In Utero(子宮内)におけるマウスの成長のイメージング


In Utero(子宮内)におけるマウスの成長のイメージング


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OCTを使用したIn Utero(子宮内)におけるマウスの成長の高解像度イメージング

 

主な研究者:

S. H. Syed, K. V. Larin, M. E. Dickinson, and I. V. Larina

マウスは、ヒトの臓器の発生や疾病の研究モデルとしてよく使用されます。 胎児期における突然変位表現型の従来の研究方法は、組織の薄切片を観察する方法で、観察可能な変化を特定するには、様々な成長段階で多くの同腹のサンプル対象を犠牲にしなければなりませんでした。

 in utero(子宮内)のマウス胎児の動的画像を取得する方法としては、超音波、マイクロMRIやマイクロCTがありますが、どの方法においても、画像取得にかかる時間が長いか、25~100 μmと低解像度で動態に対する感度も低いという特徴のいずれかまたは両方を有します。 これに対し、光コヒーレントトモグラフィ(OCT)では、3次元イメージングの解像度は2~10 μmで、短時間でイメージング深度が 1~3 mm の画像が取得できます。

さらにOCTでは、胎児の周囲の脱落膜が光学イメージング可能な薄さになる12.5dpc(交配後の日数)から出生直前の18.5dpcまでの期間において、in uteroで生きた胎児をくりかえし観察できます。 In uteroのOCT測定では、胎児の成長における動態情報が取得可能で、複数の同じ腹のサンプル対象を犠牲にする必要はありません。

Syed et al.の最新の論文は、マウスの胎児の成長のイメージングに使用されているOCTの性能について言及しています。 この実験では、各胎児が識別できるようにイメージングを最適化するために、マウスの腹部を1~2 cm切開して子宮の一部を体外に引き出して画像を取得しています。 このプロセス中では、妊娠したメスは麻酔されて、体温維持のために加温パッドの上に置かれていました。

子宮を引き出した後には、当社の波長掃引装置(中心波長: 1325 nm、帯域幅: 110 nm)を用いたOCTシステムで、子宮膜を通して胎児を観察しました。 10 mm x 10 mm x 2.2 mm の体積を対象に取得された一連の512 x 512のAスキャン画像で、3次元データセットが再構成されます。1つのデータセットの取得には約20秒かかっています。 このシステムの解像度は、水平方向と深さ方向に8 μmで測定されています。 ドップラOCTシステムで血流が観察できたことで、イメージングの最中に胎児が生存し続けたことが確認できました。

図1は、OCTを使用して得られた12.5~18.5 dpcの間の様々な発達段階の胎児の前脚の3次元再構築画像です。 画像を比較していただくために、各画像には小さな画像がはめ込んであります。これは「The Atlas of Mouse Development」に掲載されている走査型電子顕微鏡法(SEM)で取得された画像です。 胎児の発達段階の違いが容易に識別可能で、OCT画像がSEM画像に匹敵することが確認できます。 例えば、12.5~13.5 dpcの画像では、胎児の指が別れていく様子が観察可能で、15.5 dpcの画像では、ツメが形成されてきているのがわかります。 複数のマウスのモデルの四肢において、ヒトに見られるような異常の発生がみられたました。OCTイメージングは、現在進行中の状態を即時に観察できる技術であり、マウスおよびヒトにおけるこのような発達異常の研究分野の進歩に貢献する可能性のあるイメージング手法であるといえます。

OCTは、マウスの胎児のライブイメージングで将来性が見込める技術であり、構造が明瞭に識別できる動態画像が取得できます。 この特長によって、正常な胎児の発達を妨げる突然変異や毒素の影響を見極める上で求められる観察技術が大きく前進します。




図 1: OCTを使用して取得されたin uteroにおける異なる発達段階でのマウス胎児の前脚の3次元構築画像。 はめ込み画像は、同一の発達段階において走査電子顕微鏡法(SEM)が取得した画像。

 

参考文献:

S. H. Syed, K. V. Larin, M. E. Dickinson, and I. V. Larina. Optical coherence tomography for high-resolution imaging of mouse development in utero. J. Biomed. Opt. 16, 046004 (2011).

ここで紹介された実験手順はすべて、University of HoustonAnimal Care and Use Committeeの了承を得た内容です。


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