中赤外域用光起電力型ディテクター、HgCdTe(MCT)
- HgCdTe (MCT) Detectors with Optically Immersed Sensors
- Models Available with Four-Stage TEC
- Available in TO-8 or TO-39 Package
VL5T0
2.7 - 5.0 µm Wavelength Range,
TO-39 Package
VML10T4
2.0 - 10.6 µm Wavelength Range
with Thermoelectric Cooling,
TO-8 Package
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Mounted and Unmounted Detectors |
---|
Unmounted Photodiodes (200 - 2600 nm) |
Calibrated Photodiodes (350 - 1800 nm) |
Mounted Photodiodes (200 - 1800 nm) |
Thermopile Detectors (0.2 - 15 µm) |
Photovoltaic Detectors (2.0 - 10.6 µm) |
Pigtailed Photodiodes (320 - 1000 nm) |
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ハイパー半球レンズでは像はセンサ素子後方の仮想面に形成されるため、有効検出面積はセンサの物理的な面積よりも大きくなります。
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標準的な半球レンズでは像はセンサ素子面に形成されます。
特長
- 中赤外域波長に適した光起電力型ディテクタ
- GaAsマイクロレンズ内蔵により比検出能力を10倍向上
- 4段の熱電冷却素子(TEC)付きモデルでは比検出能力が向上
- ウェッジ付きセレン化亜鉛(ZnSe)のウィンドウを取り付けたハーメチックシールパッケージにマウント済み
こちらのフォトダイオードは光起電力モードで動作し、中赤外から10.6 µmまでの波長域に感度を有します。ディテクタは特定の波長(5 µm、8 µmまたは10.6 µm)で高い性能が得られるよう最適化されています。HgCdTe(MCT)センサ素子はすべて光学的な浸漬効果が得られるようにGaAs製のハイパー半球レンズが内蔵されており、また2~13 µm用にARコーティングされたウェッジ付きセレン化亜鉛(ZnSe)ウィンドウが付いています。当社の8 µmならびに10.6 µmのディテクタには、4段の熱電冷却素子(TEC)が組み込まれたものがあります。そのタイプではディテクタ素子の温度が-78 °Cに維持され、その冷却効果によりディテクタ電流の受光感度が向上し、従って比検出能力も向上します。TEC付きおよびTEC無しのMCTディテクタは、それぞれTO-8およびTO-39のパッケージでご提供しております。 ディテクタVML8T0およびVML10T0は、当社のPDAVJシリーズの増幅フォトディテクタにも組み込まれています。
すべてのディテクタには感度の測定データ、比検出能力のグラフ、およびその他の電気特性を記載した試験報告書が付属します。試験報告書のサンプルはこちらからご覧いただけます。
光学的な浸漬効果を用いたセンサ素子
こちらのMCTディテクタには光学的な浸漬効果が利用されており、有効検出面積が1 mm2に拡大されます。これはセンサ素子の物理的な検出面積0.01 mm2よりも約2桁大きくなっています。この技術は、センサ素子に対して、屈折率が高く(n = 3.3)、中赤外域で透明なGaAs製のハイパー半球マイクロレンズを組み合わせることで実現されています。右の図では半球レンズよりもハイパー半球レンズを使用する利点を示しています。半球レンズ(左)はセンサ面に光を集光し、物理的なセンサに比べてn倍大きい像を形成します。ハイパー半球レンズ(右)はセンサ後方の仮想的な焦点面上に像を形成し、この像の寸法は物理的なセンサに比べてn2倍大きくなります。ハイパー半球レンズにより大きな像が形成され、それによって大幅に高い性能が得られます。その代わり受容角は半球レンズの180°に比較して35°と小さくなります。
TEC付きのディテクタ
ディテクタVML8T4とVML10T4には4段のTECが内蔵されており、動作温度を-78 °Cに設定することができます。この温度まで冷却することで受光感度が向上し、比検出能力が10倍以上高くなります。詳細は「TEC」タブならびに「ピン配列」タブをクリックしてご覧ください。ディテクタの温度制御には温度コントローラTED4015の使用をお勧めいたします。
ヒートシンクの配置
ディテクタVML8T4とVML10T4に組み込まれた4段の熱電冷却素子(TEC)は、熱をセンサーチップからディテクターパッケージの下側に移動させます。この熱を散逸させるには、ヒートシンクをパッケージ底部の大きな部分に接触させる必要があります(右図の左から1、2番目の図参照)。ディテクタの筐体とヒートシンク間の熱伝達を最大化するために、熱伝導性グリースまたは熱伝導性エポキシを使用してください。
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生データはこちらからダウンロードいただけます。
このグラフは、当社のディテクタVMLxT4に内蔵されているMurata製サーミスタNCP03XM222E05RLの抵抗と温度の関係を示しています。生データには β-パラメータを用いた式を使用して計算した抵抗値も含まれています。
温度制御
TECは、内蔵のサーミスタ(Murata製、NCP03XM222E05RL)からの温度フィードバック信号を用いて、閉ループモードで動作温度を維持します。 ディテクタの温度を-78 °Cに維持するために、温度コントローラTED4015の使用をお勧めいたします。温度プローブの種類はNTCサーミスタに設定し、校正値はT0 = 25 °C(298 K)、R0 = 2.2 kΩ、β = 3080 K(25/-78 °Cに対する近似値)に設定します。これらの値は、下のβ-パラメータを用いた式もしくは右のグラフと生データを用いて、サーミスタの抵抗をMCTダイオードの温度と関連づけるのに使用できます。
MCT光起電力型ディテクタのピン配列
下の図は共にコネクタの底面から見たピン配列を表示しています。
ディテクタVL5T0、VML8T0、VML10T0(TO-39パッケージ)
TEC内蔵のディテクタVML8T4、VML10T4(TO-8パッケージ)
TO-39 Detector Pins | |
---|---|
Pin | Connection |
1 | Detector Cathode |
2 | Detector Anode |
3 | Ground/Case |
TO-8 Detector Pins | |||
---|---|---|---|
Pin | Connection | Pin | Connection |
1 | Detector Anode | 7 | Thermistor Pin 1 |
2 | TE Cooler (+) | 8 | TE Cooler (-) |
3 | Detector Cathode | 9 | Thermistor Pin 2 |
4 | Not Used | 10 | Not Used |
5 | Not Used | 11 | Ground |
6 | Not Used | 12 | Not Used |
フォトダイオードのチュートリアル
動作原理
接合型フォトダイオードは、通常の信号ダイオードと似た動作をする部品ですが、接合半導体の空乏層が光を吸収すると、光電流を生成する性質があります。フォトダイオードは、高速なリニアデバイスで、高い量子効率を達成し、様々な用途で利用することが可能です。
入射光の強度に応じた、出力電流レベルと受光感度を正確に把握することが必要とされます。図1は、接合型フォトダイオードのモデル図で、基本的な部品要素が図示されており、フォトダイオードの動作原理が説明されています。
図1:フォトダイオードの概略図
フォトダイオード関連用語
受光感度
フォトダイオードの受光感度は、規定の波長における、生成光電流 (IPD)と入射光パワー(P)の比であると定義できます。
Photoconductiveモード(光導電モード)とPhotovoltaicモード(光起電力モード)
フォトダイオードは、Photoconductiveモード(逆バイアス) またはPhotovoltaicモード(ゼロバイアス)で動作できます。 モードの選択は、使用用途で求められる速度と、許容される暗電流(漏れ電流)の量で決まります。
Photoconductiveモード(光導電モード)
Photoconductiveモードでは、逆バイアスが印加されますが、これが当社のDETシリーズディテクタの基本です。回路で測定できる電流量はフォトダイオードに照射される光の量を反映します。つまり、測定される出力電流は、入射される光パワーに対しリニアに比例します。逆バイアスを印加すると、空乏層を広げて反応領域が広くなるため、接合容量が小さくなり、良好な線形応答が得られます。このような動作条件下では、暗電流が大きくなりがちですが、フォトダイオードの種類を選ぶことで、暗電流を低減することもできます。(注:当社のDETディテクタは逆バイアスで、順方向バイアスでは動作できません。)
Photovoltaicモード(光起電力モード)
Photovoltaicモードでは、フォトダイオードはゼロバイアスで使用されます。デバイスからの電流の流れが制限されると電位が上昇します。このモードでは光起電力効果が引き起こされますが、これが太陽電池の基本です。Photovoltaicモードでは、暗電流は小さくなります。
暗電流
暗電流とは、フォトダイオードにバイアス電圧が付加されている時に流れる漏れ電流です。Photoconductiveモードで使用する場合に暗電流の値は高くなりがちで、温度の影響も受けます。 暗電流は、温度が10°C上昇するごとに約2倍となり、シャント抵抗は6°C の上昇に伴い倍になります。高いバイアスを付加すれば、接合容量は小さくなりますが、暗電流の量は増大してしまいます。
暗電流の量はフォトダイオードの材料や検出部の寸法によっても左右されます。ゲルマニウム製のデバイスでは暗電流は高くなり、それと比較するとシリコン製のデバイスは一般的には低い暗電流となります。下表では、いくつかのフォトダイオードに使用される材料の暗電流の量と共に、速度、感度とコストを比較しています。
Material | Dark Current | Speed | Spectral Range | Cost |
---|---|---|---|---|
Silicon (Si) | Low | High Speed | Visible to NIR | Low |
Black Silicon (B-Si) | Low | Medium Speeda | Visible to NIR | Moderate |
Germanium (Ge) | High | Low Speed | NIR | Low |
Indium Gallium Arsenide (InGaAs) | Low | High Speed | NIR | Moderate |
Indium Arsenide Antimonide (InAsSb) | High | Low Speed | NIR to MIR | High |
Extended Range Indium Gallium Arsenide (InGaAs) | High | High Speed | NIR | High |
Mercury Cadmium Telluride (MCT, HgCdTe) | High | Low Speed | NIR to MIR | High |
接合容量
接合容量(Cj)は、フォトダイオードの帯域幅と応答特性に大きな影響を与えるので、フォトダイオードの重要な特性となります。ダイオードの面積が大きいと、接合容量が大きくなり、電荷容量は大きくなります。逆バイアスの用途では、接合部の空乏層が大きくなるので、接合容量が小さくなり、応答速度が速くなります。
帯域幅と応答性
負荷抵抗とフォトディテクタの接合容量により帯域幅が制限されます。最善の周波数応答を得るには、50 Ωの終端装置を50 Ωの同軸ケーブルと併用します。接合容量(Cj)と負荷抵抗値(RLOAD)により、帯域幅(fBW)と立ち上がり時間応答(tr)の概算値が得られます。
雑音等価電力
雑音等価電力(NEP:Noise Equivalent Power)とは、出力帯域幅1 Hzでの信号対雑音比(SNR)が1になる入力信号のパワーです。NEPによって、ディテクタが低レベルの光を検知する能力を知ることができるので、この数値は便利です。一般には、NEPはディテクタの検出部の面積増加に伴って大きくなり、下記の数式で求めることができます。
この数式において、S/Nは信号対雑音比、Δf はノイズの帯域幅で、入射エネルギ単位はW/cm2となっています。詳細は、当社のホワイトペーパー「NEP – Noise Equivalent Power」をご覧ください。
終端抵抗
オシロスコープでの測定を可能にするためには、生成された光電流を電圧(VOUT)に変換する必要がありますが、負荷抵抗を用いて電圧変換します。
フォトダイオードの種類によっては、負荷抵抗が応答速度に影響を与える場合があります。最大帯域幅を得るには、50 Ωの同軸ケーブルを使用して、ケーブルの反対側の終端部で50 Ωの終端抵抗器の使用を推奨しています。このようにすることで、ケーブルの特性インピーダンスとマッチングできて共鳴が最小化できます。帯域幅が重要ではない特性の場合は、RLOADを増大させることで、所定の光レベルに対して電圧を大きくすることができます。終端部が不整合の場合、同軸ケーブルの長さが応答特性に対して大きな影響を与えます。したがってケーブルはできるだけ短くしておくことが推奨されます。
シャント抵抗
シャント抵抗は、ゼロバイアスフォトダイオード接合の抵抗を表します。理想的なフォトダイオードでは、シャント抵抗は無限大となりますが、実際の数値はフォトダイオードの材料の種類によって、10Ωのレベルから 数千MΩの範囲となる場合があります。例えばInGaAsディテクタのシャント抵抗は、10 MΩのレベルですが、GeディテクタはkΩのレベルです。このことは、フォトダイオードのノイズ電流に大きく影響を与える可能性があります。しかしながらほとんどの用途では、ある程度高い抵抗値であればその影響は小さく、無視できる程度です。
直列抵抗
直列抵抗は半導体材料の抵抗値で、この低い抵抗値は、通常は無視できる程度です。直列抵抗は、フォトダイオードの接触接続部とワイヤ接続部で発生し、ゼロバイアスの条件下でのフォトダイオードのリニアリティの主な決定要因になります。
一般的な動作回路
図2: 逆バイアス回路(DETシリーズディテクタ)
上図の回路はDETシリーズのディテクタをモデル化したものです。ディテクタは、入射光に対して線形の応答を得るために逆バイアス状態になっています。ここで生成された光電流の量は、入射光と波長に依存し、負荷抵抗を出力端子に接続すると、オシロスコープでモニタリングできます。RCフィルタの機能は、出力に雑音を載せてしまう可能性のある供給電力からの高周波雑音のフィルタリングです。
図3: 増幅ディテクタ回路
高利得用途でアンプとともにフォトディテクタを使用できます。動作時には、PhotovoltaicモードまたはPhotoconductiveモードのいずれも選択可能です。このアクティブ回路はいくつかの利点があります。
- Photovoltaicモード:オペアンプで、点Aと点Bの電位が同じに維持されているので、フォトダイオードでは回路全体では0 Vに保たれています。このことで暗電流は発生しなくなります。
- Photoconductiveモード: フォトダイオードは逆バイアス状態であるので、接合容量を低下させ、帯域幅の状態を改善します。ディテクタの利得は、フィードバック素子(Rf)に依存します。ディテクタの帯域幅は、下記の数式で計算することができます。
GBPが利得帯域幅積で、CDは接合容量と増幅器の静電容量の和です。
チョッパ入力周波数の影響
光導電信号は時定数の応答限界までは一定となりますが、PbS、 PbSe、HgCdTe (MCT)、InAsSbなどのディテクタにおいては、1/fゆらぎ(チョッパ入力周波数が大きいほどゆらぎは小さくなる)を持つため、低い周波数の入力の場合は影響が大きくなります。
低いチョッパ入力周波数の場合は、ディテクタの受光感度は小さくなります。周波数応答や検出性能は下記の条件の場合において最大となります。
Posted Comments: | |
user
 (posted 2023-09-21 12:29:35.553) Are you able to give me any more of the electrical characteristics of the VL5T0 such as the capacitance and noise? hchow
 (posted 2023-09-25 03:48:28.0) Dear User, as this information is proprietary, I cannot disclose the specifications of the VL5T0 publicly. I will however reach out to you personally. Thank you. Mohsn.realtbzu
 (posted 2017-12-25 04:27:19.91) Hi,I need output current of this photovoltaic for designig my project but in your datasheet wasn't Responsivity curve (A/W_landa)!
Would you please send me Resposivity curve inorder to find output current or say how can I find this electrical signal? wskopalik
 (posted 2017-12-28 09:50:39.0) This is a response from Wolfgang at Thorlabs. Thank you very much for your inquiry.
The photovoltaic detector VML10T4 is specified with a current responsivity - width product of ≥ 0.15 A * mm * (1/W) at the optimal wavelength of 10.6µm. I have contacted you directly with further information about how to estimate the output current based on this specification. yt
 (posted 2017-09-28 15:53:33.917) Hi!
Could you send us quotation VML10T4 with TEC amplifer like PDA10JT-EC type?
Best regards,
Y. T. Chae swick
 (posted 2017-10-03 03:29:53.0) This is a response from Sebastian at Thorlabs. Thank you for the inquiry.
MCT detectors with integrated transimpedance amplifier (similar to PDA10JT) will be release soon.
I will contact you directly with further information. |
下表は、当社のフォトダイオードタイプのディテクタ、フォトコンダクティブ型ディテクタ、焦電ディテクタの一覧です。同一の列に記載されている型番の検出素子は同じです。