光スペクトラムアナライザーのチュートリアル


光スペクトラムアナライザーのチュートリアル


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光スペクトラムアナライザのラインナップはこちらをご覧ください。
低価格・低い波長分解能のソリューションとして、小型分光器もご用意しています。

光スペクトラムアナライザの設計

このタブでは、当社のOSAの設計の主な概念について説明しています。

目次

 

FT-OSA Diagram
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2個のレトロリフレクタを用いた当社のOSAの光学系の配置図です。 このチュートリアルは、この配置図を参照しながら進んで行きます。

干渉計の設計

当社のフーリエ変換光スペクトラムアナライザ(FT-OSA)では、右図にあるように2個のレトロリフレクタを使用しています。 これらのレトロリフレクタは、ボイスコイル駆動の移動台に載せてあり、干渉計からの2つの光路長を同時に変えることができます。また、レトロリフレクタは 光路を反対方向に変化させます。 この配置の利点は、移動台の物理的移動量に対し、干渉計の光路差(OPD)を4倍にできることです。 光路差(OPD)を大きくすればするほど、FT-OSAが分解できるスペクトルは微細になります。

入力光は、コリメートされたのちにビームスプリッタで2つの光路に分割されます。 2つの光路の光路差は、ゼロから±40 mmまで変えられます。 分割されたコリメート光がビームスプリッタで再び重なると、2つの光ビームは干渉します。

図に示されているディテクタが、インターフェログラム(干渉図形)と呼ばれる干渉パターンを記録します。 このインターフェログラムは、入力光スペクトルの自己相関波形なので、 その波形をフーリエ変換することで光のスペクトルが再生できます。 このようにして広い帯域にわたり高分解能のスペクトルを得ることができます。 波長範囲は、ディテクタの帯域とコーティングで決まります。 内蔵の周波数安定化HeNeレーザ(632.991 nm) が、光路長変化を正確に測定し、システムを連続的に校正することでシステムの確度を保証します。 これにより、回折格子型の光スペクトラムアナライザよりも精度の高いスペクトル分析ができます。

各モデルのOSAのスペクトル分解能は、7.5 GHzまたは0.25 cm-1です。 波長を単位とした分解能は被測定光の波長に依存します。 詳細については下記の「分解能と感度」 をご参照ください。ここでは、スペクトル分解能は、レイリ基準により規定され、2つの異なる単色光のスペクトルを分解(別のスペクトルであると認識)するために必要な、最小の波長間隔のことを指します。 波長計モードでの分解能は相対的にかなり良好となりますが、ここで説明しているスペクトル分解能の数値とは別のものです。

当社のフーリエ変換光スペクトルアナライザ(FT-OSA)は、内蔵のアクティブ安定化HeNe基準レーザを利用して、光路長の変化を干渉により記録します。 この基準レーザは干渉計に内蔵された状態で、被測定光照射光と光路が同じになります。 また、中赤外域のスペクトルにおけるデバイス内の水分吸収による影響を低減させるため、当社のOSAの背面パネルには、乾燥した空気(または窒素)と入れ替えるパージ用の内径6.35 mm(1/4インチ)のホース接続部が2つ付いています。この用途に適した製品として、当社では ドライエアサーキュレーターユニットをご用意しており、そのホースを直接コネクタに接続することができます。

OSA Resolution vs Wavelength
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OSAの分解能と入射光の波長
ここで示される分解能は、左の式を使用して計算されています。低分解能モードではΔk = 1 cm-1、高分解能モードではΔk = 0.25 cm-1の値を使用しています。 この式はすべてのOSAで有効ですが、各モデルで使用可能な波長範囲はディテクタの帯域幅と光学コーティングによって異なります。

分解能と感度

光スペクトルアナライザなどの装置の分解能は、干渉計内部の2つの光路差(OPD)に依存します。 この分解能をわかりやすく説明するには、波長(ナノメータ)や周波数(テラヘルツ)ではなく、波数(センチメートルの逆数)を用いる方が有効です。 

中心周波数が非常に近い2つの光源(レーザ)を使用していると仮定し、エネルギ差が1 cm-1であるとし、6500 cm-1と6501 cm-1であるとします。 インターフェログラムで、この2つの信号を区別するには、光路差ゼロ(ZPD)の点から1 cm 離れる必要があります。 当社のOSAシステムの場合、光路差で±4 cm移動することが可能で、わずかに0.25 cm-1しか離れていない信号のスペクトル特性も識別することができます。 この装置の分解能は下記の数式で計算できます。

OSA Equation 2

ここではΔλ がpmを単位とした分解能であるとき、Δk がcm-1を単位とした分解能(この装置では0.25cm-1が最大値)で、λ がμmを単位とした波長です。 この式を用いて計算された、pmを単位とした分解能の波長特性は右のグラフをご参照ください。

このOSAの分解能は、高低のいずれにも設定できます。 高分解能モードのとき、レトロリフレクタは最大で±1 cm(OPDでは±4 cmに相当)移動し、低分解能モードのとき、レトロリフレクタの移動量は±0.25 cm(OPDでは±1 cmに相当)となります。 スペクトルの計算で使用されるインターフェログラムの長さは、OSAソフトウェアを用いて任意のレベルに分解能を低減するために短くすることが可能です。

装置の感度は、センサの電子的な利得に依存します。 利得が増大することで、ディテクタの帯域幅が狭くなるので、この装置は高い利得で設定されているときに、ゆっくり動作することになります。 下図が示すように、ノイズレベルは波長とOSAのモデルの種類に依存します。

さらにOSAはゆっくり動作するときに、OPDの中でより多くのポイントをサンプリングするよう設計されています。 内蔵の安定化HeNeレーザからの基準信号が、このデータサンプリングのトリガとなります。 最高感度モードでは、位相ロックループがHeNe周期を最大で128倍にします。 このモードは、光が弱く広帯域の時に非常に便利です。このような理由でZPDにおけるインターフェログラムの短い区間に全てのスペクトル情報が含まれることになります。 これは通常、ゼロバーストとよばれています。

OSA Noise Floor Absolute Power
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出力絶対値モードにおけるノイズレベル
出力絶対値モードは狭帯域光源での使用をお勧めします。OSA203Cのノイズフロアは低温モードで測定されています。
OSA Noise Floor Power Density
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パワー密度モードにおけるノイズレベル
パワー密度モードは広帯域モードでのご使用をお勧めします。OSA203Cのノイズフロアは低温モードで測定されています。

パワー絶対値とパワー密度

スペクトルの表示では、縦軸にパワーの絶対値をとるモードまたはパワー密度をとる表示モードが選べます。この両モードの表示は、リニアスケールまたはログスケールで表示できます。 パワーの絶対値を表示するモードの場合は、特定の波長に対する装置の実際の分解能をベースにして、全パワー範囲が表示されます。この表示は入射光が狭帯域 の場合にのみお使いになることをお勧めします。 広帯域のデバイスに対しては、パワー密度モードでの表示を推奨しています。 この表示モードの時には、単位波長あたりのパワーを縦軸に表示します。この場合、単位波長は固定波長範囲をベースとし、装置の分解能には依存しません。

インターフェログラムデータの取得

被測定光の光路長の変化を等間隔で刻むために、基準レーザの干渉パターンを16ビットA/D変換器のクロック信号として使います。 HeNe基準レーザの干渉縞間隔はデジタル化されます。干渉縞の繰返し周期に位相ロックループ(PLL)を乗じることで、極めて細かなサンプリング分解能 が得られます。 多重PLLフィルタによって、周波数を16、32、64、128倍に設定できます。128倍でのサンプリングでは、約1 nmの間隔でデータが得られます。 多重PLLフィルタにより、取得時間とリフレッシュ速度に対して分解能と感度のシステムパラメータのバランスを取ることが可能になります。 

Hi-Speed USB 2.0リンクを利用し、被計測光のインターフェログラムを6メガバイト/秒でデータをピンポン転送することで、大量のデータのストリーミングが可能になり ます。 データが取得された後は、最新のマルチコアプロセッサの利点を活かして作成されたOSAのソフトウェアにより、高速フーリエ変換(FFT)の出力において 可能な限り高い分解能、高S/N比(SNR)が得られるように、入力波形の分析と条件出しのための各種の計算が行われます。

自動利得制御機能を有する低雑音で低歪みのディテクタ増幅器は、ダイナミックレンジが広く、AD変換器を適切な状態で使うことができます。S/N比は10 mWの入力パワーまで十分に良好です。 低パワーの入射信号に関しては、通常は狭帯域光源からの100 pW未満の信号が検出可能です。 差分検出方式で同相雑音を排除して、S/N比をさらに高くすることができるので、当社のFT-OSAは、干渉計に入る全ての光を利用する計測ができます。

Interferogram
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典型的なインターフェログラム

インターフェログラムデータの処理

生成されたインターフェログラムデータの点数は、感度や解像度によりますが、50万点から1600万点です。 FT-OSAのソフトウェアは、入力データを解析して、ソフトウェアライブラリから適切なFFTアルゴリズムを選択します。

さらなるソフトウェアの機能は、インターフェログラムデータの取り込みや処理のための非同期、マルチスレッドの手法により実現されます。また、インターフェログラムデータはスペクトル情報構築のために必要な多数のプロセスを通して得られています。 ソフトウェアのマルチスレッド構造により、PCの能力に応じて複数の処理を並列に行うことが可能で、プロセッサの帯域を最大限に活かすことができます。 当社のFT-OSA装置には、データ処理能力とユーザーインターフェイスを考慮して選択されたノート型PCが付属します。 

波長計モード

狭帯域の光信号の解析では、FT-OSAが被測定光の中心波長を自動的に計算し、その中心波長はスペクトル分布を示すメインディスプレイウィンドウの直ぐ下 に表示されます。 中心波長λは、被測定光および基準レーザの干渉縞数(インターフェログラムの周期)を数えて得られた数値を使って次の式で求めます: 

OSA Equation 1

この数式において、mrefが基準レーザの干渉縞の数、mmeasが入射レーザの干渉縞の数、nrefが基準レーザの波長(632.991 nm)における空気中の屈折率、λref,vacが基準レーザの真空中の波長です。nmeasは波長λmeas,vacにおける空気中の屈折率で、これはEdlénの公式の修正版を使用してλmeas,air (空気中の測定波長)から繰り返し求めることができます。

FT-OSAを波長計として用いる場合、位相ロックループ乗算器で決まる限界まで干渉縞を細かく分解できるので、FT-OSAを広帯域分光計として用いる場合よりも分解能はかなり高くなります(「インターフェログラムデータの取得」の説明をご参照ください)。 実際には、システムの分解能は被測定光の帯域幅と成分、ディテクタの雑音、基準HeNeレーザの波長のドリフト、干渉計のアライメントおよびその他のシス テムの誤差で決まります。波長計モードでは、このシステムは可視域のスペクトルで±0.1 pm、そしてNIR/IR域のスペクトルで±0.2 pmと信頼性の高い結果を達成しています(詳細については「仕様」タブ内をご参照ください)。 

ソフトウェアは、適切な表示分解能を決めるために、被測定光のスペクトルを分析します。 ピークが複数あるために測定結果が信頼できないような場合には、ソフトウェアは波長計モードを無効にして、間違った結果の出力を防止します。 

波長の校正と確度

FT-OSAには、真空に対する波長が632.991 nmの安定化HeNe基準レーザを内蔵しています。 HeNeレーザの安定化技術は確立されたもので、安定化HeNeを使うことで、長期に渡って安定した波長確度を実現することができます。 FT-OSAは、干渉計を走査するときの基準光と被測定光の光路が同じになるように、工場で調整されます。 残るアライメント誤差の影響は0.5 ppm未満となり、入射光の位置確度は、高精度のセラミックレセプタクルおよび頑丈な干渉計キャビティ設計によって確かなものとなります。 走査型干渉計の中には、光ファイバは使用していません。 Eldénの公式を使って、内蔵のセンサが取得した温度と圧力のデータから、基準HeNeレーザの空気中での波長が測定ごとに計算されます。

可視光を測定する場合は、相対湿度(RH)が空気の屈折率に影響を与えるので、測定確度が影響を受けます。 これを補正するために、ソフトウェアによってRH値をマニュアルで設定できます。 湿度の影響は、赤外域での測定では無視できます。

Distance from 1550 nm PeakOptical Rejection Ratio
0.2 nm (25 GHz)30 dB
0.4 nm (50 GHz)30 dB
0.8 nm (100 GHz)30 dB
4 nm (500 GHz)39 dB
8 nm (1000 GHz)43 dB

この表は、1550 nmにおけるOSA203Cの光除去比ですが、この時の設定条件は、「High Resolution、Low Sensitivity、Average 4、Apodization Hann」です。すべてのOSAモデルは、ピークからの距離をGHz(周波数の単位)で測定する時に同様の傾向を示します。

光除去比(ORR)

ピーク近くの低レベル信号を測定する能力は、装置の光除去比(ORR)に依存します。これはOSAのフィルタ応答性と考えることができ、ピークからの任意の距離でのパワーに対するピークでのパワーの比であると定義できます。

ORRが、測定対象の光源の信号対雑音比(S/N比)よりも低い場合、測定値は被測定光源ではなくOSAの限界を示すことになります。右表はその例です。

720p Resolution Button for Video Player
720p解像度の設定
Fullscreen Button for Video Player
Full Screenボタン

ソフトウェアのチュートリアルビデオ

OSAソフトウェアについて理解を深めていただけるよう、ソフトウェアの基本的な機能と一般的な測定に適した設定をご紹介する短いビデオをいくつかご用意しました。 内容のリストについては下記をご覧ください。

フルスクリーン、720p解像度
ビデオをフルスクリーン、720p解像度でご覧になることをお勧めします。 フルスクリーンでご覧になるには上記スクリーンショットで示している"Full screen"ボタンをクリックしてください。 Escキーを押すと元のサイズに戻ります。720p解像度を選択するには、ギア(歯車)アイコンをクリックした後、右のように表示されるQualityメニューを使用します。 ギアアイコンはビデオが流れ始めると表示されます。

OSAソフトウェアの基本機能

主な内容

  • シングルショットならびに平均スペクトルの取得
  • ユニットの選択
  • スペクトルの保存、読み出し、ならびに他プログラムへのエクスポート
  • マーカの使用

動画時間: 4:41

適切な設定を選ぶヒント

主な内容

  • 狭帯域ならびに広帯域光源用に適した設定
    • 分解能
    • 感度
    • アポディゼーション
  • 低周波信号の高周波雑音からの隔離(広帯域光源)

動画時間: 3:54

狭帯域光源の測定

主な内容

  • ピーク追跡ならびに波長計による中心波長と線幅の計算
  • 分解能、感度、ならびにアポディゼーション設定
  • 長時間にわたる計測の追跡ならびに記録

動画時間: 3:13

光入力パワーの測定

主な内容

  • マーカを使用した積分範囲の選択
  • インターフェログラムモードで光源のコヒーレンス長を見る

動画時間: 1:24

フィルタ測定の実施

主な内容

  • OSAソフトウェアによるベースラインでの透過率ならびに吸収率の計算
  • ピーク追跡モードによる中心波長ならびにFWHMの測定

動画時間: 2:38

OSAを用いたパルス光源の解析

概要および解析結果のまとめ
光スペクトラムアナライザ(OSA)はCW信号を解析するよう設計されておりますが、ある状況ではパルススペクトルを測定することもできます。 パルススペクトルの測定には、正確な測定結果を得るために解決しなくてはならないいくつかの問題が伴います。例えば、光源のパルスとしての性質による「スペクトルゴースト」の発生やOSAの光路差(OPD)の変化などがあります。 また、パルス光源のノイズフロアはCW光源のノイズフロアよりもかなり高くなっています。 OSAを用いたパルス光源の測定方法の1つに、4つの異なる感度レベルでの連続計測があります。各波長で4つの軌跡のうちの最小の測定点をつないで、1つのスペクトルを合成することで、スペクトルゴーストを抑制することができます。 この方法はOSAソフトウェア内に組み込まれており、「Sweep」タブから「Pulsed」を選択して実行します。 この方法の仕組みの説明と、そのために有用ないくつかのパルス光源の話とを以下のチュートリアルでいたします。

その説明の要点は、30 kHzを超えるパルスレートでは、繰返し周波数がディテクタの帯域幅より大きくなるため、標準モードを利用することができるということです。 また低い繰返し周波数を有する広帯域信号では、インターフェログラムの「ゼロバースト」がパルスの1つと一致するようご注意ください、ということです。 また、パルス信号を観測するとき自動利得(Automatic Gain)が正常に作動しない場合は、ディテクタを飽和させずに強い信号を得るために、インターフェログラムをモニタし、手動で利得設定を行う必要があります。

パルス光源がインターフェログラムおよびスペクトルに与える影響
インターフェログラムの測定中、光路差(OPD)は変化し続けるため、パルス光源は実効的にインターフェログラムを変調します。 100%の変調を行った際(例えばオン・オフ式パルセーション)のインターフェログラムでは、情報を持たない繰返し領域(スロット)が発生します。 これらのスロットはディテクタが光を測定しないOPDに対応するものと解釈されます。 この場合、真のインターフェログラムはパルス信号に隠されてしまいます。 図1は、測定されたインターフェログラムと、それぞれに対応したCWおよびパルス光源のスペクトルを示しています。 CWとパルス光源のスペクトルは同じであるはずですが(パルス駆動によるLDチップ温度の低下などによるピーク形状および位置の若干の違いは考慮に入れないこととします)、周波数軸に余分にあらわれてくる擬似的スペクトルは、パルス光のインターフェログラムが変調されることにより、想定されているピークのそばに、対称軸な位置に出現します。 この「スペクトルゴースト」は、光源のスペクトル的な挙動よりも時間的な挙動が原因となっているのです。 光源の真のスペクトルを測定するためには、スペクトルゴーストを十分に少なくするか、興味ある周波数または波長の範囲外においやることが重要です。

Pulsed_Source_Interferogram
図1: CW(上)および20 kHzパルス光(下)の狭帯域光源によるインターフェログラムおよびそれぞれに対応するスペクトルの測定結果。 左下の図に見えるインターフェログラムの矩形波変調が、右下の図のスペクトルゴーストを発生させています。

Figure 2: Effect of Repetition Rate on Spectral Ghosts
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図2: 55、100 Hz~100 kHzのパルス繰返し周波数における1550 nmのDFB半導体レーザのスペクトルを重ねてまとめて示したもの。 強度はログスケールでマッピングされています。 OSAの設定:高分解能、高感度、アポディゼーション無し、平均回数5回。

数学的には、パルス光源のスペクトルは、光源のスペクトルとパルスに対応するスペクトルのコンボリューションとして表されます。 そのため、擬似的なスペクトルの影響はパルスの繰返し周波数と変調度、OSAのOPDサンプリング速度(cm/s)によって変化します。 光源のパルスの変調度は、スペクトルゴーストの信号の大きさを決めます。つまり、弱い変調からは弱いスペクトルゴーストが発生し、100%の変調(オン・オフ式パルセーション)からは非常に強いスペクトルゴーストが発生します。

図2は、狭帯域光源におけるパルスの繰返し周波数とスペクトルゴーストの挙動の関係を示しています。 ここでは、1550 nmのDFB半導体レーザのスペクトルを、100 Hz~100 kHzまでの55種類のパルス繰返し周波数で測定しています。 トゥルーピーク(灰色の水平な線)が0 THzと中心に来るよう、Y軸の周波数を相対的にオフセットさせています。 この図の様子は次の3つの領域に分けることができます:(パルス周波数fpについて)fp ≤ 3 kHz、3 kHz < fp ≤ 30 kHz、fp >30 kHz。 fp ≤ 3 kHzのとき、スペクトルゴーストは得られたスペクトル内のトゥルーピークと対称の位置にはっきりと確認でき、繰返し周波数が増加するにつれ真のピークから遠ざかっていきます。 2つ目の領域は、最初のスペクトルゴーストがOSAのスペクトル領域を越えてしまった後のfpが3 kHz以上のあたりから始まります。 ただし、エイリアシングまたは折り返しにより、高次のスペクトルゴーストがOSAのスペクトル領域内に出現します。 3つ目のfp > 30 kHzの領域では、得られたスペクトルはCWスペクトルにぴったりと一致します。これは、光源の繰返し周波数がディテクタの帯域幅を超えていってしまうからです。 その結果、OSAのエレクトロニクスの能力ではパルス光源はCW光源と同じように見えることになります。

 

「パルスモード(Pulsed Mode)」の操作
周波数のアーチファクトを除去するために、OSAソフトウェアには、「パルスモード」測定の機能が付いています(図3)。 インターフェログラムの「スロット時間」は光源のパルス繰返し周波数、およびOSAのOPD速度により決定され、スペクトルゴーストの出現位置に影響を与えます。 スロット時間が短い時には、トゥルーピーク(光源本来の周波数ピーク)と1番初めのゴーストピークの間のスペクトル距離は大きくなります。 当社のOSAにおいて、OPDのサンプル速度は可動キャリッジの速度によって決定されます。可動キャリッジは、感度の設定を通して間接的に制御することが可能です。 感度の設定が高くなるほど可動キャリッジのスピードは遅くなります。 このため、OSAの感度モードを「High」で使用するとスロット時間は最小になります(つまり、本来見たい光源のピークあたりの様子と周波数アーチファクトの間の間隔は最大になります)。 パルスモードではソフトウェアが異なる感度設定(もしくはOPDのサンプル速度)の4つのスペクトルを取得し、それぞれの感度設定で変化するスペクトル特性を除去します。 このとき感度は、初めは「low」に、その後「Medium-Low」、「Medium-High」、「High」の順に設定されていき、感度が周期的に変化するように一巡りしたところで再び「low」に戻ります。 こうして取得された4つのスペクトルは最小値をホールドする機能を使って合成されます。 スペクトルゴーストの位置は感度設定(OPDの速度)により変わるので(図4左)、このパルスモードでの測定の結果、スペクトルゴーストを低減することができます。 パルスモードボタンは、「Sweep」メニューの中にあり、実行中の掃引が完了してから開始できます。

Figure 2: OSA in Pulsed Mode
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図3: パルスモードのOSAソフトウェアのスクリーンショット。アイコンは赤い丸で示されています。
Figure 2: OSA in Pulsed Mode
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図4: (左)1 kHzのパルス光の狭帯域光源により、(上から下の順に)「low」、「Medium-Low」、「Medium-High」、「High」の感度設定で測定されたスペクトル(OPDサンプル速度は上から下の順で低くなっています)。 (右)左の4つのスペクトルの最小値をつなげて得られたものなので、左下のスペクトルに大よそ似た姿になっています。

 

狭帯域光源
1550 nm(193.7 THz)で発光するDFB半導体レーザを狭帯域光源として用い、CWおよびパルス動作させてOSA203を用いて測定しています。 この半導体レーザは、fp = 20 Hz~100 kHzの繰返し周波数で変調されています( ITC4001使用)。 CWスペクトルは高感度モードで、パルススペクトルは高感度モードとパルスモードの両方で、それぞれの光源の設定について5回平均のスペクトルが取得されました。 パルスモードでは、平均化はできませんのでご注意ください。 その代わりに、4つの異なる感度設定により5回測定したスペクトルに対し、最小値ホールドの機能を使用できます。

図5では、CWモードの光源、および100 Hz~100 kHz間の異なる4つの繰り返し周波数におけるスペクトルを示しています。 周波数が増大するにつれ、スペクトルゴースト(高感度モードで記録)はレーザのトゥルーピークから離れていき、100 kHzでほぼ同一のスペクトルを得ることができます。

Figure 3: CW and Pulsed Measurements of Narrowband Source
図5: 1550 nm(193.7 THz)の狭帯域パルス光源において測定されたスペクトル。 繰返し周波数(左から右に):100 Hz、1 kHz、13 kHz、100 kHz。 黒線:CWの測定、青線:高感度で測定されたパルス光源、赤線:パルスモードを用いて測定されたパルス光源。 下段のプロット図は上段のプロット図と同じデータですが、周波数目盛りの範囲が小さくなっています(ズームされています)。

 

広帯域光源
利得チップを自然放射増幅光(ASE)モードで駆動し、36.4 nm(15.2 THz)の半値全幅(FWHM)で850 nm(352.9 THz)を中心波長とする広帯域光源を発生させます。 OSA201Cは、CW光およびfp = 100 Hz~100 kHzの繰返し周波数のパルス動作によるスペクトルを測定するのに使用します。 ASEダイオードを、デューティー比50%の矩形波で変調します(ITC4001を使用)。 高感度(CWおよびパルス光源に対して)およびパルスモード(パルス光源に対して)を利用することで、合計で10種類の平均スペクトルが取得されます。 パルスモードでは平均化ができないため、4つの異なる感度設定でそれぞれ5セットデータを取得して最小ホールド機能を用いて測定されています。

一般的にスペクトルゴーストは、広帯域のスペクトルピークでは狭帯域のスペクトルピークに比べ見えにくくなっています。 しかし、ノイズフロアは高くなりますし、図6のようにスペクトルゴーストは1 kHzおよび13 kHzの繰返し周波数においてはっきりと見ることができます。 狭帯域光源と同様に、スペクトルゴーストは繰返し周波数が増大するにつれてトゥルーピークから遠ざかります。 100 kHzの繰返し周波数においては、高感度、パルスモードのどちらを使用した測定もCW測定とよく合うようになります。 ここで示されているように、ピークの形はCWスペクトルとパルススペクトルで僅かに異なります。 これは、OSAの動作特性からではなく、レーザーチップの温度の減少などによるパルス動作中の実際のパルスの形の変化によるものです。

Figure 6: Pulsed Broadband Source
図6: 850 nm(352.9 THz)の中心波長(周波)の高帯域のパルス光源によって測定されたスペクトル 表示されている繰返し周波数は、100 Hz、1 kHz、13 kHz、100 kHz。 上段および下段は、それぞれピークを中心とした全波長域および ±50 THzの範囲を示しています。 黒線:CW、青線:高感度で測定したパルス光源、赤線:パルスモード。

一般的に、低い繰返し周波数で広帯域のピークを測定する際は以下の点にご注意ください。 インターフェログラム内のほとんどの情報はゼロバースト付近で得ているため、図7のようにゼロバーストがディテクタに光があたらない場所と一致した場合、ピークは全て失われることになります。

Figure 7: Alignment of the Zero Burst for Broadband Signals
図7: 広帯域光源でのゼロバーストがパルスと一致した場合(青い曲線)と、OPDがゼロのところで光がディテクタに届かない場合(赤い曲線)のそれぞれで測定されたインターフェログラム(左)と対応するスペクトル(右)。

 

Figure 8: Femtosecond Pulsed Laser Spectrum
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図8: (上)広帯域のフェムト秒レーザから取得したインターフェログラムの中央部分。 (下)OSA201Cを用いて取得したスペクトル(赤線)の測定値、および走査型回折格子ベースのOSAを用いて取得したリファレンススペクトル(青線)の測定値。

フェムト秒パルスレーザ
OSA201Cを用いて、広帯域のフェムト秒レーザ(OCTAVIUS-85M-HP)のスペクトルを測定しました。このレーザの繰返し周波数は85 MHz、パルス幅は10 fs、ファイバに入射する平均パワーは300 µWです。 OSAの設定は、低分解能、高感度、スペクトル平均5回、アポディゼーション無しとしました。レーザからの出力光はOSAに接続されたパッチケーブルSM600(NA 0.12、680 nmでのモードフィールド径 4.6 µm)を用いて集光されます。

図8はデータ取得中に得られたインターフェログラムを示していますが、信号の無いスロットは現れていません。レーザの繰返し周波数85 MHzはOSAのディテクタの帯域幅40 kHzを大きく超えているため、これは期待された通りの結果です。さらに、このOSAで測定されたスペクトルは、回折格子型のOSAで得られた参照用のスペクトルとも大変良く一致しています。この参照用のスペクトルは、各波長において適切な信号が得られるよう、ゆっくりと走査して測定されたものです。

Item #Frequency RangeLevel Sensitivity
(Click for Graph)a
OSA207C833 - 10 000 cm-1
(12.0 - 1.0 µm)
Absolute Power Graph
Absolute Power


Power Density Graph
Power Density
OSA205C1786 - 10 000 cm-1
(5.6 - 1.0 µm)
OSA203C3846 - 10 000 cm-1
(2.6 - 1.0 µm)
  • Level Sensitivity(感度レベル)はノイズフロアの大きさで表され、その値が小さいほど優れた検出感度を有することを示します。よって分析したい物質に対して最も小さな感度レベルを有するOSAを選択することをお勧めします。
Hose Connections
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OSAキャビティをパージするためのホース接続部

光スペクトラムアナライザを用いたガスの検出および識別

光スペクトラムアナライザは、多数のガスが特徴的に吸収される中赤外域(MIR)を含むスペクトル領域での検出が可能です(右の表参照)。 さらに、全てのOSAに付属するソフトウェアは、分光分野で基準となっているHITRANデータベースファイルをサポートしています。 このファイルは測定された微量のガスを識別するのに利用できます。 複数の検体に同時に対応可能で、また、干渉計キャビティをトレースガスでパージする際に用いるホース接続部(当社のドライエアサーキュレーターユニットに対応しています)があるため、自作のガス検出システムに組み込みやすくなっております。

 

実験セットアップ
ガス検出のセットアップは、下の写真でご覧いただけます。 安定化光源より発光された広帯域の中赤外光は、フッ化ジルコニウム(ZrF4)ファイバ(1)から空間に出力、コリメートされ、試料チャンバ内にガス検体が入ったマルチパスセル(2)に送られます。 チャンバの両端は、透明で気密性のある窓によって密閉されています。 チャンバの両側に付いている金製のミラーが多重反射を発生させることで、測定感度が上がります。光源に近い方のミラーの中央には穴が開いており、これが チャンバに光が入射および出射するための光路となります。 検出システムから出射した光は、長焦点距離レンズによってコリメートされ、D型ミラーで反射されて、OSA203C(3)の自由空間ポートに入ります。 チャンバ内の温度は上昇後、測定中にガスの吸収線が変動しないよう一定に保たれます。

Gas Detection Setup
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OSA203Cを使用したガス検出システム。チャンバ内部に密閉されたガスの検出感度を高めるため、試料チャンバにマルチパスセルが構成されています(2)。
実験セットアップの使用部品(インチ規格)一覧
(ミリ規格の部品一覧はこちらからご覧いただけますa。)
Item #Qty.Description
Light Source 1
SLS202L1Stabilized Fiber-Coupled Light Source, 450 nm - 5.5 µm
(Not Shown)
FB2000-5001Ø1" Bandpass Filter, 2.0 µm CWL, 0.5 µm FWHM (Not Shown)
MZ21L11ZrF4 Multimode Fiber Patch Cable, SMA905 Connectors
F028SMA-20001SMA905 Fiber Collimator, AR Coated: 1.8 - 3.0 µm
POLARIS-K11Polaris™ Ø1" Kinematic Mirror Mount
AD11NT1Unthreaded Adapter for Ø11 mm Cylindrical Components
Detection 3
OSA203C1Optical Spectrum Analyzer, 1.0 - 2.6 µm
TC2002Temperature Controller
MB1218112" x 18" Aluminum Breadboard
CF125C3Clamping Fork with Captive Screw
Other Optomechanics
RS26Ø1" Pillar Post, Length = 2"
RS31Ø1" Pillar Post, Length = 3"
RS42Ø1" Pillar Post, Length = 4"
BA2F9Flexure Clamping Base
実験セットアップの使用部品(インチ規格)一覧
(ミリ規格の部品一覧はこちらからご覧いただけますa。)
Item #Qty.Description
Beam Path Into and Out of Multipass Cell 2
LB43741Uncoated, Ø1", f = 1000 mm Bi-Convex UV Fused Silica Lens
CP331Post-Mountable, SM1-Threaded Cage Plate for Ø1" Optics
CM750-200-M012Ø75 mm, f = 200 mm Protected Gold Concave Mirror
(One Mirror Contains a Center Hole, Similar
to Our Herriott Cell Mirrors)
KS32Kinematic Mount for Ø3" Mirrors
VPCH5122Ø2.75" CF Flange with CaF2 Window, 180 nm - 8.0 µm
N/A1Sample Chamber
C15131Kinematic V-Clamp Mount
PM42Clamping Arm
(One Clamping Arm is Included with Each C1513 Mount)
P61Ø1.5" Mounting Post, Length = 6"
PB21Base for Ø1.5" Mounting Posts
PFD10-03-M0111" Protected Gold D-Shaped Pickoff Mirror
KM100D1Kinematic Mount for 1" D-Shaped Pickoff Mirrors
MB62416" x 24" Aluminum Breadboard
  • リンク先のエクセル内、ミリ規格部品一覧(Metric Item #)では、温度コントローラの型番はTC200-ECとなっておりますが、日本国内のお客様にはTC200をご提供しております。

 

測定されたスペクトルのピーク同定
実験用のスペクトルが取得できたら、左下の図のように、試料チャンバ内にあると推測されるガスまたはガス混合体を選択します。 推測するガス種の選択数に上限はありませんが、より少なく選択した方が特定しやすくなります。 OSAソフトウェアには、アセチレン(C2H2)、水蒸気(H2O)、二酸化炭素(CO2)に関するHITRANの詳細なリファレンスが付属しており、追加のリファレンスをHITRANデータベースからダウンロードすることも可能です。 OSAのファイルフォーマットに既に保存されているスペクトルも、リファレンスとして利用できます。 詳細は、OSAマニュアル内の「リファレンス(References)」の章をご覧ください。

測定結果を説明するために、リファレンススペクトルを波長スペクトルに変換することも可能です。 ガス混合体の場合(つまり、2つ以上のリファレンススペクトルを用いてフィットさせる場合)、ソフトウェアは測定されたスペクトルを再現するために各リ ファレンスの強度を調整します。 右下の写真のように、フィットのアウトプットは測定されたスペクトル、使用した(もしくは変換された)リファレンススペクトル、およびリファレンススペク トルの合計に関して、比較表示します。

Selecting Gas Species for a Fit
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リファレンスフィット(Reference Fit)設定タブ内で、チェックボックスはどのガスがフィットするかを示すために利用されます。 吸収線は、fixedまたはfreeのどちらかで、後者の場合、ソフトウェアはリファレンススペクトルを波長に変換することができます。 HITRANリファレンスの測定条件も表示されています。
Fit Results
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「Reference Fit」内の「Result」タブでは、フィットしたスペクトルが測定されたスペクトルと同時に表示されます。 フィットしたスペクトルは、強度調整されたリファレンススペクトルの合計です。 それぞれのガスのリファレンススペクトルも同様に表示されます。

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