液晶ビームシャッター / 可変減衰器


  • Vibration Free with Fast Shutter Switching Speeds: 5 ms to 66 ms
  • High Transmission and High Contrast Ratio for Visible
    or NIR Wavelengths
  • Optical Shutter and Variable Attenuator Modes

LCC1620A

Liquid Crystal Optical
Shutter, 420 - 700 nm

Application Idea

LCC1622/M Optical Shutter (700 - 1100 nm)
Mounted to a CS135MUN 1.3 Megapixel
CMOS Camera with ERSCB Rod Adapters

LCC1623

Liquid Crystal Optical
Shutter, 1050 - 1700 nm

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Key Specifications
LCC1620A(/M)LCC1622(/M)LCC1623(/M)
Operating Wavelength420 - 700 nm700 - 1100 nm1050 - 1700 nm
Transmissiona (Avg.)> 60%> 80%
Contrast Ratiob (Avg.)> 8000:1> 7300:1> 23 000:1
Switching
Speedc
Opening5 ms (Typ.)16 ms (Typ.)66 ms (Typ.)
Closing1 ms (Typ.)0.37 ms (Typ.)0.91 ms (Typ.)
  • シャッターモードにおいて、偏光軸がシャッタの透過軸に平行な直線偏光を入射したときの透過率。
  • 平均コントラスト比は動作波長範囲内での平均値です。コントラスト比は、シャッタが開いている状態での透過光と閉まっている状態での透過光の強度の比で定義しています。
  • シャッターモードでEXTポートから0~5 V TTL信号を入力したときの応答。開時間は、TTL信号が最大TTL信号の10%まで低下してから、シャッタの透過光パワーが最大透過時の90%に上昇するまでの時間で定義しています。閉時間は、TTL信号が最大TTL信号の90%まで上昇してから、シャッタの透過光パワーが最大透過時の10%に低下するまでの時間で定義しています。

特長

  • 液晶光シャッタ/可変減衰器を以下の波長範囲でご用意しております。
    • LCC1620A/M: 420~700 nm
    • LCC1622A/M: 700~1100 nm
    • LCC1623A/M: 1050~1700 nm
  • 可動部の無い無振動のデバイス
  • 動作波長範囲で高い平均透過率と平均コントラスト比を実現(右の表をご参照ください)
  • シャッターモードと減衰器モード
  • 高速のシャッタ切替(シャッターモード時)
  • ポストおよび30 mmケージシステムに取り付け可能
  • SM1内ネジにはØ25 mm~Ø25.4 mm(Ø1インチ)レンズチューブの取り付けが可能

当社の液晶(LC)光シャッタ/可変減衰器は、偏光素子の間に液晶セルを挟んで構成されており、これにより素早く透過率を変化させ、デバイス内を伝搬する光を遮断したり減衰させたりします。シャッタの動作波長範囲は420~700 nm、700~1100 nmまたは1050~1700 nmです。この光シャッタには可動部がないため、デバイス内の光強度を高速かつ無振動で制御できます。高速で切替が可能なため、イメージングや精密照明の用途に適しています。ビーム光を遮断または透過させるための光シャッタとしてのほかに、可変減衰器としてもご使用いただけます。シャッターモードでは、LCC1620A/Mは5 msで開き、1 msで閉じることができます。LCC1622/Mは16 msで開き、0.37 msで閉じます。LCC1623/Mは66 msで開き、0.91 msで閉じます。(詳細は「仕様」タブをご覧ください)。減衰器モードでは、シャッタ上部のポテンショメータを用いて減衰レベルを設定します。

モードの選択はシャッタ上部のスイッチで行います。シャッターモードの時は、この液晶光シャッタは機械式シャッタと同様に完全に光を透過させたり遮断したりできます。減衰器モードでは、シャッタ上部のノブで減衰レベルを調整することで、可変減衰器として使用できます。どちらのモードにおいても、シャッタは上部ノブによる手動操作と、ファンクションジェネレータまたはマイクロコントローラからの外部信号によって制御されます。外部信号は、シャッタ上部のSMAコネクタを介して入力します。シャッターモードにおける外部信号は0~5 V TTL信号、減衰器モードにおける外部信号は0~5 V DC信号です。シャッタ側面にあるLEDランプ(「STATUS」と標示)は、シャッタが光を透過しているときは緑色、光を完全に遮断しているときは赤色に点灯します。液晶シャッタには、液晶表面を保護するためのエンドキャップSM1CP2が2個と、日本国内用電源コードの付いた電源DS12が付属します。

LCC1620A/Mでは、当社のシングルブレード式ダイヤフラム式の光学ビームシャッタに比べて極めて速い切替速度が得られます。 また、機械式シャッタよりも高い周波数での変調が可能です。LCC1622/MとLCC1623/Mでは、機械式シャッタと同等の切替速度と動作周波数帯域を有します。液晶シャッタはアナログ変調も可能であり、機械式シャッタとは異なり振動やノイズがありません。液晶セルには波長の制限があるため、こちらの液晶シャッタが対応する波長以外の用途では機械式シャッタをお使いください。また液晶シャッタでは偏光子を使用しているため、無偏光を操作する用途では機械式シャッタの使用をご検討ください。シャッタのタイプごとの比較については「セレクションガイド」タブをご覧ください。

透過光と偏光
液晶シャッタは液晶セルと偏光子で構成されているため、伝搬方向の影響を受けず、どちらの向きからでも入射可能です。両面にはデバイスの偏光軸を示す白い線が刻印されています(「筐体の特長」タブをご覧ください)。透過率を最大にするには、入射ビームは直線偏光であり、その偏光軸はシャッタの偏光軸に平行に設定されている必要があります。なお、このシャッタから出射される光の偏光軸は、入射光に対して90°回転していますのでご注意ください。 シャッタは無偏光にもご利用いただけますが、光量の半分が入射側偏光子によって遮断されるため、全透過率は大きく低下します。

取付けオプション
筐体の前面と背面にはSM1内ネジが付いており、フィルタØ25.4 mm(Ø1インチ)レンズチューブを取付けることができます。また、筐体の前面と背面には4つのケージロッド用タップ穴が付いており、当社の30 mmケージシステムに対応しています。シャッタは、筐体側面の2つのM4タップ穴の1つを利用してポストにも取付けられます。

Item #LCC1620A(/M)LCC1622(/M)LCC1623(/M)
Operating Wavelength Range420 - 700 nm700 - 1100 nm1050 - 1700 nm
Transmissiona (Shutter Mode, Avg.)> 60%>80%
Contrast Ratiob (Avg.)> 8000:1> 7300:1> 23 000:1
Laser Damage ThresholdCWc0.8 W/cm (532 nm, Ø0.471 mm)----
Pulsed (ns)0.4 J/cm2 (532 nm, 10 ns, 10 Hz, Ø0.750 mm)0.1 J/cm2 (810 nm, 7.2 ns, 10 Hz, Ø0.216 mm)--
Clear ApertureØ20 mm
Surface Quality40-20 Scratch-Dig
Max Incident Angle±5°
Switching Speed (in Shutter Mode)dOpening 5 ms (Typ.)16 ms (Typ.)66 ms (Typ.)
Closing1 ms (Typ.)0.37 ms (Typ.)0.91 ms (Typ.)
Operating Frequency Rangee0 - 50 Hz----
Wavefront Distortion≤λ/4 @ 633 nm----
External InputSMA Connector, 0 - 5 V, 25 kΩ Input Impedance
Power Adapter12 VDC / 4 A with Power Cord
AC Power Requirements100 - 240 VAC
MountingTwo #8-32 (M4) Threaded Holes for Post Mounting
30 mm Cage System Compatible
Internal SM1 (1.035"-40) Threads, Ø1" Lens Tube Compatible
Operating Temperature15 to 60 °C
Dimensions
(L × W × H)
Main Body60 mm × 27 mm × 60 mm
(2.36" × 1.06" × 2.36")
Max66.1 mm × 27 mm × 79.5 mm
(2.60" × 1.06" × 3.13")
  • 偏光軸がシャッタの透過軸に平行な直線偏光を入射したときの透過率
  • 平均コントラスト比は動作波長範囲内での平均値です。コントラスト比は、シャッタが開いている状態での透過光と閉まっている状態での透過光の強度の比で定義しています。
  • ビームのパワー密度はW/cmの単位で計算します。このパワー密度の単位(単位長さあたりのパワー)が長パルスおよびCW光源に対して最も適した測定量である理由については、「損傷閾値」タブをご参照ください。
  • シャッターモードで、EXTポートから0~5 V TTL信号を入力した時の応答。開時間は、TTL信号が最大TTL信号の10%まで低下してから、シャッタの透過光パワーが最大透過時の90%に上昇するまでの時間で定義しています。閉時間は、TTL信号が最大TTL信号の90%まで上昇してから、シャッタの透過光パワーが最大透過時の10%に低下するまでの時間で定義しています。
  • シャッターモードにおいて、0~5 V TTL信号を入力したときの応答。シャッタは、小さなコントラスト比であれば、100 Hz以上の周波数でも駆動可能です。周波数を変化させたときのシャッタ性能の変化は「グラフ」タブでご覧いただけます。

Polarization Window, Straight vs. Coiled
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上の図は、TTLパルス(上)とシャッタ応答(下)のタイミングを表しています。

Shutter Timing Specifications
Diagram KeyaDescriptionLCC1620A(/M) Time (Typ.)LCC1622(/M) Time (Typ.)LCC1623(/M) Time (Typ.)
A→BDelay between the input pulse's rising edge at 90% and the initialization of shutter down to 90%0.065 ms0.256 ms0.52 ms
B→CFalling edge from 90% to 10%0.346 ms0.112 ms0.39 ms
A→CDelay between the input pulse's rising edge at 90% and shutter down to 10%0.411 ms0.368 ms0.91 ms
D→EDelay between the input pulse's falling edge at 10% and initialization of the shutter rise to 10%2.23 ms9.2 ms24 ms
E→FRising Edge from 10% to 90%3.24 ms6.78 ms42 ms
D→FDelay between the input pulse's falling edge at 10% and shutter rise to 90%5.47 ms15.98 ms66 ms
  • A~Fは、右図に記載されているタイミングに対応します。すべて25 °Cでの値です。25 °Cを超える温度でのタイミングについては、下の赤いアイコン(Docs Icon)をクリックしてマニュアルをご参照ください。

下のグラフは液晶光シャッタLCC1620A(/M)、LCC1622(/M)、LCC1623(/M)の測定データセットです。すべてのデータ取得に際し、直線偏光の偏光軸をシャッタの透過軸(シャッタ面に印されている白い線)に平行に設定して入射しています。コントラスト比は、シャッタが開いている状態での透過光と閉まっている状態での透過光の強度の比で定義しています。

Liquid Crystal Optical Beam Shutter Performance Graphsa
Item #bWavelength RangeAttenuator Mode TransmissionShutter Mode Temperature DependenceShutter Mode AOI DependenceNormalized Contrast RatioTransmission and Contrast Ratio
Vs. VoltageVs. WavelengthTransmissionContrast RatioTransmissionContrast Ratio
LCC1620A(/M)420 - 700 nm 
LCC1622(/M)700 - 1100 nm 
LCC1623(/M)1050 - 1700 nm 
  • 小さなグラフアイコンをクリックすると、フルサイズのグラフをご覧いただけます。
  • 製品型番をクリックすると生データをご覧いただけます。

筐体の特長

すべてのシャッタは同じ筐体を使用しています。その主な特長を以下に示します。

Liquid Crystal Shutter Top and Bottom Views
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シャッタLCC1622(/M)の上部および底部
Liquid Crystal Shutter Front View
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シャッタLCC1623(/M)の前面
Liquid Crystal Shutter Side View
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シャッタLCC1620A(/M)の側面
Liquid Crystal Shutter Top and Bottom Views
CalloutDescription
1Potentiometer Knob
2Shutter Sliding Switch
3External Input SMA Connector
48-32 (M4) Tapped Hole for Mounting
Liquid Crystal Shutter Front Viewa
CalloutDescription
14-40 Tapped Holes for 30 mm Cages System
2Internal SM1 Threads
3White Line Indicating Polarization Axis
  • シャッタの背面にも、すべての構造が同じ位置に配置されています。
Liquid Crystal Shutter Side View
CalloutDescription
1Status LED
2DS12 Power Connector
3 8-32 (M4) Tapped Hole for Mounting
Damage Threshold Specifications
Liquid Crystal ShutterDamage Threshold
LCC1620A(/M)Pulsed (ns)0.4 J/cm2 (532 nm, 10 ns, 10 Hz, Ø0.750 mm)
CWa0.8 W/cm (532 nm, Ø0.471 mm)
LCC1622(/M)Pulsed (ns)0.1 J/cm2 (810 nm, 7.2 ns, 10 Hz, Ø0.216 mm)
  • ビームのパワー密度はW/cmの単位で計算してください。 このパワー密度の単位(単位長さあたりのパワー)が長パルスおよびCW光源に対して最も適した測定量である理由については、下の「CWレーザと長パルスレーザ」セクションをご参照ください。

当社の液晶シャッタの損傷閾値データ

右の仕様は当社の液晶シャッタの測定値です。

 

レーザによる損傷閾値について

このチュートリアルでは、レーザ損傷閾値がどのように測定され、使用する用途に適切な光学素子の決定にその値をどのようにご利用いただけるかを総括しています。お客様のアプリケーションにおいて、光学素子を選択する際、光学素子のレーザによる損傷閾値(Laser Induced Damage Threshold :LIDT)を知ることが重要です。光学素子のLIDTはお客様が使用するレーザの種類に大きく依存します。連続(CW)レーザは、通常、吸収(コーティングまたは基板における)によって発生する熱によって損傷を引き起こします。一方、パルスレーザは熱的損傷が起こる前に、光学素子の格子構造から電子が引き剥がされることによって損傷を受けます。ここで示すガイドラインは、室温で新品の光学素子を前提としています(つまり、スクラッチ&ディグ仕様内、表面の汚染がないなど)。光学素子の表面に塵などの粒子が付くと、低い閾値で損傷を受ける可能性があります。そのため、光学素子の表面をきれいで埃のない状態に保つことをお勧めします。光学素子のクリーニングについては「光学素子クリーニングチュートリアル」をご参照ください。

テスト方法

当社のLIDTテストは、ISO/DIS 11254およびISO 21254に準拠しています。

初めに、低パワー/エネルギのビームを光学素子に入射します。その光学素子の10ヶ所に1回ずつ、設定した時間(CW)またはパルス数(決められたprf)、レーザを照射します。レーザを照射した後、倍率約100倍の顕微鏡を用いた検査で確認し、すべての確認できる損傷を調べます。特定のパワー/エネルギで損傷のあった場所の数を記録します。次に、そのパワー/エネルギを増やすか減らすかして、光学素子にさらに10ヶ所レーザを照射します。このプロセスを損傷が観測されるまで繰返します。損傷閾値は、光学素子が損傷に耐える、損傷が起こらない最大のパワー/エネルギになります。1つのミラーBB1-E02の試験結果は以下のようなヒストグラムになります。

LIDT metallic mirror
上の写真はアルミニウムをコーティングしたミラーでLIDTテストを終えたものです。このテストは、損傷を受ける前のレーザのエネルギは0.43 J/cm2 (1064 nm、10 ns pulse、 10 Hz、Ø1.000 mm)でした。
LIDT BB1-E02
Example Test Data
Fluence# of Tested LocationsLocations with DamageLocations Without Damage
1.50 J/cm210010
1.75 J/cm210010
2.00 J/cm210010
2.25 J/cm21019
3.00 J/cm21019
5.00 J/cm21091

試験結果によれば、ミラーの損傷閾値は 2.00 J/cm2 (532 nm、10 ns pulse、10 Hz、 Ø0.803 mm)でした。尚、汚れや汚染によって光学素子の損傷閾値は大幅に低減されるため、こちらの試験はクリーンな光学素子で行っています。また、特定のロットのコーティングに対してのみ試験を行った結果ではありますが、当社の損傷閾値の仕様は様々な因子を考慮して、実測した値よりも低めに設定されており、全てのコーティングロットに対して適用されています。

CWレーザと長パルスレーザ

光学素子がCWレーザによって損傷を受けるのは、通常バルク材料がレーザのエネルギを吸収することによって引き起こされる溶解、あるいはAR(反射防止)コーティングのダメージによるものです[1]。1 µsを超える長いパルスレーザについてLIDTを論じる時は、CWレーザと同様に扱うことができます。

パルス長が1 nsと1 µs の間のときは、損傷は吸収、もしくは絶縁破壊のどちらかで発生していると考えることができます(CWとパルスのLIDT両方を調べなければなりません)。吸収は光学素子の固有特性によるものか、表面の不均一性によるものかのどちらかによって起こります。従って、LIDTは製造元の仕様以上の表面の質を有する光学素子にのみ有効です。多くの光学素子は、ハイパワーCWレーザで扱うことができる一方、アクロマティック複レンズのような接合レンズやNDフィルタのような高吸収光学素子は低いCWレーザ損傷閾値になる傾向にあります。このような低い損傷閾値は接着剤や金属コーティングにおける吸収や散乱によるものです。

Linear Power Density Scaling

線形パワー密度におけるLIDTに対するパルス長とスポットサイズ。長パルス~CWでは線形パワー密度はスポットサイズにかかわらず一定です。 このグラフの出典は[1]です。

Intensity Distribution

繰返し周波数(prf)の高いパルスレーザは、光学素子に熱的損傷も引き起こします。この場合は吸収や熱拡散率のような因子が深く関係しており、残念ながらprfの高いレーザが熱的影響によって光学素子に損傷を引き起こす場合の信頼性のあるLIDTを求める方法は確立されておりません。prfの大きいビームでは、平均出力およびピークパワーの両方を等しいCW出力と比較する必要があります。また、非常に透過率の高い材料では、prfが上昇してもLIDTの減少は皆無かそれに近くなります。

ある光学素子の固有のCWレーザの損傷閾値を使う場合には、以下のことを知る必要があります。

  1. レーザの波長
  2. ビーム径(1/e2)
  3. ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)
  4. レーザのパワー密度(トータルパワーをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)

ビームのパワー密度はW/cmの単位で計算します。この条件下では、出力密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません(右グラフ参照)。平均線形パワー密度は、下の計算式で算出できます。

ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。次に、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときはビームの強度が1/e2の2倍のパワー密度を有します(右下図参照)。

次に、光学素子のLIDTの仕様の最大パワー密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です。おおよその目安として参考にできるのは、損傷閾値は波長に対して比例関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(つまり、1310 nmで10 W/cmのLIDTならば、655 nmでは5 W/cmと見積もります)。

CW Wavelength Scaling

この目安は一般的な傾向ですが、LIDTと波長の関係を定量的に示すものではありません。例えば、CW用途では、損傷はコーティングや基板の吸収によってより大きく変化し、必ずしも一般的な傾向通りとはなりません。上記の傾向はLIDT値の目安として参考にしていただけますが、LIDTの仕様波長と異なる場合には当社までお問い合わせください。パワー密度が光学素子の補正済みLIDTよりも小さい場合、この光学素子は目的の用途にご使用いただけます。

当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社は個別の情報やテスト結果の証明書を発行することもできます。損傷解析は、類似した光学素子を用いて行います(お客様の光学素子には損傷は与えません)。試験の費用や所要時間などの詳細は、当社までお問い合わせください。

パルスレーザ

先に述べたように、通常、パルスレーザはCWレーザとは異なるタイプの損傷を光学素子に引き起こします。パルスレーザは損傷を与えるほど光学素子を加熱しませんが、光学素子から電子をひきはがします。残念ながら、お客様のレーザに対して光学素子のLIDTの仕様を照らし合わせることは非常に困難です。パルスレーザのパルス幅に起因する光学素子の損傷には、複数の形態があります。以下の表中のハイライトされた列は当社の仕様のLIDT値が当てはまるパルス幅に対する概要です。

パルス幅が10-9 sより短いパルスについては、当社の仕様のLIDT値と比較することは困難です。この超短パルスでは、多光子アバランシェ電離などのさまざまなメカニクスが損傷機構の主流になります[2]。対照的に、パルス幅が10-7 sと10-4 sの間のパルスは絶縁破壊、または熱的影響により光学素子の損傷を引き起こすと考えられます。これは、光学素子がお客様の用途に適しているかどうかを決定するために、レーザービームに対してCWとパルス両方による損傷閾値を参照しなくてはならないということです。

Pulse Durationt < 10-9 s10-9 < t < 10-7 s10-7 < t < 10-4 st > 10-4 s
Damage MechanismAvalanche IonizationDielectric BreakdownDielectric Breakdown or ThermalThermal
Relevant Damage SpecificationNo Comparison (See Above)PulsedPulsed and CWCW

お客様のパルスレーザに対してLIDTを比較する際は、以下のことを確認いただくことが重要です。

Energy Density Scaling

エネルギ密度におけるLIDTに対するパルス長&スポットサイズ。短パルスでは、エネルギ密度はスポットサイズにかかわらず一定です。このグラフの出典は[1]です。

  1. レーザの波長
  2. ビームのエネルギ密度(トータルエネルギをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)
  3. レーザのパルス幅
  4. パルスの繰返周波数(prf)
  5. 実際に使用するビーム径(1/e2 )
  6. ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)

ビームのエネルギ密度はJ/cm2の単位で計算します。右のグラフは、短パルス光源には、エネルギ密度が適した測定量であることを示しています。この条件下では、エネルギ密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません。ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。ここで、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときは一般にビームの強度が1/e2のときの2倍のパワー密度を有します。

次に、光学素子のLIDTの仕様と最大エネルギ密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です[3]。経験則から、損傷閾値は波長に対して以下のような平方根の関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(例えば、1064 nmで 1 J/cm2のLIDTならば、532 nmでは0.7 J/cm2と計算されます)。

Pulse Wavelength Scaling

 

波長を補正したエネルギ密度を得ました。これを以下のステップで使用します。

ビーム径は損傷閾値を比較する時にも重要です。LIDTがJ/cm2の単位で表される場合、スポットサイズとは無関係になりますが、ビームサイズが大きい場合、LIDTの不一致を引き起こす原因でもある不具合が、より明らかになる傾向があります[4]。ここで示されているデータでは、LIDTの測定には<1 mmのビーム径が用いられています。ビーム径が5 mmよりも大きい場合、前述のようにビームのサイズが大きいほど不具合の影響が大きくなるため、LIDT (J/cm2)はビーム径とは無関係にはなりません。

次に、パルス幅について補正します。パルス幅が長くなるほど、より大きなエネルギに光学素子は耐えることができます。パルス幅が1~100 nsの場合の近似式は以下のようになります。

Pulse Length Scaling

お客様のレーザのパルス幅をもとに、光学素子の補正されたLIDTを計算するのにこの計算式を使います。お客様の最大エネルギ密度が、この補正したエネルギ密度よりも小さい場合、その光学素子はお客様の用途でご使用いただけます。ご注意いただきたい点は、10-9 s と10-7 sの間のパルスにのみこの計算が使えることです。パルス幅が10-7 sと10-4 sの間の場合には、CWのLIDTも調べなければなりません。

当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社では個別のテスト情報やテスト結果の証明書を発行することも可能です。詳細は、当社までお問い合わせください。


[1] R. M. Wood, Optics and Laser Tech. 29, 517 (1998).
[2] Roger M. Wood, Laser-Induced Damage of Optical Materials (Institute of Physics Publishing, Philadelphia, PA, 2003).
[3] C. W. Carr et al., Phys. Rev. Lett. 91, 127402 (2003).
[4] N. Bloembergen, Appl. Opt. 12, 661 (1973).


Posted Comments:
antonio iazzolino  (posted 2024-04-04 10:33:13.99)
Dear Sir/Madam, I am in need of piloting the LCC1622 module for integration into our machine. Could you provide me with information regarding this matter? Additionally, I would like to inquire if it's possible to use the External Input SMA Connector to control the variation of attenuation of the liquid crystal. Thank you. Best regards,
cdolbashian  (posted 2024-04-26 08:58:04.0)
Thank you for contacting Thorlabs. The housing of LCC1622 has SM1 thread and 4-40, 8-32 tapped holes, it is supported to integrate into other systems, and its CAD drawing can be obtained by clicking the red file icon. Yes, when select attenuator mode on the top of LCC1622, you can apply 0-5V external signal to SMA connector to control attenuation, the typical transmission vs. voltage curve can be viewed by clicking the website 'Graphs" Tab on the product page.
Markus Humer  (posted 2024-01-09 12:54:29.29)
Dear Thorlabs, Is it possible to make liquid crystal optical shutters working in the mid-infrared region (from 3.7µm to 4.5µm to be specific). Thank you very much, best regards, Markus
jdelia  (posted 2024-01-11 03:43:19.0)
Thank you for contacting Thorlabs. We greatly appreciate hearing from our customers regarding potential extensions to our product lines. Currently, we are in the process of expanding our LC beam shutter offerings, and the MIR shutter is not in our roadmap yet. Thorlabs has an internal forum where product ideas can be posted. I will be sure to add your requirement to that list in the hopes that it will be recommended to our business unit leaders for future consideration as a product. For future custom requests, please feel free to contact your local Tech Support team (in your case: Europe@thorlabs.com) to discuss the feasibility of customization.
Xiaoya Su  (posted 2020-03-23 05:32:07.623)
Dear Sir/Madam, I have seen in your specs that the damage threshold is scaled in W/cm2, but in the introduction of calculation method of damage threshold, it says 'Thorlabs expresses LIDT for CW lasers as a linear power density measured in W/cm'. So which one eventually should I refer to? Thanks and looking forward to your reply. Yours sincerely, Xiaoya Su
YLohia  (posted 2020-03-24 09:25:40.0)
Hello Xiaoya, thank you for contacting Thorlabs. The damage threshold for this item was characterized in the past when we still measured this parameter in W/cm^2. The footnote you saw is intended to be paired with our specs that are given in W/cm across our various product pages on the website. Thank you for bringing this to our attention. We will work on correcting this. For your application, please refer to the W/cm^2 measurement as this is the data we currently have.
mawenjin Ma  (posted 2019-06-03 09:51:02.15)
Dear tholarbs: Whether there is threshold voltage in shutter mode?Can we apply the voltage exceed 5 V in shutter mode?
YLohia  (posted 2019-06-03 03:02:08.0)
Hello, thank you for contacting Thorlabs. When operating in "Shutter Mode" we recommend the Voltage IN to be between 4.8V-5V (closed) and 0V-1V (open). We do not recommend going over the 5V max.
emilio  (posted 2017-10-28 00:15:07.55)
Wish it was available in NIR.
nbayconich  (posted 2017-11-20 08:25:24.0)
Thank you for contacting Thorlabs. We can provide customized versions of these liquid crystal shutters in NIR. I will contact you directly with more information about our custom capabilities.
Shutter Selection Guide
Shutter TypeLiquid CrystalMechanical
Single BladeDiaphragmMechanical Chopper
Sample Product Photo
(Click to Enlarge)
Modulation FrequencyUp to 50 HzContinuous: Up to 10 Hz
Burst: Up to 25 Hz
Continuous: Up to 15 Hz
Burst: Up to 50 Hz
Up to 10 kHz (Depending on Blade)
Variable AttenuationYesNoNoNo
Custom ModulationTriggered and AnalogTriggeredTriggeredControlled by Chopper Speed,
Always Periodic
100% TransmissionNoYesYesYes
100% AttenuationNoYesYesYes
Clear ApertureØ20 mmØ1/2" or Ø1"Ø1/4", Ø1/2", or Ø1"Dependent on Chopper Blade
Vibration/Noise FreeYesNoNoNo
Integration FeaturesSM1-Threaded Aperture,
30 mm Cage Compatible,
and Tap for Post Mounting
SM05- or SM1-Threaded Aperture,
30 mm Cage Compatible,
and Tap for Post Mounting
SM05- or SM1-Threaded Aperture;
Adapters for 30 mm Cage System
or Post Mounting
Stand for Chopper Wheel (Included)
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液晶シャッタ / 可変減衰器

+1 数量 資料 型番 - インチ規格 定価(税抜) 出荷予定日
LCC1620A Support Documentation
LCC1620ACustomer Inspired! 液晶シャッタ/可変減衰器、Ø20 mm、420~700 nm、#8-32タップ穴(インチ規格)
¥144,072
3-5 weeks
LCC1622 Support Documentation
LCC1622Customer Inspired! 液晶シャッタ/可変減衰器、Ø20 mm、700 ~1100 nm、#8-32タップ穴(インチ規格)
¥190,745
3-5 weeks
LCC1623 Support Documentation
LCC1623Customer Inspired! 液晶シャッタ/可変減衰器、Ø20 mm、1050~1700 nm、#8-32タップ穴(インチ規格)
¥211,986
3-5 weeks
+1 数量 資料 型番 - ミリ規格 定価(税抜) 出荷予定日
LCC1620A/M Support Documentation
LCC1620A/MCustomer Inspired! 液晶シャッタ/可変減衰器、Ø20 mm、420~700 nm、M4タップ穴(ミリ規格)
¥144,072
Today
LCC1622/M Support Documentation
LCC1622/MCustomer Inspired! 液晶シャッタ/可変減衰器、Ø20 mm、700~1100 nm、M4タップ穴(ミリ規格)
¥190,745
3-5 weeks
LCC1623/M Support Documentation
LCC1623/MCustomer Inspired! 液晶シャッタ/可変減衰器、Ø20 mm、1050~1700 nm、M4タップ穴(ミリ規格)
¥211,986
3-5 weeks