | cm-1 | |
Laser Linewidth (FWHM)c | - | <3 | - | MHz |
Side Mode Suppression Ratio (SMSR) | 35 | - | - | dB |
Relative Intensity Noise (RIN)d | - | 100 | - | dBc/Hz |
Optical Power Stability (30 minute Duration) | - | 1.1 | - | % |
Optical Output Powere | - | - | 10 | mW |
Max Change in Ambient Temperature before Frequency Re-Lock Neededf | ΔT = ±3.5 °C | |||
Ambient Temperature Change Triggering Frequency Re-Lock (AUTO Mode Only)g | ΔT = ±(0.9)*3.5 °C | |||
Laser Classh | Class 1 | |||
Optical Fiber Type | SMF-28 Ultra | |||
Connectors | ||||
Optical Fiber Connector | FC/APC | |||
Digital Control Interface Connector | D-Sub 9 Pin Female | |||
Environmental, Power, and Physical | ||||
Operating Temperature Rangei | 10 °C to 40 °C | |||
Storage Temperature Range | 0 °C to 60 °C | |||
Power Requirements | 100 - 240 VAC, 0.3 A, 50 - 60 Hz | |||
Fuse | 0.5 A, 250 V, Type T, 5 x 20 mm | |||
Maximum Operating Altitude | 2000 m Above Sea Level | |||
Dimensions | 149.8 mm x 104.2 mm x 318.2 mm (5.90" x 4.10" x 12.53") | |||
Weight | 3.1 kg (6.83 lbs) |
図1.レーザーリファレンスシステムLLD1530に統合されたDFBレーザの典型的なサイドモード抑圧比(SMSR)をグラフに示しています。
図2.上のグラフ:1時間にわたって測定されたLLD1530の真空発振波長の変動の典型例です。2台のLLD1530とビートノイズを使用して、周波数の安定性のデータを測定しました。ビートノイズを発生させるため、1台のLLD1530は意図的に既定の光周波数から少しずらして動作させました。この周波数の測定結果を波長に変換してグラフに表示しています。下のグラフ:こちらは当社のOSA205Cを用いて測定されたデータで、LLD1530の真空発振波長の長期安定性を示しています。すべてのデータは、レーザを周辺環境においてMANUALモードで動作させ、再ロック機能は作動させずに取得しています。LLD1530の長期安定性の限界値である1532.8323 nm ± 80 fm は赤い点線で示されています。
図3.2台の周波数ロックレーザ光源LLD1530間のビートノイズのスペクトル(典型値、青い曲線)にローレンツ曲線(赤い曲線)をフィッティングした結果。ビートノイズは150 MHzのディテクタを使用して10 µsにわたって記録されています。レーザ線幅は、測定データから2.5 MHz(FWHM)、そしてフィッティング曲線から3.6 MHz(FWHM)が得られます。詳細については左記の「光ビートを使用した線幅測定」をご覧ください。
光ビートを使用した線幅測定
測定は、テストするレーザの光線を、線幅が同じで周波数がわずかに異なるレーザの光線と結合することで行います。どちらのレーザ光源もローレンツ曲線状のスペクトルを有しており、光線の偏光は直交しておらず、そしてレーザのノイズにも相関性がありません。干渉信号(ビート)の正弦波の包絡線は、インジウムガリウムヒ素ベースの150 MHzフォトディテクタPDA10CFで検出し、オシロスコープで記録しました。検出されたビート信号の周波数は、結合した2つのレーザの周波数の差と等しくなっております。ビート信号の10 µs分がスペクトルドメインに高速フーリエ変換(FFT)され、データが図3の青線のようなグラフとなります。
テスト対象のレーザの線幅は、検出過程、FFT、そして2つのレーザービームの性質を使い、これらの測定データから計算しました。フォトディテクタは、その検出強度により、2つの入力信号を効率的な虚数乗法を行います。その後この時間領域の乗積をFFTを使用してフーリエ変換します。結果は、周波数領域における2つのビームのローレンツ曲線の畳み込みで、図3のビートスペクトルで表示されています。ビートスペクトルもローレンツ曲線になっているのは、2つのローレンツ関数の畳み込みは別のローレンツ関数であるからです。 2つのレーザの線幅 ΓLaserと結果得られた畳み込み(コンボリューション)の線幅 ΓConvの関係性は下記のとおりです。
ΓLaser =2-1/2ΓConv
図3に赤で示されているローレンツのフィット曲線はビートスペクトルデータの3.6 MHzの線幅を導き出すのに使用されました。そして上記の式はLLD1530の2.5 MHzの線幅を求めるために使用されました。
真空での波長と空気中での波長
レーザ基準光源LLD1530の仕様は、汎用性を高めるために真空波長を基準としています。空気中の波長は、真空波長を周辺の空気の屈折率で割った値に等しくなり、気圧や温度、湿度などの周辺環境の変化に影響を受けます。真空波長は環境条件の変化の影響を受けないため、真空波長を基準とした異なる測定結果を直接比較することができます。
前面&背面パネル
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前面パネル
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背面パネル
Front Panel | |
---|---|
Callout | Description |
F1 | LED Indicates Power is Supplied to Unit |
F2a | LED Indicates Laser Frequency is Locked within ±25 MHz Range |
F3a | LED Indicates Laser Frequency is Near the Edge of the ±25 MHz Range |
F4 | Button to Trigger Laser Re-Lock Procedure (Enabled in Manual Mode Only) |
F5 | Key Switch Provides Power to the Unit |
F6 | LED Indicates Operation in AUTO Mode |
F7 | LED Indicates Operation in MANUAL Mode |
F8 | Button to Toggle between Automatic and Manual Modes |
F9 | Laser Emission Output Aperture, FC/APC Connector |
F10 | Button to Enable Laser Emission |
F11 | LED Indicating Laser is On and Laser Emission Present |
Back Panel | |
---|---|
Callout | Description |
B1 | Laser Interlock Jack |
B2 | Digital I/O Interface, Female DB9 Connector |
B3 | AC Power Cord Connector |
デジタルI/Oのピン配置
背面パネルのDサブメス型9ピンのデジタルI/Oインターフェイスは、LLD1530を駆動し、駆動状況についての情報を取得するために使用されます。それには、レーザーシステムの電源をオンにし、キースイッチをlの位置に設定する必要があります。 低電圧(GND)または高電圧(5 V)信号として制御コマンドを送信し、システム状況に関する情報を受信します。
ピン1をLow(GND)に設定すると、デジタルインターフェイス入力がアクティブ化されます。ピン1がLowの間、前面パネルのボタンは使用できなくなり、機器の制御はDサブ9コネクタに送信される信号によってのみ行われます。前面パネルの全てのLEDは、ピン1の状態とは関係なく機器の状態を示します。
Pin | Function | State | Type | |
---|---|---|---|---|
Low (GND) | High (5 V) | |||
1a | Enable Laser | Enabled | Disabled | Input |
2b | Trigger Relock Procedure | Relock | - | Input |
3 | Select Operating Mode | Manual | Automatic | Input |
4 | System Staus Indicator | - | Relock Needed | Output |
5 | System Staus Indicator | - | Locked | Output |
6 | System Staus Indicator | - | Laser On | Output |
7 | Not Connected | - | - | |
8 | Not Connected | - | - | |
9 | GND | - | - |
真空波長と光周波数:
LLD1530のレーザ出力について説明する場合の用語として、「真空波長」を使用した方が便利な場合と「光周波数」を使用した方が便利な場合があります。真空波長は真空での光の速さをレーザの光周波数で割って求められます (空気中でのレーザ発光波長は、真空波長を空気の屈折率で割って求められます)。
LLD1530からのレーザ発光周波数のロック
LLD1530は分布帰還型(DFB)レーザの発光周波数を、ターゲットの周波数周辺の±50 MHzの狭い範囲内で維持します。これは、±25 MHzの周波数ロックの初期確度と、その後の±25 MHzの動作安定性を考慮に入れた範囲となっています。この仕様はアセチレンガスの吸収線を基準として使用して達成されます。アセチレンガスの吸収係数は図1のグラフをご参照ください。DFBレーザの真空発光波長は、フリンジとも呼ばれるP(13)吸収線と交差します。これによりP(13)フリンジはLLD1530の波長基準となりえます。P(13)フリンジは、図1と図2で赤く色づけされていますが、これを見るとP(13)フリンジは近接する吸収線から独立し、比較的大きな値になっています。
周波数のロックは、サイドフリンジロック手法を用いて取得・維持されます。ロックするにはDFBレーザからの光の一部をガスセルに結合させます。ガスセルを透過した光の強度はモニタされ、DFBレーザの真空波長はP(13)フリンジの長波長側に位置するように調整されます。この位置は常に半値半幅(HWHM)の近くとなります。23 °Cでのターゲット位置は図3の吸収線のグラフで示されています。DFBレーザの半値全幅(FWHM)周波数線幅は3 MHz未満、P(13)フリンジのFWHMは約0.5 GHzとなります。DFBレーザの線幅はP(13)線幅よりも数桁狭いため、透過光の強度はDFBレーザの真空発光波長の変化に伴って大きく変わります。
周波数ロックの過程で、フリンジの側面におけるレーザ周波数のロック位置は周囲温度に対応して調整され、ターゲットの周波数に一致させます。P(13)ガス線の中心周波数はほとんど変化しませんが、ガスの線幅は温度依存型のドップラと衝突広がりの両方を表します。温度がガスの線幅に与える影響は良く特徴付けられて、既刊文献に記載されています。当社のロッキングアルゴリズムはそのデータを参照しています。レーザをチューニングしてHWHM周辺のフリンジの急勾配と一致させる利点は、真空発光波長のわずかな変化がガスセルを透過する光の強度を大きく変化させることです。さらに、透過光強度のプラスおよびマイナスの変化は、レーザの波長のプラスおよびマイナスの変化と明確な相互関係があります。
周波数のロックは起動時に実施され、レーザが発光してLOCKEDのLEDが点灯するとすぐにターゲットの真空波長で駆動します。ガスセルのパラメータは、温度変化による出力周波数への影響が低くなるように設定されていますが、LLD1530内の他の部品の光学特性に小さな温度依存性があり、ガスセルと結合した光の強度に影響を与えます。再ロック機能はAUTOモードでは必要時に自動的に開始され、この影響を容易に補償します。
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図1:P(13)フリンジ(赤く色づけされています)はLLD1530の周波数をロックする際に使用されます。
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図2:P(13)フリンジに近接する吸収線。
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図3:LLD1530は、サイドフリンジロック手法を使用しています。ターゲットの真空波長(黒い四角で表示)は、23 °Cにおける長波長側のHWHMと一致します。
Posted Comments: | |
Keishi Kubo
 (posted 2022-05-17 23:34:03.03) Please tell me the literature of frequency lock
Is it possible to change the lock frequency in the range of 1510 to 1540? cdolbashian
 (posted 2022-05-27 12:34:57.0) Thank you for reaching out to us Keishi. Unfortunately, this device cannot be tuned by the user. As a potential custom, we can tune it +/- 1 nm about it's design wavelength. For a tunable source, perhaps the TLX1, a C-Band tunable laser, would be more suitable for your application. I have reached out to you directly to discuss you application. |