反射ビーム方向の計算により2つのステアリングミラーの位置を決める
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2つのビームステアリングミラー間に必要な距離
2つのステアリングミラーの間に必要な距離(図1)は、1つ目のミラーから反射するビームの傾斜と、2つのミラーの高さの差によって決まります。必要な距離を把握することは、ブレッドボードや光学テーブル上のセットアップのスペースを見積もるのに重要です。
入射ビームに対する1つ目のミラーのピッチ(tip)だけを使用した簡単な計算をしがちですが、ヨー(tilt)を無視してしまうと、ミラー間の必要な距離がかなり低く見積もられる場合があります。下の例では、マウント全体ポスト軸を中心に回転することでヨー調整を行い、マウントのアジャスタでピッチ調整を行うという仮定で距離が計算されています(図2)。この手法はしばしばミラーを初期配置するときに使用されます。
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図2:ヨーアジャスタを使用する代わりに、ポスト軸中心にマウント全体を回転させることで、初期のミラー調整(ヨー)を行います(左図)。これによりマウントがX、Y、Z軸と入射光に対して回転します。マウントのピッチアジャスタがミラーのピッチを調整し(右)、マウントのX、Y、Z軸に対してミラーの向きを変えます。上の写真はミラーマウントKS2と位置保持用ポストカラーRMCです。
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図1:1つ目のミラーが入射ビームを反射して2つ目のミラーに送ります。2つのミラー間に必要な距離は、1つ目のミラーのピッチとヨーの両方に依存します。これらのミラーマウントKM100は±4°の範囲に渡りピッチとヨーの調整が可能です。
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図4:これらの値は、図3で説明するセットアップを使用して計算されています。ただし1つ目のミラーのピッチ角は1°と仮定しています。この結果では、ピッチを小さくすると、2つのミラーの間に必要な距離が長くなることを示しています。しかし、アジャスタが調整範囲の制限いっぱいまで使用すると安定性が悪くなることを考慮すると、距離をある程度長くすることを許容しても良さそうです。
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図3:この例では2つ目のミラーのテーブル上の配置に関して、入射ビームより12.7 mm低い(y2 = -0.5")位置にあるときでもに反射ビームが受光できる位置を決めるのが目標です。1つ目のミラーのピッチはアジャスタの最大調整範囲である4°と仮定しています。マウント全体をポスト軸中心に回転させ、1つ目のミラーのヨーを変えます。マウントのヨーアジャスタを使用しないのは、ヨー角度は4°以上必要で、かつこのステップではミラーの向きの微調整が必要ないからです。
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図5:このグラフはテーブル面を上から見た位置を示しています。1つ目のミラー(星印)が始点です。枠内で定義されている曲線は2つ目のミラーの位置のいくつかの例を示しており、2つ目のミラーは1つ目のミラーよりも12.7 mm低い高さ(y2)でビームを受光します。ミラー間の距離は、ピッチ角が一定でも1つ目のミラーのヨー角によって大幅に長くなります。
ヨーとピッチを適用する
ビームステアリングミラーの配置は、一般的に2つのステップで行います。まずミラーを大まかな位置と向きで置いてから、向きの微調整を行います。
ここの例ではまず調整の最初ステップを行い、その後のピッチとヨーの調整は異なる方法を用いることを想定しています。必要なヨー角度がマウントのアジャスタのヨーの調整範囲よりも大きいことが多いため、ポスト軸中心にマウント全体を回転させることでヨー調整を行います(図2、左)。これでマウントに対する入射ビームの角度が変わります。ヨーアジャスタは使用せず、マウントのピッチアジャスタだけ使用します。ピッチアジャスタは、入射ビームとマウントにおけるすべての軸の両方に対して、ミラーの向きを変えます(図2、右)。
ミラーの向きは通常、ポスト軸中心にマウントを回転させることなく、マウントのピッチとヨーのアジャスタを使用して微調整をします。両方のアジャスタを使用することは、ここでご紹介している方法例とは異なる効果でミラーの向きを変えます。
反射ビーム上の点の座標
1つ目のミラーの中心は、デカルト座標系の始点として選択されています(図2)。 Z軸は、入射光とは平行です。Y軸はテーブル面に対して垂直方向です。
ポストとX軸周りの回転角度(それぞれとθが既知である場合、反射ビームに沿っている点
変数Aはスケールファクタです。大きければ大きいほど点とミラーの間の距離は長くなります。この例では、既知の高さの変化(y2 )をx2およびz2 の算出に使っています。
例:ステアリングミラーのセットアップ
これらの式は、ビームの高さや方向を変えるステアリングミラー2つを配置するのに役立ちます。1つ目のミラーの中心は入射ビームの高さ、2つ目のミラーの中心は新しい光路の高さに設定します。2つ目のミラーは、新しい光路の高さで反射ビームを受光する必要があります。
この例では、どちらの光路も光学テーブルに対して平行ですが、新しい光路は入射路よりも12.7 mm低くなっています。ミラーはキネマティックマウントKM100に固定されており、マウントはポストホルダで固定したポストの上に取り付けられています(図1)。マウントのピッチとヨーのアジャスタはそれぞれ調整範囲に±4°の制限があります。この範囲は最初にミラーのピッチを設定するには十分ですが、ミラーのヨーには十分ではありません。代わりに入射ビームとミラー間のヨーは、ポスト軸中心にマウント全体を回転させることで調整します。これによりヨーの調整範囲の制限がなくなります。
図3では、2つ目のミラーのx2 とz2 座標が、1つ目のミラーのヨー角に対してプロットされています。これらの値は、新しい光路の任意の高さ
図5では、2つ目のミラーのx2とz2 の座標を光学テーブルの位置としてプロットしています。テーブルを上からみたときの位置です。1つ目のミラーの位置は星印、グレーの円は星印中心の同心円です。矢印は反射光の方向で、いずれも異なるヨー角度に相当します。枠内で定義されている曲線は異なるいくつかのピッチ角と、ビーム高の差-12.7 mmに対して算出されています。曲線をグレーの円と比較すると、ヨー角が大きくなると2つのミラーの間の距離を長くする必要があることが示されています。ピッチ角が小さくなっても距離を長くする必要があります。
ビームアライメントに関する追加情報は
こちらの動画ページでご覧ください。
「Insights-ヒント集」は下記リンクからご覧いただけます。 | 最終更新日:2021年1月5日 |
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