ボイスコイルフレクシャースキャナー
- ±1.75 mm Recommended Travel Range
- Full Range of Motion at Frequencies up to 30 Hz
- Very Smooth Movement
- Accepts Ø1/2" (Ø12.7 mm) Optics
VCFL35
Voice Coil Flexure Scanner Shown with Retroreflector and Cable (Retroreflector Not Included)
Side View
US Patent 10,101,559
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特長
- 推奨移動範囲:3.5 mm (ニュートラルの位置から±1.75 mm)
- 負荷3.5 gで最大30 Hzまで、全範囲の移動が可能
- Ø12.7 mm(Ø1/2インチ)光学素子の取付けが可能
- ボイスコイルアクチュエータVC063/Mによる駆動
- モノリシック構造のフレクシャーアームによる光学素子保持方式(特許取得済みUS Patent 10,101,559)
- MMCXオス-BNCオスケーブルCA3339が付属
ボイスコイルフレクシャースキャナVCFL35/Mを用いると、Ø12.7 mm(Ø1/2インチ)光学素子を高速で滑らかに移動させることができます。推奨移動範囲は3.5 mm (フレクシャのニュートラル位置から±1.75 mm)で、3.5 gのマウント付き光学素子を取付けた時の最大周波数は30 Hzです。40 m/s2までの範囲内で大きな加速が得られるため、短い移動範囲でより高い周波数を得ることができます。ゴム製ストッパで移動範囲は±2.3 mmに制限されています。
このスキャナは、2つのフレクシャの間に取付けられたボイスコイルアクチュエータVC063/Mをステージで支える構造になっています。フレクシャ部の曲げには摩擦がほとんど無いため、ベアリングを用いた多くのステージよりも移動が滑らかになります。光学素子はステージの正面に取付け、サイドから0.05インチ(1.3 mm)六角レンチを用いて固定します。このミラーマウントは、光学素子の保持にモノリシック構造のフレクシャーアーム(特許取得済み)を使用しています。MMCXメス型の入力コネクタに電圧(最大3.1 VRMS)を印加するとボイスコイルに電流が流れ、ステージを駆動できます。スキャナの詳しい仕様については「仕様」タブを、取付けや電気接続についての図面は「使用方法」タブをご覧ください。
スキャナVCFL35/Mの動作は滑らかで速く、また予測可能なため、低分解能から中分解能の干渉法、レーザのディレイライン、ビーム移動などの用途に適しています。移動経路はおおよそ直線ですが、移動の両端における垂直方向への振れ(移動)はおおよそ90 µmあります。この垂直方向の振れは、走査軸に沿った動きに対してほぼ放物線を描きます。光学素子の傾きは小さいですが、ゼロではなく、またユニットによっても異なります。 そのため、このスキャナはレトロリフレクタを用いて傾きやせん断を補償している干渉計に適しています。
スキャナVCFL35/Mは、様々な波形を出力する標準的な波形発生器を用いて開ループ動作をさせることができます。 様々な波形で開ループ動作させたときのマイケルソン干渉計の性能に関する詳細は、「使用例」タブでご覧頂けます。また、そこに示されたリンクから、その使用例で用いられた駆動波形もダウンロードできます。お客様が設計されたシステムにフレクシャースキャナを組み込んで閉ループ制御することも可能です。詳細は「使用例」タブやマニュアルをご覧ください。「グラフ」タブでは、性能についての追加情報をご覧いただけます。
スキャナVCFL35/Mには、長さ1 mのMMCXオス-BNCオスケーブルCA3339が1本付属しています。スキャナは、長さ12.7 mm以上のM6ネジを使用するか、または下側の3つのM6ネジ穴を使用して、標準的なブレッドボードに取付けることができます。下側のM6ネジ穴は、当社の高さ調整スペーサ、ベースBA2/M、同じザグリ穴パターンの当社製ベースなどに適合しています。
Resonance Specificationsa | |||
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Resonance | No Load | 2 g Optic Mounted | 3.5 g Optic Mounted |
First Resonance | 14.9 Hz | 14.1 Hz | 13.2 Hz |
Max Scan Frequencyb | 33 Hz | 32 Hz | 30 Hz |
First Parasitic Resonancec | > 1.5 kHz |
VCFL35(/M) Specifications | |
---|---|
Recommended Travel Rangea | 1.75 mm |
Maximum Travel Rangea | 2.30 mm ± 0.50 mm |
Maximum Input Voltage | 3.1 VRMS |
Scanner Resistance | 2.2 Ω at 23 °C |
Maximum Continuous Currentb | 1.4 A at 23 °C |
Voice Coil Inductance | 167 µH |
Force Constantc | 0.71 N/A |
Static Travel Constanta | 0.27 A/mm |
Flexure Spring Constantd | 193 N/m ± 20% |
Maximum Recommended Loade | 3.5 g |
Absolute Maximum Load | 12.5 g |
Recommended Optic Mounting Torquef | 8 oz-in |
Minimum Optic Thickness | 3.2 mm |
Vertical Runoutg | 90 μm |
Dimensionsh | 57.3 mm x 38.1 mm x 42.4 mm |
Weight | 68 g |
Weight (Moving Stage Only) | 20 g |
Structural Material | Aluminum, Steel |
Input Connector | Female MMCX |
Input Connector Mating Cycles | 500 |
Included Cable | 1 m MMCX Male to BNC Male |
詳細な図面は下の型番横の赤いアイコン()をクリックしてご覧ください。
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スキャナの前面に光学素子を取り付けるには、可動プラットフォームを適切な位置で保持し、0.050インチ(1.3 mm)の六角ボールドライバまたは六角レンチでロック用止めネジ(セットスクリュ)を締め付けます。Ø12.7 mm (+0/-0.1 mm)の光学素子を取付ける時の推奨トルクは0.056 N·mです。
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スキャナVCFL35/Mを適切な波形発生器またはコントローラに接続します。様々な駆動条件における性能の例については「使用例」タブをご覧ください。スキャナへの入力コネクタはアルミニウム製筐体から電気的に絶縁されています。
上の2つのグラフは変位量の伝達関数を示すボード線図です。 ボード線図は、リニアシステムの周波数応答を直感的に理解しやすくする便利な表示方法です。上側のグラフは変位についての周波数応答の大きさ、下側のグラフは位相シフトを表しています。1次共振周波数より低い周波数での応答は大変フラットですが、これはシステムの応答がボイスコイルの力によって生じた単純なバネのたわみに対応しているためです。
上の2つのグラフは速度の伝達関数を示すボード線図です。上側のグラフは応答の振幅、下側のグラフは位相を表しています。速度は1次共振周波数まで周波数とともに増加します。共振するとエネルギーが効率的に再利用されるため、共振周波数及びその近傍では速度が著しく増加します。1次共振周波数を超えると、周波数の増加に対して振幅はロールオフします。
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磁界の強さは完全に均一ではなく、またコイルと磁界のオーバーラップも位置によって変化します。そのため、スキャナVCFL35/M内のボイスコイルアクチュエータによって生成される力は、電流だけではなく磁界内での位置によっても若干異なります。 両走査端(ニュートラルから±1.75 mmの推奨位置)における力定数は、約10%減少します。
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上のグラフは、スキャナVCFL35/Mを波形発生器で直接駆動したときに得られる、フレクシャがニュートラル位置にある状態からの最大走査変位量を表しています。このグラフはデバイスの1次共振周波数が14 Hz付近にあることを示しています。なお、スキャナの変位量はゴム製のソフトストッパで±2.3 mm以内に制限されていることにご注意ください。
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上の図はこのページでご紹介しているマイケルソン干渉計の構成です。クリックすると各製品名がご覧いただけます。
マイケルソン干渉計へのアプリケーション: 開ループおよび閉ループ動作
ここでは、ボイスコイルフレクシャースキャナVCFL35/Mを使用して標準的なマイケルソン干渉計を構成し、それを用いて様々な駆動条件でのスキャナの使用方法をご紹介します。
マイケルソン干渉計システム
スキャナVCFL35/Mは、標準的なマイケルソン干渉計の可動アームを走査するのに使用することができます。右図は、除振テーブル上に構築された光学系です。この例では使用していませんが、特に位置制御などのために環境外乱からの厳重な隔離を要求される場合には、当社の光学エンクロージャで干渉計を覆ってください。また、スキャナVCFL35/Mの開ループでの動作には信号発生器、閉ループでの動作にはPIDコントローラが必要です。
右図のマイケルソン干渉計の光源としては、785 nm VHG波長安定化単一周波数半導体レーザFPV785Pの出力光を、ファイバーコリメーターパッケージF220APC-780でコリメートして使用しています。レーザ光は偏光無依存型ビームスプリッタCCM1-BS014(/M)によって2本の互いに垂直なビームに分岐されますが、それぞれの強度のノミナル値は元の強度の50%になります。1本のビームは固定された平面ミラー(型番PF10-03-P01)で反射され、他方のビームはスキャナVCFL35/Mの可動ステージに取り付けられた平面ミラーPF05-03-P01で反射されます。反射された2本のビームはビームスプリッタに戻り、さらに分岐します。
結果として重ね合わせられたビームの1本がディテクタPDA100A2 に到達し、その強度が測定されます。もう一方の重ね合わせられたビームは、レーザ光源の方向に戻って消失します。ディテクタPDA100A2で重ね合わせられたビームの強度を測定しますが、その値は2つのアームの光路差によって変化します。ディテクタからの出力データはADC(Analog-to-Digital Converter)に送られ、小さな時間増分で分割されます。時間増分あたりの干渉縞の数は、スキャナの速度を計算するのに使用されます。
開ループ動作
スキャナVCFL35/Mの開ループ動作では、駆動パワーの制限内であればあらゆる波形で駆動することが可能です。アプリケーションにもよりますが、最も有用と考えられる入力信号は、繰り返しの動作曲線に沿って動きを最適化するように調整されたものです。正弦波形の場合に必要なのは、要求された周波数でスキャナが正しく応答するように、振幅を適切にスケーリングするだけです。しかしFT-IR分光計などの場合、より望ましい移動プロファイルは、両方向に一定の速度で動いて素早く折り返す、三角波に近い形状です。
フレクシャースキャナの共振時の動作についての詳細はマニュアルに記載されています。「仕様」タブでは負荷が異なる場合の共振周波数、「グラフ」タブでは共振周波数における特性をご覧いただけます。基本共振周波数では振幅応答が大きく増加するので、共振モードを励起しないように波形を調整することが重要です。純粋な三角波は一連の高調波から構成されており、そこにはスキャナVCFL35/Mの基本共振周波数が含まれている場合があります。その場合、速度の安定性が低下し、意図しない折り返し動作が発生します。
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上のグラフは、三角波(左)と、その三角波で駆動されたスキャナVCFL35/Mの速度(右)を時間の関数として表しています。三角波のグラフの青く網掛けされた範囲は、スキャナの速度が表示されている範囲です。走査の終了直前に、意図しない折り返し動作(赤で丸く囲んだ部分)が発生しています。
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上のグラフは、高調波がフィルタリングされた三角波(左)と、その三角波で駆動されたスキャナVCFL35/Mの速度(右)を時間の関数として表しています。フィルタリングされた三角波のグラフの青く網掛けされた範囲は、スキャナの速度が表示されている範囲です。
右のグラフは、上記のマイケルソン干渉計システム内のスキャナVCFL35/Mを駆動するのに使用した純粋な三角波と、それによって端から端まで(移動量3.5 mm)を1回走査したときの速度変化を示しています。三角波のグラフの青く網掛けされた範囲は、スキャナの速度が表示されている範囲です。
この例では、走査範囲の中心部の65%における速度安定性は18.6%でした。これは試験を行った複数のユニットで再現できました。ここで、速度安定性は平均値を標準偏差で割った値として定義しています。走査の終了直前に、意図しない折り返し動作(赤で丸く囲んだ部分)が発生しています。
スキャナVCFL35/Mの基本共振周波数を励起するエネルギーを除去すれば、必要とする動作曲線により近い動作をさせ、速度安定性も大きく向上させることができます。このエネルギーは、単純に三角波をフィルタリングし、各折り返し点に存在する鋭いピークを丸めることで除去できます。
ここでは、シンプルな移動平均フィルタを使用しました。フィルタの移動平均幅(時間)を長くすると、折り返しは滑らかになります。基本的に、折り返しを滑らかにすると折り返しに要する時間が増加し、ノミナル値の一定速度で動く時間が少なくなります。様々な移動平均幅で試験を行い、安定性とデューティーサイクルの効率性とのバランスの観点から、サンプリング周波数の7.5%を移動平均幅としました。
右のグラフは、そのフィルタリングされた三角波と、それでスキャナVCFL35/Mを駆動して端から端まで(移動量3.5 mm)を1回走査したときの速度変化を示しています。フィルタリングされた三角波の青く網掛けされた範囲は、スキャナの速度が表示されている範囲です。
純粋な三角波と比較して、フィルタリングされた三角波では速度安定性が大幅に向上しています。走査範囲の中心部の65%における速度安定性は8.0%でした。これは試験を行った複数のユニットで再現できました。
波形を生成するのに用いられたMatlab/Octave/SciLabの.mファイルコードが下表のリンクから直接ダウンロードできます。また、これはVCFL35(/M)のマニュアルのAppendixでもご覧いただけます。下表のリンクから.csvファイルをダウンロードし、信号発生器用にご利用いただくことも可能です。
Waveform Downloads |
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Filtered Triangle Waveform .csv File |
Filtered Triangle Waveform .m File |
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閉ループ制御時の速度プロファイル
閉ループ動作
閉ループ制御を行うと、速度安定性をさらに向上させることができます。閉ループで位置と速度を制御する従来の方法では、しばしば光学式または磁気エンコーダを用いたモーションコントローラを使用します。しかし、干渉信号からは従来のエンコーダよりも本質的に優れた速度・位置情報が得られるため、ここではスキャナ VCFL35/Mを用いて干渉計からのフィードバック信号で閉ループ動作をさせ、その性能を見てみます。
開ループ動作における速度の時間依存性は、右上のシンプルなマイケルソン干渉計を用いて測定し、ディテクタPDA100A2のデジタル出力を後処理して取得しています。この出力を処理してフリンジレート(fringe rate)を計算し、そこから速度をリアルタイムで計算すれば、ディテクタPDA100A2の出力は、PIDコントローラなどの閉ループ制御システムのためのフィードバック信号として利用できます。
そのような閉ループ制御システムを、同じマイケルソン干渉計でスキャナVCFL35/Mに適用してみました。この閉ループシステムで得られたスキャナの速度安定性を、右のグラフに示します。走査範囲の中心部の65%における速度安定性は1.4%で、これは試験を行った複数のユニットで再現できました。開ループと比較して、閉ループでは大幅に速度安定性を向上させることができます。しかし技術的には高度になり、少なくともいくつかのコンポーネントを追加する必要があります。位置の閉ループ制御も、同じハードウェアでフィードバック信号を若干修正することで実現できます。この閉ループ動作の例についてはVCFL35(/M)のマニュアルで詳細をご覧いただけます。
Posted Comments: | |
user
 (posted 2023-04-23 14:44:47.533) Hi, are these voice coils vacuum-compatible? I can think of two potential issues: coil overheat and trapped air pockets. jdelia
 (posted 2023-04-25 09:57:29.0) Thank you for contacting Thorlabs. Unfortunately, we do not consider our voice coil flexure scanner, nor the voice coil actuator within, to be vacuum-compatible. David Sinefeld
 (posted 2022-03-14 00:33:49.767) I am interested in the Voice Coil Flexure Scanner
I wanted to know a few things about it:
1. In order to drive the scanner Can I use a simple waveform generator? Do I need high current for this?
2. Do I need to buy the VC063/M actuator seperately?
3. How can I connect a retro (HHR1272-M03 like you show in your demo) to the actuator?
Thanks, David jdelia
 (posted 2022-03-15 02:59:52.0) Thank you for contacting Thorlabs. We suggest using a simple waveform generator to drive the flexure scanner. You do not need to buy the VC063/M actuator separately, that comes pre-mounted in the assembly. Lastly, the device contains an optic retention mount that you can use to mount 1/2" optics. |