高速ステアリングミラー


  • Two-Axis Steering on a Single Pivot Point
  • Fast and Accurate X and Y Rotation
  • Position Set by User-Supplied Voltage Signal
  • ≥97% Average Reflectance from 450 nm to 2 µm

FSM75-P01

Cables, Power Supply,
and Controller Included

Related Items


Please Wait

付属品

  • 高速ステアリングミラー(移送時ロック機能付き)
  • コントローラーボックス
  • 4ピンXLRコネクターケーブル付き
  • ヘッドドライブケーブル(16ピンから2つの8ピンMicro-Fit+コネクタへ変換)、長さ1.5 m
  • ヘッドコントロールケーブル(25ピンSDRコネクタ)、長さ1.5 m

特長

  • 単一回転軸上で2軸同時に摩擦のないステアリングが可能
  • 開口: Ø75.0 mm
  • 450 nm~2 µmの波長範囲での高い平均反射率: 97%以上
  • 分割型アクチュエータによる高効率ボイスコイル駆動(US Patent 11,960,143)
  • 走査速度: 1ステップあたり3 ms(最大機械的角度: ±1.2°)
  • 角度範囲: ±6°
  • オーバーヒート防止機能搭載
  • お手持ちのアナログ電圧信号源を用いてデジタル位置制御が可能
    • XおよびY軸の個別制御
    • 2つのBNCコネクタ、または25ピンデジタルI/Oポートは±10 Vの入力に対応
    • 電圧に比例して駆動

用途

  • 2軸で定義された角度による高分解能の表面走査
  • 高速プロトタイプ作成
  • プラスチック溶接
  • ビーム偏向によるスチールの切断と溶接
  • 高速光ニアフィールド通信

当社の高速ステアリングミラーFSM75-P01では、ガルバノスキャナと同様に、電動でビーム偏向が可能です。シングルポイントミラーのため、2つの軸で同時に高速ビーム偏向が得られます。ミラーの開口部はØ75.0 mmで、フレクシャーサスペンションシステムによってサポートされています。また、特別設計のボイスコイルによって駆動されるため、広いチルト範囲と高速駆動が実現可能です。付属のデジタルコントローラにはミラーの偏向を制御するアナログユーザーインターフェイスがあり、サブマイクロラジアンレベルの分解能と安定性を備えた高いリニアリティとミリ秒単位の整定時間をご提供します。また、保護膜付き銀コーティングにより、450 nm~2 µmにわたり97%以上の高い平均反射率が得られます。このミラーは、3 ms以下のステップ応答時間を必要とする高出力レーザの用途に対応しています。ミラーの性能についての詳細は「仕様」および「グラフ」タブをご覧ください。

高速ステアリングミラーは、ミラーヘッド、コントローラーボックス、電源で構成されています。光学ミラーの走査に関しては、ファンクションジェネレータからの出力など、お手持ちの入力電圧によって制御できます。X軸とY軸は完全に独立しており、異なる波形に追従可能です。例えば、穴を開けるために、X軸のサイン信号とY軸のコサイン信号を使用してレーザービームを偏向させ、円を描くことができます。コントロールボックスは、アナログ電圧をデジタル駆動信号に変換してミラーの動きを制御するだけでなく、ミラーヘッドの温度やミラーの位置など、主要なステアリング機能以外のすべてのパラメータをローカル位置センサーディテクタ(PSD)でモニタします。ミラーヘッドの温度が非常に高くなると、ステータスLEDが警告を示し、システムは保護のため性能を低下させるか自動的に停止するかします。付属するコンポーネントの一覧は右上のボックス内をご覧ください。コンポーネントの詳細については「前面&背面パネル」タブをご覧ください。

取り付け
ミラーヘッドは光学テーブルまたはヒートシンクとしての役割も兼ねた安定した物体に取り付けてください。ミラーヘッドのベース部側面にあるスロットはM6ネジ(付属しません)に対応します。

注:電源について- 付属の電源は国内ではご提供ができないため、ご購入検討の際は当社までご連絡ください。
FSM75-P01 Fast Steering Mirror Drawing
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高速ステアリングミラーFSM75-P01の寸法。LEDインジケータおよび電気接続についての詳細は、「前面&背面パネル」タブをご覧ください。
Specificationsa
Number of Axes2 (Tip Tilt)
Angular Range±6° (Mechanical)
Repeatability (For < 2°)  < 0.5 µrad (1σ) (Mechanical)
Stability (For < 2°)  < 0.5 µrad (1σ) (Mechanical)
Repeatability (For < 6°)  < 1.8 µrad (1σ) (Mechanical)
Stability (For < 6°)  < 1.8 µrad (1σ) (Mechanical)
Step Response (Up to ±1.2° Mechanical)3 ms (99%)
Linearity, ±4°, Mechanical99.8%
Linearity, ±6°, Mechanical99.5%
Resolution of Local Position
Sensitive Detector (PSD)
0.1 µrad
Thermal Drift≤20 µrad/K
Mirror Active AreaØ75.0 mm
Mirror Pivot Point11.6 mm Behind Mirror Surface
Coating (Click for Reflectance Graphs)Protected Silverb
Average Reflectance≥97% (450 nm to 2 µm)
Surface Flatness (RMS)≤λ/4 (633 nm)
Command Input±10 V (Rin = 15 kΩ; Differential)
Position, Position Difference Outputs±10 V (1 mA Max)
Thermal Protection60 °C (Mirror Head Temperature)
Digital Signal InputLow: 0.0 V to 1.0 V
High: 2.3 V to 3.3 V
10 kΩ Pull Up to 3.3 V
Digital Signal OutputLow: 0.0 V to 0.4 V
High: 2.9 V to 3.3 V
Iout ≤ 8 mA
Interconnect Cable Length1.5 m
Dimensions and Weight
Mirror Head Dimensions (W x H x D)110.0 mm x 140.0 mm x 51.2 mm
(4.33" x 5.51" x 2.01")
Controller Dimensions (W x H x D)199.8 mm x 104.9 mm x 323.8 mm
(7.87" x 4.13" x 12.75")
Mirror Head Weight910 g
Controller Weight3.46 kg
Operating Conditions
Operating Temperaturec0 to 40 °C
Storage Temperaturec-40 to 70 °C
Absolute Maximum Ratings
Damage Threshold CW4 W/cm (450 nm to 2 µm)
Damage Threshold Pulsed1 J/cm2 (1064 nm, 10 ns, 10 Hz, Ø10 mm)
  • すべての仕様は23 ± 5 °C、相対湿度45 ± 15%(結露なし)で有効です。
  • ご要望に合わせて他のミラーコーティングも承ります。ご質問がございましたら当社までごお問い合わせください。
  • 結露無しの場合

高速ステアリングミラーの性能

FSM75-P01 Step Response
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ステップ応答時間に対するミラーの角度変化を示したグラフ
FSM75-P01 Drive Speed
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ミラーを正弦波入力電圧信号で駆動することで上記の測定を実施しました。黒と青の曲線は、ミラーを連続的に駆動した場合の性能限界を示しています。濃い赤、緑および赤の曲線は、ミラーを設定した周波数で振動させるのと1:10のデューティーサイクルで静止位置に保持するのを交互に繰り返したときの測定値です。例えば、赤い曲線は、ミラーが2秒ごとに200 ms振動する動作条件を示しています。各曲線の上と右の領域は、ミラーがオーバーヒートする周波数とチルト角の組み合わせを表しています。インターバルの静止期間はミラーを冷却するための時間であるため、連続駆動時と比較して過熱することなく、高い周波数でミラーを動作させることができます。

保護膜付き銀コーティング

-P01 Protected Silver at Near-Normal Incident Angle
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生データはこちらからダウンロードいただけます。
グラフの青い網掛け部分は、反射率を仕様として保証する波長範囲を示しています。この帯域外における反射率は典型値であり、ロット毎にバラつきがある可能性(特に変動や傾斜のある領域では顕著)があります。
-P01 Protected Silver at 45 Degree Incident Angle
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グラフの青い網掛け部分は、反射率を仕様として保証する波長範囲を示しています。この帯域外における反射率は典型値であり、ロット毎にバラつきがある可能性(特に変動や傾斜のある領域では顕著)があります。

ミラーの背面

CalloutDescription
1Connector for Head Control Cable
2Connector for White Head Drive Cable
3M6 (1/4") Mounting Slots
4Connector for Black Head Drive Cable
5Cooling Lamellas

コントローラの前面パネル

コントローラの背面パネル

CalloutDescriptionCalloutDescription
1Enable Button
General Status LED
5Y Target Signal Input
(BNC Female, ±10 V)
2Temperature Status LED6Analog/Digital I/O Connector
3Current Status LED7Connector for Head Control Cable
4X Target Signal Input
(BNC Female, ±10 V)
8Connector for Head Drive Cable

ピン配列

PinDescriptionPinDescription
1Analog Input: Target Mirror Position X+ Differential Input,
±10 V
14Analog Input: Target Mirror Position X- Differential Input,
±10 V
2Ground15Ground
3Analog Input: Target Mirror Position Y+ Differential Input,
±10 V
16Analog Input: Target Mirror Position Y- Differential Input,
±10 V
4Ground17Ground
5Analog Output: Actual Mirror Position X (±10 V)18Analog Output: Actual Mirror Position Y (±10 V)
6Analog Output: Position Difference X (±10 V)19Analog Output: Position Difference Y (±10 V)
7Ground20Ground
8Reserve (Do Not Connect)21Reserve (Do Not Connect)
9Digital Input: Control Enable, Low Active22Reserve (Do Not Connect)
10Reserve (Do Not Connect)23Ground
11Digital Output: Controller Active, High Active24Digital Output: Current Warning, High Active
12Digital Output: Current Error, High Active25Digital Output: Temperature Warning, High Active
13Digital Output: Temperature Error, High Active--

コントローラのアナログ、デジタルおよびI/Oコネクタ

Dサブメス型25ピン

DE-9 Female

Damage Threshold Specificationsa
Item #TypeDamage Threshold
FSM75-P01CW4 W/cm (450 nm - 2 µm)
Pulsed1 J/cm2 (1064 nm, 10 ns, 10 Hz, Ø10 mm)
  • 超短パルスレーザ用光学素子では、所定のパルス数で、視覚的に確認できる損傷を与える(パルスあたりの)流束量で定義されています。しかし、超短パルス領域では損傷閾値は保証されておりません。これらの値は参考用としてご提供しております。

当社の高速ステアリングミラーの損傷閾値データ

右の仕様は当社の高速ステアリングミラーの測定データです。

 

レーザによる損傷閾値について

このチュートリアルでは、レーザ損傷閾値がどのように測定され、使用する用途に適切な光学素子の決定にその値をどのようにご利用いただけるかを総括しています。お客様のアプリケーションにおいて、光学素子を選択する際、光学素子のレーザによる損傷閾値(Laser Induced Damage Threshold :LIDT)を知ることが重要です。光学素子のLIDTはお客様が使用するレーザの種類に大きく依存します。連続(CW)レーザは、通常、吸収(コーティングまたは基板における)によって発生する熱によって損傷を引き起こします。一方、パルスレーザは熱的損傷が起こる前に、光学素子の格子構造から電子が引き剥がされることによって損傷を受けます。ここで示すガイドラインは、室温で新品の光学素子を前提としています(つまり、スクラッチ&ディグ仕様内、表面の汚染がないなど)。光学素子の表面に塵などの粒子が付くと、低い閾値で損傷を受ける可能性があります。そのため、光学素子の表面をきれいで埃のない状態に保つことをお勧めします。光学素子のクリーニングについては「光学素子クリーニングチュートリアル」をご参照ください。

テスト方法

当社のLIDTテストは、ISO/DIS 11254およびISO 21254に準拠しています。

初めに、低パワー/エネルギのビームを光学素子に入射します。その光学素子の10ヶ所に1回ずつ、設定した時間(CW)またはパルス数(決められたprf)、レーザを照射します。レーザを照射した後、倍率約100倍の顕微鏡を用いた検査で確認し、すべての確認できる損傷を調べます。特定のパワー/エネルギで損傷のあった場所の数を記録します。次に、そのパワー/エネルギを増やすか減らすかして、光学素子にさらに10ヶ所レーザを照射します。このプロセスを損傷が観測されるまで繰返します。損傷閾値は、光学素子が損傷に耐える、損傷が起こらない最大のパワー/エネルギになります。1つのミラーBB1-E02の試験結果は以下のようなヒストグラムになります。

LIDT metallic mirror
上の写真はアルミニウムをコーティングしたミラーでLIDTテストを終えたものです。このテストは、損傷を受ける前のレーザのエネルギは0.43 J/cm2 (1064 nm、10 ns pulse、 10 Hz、Ø1.000 mm)でした。
LIDT BB1-E02
Example Test Data
Fluence# of Tested LocationsLocations with DamageLocations Without Damage
1.50 J/cm210010
1.75 J/cm210010
2.00 J/cm210010
2.25 J/cm21019
3.00 J/cm21019
5.00 J/cm21091

試験結果によれば、ミラーの損傷閾値は 2.00 J/cm2 (532 nm、10 ns pulse、10 Hz、 Ø0.803 mm)でした。尚、汚れや汚染によって光学素子の損傷閾値は大幅に低減されるため、こちらの試験はクリーンな光学素子で行っています。また、特定のロットのコーティングに対してのみ試験を行った結果ではありますが、当社の損傷閾値の仕様は様々な因子を考慮して、実測した値よりも低めに設定されており、全てのコーティングロットに対して適用されています。

CWレーザと長パルスレーザ

光学素子がCWレーザによって損傷を受けるのは、通常バルク材料がレーザのエネルギを吸収することによって引き起こされる溶解、あるいはAR(反射防止)コーティングのダメージによるものです[1]。1 µsを超える長いパルスレーザについてLIDTを論じる時は、CWレーザと同様に扱うことができます。

パルス長が1 nsと1 µs の間のときは、損傷は吸収、もしくは絶縁破壊のどちらかで発生していると考えることができます(CWとパルスのLIDT両方を調べなければなりません)。吸収は光学素子の固有特性によるものか、表面の不均一性によるものかのどちらかによって起こります。従って、LIDTは製造元の仕様以上の表面の質を有する光学素子にのみ有効です。多くの光学素子は、ハイパワーCWレーザで扱うことができる一方、アクロマティック複レンズのような接合レンズやNDフィルタのような高吸収光学素子は低いCWレーザ損傷閾値になる傾向にあります。このような低い損傷閾値は接着剤や金属コーティングにおける吸収や散乱によるものです。

Linear Power Density Scaling

線形パワー密度におけるLIDTに対するパルス長とスポットサイズ。長パルス~CWでは線形パワー密度はスポットサイズにかかわらず一定です。 このグラフの出典は[1]です。

Intensity Distribution

繰返し周波数(prf)の高いパルスレーザは、光学素子に熱的損傷も引き起こします。この場合は吸収や熱拡散率のような因子が深く関係しており、残念ながらprfの高いレーザが熱的影響によって光学素子に損傷を引き起こす場合の信頼性のあるLIDTを求める方法は確立されておりません。prfの大きいビームでは、平均出力およびピークパワーの両方を等しいCW出力と比較する必要があります。また、非常に透過率の高い材料では、prfが上昇してもLIDTの減少は皆無かそれに近くなります。

ある光学素子の固有のCWレーザの損傷閾値を使う場合には、以下のことを知る必要があります。

  1. レーザの波長
  2. ビーム径(1/e2)
  3. ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)
  4. レーザのパワー密度(トータルパワーをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)

ビームのパワー密度はW/cmの単位で計算します。この条件下では、出力密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません(右グラフ参照)。平均線形パワー密度は、下の計算式で算出できます。

ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。次に、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときはビームの強度が1/e2の2倍のパワー密度を有します(右下図参照)。

次に、光学素子のLIDTの仕様の最大パワー密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です。おおよその目安として参考にできるのは、損傷閾値は波長に対して比例関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(つまり、1310 nmで10 W/cmのLIDTならば、655 nmでは5 W/cmと見積もります)。

CW Wavelength Scaling

この目安は一般的な傾向ですが、LIDTと波長の関係を定量的に示すものではありません。例えば、CW用途では、損傷はコーティングや基板の吸収によってより大きく変化し、必ずしも一般的な傾向通りとはなりません。上記の傾向はLIDT値の目安として参考にしていただけますが、LIDTの仕様波長と異なる場合には当社までお問い合わせください。パワー密度が光学素子の補正済みLIDTよりも小さい場合、この光学素子は目的の用途にご使用いただけます。

当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社は個別の情報やテスト結果の証明書を発行することもできます。損傷解析は、類似した光学素子を用いて行います(お客様の光学素子には損傷は与えません)。試験の費用や所要時間などの詳細は、当社までお問い合わせください。

パルスレーザ

先に述べたように、通常、パルスレーザはCWレーザとは異なるタイプの損傷を光学素子に引き起こします。パルスレーザは損傷を与えるほど光学素子を加熱しませんが、光学素子から電子をひきはがします。残念ながら、お客様のレーザに対して光学素子のLIDTの仕様を照らし合わせることは非常に困難です。パルスレーザのパルス幅に起因する光学素子の損傷には、複数の形態があります。以下の表中のハイライトされた列は当社の仕様のLIDT値が当てはまるパルス幅に対する概要です。

パルス幅が10-9 sより短いパルスについては、当社の仕様のLIDT値と比較することは困難です。この超短パルスでは、多光子アバランシェ電離などのさまざまなメカニクスが損傷機構の主流になります[2]。対照的に、パルス幅が10-7 sと10-4 sの間のパルスは絶縁破壊、または熱的影響により光学素子の損傷を引き起こすと考えられます。これは、光学素子がお客様の用途に適しているかどうかを決定するために、レーザービームに対してCWとパルス両方による損傷閾値を参照しなくてはならないということです。

Pulse Durationt < 10-9 s10-9 < t < 10-7 s10-7 < t < 10-4 st > 10-4 s
Damage MechanismAvalanche IonizationDielectric BreakdownDielectric Breakdown or ThermalThermal
Relevant Damage SpecificationNo Comparison (See Above)PulsedPulsed and CWCW

お客様のパルスレーザに対してLIDTを比較する際は、以下のことを確認いただくことが重要です。

Energy Density Scaling

エネルギ密度におけるLIDTに対するパルス長&スポットサイズ。短パルスでは、エネルギ密度はスポットサイズにかかわらず一定です。このグラフの出典は[1]です。

  1. レーザの波長
  2. ビームのエネルギ密度(トータルエネルギをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)
  3. レーザのパルス幅
  4. パルスの繰返周波数(prf)
  5. 実際に使用するビーム径(1/e2 )
  6. ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)

ビームのエネルギ密度はJ/cm2の単位で計算します。右のグラフは、短パルス光源には、エネルギ密度が適した測定量であることを示しています。この条件下では、エネルギ密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません。ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。ここで、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときは一般にビームの強度が1/e2のときの2倍のパワー密度を有します。

次に、光学素子のLIDTの仕様と最大エネルギ密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です[3]。経験則から、損傷閾値は波長に対して以下のような平方根の関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(例えば、1064 nmで 1 J/cm2のLIDTならば、532 nmでは0.7 J/cm2と計算されます)。

Pulse Wavelength Scaling

 

波長を補正したエネルギ密度を得ました。これを以下のステップで使用します。

ビーム径は損傷閾値を比較する時にも重要です。LIDTがJ/cm2の単位で表される場合、スポットサイズとは無関係になりますが、ビームサイズが大きい場合、LIDTの不一致を引き起こす原因でもある不具合が、より明らかになる傾向があります[4]。ここで示されているデータでは、LIDTの測定には<1 mmのビーム径が用いられています。ビーム径が5 mmよりも大きい場合、前述のようにビームのサイズが大きいほど不具合の影響が大きくなるため、LIDT (J/cm2)はビーム径とは無関係にはなりません。

次に、パルス幅について補正します。パルス幅が長くなるほど、より大きなエネルギに光学素子は耐えることができます。パルス幅が1~100 nsの場合の近似式は以下のようになります。

Pulse Length Scaling

お客様のレーザのパルス幅をもとに、光学素子の補正されたLIDTを計算するのにこの計算式を使います。お客様の最大エネルギ密度が、この補正したエネルギ密度よりも小さい場合、その光学素子はお客様の用途でご使用いただけます。ご注意いただきたい点は、10-9 s と10-7 sの間のパルスにのみこの計算が使えることです。パルス幅が10-7 sと10-4 sの間の場合には、CWのLIDTも調べなければなりません。

当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社では個別のテスト情報やテスト結果の証明書を発行することも可能です。詳細は、当社までお問い合わせください。


[1] R. M. Wood, Optics and Laser Tech. 29, 517 (1997).
[2] Roger M. Wood, Laser-Induced Damage of Optical Materials (Institute of Physics Publishing, Philadelphia, PA, 2003).
[3] C. W. Carr et al., Phys. Rev. Lett. 91, 127402 (2003).
[4] N. Bloembergen, Appl. Opt. 12, 661 (1973).

レーザーシステムが光学素子に損傷を引き起こすかどうか判断するプロセスを説明するために、レーザによって引き起こされる損傷閾値(LIDT)の計算例をいくつかご紹介します。同様の計算を実行したい場合には、右のボタンをクリックしてください。計算ができるスプレッドシートをダウンロードいただけます。ご使用の際には光学素子のLIDTの値と、レーザーシステムの関連パラメータを緑の枠内に入力してください。スプレッドシートでCWならびにパルスの線形パワー密度、ならびにパルスのエネルギ密度を計算できます。これらの値はスケーリング則に基づいて、光学素子のLIDTの調整スケール値を計算するのに用いられます。計算式はガウシアンビームのプロファイルを想定しているため、ほかのビーム形状(均一ビームなど)には補正係数を導入する必要があります。 LIDTのスケーリング則は経験則に基づいていますので、確度は保証されません。なお、光学素子やコーティングに吸収があると、スペクトル領域によってLIDTが著しく低くなる場合があります。LIDTはパルス幅が1ナノ秒(ns)未満の超短パルスには有効ではありません。

Intensity Distribution
ガウシアンビームの最大強度は均一ビームの約2倍です。

CWレーザの例
波長1319 nm、ビーム径(1/e2)10 mm、パワー0.5 Wのガウシアンビームを生成するCWレーザーシステム想定します。このビームの平均線形パワー密度は、全パワーをビーム径で単純に割ると0.5 W/cmとなります。

CW Wavelength Scaling

しかし、ガウシアンビームの最大パワー密度は均一ビームの約2倍です(右のグラフ参照)。従って、システムのより正確な最大線形パワー密度は1 W/cmとなります。

アクロマティック複レンズAC127-030-CのCW LIDTは、1550 nmでテストされて350 W/cmとされています。CWの損傷閾値は通常レーザ光源の波長に直接スケーリングするため、LIDTの調整値は以下のように求められます。

CW Wavelength Scaling

LIDTの調整値は350 W/cm x (1319 nm / 1550 nm) = 298 W/cmと得られ、計算したレーザーシステムのパワー密度よりも大幅に高いため、この複レンズをこの用途に使用しても安全です。

ナノ秒パルスレーザの例:パルス幅が異なる場合のスケーリング
出力が繰返し周波数10 Hz、波長355 nm、エネルギ1 J、パルス幅2 ns、ビーム径(1/e2)1.9 cmのガウシアンビームであるNd:YAGパルスレーザーシステムを想定します。各パルスの平均エネルギ密度は、パルスエネルギをビームの断面積で割って求めます。

Pulse Energy Density

上で説明したように、ガウシアンビームの最大エネルギ密度は平均エネルギ密度の約2倍です。よって、このビームの最大エネルギ密度は約0.7 J/cm2です。

このビームのエネルギ密度を、広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDT 1 J/cm2、そしてNd:YAGレーザーラインミラーNB1-K08のLIDT 3.5 J/cm2と比較します。LIDTの値は両方とも、波長355 nm、パルス幅10 ns、繰返し周波数10 Hzのレーザで計測しました。従って、より短いパルス幅に対する調整を行う必要があります。 1つ前のタブで説明したようにナノ秒パルスシステムのLIDTは、パルス幅の平方根にスケーリングします:

Pulse Length Scaling

この調整係数により広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDTは0.45 J/cm2に、Nd:YAGレーザーラインミラーのLIDTは1.6 J/cm2になり、これらをビームの最大エネルギ密度0.7 J/cm2と比較します。広帯域ミラーはレーザによって損傷を受ける可能性があり、より特化されたレーザーラインミラーがこのシステムには適していることが分かります。

ナノ秒パルスレーザの例:波長が異なる場合のスケーリング
波長1064 nm、繰返し周波数2.5 Hz、パルスエネルギ100 mJ、パルス幅10 ns、ビーム径(1/e2)16 mmのレーザ光を、NDフィルタで減衰させるようなパルスレーザーシステムを想定します。これらの数値からガウシアン出力における最大エネルギ密度は0.1 J/cm2になります。Ø25 mm、OD 1.0の反射型NDフィルタ NDUV10Aの損傷閾値は355 nm、10 nsのパルスにおいて0.05 J/cm2で、同様の吸収型フィルタ NE10Aの損傷閾値は532 nm、10 nsのパルスにおいて10 J/cm2です。1つ前のタブで説明したように光学素子のLIDTは、ナノ秒パルス領域では波長の平方根にスケーリングします。

Pulse Wavelength Scaling

スケーリングによりLIDTの調整値は反射型フィルタでは0.08 J/cm2、吸収型フィルタでは14 J/cm2となります。このケースでは吸収型フィルタが光学損傷を防ぐには適した選択肢となります。

マイクロ秒パルスレーザの例
パルス幅1 µs、パルスエネルギ150 µJ、繰返し周波数50 kHzで、結果的にデューティーサイクルが5%になるレーザーシステムについて考えてみます。このシステムはCWとパルスレーザの間の領域にあり、どちらのメカニズムでも光学素子に損傷を招く可能性があります。レーザーシステムの安全な動作のためにはCWとパルス両方のLIDTをレーザーシステムの特性と比較する必要があります。

この比較的長いパルス幅のレーザが、波長980 nm、ビーム径(1/e2)12.7 mmのガウシアンビームであった場合、線形パワー密度は5.9 W/cm、1パルスのエネルギ密度は1.2 x 10-4 J/cm2となります。これをポリマーゼロオーダ1/4波長板WPQ10E-980のLIDTと比較してみます。CW放射に対するLIDTは810 nmで5 W/cm、10 nsパルスのLIDTは810 nmで5 J/cm2です。前述同様、光学素子のCW LIDTはレーザ波長と線形にスケーリングするので、CWの調整値は980 nmで6 W/cmとなります。一方でパルスのLIDTはレーザ波長の平方根とパルス幅の平方根にスケーリングしますので、1 µsパルスの980 nmでの調整値は55 J/cm2です。光学素子のパルスのLIDTはパルスレーザのエネルギ密度よりはるかに大きいので、個々のパルスが波長板を損傷することはありません。しかしレーザの平均線形パワー密度が大きいため、高出力CWビームのように光学素子に熱的損傷を引き起こす可能性があります。


Posted Comments:
Hieu Lai  (posted 2024-04-30 14:07:35.647)
Do you have software for simluation for FSM75-P01 controller?
GBoedecker  (posted 2024-05-02 07:17:50.0)
Thank you for your feedback! I will contact you directly to discuss your question.
Prasad Raju S V S K  (posted 2023-06-15 14:06:26.737)
Dear Sir/Madam, We are looking for a FSM with 2 inch mirror and +/- 3.2 deg Tilt in 2 axis in compact sizes, for our image stabilization application. Please let me know if you can support us for this requirement. Thanks & Regards, S V S K Prasad Raju VEM Technologies Pvt Ltd Hyderabad, Telangana, India
hkarpenko  (posted 2023-06-16 08:41:08.0)
Dear customer, thank you for your feedback. I will contact you directly to discuss your application and the specifications of our FSM in more detail with you.
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高速ステアリングミラー

+1 数量 資料 型番 - ユニバーサル規格 定価(税抜) 出荷予定日
FSM75-P01 Support Documentation
FSM75-P01Fast Steering Mirror, 450 nm - 2 µm, Protected Silver Coating
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