ビームスプリッターとは


ビームスプリッターとは


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ビームスプリッタの概要

ビームスプリッタとは、入射光を2つもしくはそれ以上の光に分割する光学素子です。偏光ビームスプリッタでは、出力光はp偏光とs偏光に分離されるため、入射光の偏光状態に応じた比率で光パワーが分岐(透過光と反射光)されます。一方で、無偏光ビームスプリッタでは、入射光の偏光状態に関わらず、設計された規定の光パワー比率で分岐されます。

多くのビームスプリッタは、プレート型ビームスプリッタとキューブ型ビームスプリッタに分類されます。その他には、ペリクルビームスプリッタ、結晶ビームスプリッタ、ブリュースターウィンドウ、くさび形プレートなどがあります。以下ではそれぞれの特徴や長所について説明しています。仕様の比較については「BSセレクションガイド」タブをご覧ください。

ビームスプリッタから出射する光の波長は入射光と同じです。これが入射光を2つの波長帯で分岐するダイクロイックミラーホットミラーやコールドミラーとの違いです。

プレート型ビームスプリッタ

プレート型スプリッタは、比較的軽量で設置面積も小さいので、スペースが限られているセットアップに有益です。通常、45°の入射角になるよう光路中に置かれます。プレートは、光の一部分を反射し、残りを透過する薄膜でコーティングされています。透過光は、屈折により入射ビームからオフセットします。プレート型ビームスプリッタの背面では、ゴースト反射あるいはゴーストと呼ばれる2回目の反射が発生します。ゴーストを低減するために、当社のプレート型ビームスプリッタの背面には、反射防止(AR)コーティングまたは30 arcminウェッジ、あるいはそれらを組み合わせて施している場合があります。

高感度の用途においては、反射光を補償板に通し、透過光の光路長と一致させる必要がある場合があります。補償板はビームスプリッタと同じ材質と厚さのウィンドウで、ビームスプリッタを透過したときに生じた光路差を補償します。

キューブ型ビームスプリッタ

キューブ型ビームスプリッタは、プレート型やペリクル型のビームスプリッタと比べて機械的に堅牢なビームスプリッタです。2つの直角プリズムの斜面を接合して作られており、その境界面の薄膜コーティングにより光が分岐されます。2つのプリズムは接着剤またはオプティカルコンタクトによって接合されています。オプティカルコンタクトは2つのガラス面を接合する高度な方法ですが、レーザの損傷閾値を制限する要因となる接着剤を使用しません。

これらのキューブは、通常は光路中に入射角0°で配置するため、1つの出射光は光軸上にとどまり、もう1つの出射光は90°偏向します。入射角が0°であることの利点の1つは、透過光の屈折によるオフセットが最小に抑えられることです。このことと入出射面でのARコーティングによりゴーストが低減されます。一方で、キューブには厚みがあるため、プレート型やペリクル型のビームスプリッタと比較すると光路長が長くなり、群遅延分散(GDD)が大きくなります。またビームスプリッターキューブを取り付けるにはプレート型よりも大きなスペースが必要なため、それがスペースの限られたセットアップでは欠点になることもあります。キューブの取付け方については、「BSキューブの取付け」タブをご覧ください。

ペリクルビームスプリッタ

ペリクルビームスプリッタは、金属筐体内に張力をかけて取付けられたニトロセルロース膜で構成されています。膜の厚さがわずか数µmのため、2つ目の面での反射光が1つ目の反射光に重畳し、ゴーストが効果的に除去されます。ペリクルビームスプリッタでは色分散や色収差が最小に抑えられるため、ビームを集光する用途に適しています。

最も軽量なビームスプリッタですが、薄膜は非常に繊細で可燃性があります。この光学素子は慎重に取り扱う必要があり、また低光パワーに対してのみご使用ください。また、薄膜干渉により出射光パワーが波長に対して正弦波的に変化するため、ペリクルビームスプリッタは実験条件に合わせて慎重に選択する必要があります。干渉の影響については、ペリクルビームスプリッタの製品紹介ページをご覧ください。

結晶ビームスプリッタ

方解石、フッ化マグネシウム(MgF2)、石英、α-BBO, and YVO4などの結晶では、光と結晶の光軸との相互作用により、透過光と反射光に偏光を生じさせることができます。結晶ビームスプリッタの主な利点は、プレート型やキューブ型の偏光ビームスプリッタに比べてレーザに対する損傷閾値や消光比が比較的高いことであり、そのため偏光レーザ光源用などに適しています。これらのビームスプリッタはバルク単結晶の場合と、接着剤またはオプティカルコンタクトで複数の結晶が接合されている場合があります。結晶の温度を変える時は、熱衝撃を与えて割れや破損につながる場合があるので注意が必要です。

当社の結晶ビームスプリッタでは、それぞれの波長範囲において100 000:1の優れた消光比が得られます。α-BBOビームスプリッタはUV域、方解石は可視(VIS)~近赤外(NIR)域、YVO4は近赤外(NIR)~中赤外(MIR)域に適しています。

ブリュースターウィンドウ

ブリュースターウィンドウはコーティング無しの基板(UV溶融石英)で、ブリュースタ角で配置したとき、その光軸に対するプロファイルは円形になります。ブリュースタ角では、入射光のp偏光成分は反射損失無しで透過しますが、s偏光成分は部分的に反射します。ブリュースターウィンドウは重ねて配置して偏光子として使用したり、ビームの偏光比の向上に使用したりできます。

くさび形ビームスプリッタ

くさび形ビームスプリッタは反射の繰り返しと屈折によって、1つの入射光を同様の性質を持った複数の光に分離します。入射光は徐々に減衰しながら、様々な出射角を有する多数の複製された出射光を生成します。それらの出射光の偏向角は簡単に計算できます。詳細はこちらをご覧ください。

ビームスプリッタのセレクションガイド

当社ではビームを強度比や偏光に基づいて分岐する、様々なタイプのビームスプリッタを豊富に取り揃えています。プレート型やキューブ型のビームスプリッタのほか、形状の異なるペリクルや複屈折性結晶を用いた製品もございます。それぞれの特長や用途の比較についてはこちらの概要をご覧ください。ビームスプリッタの多くはマウント付きまたはマウント無しでご提供しています。こちらでは、当社のビームスプリッタの全製品を一覧できます。各種類のMore [+]をクリックすると、ビームスプリッタの種類、波長域、分岐比/消光比、透過率、サイズなどの詳細をご覧いただけます。

プレート型ビームスプリッタ

無偏光ビームスプリッタ、プレート型
偏光ビームスプリッタ、プレート型
  • 特記がない限り入射角は45°
  • 円形光学素子のみ30 arcminウェッジ付き
  • P偏光用に設計されています。

キューブ型ビームスプリッタ

無偏光ビームスプリッタ、キューブ型
偏光キューブおよび多面体ビームスプリッタ

ペリクルビームスプリッタ

無偏光ビームスプリッタ、ペリクル型

結晶ビームスプリッタ

偏光ビームスプリッタ、結晶型
  • 保護用筐体、ネジ切り無しリング、またはシリンダにマウント済み
  • マウント無しの製品と保護用筐体またはネジ切り無しシリンダにマウント済みの製品をご用意しています。

その他

その他のビームスプリッタ

当社のビームスプリッターキューブ用に、様々なマウントをご提供しています。下記のマウントを使用してキューブをポストに取り付けたり、16 mmまたは30 mmケージシステムに組み込んだりすることができます。ポスト取付け用のマウントは、M4タップ穴付きØ12 mm~Ø12.7 mm(Ø1/2インチ)ポストまたはØ25 mm~Ø25.4 mm(Ø1インチ)ポストに取り付け可能です。

Post-Mountable Mounts for Beamsplitter Cubes
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(Cubes Not Included)
Item #PCM(/M)BSH10(/M)
BSH05(/M)
BSH20(/M)
BSH1(/M)
BSH2(/M)
FBTB(/M)KM100PM(/M)KM200PM(/M)KM100B(/M)KM200B(/M)K6XS
Required AccessoriesBase: PCMP(/M)--Clamp:
PM3(/M) or PM4(/M)
Clamp:
PM3(/M) or PM4(/M)
Clamp:
PM3(/M) or PM4(/M)
Clamp:
PM3(/M) or PM4(/M)
Adapter:
K6A1(/M)
Mounting OptionsØ1/2" PostsØ1/2" Postsa,bØ1/2" PostsØ1/2" PostsØ1/2" PostsØ1/2" PostsØ1/2" PostsØ1/2" Posts
FeaturesCompactCompactGlue-In Mount with Precision Tip, Tilt, and RotationTip and RotationTip and RotationKinematic MountKinematic Mount6-Axis Mount
Compatible
Beamsplitter
Cube Size(s)
Up to 20 mm10 mm, 1/2",
20 mm, 1", 2"
5 mmUp to 20 mmc
Up to 1" d
Up to 20 mmc
Up to 1" d
Up to 2" e
Up to 20 mmc
Up to 1" d
Up to 20 mmc
Up to 1" d
Up to 2" e
5 mm
10 mm
1/2"
  • BSH10/MをØ12 mm~Ø12.7 mm(Ø1/2インチ)ポストにとりつけるにはネジアダプタAP8E4Eが必要です。
  • BSH1/MおよびBSH2/Mは2つのM6ザグリ穴を使用して光学テーブルに直接取り付けることができます。
  • クランプPM3/Mを使用した場合
  • クランプPM4/Mを使用した場合
  • PM4/MおよびエクステンションポストPM4SP/Mを使用した場合
Cage System Mounts for Beamsplitter Cubes
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(Cubes Not Included)
Item #Cage Cube:
SC6W
ARV1CRM1(/M) or CRM1P(/M)Cage Cube: C4W or C6W aCCM1-4ER(/M)CCM1-A4ER(/M)CCM1-B4ER(/M)CCM1-C4ER(/M)
Required AccessoriesClamp: SB6C,
Platform: SPM2
-Adapter:
K6A1(/M)
Clamp: B6C,
Platform:
B3C(/M) or B4C(/M)
Clamp: B6C,
Platform:
B3CR(/M) or B4CRP(/M)
----
Mounting
Options
16 mm Cage Systems30 mm Cage Systems30 mm Cage Systems or Ø1/2" Posts30 mm Cage Systems30 mm Cage Systems or Ø1/2" Posts
FeaturesCompactCompactRotation MountFixed or Kinematic PlatformsRotation Platforms-One Rotation MountTwo Rotation Mounts @ 180°Two Rotation Mounts @ 90°
Compatible
Beamsplitter
Cube Size(s)
10 mm5 mm
10 mm
5 mm
10 mm
1/2"
1/2"
20 mm
1"
5 mm (with BS5CAM Adapter)
10 mm (with BS10CAM Adapter)
1/2" (with BS127CAM Adapter)
20 mm (with BS20CAM Adapter)
1" (Directly Compatible)
  • 上の写真では可能な組み合わせを2つ表示しています。ケージキューブ、クランプならびにプラットフォームは自由に組み合わせることができます。
Contact Thorlabs

Thorlabs Lab Fact/当社で行った特性確認実験:ビームスプリッタの種類による特性比較

当社の3種類のビームスプリッタ、プレート型、キューブ型、ペリクル型の偏光角度、分岐比、総出力パワーを比較しました。すべての無偏光ビームスプリッタはそれぞれ同じように機能しますが、その性能はビームスプリッタの種類によって異なります。ビームスプリッタのタイプにより、長所と短所があります。変動に敏感な実験システムにおいては、ビームスプリッタを適切に選択する必要があります。ここでは、3種類の一般的な無偏光ビームスプリッタを詳しく分析して、光学的パラメータを比較しました。

実験では、安定化HeNeレーザHRS015(旧製品)を光源として使用しました。ビームスプリッタに入射するs偏光とp偏光を等しくするため、レーザ光の直線偏光の偏光軸を45°に設定しました。次に実験対象のビームスプリッタを光路中に配置し、分岐後のビーム光が適切なディテクタに送出されるようにセットしました。以上のセットアップで、ビームスプリッタを透過する総出力パワー、偏光状態、分岐比、入射角の影響に関する実験検証を行いました。

下記のグラフは、3種類のビームスプリッタで得られた測定値を図示しています。これらのグラフから各ビームスプリッタの性能を簡単に比較できます。左下のグラフは、各ビームスプリッタの出力光パワーの総計を示しています。この測定結果は、入射光のパワーに対する出力光パワーの総計の変化を示しています。この結果をみると、プレート型とペリクル型のビームスプリッタの性能は類似していますが、キューブ型では内部で光が吸収されている可能性が推測されます。さらにこのグラフは、出力光パワーの総計と入射角の間に相関関係がないことを示唆しています。下の中央にあるグラフでは、各ビームスプリッタの出射偏光状態を比較しています。キューブ型では、反射光と透過光で同様の偏光角になっており、一方でプレート型では、偏光角の差異が最も大きくなっています。右下のグラフは、実験で得られた分岐比の結果をまとめており、各ビームスプリッタの種類ごとに、入射パワーの変化に対する分岐比の結果を示しています。この結果から、50/50のパワーの分岐においては、プレート型ビームスプリッタが最も理想値に近い数値を示しています。この実験に使用された装置や実験結果の詳細はこちらをクリックしてご覧ください。


Posted Comments:
user  (posted 2023-11-08 11:09:05.277)
Regarding the change in polarization angle between reflected and transmitted beams, do all of your cube and plate beamsplitters behave similarly to the BSW10 tested in the lab facts slides? i.e. with an IR beamsplitter such as BSW42, do you see the same behaviour where the cube BS preserves polarisation angle and the plate BS does not? Thanks
cdolbashian  (posted 2023-11-17 11:24:39.0)
Thank you for reaching out to us with this inquiry. It is very likely you would see the same effect. Reflections from non-normal incidence of dielectric stacks tend to produce this effect. Following the trends we show here, you should be able to pick a style of polarizer which is best for your application.
bruce harrison  (posted 2019-04-04 21:27:10.27)
How about how beamsplitters are used as beam combiners? How does the side 2 coating come into play with the different types of splitters? How well can they combine two beams of the same wavelength and then two beams of different wavelength?
YLohia  (posted 2019-04-05 04:59:46.0)
Hello, thank you for your valuable feedback. We have added this to our list of tasks and intend to have this information available on our website as a future Lab Fact or just a general guide on the relevant beamsplitter pages.