高出力光用シングルモードファイバーパッチケーブル、エンドキャップ付き


  • Coreless End Cap for High-Power Applications
  • One FC/PC Connector with End Cap, AR Coated for 1030 - 1120 nm
  • One Uncoated FC/APC Connector or Scissor-Cut End

P9-1064HE-2

AR-Coated, End-Capped FC/PC Connector to Scissor-Cut End

FC/PC-Terminated End has AR Coating and Coreless End Cap

Coreless End Cap

Standard Optical Fiber

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使用上の注意

ARコーティングされたFC/PCコネクタは自由空間に対してのみ使用するように設計されており、ほかのコネクタに接続して端面を接触させると損傷しますのでご注意ください。

FC/APCコネクタ(P5-1064HE-2のみ)にはコアレスエンドキャップが付いていないため、ほかのFC/APCコネクタに結合する場合は1 W、自由空間に結合する場合は300 mWを超える光パワーで使用することはできません。
Fiber End Comparison
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標準ファイバとエンドキャップ付きファイバへの光結合End-Capped Fiber

特長

  • コアレスエンドキャップにより空気-ガラス界面での強度を低減
  • 片端はエンドキャップと1064 nm用AR Vコーティング付きFC/PCコネクタ
  • 片端はコーティング無しFC/APCコネクタ付き、あるいはシザーカットのファイバ端
  • ファイバの種類:シングルモードファイバSM980-5.8-125
  • ステンレス製チューブ、予備の金属製キャップが付属
  • 高出力光での使用に関するガイドラインは「取扱い」タブをご覧ください

当社では片端にコアレスエンドキャップとARコーティング付きのFC/PCコネクタを取り付けたパッチケーブルをご用意しております。ARコーティングの1030~1120 nmにおける反射率は<0.25%で、ファイバから自由空間に光を出射したときの反射光を最小限に抑えます。エンドキャップによりパワー密度が損傷閾値未満のレベルに低減されるため、こちらのパッチケーブルのFC/PCコネクタは最大15 Wまでの連続光に対応することができます。

型番P5-1064HE-2の一端にはエンドキャップとARコーティング付きのFC/PCコネクタ、もう一端にはコーティング無しのFC/APCコネクタが付いています。
注:FC/APCコネクタにはコアレスエンドキャップが付いていないため、ほかのFC/APCコネクタに結合する場合は1 W、自由空間に結合する場合は300 mWを超えた光パワーで使用することはできません。

型番P9-1064HE-2の一端にはエンドキャップとARコーティング付きのFC/PCコネクタが付いており、もう一端はシザーカットされています。ファイバの融着接続に必要な部品などについては、ファイバークリーバ終端処理ツール、およびファイバースプライサのページをご覧ください。

こちらのパッチケーブルを使用して光結合またはコリメートを行う場合、非常に低いパワーのビームから始めることをお勧めいたします。ビームが適切にアライメントされ、結合効率が適切であることを確認した後、パワーをご希望のレベルまでゆっくり上げてください。高出力光用ファイバーケーブル特有の取扱いに関するガイドラインは「取扱い」タブと「損傷閾値」タブでご覧いただけます。

ファイバ-自由空間結合
例えば当社の調整可能型ファイバーコリメータFiberPortコリメータ/カプラを使用する時などに、ファイバから自由空間に光を結合すると反射減衰量はファイバ-ファイバ結合時よりも小さくなります。しかしファイバ端にエンドキャップを付けることでFC/PCコネクタ部での反射減衰量を1064 nmで21 dB改善します。さらに、AR Vコーティングにより、1030~1120 nmで47 dB、1064 nmで約55 dBの反射減衰量となります。

注:ARコーティングされた側は、自由空間用(例えばコリメート)に設計されており、ほかのコネクタに接続して端面を接触させると損傷しますのでご注意ください。


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標準ファイバとコアレスファイバの断面図

レーザによる損傷防止
こちらのパッチケーブルはコアレスターミネーションファイバのエンドキャップを取り付けたことにより、レーザによる損傷からパッチケーブルを保護しています。エンドキャップ無しの場合、ファイバを入射または出射するビームの径はコアサイズと一致させる必要があります。その場合には空気とガラスの界面でのパワー密度が高くなり、光強度が損傷閾値を超えるとファイバ損傷の原因となります。しかし、このエンドキャップには導波路がありません。そのため光路は制限されず、右の図のようにより大きなビーム径の光を、エンドキャップを通して入射または出射することができます。これにより、空気とガラスの界面におけるパワー密度は減少し、ファイバの損傷を防ぐことができます。

カスタム仕様のエンドキャップ付きファイバもご提供可能です。当社ではこちらのタイプのケーブルについて、特定のファイバを用いてご要望の長さで製造することも可能です。詳しくは当社までご連絡ください。

取扱い

注:お手持ちの機器でこちらのファイバを使用する前に、使用する光源に関する操作ならびに安全手順を熟知しておいてください。以下の情報をよくお読みください。デバイスの適切な操作と取扱いはファイバや関連する機器の損傷を防ぐのに不可欠です。

1. システムにファイバを取り付ける前に、入射側と出射側の両方のコネクタ端を点検してください。端面はクリーンで、できる限り汚染されていない状態でなければいけません。汚れがある場合は、下記のクリーニングのセクションに従って端面をクリーニングしてください。ファイバ端は接続する前だけでなく取り外した後も点検してください。適切に手入れされていない場合、汚染物質は1個のコネクタからほかのコネクタに簡単に移動します。

2. 使用するファイバの損傷を避けるため、ファイバを取り付ける前に光源の電源をオフにするか、パワーレベルを50 mW未満に下げてください。光学素子のアライメントが必要な場合、初期アライメントは低パワー(<50 mW)で行ってください。光学素子が完全にアライメントされ、固定されてからレーザのパワーを上げてください。

3. 結合効率がパワーの増加とともに変化しないことと確認するために、レーザの出力は数分毎に250 mW以上は増加させないようにし、ファイバの出力はモニタすることをお勧めいたします。

4. ビームにはホットスポット(局所的なエネルギのスパイク)があってはいけません。ビームにホットスポットがある場合には、その局所的な部分のエネルギ密度を計算し、ファイバの損傷閾値を超えていないことを確認する必要があります。

5. エネルギはファイバのMFD以内に十分収まっている必要があります。例えば、MFDが6.0 ± 0.5 µmの場合、入射ビームは≤5.1 µm(つまりMFDの最小値より10%低い値)とすべきです。

6. コネクタに屈折率マッチングジェルやネジ緩み止め剤、あるいは潤滑剤などは使用しないでください。また化学煙霧やオイルが存在する場所では使用しないでください。

7. 汚染物質が付着していない端面が確保できるよう、製品はクリーンな環境下で使用する必要があります。端面に小さな埃が付着すると簡単にファイバの劣化や破壊につながります。

接続

ARコーティング付きのFC/PCコネクタは他のパッチケーブルに接続するようには設計されていませんし、アダプタや固定式光減衰器などに接続することはできません。 ほかのコネクタの先端に接触するとコーティングが損傷する場合があります。P5-1064HE-2のコーティング無しFC/APCコネクタは、アダプタを使用してほかのFC/APCコネクタに接続することができます。

クリーニング

使用後はフィルタ付きの圧縮空気でフェルール面の埃や汚れを除去してください。ファイバ端面のクリーニングにイソプロピルアルコールなどの如何なるクリーニング液も使用しないでください。ファイバースコープを使用し、ファイバの先端を慎重に点検してください。先端には汚染物質が何も付着していない状態でなければなりません。汚染されないよう、キャップとファイバの先端については、使用前後のクリーニングを継続的に行ってください。クリーニング用の備品についてはファイバークリーニング用備品のページをご覧ください。

使用しないときには、ファイバ端とコネクタのレセプタクルを付属のキャップで覆ってください。これにより、コネクタを汚れや汚染から保護することができます。当社ではケーブルに付属したダストキャップのみを使用することをお勧めしています。ケーブルに付属する当社のキャップのみが、滅菌処理に使用することが認められているものです。他のキャップはしばしば離型剤で汚染されており、ファイバ端に付着する場合があります。この汚染は目視で確認することは非常に難しく、またクリーニングも困難です。

レーザによる石英ファイバの損傷

このチュートリアルではコネクタ無し(素線)ファイバ、コネクタ付きファイバ、およびレーザ光源に接続するその他のファイバ部品に関連する損傷メカニズムを詳しく説明しています。そのメカニズムには、空気/ガラス界面(自由空間結合時、またはコネクタ使用時)ならびにファイバ内における損傷が含まれます。ファイバ素線、パッチケーブル、または溶融型カプラなどのファイバ部品の場合、損傷につながる複数の可能性(例:コネクタ、ファイバ端面、機器そのもの)があります。ファイバが対処できる最大パワーは、常にそれらの損傷メカニズムの中の最小の限界値以下に制限されます。

損傷閾値はスケーリング則や一般的なルールを用いて推定することはできますが、ファイバの損傷閾値の絶対値は利用方法やユーザ定義に大きく依存します。このガイドは、損傷リスクを最小に抑える安全なパワーレベルを推定するためにご利用いただくことができます。適切な準備と取扱い方法に関するガイドラインにすべて従えば、ファイバ部品は規定された最大パワーレベルで使うことができます。最大パワーの値が規定されていない場合は、部品を安全に使用するために下表の「実用的な安全レベル」の範囲に留めてご使用ください。 パワー処理能力を低下させ、ファイバ部品に損傷を与える可能性がある要因は、ファイバ結合時のミスアライメント、ファイバ端面の汚れ、あるいはファイバそのものの欠陥などですが、これらに限られるわけではありません。特定の用途におけるファイバのパワー処理能力に関するお問い合わせは当社までご連絡ください。

Power Handling Limitations Imposed by Optical Fiber
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損傷のないファイバ端
Power Handling Limitations Imposed by Optical Fiber
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損傷のあるファイバ端

空気/ガラス界面における損傷

空気/ガラス界面ではいくつかの損傷メカニズムが存在する可能性があります。自由空間結合の時、またはコネクタで2本のファイバを結合した時、光はこの界面に入射します。高強度の光は端面を損傷し、ファイバのパワー処理能力の低下や恒久的な損傷につながる場合があります。コネクタ付きのファイバで、コネクタがエポキシ接着剤でファイバに固定されている場合、高強度の光によって発生した熱により接着剤が焼けて、ファイバ端面に残留物が残る可能性があります。

Estimated Optical Power Densities on Air / Glass Interfacea
TypeTheoretical Damage ThresholdbPractical Safe Levelc
CW
(Average Power)
~1 MW/cm2~250 kW/cm2
10 ns Pulsed
(Peak Power)
~5 GW/cm2~1 GW/cm2
  • すべての値はコネクタ無し(素線)の石英ファイバに対する仕様で、クリーンな状態のファイバ端面への自由空間結合に適用されます。
  • 損傷リスク無しでファイバ端面に入射できる最大パワー密度の推定値です。これはシステムに大きく依存するため、ハイパワーで使用する前に光学系内のファイバ部品の性能ならびに信頼性の確認をお客様ご自身で実施していただく必要があります。
  • ほとんどの使用状態でファイバを損傷することなく端面に入射できる安全なパワー密度の推定値です。

ファイバ素線端面での損傷メカニズム

ファイバ端面での損傷メカニズムはバルクの光学素子の場合と同様なモデル化ができ、UV溶融石英(UVFS)基板の標準的な損傷閾値を石英ファイバに当てはめることができます。しかしバルクの光学素子とは異なり、光ファイバの空気/ガラス界面においてこの問題に関係する表面積やビーム径は非常に小さく、特にシングルモードファイバの場合はそれが顕著です。 パワー密度が与えられたとき、ファイバに入射するパワーは、小さいビーム径に対しては小さくする必要があります。

右の表では光パワー密度に対する2つの閾値が記載されています。理論的な損傷閾値と「実用的な安全レベル」です。一般に、理論的損傷閾値は、ファイバ端面の状態も結合状態も非常に良いという条件で、損傷のリスク無しにファイバの端面に入射できる最大パワー密度の推定値を表しています。「実用的な安全レベル」のパワー密度は、ファイバ損傷のリスクが極めて小さくなる値を示しています。ファイバまたはファイバ部品をこの実用的な安全レベルを超えて使用することは可能ですが、その時は取扱い上の注意事項を適切に守り、使用前にローパワーで性能をテストする必要があります。

シングルモードの実効面積の計算
シングルモードファイバの実効面積は、モードフィールド径(MFD)、すなわちファイバ内の光が伝搬する部分の断面積によって定義されます。この面積にはファイバのコアとクラッドの一部が含まれます。シングルモードファイバとの結合効率を良くするためには、入射ビーム径をファイバのモードフィールド径に合致させなければなりません。

例として、シングルモードファイバSM400を400 nmで使用した時のモードフィールド径(MFD)は約Ø3 µmで、SMF-28 Ultraを1550 nmで使用したときのモードフィールド径(MFD)はØ10.5 µmです。これらのファイバの実効面積は下記の通り計算します。

SM400 Fiber: Area = Pi x (MFD/2)2 = Pi x (1.5 µm)2 = 7.07 µm= 7.07 x 10-8 cm2

 SMF-28 Ultra Fiber: Area = Pi x (MFD/2)2 = Pi x (5.25 µm)2 = 86.6 µm= 8.66 x 10-7 cm2

ファイバ端面が対応できるパワーを推定するには、パワー密度に実効面積を乗じます。なおこの計算は均一な強度プロファイルを想定しています。しかしほとんどのレーザービームでは、シングルモード内でガウス分布を示すため、ビームの端よりも中央のパワー密度が高くなります。よって、これらの計算は損傷閾値または実用的安全レベルに対応するパワーとは若干異なることを考慮する必要があります。連続光源を想定して上記のパワー密度の推定値を使用すると、それぞれのパワーは下記のように求められます。

SM400 Fiber: 7.07 x 10-8 cm2 x 1 MW/cm2 = 7.1 x 10-8 MW = 71 mW (理論的損傷閾値)
     7.07 x 10-8 cm2 x 250 kW/cm2 = 1.8 x 10-5 kW = 18 mW (実用的な安全レベル)

SMF-28 Ultra Fiber: 8.66 x 10-7 cm2 x 1 MW/cm2 = 8.7 x 10-7 MW = 870 mW (理論的損傷閾値)
           8.66 x 10-7 cm2 x 250 kW/cm2 = 2.1 x 10-4 kW = 210 mW (実用的な安全レベル)

マルチモードの実効面積
マルチモードファイバの実効面積は、そのコア径によって定義されますが、一般にシングルモードファイバのMFDよりもはるかに大きくなります。当社では最適な結合を得るためにコア径のおよそ70~80%にビームを集光することをお勧めしています。マルチモードファイバでは実効面積が大きくなるほどファイバ端面でのパワー密度は下がるので、より大きな光パワー(通常キロワットオーダ)を入射しても損傷は生じません。

フェルール・コネクタ付きファイバに関する損傷メカニズム

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コネクタ付きシングルモード石英ファイバに入力可能なパワー処理限界値(概算)を示したグラフ。各線はそれぞれの損傷メカニズムに応じたパワーレベルの推定値を示しています。 入力可能な最大パワーは、損傷メカニズムごとに制限されるパワーのうちの一番小さな値(実線で表示)によって制限されます。

コネクタ付きファイバのパワー処理能力に関しては、ほかにも考慮すべき点があります。ファイバは通常、エポキシ接着剤でセラミック製またはスチール製のフェルールに取り付けられています。光がコネクタを通してファイバに結合されると、コアに入射せずにファイバを伝搬する光は散乱されてファイバの外層からフェルール内へ、さらにフェルール内でファイバを保持する接着剤へと伝搬します。光の強度が大きいとエポキシ接着剤が焼け、それが蒸発して残留物がコネクタ端面に付着します。これによりファイバ端面に局所的に光を吸収する部分ができ、それに伴って結合効率が減少して散乱が増加するため、さらなる損傷の原因となります。

エポキシ接着剤に関連する損傷は、いくつかの理由により波長に依存します。一般に、光の散乱は長波長よりも短波長で大きくなります。短波長用のMFDの小さなシングルモードファイバへの結合時には、ミスアライメントに伴ってより多くの散乱光が発生する可能性があります。

エポキシ樹脂が焼損するリスクを最小に抑えるために、ファイバ端面付近のファイバとフェルール間にエポキシ接着剤の無いエアギャップを有するファイバーコネクタを構築することができます。当社の高出力用マルチモードファイバーパッチケーブルでは、このような設計のコネクタを使用しております。

複数の損傷メカニズムがあるときのパワー処理限界値を求める方法

ファイバーケーブルまたはファイバ部品において複数の損傷要因がある場合(例:ファイバーパッチケーブル)、入力可能なパワーの最大値は必ずファイバ部品構成要素ごとの損傷閾値の中の一番小さな値により決まります。この値が一般的にはパッチケーブルの端面に入射可能な最大のパワーを表します(出力パワーではありません)。 

右のグラフは、シングルモードパッチケーブルにおけるファイバ端面での損傷とコネクタでの損傷に伴うパワー処理限界の推定値を例示しています。 ある波長におけるコネクタ付きファイバの総合的なパワー処理限界値は、その波長に対する2つの制限値の小さい方の値(実線)によって制限されます。488 nm付近で使用しているシングルモードファイバは主にファイバ端面の損傷(青い実線)によって制限されますが、1550 nmで使用しているファイバはコネクタの損傷(赤い実線)によって制限されます。

マルチモードファイバの実効面積はコア径で定義され、シングルモードファイバの実効面積より大きくなります。その結果、ファイバ端面のパワー密度が小さくなり、大きな光パワー(通常キロワットオーダ)を入射してもファイバに損傷は生じません(グラフには表示されていません)。しかし、フェルール・コネクタの損傷による限界値は変わらないため、マルチモードファイバが処理できる最大パワーはフェルールとコネクタによって制限されることになります。

上記の値は、取り扱いやアライメントが適切で、それらによる損傷が生じない場合のパワーレベルです。また、ファイバはここに記載されているパワーレベルを超えて使用されることもあります。しかし、そのような使い方をする場合は一般に専門的な知識が必要で、まずローパワーでテストして損傷のリスクを最小限に抑える必要があります。その場合においても、ハイパワーで使用するファイバ部品は消耗品と捉えた方が良いでしょう。

ファイバ内の損傷閾値

空気/ガラス界面で発生する損傷に加え、ファイバのパワー処理能力はファイバ内で発生する損傷メカニズムによっても制限されます。この制限はファイバ自体が本質的に有するもので、すべてのファイバ部品に適用されます。ファイバ内の損傷は、曲げ損失による損傷とフォトダークニングによる損傷の2つに分類されます。

曲げ損失
ファイバが鋭く曲げられると、コア内を伝搬する光がコア/クラッド界面において反射する際に、その反射角が全反射臨界角よりも大きくなります。曲げ損失は、このように内部全反射ができなくなることにより生じる損失です。このような状況下では、光はファイバから局所的に漏れだします。漏れる光のパワー密度は一般に大きく、ファイバのコーティングや補強チューブが焼損する可能性があります。

特殊ファイバに分類されるダブルクラッドファイバは、コアに加えてファイバのクラッド(2層目)も導波路として機能するため、曲げ損失による損傷のリスクが抑えられます。クラッドと被覆の界面の臨界角をコアとクラッドの界面の臨界角より大きくすることで、コアから漏れた光はクラッド内に緩く閉じ込められます。その後、光はセンチメートルからメートルオーダーの距離に渡って漏れ出しますが、局所的ではないため損傷リスクは最小に留められます。当社ではメガワットレベルの大きなパワーにも対応するNA 0.22のダブルクラッドマルチモードファイバを製造、販売しております。

フォトダークニング
もう1つのファイバ内の損傷メカニズムとして、特にコアにゲルマニウムが添加されたファイバをUVや短波長の可視光で使用した時に起こるフォトダークニングまたはソラリゼーションがあります。これらの波長で使用されたファイバは時間の経過とともに減衰量が増加します。 フォトダークニングが発生するメカニズムはほとんど分かっていませんが、その現象を緩和するファイバはいくつか開発されています。例えば、水酸イオン(OH)が非常に低いファイバはフォトダークニングに耐性があることが分かっています。またフッ化物などのほかの添加物もフォトダークニングを低減させる効果があります。

しかし、上記の対応をとったとしても、UV光や短波長に使用したファイバはいずれフォトダークニングが生じます。よってこれらの波長で使用するファイバは消耗品としてお考えください。

光ファイバの準備ならびに取扱い方法

一般的なクリーニングならびに操作ガイドライン
この一般的なクリーニングならびに操作ガイドラインはすべてのファイバ製品向けにお勧めしております。さらに付属資料やマニュアルに記載された個々の製品に特化したガイドラインも遵守してください。損傷閾値の計算は、すべてのクリーニングおよび取扱い手順に適切に従ったときにのみ適用することができます。

  1. (コネクタ付き、またはファイバ素線に関わらず)ファイバを設置または組み込む前に、すべての光源はOFFにしてください。これにより、損傷の可能性のあるコネクタまたはファイバの脆弱な部分に集光されたビームが入射しないようにすることができます。

  2. ファイバやコネクタ端面の品質がファイバのパワー処理能力に直結します。ファイバを光学系に接続する前に必ずファイバ端を点検してください。端面はきれいで、入射光の散乱を招く汚れや汚染物質があってはなりません。ファイバ素線は使用前にクリーブし、クリーブの状態が良好であることを確認するためにファイバ端面の点検をしてください。

  3. ファイバを光学系に融着接続する場合、ハイパワーで使用する前にまずローパワーで融着接続の状態が良いことを確認してください。融着接続の品質が良くないと接続面での散乱が増え、ファイバ損傷の原因となる場合があります。

  4. システムのアライメントや光結合の最適化などの作業はローパワーで行ってください。これによりファイバの(コア以外の)他の部分の露光が最小に抑えられます。ハイパワーのビームがクラッド、被覆またはコネクタに集光された場合、散乱光による損傷が発生する可能性があります。

ハイパワーでファイバを使用するための要点
光ファイバやファイバ部品は一般には安全なパワー限界値内で使用する必要がありますが、アライメントや端面のクリーニングがとても良い理想的な条件下では、ファイバ部品のパワー限界値を上げることができる場合があります。入力または出力パワーを増加させる前に、システム内のファイバ部品の性能と安定性を確認し、またすべての安全ならびに操作に関する指示に従わなければなりません。下記はファイバ内またはファイバ部品内の光パワーをの増大させること加を検討していするときに役立つご提案です。

  1. ファイバースプライサを使用してファイバ部品をシステムに融着接続すると、空気/ファイバ界面での損傷の可能性を最小化できます。品質の高い融着接続が実現されるよう、すべて適切なガイドラインに則って実施する必要があります。融着接続の状態が悪いと、散乱や融着接続面での局所的な加熱などが発生し、ファイバを損傷する可能性があります。

  2. ファイバまたはファイバ部品の接続後、ローパワーでシステムのテストやアライメントを実施してください。システムパワーを必要な出力パワーまで徐々に上昇させ、その間、定期的にすべての部品が適切にアライメントされ、結合効率が入力パワーによって変動していないことを確認します。

  3. ファイバを鋭く曲げると曲げ損失が発生し、ファイバのストレスを受けた部分から光が漏れる可能性があります。ハイパワーで使用している時は、大量の光が小さな局所領域(歪みのある領域)から流出すると局所的に加熱され、ファイバが損傷する可能性があります。使用中はファイバの曲げが生じないよう配慮し、曲げ損失を最小限に抑えてください。

  4. また、用途に適したファイバを選ぶことも損傷防止に役立ちます。例えば、ラージモードエリアファイバは、標準的なシングルモードファイバをハイパワー光用として用いる場合の良い代替品となります。優れたビーム品質を有しながらMFDも大きいため、空気/ファイバ界面でのパワー密度は小さくなります。

  5. ステップインデックスシングルモード石英ファイバは、一般にUV光やピークパワーの大きなパルス光には使用しませんが、これはその用途に伴う空間パワー密度が大きいためです。


Posted Comments:
Arnold Harpin  (posted 2023-09-06 09:22:58.77)
When the end cap is fitted does it add to the length of the fibre stub after the connector? I'm concerned that if use it with a Thorlabs adjustable collimator it won't able to focus as the lens will not get close enough to the fibre?
jpolaris  (posted 2023-09-08 11:24:51.0)
Thank you for contacting Thorlabs. The end-cap would not impact the distance the ferrule protrudes from the FC/PC connector. This distance is set by an IEC Manufacturing Standard for FC/PC connectors. However, the end-cap would create additional space between the core of the fiber and the end-face of the fiber. This additional space needs to be considered when attempting to collimate the output from one of these end-capped patch cables. Using C40FC-C as an example, which is one of our Adjustable-Focus Large-Beam Achromatic Fiber Collimators, the output from one of these end-capped patch cables could not be collimated by C40FC-C because it was not aligned with the additional space caused by the end-cap in mind. However, we may be able to offer a custom-aligned version of our adjustable collimators. To inquire about our custom capabilities, feel free to reach out to us at techsupport@thorlabs.com
Robert Carlson  (posted 2021-11-30 15:31:18.963)
I am interested in a coreless expanded beam endcap, AR coated for 1550nm, on a PM1550 fiber in a FC/PC connector. This seems very similar to this 1064nm product. My application is an AR-coated expanded beam fiber for 2W into a Thor Labs F810FC-1550 collimator. Can you provide this FC connectorized PM1550 expanded beam fiber with 1550 ARC, perhaps with a NRE charge?
YLohia  (posted 2021-12-01 09:36:20.0)
Hello, custom fiber patch cables and end-capped fibers can be requested by emailing techsales@thorlabs.com. We will discuss the possibility of offering this directly.
Marcin Syperek  (posted 2021-04-27 10:16:38.417)
Is it possible to custom-design a high-power input single-mode fibre patch (like P5-1064HE-2) but 10 m long? If yes, how much does it cost and how to order it? Regards, Marcin Syperek
YLohia  (posted 2021-04-29 01:42:10.0)
Hello Marcin, this can be configured and ordered using our online customer fiber patch cable ordering tool: https://www.thorlabs.com/newgrouppage9.cfm?objectgroup_id=2410
Salah Awel  (posted 2020-02-06 07:50:23.98)
Is it possible to purchase similar product for 532 nm laser? Thanks, Salah
YLohia  (posted 2020-02-06 11:53:02.0)
Hello Salah, for custom item requests, please contact your local Thorlabs Tech Support group (in your case europe@thorlabs.com). We will reach out to you directly.
user  (posted 2019-12-25 18:28:28.277)
hello can i design the custom end-capped patch cable for wavelength 488 - 633 nm? i want to design that both sides are fc/apc connector.
YLohia  (posted 2019-12-26 09:16:27.0)
Hello, I had already reached out to you regarding this at the time of your previous post. Please check your spam folder in your email to see if there is a response from techsupport@thorlabs.com.
user  (posted 2019-12-22 21:18:43.763)
Hello, can i design the this optical fiber for wavelength 488 - 633 nm ?
YLohia  (posted 2019-12-23 09:58:47.0)
Hello, custom end-capped patch cables can be requested by emailing techsupport@thorlabs.com. We will reach out to you directly.
user  (posted 2019-01-02 14:45:47.823)
Can you please consider offering a version with an AR-coated FC/APC end cap?
YLohia  (posted 2019-01-03 09:27:32.0)
Hello, thank you for your feedback. I have posted your suggestion for a new product on our internal engineering forum for further consideration.
mailto:christopher.werner  (posted 2018-01-17 10:02:33.773)
Hello, I couldn't find any inofmation to the minimum bending radius of the fibers. Can you help me? Thank you Christopher Werner
tfrisch  (posted 2018-01-17 10:47:21.0)
Hello, thank you for contacting Thorlabs. The P5-1064HE-2 uses the SM980-5.8-125 fiber which has a shot term bend radius of ≥5mm and long term bend radius of ≥25mm. However the the tubing, FT023SS, has a minimum bend radius of 23mm, so effectively, that would be the short term bend radius of the cable. I will reach out to you directly to pass on these details.
gkatsop  (posted 2017-10-27 13:46:44.867)
Does the AR-coated end HAVE TO be at 1064? We'd be interested in a 1315nm AR coating end cap. Would that be possible?
nbayconich  (posted 2017-11-01 04:43:32.0)
Thank you for contacting Thorlabs. We can provide this as a custom. I will reach out to you directly about our custom capabilities.
eric.lim  (posted 2017-10-26 14:12:06.887)
Are the P5-1064HE-2 the P9-1064HE-2 type of cables available with a custom fiber, such as Nufern BD-G25/250-11FA? Thank you, Eric Lim Coherent | Nufern 860-408-5005
tfrisch  (posted 2017-10-30 10:47:27.0)
Hello, thank you for contacting Thorlabs. I will reach out to you directly about the specs you would need us to quote.
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シングルモードパッチケーブル、エンドキャップ付き、ARコーティング:1064 nm

Item #Fiber TypeOperating
Wavelength
MFDaDamage Threshold (CW)AR CoatingbMax
Attenuationc
NAdCladding/
Coating
Diameter
ConnectorsEnd Cap LengthM2Jacket
P5-1064HE-2SM980-5.8-125e980 - 1550 nm73 - 91 µmf1 W or 300 mWg1030 - 1120 nm
Ravg < 0.25%
≤2.0 dB/km0.13 - 0.15125 ± 1 µm /
245 ± 15 µm
FC/PC
(End Cap) to FC/APC
410 ± 30 µm≤1.05FT023SS
P9-1064HE-215 WFC/PC
(End Cap) to Scissor-Cut
FT023SS
and
FT900Y
  • モードフィールド径、1064 nmで計算
  • 各パッチケーブルのFC/PCコネクタのみにARコーティングが施されています。
  • Max Attenuationは終端されていないファイバの仕様です。
  • ファイバのコアの屈折率は1.4574(NA0.15)、エンドキャップの屈折率は1.4496です。どちらも1064 nmで計算。
  • エンドキャップにはコアレスターミネーションファイバFG125LAが使用されています。
  • このMFDはエンドキャップについて計算したものです。ファイバSM980-5.8-125のMFDは1064 nmで5.7~6.4 µmです。
  • FC/APCコネクタをほかのFC/APCコネクタに結合した場合、最大1 Wまでのパワーに対応できます。自由空間に用いた場合は、FC/APCコネクタでのパワーは300 mWを超えてはいけません。
+1 数量 資料 型番 - ユニバーサル規格 定価(税抜) 出荷予定日
P5-1064HE-2 Support Documentation
P5-1064HE-2High Power, Single Mode Fiber Patch Cable, 1064 nm, FC/PC (End Cap, AR Coated) to FC/APC, 2 m Long
¥64,460
Today
P9-1064HE-2 Support Documentation
P9-1064HE-2High Power, Single Mode Fiber Patch Cable, 1064 nm, FC/PC (End Cap, AR Coated) to Scissor-Cut, 2 m Long
¥52,134
7-10 Days