入射光の波長とともに増大するフォトダイオードの立ち上がり時間について
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立ち上がり時間に対する波長の影響
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図2: シリコン、ゲルマニウム、インジウムガリウムヒ素(In0.53Ga0.47As)の吸収係数と侵入深さ(典型値)のグラフです。侵入深さは吸収係数の逆数です。
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図1:PN接合のディテクタへの光の平均侵入深さは波長によって異なります。侵入深さは吸収係数に関係しますが、その吸収係数は波長に依存します(図2)。
フォトダイオードに光が入射したとき、空気/半導体界面からのフレネル反射で反射されなった光子は、半導体材料内を伝搬していきます。
光子は、吸収されるか、あるいは最後の末端に到達するまで伝搬を続けます。光子が吸収された場合には、電荷担体のペアが生成されます。
空乏領域内で生成された電荷担体は、ほぼ即座に光電流に寄与することができます。しかし、空乏領域以外で生成された電荷担体の場合は、空乏領域まで移動するのに余分なステップを踏む必要があります。この移動に要する時間が拡散時間です。図1では、青色と赤色の光子がP型とN型の領域でそれぞれ電荷担体を生成しています。これらは空乏領域まで拡散しなければなりません。
半導体に入射した光子が吸収される確率は吸収係数に基づいて決まります。図2では、ディテクタに使用される様々な材料における、吸収係数と侵入深さの波長依存性を示しています。
入射光波長が長くなると、吸収係数が小さくなります。これは、より長波長の光子は、吸収されて電荷担体のペアを生成するまでに、平均的により長い距離を伝搬することを意味します。また、電荷担体が空乏領域に到達するまでの距離が長くなれば、立ち上がり時間も長くなります。
図3~5は、シリコン、InGaAs、およびゲルマニウムのフォトダイオードで測定された立ち上がり時間のグラフです。Siフォトダイオードのグラフでは、800 nm未満の波長域での傾斜はほぼ平坦です。これは、表面付近で吸収された光子の拡散時間は無視できることを示唆しています。800 nm以上では立ち上がり時間は急激に大きくなります。Siフォトダイオードの800 nmでの侵入深さは9 µm(図2)であるため、これはセンサの上部から空乏領域の底部までの距離が9 µmより小さいことを示唆しています。
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図4: InGaAsフォトディテクタの立ち上がり時間
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図3: Siフォトディテクタの立ち上がり時間
「Insights-ヒント集」は下記リンクからご覧いただけます。 | 最終更新日:2020年7月31日 |
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