反射型コリメーター、保護膜無し金コーティング

- Unprotected-Gold-Coated Collimators/Couplers with a 7.0 mm Reflected Focal Length
- Maximum Fiber NA of 0.40 without Clipping the Beam
- Free from Chromatic Aberrations
RC02FC-M03
FC/PC Connector
RC02APC-M03
FC/APC Connector
RC02SMA-M03
SMA Connector
RC02APC-M03
Reflective Collimator
with an FC/APC Patch Cable
Shown Mounted
to an SMR05 Mount on a Ø1/2" Post

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コリメータRC02シリーズの筐体にはSM05外ネジが付いています。すべてのコリメータにはローレット加工されたロッキングリングが付属しており、それにより光学系をしっかり固定できます。詳細は「取付け例」タブをご覧ください。

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上の図ではファイバからの出射光をRC02-M03シリーズのコリメータを用いてコリメートしています。これらのコリメータを逆向きに使用して、光をマルチモードファイバに結合することも可能です。
特長
- ミラーの反射帯域ではコリメーションに対する色収差無し
- 保護膜無し金コーティング(800 nm~20 μm)による高反射
- Ravg > 97%
- 反射焦点距離(Reflected Focal Length, RFL): 7.0 mm
- 多色光のマルチモードファイバへの結合に適した製品
- FC/PC、FC/APCまたはSMAコネクタ付き
- 表面粗さ: < 100 Å (RMS)
- 有効径: Ø7.5 mm
- ビームのクリッピングが生じないファイバの最大NA: 0.40
- 非磁性のステンレススチール製筐体
保護膜無し金コーティングが施された反射型コリメータは、90°軸外放物面(OAP)ミラーをベースにして構成されています。保護膜無し金ミラーは、レンズとは異なり、波長域800 nm~20 µmにおいて焦点距離が一定であり、また平均反射率>97%の優れた特性を有します(詳細は「仕様」タブ参照)。 軸外放物面ミラーのコリメータは、この固有の特性により光の波長に合わせた調整が不要となり、従って赤外(IR)域の多色光用として適しています。
一般的な用途としては、複数の波長の光のコリメート、赤外光のコリメートや結合、多色光の大口径マルチモードファイバへの結合などが上げられます。マルチモードパッチケーブルからの出射光をコリメートする場合、筐体でクリッピングされないようにNA≤0.40のファイバを使用してください。なお、一般にマルチモードファイバからの出射光は、十分にコリメートすることができませんのでご注意ください。ファイバからの出射光の結合を最適化する方法については、「コリメートのチュートリアル」タブをご覧ください。
この反射型コリメータの筐体には、SM05外ネジが付いています。そのため、レンズマウントLMR05/MなどのSM05ネジの付いたオプトメカニクス製品に取り付けることができます。コリメータの後部はØ12.7 mm(1/2インチ)に機械加工されているため、Ø12.7 mm(Ø1/2インチ)光学素子用 キネマティックマウントに直接取り付けることができます。また、この筐体はØ25.4 mm(Ø1インチ)キネマティックマウントに直接取り付けることもできます。取付け方法は、まず筐体の前部に付いているローレット加工付きリングを取り外します。次に、筐体をキネマティックマウントの後方からØ25.4 mm(Ø1インチ)光学素子取付け穴に挿入し、取付け穴の前方から筐体に対してリングをねじ込みます(スパナレンチSPW909または調整機能付きスパナレンチSPW801を使用)。さらに、リングを取付け穴の中の突き当てに接触させます。最後に、マウントの止めネジ(セットスクリュ)を締め付けてコリメータを固定します。詳細は「取付け例」タブをご覧ください。
ミラー表面からの散乱光は最小限(633 nmで約2%)に抑えられています。これは軸外放物面ミラー製造時のダイヤモンド旋削工程により、表面粗さが100 Å RMS以下に抑えられているためです。
当社では、波長範囲250~450 nm用の UV域強化アルミニウムコーティングの反射型コリメータもご用意しています。 また、波長範囲450 nm~20 µm用の保護膜付き銀コーティングコリメータとして、大きなNA用の反射型コリメータ、焦点調整可能な反射型コリメータ、およびケージシステムへの組み込みが容易なコンパクト反射型コリメータなど、様々な製品をご用意しています。UV域強化アルミニウムコーティングと保護膜付き銀コーティングの反射型コリメータには、こちらの保護膜無し金コーティングコリメータと同じ焦点距離7.0 mmの製品をご用意しています。さらに、これら2種類のコーティングの製品には、焦点距離が15.0 mm、33.0 mm、および50.8 mmの製品もございます。焦点距離15.0 mm、33.0 mm、または50.8 mmの保護膜無し金コーティングコリメータをご希望の場合は、当社までお問い合わせください。
反射型コリメータ用ファイバーパッチケーブル
当社では光の結合用およびコリメート用の光ファイバーパッチケーブルとして、シングルモードファイバ、偏波保持ファイバ、およびマルチモードファイバを用いた製品をご用意しています。標準品の中から用途に適したパッチケーブルが見つからない場合は、カスタムパッチケーブルもご用意できますので、お気軽にお問い合わせください。
取扱いについて
これらのミラーの保護膜無しの金の層には、保護用のオーバーコートが施されていません。保護膜の無い金は空気に触れても酸化しませんが、指紋、エアロゾル、あるいは研磨材との僅かな接触などで簡単に損傷してしまいます。保護膜無しの金ミラーは、必要時のみ、側面だけを持って取り扱ってください。その際は表面に指の油分がつかないように、ラテックス製手袋などを着用する必要があります。表面のクリーニングは、クリーンで乾燥した空気か窒素で埃を吹き飛ばす方法以外では行わないでください。他のクリーニング方法では表面に損傷を与える可能性があります。
Reflective Collimator Specifications | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Item #a | Connector Type | Max Fiber Numerical Aperture (NA)b | RFLc | External Threading of Housing | Clear Aperture | Reflectance (Avg., AOI = 45°) | Typical Collimated Beam Diameter (1/e2)d | Full Angle Beam Divergencee |
RC02FC-M03 | FC/PC | 0.40 | 7.0 mm | SM05 (0.535"-40) | Ø7.5 mm | > 97% (800 nm - 20 µm) | Ø1.3 mm (SM600 at 633 nm)f Ø1.5 mm (780HP at 780 nm)f Ø1.5 mm (SM980-5.8-125 at 980 nm) Ø1.5 mm (1060XP at 1064 nm) Ø1.3 mm (SMF-28-J9 at 1550 nm) Ø2.2 mm (SM1950 at 2 µm) | 0.035° (SM600 at 633 nm)f 0.037° (780HP at 780 nm)f 0.048° (SM980-5.8-125 at 980 nm) 0.051° (1060XP at 1064 nm) 0.088° (SMF-28-J9 at 1550 nm) 0.067° (SM1950 at 2 µm) |
RC02APC-M03 | FC/APC | |||||||
RC02SMA-M03 | SMA |
Specifications | |||
---|---|---|---|
Item # | RC02FC-M03 | RC02APC-M03 | RC02SMA-M03 |
Fiber Connector | FC/PC | FC/APC | SMA |
Pointing Errora | < 10 mrad | < 10 mrad | - |
Clear Aperture | Ø7.5 mm | ||
Typical Collimated Beam Diameter (1/e2)b | Ø1.3 mm (SM600 at 633 nm)c Ø1.5 mm (780HP at 780 nm)c Ø1.5 mm (SM980-5.8-125 at 980 nm) Ø1.5 mm (1060XP at 1064 nm) Ø1.3 mm (SMF-28-J9 at 1550 nm) Ø2.2 mm (SM1950 at 2 µm) | ||
Full Angle Beam Divergenced | 0.035° (SM600 at 633 nm)c 0.037° (780HP at 780 nm)c 0.048° (SM980-5.8-125 at 980 nm) 0.051° (1060XP at 1064 nm) 0.088° (SMF-28-J9 at 1550 nm) 0.067° (SM1950 at 2 µm) | ||
Maximum Fiber Numerical Aperture (NA) | 0.40 | ||
Reflected Focal Length (RFL) | 7.0 mm at 90° | ||
Parent Focal Length (PFL)e | 3.5 mm | ||
Coating | Unprotected Gold | ||
Wavelength Range | 800 nm - 20 µm | ||
Reflectance (Avg., AOI = 45°) | > 97% | ||
Surface Quality | 40-20 Scratch-Dig | ||
Surface Roughness | < 100 Å RMS | ||
Reflected Wavefront Error | λ/4 RMS at 633 nm |

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青の網掛け領域は、最良の性能が得られる仕様波長範囲800 nm~20 µmを示しています。保護膜無し金コーティングの800 nm~20 µm、入射角45°における生データ(Excelシート)も、こちらからダウンロードいただけます。
当社では、7.0 mm、15.0 mm、33.0 mm、または50.8 mmの焦点距離を有する、UV域強化アルミニウムコーティング、保護膜付き銀コーティング、および保護膜無し金コーティングの反射型コリメータをご用意しています。なお、標準品としてすべての焦点距離をご用意していない製品もございます。標準品以外の焦点距離の製品を必要とされる場合は、当社までお問い合わせください。当社のすべてのコリメータはミラーマウントやレンズチューブに取り付けることができ、またケージシステムに組み込むことも可能です。
ミラーマウント
反射型コリメータRC02x、RC04x、RC08xに付いている厚さ4.0 mmのローレット加工されたロッキングリングの外径はØ25.4 mm(Ø1インチ)です。従って、このリングの外周面をコリメータの固定用に利用することで、サイドホールド型マウントPOLARIS-K1E(下中央の写真参照)などのØ25.4 mm(Ø1インチ)光学素子用ミラーマウントに固定することができます。厚さ4.0 mmの光学素子を固定できる、その他のミラーマウントにも取り付けることができます。コリメータRC02x、RC04x、および RC08xにはSM05外ネジが付いているため、当社のSM05ネジ付きキネマティックミラーマウントにも取り付けられます。コリメータRC12xにはSM1外ネジが付いているためSM1ネジ付きキネマティックミラーマウントに取り付けられますが、アダプタAD2TなどのSM1ネジ付きアダプタを利用すれば、Ø50.8 mm(Ø2インチ)光学素子用ミラーマウントに取り付けることもできます。コリメータRC02xは、下の写真のように後部のØ12.7 mmの外周面を利用して取り付けることも可能です。

Click to EnlargeSM2外ネジ&SM1内ネジ変換アダプタSM2A6を用いて、Ø50.8 mm(Ø2インチ)光学素子用マウントPOLARIS-K2T に取り付けられたコリメータRC12FC-F01
ケージシステムとレンズチューブへの組み込み
コリメータRC02x、RC04x、およびRC08xは、コリメータ筐体のSM05外ネジと、30 mmケージプレートCP32/MなどのSM05内ネジの付いたケージシステム用コンポーネントを使用して、直接 ケージシステムに取付けられます。同様にコリメータRC12xは、コリメータ筐体のSM1外ネジと、30 mmケージプレートCP33/MなどのSM1内ネジの付いたケージシステム用コンポーネントを使用して、直接ケージシステムに取付けられます。
コリメータRC0xのSM05外ネジやRC12xのSM1外ネジを利用すると、それぞれ対応するSMネジ付きレンズチューブなどに接続することができ、システムへの組み込みが容易になります。
光をコリメートする方法
反射型コリメータを用いてシングルモードファイバからの出射光をコリメートする方法
シングルモードファイバからの出射光をコリメートするとき、反射型コリメータを使用すると、ビームウェスト径が大きく、発散の小さなコリメート光が得られます。下のグラフは、4種類のシングルモードファイバに結合した4波長のレーザ光がファイバから出射した場合を想定し、それらを当社の反射型コリメータを用いてコリメートしたときに得られる1/e2ビーム径(理論値)を、伝搬距離の関数として示しています。ファイバの種類または波長を変更したときの影響は、下に示す理論近似式によって概算できます。
出射ビームの広がり角の理論的近似値
ファイバからの出射光がガウス型の強度プロファイルを有する場合、広がり角の理論的近似値を下記の計算式で求めることができます。ガウス型の場合ということから、この式はシングルモード(SM)ファイバに有効です。
シングルモードファイバを使用したときの出射ビームの広がり角(全角、単位は度(°))は、近似的に次の式で与えられます。
ここでθSMはコリメート後のビーム広がり角、MFDはファイバのモードフィールド径、RFLは反射型コリメータの反射焦点距離です。この式では、MFDとRFLの単位は同じでなければなりません。
計算例:
コリメータRC04APC-M03(RFL =7.0mm)をシングルモードファイバーパッチケーブルP3-980A-FC-1 (MFD = 5.8 µm)と組み合わせて用いたとき、広がり角は次のように得られます。
θSM ≈ (0.0058 mm / 7.0 mm) x (180 / 3.1416) ≈ 0.047° または 0.83 mrad.
出射ビーム径の理論的近似値
出射ビームの1/e2径は、次の近似式を用いて求めることができます。
ここでλは使用している光の波長、MFDはファイバのモードフィールド径、RFLは反射型コリメータの反射焦点距離です。
計算例:
コリメータRC02APC-M03(RFL = 7.0 mm)をシングルモードファイバーパッチケーブルP3-980A-FC-1 (MFD = 5.8 µm)と組み合わせ、λ = 980 nm = 0.980 µmの光を用いたときの出射ビーム径は次のように得られます。
d = 4 x 0.980 µm x [7.0 mm / (3.1416 x 5.8 µm)] = 1.5 mm.
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理論データはこちらからダウンロードいただけます。
このデータは当社のシングルモードファイバSM600、SM980-5.8-125、SMF-28-J9、SM1950、と
反射型コリメータRC02x-M03を用いてコリメートしたときのビーム径を計算したものです。
反射型コリメータを用いてマルチモードファイバからの出射光をコリメートする方法

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低NAファイバ: 緑色の線は、OAPミラーによってコリメートされるビームのエンベロープを示しています。

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高NAファイバ: 赤色の線は、コリメータの筐体によってクリッピングされるビームのエンベロープを示しています。緑色の点線は、ビーム中でOAPミラーによってコリメートされる部分を示しています。
マルチモード(MM)ファイバからの出射光のコリメーションは、光線モデルで記述することができます。マルチモードコア上の光軸から外れた点について考えてみましょう。このような点からの光は、軸外放物面(OAP)ミラーの光軸に対してある角度を有するコリメートビームとなって出射します。マルチモードコア上のすべてのポイントからのビームを重ね合わせると、上記のシングルモードファイバからの出射光とは異なり、大きな発散を伴うビームになります。下のグラフは、3種類のマルチモードファイバを使用したときに得られるコリメート光のビーム径(計算値)を、反射型コリメータからの距離の関数として表しています。
出射ビームの広がり角の理論的近似値
マルチモードファイバからの光をコリメートしたときの出射ビームの広がり角(全角)は、反射型コリメータの反射焦点距離(RFL)とマルチモードファイバのコア径を用いて、次のような式で近似することができます。
ここでθMMはコリメート後のビームの発散角です(単位は度(°))。
計算例:
コリメータRC02SMA-M03(RFL = 7.0 mm)をマルチモードファイバーパッチケーブルM14L01(コア径 = 50 µm)と組み合わせて用いたとき、広がり角(全角)は次のように得られます。
θMM ≈ (0.050 mm / 7.0 mm) x (180 / 3.1416) ≈ 0.41° または7.1 mrad.
出射ビーム径の理論的近似値
光線モデルに基づいて、ビーム径は反射型コリメータからの距離とNAの関数として、次の式で近似できます。
上の式は、反射ミラー近傍でのビーム径はファイバの開口数(NA)に強い影響を受けるのに対して、コリメータから離れたところでのビーム径はコア径に強い影響を受けることを示しています。
下のグラフは、NA=0.1の3種類のMMファイバ(FG010LDA、FG025LJA、FG105LVA)を使用したときのビーム径の近似値を、コリメータからの距離の関数として示しています。これらの結果は波長やコネクタの種類には依存しませんが、コリメータの反射焦点距離には依存します。
RC02x-M03にNA>0.40のマルチモードファイバを使用すると、光が出射される前にコリメータの筐体によってクリッピングされます。したがって、マルチモードパッチケーブルからの光をコリメートする場合、筐体によるクリッピングが生じないようにRC02x-M03にはNA≤0.40のファイバを使用してください。
単純な近軸光学に基づくこれらの考察とは別に、完全な軸外放物面ミラーが無収差でコリメートできるのは、その焦点に置かれた点光源からの光だけであることにご留意ください。出射点が光軸から離れるほど、あるいはマルチモードファイバのコアが大きいほど、広がった光源からの軸外光線には大きな収差が生じます。従って、広がった光源の軸から外れた点からの光は、完全にコリメートすることはできません。しかし、反射型コリメータの反射焦点距離をより長くした場合や、より長い波長を使用した場合は、それに伴って収差の影響は小さくなります。
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理論データはこちらからダウンロードいただけます。
このデータは、当社のマルチモードファイバFG010LDA、FG025LJA、FG105LVAからの出射光を
反射型コリメータRC02x-M03を用いてコリメートしたときのビーム径を計算したもので、
この特性は波長に依存しません。
Insights:軸外放物面(OAP)ミラー
こちらのページでは軸外放物面(OAP)ミラーの利点や使用方法についてご覧いただけます。
- なぜ球面ミラーの代わりに放物面ミラーを使うのか?
- 軸外放物面ミラーの利点
- OAPミラーをベースにした反射型コリメータにおける光の方向性
このほかにも実験・実習や機器に関するヒントをまとめて掲載しています。こちらからご覧ください。
なぜ球面ミラーの代わりに放物面ミラーを使うのか?

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Figure 187B 球面ミラーでは、コリメート光のすべての光線が1つの点を通過するように反射することはできません。焦点体積内での光線同士の交差点を、いくつか選んで黒点で示しています。

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Figure 187A 放物面ミラーでは、コリメート光のすべての光線が1つの焦点に集められます。
放物面ミラーは、点光源からの光をコリメートしたりコリメート光を集光したりする場合には、球面ミラーよりも優れた性能を有します。
コリメート光の集光
放物面ミラー(Figure 187A)を用いると、コリメートされている入射光を回折限界スポットに集光することができます。 これに対して球面ミラー(Figure 187B)を用いた場合は、コリメートされている入射光を回折限界スポットよりも大きな体積のスポットにしか集光できません。球面ミラーのこの焦点体積(Focal Volume)の大きさは、コリメートされた入射ビームの径を小さくすることで小さくすることができます。
点光源からの光のコリメート
点光源からの光はすべての方向に放射されます。この発散光の光源を放物面ミラーの焦点に置くと、ミラーから出てくる光は非常に良くコリメートされています。理想的な点光源の場合、反射されたすべての光線は互いに完全に平行になります。
点光源を球面ミラーの焦点体積内に置いたときには、ミラーから出てくる光は放物面ミラーと比較してそれほど良くコリメートされません。点光源からの各光線は、球面ミラーで反射されたときには完全な平行にはなりませんが、球面ミラー表面上の近い点で反射された2本の光線は遠い点で反射された2本の光線よりも平行に近い状態になります。そのため、反射面積を小さくすればコリメート光としての品質は向上します。これは焦点体積内の光源から放射される光の角度範囲を制限することと等価です。
放物面ミラーと球面ミラーの選択について
放物面ミラーを選択するのが常に良いとは限りません。アプリケーションにおいて要求されるビーム径、コスト面の制約、スペース上の制限、性能要件など、すべてが選択に影響します。ビーム径が影響するのは、ビーム径が小さいと放物面ミラーと球面ミラーの性能が近くなるためです。放物面ミラーは反射部分の加工がより難しいため、球面ミラーより高価になります。また放物面ミラーのサイズは一般に球面ミラーよりも大きくなります。コストや物理的なサイズの違いに比べて、向上する性能が重要な場合もあれば、重要でない場合もあります。
最終更新日:2019年12月4日
軸外放物面ミラーの利点

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Figure 187D 軸外放物面(OAP)ミラーは、大きな放物面の一部分と考えられます。どちらも焦点は同じですが、OAPミラーのほうがよりアクセスしやすくなっています。

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Figure 187C 通常の放物面ミラーの焦点は反射面に近く、また一般に反射面に囲まれているため、焦点にアクセスしにくくなっています。
放物面ミラーの主な利点の1つは、焦点が1つであることです。ミラー軸に対して平行に伝搬する光線は、反射されるとすべてこの点を通過します。これは、レーザ光を回折限界スポットに集光させることを要求されるイメージングや製造などの分野で、様々な目的に利用できます。
焦点周りに対称な通常の放物面ミラーを使用する場合、いくつかのマイナス面があります(Figure 187C)。1つは、一般にミラーの側面が妨げとなり、焦点にアクセスできないことです。もう1つは、ミラーを発散光のコリメートに使用したとき、光源の筐体がコリメート光の一部をブロックすることです。特にミラーの光軸に対して小さな角度で放射された光がブロックされます。
軸外放物面(OAP)ミラー(Figure 187D)を使用するのは、このような問題の解決策の1つです。このミラーの反射面の形状は放物面ですが、焦点周りに対称ではありません。OAPミラーの反射面は、焦点から離れた位置にある親放物面(Parent Parabola)上の一部分に対応します。どの部分の面を選択するかは、焦点とミラー中心間の角度や距離に対する要求に依存します。
最終更新日:2019年12月4日
OAPミラーをベースにした反射型コリメータにおける光の方向性

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Figure 187F コリメータの反射光学素子はOAPミラーです。ミラー基板は赤で示されています。この反射面は、放物面の頂点から離れた位置の放物面の一部分です。親放物面とOAPミラーの焦点は一致しています。

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Figure 187E 当社ではファイバーコネクタ用のポートと、光軸に対して平行に伝搬するコリメートされた自由空間光用のポートを備えた、反射型コリメータをご用意しています。
当社の反射型コリメータの2つのポートは入れ替えることができません。1つのポートには光ファイバのコネクタを取付けますが、そこでは発散光を放出する点光源であることが要求されます。もう1つのポートはコリメートされた自由空間光用として設計されています(Figure 187E参照)。
自由空間光用ポート
このポートに入射する光は、光軸に対して平行なコリメート光でなければなりません。ファイバ端面、半導体レーザやその他の光源などからの発散光は入射しないでください。そのような光はファイバーコネクタ用のポートではコリメートされておらず、またファイバーポートに接続されたファイバに結合もされません。
ファイバーコネクタ用ポート
このポートではファイバの端面がミラーの焦点にアライメントされます。ファイバの端面は焦点に置かれた点光源に近いため、自由空間ポートからはコリメートされたビームが出射されます。ファイバ端面を焦点にアライメントすることは、自由空間光用ポートからの光がコリメートされ、光軸に対して平行に出射される理由でもあります。
光の方向性について
コリメータにおける光の方向は、反射素子として回転非対称の軸外放物面(OAP)を使用していることで決まっています(Figure 187F)。断面図では、ファイバの端面がOAPミラーの焦点でもある親放物面の焦点に置かれていることを示しています。
最終更新日:2019年12月4日
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ファイバーコリメーターセレクションガイド
コリメータの種類または画像をクリックすると、各コリメータの詳細がご覧いただけます。
Type | Description | |
---|---|---|
焦点固定型FC、APC、SMAファイバーコリメータ | ![]() | こちらのファイバーコリメーターパッケージは、FC/PC、FC/APC、またはSMAコネクタ付きファイバからの出射光をコリメートするように、予めアライメントされています。各コリメーターパッケージは、405 nm~4.55 µmの波長で回折限界性能が得られるように工場で調整されています。設計波長以外でコリメータを使用することは可能ですが、色収差が生じるため最適な性能が得られるのは設計波長においてのみです。非球面レンズの実際の焦点距離は、色収差により波長に依存します。 |
エアスペース型複レンズ、大径ビームコリメータ | ![]() | 大径ビーム(Ø5.3 mm~Ø8.5 mm)用として、FC/PC、FC/APC、SMAコネクタ付きエアスペース型複レンズコリメータをご用意しています。こちらのコリメーターパッケージは、FCやSMAコネクタ付きファイバからの出射光をコリメートし、設計波長で回折限界性能が得られるように工場で予めアライメントされています。 |
トリプレットレンズコリメータ | ![]() | 高品質なトリプレットコリメーターパッケージは、エアスペース型トリプレットレンズを使用しており、非球面レンズを用いたコリメータよりも優れたビーム品質が得られます。収差の小さいトリプレットを用いることの利点は、M2値として1(ガウシアン)に近い値が得られ、広がり角や波面エラーが小さくなることなどです。 |
マルチモードファイバ用アクロマティックコリメータ | ![]() | 高NAアクロマティックコリメータは、メニスカスレンズとアクロマティック複レンズを組み合わせることで、可視~近赤外スペクトル域において球面収差の少ない優れた性能を発揮します。高NAのマルチモードファイバ用に設計されているため、オプトジェネティクスやファイバーフォトメトリの用途に適しています。 |
反射型コリメータ | ![]() | 金属コーティング反射型コリメータは、90°軸外放物面(OAP)ミラーをベースにしています。レンズと違い、ミラーは広い波長範囲にわたり焦点距離が変化しません。この特性により、軸外放物面(OAP)ミラーを用いたコリメータは広い波長範囲に対応させるための調整が不要となるため、多色光を用いる用途に適しています。当社の反射型コリメータはシングルモードファイバからの光のコリメートには適していますが、シングルモードファイバへの結合には適していません。これらのコリメータにはUV強化型アルミニウムコーティングと保護膜付き銀コーティングの製品をご用意しており、それらにはFC/PC、FC/APCまたはSMAコネクタが取り付けられています。 |
コンパクト反射型コリメータ | ![]() | このコンパクトな反射型コリメータには、保護膜付き銀コーティングが施された90°軸外放物面(OAP)ミラーが組み込まれています。OAPミラーの焦点距離は波長に依存しないため、多色光用として適しています。 この固定式の反射型コリメータは、シングルモードファイバやマルチモードファイバからの出射光のコリメート用、およびマルチモードファイバへの光結合用として推奨しています。 これらのコリメータは当社の16 mmケージシステムに直接取り付けられます。 光入射用として、FC/PC、FC/APCまたはSMAコネクタの取り付けられた製品をご用意しています。 |
調整機能付き反射型コリメータ | ![]() | 調整機能付き反射型コリメータは、保護膜付き銀コーティングが施された90°軸外放物面(OAP)ミラーをベースにしています。ファイバ-OAP間の距離が調整可能であり、またOAPミラーが波長によらず一定の焦点距離を有します。そのため、シングルモードまたはマルチモードファイバからの多色光をコリメートしたり、あるいは逆に多色光をそれらのファイバに結合したりすることができ、その際に最適化のための調整も可能です。これらの調整機能付きコリメータは15.0 mmまたは33.0 mmの反射焦点距離を有し、FC/PC、FC/APC、またはSMAコネクタ付きの製品をご用意しています。 |
FiberPort | ![]() | こちらのコンパクトで極めて安定なFiberPortマイクロポジショナは、FC/PC、FC/APCまたはSMAコネクタ付き光ファイバとの光の入出射用として、安定で使いやすいプラットフォームです。シングルモード、マルチモードまたは偏波保持ファイバと組み合わせて使用することができ、ポスト、ステージ、プラットフォーム、レーザなどに取り付けることができます。組み込まれている非球面またはアクロマティックレンズのARコーティングは5種類から選択でき、また5軸のアライメント調整(3つの移動調整と2つの角度調整)が可能です。コンパクトでアライメントの長期安定性に優れたFiberPortは、ファイバへの光の結合、コリメート、組み込み用途(OEM用途)などに適しています。 |
調整可能型ファイバーコリメータ | ![]() | このコリメータは、FC/PC、FC/APCまたはSMAコネクタに接続するよう設計されており、内部にはARコーティング付き非球面レンズが取付けられています。非球面レンズとファイバ先端との距離は、焦点距離の変化を補正したり、波長や対象までの距離に合わせて再コリメートしたりするために調整することができます。 |
アクロマティックファイバーコリメータ、焦点調整可能 | ![]() | 焦点調整の可能な当社のアクロマティックファイバーコリメータは、20 mm、40 mmまたは80 mmの有効焦点距離(EFL) を有し、その光学素子のARコーティングは3種類の広帯域ARコーティングから選ぶことができます。また、接続用コネクタの種類としては、FC/PC、FC/APCまたはSMA905をご用意しています。4枚のレンズを使用したエアスペース型設計であるため、非球面レンズのコリメータに比べてビーム品質に優れ(1に近いM2)、波面誤差は小さくなっています。これらのコリメータは自由空間光のファイバへの結合や、ファイバからの出射光のコリメートなどにご使用いただけます。また、距離をとって配置した2つのコリメータを用いて光を結合させると、光が2番目のコリメータに入る前にそのビームを操作することが可能になります。 |
ズーム機能付きファイバーコリメータ | ![]() | こちらのコリメータは、ビームをコリメートしたまま、6~18 mmの範囲で焦点距離を変えることができます。そのため、コリメートした状態でビームサイズを変更できます。このデバイスは、用途に適した固定のファイバーコリメータを探す手間を省けるという利点に加え、1つで様々な幅広い用途に対応することができます。FC/PC、FC/APCまたはSMA905コネクタが付いており、反射防止コーティングは3種類からお選びいただけます。 |
シングルモードファイバーピグテール付きコリメータ | ![]() | シングルモードファイバーピグテール付きコリメータは、長さ1メートルのファイバとそれに対して予めアライメントされたARコーティング付き非球面レンズとで構成されており、532 nm、633 nm、780 nm、850 nm、1030 nm、1064 nm、1310 nm、1550 nmの8波長用の製品をご用意しています。コーティング波長域内のどの波長でもコリメートできますが、設計波長からずれると結合損失が増加します。 |
偏波保持ファイバーピグテール付きコリメータ | ![]() | 偏波保持ファイバーピグテール付きコリメータは、長さ1メートルのファイバとそれに対して予めアライメントされたARコーティング付き非球面レンズとで構成されており、633 nm、780 nm、980 nm、1064 nm、1550 nmの5波長用の製品をご用意しています。波長やコネクタについてはカスタム仕様も対応可能です。筐体の外側にはスロー軸と平行なラインが刻印されています。これは入射光の偏光面をアライメントする際の目安としてお使いいただけます。コーティング波長域内のどの波長でもコリメートできますが、設計波長からずれると結合損失が増加します。 |
GRINレンズコリメータ | ![]() | GRINレンズファイバーコリメータは、630~1550 nmの範囲内の様々な波長に対してアライメントされた製品をご用意しており、FCまたはAPCコネクタ付きもしくはコネクタ無しのタイプからお選びいただけます。この有効径Ø1.8 mmのGRINレンズコリメータは、ファイバへの後方反射光を抑えるためにARコーティングが施されており、標準のシングルモードファイバまたはグレーデッドインデックス(GI)マルチモードファイバに結合されています。 |
GRINレンズ | ![]() | この屈折率分布型(GRIN)レンズは630 nm、830 nm、1060 nm、1300 nm、または1560 nmの波長用にARコーティングが施されており、光ファイバから出射した光が自由空間の光学系を通過して再度別のファイバに入射するまでの各用途にご利用いただけます。また半導体レーザの出射光のファイバへの結合、ファイバからの出射光のディテクタへの集光、レーザ光のコリメートなどにも適しています。このGRINレンズは当社の ピグテール付きガラスフェルールやGRINレンズ/フェルール用スリーブと組み合わせてお使いいただくこともできます。 |