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MEMS型可変形状ミラー![]()
DM140A-35-UM01 12 x 12 Actuator Array MEMS Deformable Mirror Schematic ![]() Please Wait 特長
Boston Micromachines社との提携により、当社では光学制御用途に適したMulti-DMタイプのMEMS型可変形状ミラーをご提供しています。 システムへの組み込みや取り付けを容易にするために、可変形状ミラー、ドライバ、制御ソフトウェアをパッケージとしてご提供しています。 ミラーは高度な波面歪み修正を行うために変形します(可変形状ミラーが補正できる収差についての詳細は「収差の種類」タブをご参照ください)。 MEMS型の可変形状方式は、その多様性や技術の完成度および高分解な波面補償能力のため、波面成形の用途で現在最も広く使われている技術です。 当社の可変形状ミラー(DM)は、ポリシリコン基板を微細加工して製造されています。パッケージは取扱いがし易い形態となっており、精密な収差補償を可能とします。 ミラーは、それぞれ個別に制御可能な140個の静電アクチュエータ(Multi-DM:12×12のアクチュエーターアレイにおいて 4隅のアクチュエータが不活性)によって変形するミラー膜で構成されています。 これらのアクチュエータは狭い領域でも3.5 μmのストロークを実現できます。 さらに、Boston Micromachines社を通して、1020個のアクチュエータ(Kilo-DM:32×32のアクチュエータアレイにおいて、4隅のアクチュエータが不活性)を有するKilo-DMのご提供も可能です。 このKilo-DMの可変形状ミラーアクチュエータは1.5 µmのストロークが実現可能です。 ピエゾ素子付き可変形状ミラーとは異なり、静電アクチュエータを使用するこれらの可変形状ミラーはヒステリシスなしで変形できます。 ![]() 可変形状ミラーの電気インターフェイス Multi-DMおよびKilo-DMのミラーは、金またはアルミニウムコーティング付きでご提供いたします。 ミラーは、 400~1100 nmの反射防止(AR)コーティング付きの 6°ウェッジウィンドウにより保護されています。 反射防止コーティング特性の詳細については「グラフ」タブ内をご参照ください。 異なるコーティング範囲をご希望の場合は当社までお問い合わせください。 可変形状ミラーは天文学でよく使用されていますが、小型で精密波面制御可能なデバイスなので、ビーム成形、顕微鏡、レーザ通信、網膜イメージングの用途でも使用されています。 補償光学 これらのシステムは、従来、天文学分野や米国防総省のコミュニティで利用されてきましたが、今後は光の位相制御を必要とする幅広い分野で活用されていくと考えられています。 今日ではすでにフェムト秒パルスシェーピング、顕微鏡、レーザ通信、視力矯正、網膜イメージングなど数多くの分野で利用されています。
コーティング特性下のグラフは、保護ウィンドウがない場合のアルミニウムおよび金コーティングの典型的な反射率特性、ならびに6°の保護ウェッジウィンドウのARコーティング特性を示しています。 アルミニウムと金のコーティング特性は、無偏光ビームを45°で入射した場合に得られたものです。 ![]() Click to Enlarge 金属コーティング付きミラーの反射率 ![]() Click to Enlarge ARコーティング付き6°ウェッジウィンドウの反射率 アクチュエータの変位左下のグラフは、入力電圧に対するアクチュエータ単体の変位および4 x 4のアクチュエータ領域における変位の典型値を示しています。 このグラフ情報は、それぞれの可変形状ミラーに付属するデータシート内に含まれています。 各点の設定には多項式フィッティングにより得られた式をベース行われ、その係数は各ミラーに付属するデータシートに記されています。 右下のグラフは、様々なゼルニケ係数における、波面歪み振幅のPeak-to-Valley値に対するミラーの形状誤差を示しています。 ![]() Click to Enlarge 電圧に対するアクチュエータの変位および4 x 4のアクチュエータ領域における変位の典型値 ![]() Click to Enlarge 様々なゼルニケ関数における、それぞれの波面歪み振幅に対するミラーの形状の残留誤差 光学的イメージ形成システムでは、1つの点光源に対して1つの像点が生成されることが理想です。このガウシアン光学(近軸光学または1次光学ともいう)の理想形からの逸脱が収差であり、収差は大きく分けて2種類あります。1つは単色収差で、もう1つは色収差(複数の波長が存在する)です。収差が存在する場合は、ピーク強度が減少し、ターゲットに到達する画像やレーザービームにボケが生じます。下記では7種類の主な収差を説明していますが、5つは単色収差で、残りの2つは色収差です。可変形状ミラーは、波面から全ての種類の単色収差を取り除くことが可能で、回折限界性能を持つ光学素子が光学系に用いられない場合においても、理想的な回折限界の画像を生成します。 単色収差単色収差には、主な収差が5種類があり、さらに画像を劣化させる収差(球面収差、コマ収差、非点収差)と、画像を歪ませる収差(像面湾曲と歪曲)の2つのサブグループに分類させることができます。これらの収差は、光線が主軸に対し小さな角をなすことを仮定する1次理論(sinθ≈θ)から逸脱した直接的な結果です。sinθ≈θのステートメントは近軸光学の基礎を形成するものですが、レンズ周縁部への入射光においては、このステートメントは有効ではなく、下記展開式の他の項も考慮する必要が出てきます。 5つの単色収差を最初に研究したLudwig von Seidel氏により、これらの収差をザイデル収差(Seidel Aberrations)とも呼びます。sinθの展開は、無限和であるので、収差は下記で言及されている5つの単色収差に限定されるものではなく、他にも画像劣化への影響は比較的小さいながらも、さらに高次の収差があることは念頭に置いておく必要があります。可変形状ミラーでは表面形状を変えることができるので、このような種類の単色収差には全て対応できるようになります。 入射する平行光線にとって理想的なレンズは、図1aにあるように光軸上に焦点を結ぶもので、理想的な条件下において光軸上の点光源の像は、薄い円環に囲まれ た明るい円盤状になります図1bで図示されている像で、エアリー回折パターンと呼ばれます。しかしながら、実際には球面状の凸レンズの光軸から遠い位置で入射した光は、光軸に近い位置で入射した光と比べてレンズに近い位置で収束します(図1c)。結果的に、光は単一の焦点に収束することができずに、画像はぼやけてしまい、殆どの光が中心の明るい円形の領域に集中するエアリー回折パターンは生成されず、球面収差が中心の円盤状の領域から周囲の円環へと一部の光が散らばるので(図1d)、画像のコントラスト比が小さくなります。球面収差が生じる場合、非補正のレンズにとって最適な焦点は、周縁部と近軸光線の焦点面の間となります。なお、球面収差は点光源が光軸上にある状況でのみ起こる点にご留意ください。 図1. 理想的な状況と球面収差が生じた状況の比較 a)理想的なレンズでは、全ての入射光が1点に収束されます b)点光源に対して理想的なレンズが使用されると、エアリー回折パターンが生じて中心の明るい領域を囲むように同心円の円環が生じますc)実際のレンズでは、レンズの周縁部の入射光は、レンズ中心部の入射光と比較して大きく屈折するので、全ての入射光が1点で収束することはありません d)球面収差は中心の明るい領域から周囲の同心円状の円環に光の一部が散らばるので、分解能が劣化します。 コマ或いはコマ収差は、点光源の像を劣化させる収差で、点光源がわずかでも光軸外にずれた時に発生します。光軸外の光がレンズに入射するとき、光のレンズ上の入射位置によって光の屈折量は異なります(図2a)。結果的に各光の環帯は、像面上に少しずつ異なる高さとスポットサイズで焦点を結び(図2b)、横方向への拡大倍率が異なる結果となります。点光源の像は、上の図1bのエアリー回折パターンとは大きく異なる図2cのような複雑で非対称の回折パターンとなります。この像では中心が明るく、三角形のフレアがあります。コマ収差の「コマ」は、このような長い光の尾を持った彗星(コメット)のような形状に由来しているといわれています。コマ収差がマイナスかプラスかによって、その光の尾が光軸に向かって出るか、その反対の方向に出るかが決まります。コマ収差は、像に非対称を引き起こすので、多くの場合、最も悪い種類の収差と考えられています。 図2. プラス方向のコマ収差の図解です a)光源が軸外で、レンズの多くの部分で像面上の同1点に向けて光が屈折しない状態 b)レンズの中心領域が円錐の頂点で点像を形成し、レンズ周縁部のより大きな円環は、光軸から遠いコマ円環として生成されます c)コマ収差は、斑点とアークが引き伸ばされたような複雑で非対称の彗星に似た形状の回折パターンを生じさせます。なお、この回折パターンでは、球面収差の影響はないこととしています。 非点収差は、コマ収差と同様に、点光源が光軸から離れた位置にあるときに生じます。このような条件下では、光の入射円錐はレンズに斜めに入射し、2つの基本曲率で表される屈折波面により、2つの異なる集光点が生じます。図3aで見られるように、タンジェンシャル面正接面(メリディオナル子午面ともよばれます)と、サジタル面矢状面がありますが、タンジェンシャル面は主光線(点光源が発するレンズ中心を通る光線)と光軸で決定され、サジタル面は、主光線を含むタンジェンシャル面に対して垂直な面です。図3aでは、主光線に加え、さらに2つの軸外の光線が図示されています。1つの光線はタンジェンシャル面を通り、もう1つの光線はサジタル面を通っています。複雑で複数の素子を含むレンズシステムの場合(顕微鏡用対物レンズやASOMシステムなど)では、タンジェンシャル面はそのシステムの端から端にわたって単一面ですが、通常はレンズシステムの中の様々な種類の部品が主光線の伝搬方向を変化させるので、サジタル面の傾きは、そのレンズシステム内で変化することになります。その結果、一般的には、これらの面ごとに焦点距離が異なることとなります(図 3b参照)。サジタル面の焦点とタンジェンシャル面の集光点が一致している場合においては、点光源はレンズの軸上にあり、非点収差は存在しないということになります。しかしながら、非点収差の度合いが大きい場合は、この2つの焦点間の距離は増大し、画像の輪郭がぼやけることになります。理想的には点画像が生成される場合において非点収差があると、ぼやけて複雑な一方向に伸びた回折パターンが生じて線のような像が得られることになります(図 3cと3d参照)。 図3.球面収差とコマ収差の影響を省いた非点収差の影響が図示されています。a)タンジェンシャル面とサジタル面が図示されています b)タンジェンシャル面上の光線と、サジタル面上の光線の屈折率は異なるので、2つの異なる焦点面が生成されます。それぞれタンジェンシャル焦点とサジタル焦点とよばれます c)タンジェンシャル面での点光源のエアリー回折パターン d)サジタル面上での点光源のエアリー回折パターン 殆どの光学システムでは、像は平面に生成される必要があります。しかし現実には、軸外収差がないレンズは、ペッツヴァル局面とよばれる曲面に結像します。ぺッツヴァル曲率とよばれるこの表面上の曲面は、レンズの半径の逆数と一致します。正レンズにおいて、曲面は光源面に向けて湾曲しており、負レンズにおいて曲面は光源面にから遠ざかるように湾曲しています。像面湾曲収差は、本来曲面上に生成されている画像を無理に平面上に映し出そうとすることが原因で生じます。像面湾曲がある場合、画像の中心と周縁部の両方においてシャープな画像を得ることは不可能です。焦点面がペッツヴァル曲線の頂点(図4における位置A)に移動すると、画像の中心部分にピントが合って周縁部がぼけるので、外側の画像詳細の判別が不可能になります。これとは逆に、焦点面がペッツヴァル曲線の外縁部(図4における位置B)に移動すると、反対の結果が得られます。つまり画像の周縁部にピントが合って中心部がぼけるわけです。このように極端な画像となることを避けるために最適な妥協案は、像面をペッツヴァル曲線の頂点と周縁部の中間のどこかに設定することですが、いずれの位置であっても画像が視野内全部でシャープ且つはっきりした画像を得ることはできません。 図4.点光源が軸外にあることで発生する像面湾曲の原因は、理想的な画像が近軸面ではなく、ペッツヴァル曲面と呼ばれる放物線状の曲面に生成されるからです。 a)光軸上のいずれかの位置に焦点面を設定することで、視野内の画像の中心部(位置Aの場合)か周縁部(位置Bの場合)のどちらかにピントを合わせることは可能ですが、両方にピントを合わせることはできません。b)像面が位置Aにある時には、画像中心部がはっきりと見えます c)像面が位置Bにある時には、画像周縁部がはっきりと見えます。 5つめのザイデル収差が歪曲収差です。この収差には各点では焦点がきっちりと合っていても画像全体が歪むという特徴があり、他の全ての単色収差がないときに簡単に識別できる収差です。通常のレンズの異なる場所では、焦点距離や拡大率が異なりますが、歪曲収差はその影響で生じます。レンズシステムで歪曲収差が存在しない時、結像は対象物の完全な相似形となります(図5b参照)。しかしながらこの収差が生じるとき、軸外点は像側において通常より遠く又は近い距離で投影され、それぞれ糸巻型(ピンクッション型)の画像(図5a参照)、または樽型の画像になります(図5c参照)。 図5.他の収差の影響を省いた、歪曲収差の影響が図示されています a)像が伸びて糸巻型(ピンクッション型)の歪曲収差画像が生じるのは、軸方向距離が長いことに対応してレンズの横方向の拡大率が増加する時です。この時画像の各点は、放射状に中心から外側に投影される傾向があり、各点が中心から遠い距離にあるほど本来あるべき位置から最もずれることになりますb)歪曲収差が存在しない時、画像は対象物体と完全な相似性がありますc)像が縮んで樽型の歪曲収差画像が生じるのは、軸方向距離が長いことに対応してレンズの横方向の拡大率が縮小する時です。この時画像の各点は、放射状に中心に向けて内側に投影される傾向があり、糸巻型の場合と同様に、各点が中心から遠い距離にあるほど、本来あるべき位置から最もずれることになります。 色収差上で説明した全ての単色収差は、当社の補償光学キットに含まれている可変形状ミラーを使うことで補正できます。しかしながら、広帯域光源を使用する際は、色収 差が発生する場合があります。色収差は可変形状ミラーでは補正はできないので、この収差ついては簡単な説明に留めます。色収差には2種類あり(横収差と縦収差)、これは入射光の波長によってレンズにおける屈折率が異なることが原因で起こります。青色光の方が赤色光より大きく屈折する傾向があるので、レンズは全ての色を同じ焦点に結ぶことができません。この結果、各色について画像サイズや焦点にわずかなバラツキが発生し、画像の周りにハロー(光輪)が生じます。一般的には、ヒトの目はスペクトル中の緑色光に最も敏感であるので、レンズの焦点をその領域に合わせるようにします。この条件下で像面をレンズに近づける(あるいはレンズから遠ざける)と、ぼやけた画像の周縁部は微かに赤み(あるいは青み)を帯びます。 はじめに: 標準的な補償光学システムは、(1)波面センサ(波面の歪を測定する)(2)可変形状ミラー(形を変えられる形状変更可能なミラーで、大きな歪のある波面を補正できる)(3)リアルタイム制御用ソフトウェア(波面センサが集めたデータに基づいて、歪んだ波面の補償に必要な可変形状ミラーの変形形状を計算します)の3つの部品から構成されます。これら3つの構成部品は、閉ループ方式で作動します。これは、AOシステムによるいかなる変化も、AOシステム自身が検知できることを意味しています。この閉ループシステムは、原理的には基本的にシンプルで、位相を対象となる光波面の位置の関数として測定し、収差を検知し、補正を計算して、可変形状ミラーを変形させて、補正結果を調べます。さらに、位相収差が時間と共に変化するようであれば、必要に応じてこのプロセスは何度も繰り返されます。この手順をふむことで、補償光学システムは、投影された光の波面から収差を取り除いて、光学分解能を向上させることができます。 波面センサ: シャックハルトマン型波面センサは、マイクロレンズアレイを使って入射光を多数の小さなビームに分割します。分割後の各ビームは、マイクロレンズアレイの焦点面に位置決めされたCCDカメラ上に結像されます。均一な平面波がシャックハルトマン型波面センサに入射する時(図1参照)、焦点は各マイクロレンズの光軸上に位置することになり、焦点面上の等間隔のグリッド中に規則正しい点として並びます。しかし、歪みのある波面の場合(全ての平面ではない波面)、焦点は各マイクロレンズの光軸から外れて位置することになります。各点の中心からのズレは、各マイクロレンズの位置での波面の局所傾斜(ティルト)に比例します。したがって、波面位相は、測定して得られた点のズレの数値から(定数の範囲内で)再形成することができます(図2を参照)。 図1. 平面波がシャッ クハルトマン型波面センサのマイクロレンズアレイに入射する時、CCDセンサ上の結像スポットは、等間隔のグリッド中に規則正しい点として並びます。しかし、歪みのある波面の場合、各点は各マイクロレンズの光軸から外れて位置することになります。歪みが大きいと、結像スポットがグリッド内から外れるほどズレる場合があります。このデータで、マイクロレンズアレイに入射した波面形状を計算することが可能になります。 図2. 上の2つの図はそれぞれシャックハルトマン型波面センサを用いて取得した画面です。1つはスポットフィールド(左側)で、もう1つはこのスポット位置データを計算して得られた波面(右側)です。 ![]() 図 3. シャックハルトマン型波面センサにおいて、ダイナミックレンジと測定感度は競合する特性です。上記の数式では、fがマイクロレンズの焦点距離、 Δyがスポット変位、そして d がマイクロレンズの直径をあらわしています。測定感度θ min とダイナミックレンジθmax を表す数式は、小角度近似から得られます。θminは波面センサで測定可能な最小波面傾斜です。検出可能な最小のスポット変位がΔymin で表されており、これは、フォトディテクタのピクセルサイズ、重心アルゴリズムの精度やセンサの信号対雑音比などで決まります。θmax は最大波面傾斜ですが、波面センサで測定可能で、マイクロレンズ直径の半分に等しいΔymaxのスポット変位量に対応します。したがって、感度を上げるとダイナミックレンジが減少する、あるいはその逆となります。 シャックハルトマン型波面センサの性能に大きく影響を与える4つのパラメータは、マイクロレンズの数(または通常は約100 ~600 μm の範囲内のマイクロレンズの径)、ダイナミックレンジ、測定感度、そしてマイクロレンズアレイの焦点距離です(通常は数 mmから約30 mm)。マイクロレンズの数によって、ゼルニケ係数の最大数が決まります。ゼルニケ係数では、再構成アルゴリズムで確実に計算可能で、研究によれば元の波面を表すのに使用する係数の最大数は、おおよそマイクロレンズの数と一致します。必要となるマイクロレンズの数を決めるには、モデル化しようとしている歪みの量を考慮する必要があります(真の波面収差を効果的に表わすにはゼルニケ係数がいくつ必要か、など)。測定感度θmin とダイナミックレンジθmaxは、仕様において相反する因子です(図3を参照)。前者は、検出可能な最小位相を決定し、後者は測定可能な最大位相を決定します。 シャックハルトマン型センサの測定精度は、焦点スポットの参照位置に対する実際の位置の変位量を測定できる精度(測定の信頼性の高い最小波面傾斜など)に依存します。なお、この参照位置は、マイクロレンズの光軸上にあります。従来のアルゴリズムでは、スポット同士が部分的に重なってしまった場合やマイクロレンズの焦点スポットがセンサの検知領域外に位置してしまった場合(スポットクロスオーバ)は、スポットの正しい中心値は計算できませんでした。このような問題を克服するために、特別なアルゴリズムを適用することはできますが、その場合、センサのダイナミックレンジを制限することになります(信頼性をもって測定できる最大波面傾斜など)。システムのダイナミックレンジは、直径の大きなマイクロレンズか焦点距離の短いマイクロレンズを使用することで、大きくできます。しかし、マイクロレンズの直径は、必要なゼルニケ係数の数に左右されるので、ダイナミックレンジを増やす他の唯一の方法は、マイクロレンズの焦点距離を短くすることになります。ただし、この場合は測定感度が低下します。適切な選択は、必要とされるダイナミックレンジと測定感度に対応した最長の焦点距離をもったレンズを選ぶことです。 シャックハルトマン型波面センサを用いれば、計算した波面と同時に、強度分布の情報も得ることができます。この2つのデータは、混同しないように留意してください。図4の左側の図が強度分布のサンプルで、右側の図がそれに対応した波面プロファイルです。様々な波形の関数の分布から、同じ強度プロファイルが得られる場合があります。 図4. シャックハルトマン型波面センサでは、各マイクロレンズでのパワーや計算によって得られる波面分布など、いくつかの情報が得られます。上記の左の図はサンプルの強度分布で、右の図はそれに対応した波面です。 可変形状ミラー: 図5. フラットなミラーとMEMS可変形状ミラーの補償効果を図示しています。(a)収差のない波面がフラットなミラー表面に入射すると、反射後も波面には収差が生じません。(b) フラットなミラーでは、波面の変形を全く補正できないので、入射した光の収差が大きい場合、反射後も収差が生じた状態です。(c) MEMS可変形状ミラーは収差を補償するために表面を変形させることができます。DMは収差に対応した適切な形状に変化し、収差の大きい入射光の波面を補正できるので、反射後の光線には収差がありません。 図6.BMCの連続型(左)とセグメント型(右)のMEMS可変形状ミラーの断面図で、主な構成部品を図示しています。 特定の可変形状ミラー(DM)で修正できる波面範囲は、アクチュエータのストロークと分解能(アクチュエータの数と分布)、そしてDMに適した制御信号の決定に用いられるモデルで決定します。上記のはじめの2つの条件は、DM自体の物理的条件ですが、最後の条件は制御ソフトウェアに起因する条件です。アクチュエーターストロークは、DMアクチュエータのダイナミックレンジ(最大変位量)と言い換えられ、通常はμm単位で表記されます。アクチュエーターストロークが不適切な場合、性能が低下し、制御ループの収束を妨げる場合があります。 ミラー補正の自由度は、アクチュエータの数によって決まります。正方形、三角形、六角形等、様々なアクチュエーターアレイ形状が提唱されてきましたが、殆どのDMには正方形のアクチュエーターアレイが使われています。これは、直交直線座標上で位置決めが容易で、波面センサの正方形の検出アレイと対応させやすいからです。なお正方形のアレイを円形の開口部にあわせる為に、四隅のアクチュエータを取り外す場合があります。(例えば、AOK1-UM01や AOK1-UP01に含まれている可変形状ミラーのアクチュエータ構成は12 x 12となっていますが、四隅のアクチュエータが使用されていないので、アクチュエータの数はそれを差し引いた数で140個となります。他の構成を用いれば、規定面積に対してさらに多い数のアクチュエータを配置することはできますが、製造工程が複雑になるので、通常はこのようなアクチュエータの追加は実施されません。 図7. DMの表面上に十字型のパターンがあります。これはこのアレイの真ん中を上下に走る2列と左右に走る2列のアクチュエータ(計44個)を最大限にたわませるのに必要な電圧を印加してつくられました。 左側の画像は、AOキットソフトウェアの画面でDM表面を画像化したものです。一方で右側の画像は、準暗視野照明で得られたもので、前述の設定がプログラミングされた時の実際のDMの表面です。なお、写真の右下角にあるのは、照明用の白色光です。 図7(左の枠内)にあるのは、補償光学キットに含まれる可変形状ミラーの12 x 12のアクチュエーターアレイが形作っている十字形です。このような形になっているのは、ミラーメンブレン上に完全なたわみが生じるように、中央に位置している横2列、縦2列のアクチュエータに電圧が印加されているからです。DM表面を示すソフトウェアが生成した画像に加えて、同じプログラム条件で、準暗視野照明を使用して、実際の可変形状ミラー表面を撮影した写真が右側にあります(図7)。 制御用ソフトウェア: 制御ソフトウェアは、基本的にはスポットフィールドの変位を利用して光線の位相を再構成し(この場合はゼルニケ多項式を用います)、それに対応したコマンドをDMに送出します。有効なゼルニケ多項式のデータを出力するために、最小二乗法による近似が適用されています。これが唯一の方法ではありませんが、ゼルニケ多項式は光線の位相を表現する便利な方法です。これらの多項式は、単位円上に焦点、ティルト、非点収差やコマ収差などを表す異なる光の直交基底を構成します。多項式は正規化されるので、各項の最大値(ピストンの項は除く)は+1、最小値は-1となり、表面全体の平均値は常にゼロとなります。また、2つの異なる収差が組み合わさって新しい収差が生じることは決してないので、存在する収差がどの種類であるかは常に明らかです。
![]() 可変形状ミラーの電気インターフェイス 選択する際の検討事項収差を補正して、平坦な波面を実現するためには、可変形状ミラーの表面形状が収差プロファイルにフィットし、また、収差振幅の半分であるのが適切です。 ただし、以下の要因により、可変形状ミラーが実際に補正できる波面の範囲は制限されます。
上記の要因のうちの初めの3つは可変形状ミラー自体の物理的な制限によるものですが、最後の要因であるスピードについては、制御ソフトウェアとミラー自体の物理的な制限の両方またはそのどちらかによるものです。 また、可変形状ミラーコーティングとミラーヘッドに取り付けられた保護ウィンドウの波長範囲は、用途に適している必要があります。 比較当社のピエゾ素子型可変形状ミラーはストロークが大きいため、MEMS型可変形状ミラーと比べてより大きい波面偏差を修正可能です。 しかし、ミラー内のアクチュエータの密度が下記掲載のMEMS型のMulti-DM(可変形状ミラー)より低いため、Multi-DMほどの細かな空間スケールの波面偏差を補正することはできません。 大きな振幅と小さな空間スケールの波面歪みの両方を補正する場合には、ピエゾ素子型とMEMS型を連携させて使用することをご検討ください。これは 論文で ウーファーツイータ構成として一般的です。 ピエゾ素子型可変形状ミラーは、チップ、チルト、ならびに低次(低空間周波数)の 波面歪みを補正し、MEMS型可変形状ミラーは、高次(高空間周波数)の波面歪みを補正します。 一般的に、低次の波面歪みの大きさは高次の波面歪みよりも大きくなっています。 したがって、アクチュエータ数が少なく変位量の大きいピエゾ素子型可変形状ミラーと、アクチュエータ数が多く変位量の小さいMEMS型可変形状ミラーの組合せは、ウーファーツイータ構成への利用に適しています。
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