Oバンド用光増幅器(PDFA)

- Polarization-Insensitive Gain
- Ripple-Free Gain Spectrum
- No Cross-Gain Modulation, Pattern Dependence, or Modulation Format Dependence
PDFA100
Benchtop PDFA
50 Gbaud/s PAM4 Eye Diagram from the PDFA100
See the PDFA vs. SOA Tab for Details
PDFA Module for OEM

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光増幅器PDFA100の典型的な利得スペクトル。性能に関するグラフは「グラフ」タブでご覧いただけます。
OEMに対応可能なPDFAモジュール
製品への組み込み用(OEM用)として、当社ではベンチトップ型のOバンド用光増幅器PDFA100と同等の性能を有するモジュールタイプをご提供いたします。このモジュールを業界標準のシャーシに統合可能です。こちらのパッケージは他のプラットフォームに適合させることができます。100.0 mm x 163.8 mm x 37.6 mmの増幅器モジュールのコアは必要最低限の寸法となっています。
前面パネルは用途に合わせてカスタマイズまたは完全に取り外す事が可能です。背面パネルも同様に、カスタムの電源や通信プロトコルに対応した構成にすることができます。
OEM用モジュール構築についての詳細は当社までお問い合わせください。

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PDFAの動作原理
特長
- 動作波長範囲:1280~1330 nm(Oバンド)
- 小信号利得:>20 dB
- 出力光パワー:>16 dBm
- NF(Noise Figure):<8 dB
- 小さな信号遅延時間
- 定電流モード、定出力モード、定利得モードでの動作が可能
- 通信業界標準の980 nm励起
- 製品への組み込み用途(OEM用途)やカスタマイズにも対応(詳細は当社までお問い合わせください)
応用
- データ通信のためのOバンド信号の伝送
- Oバンド受信機の過負荷試験
- Oバンドでのシリコン(Si)フォトニクスデバイスの増幅
- プリアンプまたはブースターアンプ
当社のプラセオジム添加フッ化物ファイバ増幅器(PDFA)は、高利得(小信号利得:>20 dB)、高出力(>16 dBm)、低NF(noise figure)(<8 dB)といった特長を有し、光ネットワーク内でブースタ増幅器またはプリアンプとしてご使用いただけます。石英内のプラセオジム(Pr)イオンは下位の励起準位に無放射遷移してしまうため、当社では独自のフッ化物ファイバを用いてPDFAを設計・製造しています。Pr添加フッ化物ファイバ(PDF)内での光の放射についての詳細は「PDFの光放射」タブをご覧ください。Oバンド用光増幅器には比較的短いPr添加フッ化物ファイバを用いているため、信号遅延時間は<100 nsです。
ファイバ光増幅器は、半導体光増幅器に比べると、通信信号の増幅に使用したときに大きな利点が現れます。半導体光増幅器の飽和メカニズムとゲインダイナミクスに伴う歪みがPDFAには存在しないため、波長分割多重システム、先進的な変調フォーマット、高データレートでの通信などの増幅用途に適しています。特にPDFAは飽和エネルギが高く、またゲインダイナミクスが遅いため、クロスゲイン変調やパターン依存性などの望ましくない歪みが生じません。PDFAでは、上位準位の寿命が長いためにゲインダイナミックスはパルス形状や変調フォーマットの影響を受けず、隣接するチャンネル間のクロストークは無視できます。PDFAと半導体光増幅器を用いたときのアイパターンの比較については、「PDFAと半導体光増幅器の比較」タブをご覧ください。PDFAの利得スペクトルはリップルが無く平坦なため、多数のチャンネルにわたり均一な利得が得られ、リンクの末端におけるチャンネルのミスマッチが生じません。その結果として得られるクリーンで安定した出力光は、データセンタにおける電力費用を改善するのに適しています。
下図のように、PDFAの主な構成要素はWDM(合波用コンポーネント)、入出力両側のアイソレータ、およびPDFです。合波用コンポーネントは、PDFの前で980 nm励起用半導体レーザとOバンド信号(シグナル)光を合波するのに用いられます。アイソレータは光を一方向にしか伝播させず、後方反射を抑えてレーザ発振を抑制しています。また、入出力両側のアイソレータは、自然放出光が増幅器内に入ったり、励起光がOバンド用光増幅器から出たりするのを防止する役割も果たしています。
各Oバンド用光増幅器はコンパクトなベンチトップ型パッケージに収められており、光入出力部はFC/APC(2.0 mmナローキー)コネクタとなっています。機器の前面パネルには、PDFAの励起レーザへの注入電流を調整するノブが付いています。またディスプレイ画面も付いており、励起レベルや温度および出力光の状態を確認することができます。内部のレーザがアクティブのときには、ENABLEボタンのLEDが点灯します。ENEABLボタンを押すと、LEDが3秒間点滅した後に増幅器の電源がONになります。さらに安全性を高めるために、背面パネルのBNCコネクタにインターロック回路を接続できるようになっています。
PDFAは、日本国内で使用可能な100~240 VACで動作するユニバーサル電源を内蔵しています。また、日本国内対応の電源コードが付属しています。
動作モード
PDFAは、自動電流制御(Automatic Current Control/ACC)、自動パワー制御(Automatic Power Control/APC)、自動利得制御(Automatic Gain Control/AGC)の3つのモードでの動作が可能です。ACCモードではPDFAを一定の励起電流で駆動しますが、その値は前面パネルで操作できます。励起電流レベルを調整することで、利得と出力光パワーを変えることができます。また、このOバンド用光増幅器は出力光パワーを一定とするAPCモード、および増幅器の利得を一定とするAGCモードでも動作できます。なお、この2つの動作モードはコマンドラインインターフェイスを介してのみ操作することができます。PDFAは背面パネルのUSBポートからPCに接続することができます。
コマンドラインインターフェイスは、増幅器のEnable/Disable、ACCモードの電流値設定、ステータスインジケータの読み込みなどもできます。USBインターフェイスを介したインジケータとしては、温度エラー、インターロックの状態、光出力の状態があります。これらの機能についての詳細は、機器のマニュアルをご覧ください。
形状、消費電力、光学特性についてカスタム仕様のPDFAを必要とする場合には、当社までお問い合わせください。当社では、1025~1075 nmで動作するイッテルビウム添加ファイバ増幅器(YDFA)や、1530~1565 nm(Cバンド)で動作するエルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)もご用意しています。
Item # | PDFA100 | |
---|---|---|
Amplifier Specificationsa | ||
Operating Wavelength Rangeb | 1280 - 1330 nm (O-Band) | |
Input Power Range | -30 - 10 dBm | |
Output Power (@ 3 dBm Input Power)c,d | > 16 dBm | |
Small Signal Gain (@ -30 dBm Input Power)c | > 20 dB | |
Noise Figure (@ -30 dBm Input Power)c | < 8 dB | |
Pump Laser | 980 nm, Class 1M | |
Fiber Specifications | ||
Polarization-Dependent Gain | < 0.5 dB | |
Return Loss at Input Port | > 50 dB | |
Input / Output Isolation | > 30 dB | |
Input / Output Fiber Type | Single Mode | |
Input / Output Fiber Connectors | FC/APC Compatible, 2.0 mm Narrow Key |
Absolute Maximum Ratings | |
---|---|
Absolute Maximum Input Power | 10 mW (10 dBm) |
Absolute Maximum Output Power | 150 mW (22 dBm) |
Operating Temperature | 15 to 30 °C |
Storage Temperature | -10 to 40 °C |
General Specifications | |
---|---|
Input Voltage | 100 - 240 VAC, 50 - 60 Hz |
Input Power | 20 W (Max) |
Fuse Rating | 2 A, 250 V |
Fuse Type | Time-Lag (Slow-Blow) |
Fuse Size | 5 mm x 20 mm |
Dimensions (W x D x H) | 250.0 mm x 300.0 mm x 122.2 mm (9.84" x 11.81" x 4.81") |
Weight | 3.4 kg (7.5 lbs) |
性能グラフ
性能はユニットにより異なります。データはPDFAの典型値であり、参考用としてご提示しています。保証された仕様については「仕様」タブをご覧ください。
波長依存性
1310 nmにおける入力パワーおよび励起レベルへの依存性

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一般的な半導体光増幅器の50 Gbaud/sでのアイパターン

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光ファイバ増幅器PDFA100の50 Gbaud/sでのアイパターン
プラセオジム添加フッ化物ファイバ増幅器(PDFA)を型半導体光増幅器と比較したとき、その優れた点の1つはゲインダイナミクスがゆっくりしていることです。通信信号にはランダムなパターンのパルスシーケンスが含まれます。On-Off-Keying(OOK)/Non-Return-to-Zero(NRZ)のシンプルなフォーマットの場合、パルスの振幅は同じですが、パルス幅は伝送するデータの種類によって1ビットの幅(50 Gb/sデータレートにおいては20 ps)から多数のビットの幅まで変化します。その結果、増幅器の利得飽和の時定数がビットの時間幅と同等の場合、増幅器の利得はパターンにより変動することになります。この効果により、増幅器を飽和状態で動作させたときに、非常に歪んだ信号が生成されます。半導体光増幅器のキャリア寿命は一般的に数十ピコ秒であり、飽和状態で動作させたときには、標準的な通信データレートでパターン依存性が見られます。一方のPDFAの上位準位の寿命はミリ秒レベルであるため、そのようなパターン依存性が生じる心配はありません。半導体光増幅器と光ファイバ増幅器の特性の違いは、過去にOOK/Return-to-Zero(RZ)およびOOK/NRZの変調フォーマットを用いた場合について研究が行われています1。信号の歪みは、PAM4などの比較的新しい変調フォーマットではより深刻な問題になります。
上の2つの図は、27-1 PRBS(擬似ランダムビットシーケンス)の50 Gbaud/s PAM4信号を増幅して測定た結果を示しています。使用した増幅器は当社のPDFA100(左)と市販の半導体光増幅器(右)です。増幅器の出力光パワーはどちらも10 dBmに設定し、出力信号は減衰させてから高速フォトディテクタで検出しています。 2つを比較すると、PDFAでは歪みが小さいためにアイパターンが開いているのに対し、半導体光増幅器では飽和ダイナミクスの影響でアイパターンに歪みが生じていることが分かります。これらのアイパターンは、当社の65 GHzリニアトランスミッタMX65E-1310と、超高速増幅フォトディテクタRXM40AFを使用して測定しました。
脚注
- R. C. Schimmel, R. J.W. Jonker, P. K. van Bennekom, Giok-Djan Khoe, and H. de Waardt, "Experimental assessment of 1.3-µm telecommunication systems incorporating a praseodymium-doped fiber amplifier (PDFA)," Proc. SPIE 4833, Applications of Photonic Technology 5, 2003.
プラセオジム添加フッ化物ファイバ増幅器(PDFA)は誘導放出によって信号利得を得ますが、これは入射光子が励起状態のイオンから光子を放出させて下位のエネルギ準位に緩和させるときに発生します。このファイバ増幅器用に石英をホスト材料として使用した場合、フォノン緩和により励起状態が放射を伴うことなく基底状態に落ちてしまうため、機能しません。そのため、ホスト材料としてはフォノンエネルギの低いフッ化物やカルコゲン化物などのガラスが適しています。当社では、希土類金属のプラセオジムを添加したフッ化物ファイバを使用することで光子を放出させ、信号利得を得ています。
PDFAにおける誘導放出
Pr3+イオンの励起および緩和の過程は、基底状態3H4、準安定状態1G4、中間状態3H5による3準位系のように振舞います。特に、基底状態のPr3+イオンがレーザによって励起されると、イオンは寿命が数百マイクロ秒程度の準安定状態に遷移します。この長い寿命により反転分布が作られ、準安定状態のイオンの数は基底状態のイオンの数よりも多くなります。準安定状態のイオンは、励起状態と中間状態のエネルギ差に一致するエネルギの信号光子によって光子を放出させられるまで、準安定状態に留まります。Pr3+イオンの場合、このエネルギは波長約1.31 µmの光に相当します。そして、イオンは光放射を伴わないフォノン緩和により完全に基底状態まで落ちます。吸収と誘導放出、および関係するエネルギ準位を右の図中の左側と中央の図に示しています。
Pr3+イオンの電子状態は離散的なエネルギ準位ではなくエネルギーバンド構造になっており、光を放出する波長域、すなわちPDFA帯域を有します。これはPr3+イオンに作用する周囲のホスト格子からの局所的な電界と、アモルファスホスト内のサイト間の相違によって生じたStark分裂の結果によるものです。
誘導放出と自然放出
信号増幅は誘導放出によってイオンが緩和した時に生じます。このとき、1つの信号光子が入射すると2つの信号光子が出射します。この2つ目の光子のエネルギ、位相および方向は入射した光子と全く同じです(コヒーレント放射)。励起されたイオンが準安定状態の寿命の間に誘導放出を行わなかった場合、イオンは自然放出によって自ら緩和します。右端の図のように、そのような光子の位相と方向はランダムです。自然放出によって発生した光子のほとんどはファイバの側面から放出されますが、一部の光子はファイバのコアを伝播して信号利得の影響を受け、自然放射増幅光(ASE)と呼ばれるノイズになります。
前面&背面パネル
Back Panel | |
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Callout | Description |
1 | USB Diagnostic Port for Factory Use Only |
2 | AC Power Cord Connector |
3 | Fuse Tray |
4 | AC Power Switch |
5 | Remote Interlock Input (BNC) |
Front Panel | |
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Callout | Description |
1 | Push-Button Power Switch |
2 | Display to Show Pump Level, Temperature Status, and Emission Status |
3 | Control Knob to Adjust Pump Laser Current |
4 | Amplifier Enable Switch and Emission Indicator |
5 | Optical Output for Single Mode FC/APC Fiber Connector |
6 | Optical Input for Single Mode FC/APC Fiber Connector |
PDFA100には下記が含まれます。
- ベンチトップ型パッケージに収められたプラセオジム添加ファイバ増幅器
- インターロック用短絡BNCコネクタ
- 日本国内対応AC電源ケーブル
- USBケーブル
- コネクタとバルクヘッド用クリーナFBC250
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