SAF利得チップ、中心波長1450 nm


  • InP Gain Chip on Submount or Submount with Heatsink
  • Ultra-Low Reflectance at Angled Facet
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SAF1093C

Chip on Submount

SAF1093H

Chip on Submount
with Heatsink

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ParameterMinTypMax
Operating Current (IOP)-500 mA800 mA
Center Wavelength1420 nm1450 nm1480 nm
ASE Power @ IOP10 mW20 mW-
Peak Gain @ IOP-33 dB-
Optical Bandwidth80 nm95 nm-
Gain Ripple (RMS) @ IOP
Res. BW = 0.1 nm
-0.3 dB1 dB
Angled Facet Reflectivity-0.005%0.01%
Normal Facet Reflectivity-90%-
Forward Voltage-1.4 V1.8 V
Chip Length-1.5 mm-
Waveguide Refractive Index-3.2-
Lateral Beam Exit Angle-26.5°-
Transverse Beam Divergence (FWHM)-30°-
Lateral Beam Divergence (FWHM)-15°-

特長

  • 広い波長チューニングレンジ
  • 高出力
  • 角度付き端面により極めて低い反射率: 0.005% (典型値)
  • 狭線幅ファイバーブラッグ格子レーザ用の利得媒質
  • 広い波長チューニング可能な外部共振型半導体レーザ用の利得媒質

SAF利得チップでは、チップ端面に対して垂直入射とならないようにリッジ導波路を曲げることによりチップ端面の反射が軽減されるような幾何学的技術が採用されています。さらに、端面へのARコーティングの併用により、レーザ共振器における不要なフィードバックを発生させる後方反射を実質的に取り除きます。その結果、ARコーティングされたファブリペロー(FP)利得チップの端面では、残留反射がレーザの安定性、出力やスペクトル品質を損なうことが多くあるので、 外部共振器レーザ(ECL)、特に波長可変ECLに適用する際には、標準的な利得チップと比較してSAF利得チップの方が適しています。

当社の1450 nm SAF利得チップは、2つのタイプからお選びいただけます。SAF1093Cはサブマウント付きです。SAF1093Hは同じサブマウントにヒートシンクも付いたタイプで、カソードリードおよびアノードリードに接続しています。

SAF利得チップを外部共振器レーザ用として使用する方法については、「外部共振器型レーザのチュートリアル」タブをご覧ください。

 

基本的なリトロウ型構成で使用されるSAF1093シリーズの例

SAF1093 Performance when used in a basic littrow configuration

SAF, Gain Chip
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SAF1093C のアノードピンとカソードピンの概略図
SAF, Gain Chip
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SAF1093H のアノードピンとカソードピンの概略図

外部共振器型レーザ(ECL): 波長可変と狭帯域幅

レーザ動作に必要な2つの要素は(1)光信号を増幅する活性利得媒体と(2)レーザ発振を持続させるためのフィードバック(反射)機構です。ファブリペロー型レーザでは、図1に示すように、r1とr2(それぞれのパワー反射率:R1 = r12とR2 = r22)の反射係数を持つ2枚のミラーによって、光電界がフィードバックされます。

ECL Fig1

図1:ファブリペロー型レーザの構造

長さLの共振器内における光電界の往復利得は、下記の数式で表現できます。

ECL Eq1

式1: 光電界の往復利得

ここで、gは利得、αiは内部損失係数、λは真空中の波長、neffは有効屈折率、L は共振器長です。これより、最大振幅と位相条件は下記で表されます。

ECL Eq2

式2: 振幅条件

ECL Eq3

式3: 位相条件

ここで、αmはミラーの損失、Nはモード数を表します。

半導体レーザでは、順方向にバイアス電圧を印加されたダイオードの接合領域に電流を注入することによって、利得媒体が励起されます。半導体レーザの量子井戸接合内に高濃度の電子と正孔が存在することによって、光利得に必要な反転分布状態を作ることができます。

利得媒体が半導体材料の場合、チップの端面におけるフレネル反射によってファブリペロー型共振器を構成することができます。接合領域は、実効的には両端面の間の導波路です。導波路に垂直な劈開しただけのコーティング無しの面は、反射率Rが約30%です。しかしながら、端面での反射率を光学コーティングで調整することによって、このデバイスの最大出力パワーを最適化することができます。ファブリペロー型半導体レーザの最大パワーは、後側端面に高反射率(HR)コーティング、前側端面に低反射率(LR)コーティングの場合で得られます。 

ファブリペロー型半導体レーザーデバイスの発振スペクトルは、注入電流によって決まります。g > αi の閾値未満にバイアスされたとき、放射スペクトルでは、位相方程式によって定義されるファブリペロー型共振器の縦モードに相当するピークが広範囲に分布しています。注入電流が増加し、g = αi + αmに達するまでレーザ発振は起こりません。レーザ発振波長は、最初に閾値条件に達した縦モードによって決まります。出力スペクトルは、必ずしも1つのレーザ発振波長に収束するとは限らず、狭いスペクトル幅の複数の縦モードで構成されることがあります。

ECL Fig2

図2: ファブリペロー型レーザの利得曲線

このことは、5~10 nmの光帯域幅を持つInPを用いたファブリペロー型レーザに特に当てはまります。GaAsを用いたデバイスでは、波長と出力パワーに依存して、単一縦モードで動作させることが可能です。典型的には出力波長帯域は2 nm未満です。

約300 μmの長さと約4の群屈折率を持つ典型的な850 nm半導体レーザは、長さが1 mmの1550 nm半導体レーザと同じく、0.3 nmの縦モード間隔を持っています。例えば、半導体レーザを加熱や冷却し、共振器の長さ、あるいは屈折率を変えることによって、全モードをシフトさせて、その結果、出力波長を変えることが可能です。 

レーザ線幅

半導体レーザの単一縦モードの線幅(FWHM)は、線幅増大係数 αH [1]を含んだSchawlow-Townesの公式で与えられます。

ECL Eq4

式4: Schawlow-Townes-Henryレーザ線幅

ここで、hvは光子エネルギー、vgは群速度、nspは反転分布係数、Poutは一端面からの出力光強度です。この関係式は、コヒーレントレーザ発振モードに自然放出光が加わって生じる位相と振幅ゆらぎによるレーザ線幅のスペクトル空間広がりを表しています。いわゆる量子雑音ゆらぎは、レーザ線幅の下限を決定しますが、通常、機械的/音響振動的変動や熱変動によって生じる大きな雑音ゆらぎに埋もれます。

共振器長を大きくすると、相対的にαmが小さくなり(式2参照)、線幅が小さくなります。このことは、量子雑音限界の線幅の関係式(式4参照)を見ればわかります。共振器長を長くすることにより、自然放出光子数が減少(それぞれの縦モードの「cold-cavity」のスペクトル幅が減少)し、共振器内の全光子数が増加します。このため、Schalow-Townesの式に共振器長の関連項が2度現れます。

共振器長が0.3 mmの単一周波数分布帰還(DFB)型半導体レーザの典型的な発振線幅は、1~10MHzオーダです。たとえば、共振器長を3 cmにすれば、発振線幅は100分の1以下になります。半導体レーザの共振器長をより長くして、発振線幅を1 kHz未満に減少させることができた例もあります[2] 。

単一波長の動作とチューニング

多くの用途では、発振波長または周波数、あるいはその両方が調整可能な単一縦モード(単一周波数)レーザが要望されています。これを実現するため、半導体レーザに外付けされた波長選択用フィードバック素子(共振器)を用いると発振波長を選択することができます。この外部共振器レーザ(ECL)を適切に動作させるには、外付けのフィードバックと干渉しないように、半導体チップのファブリペロー型共振器からの固有の戻り光の抑制が必要となります。利得チップのファブリペロー型共振器の影響は、チップの一方の端面にAR(反射防止)コーティングを行うことにより、減少させることができます。

ECL Fig3

図3:利得チップを使った外部共振器の構造

少なくとも、チップの端面からの反射率(R1)は、外付けのフィードバック(ミラー)の反射率(R1)よりも20 dB以上小さくなければなりません。つまり、R1 < 10-2 x Rextです[3]。ARコーティングされた場合でも、ARコーティングされたファブリぺロー利得チップ端面からの反射により、特にレーザが波長可変の場合にECLの安定性、出力パワー、波長特性が制限されます。チップ端面での反射をより抑えるために、角度を付けた導波路とARコーティングの組み合わせによって、内部チップファブリペロー型共振器からのフィードバック(戻り光)の多くを取り除くことができます [4]。この片面角度付き(SAF)の利得チップにより、外部共振型レーザ(特に広帯域波長可変レーザ)はより優れた特性が得られます。

ECL Fig4

図4:片面角度付き利得チップ

外部共振器型レーザの設計

外部共振器型半導体レーザを実現するには様々なアプローチがあります [3]。いずれのアプローチにおいてもまず第1に考えなければならないのは、波長選択フィードバック素子を選ぶことです。最も一般的なフィードバック素子の1つである回折格子は、単一周波数および広範囲な可変外部共振器型レーザの両方にフィードバック素子として使用可能です。

利得チップからのコリメート光が、格子表面の垂線と角度θ、かつ回折ラインと垂直に回折格子に入射すると、回折ビームは以下の式で求められるθ'の角度で回折格子から出射します。

ECL Eq5

式5: 回折格子方程式

ここで、nは回折の次数、λは回折波長、dはグレーティング定数(溝間の距離)です。n > 0に対して、回折格子(グレーティング)は、波長に依存する角度θ'の角度で光を回折することにより、多くのスペクトルの入射光を空間的に分離します。利得チップからのスペクトル成分が空間的に分離されれば、特定波長の光を選択的に反射させて利得媒体内に戻すために様々な方法が利用できます。

外部共振型レーザ、リトロウ型構成

最も容易なアプローチの1つは、1次の回折光が利得チップに戻って再反射するように回折格子が配置されたリトロウ構成です(すなわち、上記の式(5)で、θ = θ')。

ECL Eq6

式6: 回折格子方程式、リトロウ型構成

外部共振型レーザの構成に必要な光学素子(コリメート用レンズと回折格子)の数を最小にするために、回折格子の0次反射光からレーザ出力パワーを取り出すことができます。

回折格子を回転することによって、導波路に反射される光の波長が変わり、波長をチューニングすることができます。(一定の格子定数を持つ)回折格子、コリメートレンズ、共振器長を1つの縦モードだけが導波路の受光角内で利得チップに反射で戻ってくるように選択することで、外付け共振器レーザで単一周波数レーザースペクトルを得ることができます。半導体利得チップに戻す集光スポットサイズと、回折格子への照射スポットサイズに影響するコリメートレンズの選択は重要です。この構成の短所の1つは、波長をチューニングさせるときに0次オーダの出力ビームの角度が変化することです。しかしながら、外部共振器レーザの出力がSAF利得チップの垂直面からの出力光として得る場合、この問題を避けることができます。この構成では、SAF垂直面の典型的な反射率Rを約10%程度と小さくし、レーザの出力パワーを最大にするような次数の回折光が得られる回折格子を選択し外部共振器レーザを構成します。

ECL Fig5

図5: リトロウ型外部共振器レーザ

外部共振型レーザ、リットマン型構成

外部共振型レーザのもう1つの一般的な方式は、追加の調整ミラーを使ってフィードバック波長を選択するリットマン型構成です[5]。大きな入射角で回折グレーティングを2回通過する外部共振器は、よりよい波長選択性を持ちます。結果として、リットマン型の外部共振型レーザの光出力線は、リトロウの構成の場合に比べて狭い線幅になります。リットマン型の構成では、波長を変化させても伝搬方向は固定されたままなので、レーザ出力光は通常は回折格子の0次オーダの反射です。この場合、SAFの直角面は、ECL内部の損失を最小にして出力パワーを最大にし、出力強度を最大にするために典型的には90%以上の高反射率(HR)でコーティングされます。

ECL Fig6

図6: リットマン型外部共振器レーザ

用途によっては、レーザの出力部として、SAF利得チップの垂直面の利用が望ましいこともあります。この用途に対しては、SAF利得チップの垂直面上のコーティングは、レーザの出力強度を最大にするために低反射率とする必要があります。 

リットマン型の弱点は、共振器の内部損失がリトロウの構成の場合より高く、したがって、レーザの出力強度が一般的には低いことです。内部損失が大きくなるのは、主に可変ミラーからのゼロオーダ反射光の損失および大きな入射角で光を反射させたとき、回折格子の効率が下がることです。 

外部共振器型レーザの設計について

SAF利得チップでは、外部共振器内の利得チップの端面からの望ましくない反射光によるフィードバックを除去されるため、外部共振器型レーザの使用に適しています。当社では、様々な外部共振器の構成を可能にするために、垂直面上に低反射率または高反射率コーティングの両方のSAFチップ をご提供しています。特に外部共振器型レーザ構成の性能を最適化するための特注コーティングに関しては、当社までお問い合わせください。

参考文献

(1) Henry, C. H., "Theory of the Linewidth of Semiconductor Lasers." IEEE J. of Quantum Electron QE-18, 259 (1982).

(2) Wyatt, R., Cameron, K. H., and Matthews, M. R. "Tunable Narrow Line External Cavity Lasers for Coherent Optical Communication Systems." Br. Telecom. Technol. J. 3, 5 (1985).

(3) Zorabedian, P. "Tunable External Cavity Semiconductor Lasers." Tunable Lasers Handbook Ed. Duarte, F. J. New York, Academic, 1995. Chapter 8.

(4) Heim, P. J. S., Fan, Z. F., Cho, S.-H., Nam, K., Dagenais, M., Johnson, F. G., and Leavitt, R. "Single-angled-facet Laser Diode for Widely Tunable External Cavity Semiconductor Lasers with High Spectral Purity." Electron. Lett. 33, 1387 (1997).

(5) Littman, M. G. and Metcalf, H. J. "Spectrally narrow pulsed dye laser without beam expander." Appl. Opt. 17, 2224 (1978).


Posted Comments:
barry.luther-davies  (posted 2015-04-14 11:47:27.227)
What are the polarisation properties of these chips? Does not seem to be specified anywhere.
jlow  (posted 2015-04-16 08:39:46.0)
Response from Jeremy at Thorlabs: The SAF chips are TE-polarized. Typically, the polarization extinction ratio is >18dB.
jjurado  (posted 2011-08-08 11:01:00.0)
Response from Javier at Thorlabs to clarafly: The width and height of the active region of the SAF1093 chip is ~3um and ~1um, respectively.
clarafly  (posted 2011-08-05 13:58:00.0)
Can you provide the information about the width and height of the active region in SAF1093x? Thanks.
+1 数量 資料 型番 - ユニバーサル規格 定価(税抜) 出荷予定日
SAF1093C Support Documentation
SAF1093CSAF利得チップ、サブマウント付、CWL=1450nm
¥103,831
7-10 Days
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