飽和吸収分光システム

- Ideal for Laser Locking or Teaching Labs
- Rubidium or Potassium Vapor Cells Available Separately
SKSAS
(Breadboard Sold Separately)
GC25075-RB
Rubidium Vapor Cell
See the SA Spectroscopy Tab for Measurement Details

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Spectroscopy Systems Selection Guide |
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Dichroic Atomic Vapor Spectroscopy (DAVS) Systems |
Saturated Absorption Spectroscopy (SAS) Systems |
Specifications | |
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Required Input Power | ~500 µW |
Input Fiber Termination* | FC/PC |
Detector Bandwidth | 1 MHz |
Detector Output Range | ±10 V |
Reference Cell Temperature (Max.) | 50 °C |
*ほかのファイバーコネクタでもご提供可能です。詳細は当社までお問い合わせください。
特長
- 飽和吸収分光システム、原子遷移線へのレーザ周波数安定化用
- 偏波保持ファイバ結合型のセットアップ
- レーザ周波数の安定化や教育実験用に適した製品
飽和吸収分光用キットSKSAS/Mは、コンパクトなファイバ結合型の飽和吸収分光法(SAS)のセットアップを構築するためのキット一式です。これを用いると、原子の超微細構造遷移線のピークを参照周波数して、周波数可変レーザの周波数を安定化することができます。また原子の遷移線の超微細構造やドップラ広がりの研究にもご利用いただけます。
このキットは標準品の光学素子やメカニクスに加え、取り付け可能なカスタムコンポーネントを用いて組み立てることができるように設計されています。この設計により、当社のほかのケージシステムやレンズチューブとの組み合わせも容易です。SKSAS/Mに含まれているコンポーネントやサブシステムのリストは「キット内容」タブをご覧ください。
なおこのキットにはガスセル用のヒータは含まれていますが、温度コントローラは別売りになっていますのでご注意ください。また下記のガスセルは日本では販売しておりませんのでご了承ください。ご質問などは当社までお問い合わせください。キットのセル用ヒータのための温度コントローラとしては、当社のヒータ&温度コントローラTC300Bをご利用いただけます。また当社では、ガス吸収分光用ヘリオットセルもご用意しております。
飽和吸収分光法
飽和吸収分光 (SAS)システムは、原子の遷移線の周波数にレーザの周波数を高感度でロックするためのツールにすることができます。原子が光子を吸収(または放出)する際、吸収(または放出)する光子の周波数は、原子の運動に伴ってドップラーシフトします。そのため、原子気体の線形吸収スペクトルを観測したとき、ドップラー広がりにより、一般にその超微細構造スペクトルまで見ることはできません。これに対して、飽和吸収分光法を用いると超微細構造スペクトルを観測することができるようになり、それを利用してレーザ周波数を狭い帯域内にロックすることができます。飽和吸収分光法 (SAS)の詳細は「飽和吸収分光法とは」タブをご覧ください。
カスタマイズについて
当社の分光キットは、ユーザ側でフィードバック機構をご用意いただければ、ほとんどの波長可変レーザにご利用いただけます。標準品の分光キットは、レーザ光を偏波保持ファイバから出射するタイプの光源用に設計されていますが、自由空間光を入射できるキットもご提供可能です。カスタマイズについては当社にお問い合わせください。
飽和吸収分光 (SAS)用キットの内容
当社の飽和吸収分光 (SAS)用キットには、以下のサブシステムが含まれています(ブレッドボードは別売りです)。
セットアップ全体は250 mm x 300 mmのブレッドボード(型番MB2530/M、別売り) 1枚に収まります。Table 2.1ですべてのコンポーネントのリストをご覧いただけます。
Table 2.1 SKSAS(/M) Kit Components |
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レーザ光入射用ファイバ結合部と1/2波長板
ファイバ結合部はファイバーコリメータF220FC-780とケージシステムのコンポーネントで構成されています。コリメータはFC/PCコネクタ付き偏波保持ファイバ(別売り)からの入射光をコリメートします。ルビジウム用には、パッチケーブルP1-780PM-FC-5のご使用を推奨します。自由空間光を入射したい場合は、当社までご連絡いただければ、ファイバーコリメータや取付け機構を含まないキットの見積もりを致します。
入射光がコリメートされると、1/2波長板WPMH05M-780を通過します。この波長板により、励起(ポンプ)光とプローブ光の相対強度を調整することができ、これはキットのアライメント調整を行うときにも有用です。
入射部プリズムアセンブリ
入射部プリズムアセンブリは、特別に設計された取付けプラットフォームアクセサリを用いて、キネマティックマウントKM100PM上に構築されています。直角プリズムミラーMRA10-M01、分岐比50:50の無偏光ビームスプリッタBS011、および偏光ビームスプリッタPBS102の3つのプリズムが、取付けプラットフォーム上に接着剤で固定されます。
偏光ビームスプリッタは、入射光を励起(ポンプ)光とプローブ光に分岐します。各ビームへのパワーの分割比は、1/2波長板(上記のファイバ結合部アセンブリの一部)を用いて調整できます。分岐比50:50の無偏光ビームスプリッタは入射光の一部を分岐し、ドップラー広がりを伴う線形吸収スペクトルを測定するためのビーム(参照用)として使用します。
ガスセル用ヒータ
キットに付属しているヒーターアセンブリGCH25-75は、長さ75 mmのØ9 mm、Ø19 mm、またはØ25 mmのガスセルを保持できるように設計されています。なお、SKSAS/Mには、GCH25-75用の温度コントローラは含まれておりませんのでご注意ください。また、下記のガスセルは日本では販売しておりませんのでご了承ください。キットのセル用ヒータにお使いいただける温度コントローラとして、ヒータ&温度コントローラTC300Bを別売りでご提供しております。
出射部プリズムアセンブリ
出射部プリズムアセンブリの構造は入射部プリズムアセンブリに似ており、KM100PMにカスタム仕様の取付けプラットフォームが取り付けられています。2つの直角プリズムミラーMRA10-M01と1つの偏光ビームスプリッタPBS102の合計3つのプリズムが、プラットフォーム上に接着剤で固定されています。
偏光ビームスプリッタは、セル内をプローブ光と逆方向に伝搬するように励起光を反射します。2つの直角プリズムミラーは、プローブ光と参照光を反射して差分ディテクタで検出できるように設計されています。システム内のビーム経路図を、下記の「励起(ポンプ)レーザ光用ミラー、折り返しミラー、差分ディテクタ」のセクションで示します。

励起(ポンプ)レーザ光用ミラー、折り返しミラー、差分ディテクタ
入射部プリズムアセンブリと出射部プリズムアセンブリのほかに、Ø12.7 mm(Ø1/2インチ)の4枚の金ミラーPF05-03-M01がマウントKS05/Mに取り付けられています。これらのミラーのうち2枚は、励起(ポンプ)光をプローブ光と逆方向に伝搬させ、飽和分光によるドップラーフリースペクトルを生成するために使用されます。残りの2枚のミラーは、プローブ光と参照光を差分ディテクタの2つのフォトダイオードに入射させるために使用されます。これら4枚のミラーの機能は、Figure 2.2のビーム経路図でご覧いただけます。
差分ディテクタPDB210Aは3種類の信号を出力します。2つは各フォトダイオードからの信号で、もう1つはこれらの2つの信号の差分です。各検出器からの電圧信号は、システムのアライメントを行うときや、教育用としてスペクトルの特徴を調べるときなどに有用です。一方の差分信号は、レーザの周波数をロックするのに役立ちます。
Figure 3.1 ルビジウムD2線の線形吸収スペクトル(赤色)、およびドップラーフリーの飽和吸収スペクトル(青色)。
飽和吸収分光法とは
飽和吸収分光法の基礎
原子にはそれぞれ光を吸収する幾つかの固有の周波数があり、それらは電子状態の超微細構造により決まります。原子が静止していれば、光が原子のシステムを通過するとき、これらの離散的な遷移周波数f0に一致した光だけが吸収されます。しかし、ある温度の原子気体の場合、原子はマクスウェル・ボルツマンの速度分布に従って運動しています。この分布により、一部の原子は静止していますが、ほかの多くの原子は光の伝播方向に対して様々な速度成分を有する運動をしています。超微細遷移線のピークの1つであるf0の周波数のレーザ光と相互作用するのは、静止している原子のみです。レーザ光の伝搬方向に沿って速度vで移動する原子は、遷移周波数f0に対して速度vの分だけドップラーシフトした周波数f(遷移周波数からオフセットした周波数)のレーザ光とのみ相互作用できます。ルビジウム原子気体におけるこのような吸収の周波数分布は、Figure 3.1の赤線のようになります。
対向して伝搬するレーザ光
ガスセルの中を対向して伝搬する2本のレーザ光を想定します。左(右)へ伝播するf0より低い周波数の光は、右(左)へ移動する原子群とだけ相互作用します。f0より高い周波数のレーザ光は、光の伝播方向と同じ方向に移動する原子とだけ相互作用します。レーザ光の周波数がある値に設定されたとき、対向する2本のレーザ光は、一般にそれぞれ異なる速度を有する異なる原子群と相互作用します。
しかし、レーザ光の周波数がf0の場合、互いに対抗して伝播する2本のレーザ光(励起光とプローブ光)は静止状態の原子としか相互作用できません。したがって、速度ゼロの基底状態にある原子は、まず対向する励起光によって選択的に励起され、それに伴ってプローブ光を吸収する基底状態の原子数も減少します(飽和効果)。このことは、ドップラー広がりのある吸収線に、吸収量の減少を示すディップが現れることで示すことができます。その様子はFigure 3.1の青い線でご覧いただけます。これらのディップは非常に狭いピークを形成し、周波数可変レーザの周波数のロックポイントとして使用することができます。
Figure 3.2 飽和吸収分光(SAS)システムの概略図
Figure 3.3 差分ディテクタからの出力信号。線形吸収スペクトルとドップラーフリースペクトルの差分を示しています。
飽和吸収分光(SAS)システム
飽和吸収分光(SAS)システムの概略図をFigure 3.2に示します。入射ビームは偏光ビームスプリッターキューブで分割されます。それらの光パワーの比は直前の1/2波長板で調整し、透過光4 µW、反射光400 µWに設定します。4 µWのビームはセルを通過し、第2の偏光ビームスプリッタを通過した後、差分ディテクタの一方のポートで検出されます。このビームはプローブ光を呼ばれます。400 µWのビームは2枚のミラーで方向を変え、第2の偏光ビームスプリッタで反射して、プローブ光と逆方向にセル内を伝搬します。これは励起光、ポンプ光、飽和光などと呼ばれます。この逆方向に伝搬する励起光により、前述のようにプローブ光で観測される共鳴状態(基底状態)の原子数が減少します。
分岐比50:50のビームスプリッタからの反射光は第3の参照光になり、ガスセルを通過して差分ディテクタの2つ目のポートで検出されます。差分ディテクタの参照用ポートからは、セルの透過光を直接見た線形吸収信号が得られます。これとドップラーフリーの透過光信号を含むプローブ光信号との差分を取ることで、Figure 3.3のような信号が得られます。この信号ではドップラー広がりの影響が除去され、複数の幅の狭いピークが見えます。これらの信号をレーザの周波数安定化に利用する簡単な1つの方法として、レーザの周波数を原子の遷移周波数の鋭いピークのエッジに対応する周波数にロックする方法があります。このロックする周波数に対応する電圧をV(f0)とします。レーザの周波数がドリフトすると、この差分信号の電圧はFigure 3.3のV(f)で示されるように変化します。 誤差信号Error(f) = V(f0) - V(f)を計算し、フィードバックループを用いてError(f) = 0になるまでレーザの周波数を調整します。この方法で、レーザ周波数を原子の遷移線にロックすることが可能です。
Posted Comments: | |
Joey B.
 (posted 2024-09-02 03:16:43.11) Greetings,
I have a more general question about this kit, I was just wondering if you guys have had anyone modify this set up to make an atomic clock.
If so, could you advise me on how would i go about doing this (thorlab parts and all)?
Thanks, jpolaris
 (posted 2024-09-11 01:26:14.0) Thank you for contacting Thorlabs. Our Saturated Absorption Spectroscopy system (SKSAS) is quite far from what is needed to build an atomic clock. Our Dichroic Atomic Vapor Spectroscopy kit (SKDAV) may be somewhat closer to what is needed, since I believe magnetization of the atoms is required in an atomic clock. I have reached out to you directly to discuss further. Min-Kyo Seo
 (posted 2024-01-16 11:24:13.837) The SKSAS/M kit does not seem to include a tunable laser. In addition, the TLK-L780M tunable laser kit, suggested in the manual, is not continued in stock. I wonder whether tunable laser kits compatible to SKSAM/M with Rb cell exist in the Thorlabs stock. jdelia
 (posted 2024-01-23 08:08:43.0) Thank you for contacting Thorlabs. We unfortunately do not offer anything comparable to the formerly offered tunable laser kits. We will reach out to discuss options for your application. user
 (posted 2019-11-07 16:26:30.673) It's great that you have these tutorials. However, the font sizes are too small.
Please consider increasing your font sizes on your websites overall and especially on the tutorial pages.
Moreover, why not provide these tutorial pages in pdf documents. tcampbell
 (posted 2019-11-15 03:43:09.0) Hello, thank you for contacting Thorlabs. You can enlarge the display on most Internet browsers by pressing CTRL and + or by holding CTRL and using the scroll wheel on your mouse. |


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Figure 365A Borosilicate Glass Transmission
These potassium and rubidium reference cells are compatible with our Spectroscopy Kits. They are fabricated from borosilicate glass, a rugged material known to resist chipping and cracking, and they are tested to ensure that the transmission through the cell exceeds 84% for light in the 350 nm to 2.2 µm range.
MSDS sheets are available and can be found by clicking on the red Docs icon () below.