コリメート光のビーム広がり角について


コリメート光のビーム広がり角について


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コリメート光は無限遠まで一定のビーム径を維持するか

理想的なのは、コリメート光の径がレンズの位置から無限遠まで一定であることですが、伝搬していくにつれ全く同じ径を維持するコリメート光は物理的に存在しません。コリメートビームの広がり角は、ビーム径が変化する割合を示しますが、光源とコリメータの両方の特性に依存します。そのため、ランプやLEDなど広帯域波長光源からのコリメートビームは、レーザなどの狭帯域波長光源からのコリメートビームとは異なるふるまいをします。

Light from a small white light or broadband source can be collimated, but the radius of the collimated beam will increase with a constant angle.
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図1:ランプやLEDなどの広帯域波長光源を、レンズから焦点距離(f ) だけ離れた位置に置いたとき、光源の各点からの光はそれぞれがコリメートされます。レンズからの出射ビームの広がり角(θ ~ d / f )は、焦点距離と光源の直径()に依存します。

Laser light collimated to provide the lowest-divergence, longest Rayleigh length output beam.
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図3:図2の入射パラメータにより、レンズから焦点距離(50 mm)の位置にビームウェストがあるコリメート光が出射されています。なお、この図の尺度は図2より大きくなっています。ビームウェストの近く(<<zR')では、ビーム径はほぼ一定です。ビームウェストから十分遠くなると(>>zR')、ビームの広がりは広がり角()で表せます。 波長は632.8 nmと仮定されています。

Laser light focused to a small beam waist can be collimated into a low-divergence beam by a spherical lens.
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図2:ビームウェスト径(Wo)が5 µm、レイリー長(zR)が31 µmの632.8 nmレーザ光源が、焦点距離()50 mmのレンズによってコリメートされます。

Whether or not a lamp, bulb, led, or focal spot approximates a point source can be investigated by considering the input and output Rayleigh ranges, input source size, and collimated beam divergence.
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図4:入射光はビームウェスト径(Wo)が小さく、その結果レイリー長(zR)が狭いときに、点光源と見做すことができます。コリメートされた出射ビームのレイリー範囲(zR')は、Wo 、焦点距離、波長に依存します。焦点距離を長くするか、波長を短くすると、zR'は大きくなり、出射ビームの広がり角全体が小さくなります。上のグラフは、波長632.8 nm、焦点距離50 mmで計算されました。比較のため、波長1550 nm焦点距離25 mmでの値も計算されています。

ランプまたはLEDからのコリメート光
理想的な点光源は全方向に均一な光を放射し、焦点距離(f )だけ離れて配置した正の球面レンズにより集光されたビームをゼロの広がり角のビームにコリメートします。この理想的な点光源のモデルを集合させることにより、ランプやLEDなどの広帯域波長光源系の説明をする際に適用できます。このような光源は、多点光源のグルーピングに似ています。これらの光源のモデルでは、光源の直径(d )と、光源とレンズの間の距離(つまり焦点距離)が考慮されます。これらの値の比率により、コリメートビームの広がり角(θ )が概算できます。

θ ~ / f ,

この光源が理想的な点光源に近いほど、コリメートビームの広がり角は小さくなります(図1)。光源が小さいか、レンズから遠い位置にあるか、もしくはその両方のとき、その光源は理想的な点光源により近くなります。

十分な点光源と見做せるランプまたはLED
コリメートされた出射ビームの広がり角が用途の要件と合致したとき、その光源は理想的な点光源と見做すことができます。広がり角が大きすぎる場合、コリメートレンズの焦点距離を大きくして、光源を遠くに配置するという対策があります。しかし、これによりレンズに入射する光量、すなわちコリメートビームの出射光量が減少するというマイナス効果が出てしまいます。

図1では、光源の各点から放射された光がレンズの有効径いっぱいまで広がっています。光源の異なる点からの光線は異なる角度でレンズから出力するため、出射ビーム径はレンズ位置で1番小さくなることを示しています(レンズからの出力後、ビームがレンズの有効径から広がっています)。光源の各点からの光がレンズの有効径の一部のみにしか広がらない場合、ビームウェストはレンズからずれることになります。

点光源としてのレーザ光源
この点光源モデルはレーザ光にも適用できますが、この場合光源は入射ビームウェストと定義されます。光源のサイズはビームウェスト径(2Wo )です。典型的なな点光源の例として、集光スポット、光ファイバの端面、シングルモード半導体レーザの端面などがあります。

点光源モデルを当てはめるとき、レーザと広帯域光源では類似点があります。例えば、レーザ光源でもまた、コリメートビームの広がりを最小に抑えるために焦点距離だけ離れた位置にレンズを配置する必要があります。また、レーザ光源(入射ビームウェスト)が小さければ小さいほど、コリメートビームの広がりは小さくなります。

LEDやランプとは異なり、レーザ光源は広がりは大きいが、全方向に均一な光は放射しません。単波長レーザの光の場合、光軸と垂直な面における強度分布がガウス関数に似ています。その場合、コリメートビームのふるまいはガウシアンビームの式を用いて表すことができ、ビームの広がり角を表す式は波長を含む必要があります。

レーザのコリメート光
レーザ光源のサイズは、コリメートビームの特性を判断するのに役立ちます。サイズは通常、ビームウェストの半径(Wo )または直径(2Wo )で表され、レイリ―長(zR)は下記のように計算されます。

 ,

ここで()は波長です。 入射ビームウェストが小さく、その結果、レイリー範囲も小さくなると、出射されるコリメート光の広がりは小さくなります。 (例示の図2と3をご覧ください。) コリメートビーム全体の広がりは、入射光のビームウェスト径を小さくすることで小さくなります。

光源のビームウェストがレンズから焦点距離の位置にあるとき、コリメート光のビームウェストはレンズの反対側の焦点距離の位置にあります。ビームの広がりはビームウェストから離れると大きくなり、ビーム広がり角はウェストから近い領域または遠い領域で分けて表します。

ビームウェストの近くでは、出射ビームは理想的なコリメートビームに似ています。この領域では、ビーム広がり角は最小で、ビーム径は出射光のビームウェスト径(2W'o )の近くに留まります。ビーム径はビームウェストから遠くなると大きくなるため、ビームがコリメートされている範囲には制限があります。この制限は通常、出射ビームのレイリー長(zR')の範囲とされます。

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用途によっては、<<zR'の距離を指定したり、ビームウェストからのレイリー長の範囲全体の領域を許容したり、ただビーム径が最大値を超えないことが条件になっている場合があります。なお、ビームウェストからレイリー長だけ離れた位置にあるビーム径は、ビームウェスト径の1.41倍(倍)となることを覚えておくと役立ちます。zzR'、入射ビームと出射ビームのレイリー範囲の異なる関係性については、それぞれ図4に示しています。

出射側のビームウェストから十分遠い位置にあると(>>zR')、ビームウェスト付近と比較してビームの広がり角は大きくなります。出射ビームのウェスト径(およびレイリー長)が大きくなると、この領域での広がり角は小さくなります。また、この領域では、ビームの広がり角はおおよそ一定となります。

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最終更新日:2021年4月20日


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