OCTによる悪性腫瘍の識別


OCTによる悪性腫瘍の識別


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OCTで識別されたリンパ節の悪性腫瘍

 

 

主な研究者:

R. A. McLaughlin, L. Scolato, P. Robbins, S. Hamza, C. Saunders, and D. D. Sampson

現時点における、悪性リンパ節の識別や組織学的評価ための代表的手法は、生体外で行われるため、外科的切除を必要とします。 大半の局部的な腋窩部リンパ節を切除した結果、健康なリンパ節も切除されてしまいます。 これにより合併症(リンパ浮腫など)を引き起こす可能性があります。

Figure 1a (a)
Figure 1b (b)

Figure 1.

Comparison of H&E histology (a) and an OCT image (b) of a human lymph node. The cortex (C), paracortex (PC), and medulla (M) are evident in both frames, as is and area of tumor-permeated tissue (T).

近年、光コヒーレンストモグラフィ (OCT)が、癌の乳房組織の生体内評価において有望な光学画像診断法として注目を浴びています。 細胞組織内のさまざまな深さの後方散乱光を検出する、この非侵襲的画像法によって、内部画像が得られます。 OCTは切除も染色も必要としないため、非悪性リンパ節の維持や乳癌患者のリンパ浮腫を回避することができ、特に魅力的な選択肢となります。

この論文では、OCTが非癌組織やリンパ節の構成要素と癌細胞を識別できることが示され、McLaughlinら(1)による最近の研究成果が要約されています。 厚さ2 mmのリンパ節片のサンプルが乳癌患者から切除され、ガラス板上に載せられます。そしてスライドガラスとサンプル間の屈折率のばらつきを減らすためにグリセロールに浸漬されています。

当社の波長掃引OCTシステム(中心波長:1325 nm、 スペクトルバンド幅:100 nm)を使って、10 mm x 10 mmの視野に対して約3 mmのイメージング深部が得られます。

図1において、リンパ節サンプルのOCT画像(フレームb)が、組織内の悪性腫瘍の代表的手法であるH & E 組織像(フレームa)と比較されています。 図1aに示されているように、リンパ節の3つの構成要素 -皮質、副皮質、髄質‐および悪性組織部が、乳管癌患者のOCT画像で確認できます。

図1のTで示される腫瘍浸透組織による大量の後方散乱は、より軽く健康的な皮質組織の中に暗領域をもたらします。 転移性沈着の存在に伴い増加する後方散乱は、細胞核(2)のサイズと構造の両方の変化によってもたらされたものと見なされています。

OCTは非侵襲的な画像顕微鏡として組織内を観察できることから、将来、乳癌患者の癌リンパ節の有力な検出方法となります。 さらに、この技術は治療によるリンパ節構造の変化をモニタする用途としても期待されています。

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参考文献:

1) R. A. McLaughlin, L. Scolaro, P. Robbins, S. Hamza, C. Saunders, and D. D. Sampson. Imaging of Human Lymph nOdes Using Optical Coherence Tomography: Potential for Staging Cancer. Cancer Res. 70, 2579 - 84 (2010).

2) A. Wax, C. Yang, M. G. Muller, et al. Insitu detection of neoplastic transformation and chemopreventive effets in rat esophagus epithelium using angle-resolved low-coherence interferometry. Cancer Res. 63, 3556-9 (2003).

この研究で使用される技術は、Human Research Ethics Committee of Sir Charles Gairdner Hospitalにより承認されています。 参加した患者からは同意が得られています。


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