Polaris®KAミラーマウント、サイドホールドタイプ、Ø50.8 mm(Ø2インチ)光学素子用

- Designed for Long-Term Stability and Minimal Temperature-Dependent Hysteresis
- Matched Actuator and Back Plate Threading Minimize Drift and Backlash
- Lightweight Aluminum Front and Back Plates
- Sapphire Adjuster Seats Prevent Wear Over Time
KA2
2 Adjusters with Side Holes
KA2A
3 Adjusters with Side Holes
KA2B
2 Low-Profile Adjusters
F25USK3
Aluminum Removable Knob for 1/4"-100 Adjusters
Application Idea
KA2 Ø2" Mirror Mount with Mirror on a Ø1" Post for Polaris Mounts

Please Wait
Polaris®KA Aluminum Mirror Mount Selection Guide |
---|
Side Optic Retention Mounts |
Ø1/2" Mirror Mounts |
Ø1" Mirror Mounts |
Ø2" Mirror Mounts |
SM-Threaded Mounts |
Ø1/2" Mirror Mounts |
Ø1" Mirror Mounts |
Quick Links |
---|
Ø2" Mounts with 3 Adjusters |
Ø2" Mounts with 2 Adjusters |
Removable Adjuster Knob |
Hex Adjusters |
Side Hole Adjustment Tool |
Lock Nut & Torque Wrench |
Locking Collar & Spanner Wrench |

Click to Enlarge
Figure 1.1 Ø50.8 mm(Ø2インチ)光学素子用マウントKA2の調整方法
A:2.0 mm六角レンチをアジャスタの先端に挿入して調整
B:調整ツールSA1をアジャスタのサイドホールに挿入して調整
C:六角ノブHKTS-5/64とサイドホールに挿入した1.5 mmボールドライバを使用して精密調整
D:トルクレンチTW13を使用してロックナットLN25100H を固定
特長
- 時効処理された7075アルミニウム合金から機械加工により製作され、引張強度、剛性、表面靭性、寸法安定性などで優れた特性
- 高い耐久性と滑らかな動きを実現するために、硬化処理ステンレススチール製ボールとの接点にはサファイアシートを使用
- 整合したアクチュエータと背面プレートにより、安定性と滑らかなキネマティック調整を実現
- 様々な試験により、温度幅15 °Cの温度サイクル後の角度変化として4 μrad未満を保証(詳細は「試験データ」タブ参照)
- 真空用および高出力レーザ共振器用として設計された製品で、特殊アルマイト処理されたフレームと不動態化処理されたステンレススチール製アジャスタで構成
- モノリシックフレクシャーアームによる光学素子保持方式(特許取得済みUS Patent 10,101,559) )
- 汚染を低減するバネの設計(特許申請中)
- 取付け穴を選ぶことで、右手系または左手系の選択が可能
- カスタム仕様のマウントについては当社 までお問い合わせください。
Polaris®KAシリーズ低ドリフトキネマティックミラーマウントは、低ドリフト特性が得られるように設計されており、材料には白色アルマイト処理された7075アルミニウムが使用されています。そのため、アライメントの長期安定性を必要とする産業分野での使用に適しています。
光学素子の保持
これらのØ50.8 mm(Ø2インチ)光学素子用ミラーマウントでは、光学素子を保持するのにモノリシック構造のフレクシャーアーム(特許取得済み)を使用しています。この設計により光学歪みを最小限に抑えながら、高い保持力と安定したビームポインティングを実現しています。詳細は「試験データ」タブをご参照ください。
Polarisミラーマウントの光学素子取付け穴は、温度変化や移動時の衝撃・振動など、様々な環境変化に対して最良のビームポインティング安定性が得られるように精密加工されています。しかし、Ø50.8 mm(Ø2インチ)マウントにØ50 mm光学素子や外径公差が0より大きい光学素子を取付けた場合には、その性能は低下してしまいます。
設計
時効処理された軽量の7075アルミニウム合金から機械加工されたPolarisKAシリーズマウントには、ボール接触やサファイアシートを用いて精密に整合されたアジャスタが使用されているため、滑らかなキネマティック調整が可能です。「試験データ」タブでご覧いただけるように、このマウントは様々な試験により、その高い性能が実証されています。Polaris製品は、ビームに生じるミスアライメントの一般的な要因にすべて対応するように設計されています。詳しくは「設計の特長」タブをご覧ください。
ポストへの取付け
これらのミラーマウントには、ポストに取り付けるためのM4用ザグリ穴があります。推奨する取付け方法等については「使用方法」タブをご覧ください。
クリーンルームおよび真空への対応について
全てのPolarisKAシリーズマウントはクリーンルームや真空で使用できるように設計されており、最高ベークアウト温度および最高動作温度は80°Cです。詳細は「仕様」タブおよび「設計の特長」タブをご覧ください。
PolarisKAシリーズマウントの前面および背面のアルミニウム製プレートは、酸エッチング、特殊アルマイト処理による5 µmの薄い酸化皮膜形成、ニッケルによる2重シール形成などの工程の後、逆浸透脱イオン水(RODI)による煮沸処理が施されています。この工程により、金属全体に清浄性、滑らかさ、薄さ、硬さ、無孔性などの特性面で優れた表面が形成され、また酸化膜によって密封されます。これと同じ表面処理は、一部の真空チャンバーメーカでも、裸のアルミニウムの表面に自然酸化膜が形成されるのを防止するために使用されています。この表面仕上げでは、標準的なアルマイト処理よりも優れた表面特性が得られます。PolarisKAシリーズマウントに対しては、最高ベークアウト温度を80 °C以下に抑えることを推奨しています。詳細は「仕様」タブをご覧ください。
超高真空(UHV)システム内でのアウトガスの発生をさらに低減するために、裸のアルミニウムに酸エッチングのみを施した部材で組み立てたマウントも、ご要望に応じてご提供可能です。ご要望の際は、当社までお問い合わせください。表面硬度が低下するため、これらのマウントの表面の強靭さは低下し、それに伴ってレンズセルやアジャスターネジの摩耗が早くなります。このようなマウントでは、表面汚染や自然酸化膜の形成を防ぐためにも、取扱いと保管は慎重に行う必要があります。一方、このようなカスタムマウントでは、ベークアウト温度を最高200 °Cまで上げることができます。
超高真空(UHV)システムで最もアウトガスの少ないマウントを使用したい場合は、当社のPolaris製品ラインナップの中のステンレススチール製マウントをご検討ください。これらはベークアウト温度を最高200 °Cまで上げることができます。
Item # | KA2A | KA2 | KA2B |
---|---|---|---|
Optic Sizea | Ø2" | ||
Optic Thickness (Min) | 0.14" (3.5 mm) | ||
Number of Adjusters | Three | Two | Two, Low Profile |
Adjuster Drive | 5/64" (2.0 mm) Hex, Ø0.07" (1.8 mm) Side Adjustment Holes | 5/64" (2.0 mm) Hex | |
Adjuster Thread | 1/4"-100 | ||
Actuator Matching | Matched Actuator/Body Pairs | ||
Measured Point-to-Point Mechanical Resolution per Adjuster | 5 µrad (Typical); 2 µrad (Achievable) | ||
Adjustment Resolutionb | ~5 mrad/rev | ||
Mechanical Angular Range (Nominal) | ±3° | ||
Front Plate Separation at Pivot Adjuster (Nominal) | 3.175 mm | ||
Front Plate Translation (Max) | 6 mm | N/A | |
Beam Deviationc After Thermal Cycling | < 4 μrad | ||
Recommended Optic Mounting Torqued | 20 to 40° Clockwise Rotation for 6 mm Thick UVFS Optics | ||
Mounting | Four #8 (M4) Counterbores | ||
Cleaninge | Adjuster screws are passivated per ASTM-967; Frames are acid etched, anodized to MIL-A-8625, Type 2, Class 1, with a thin dense oxide layer and duplex sealed using nickel followed by boiling in reverse osmosis deionized (RODI) water. | ||
Vacuum Compatibilityf | 10-9 Torr at 25 °C with Proper Bake Out 10-5 Torr at 25 °C without Bake Out Grease Vapor Pressure: 10-13 Torr at 20 °C; 10-5 Torr at 200 °C Epoxy Meets Low Outgassing Standards NASA ASTM E595, Telcordia GR-1221 | ||
Mass (Weight) | 94 g (3.32 oz) | 90 g (3.17 oz) | 87 g (3.07 oz) |
Operating Temperature Range | -30 to 80 °C |
Polaris®KAシリーズミラーマウントの試験データ
全てのPolarisキネマティックミラーマウントに対して、その高い性能を保証するために広範囲の試験を実施しています。熱衝撃試験ではマウントの優れた安定性を確認し、一時的な温度変化による変位の後にマウントが確実に初期位置に戻ることを実証しています。干渉計を用いた波面歪みの試験では、Polarisマウントで光学素子を保持したときに、その表面を大きく歪ませることがないことを実証しています。
Video 3.1 Polarisマウントの振動試験(この動画ではØ19 mm光学素子用Polarisマウントを使用)
振動試験
目的: この試験は、PolarisKAシリーズミラーマウントが激しい物理的振動を受けた時に、どの程度確実に動作するかを判断するために実施しました。
手順:同じ種類のミラーマウント(KA2)のペアを、それぞれPolarisミラーマウント用のØ1インチポストに取り付け、クランプアームPOLARIS-CA1を用いてステンレススチール製のブレッドボードに固定しました。レーザービームをミラーで反射し、同じブレッドボード上に配置した2つの位置センシングディテクタ(PSD)に入射しました。プラットフォーム全体を様々な周波数と振幅で加振し、ディテクタ上のビーム位置の変化を記録しました。2つの光路は直交させ、振動方向は一方のマウントのミラー面に対しては平行に、他方のマウントのミラー面に対しては垂直になるようにしました。Video 3.1でPolarisマウントの振動試験の様子をご覧いただけます(この動画で使用されているマウントはØ19 mm光学素子用POLARIS-K19S4です)。
結果: 周波数範囲5~500 Hzで最大加速度6 Gまで加振しましたが、KA2は正常な機械的状態を保持していました。マウントの角度位置は、平行および垂直の両方向の振動に対して約10 µrad以内で安定していました。
結論: 当社のPolarisKAシリーズミラーマウントは、過酷な使用条件下でも優れた性能を保持します。従って、振動ノイズが想定される環境において非常に高い安定性が求められるシステムにも、これらのマウントをご使用いただくことができます。
熱衝撃後の位置再現性
目的:この試験は、熱衝撃を受けたマウントが、ヒステリシスなしでミラーをどの程度確実に初期位置に戻せるかを測定するものです。測定結果から、光学システムのアライメントが熱衝撃の影響を受けないことを示します。
手順:PolarisKAマウントをØ1インチポストに取り付け、次に温度制御された環境下に置かれたステンレススチール製光学テーブルに固定しました。ミラーはフレクシャ機構を使用して固定しました。その他の取り付けの際の注意事項については「使用方法」タブをご参照ください。次に、独立に温度制御されている半導体レーザからのビームをこのミラーで反射し、ビーム位置センシングディテクタ(PSD)に入射するようにセットしました。ミラーマウントの温度を37 °C以上まで上昇させ、マウント全体の温度が定常状態になるまで維持しました。その後、ミラーマウントの温度を試験開始時の温度に戻しました。試験結果はTable 3.2、3.5、3.8でご覧いただけます。
結果: :これらのプロット図に示すように、マウントの温度が初期値に戻ると、マウントに取り付けられているミラーの角度(ピッチとヨー)は、初期位置の4 µrad以内に戻りました。マウントの性能試験は、温度変化のサイクルをさらに繰り返して実施しました。各サイクルの後も、ミラーの位置は初期位置の4 µrad以内に戻りました。
比較: PolarisKAシリーズマウントの1/4"-100ネジアジャスタをわずか0.2°(1回転の1/1800)回転させただけで、マウントの角度は4 µrad変わります。高度な技術を有する作業者が行える微調整は0.3°(1回転の1/1200)ほどで、これはマウントの角度として6 μradの変化に相当します。
結論: PolarisKAシリーズミラーマウントは、温度を繰り返し変化させてもミラーを確実に初期位置に戻すことができる、高性能で高安定なマウントです。従って、PolarisKAマウントはアライメントの長期安定性を必要とする用途に適しています。
Table 3.2 マウント KA2A、モノリシックフレクシャーアーム保持タイプ、3アジャスタ型、サイドホール付き |
---|
Table 3.5 マウントKA2、モノリシックフレクシャーアーム保持タイプ、2アジャスタ型、サイドホール付き |
---|
Table 3.8 マウントKA2B、モノリシックフレクシャーアーム保持タイプ、低頭2アジャスタ型 |
---|
Zygo位相シフト干渉計を用いた光学歪みの測定
光学素子は取付けに伴う力によってその表面に歪みが生じます。光学素子の歪みは反射光の波面に作用するため、この歪みの影響を最小限に留めることが重要です。PolarisKAシリーズマウントでは、光学素子の歪みを最小限に抑えながら最大限の安定性が得られるように設計された、モノリシックフレクシャーアームが用いられています。
フレクシャーアームによってミラーに生じる光学歪みの大きさを調べるために、633 nmのビームを使用するZygo位相シフト干渉計を用いて、様々なトルク角(Torque Angle)での波面歪みを測定しました(Table 3.12のリンクをクリックすると、Zygo干渉計による試験結果のスクリーンショットをご覧いただけます)。これらの試験結果から、フレクシャーアームがミラーに最初に接触した後、止めネジ(セットスクリュ)をさらに時計回りに20~40°回すことをお勧めします。この状態で、光学素子による波面の歪みは≤0.15λになります。
光学素子を取り付ける際の適切なトルク値は、光学素子の直径や公差の累積により変化しますのでご注意ください。
手順:
広帯域誘電体ミラーをPolarisマウントの光学素子取付け穴に挿入し、止めネジ(セットスクリュ)でフレクシャーアームを締め付けて固定しました。止めネジは、最初にフレクシャーアームがミラーと接触するまで締め、次に時計回りに回して、Table 3.12の表のように様々な角度(Torque Angle)に固定しました。光学歪みはZygo干渉計を用いて測定し、記録しました。それぞれの測定が終了した後、光学素子の保持力を確認するために、光学素子をマウントから押し出すのに必要な力を測定しました。スクリーンショットの左上に示されている波面歪みの値は光学素子全体におけるPV(peak-to-valley)値で、最悪の歪みの大きさを表しています。光学素子中心部の波面歪みはエッジ部分に比べて極めて小さくなります。
結果:
Table 3.12に示すように、フレクシャーアームがミラーと最初に接触した後、止めネジをさらに時計回りに20~40°回したとき、波面歪みのPV値(peak-to-valley)は≤0.15λになりました。この状態で十分な安全マージンが確保され、温度が変化したりマウントが熱膨張したりしても良好な接触が維持されます。
Table 3.12 Wavefront Distortion for a Ø2" Mirror in a KA2 Polaris Mount | ||
---|---|---|
Torque Anglea | Wavefront Distortion (Peak-to-Valley)b (Click for Example Zygo Screenshot) | Push-Out Forcec |
10° | 0.084λ | >5 lbf |
20° | 0.076λ | |
30° | 0.073λ | |
40° | 0.086λ | |
50° | 0.096λ | |
60° | 0.104λ | |
70° | 0.114λ | |
80° | 0.140λ | |
90° | 0.152λ | |
100° | 0.185λ |

Click to Enlarge
Figure 3.11 フレクシャーアームがミラーに接触してから、止めネジをさらに時計回りに30°回したときのKA2の波面歪み(止めネジのトルクがそれ以外の場合についてはTable 3.12をご覧ください)。

Click to Enlarge
Figure 4.1 KA2シリーズマウントの特長
光学系のミスアライメントには、一般にいくつかの共通要因があります。それには、ミラー位置の温度に対するヒステリシス、クロストーク、ドリフト、バックラッシュなどが上げられます。Polaris®ミラーマウントは、特にこれらのミスアライメント要因を最小化するように設計されており、その結果として極めて高い安定性が実現されています。高い安定性が求められる実験に適したキネマティックミラーマウント用のコンポーネントを選定するために、広範な研究、先進の設計ツールを用いた様々な設計検討、および何か月にも渡る厳格な試験を実施しました。
熱ヒステリシス
多くの実験室の室内温度は、空調、室内の人数、設備の動作状況などの影響により一定ではありません。そのため、精密なアライメントが求められる光学セットアップに使用されるマウントには、温度によるアライメントへの影響を最小化する設計が求められます。PolarisKAシリーズミラーマウントの重要な部品は、すべて厳選された寸法安定性の高い材料から作られています。具体的には、温度依存性ヒステリシスの原因となる内部応力を低減させるために時効処理された7075アルミニウムの丸棒を使用し、材料の剛性と強度を向上させるために最適な焼き戻しを行なっています。そのため、ミラーマウントの温度を元の温度に戻したときに、光学系のアライメントも元に戻ります。
PolarisKAシリーズのもう1つの重要な設計要素は、ミラーのマウントへの固定方法です。このマウントでは接着剤を使用せずに優れた性能を実現しています。このページでご紹介しているマウントでは、光学素子を固定するのに、止めネジでモノリシックフレクシャーアームを光学素子のエッジ部分に押し付ける方式を採用しています。止めネジで光学素子を直接固定した場合、温度変化に伴って光学素子が動く傾向があります。それに対して、アルミニウム製のフレクシャーアームは、周囲温度にかかわらずミラーの位置をしっかりと固定できる保持力を有します。
クロストーク
クロストークについては、マウントの前面プレートと背面プレートの寸法公差を注意深く調整し、ピッチとヨーのアクチュエータの動きを直交させることで最小化しています。さらに、3つの接触点には全てサファイアシートが使用されています。標準的な金属-金属の接触点は、時間の経過とともに摩耗します。PolarisKAシリーズマウントでは研磨されたサファイアシートが使用されているため、アクチュエータの硬化処理されたステンレススチール製先端との接触面は、時間が経過してもその良好な状態が保持されます。
ドリフトおよびバックラッシュ
ミラーマウントの位置のドリフトとバックラッシュを最小化するには、アジャスタ内のあそびと潤滑剤の量を制限する必要があります。アクチュエータを調整(操作)すると、余分な潤滑剤は絞り出されて他の部位に蓄積します。この非平衡状態にある潤滑剤はゆっくりと平衡状態に戻っていきます。それにより、マウントの前面プレートが移動する場合があります。PolarisKAシリーズマウントでは、工業規格よりも厳しい基準で本体やブッシュと整合するアジャスタを使用しているため、アジャスタの潤滑剤はほんのわずかしか必要ありません。そのため、調整後もこれらのマウントのアライメントは極めて高い安定性を示します(詳しくは「試験データ」タブをご参照ください)。また、アジャスタは滑らかに動かすことができるので、繰り返し細かい調整を行なうことができます。
クリーンルームおよび真空への対応
PolarisKAマウントの前面プレートと背面プレートは時効処理された7075アルミニウム合金から機械加工されており、そのため引張強度、剛性、表面靭性、および寸法安定性などの特性が優れています。それらは酸エッチング、特殊アルマイト処理による5 µmの薄い酸化皮膜形成、ニッケルによる2重シール形成などの工程の後、逆浸透脱イオン水(RODI)による煮沸処理が施されています。この工程により、金属全体に清浄性、滑らかさ、薄さ、硬さ、無孔性などの特性面で優れた表面が形成され、また酸化膜によって密封されます。そのため、このような部材は低アウトガスのレーザーシステムやクリーンルームで組み立てるようなシステムでの使用にも適しています。これと同じ表面処理は、一部の真空チャンバーメーカでも、裸のアルミニウムの表面に自然酸化膜が形成されるのを防止するために使用されています。この表面仕上げでは、標準的なアルマイト処理よりも優れた表面特性が得られます。PolarisKAシリーズマウントに対しては、最高ベークアウト温度を80 °C以下に抑えることを推奨しています。
超高真空(UHV)システム内でのアウトガスの発生をさらに低減するために、裸のアルミニウムに酸エッチングのみを施した部材で組み立てたマウントも、ご要望に応じてご提供可能です。ご要望の際は、当社までお問い合わせください。十分に表面処理されたマウントに比べて表面硬度が低下するため、これらのマウントの表面の強靭さは低下し、それに伴ってレンズセルやアジャスターネジの摩耗が早くなります。このようなマウントでは、表面汚染や自然酸化膜の形成を防ぐためにも、取扱いと保管は慎重に行う必要があります。一方、このようなカスタムマウントでは、ベークアウト温度を最高200 °Cまで上げることができます。
超高真空(UHV)システムで最もアウトガスの少ないマウントを使用したい場合は、当社のPolaris製品ラインナップの中のステンレススチール製マウントをご検討ください。これらはベークアウト温度を最高200 °Cまで上げることができます。

Click to Enlarge
Figure 4.2 すべてのPolarisKAシリーズマウントは2重の真空バッグに封入して発送しています。
サファイアシートは、NASAで認証されたアウトガスの少ない手法を用いて、所定の位置に接着されています。また、アジャスタには、DuPont社製LVP高真空対応グリースKrytox(超高真空対応のアウトガスの少ないPTFEグリース)を使用しています。このような技術により、高真空への対応とアウトガスの低減を実現しています。10-5 Torrより低い真空圧力で使用するときは、アウトガスによる汚染を最小限に止めるために、マウントを設置する前に適切なベークアウト処理を施すことを強くお勧めします。なお、Polarisマウントに付属しているM4キャップスクリュは、10-5 Torr以下の真空圧力には対応していませんのでご注意ください。
クリーンルームに対応した包装
真空対応のPolarisマウントは、クリーンな(汚染されていない)環境下で組み立てられた後、2重の真空バッグに封入されます(Figure 4.2参照)。真空気密により袋が密着するためマウントが安定し、輸送時の衝撃等による前面プレートの移動も制限されます。また、密着することで袋とマウントの摩擦も最小限に抑えられるため、袋の材料が削られてクリーンなマウントを汚染することも防げます。
真空封止の工程では、水分が含まれた空気がパッケージから排出されます。そのため、乾燥剤を使用することなく、不要な表面反応を防止できます。真空バッグは、輸送および保管中の空気や埃による汚染からマウントを保護し、さらに2重であることでクリーンルームへの入室手順をシンプルで有効性の高いものにしています。クリーンルームの外で外側の袋を外し、汚染されていない内側の袋に入ったマウントをクリーンなコンテナに入れてクリーンルーム内に搬入できます。この間、真空バッグの利点は保持されています。クリーンルーム内では、マウントを内側の袋から取り出して、すぐにご使用いただくことができます。

Click to Enlarge
Figure 5.1 こちらでご紹介しているマウントは、Polarisマウント用のØ25 mmポストとクランプアームを使用して、光学テーブル等の面に取り付けられます。長さ25.4 mm(1インチ)のポストを使用した場合、光軸の高さはテーブルの表面から61 mm(2.40インチ)になります。
Polaris®KAキネマティックミラーマウントは、温度変化や振動のある環境下においても、長期の使用に耐えられるように設計されています。以下では、その優れた性能を引き出すための使用上のヒントをご覧いただけます。
取付けガイドライン
PolarisKAシリーズマウントを取り付ける際は、Polarisマウント用のØ25 mmポストと クランプアーム のご使用をお勧めします。これらを使用できない場合には、アルミニウム製の製品への取付けを推奨します。
太いポストの使用
これらのマウントは、Polarisマウント用のポストやクランプアームを使用すると、その性能を十分に発揮できます。これらのポストはステンレススチール製であり、またマウントに対して2本の線で接触するため、周囲温度が変化してもマウント底面は安定しています。そのためアライメントに係る問題の発生を最小限に抑えられます。
光学素子の取付け
光学素子は取付け穴の中で動くことがあるので、マウントをセットアップから外した状態で光学素子を正確に取り付け、ミスアライメントの影響を最小限に抑えるようにしてください。当社では、「試験データ」タブで推奨しているように、フレクシャーアームが光学素子に最初に接触してから、止めネジを20~40°の範囲のトルク角で締め付けることをお勧めしています。この範囲を超えてモノリシックフレクシャーアームに過度なトルクを加えると、取り付けられた光学素子の表面歪みが著しく増加する恐れがあります(Figure 5.2参照)。

Click to Enlarge
Figure 5.2 グラフの青い網掛け部分は、厚さ6 mmの光学素子をマウントKA2に取付ける際の推奨トルク角を表しています。この範囲を超えてモノリシックフレクシャーアームに過度なトルクを加えると、取り付けられた光学素子の表面歪みが著しく増加する恐れがあります。
前面プレートの位置
こちらのページでご紹介しているマウントの角度は、最大6°の調整ができるように設計されています。しかし、最良の性能を得るためには、前面プレートを背面プレートに対して可能な限り平行にすることをお勧めします。そうすることで高い安定性が得られます。
テーブルの表面にできるだけ近付けて設置
振動や温度変化の影響を最小限に抑えるために、光学系の高さはできるだけ低くしてください。短いポストを使用すると温度変化によるY軸方向の動きが小さくなり、また振動による動きも小さく抑えられます。マウントはM6 x 1.0 - M4 x 0.7のネジアダプタ(型番AE4M6M)を用いて直接光学テーブルやブレッドボードに取り付けることもできます。そうすることで、ポストによる不安定さを取り除くことができます。これらのマウントは、アルミニウム製ベースプレートに直接取り付けたときに、最良の性能が得られます。
接触部の研磨とクリーニング
マウントとポストの接触部、およびポストとテーブルの接触部はクリーンな状態を維持し、傷や欠陥が生じないように注意してください。最も効果的な方法として、テーブル面には研磨石を、ポストの上下面とマウントの底面には研磨パッドLF1P を使用してクリーニングすることをお勧めします。
Polaris用調整ツールの使用
調整ツールSA1の先端は、マウントKA2AおよびKA2にも使用されているØ1.8 mmのサイドホール付きアジャスタに精密にフィットするように設計されています。ハンドルには2.0 mm六角レンチが付いており、これはアジャスターネジ端部の六角穴にご使用いただけます。マウントKA2AおよびKA2が衝撃や振動に晒される場合のために、当社では1/4"-100止めナットLN25100Hをご用意しています。頻繁に調整が必要な場合には、止めナットLN25100Hを0.03〜0.06 N•mのトルクで、手で締め付けて保持することができます。長期的な安定性が求められる場合には、トルクレンチTW13を使用してロックナットを0.23 N•mのトルクで締め付けることができます。
推奨されない使用方法
背面プレートからアジャスタを取り外すことは、ネジに汚れが付着する場合があるため、お勧めしていません。汚れが付着すると、精密調整機能が大きく損なわれる場合があります。また前面プレートを引き離すような操作は避けてください。バネが作動範囲以上に伸びてしまったり、サファイアシートにヒビが入ったりする可能性があります。光学素子を所定の位置に保持する板バネを固定するネジは、締め付け過ぎないようにご注意ください。光学素子の位置を固定するにはわずかな力で十分です。
Posted Comments: | |
No Comments Posted |


Click to Enlarge
Figure G1.1 マウントKA2Aには、サイドホール付きアジャスタが3つ付いています。
- 3アジャスタ、六角レンチ操作型、サイドホール付き
- Ø50.8 mm(Ø2インチ)光学素子用
- 本体と整合した1/4"-100ネジ付きアジャスタ
- 角度調整範囲:±3°(公称値)
- 分解能:約5 mrad/rev
- 温度サイクル試験後の変位量<4 µrad(詳細は「試験データ」タブ参照)
- 特許取得済みのモノリシックフレクシャーアーム方式により光学歪みを抑え、かつ光学素子の保持安定性を向上(US Patent 10,101,559、詳細は「試験データ」タブ参照)
- 汚染を低減するバネの設計(特許申請中)
Ø50.8 mm(Ø2インチ)光学素子用の3アジャスタ付きPolarisKAキネマティックミラーマウントKA2Aは、高分解能での調整を容易に行うことができるだけでなく、産業用として必要なアライメントの長期安定性も得られるように設計されています。マウントにはモノリシック構造のフレクシャーアームが用いられており、そのアームは付属のネジと1.3 mm六角レンチで操作できます。モノリシックフレクシャーアームを採用したことで、光学素子を強く保持しながら、取り付けられた光学素子の波面歪みを最小限に留めることができます。モノリシックフレクシャーアームによる光学素子の歪みについては「試験データ」タブをご覧ください。アジャスタが3つあることで、あおり調整(チップ&チルト)に加えて、Z軸(光軸)方向の移動調整も可能です。 このほか、2アジャスタ型の製品もご用意しております(下記参照)。
1/4"-100ネジ付きアジャスタにはØ1.8 mmの貫通穴が2つあり、当社の精密サイドホール調整ツールSA1(下記参照)、または1.5 mmのボール(六角)ドライバや六角レンチを使用して側面から操作することができます。各アジャスタには2.0 mm六角穴があり、SA1の端に付いている六角レンチやつまみネジ型六角レンチHKTS-5/64(下記参照)、あるいは一般的な2.0 mm六角レンチでも操作できます。このマウントのアジャスタは調整ノブF25USK3でも調整することができ、また止めナットLN25100Hでロックすることも可能です(いずれも別売り、下記参照)。アジャスタをたびたび調整しなければならない場合には、止めナットはおよそ0.03~0.06 N·mのトルクで軽く締めるだけで十分です。長期安定性を必要とする場合には、締め付けトルクとして0.23 N•mを推奨していますが、このトルクは当社のプリセット型トルクレンチTW13(下記参照)をご使用いただくと得ることができます。
ポスト取付け用として、互いに90°の位置に2つずつ、合計4つのM4用ザグリ穴があります。当社では、これらのマウントの取付け用ポストとして、Polarisミラーマウント用のステンレススチール製Ø25 mmポストをお勧めしています。


Click to Enlarge
Figure G2.1 マウントKA2にはサイドホール付きのアジャスタが2つ付いており、KA2Bには六角レンチで調整可能な低頭アジャスタが2つ付いています。
- 2つのサイドホール付きアジャスタ、または六角レンチで調整可能な2つの低頭アジャスタ
- Ø50.8 mm(Ø2インチ)光学素子用
- 本体と整合した1/4"-100ネジ付きアジャスタ
- 角度調整範囲:±3°(公称値)
- 分解能:約5 mrad/rev
- 温度サイクル試験後の変位量<4 µrad(詳細は「試験データ」タブ参照)
- 特許取得済みのモノリシックフレクシャーアーム方式により光学歪みを抑え、かつ光学素子の保持安定性を向上(US Patent 10,101,559、詳細は「試験データ」タブ参照)
- 汚染を低減するバネの設計(特許申請中)
2アジャスタ付きのØ50.8 mm(Ø2インチ)光学素子用PolarisKAキネマティックミラーマウントKA2およびKA2Bは、上記の標準的な3アジャスタ付きの製品と似ていますが、3つ目のアジャスタが硬化鋼製のボールに置き換えられています。2アジャスタの場合は動きの自由度が制限されるため、マウントの安定性が向上します。そのため、このようなマウントは過酷な環境で信頼性の高い動作が求められる、組み込み(OEM)用途に適しています。モノリシック構造のフレクシャーアームを1.3 mmの六角レンチで締め付けることで、光学素子をマウントに固定できます。この光学素子保持機構により、取り付けられた光学素子の波面歪みを最小限に抑えつつ、強い光学素子保持力が得られます(詳細は「試験データ」タブをご覧ください)。
マウントKA2のアジャスタにはØ1.8 mmの貫通穴があるため、当社の精密サイドホール調整ツールSA1(下記参照)、または1.5 mmのボール(六角)ドライバや六角レンチを使用して側面から操作することができます。各アジャスタには2.0 mm六角穴があり、SA1の端に付いている六角レンチやつまみネジ型六角レンチHKTS-5/64(下記参照)、あるいは一般的な2.0 mm六角レンチでも操作できます。このマウントのアジャスタは調整ノブF25USK3でも調整することができ、また止めナットLN25100Hでロックすることも可能です(いずれも別売り、下記参照)。アジャスタをたびたび調整しなければならない場合には、止めナットはおよそ0.03~0.06 N·mのトルクで軽く締めるだけで十分です。長期安定性を必要とする場合には、締め付けトルクとして0.23 N•mを推奨していますが、このトルクは当社のプリセット型トルクレンチTW13(下記参照)をご使用いただくと得ることができます。
マウントKA2Bは、狭い空間にも対応できるように、KA2のアジャスタよりも8.1 mm短い六角アジャスタが付いています。アジャスタが短いため、マウントKA2Bには止めナットLN25100Hや調整ノブF25USK3はご使用いただけません。アクチュエータは2 mm六角レンチに対応しているので、六角レンチ型アジャスタHKTS-5/64(下記参照)や一般的な2 mmの六角レンチで調整可能です。
ポスト取付け用として、互いに90°の位置に2つずつ、合計4つのM4用ザグリ穴があります。当社では、これらのマウントの取付け用ポストとして、Polarisミラーマウント用のステンレススチール製Ø25 mmポストをお勧めしています。


Click to Enlarge
Figure 801A アルミニウム製アジャスターネジF25USK3の取り付けられたサイドホールド型マウントKA1
- 1/4"-100アジャスターネジの調整用
- アジャスターネジに直接取付け可能
- 1個単位で販売
アルミニウム製の着脱可能ノブF25USK3を用いると、1/4"-100アジャスターネジを手で回すことができるようになります。PolarisKA マウントと同じアルミニウム合金製で、製造方法も同じです(詳細は「仕様」タブをご覧ください)。ノブはアジャスターネジに直接ねじ込むことができます。ノブの取付け後も2.5 mmの貫通穴からアジャスターネジの2 mm六角ソケットにアクセスできるため、六角レンチ等での操作は可能です。なお、PolarisKAシリーズマウントにこのノブを取り付けると、アジャスターネジのサイドホールがブロックされますのでご注意ください。なお、これらのノブは低頭アジャスタの付いたPolarisマウントには取り付けられませんのでご注意ください。

- 2 mm(5/64インチ)の六角レンチを使用するアクチュエータの調整に便利
- 赤色アルマイト加工の調整ノブで六角レンチのサイズが刻印
- 六角チップは取り替え可能
- 1パック4個入り
この2 mm(5/64インチ)六角レンチ型の調整用つまみネジを使用することで、2 mm六角レンチで調整するアクチュエータ(またはノブを取り外した標準タイプのアクチュエータ)が迅速に調整できます。 これは取り外し可能なノブであるため、調整の合間にネジの六角穴に取り付けたままにしておくことができて便利です(Figure 206A参照)。 #8-32止めネジ(2 mm六角)が取り替え可能の六角形のビットを固定します。この取り替え可能なビットは、一方の先端がつぶれてしまっても、逆向きで再利用できます。 交換用の六角レンチ型ビットが必要な場合には、当社にお問い合わせください。
つまみネジ型六角レンチには、0.050~3/16インチと2 mm~5 mmのサイズの製品があります。

- Polarisアジャスタのサイドホールに精密にフィットするØ1.7 mmの先端
- ハンドル部分に2.0 mm六角レンチ
- 化学洗浄済みで、磁性のあるステンレススチール製
サイドホール調整ツールには、Polarisマウントのサイドホールアジャスタに精密にフィットするように設計されたØ1.7 mmの先端があります。ハンドルには2.0 mm六角レンチがついており、SA1を小さなつまみのように使用することができます。また中央のナットには6.0 mmレンチが取付け可能なため、長めのレバーアームを構成することもできます。精密な先端は調整時のバックラッシュが小さく、また深さストッパにより調整中のツールをサイドホール内にしっかり固定しておくことができます。Ø25 mmよりも大きいミラーマウントに対しては、ツールの長さが41.2 mmであるため、マウント背面にあるほかのアジャスタと干渉せずにアクチュエータを360°調整できます。
SA1は化学洗浄と硬化処理を施されたステンレススチール製で、耐久性があるうえにクリーンな環境にも対応します。磁性があるため、スペースのない、あるいは振動に敏感なセットアップでは磁石を使用してツールを回収することができます。


Click to Enlarge
Figure 800B トルクレンチTW13を使用して、ミラーマウントKA1のアジャスタを止めナットLN25100Hで固定

Click to Enlarge
Figure 800A トルクレンチTW13には型番とプリセットされたトルク値が刻印されています。
- 1/4"-100アルミニウム製止めナットLN25100Hでアジャスタの長期安定性を確保
- 長期的に固定するのに適したトルクレンチTW13
- プリセット値:0.23 N•m
- 適切なトルクを確実に負荷できるブレークオーバー(Break-Over)型
止めナットLN25100Hは、1/4"-100アジャスタ付きのPolarisKAシリーズマウント用に設計されています(低頭アジャスタの付いたKA1Bと KA1TBを除く)。この止めナットは、アジャスタに対して長期的な安定性や、衝撃や振動にさらされるセットアップに使用したときの安定性などが求められるアプリケーション用として設計されています。PolarisKAシリーズマウントと同じアルミニウム合金製で、製造方法も同じです(詳細は「仕様」タブをご覧ください)。
アジャスタをたびたび調整しなければならない場合には、止めナットは手でおよそ0.03~0.06 N·mのトルクで軽く締めるだけで十分です。長期的な安定性が求められる場合には、トルクレンチTW13(下記参照)を使用して各止めナットを0.23 N•mのトルクで締め付けることができます。止めナット取付け時のクロススレッド(斜めにねじ込む状態)を防ぐために、まず止めナットをアジャスタに当ててネジが緩む方向に回し、かすかなネジの段差の感触でネジが整合したことを確認してからネジを締めるようにしてください。
プリセット型トルクレンチ
このトルクレンチには、Polarisマウントのアジャスタを、13 mm止めナットで長期的に固定するうえで適切なトルク値がプリセットされています。プリセットされたトルク値に達すると、Figure 800Bのようにピボットジョイントが折れ曲がるように設計されています。力を抜くと、レンチの六角ヘッドは元の位置に戻ります。この設計により、止めナットに設定値以上のトルクが加わるのを防止しています。指標として刻印されている線は、定められたトルクをかけるためにレンチを回転させる角度を示しています。この線を越えてハンドルを回転させると、止めナットを締め付けすぎていることになります。レンチには、使用時に識別しやすいように、プリセットのトルク値、トルクをかける方向、レンチサイズ、および型番が刻印されています。
このレンチは、クリーンルームや真空チャンバ内でも使用可能です。Carpenter AAA不動態化処理による化学洗浄を行い、表面から硫黄、鉄、汚染物質などを除去しています。不動態化処理の後は、クリーンな(汚染されていない)環境下で組み立て、2重の真空バッグに入れてクリーンルームに搬入するまでの間に汚染されないようにしています。また、レンチはビードブラスト加工されており、レーザが使用されているセットアップで作業するときに、反射光が最小限に抑えられるようになっています。
なお、このレンチはアジャスタを高頻度で調整するためのものではありません。そのような用途で必要とされるトルク値は、通常0.03~0.06 N·mです。

- アジャスタの長期安定性を保持
- Polarisマウントに対応(一部使用できない製品あり)
- Ø8.4 mm x 厚さ1.9 mmの薄型
- スパナレンチPOLARIS-T2を使用して回転軸に沿った締め付けが可能
こちらのロック用カラーは、ピエゾ駆動のマウントや低頭アジャスタ付きのマウント(型番POLARIS-K1E3、POLARIS-K1E2)を除く、1/4"-100アジャスタが付いたPolarisマウントに対応します。アジャスタの長期安定性、または衝撃や振動にさらされる用途向けに設計されているこちらのロック用カラーには、Polarisマウントと同様、あらかじめ高真空対応のアウトガスの少ないPTFEグリースが塗布されており、またアジャスタとの適合性が試験されています。
スパナレンチPOLARIS-T2は、ロック用カラーPOLARIS-LNS1の固定用に特化して設計されています。ダブルスパナヘッドにより完全にかみ合い、またロック用カラーの調整はアジャスタと同一線上で行える設計です。スパナレンチの中心の貫通穴から2 mmボール(六角)ドライバが通るので、ロック用カラーを調整中にアジャスタを位置固定することができます。
アジャスタをたびたび調整しなければならない場合、ロック用カラーはおよそ0.03~0.06 N·mのトルクで軽く締め付けるだけで十分です。長期安定性を必要とする場合には、締め付けトルクとして0.23 N·mを推奨していますが、このトルクは当社のプリセット型トルクレンチTW13(下記参照)とスパナレンチPOLARIS-T2を合わせてご使用いただくと得ることができます。ロック用カラー締付け時のクロススレッド(斜めにねじ込む状態)を防ぐには、カラーをアジャスタの反対側に置き、カラーがアジャスタのネジにはまるまで緩める方向に回し、その後、アジャスタにねじ込んでください。