ハードコーティングバンドパスフィルタ、マシンビジョンレンズ用

- Mounted Hard-Coated Bandpass Filters for Machine Vision Lenses with M27 x 0.5 Threads
- Center Wavelengths from 375 - 1450 nm
- Ø23.0 mm Clear Aperture
MVF37A
Machine Vision Bandpass Filter, CWL = 375 nm, FWHM = 70 nm
MVF63A
Machine Vision Bandpass Filter, CWL = 630 nm, FWHM = 40 nm
MVF37A
Machine Vision Bandpass Filter, CWL = 1450 nm, FWHM = 60 nm
Application Idea
The MVF63A machine vision filter is attached to an MVL16M23 lens mounted on a CS2100M-USB camera

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| Table 1.1 General Specifications | |
|---|---|
| Out of Band Optical Density | ODabs ≥ 2a |
| Transmission at CWL | ≥92% |
| Transmitted Wavefront Errorb | ≤0.6λ |
| Angle of Incidence | 0° |
| Housing Diameter | 29.0 mm |
| Clear Aperture | Ø23.0 mm |
| Surface Quality | 40-20 Scratch-Dig |
| Coating | Hard Coated |
| Operating Temperature | -50 to 100 °C |
| Storage Temperature | -100 to 200 °C |
| Edge Treatment | Mounted in Black Anodized Aluminum Housing |
| Edge Markings | Item #, Center Wavelength, FWHM |
| Substrate | Eagle XG® Glass |
特長
- M27 x 0.5ネジ付きマシンビジョンレンズに取り付け可能
- 中心波長375 nm~1450 nmにおける透過率 ≥ 92%
- 透過帯域幅:40 nm~85 nm
- 半円錐角(Half Cone Angle) ≤ 20°(MVF145Aは ≤ 15°)に設計
- 遮断波長範囲で優れた透過阻止特性
- ODabs ≥ 2、Tavg ≤ 0.1% (中心波長375~940 nm)
- ODabs ≥ 3、Tavg ≤ 0.01% (MVF145A)
- バンドパスフィルタのサイズは特注も可能です。詳細は当社までお問い合わせください。
当社のマシンビジョン用ハードコーティングバンドパスフィルタは、主にYb:YAGレーザ、HeNeレーザ、アルゴン(Ar)レーザ、および半導体レーザの相互のスペクトルアイソレーション(spectral isolation)を向上させるように設計されており、遮断波長域で優れた透過阻止特性(ODabs ≥ 2)が得られ、また設計波長で高い透過率(≥92%)が得られます。各バンドパスフィルタは、M27 x 0.5外ネジ付きのアルマイト処理アルミニウム製筐体に取付けられており、適合するマシンビジョンレンズに取り付けられます。
これらのフィルタの透過帯域の半値全幅(FWHM)は、選択した中心波長に依存して40~85 nmです。また、そのカットオン/カットオフの傾斜も急峻です。仕様に記載されているフィルタの中心波長と透過帯域幅は、表面に対して光が垂直に入射した場合の値です。入射角(AOI)が0°より大きい場合は、中心波長は短波長側にシフトし、透過帯域の形状も変化します。詳細は「チュートリアル」タブをご参照ください。
こちらのバンドパスフィルタは、Eagle XG®*ガラス基板に耐久性の高いスパッタリングコーティングが施されています。要件の厳しい産業分野で使用した場合でも、時間経過に対して一貫した性能が維持されます。スパッタリングで形成された薄膜コーティングは環境安定性に優れ、スペクトルが経時的にシフトしにくいという特性があります。 これらのフィルタのコーティングは、1枚の基板上に高密度に形成されるため、安定した長寿命のフィルタが得られます。このコーティングは、光学素子の標準的なクリーニング方法にも耐えられます。詳細は「光学素子の取り扱いについてのチュートリアル」をご覧ください。ソフトコーティングフィルタに比べてハードコーティングフィルタが優れている点(耐久性、透過率など)については、「比較」タブをご覧ください。これらのフィルタは工場の自動化、品質管理、ロボット工学などのほか、光学性能に一貫性が求められる様々なマシンビジョン用として適しています。
各フィルタは、黒アルマイト加工アルミニウム製の筐体に取り付けられており、筐体には型番、中心波長、およびFWHMが記載されています。これらのフィルタは当社のM27 x 0.5ネジ付きマシンビジョンレンズだけでなく、M27 x 0.5ネジ付きのマウントであれば取り付けることができます。なお、マウントからフィルタを取り外すとフィルタに損傷を与える危険性が非常に高くなるため、取り外しはお勧めいたしません。
*Eagle XG®はCorning社の登録商標です。

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Figure 1.3 光スイッチキットOSW22-633Eの画像。カメラCS165CU1にレンズMVL8M23を取り付け、さらに様々なマシンビジョンフィルタを取り付けて、異なる特徴を強調してイメージングしています。各画像を取得するのに使用したフィルタは、(a)フィルタ無し、(b)MVF52A、(c)MVF58A、(d) MVF66Aです。
| Table 1.3 Additional Bandpass Filters | ||||
|---|---|---|---|---|
| UV/VIS Hard-Coated Bandpass Filters 248 - 694 nm CWLs | NIR Hard-Coated Bandpass Filters 700 - 2000 nm CWLs | IR Bandpass Filters 1750 - 12 000 nm CWLs | Wedged Hard-Coated Bandpass Filters 532 - 785 nm CWLs | Hard-Coated Bandpass Filter Kits |
| 当社では、中心波長やFWHMの異なる、カスタムバンドパスフィルタもご提供しています。お見積りに関しては当社までお問い合わせください。 | ||||
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Figure 2.1 この図に示されている層の数は実際のハードコーティングバンドパスフィルタにおける層の数を表すものではありません。また図の縮尺率も実物と整合してはいません。
ハードコーティングバンドパスフィルタの構造
バンドパスフィルタは基板の表面に物質の層を重ねて作製されます。当社のバンドパスフィルタは、誘電体多層膜と誘電体スペーサ層とが交互に重ねられています。各誘電体多層膜は、低屈折率と高屈折率の誘電体が交互に重なった多数の層で構成されています。誘電体多層膜内の各層の厚さはλ/4で、λはバンドパスフィルタの中心波長(すなわち、光を垂直入射した時にフィルタを透過する波長の中で最も高い透過率を示す波長)です。スペーサ層はそれらの誘電体多層膜の間に配置されます。その厚さは(nλ)/2で、nは整数です。誘電体多層膜に挟まれたスペーサ層によりファブリペロー共振器が形成されます。フィルタは保護と扱いやすさのために、刻印付きの金属製リング内に取り付けられています。
フィルタ動作の概要
ファブリペロー共振器は、そこで強め合うように干渉する中心波長とその両側の狭い波長域の光を効率的に伝搬させ、その一方で弱め合うように干渉する透過帯域外の光の伝搬を阻止します。しかし中心波長の両側で阻止できる波長域は広くありません。 フィルタのこの阻止帯域を広げるために、阻止帯域が広い材料を基板として使用したり、あるいはその材料をスペーサ層にコーティングしたりします。このような材料は帯域外の入射光を効率的に遮断しますが、透過帯域内の透過量も低減させます。
フィルタの温度
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Figure 2.2 グラフはハードコーティングバンドパスフィルタFBH800-10およびFBH800-40を前向き(実線)と後向き(破線)で使用したときの透過率を示しています。
フィルタの温度を変えることで、フィルタの中心波長を僅かにチューニング(フィルタの動作範囲にわたり約1 nm)することができます。これは主にフィルタの層の僅かな熱膨張または熱収縮によって起こります。
フィルタの向き
透過方向
フィルタの縁に刻印されている矢印は、推奨する光の透過方向を示しています。コーティング面を光源側に向けると、不要な散乱光と光源に戻る反射光を低減できます。しかし、フィルタを反対の向きで使用しても、フィルタの性能に著しい影響はありません。Figure 2.2では、フィルタを低強度の広帯域光で照射し、測定された透過率を波長の関数としてグラフ化しています。このグラフにより、フィルタの透過方向は透過する光の強度やスペクトルにあまり影響しないことが分かります。前向きと後向きでの透過率曲線の小さな差は、フィルタを取り外してひっくり返し、そして再び冶具に取り付ける際に生じた入射角のわずかな変化による可能性があります。
入射角(AOI)
フィルタは、フィルタ表面にコリメート光を垂直に入射して使用するように作られています。非コリメート光や表面に垂直に入射されていない光では、中心波長(透過率がピークとなる波長)が短波長方向にシフトし、透過波長域(透過帯域)の形状が変化します。入射角度を僅かに変化させることは、透過帯域を狭い範囲で僅かに調整する方法として有効です。入射角度を大きく変化させると中心波長も大きく移動しますが、通過帯域の形状を著しく歪ませ、さらには、通過帯域の透過率を大きく低下させる原因にもなります。Figure 2.3~2.6は、様々なフィルタで入射角を変化させた時の透過帯域、透過率、中心波長(CWL)の変化の例を示しています。透過帯域の半値全幅(FWHM)が1 nm~5 nmのフィルタは特にこの影響を受けやすいため、必要とする入射角にセットされているかどうか十分に注意する必要があります。Figure 2.3~2.6は透過帯域FWHMの増加順に示しています。
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Figure 2.4 このグラフは、ハードコーティングバンドパスフィルタFLH1064-3の透過帯域の透過率とFWHMが、様々な入射角(AOI)によって変化する様子を示しています。FLH1064-3の設計中心波長は1064 nm、透過帯域は3 nmです。
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Figure 2.3 このグラフは、ハードコーティングバンドパスフィルタFLH532-1の透過帯域の透過率とFWHMが、様々な入射角(AOI)によって変化する様子を示しています。 FLH532-1の設計中心波長は532 nm、透過帯域は1 nmです。
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Figure 2.6 このグラフは、ハードコーティングバンドパスフィルタFLH1030-10の透過帯域の透過率とFWHMが、様々な入射角(AOI)によって変化する様子を示しています。FLH1030-10の設計中心波長は1030 nm、透過帯域は10 nmです。
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Figure 2.5 このグラフは、ハードコーティングバンドパスフィルタFBH800-10の透過帯域の透過率とFWHMが、様々な入射角(AOI)によって変化する様子を示しています。 FBH800-10の設計中心波長は800 nm、透過帯域は10 nmです。
Figure 2.7~2.11は、ハードコーティングバンドパスフィルタFLH532-1、FLH1064-3、FLH1030-10の特性が、入射角(AOI)によって変化する様子を示しています。
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Figure 2.8 このグラフは、ピーク透過率に対応する設計中心波長でのFWHMと入射角との関係を示しています。各フィルタの設計中心波長と透過帯域のFWHMは、FLH532-1では532 nmと1 nm、FLH1064-3では1064 nmと3 nm、FLH1030-10では1030 nmと10 nmです。
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Figure 2.7 このグラフは、設計中心波長での透過率が、入射角(AOI)によって変化する様子を示しています。 透過帯域が広いほど、フィルタの透過率は入射角の影響を受けにくいことがわかります。各フィルタの設計中心波長と透過帯域のFWHMは、FLH532-1では532 nmと1 nm、FLH1064-3では1064 nmと3 nm、FLH1030-10では1030 nmと10 nmです。
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Figure 2.11 このグラフは、設計波長が1030 nm、透過帯域のFWHMが10 nmのハードコーティングバンドパスフィルタFLH1030-10の透過率が最大となるときの入射角と中心波長の関係を示しています。
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Figure 2.10 このグラフは、設計波長が1064 nm、透過帯域のFWHMが3 nmのハードコーティングバンドパスフィルタFLH1064-3の透過率が最大となるときの入射角と中心波長の関係を示しています。
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Figure 2.9 このグラフは、設計波長が532 nm、透過帯域のFWHMが1 nmのハードコーティングバンドパスフィルタFLH532-1の透過率が最大となるときの入射角と中心波長の関係を示しています。
フィルタの反射率
当社のハードコーティングバンドパスフィルタは、帯域外の光を効率的に反射します。Figure 2.12は、設計中心波長が1200 nm、透過帯域のFWHMが10 nmのハードコーティングバンドパスフィルタFBH1200-10の反射率の測定値を示しています、このフィルタの遮断波長域は、200~1180 nmおよび1220~1700 nmの範囲でODabs >5として規定されています。
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Figure 2.12 このグラフは、200 nm~1800 nmの広範囲にわたるハードコーティングバンドパスフィルタFBH1200-10の反射率を示しています。このフィルタは、200~1180 nmおよび1220~1700 nmの遮断波長域内では高い反射率を示します。ガラス基板による吸収率の増加により、300 nm未満では反射率は低下します。
帯域外におけるフィルタ性能
ハードコーティングバンドパスフィルタの透過率と光学濃度は、透過帯域から大きく離れた波長域では様々に変化します。 Figure 2.13と2.14は、ハードコーティングバンドパスフィルタFBH390-10の仕様遮断波長域(200~379 nm、401~1200 nm)より外側の波長域までの、透過率と光学濃度の変化を示しています。FBH390-10の設計中心波長は390 nm、透過帯域のFWHMは10 nmです。このフィルタの遮断波長域の仕様は、200~379 nmおよび401~1200 nmの範囲でODabs >5と規定されています。
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Figure 2.14 このグラフは、200 nm~600 nmにおけるハードコーティングバンドパスフィルタFBH390-10の光学濃度(OD)の測定値を示しています。 ODは1200 nmを超える波長では著しく低下します。
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Figure 2.13 このグラフは、200 nm~1600 nmの広範囲にわたるハードコーティングバンドパスフィルタFBH390-10の透過率を示しています。 透過率は波長が1200 nmを超えると大きくなります。
ハードコーティングフィルタの利点
ソフトコーティングフィルタの構造
Click to EnlargeFigure 24A ソフトコーティングフィルタは、基板層に挟まれた誘電体多層膜を利用します。この図に示されている層の数は実際のバンドパスフィルタにおける層の数を表すものではなく、また縦横比も実際とは異なります。
ハードコーティングフィルタの構造
Click to EnlargeFigure 24B ハードコーティングフィルタでは、蒸着は基板表面に施されます。この図に示されている層の数は実際のハードコーティングバンドパスフィルタにおける層の数を表すものではありません。この図面の縦横比も実際とは異なります。
ソフトコーティングとハードコーティングのフィルタは、光学製品として一般的に販売されています。 ソフトコーティングフィルタは、化学的に反応しやすい層の積層構造になっているため、温度安定性が低い、透過率が低い、光散乱が大きい、保存寿命が短いといった問題があります。ハードコーティングフィルタは、高エネルギースパッタリング技術によって光学基板上に化学的に不活性な層を形成するため、そのような欠点がありません。
ソフトコーティングフィルタは、Figure 24Aに示すように、マウント内の光学基板間に挟まれた誘電体層で構成されています。誘電体層は、しばしば硫化亜鉛、氷晶石、銀などの壊れやすい材料で構成されています。これらの化学物質は水と反応してフィルタの性能を劣化させるため、湿度の高い環境でのソフトコーティングフィルタの保存寿命は大幅に短くなります。アセンブリの密封部分は環境、取り扱い方、フィルタの組立工程の品質などにより、いずれは機能しなくなり、それに伴って光学性能は急速に低下します。これらの要因により、ソフトコーティングフィルタの寿命は、研究室環境では通常1年から5年です。
ソフトコーティングフィルタが積層構造を有するということは、温度変化がフィルタの光学性能に重大な影響を及ぼすことを意味します。誘電体多層膜、エポキシ、光学基板、吸収ガラス、マウントの熱膨張係数は、一般にはすべて異なるでしょう。その結果、温度変化によってフィルタの形状が予想外に変化することがあります。
ハードコーティングフィルタでは、ガラス基板上に誘電体層をスパッタリングによって作成します。この誘電体多層膜にはソフトコーティングフィルタに使用される材料よりも環境に対して安定な材料が使用されるため、Figure 24Bに示すように性能を低下させることなく環境にさらすことができます。ハードコーティングフィルタはソフトコーティングフィルタよりも薄いため、スペースが限られた用途でも容易に組み込むことができます。スパッタリング工程は自動化されており、再現性が高く、コーティングされていない光学部品に近い透過波面誤差が得られます。
ソフトコーティングフィルタの可視(VIS)波長域での透過率は、銀を使用しない場合で約80%、誘電体多層膜に銀を使用した場合は約50%に制限され、紫外域の透過率はさらに制限されます。Figure 24CとFigure 24Dに示すように、ハードコーティングフィルタでは紫外(UV)域および可視(VIS)域での透過率が向上します。ハードコーティングフィルタのカットオンとカットオフの傾斜は、ソフトコーティングフィルタに比べて急峻です。またハードコーティングフィルタの透過率はソフトコーティングフィルタに比べて平坦です。これは、より複雑なキャビティーフィルタを高い精度と再現性で蒸着できるスパッタリング工程を使用しているためです。
Click to EnlargeFigure 24D ハードコーティングフィルタとソフトコーティングフィルタのUV域での性能比較
Click to EnlargeFigure 24C ハードコーティングフィルタとソフトコーティングフィルタの可視域での性能比較
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