セレン化亜鉛(ZnSe)非球面レンズ


  • Ø1" Laser-Grade ZnSe Aspheres
  • Two AR Coatings Available: 2 - 5 µm or 7 - 12 µm
  • Numerical Apertures from 0.22 to 0.67

AL72525-E3

f = 25.0 mm

AL72550-E1

f = 50.0 mm

Application Idea

ZnSe Asphere Mounted in ST1XY-D XY Translation Mount

AL72512-E3

f = 12.7 mm
Related Items


Please Wait
Common Specifications
Focal Length Tolerance±1%
Wavelength RangeE1-Coated Lenses: 2 - 5 µm
E3-Coated Lenses: 7 - 12 µm
AR Coating
Reflectance
E1-Coated Lenses: Ravg < 1.25%
E3-Coated Lenses: Ravg < 1.0%
Surface Quality
80-50 Scratch-Dig
Diameter Tolerance+0.00 mm / -0.10 mm
Center Thickness Tolerance±0.1 mm
SubstrateZinc Selenidea
Damage ThresholdE3-Coated Lenses: 5 J/cm2
(10.6 µm, 100 ns, 1 Hz, Ø0.478 mm)
  • リンクをクリックすると基板の仕様がご覧になれます。
Precision Aspheric Lenses Selection Guide
Substrate MaterialNAMount
UV Fused Silica0.142 - 0.145Unmounted
0.142 - 0.145Mounted
0.65Unmounted
N-BK7 / S-LAH640.23 - 0.61Unmounted
0.23 - 0.55Mounted
Zinc Selenide0.22 - 0.67Unmounted
Acylindrical Lenses0.45 - 0.54Unmounted
Axicons-Unmounted
IR Aspheric Lens Selection
Low NA (0.22)Maintains beam shape well; ideal for applications requiring a specific beam shape.
High NA
(0.42 - 0.67)
Ideal for applications requiring high light-gathering ability where spherical aberration is undesirable.
Zemaxファイル
下の型番横の赤いアイコン(資料)をクリックするとZemaxファイルをダウンロードいただけます。 また、こちらからは当社の全てのZemaxファイルの一括ダウンロードが可能です。
Optical Coatings and Substrates
Lens Tutorial
Optic Cleaning Tutorial

特長

  • CVD法で作製したレーザーグレードのØ25.4 mm(Ø1インチ)セレン化亜鉛基板
  • 2種類のARコーティング:2~5 µmまたは7~12 µm
  • 3種類の焦点距離:12.7 mm、25.0 mm、50.0 mm

当社のØ25.4 mm(Ø1インチ)セレン化亜鉛(ZnSe)非球面レンズは、中赤外域において高い透過率を示します。 これらのレンズは、2~5 µmまたは7 ~12 µmの波長範囲での表面反射を最小限に抑えるARコーティング付きでご用意しています(型番末尾がそれぞれ-E1、-E3となっています)。 これらのコーティングは、基板表面の反射率を大幅に削減し、ARコーティング範囲の全域における面あたりの平均反射率は1.25% (-E1)または1.0% (-E3)以下となっています。 詳細については「グラフ」タブをご参照ください。  このレンズは、ダイアモンド施盤を用いて製造され、また、表面形状測定装置を用いて、適切な非球面形状であることをテストしています。 結果として、同じような大きさの成型非球面レンズに比べ、RMS波面エラーを通常20~50倍も改善します。

平凸レンズに比べ、これらのZnSe非球面レンズは、透過した波面に球面収差を引き起こすことなく、一般的に集光やコリメートに利用されます。 単色光源光を単一の球面レンズで集光またはコリメートする場合、回析限界に近い限界性能を達するのを妨げる主な原因が球面収差です。 従って、球面収差が補正されている非球面レンズは、ファイバまたはレーザの出力のコリメート、光のファイバへの入射、空間フィルタ、ディテクタ上への光のイメージング等、多くの用途に適したレンズになります。 コリメートにお使いの場合、もっとも良い性能を得るためには平坦面をレーザなどの点光源側に向けてください。 屈折率が比較的高いので(約2.4)、フッ化カルシウム等の他材料で作られた非球面レンズよりも焦点距離が短く、低分散による設計が可能です。

光学素子の取扱いには常に手袋をご着用ください。 特に、セレン化亜鉛(ZnSe)は素手で取り扱うと危険な材料なので、 お客様の安全ため、これらのレンズのお取り扱いの際には手袋の着用に加え事後の適切な手洗いなど、すべての安全上のご注意をお守りください。 ZnSeは硬度が低いので、レンズの損傷には特にご注意ください。 ZnSeの製品安全データシート(SDS)はPDF形式で こちらからダウンロードできます。

使用済みのセレン化亜鉛(ZnSe)レンズを廃棄される場合には、自治体の規則に従って廃棄してください。

セレン化亜鉛(ZnSe)透過率データ

下記に示している透過率のデータは、10 mmの厚さ、コーティング無しのセレン化亜鉛(ZnSe)のサンプルを用いて測定しています。入射光は、表面に対して垂直です。このデータは、表面反射を含んだ透過率であることにご注意ください。

波長3~12 µmの範囲における透過損失は、主に表面反射によるものです。ZnSeは、この範囲で高い屈折率を示します(10.6 μmにおいてn=2.4)。そのため、当社が販売しているZnSe非球面レンズには反射防止コーティングを施しています。このコーティングの性能については透過率プロットの下の反射率プロットをご覧ください。


Transmission for ZnSe

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生データはこちらからダウンロードいただけます。


セレン化亜鉛(ZnSe)反射率データ

ZnSe Asphere Reflectance
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ZnSe Asphere Reflectance
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上図は、ARコーティングを施したセレン化亜鉛(ZnSe)非球面レンズの反射率を示しています。網掛け部分はコーティングの平均反射率が1.25%以下(E1コーティング)または1.0%以下(E3コーティング)であることを保証している範囲です。

非球面レンズの設計式

  • 正の半径は、曲率中心がレンズの右側にあるということを示しています
  • 負の半径は、曲率中心がレンズの左側にあるということを示しています

Aspheric Lens Equation
非球面レンズの公式

非球面係数

Item #RkA4A6
AL72512-E118.252-0.9809606-1.2305775E-05-9.0757117E-09
AL72525-E135.83-1.000000-2.0494635E-060
AL72550-E171.66-1.07282-2.5228605E-070
AL72512-E317.804-1.000000-1.4335797E-050
AL72525-E335.07-1.000000-2.0094416E-060
AL72550-E370.133-1.439601-1.1330758E-070
Definitions of Variables
zSag (Surface Profile)
YRadial Distance from Optical Axis
RRadius of Curvature
kConic Constant
A44th Order Aspheric Coefficient
A66th Order Aspheric Coefficient
Annth Order Aspheric Coefficient
Damage Threshold Specifications
Coating Designation
(Item # Suffix)
Damage Threshold
-G5 J/cm2 (10.6 µm, 100 ns, 1 Hz, Ø0.478 mm)

当社のGコーティング付きZnSe非球面レンズの損傷閾値データ

右の仕様は当社のGコーティング付きZnSe非球面レンズの測定値です。損傷閾値の仕様は、焦点距離にかかわらず全てのGコーティング付きZnSe非球面レンズで同じです。

 

レーザによる損傷閾値について

このチュートリアルでは、レーザ損傷閾値がどのように測定され、使用する用途に適切な光学素子の決定にその値をどのようにご利用いただけるかを総括しています。お客様のアプリケーションにおいて、光学素子を選択する際、光学素子のレーザによる損傷閾値(Laser Induced Damage Threshold :LIDT)を知ることが重要です。光学素子のLIDTはお客様が使用するレーザの種類に大きく依存します。連続(CW)レーザは、通常、吸収(コーティングまたは基板における)によって発生する熱によって損傷を引き起こします。一方、パルスレーザは熱的損傷が起こる前に、光学素子の格子構造から電子が引き剥がされることによって損傷を受けます。ここで示すガイドラインは、室温で新品の光学素子を前提としています(つまり、スクラッチ&ディグ仕様内、表面の汚染がないなど)。光学素子の表面に塵などの粒子が付くと、低い閾値で損傷を受ける可能性があります。そのため、光学素子の表面をきれいで埃のない状態に保つことをお勧めします。光学素子のクリーニングについては「光学素子クリーニングチュートリアル」をご参照ください。

テスト方法

当社のLIDTテストは、ISO/DIS 11254およびISO 21254に準拠しています。

初めに、低パワー/エネルギのビームを光学素子に入射します。その光学素子の10ヶ所に1回ずつ、設定した時間(CW)またはパルス数(決められたprf)、レーザを照射します。レーザを照射した後、倍率約100倍の顕微鏡を用いた検査で確認し、すべての確認できる損傷を調べます。特定のパワー/エネルギで損傷のあった場所の数を記録します。次に、そのパワー/エネルギを増やすか減らすかして、光学素子にさらに10ヶ所レーザを照射します。このプロセスを損傷が観測されるまで繰返します。損傷閾値は、光学素子が損傷に耐える、損傷が起こらない最大のパワー/エネルギになります。1つのミラーBB1-E02の試験結果は以下のようなヒストグラムになります。

LIDT metallic mirror
上の写真はアルミニウムをコーティングしたミラーでLIDTテストを終えたものです。このテストは、損傷を受ける前のレーザのエネルギは0.43 J/cm2 (1064 nm、10 ns pulse、 10 Hz、Ø1.000 mm)でした。
LIDT BB1-E02
Example Test Data
Fluence# of Tested LocationsLocations with DamageLocations Without Damage
1.50 J/cm210010
1.75 J/cm210010
2.00 J/cm210010
2.25 J/cm21019
3.00 J/cm21019
5.00 J/cm21091

試験結果によれば、ミラーの損傷閾値は 2.00 J/cm2 (532 nm、10 ns pulse、10 Hz、 Ø0.803 mm)でした。尚、汚れや汚染によって光学素子の損傷閾値は大幅に低減されるため、こちらの試験はクリーンな光学素子で行っています。また、特定のロットのコーティングに対してのみ試験を行った結果ではありますが、当社の損傷閾値の仕様は様々な因子を考慮して、実測した値よりも低めに設定されており、全てのコーティングロットに対して適用されています。

CWレーザと長パルスレーザ

光学素子がCWレーザによって損傷を受けるのは、通常バルク材料がレーザのエネルギを吸収することによって引き起こされる溶解、あるいはAR(反射防止)コーティングのダメージによるものです[1]。1 µsを超える長いパルスレーザについてLIDTを論じる時は、CWレーザと同様に扱うことができます。

パルス長が1 nsと1 µs の間のときは、損傷は吸収、もしくは絶縁破壊のどちらかで発生していると考えることができます(CWとパルスのLIDT両方を調べなければなりません)。吸収は光学素子の固有特性によるものか、表面の不均一性によるものかのどちらかによって起こります。従って、LIDTは製造元の仕様以上の表面の質を有する光学素子にのみ有効です。多くの光学素子は、ハイパワーCWレーザで扱うことができる一方、アクロマティック複レンズのような接合レンズやNDフィルタのような高吸収光学素子は低いCWレーザ損傷閾値になる傾向にあります。このような低い損傷閾値は接着剤や金属コーティングにおける吸収や散乱によるものです。

Linear Power Density Scaling

線形パワー密度におけるLIDTに対するパルス長とスポットサイズ。長パルス~CWでは線形パワー密度はスポットサイズにかかわらず一定です。 このグラフの出典は[1]です。

Intensity Distribution

繰返し周波数(prf)の高いパルスレーザは、光学素子に熱的損傷も引き起こします。この場合は吸収や熱拡散率のような因子が深く関係しており、残念ながらprfの高いレーザが熱的影響によって光学素子に損傷を引き起こす場合の信頼性のあるLIDTを求める方法は確立されておりません。prfの大きいビームでは、平均出力およびピークパワーの両方を等しいCW出力と比較する必要があります。また、非常に透過率の高い材料では、prfが上昇してもLIDTの減少は皆無かそれに近くなります。

ある光学素子の固有のCWレーザの損傷閾値を使う場合には、以下のことを知る必要があります。

  1. レーザの波長
  2. ビーム径(1/e2)
  3. ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)
  4. レーザのパワー密度(トータルパワーをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)

ビームのパワー密度はW/cmの単位で計算します。この条件下では、出力密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません(右グラフ参照)。平均線形パワー密度は、下の計算式で算出できます。

ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。次に、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときはビームの強度が1/e2の2倍のパワー密度を有します(右下図参照)。

次に、光学素子のLIDTの仕様の最大パワー密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です。おおよその目安として参考にできるのは、損傷閾値は波長に対して比例関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(つまり、1310 nmで10 W/cmのLIDTならば、655 nmでは5 W/cmと見積もります)。

CW Wavelength Scaling

この目安は一般的な傾向ですが、LIDTと波長の関係を定量的に示すものではありません。例えば、CW用途では、損傷はコーティングや基板の吸収によってより大きく変化し、必ずしも一般的な傾向通りとはなりません。上記の傾向はLIDT値の目安として参考にしていただけますが、LIDTの仕様波長と異なる場合には当社までお問い合わせください。パワー密度が光学素子の補正済みLIDTよりも小さい場合、この光学素子は目的の用途にご使用いただけます。

当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社は個別の情報やテスト結果の証明書を発行することもできます。損傷解析は、類似した光学素子を用いて行います(お客様の光学素子には損傷は与えません)。試験の費用や所要時間などの詳細は、当社までお問い合わせください。

パルスレーザ

先に述べたように、通常、パルスレーザはCWレーザとは異なるタイプの損傷を光学素子に引き起こします。パルスレーザは損傷を与えるほど光学素子を加熱しませんが、光学素子から電子をひきはがします。残念ながら、お客様のレーザに対して光学素子のLIDTの仕様を照らし合わせることは非常に困難です。パルスレーザのパルス幅に起因する光学素子の損傷には、複数の形態があります。以下の表中のハイライトされた列は当社の仕様のLIDT値が当てはまるパルス幅に対する概要です。

パルス幅が10-9 sより短いパルスについては、当社の仕様のLIDT値と比較することは困難です。この超短パルスでは、多光子アバランシェ電離などのさまざまなメカニクスが損傷機構の主流になります[2]。対照的に、パルス幅が10-7 sと10-4 sの間のパルスは絶縁破壊、または熱的影響により光学素子の損傷を引き起こすと考えられます。これは、光学素子がお客様の用途に適しているかどうかを決定するために、レーザービームに対してCWとパルス両方による損傷閾値を参照しなくてはならないということです。

Pulse Durationt < 10-9 s10-9 < t < 10-7 s10-7 < t < 10-4 st > 10-4 s
Damage MechanismAvalanche IonizationDielectric BreakdownDielectric Breakdown or ThermalThermal
Relevant Damage SpecificationNo Comparison (See Above)PulsedPulsed and CWCW

お客様のパルスレーザに対してLIDTを比較する際は、以下のことを確認いただくことが重要です。

Energy Density Scaling

エネルギ密度におけるLIDTに対するパルス長&スポットサイズ。短パルスでは、エネルギ密度はスポットサイズにかかわらず一定です。このグラフの出典は[1]です。

  1. レーザの波長
  2. ビームのエネルギ密度(トータルエネルギをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)
  3. レーザのパルス幅
  4. パルスの繰返周波数(prf)
  5. 実際に使用するビーム径(1/e2 )
  6. ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)

ビームのエネルギ密度はJ/cm2の単位で計算します。右のグラフは、短パルス光源には、エネルギ密度が適した測定量であることを示しています。この条件下では、エネルギ密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません。ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。ここで、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときは一般にビームの強度が1/e2のときの2倍のパワー密度を有します。

次に、光学素子のLIDTの仕様と最大エネルギ密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です[3]。経験則から、損傷閾値は波長に対して以下のような平方根の関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(例えば、1064 nmで 1 J/cm2のLIDTならば、532 nmでは0.7 J/cm2と計算されます)。

Pulse Wavelength Scaling

 

波長を補正したエネルギ密度を得ました。これを以下のステップで使用します。

ビーム径は損傷閾値を比較する時にも重要です。LIDTがJ/cm2の単位で表される場合、スポットサイズとは無関係になりますが、ビームサイズが大きい場合、LIDTの不一致を引き起こす原因でもある不具合が、より明らかになる傾向があります[4]。ここで示されているデータでは、LIDTの測定には<1 mmのビーム径が用いられています。ビーム径が5 mmよりも大きい場合、前述のようにビームのサイズが大きいほど不具合の影響が大きくなるため、LIDT (J/cm2)はビーム径とは無関係にはなりません。

次に、パルス幅について補正します。パルス幅が長くなるほど、より大きなエネルギに光学素子は耐えることができます。パルス幅が1~100 nsの場合の近似式は以下のようになります。

Pulse Length Scaling

お客様のレーザのパルス幅をもとに、光学素子の補正されたLIDTを計算するのにこの計算式を使います。お客様の最大エネルギ密度が、この補正したエネルギ密度よりも小さい場合、その光学素子はお客様の用途でご使用いただけます。ご注意いただきたい点は、10-9 s と10-7 sの間のパルスにのみこの計算が使えることです。パルス幅が10-7 sと10-4 sの間の場合には、CWのLIDTも調べなければなりません。

当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社では個別のテスト情報やテスト結果の証明書を発行することも可能です。詳細は、当社までお問い合わせください。


[1] R. M. Wood, Optics and Laser Tech. 29, 517 (1997).
[2] Roger M. Wood, Laser-Induced Damage of Optical Materials (Institute of Physics Publishing, Philadelphia, PA, 2003).
[3] C. W. Carr et al., Phys. Rev. Lett. 91, 127402 (2003).
[4] N. Bloembergen, Appl. Opt. 12, 661 (1973).

レーザーシステムが光学素子に損傷を引き起こすかどうか判断するプロセスを説明するために、レーザによって引き起こされる損傷閾値(LIDT)の計算例をいくつかご紹介します。同様の計算を実行したい場合には、右のボタンをクリックしてください。計算ができるスプレッドシートをダウンロードいただけます。ご使用の際には光学素子のLIDTの値と、レーザーシステムの関連パラメータを緑の枠内に入力してください。スプレッドシートでCWならびにパルスの線形パワー密度、ならびにパルスのエネルギ密度を計算できます。これらの値はスケーリング則に基づいて、光学素子のLIDTの調整スケール値を計算するのに用いられます。計算式はガウシアンビームのプロファイルを想定しているため、ほかのビーム形状(均一ビームなど)には補正係数を導入する必要があります。 LIDTのスケーリング則は経験則に基づいていますので、確度は保証されません。なお、光学素子やコーティングに吸収があると、スペクトル領域によってLIDTが著しく低くなる場合があります。LIDTはパルス幅が1ナノ秒(ns)未満の超短パルスには有効ではありません。

Intensity Distribution
ガウシアンビームの最大強度は均一ビームの約2倍です。

CWレーザの例
波長1319 nm、ビーム径(1/e2)10 mm、パワー0.5 Wのガウシアンビームを生成するCWレーザーシステム想定します。このビームの平均線形パワー密度は、全パワーをビーム径で単純に割ると0.5 W/cmとなります。

CW Wavelength Scaling

しかし、ガウシアンビームの最大パワー密度は均一ビームの約2倍です(右のグラフ参照)。従って、システムのより正確な最大線形パワー密度は1 W/cmとなります。

アクロマティック複レンズAC127-030-CのCW LIDTは、1550 nmでテストされて350 W/cmとされています。CWの損傷閾値は通常レーザ光源の波長に直接スケーリングするため、LIDTの調整値は以下のように求められます。

CW Wavelength Scaling

LIDTの調整値は350 W/cm x (1319 nm / 1550 nm) = 298 W/cmと得られ、計算したレーザーシステムのパワー密度よりも大幅に高いため、この複レンズをこの用途に使用しても安全です。

ナノ秒パルスレーザの例:パルス幅が異なる場合のスケーリング
出力が繰返し周波数10 Hz、波長355 nm、エネルギ1 J、パルス幅2 ns、ビーム径(1/e2)1.9 cmのガウシアンビームであるNd:YAGパルスレーザーシステムを想定します。各パルスの平均エネルギ密度は、パルスエネルギをビームの断面積で割って求めます。

Pulse Energy Density

上で説明したように、ガウシアンビームの最大エネルギ密度は平均エネルギ密度の約2倍です。よって、このビームの最大エネルギ密度は約0.7 J/cm2です。

このビームのエネルギ密度を、広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDT 1 J/cm2、そしてNd:YAGレーザーラインミラーNB1-K08のLIDT 3.5 J/cm2と比較します。LIDTの値は両方とも、波長355 nm、パルス幅10 ns、繰返し周波数10 Hzのレーザで計測しました。従って、より短いパルス幅に対する調整を行う必要があります。 1つ前のタブで説明したようにナノ秒パルスシステムのLIDTは、パルス幅の平方根にスケーリングします:

Pulse Length Scaling

この調整係数により広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDTは0.45 J/cm2に、Nd:YAGレーザーラインミラーのLIDTは1.6 J/cm2になり、これらをビームの最大エネルギ密度0.7 J/cm2と比較します。広帯域ミラーはレーザによって損傷を受ける可能性があり、より特化されたレーザーラインミラーがこのシステムには適していることが分かります。

ナノ秒パルスレーザの例:波長が異なる場合のスケーリング
波長1064 nm、繰返し周波数2.5 Hz、パルスエネルギ100 mJ、パルス幅10 ns、ビーム径(1/e2)16 mmのレーザ光を、NDフィルタで減衰させるようなパルスレーザーシステムを想定します。これらの数値からガウシアン出力における最大エネルギ密度は0.1 J/cm2になります。Ø25 mm、OD 1.0の反射型NDフィルタ NDUV10Aの損傷閾値は355 nm、10 nsのパルスにおいて0.05 J/cm2で、同様の吸収型フィルタ NE10Aの損傷閾値は532 nm、10 nsのパルスにおいて10 J/cm2です。1つ前のタブで説明したように光学素子のLIDTは、ナノ秒パルス領域では波長の平方根にスケーリングします。

Pulse Wavelength Scaling

スケーリングによりLIDTの調整値は反射型フィルタでは0.08 J/cm2、吸収型フィルタでは14 J/cm2となります。このケースでは吸収型フィルタが光学損傷を防ぐには適した選択肢となります。

マイクロ秒パルスレーザの例
パルス幅1 µs、パルスエネルギ150 µJ、繰返し周波数50 kHzで、結果的にデューティーサイクルが5%になるレーザーシステムについて考えてみます。このシステムはCWとパルスレーザの間の領域にあり、どちらのメカニズムでも光学素子に損傷を招く可能性があります。レーザーシステムの安全な動作のためにはCWとパルス両方のLIDTをレーザーシステムの特性と比較する必要があります。

この比較的長いパルス幅のレーザが、波長980 nm、ビーム径(1/e2)12.7 mmのガウシアンビームであった場合、線形パワー密度は5.9 W/cm、1パルスのエネルギ密度は1.2 x 10-4 J/cm2となります。これをポリマーゼロオーダ1/4波長板WPQ10E-980のLIDTと比較してみます。CW放射に対するLIDTは810 nmで5 W/cm、10 nsパルスのLIDTは810 nmで5 J/cm2です。前述同様、光学素子のCW LIDTはレーザ波長と線形にスケーリングするので、CWの調整値は980 nmで6 W/cmとなります。一方でパルスのLIDTはレーザ波長の平方根とパルス幅の平方根にスケーリングしますので、1 µsパルスの980 nmでの調整値は55 J/cm2です。光学素子のパルスのLIDTはパルスレーザのエネルギ密度よりはるかに大きいので、個々のパルスが波長板を損傷することはありません。しかしレーザの平均線形パワー密度が大きいため、高出力CWビームのように光学素子に熱的損傷を引き起こす可能性があります。


Posted Comments:
Eric Ma  (posted 2023-05-10 09:59:08.42)
Hi, possible to get a custom piece like AL72512-E3, but designed for 8 um, with E4 (broadband MIR) coating? Also, possible to get the focal shift and focal spot size drift vs. wavelength for AL72512-E3? Thanks!
ksosnowski  (posted 2023-06-02 03:36:20.0)
Thanks for reaching out to Thorlabs. We are able to offer different coatings on these lenses. I have reached out directly to discuss this application in more detail.
Delang Liang  (posted 2022-06-20 12:15:53.69)
hello,can i know what the transimision of AL72512-E1 is at 1um-4um ?
user  (posted 2022-05-06 17:18:30.937)
Hello, I would need the AL72512 lens, but with an E2 AR coating, would it be possible? sincerely Mathieu Manceau
cdolbashian  (posted 2022-05-10 04:11:11.0)
Thank you for reaching out to us Mathieu. It is indeed possible to offer this as a custom. I have reached out to you to discuss specifics of quantity and lens choice. For future custom inquiries, feel free to email techsales@thorlabs.com.
t-ochiai  (posted 2019-02-08 01:48:58.767)
AL72550-EのCWでの損傷閾値を教えてください。 類似製品(Gコート)の損傷閾値でも構いません。CWでの損傷閾値が知りたいです。
YLohia  (posted 2019-04-05 11:32:40.0)
Hello, thank you for contacting Thorlabs. Our Technical Support team in Japan has reached out to you and we have been in touch with you directly regarding your request.
ori.henderson-sapir  (posted 2014-06-18 07:40:42.14)
Can you please add to the documents tab the diffraction nearly/limited performance in pdf for those who do not have access to ZEMAX to process the files. Thank you
myanakas  (posted 2014-07-08 02:22:35.0)
Response from Mike at Thorlabs: Based on this feedback we have added spot size distribution plots to the ZnSe Aspheres web page. This information can be found in the performance column in the tables above the part numbers below. I have also contacted you directly with these graphs.
anish.bekal  (posted 2014-01-31 04:38:03.41)
I have already raised a purchase order for this component. What is the transmission loss at 0.6u, 2.35u and 6um for a 3-5um coated system. CAn you provide us an uncoated ZnSe.
pbui  (posted 2014-03-04 09:31:28.0)
The single surface reflectance values for AL72512-E at your requested wavelengths are listed below. 600nm = 13.5% 2350nm = 13.25% 6000nm = 8.7% We should be able to provide an uncoated version of this lens. We'll contact you to discuss this further.
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セレン化亜鉛(ZnSe)非球面レンズ、ARコーティング:2~5 µm

Item #DiameterFocal
Length
f/#aClear
Aperture
Numerical
Aperture
Working
Distanceb
Center
Thickness
Refractive
Indexc
Performance
AL72512-E125.4 mm12.7 mm0.5> 22.86 mm0.679.9 mm7.0 mm2.433Spot Size Cross Section
AL72525-E125.4 mm25.0 mm0.98> 22.86 mm0.4222.5 mm6.0 mm2.433Spot Size Cross Section
AL72550-E125.4 mm50.0 mm1.97> 22.86 mm0.2247.9 mm5.0 mm2.433Spot Size Cross Section
  • レンズの焦点距離をレンズの直径で割った値。レンズの使用部分はレンズ径全体より小さいため、実際のF値よりも低くなっています。
  • 作動距離は平面から焦点までを測定。
  • 設計波長(4.0 µm)で測定。
+1 数量 資料 型番 - ユニバーサル規格 定価(税抜) 出荷予定日
AL72512-E1 Support Documentation
AL72512-E1Ø1" ZnSe Aspheric Lens, f = 12.7 mm, NA = 0.67, ARC: 2 - 5 µm
¥149,399
7-10 Days
AL72525-E1 Support Documentation
AL72525-E1Ø1" ZnSe Aspheric Lens, f = 25.0 mm, NA = 0.42, ARC: 2 - 5 µm
¥141,100
7-10 Days
AL72550-E1 Support Documentation
AL72550-E1Ø1" ZnSe Aspheric Lens, f = 50.0 mm, NA = 0.22, ARC: 2 - 5 µm
¥132,801
7-10 Days
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セレン化亜鉛(ZnSe)非球面レンズ、ARコーティング:7~12 µm

Item #DiameterFocal
Length
f/#aClear
Aperture
Numerical
Aperture
Working
Distanceb
Center
Thickness
Refractive
Indexc
Performance
AL72512-E325.4 mm12.7 mm0.5> 22.86 mm0.6710.1 mm6.2 mm2.403Spot Size Cross Section
AL72525-E325.4 mm25.0 mm0.98> 22.86 mm0.4222.5 mm6.0 mm2.403Spot Size Cross Section
AL72550-E325.4 mm50.0 mm1.97> 22.86 mm0.2247.9 mm5.0 mm2.403Spot Size Cross Section
  • レンズの焦点距離をレンズの直径で割った値。レンズの使用部分はレンズ径全体より小さいため、実際のF値よりも低くなっています。
  • 作動距離は平面から焦点までを測定。
  • 設計波長(10.6 µm)で測定。
+1 数量 資料 型番 - ユニバーサル規格 定価(税抜) 出荷予定日
AL72512-E3 Support Documentation
AL72512-E3Ø1" ZnSe Aspheric Lens, f = 12.7 mm, NA = 0.67, ARC: 7 - 12 µm
¥149,399
7-10 Days
AL72525-E3 Support Documentation
AL72525-E3Ø1" ZnSe Aspheric Lens, f = 25.0 mm, NA = 0.42, ARC: 7 - 12 µm
¥141,100
7-10 Days
AL72550-E3 Support Documentation
AL72550-E3Ø1" ZnSe Aspheric Lens, f = 50.0 mm, NA = 0.22, ARC: 7 - 12 µm
¥132,801
7-10 Days