生物組織内におけるマイクロレトロリフレクターの波長掃引型OCT画像


生物組織内におけるマイクロレトロリフレクターの波長掃引型OCT画像


Please Wait

生物組織内におけるマイクロレトロリフレクタの波長掃引型OCT画像

 

Featured Researchers:

Steven N. Ivers, Stephen A. Baranov, Tim Sherlock, Katerina Kourentzi, Paul Ruchhoeft, Richard Willson, and Kirill V. Larin

Figure 2

図2.

空気中およびブタの皮膚組織の厚さを変えた時のマイクロレトロリフレクタアレイの強度プロファイル

光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、多岐にわたるサンプルの非破壊イメージングが可能な高解像度イメージング法です。University of Houstonの研究者らの近年の共同研究では、生体組織を通したミクロン単位のマイクロレトロリフレクタのイメージングに、改良した当社の中心波長1325 nmの高速波長掃引OCT (SS-OCT)システム(旧型OCS1300SS)が用いられました。これらのマイクロレトロリフレクタが反射した光によって周囲環境の情報が得られ、血液中のグルコース(ブドウ糖)のような検体の濃度分析モニタの代替方法となるバイオセンサの基盤として利用できます。

金製の直線的なマイクロレトロリフレクタをシリコンウェハ上に作製し(高さ5 μm、幅10 μm 長さ50 μm )、SEM画像を取得しした(下の図1)。これは強い散乱や乱れが生じるる媒体を通したイメージング性能の研究をするために、SS-OCTシステムを用いて、ブタの皮膚サンプルの厚さを変えながらマイクロレトロリフレクタアレイ全体の画像が取得されています。これらのイメージング実験では、厚さが0.29 mm~0.91 mmの小さな皮膚サンプル(0.5 cm x 0.5 cm)をブタの耳から切除し、マイクロレトロリフレクタ上に置いた後に、生理食塩水に浸漬させた状態でSS-OCTイメージングを行いました。

図 2 (左側)が示すのは、空気中およびブタの皮膚組織の厚さを変えた時の1次元強度プロファイルです。これらのプロファイルは、図1のマイクロレトロリフレクタアレイを、複数回スキャンして、強度データの平均値を基にして作成されています。この研究で検知されたブタ組織での最小コントラストレベルは20 ± 6.4 dBでした。コントラストレベルがこの数値を下回ると、組織の不均一性の影響を受けてマイクロレトロリフレクタの構造の画像は不明瞭になりました。このコントラストレベルの最小値は、組織深さが最大値の1.15 mmとなった時に得られました。

特定の検体に反応する化学物質でコーティングされたマイクロレトロリフレクタアレイをSS-OCTと併用すれば、アレイの光の反射率を定量することにより、散乱光が強い皮下の環境であっても、血糖値をモニタできる可能性があります。この方法を用いれば、皮膚穿刺(センシ)せずに血糖値レベルの検査ができるようになります。

Figure 1c
(c)
Figure 1b
(b)
Figure 1a
(a)

図1.

この研究で使用された線形で金製のマイクロレトロリフレクタのSEM画像。マイクロレトロリフレクタはシリコン基材上に成長させられています。画像(b)と(c)がマイクロレトロリフレクタの3次元SS-OCT画像(1 mm x 1 mm x 3 mm)で、各々0.34 mmと 0.49 mmの厚さのブタの皮膚組織の下に置いて取得された画像。


Latest OCT Systems

参考文献:

S. N. Ivers et al., Biomedical Optics Express. 1, 367-377 (2010).


Posted Comments:
No Comments Posted