Engineered Diffusers®のチュートリアル


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はじめに
Engineered Diffusers®*は、入射ビーム強度分布を均一化し、非ガウシアン強度分布を得られるように設計されています。当社では、トップハット型の強度プロファイルを円形、正方形、直線形の分布パターンで生成可能なEngineered Diffusersをご用意しております。一般的な拡散板では発散角、照明の空間的分布、強度プロファイルに対してこのような高度な制御はできません。ポリマEngineered Diffusersは円形、正方形、長方形の分布パターンを生成可能なコスト効率の良い製品です(詳細は「ポリマ拡散板」タブをご覧ください)。これらの拡散板は低パワーの用途に対応しています。一方で、UV溶融石英Engineered Diffusersも、円形の分布パターンを生成可能ですが (詳細は「UV溶融石英拡散板」タブをご覧ください)、損傷閾値が高いため高パワーの用途にご使用いただけます。
当社のEngineered Diffusersの詳細、技術、製造については「テクノロジ」タブをご覧ください。
*Engineered Diffusers®は、VIAVI Solutions社の登録商標です。

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Figure 2.2 Engineered DiffuserのSEM像(拡大)

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Figure 2.1 Engineered DiffuserのSEM像
Engineered Diffuser®のテクノロジ
当社のEngineered Diffusersは、ビームプロファイルがしっかりと制御され、リソグラフィーシステムや、アウトドア照明、ディスプレイ、バックライト、ディスプレイ輝度の強化、プロジェクタースクリーンなどの幅広い用途で使用できます。
すりガラス、乳白ガラス、ホログラフィック素子などの均一拡散板は、開口全体に渡って連続して均一的な表面パターンが構成されており、照明部の形ならびに強度プロファイルに関しては限定的な制御しかできず、また、入射光の利用効率が大きくできません。また、ホログラフィック拡散板は、通常コヒーレント光を用いた単色用途に限られています。一方、Engineered Diffuserは、個々に異なった形状で形成されたマイクロレンズユニットによって構成されているので、広帯域に対応し、光分布ならびにビームプロファイルを制御することが可能です。
拡散板を形成する各マイクロレンズユニットは、その形状や位置について、個別に規定されてます。同時に、入射ビームの強度プロファイルに変化があっても安定して拡散し、そして可視域ならびに赤外域でも確実に使用できるように、マイクロレンズ分布は、所望のビームプロファイルを形成するための確率分布関数に従いランダム化されています。マイクロレンズの分布はまた、出射光のゼロオーダの輝点ならびに回折によるアーティファクトを取り除くように設計されます。このようにして、Engineered Diffuserは、ランダムかつ確定的な性質を持つことができるのです。

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Figure 2.3 マスタ製造過程の略図
製造
マイクロレンズアレイのマスタはVIAVI Solutions社が開発したレーザ書込みシステムによって製造されます。Figure 2.3のように、この書込みシステムは、ラスタースキャンモードでpoint-by-pointに厚い層のフォトレジストを露光します。レーザービームの強度を走査中に変調すると、フォトレジストへの露光度も変化します。結果、Figure 2.1と2.2.のSEM像でみられるような深さのある表面が作り上げられました。
他の拡散板テクノロジとの比較
一般的に使われる拡散板には、プリズムガラスの集積バー、すりガラス、乳白ガラス、ホログラフィック拡散板、回折拡散板などがあります。プリズムガラスの集積バーは、時々高性能なシステムに使用されることがありますが、高価でスペースを占領してしまう大きさとなっております。すりガラスならびに乳白ガラスは、すべての方向において光を均等に散乱しますが、出力プロファイルを制御する性能は高くありません。また、このようなシンプルな拡散板における透過効率は一般的に低くなります。ホログラフィック拡散板は、これらの拡散板よりも優れた性能を持ちますが、ガウシアンと同様の強度プロファイルと円形または楕円形のパターンしか作ることができません。一般的なビーム形成の性能については、回折素子が入射ビームを任意の形に形成するのに優れています。しかし、狭い拡散角に限定され、波長には非常に敏感で、入射ビームと同一線上にあるゼロオーダの輝点を失くすことができません。対照的に、Engineered Diffuserは、高い透過効率に加え、拡散光の発散角、空間分布、ならびに強度プロファイルを制御することができるのです。
Engineered Diffuserの製品テクノロジーと性能の詳細はこちらのカタログをご覧ください。
はじめに
Engineered Diffusers®は入射面から拡散され、円形または正方形のビームプロファイルの非ガウシアン強度分布の光を生成するよう設計されています。Figure 3.1、3.3、3.5、3.7、3.9では、633 nmのコリメート光をEngineered Diffusersに照射したときの、拡散ビーム中心部の強度分布の理論近似曲線を示しています。Figure 3.2、3.4、3.6、3.8では488 nm、637 nm、785 nm、1064 nmのレーザ波長で試験したときのデータで、波長による出射プロファイルの変化を示しています。各グラフの網掛け部分は、Engineered Diffusersの発散角を示しています。このタブの最後では、これらのデータや結論を得るために用いられたセットアップと手順を説明しています。
円形パターンEngineered Diffusersの透過光強度グラフ
| ![]() Figure 3.2 ED1-C20の試験データ 生データ |
![]() Figure 3.3 ED1-C50の理論データ | ![]() Figure 3.4 ED1-C50の試験データ 生データ |
正方形パターンEngineered Diffusersの透過光強度グラフ
![]() Figure 3.5 ED1-S20の理論データ | ![]() Figure 3.6 ED1-S20の試験データ 生データ |
![]() Figure 3.7 ED1-S50の理論データ | ![]() Figure 3.8 ED1-S50の試験データ 生データ |
ラインパターンEngineered Diffusersの透過光強度グラフ
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Figure 3.9 ED1-L4100の理論データ

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Figure 3.10 注:上の実験セットアップでは、回転マウントNR360Sa(旧製品)を使用しています。高性能黒色マスキングテープを使用して、レーザ光を反射する可能性のある金属を覆っています。ここではLMR05(/M)を取り付けた電動式フリップマウントMFF101(/M)は使用していません。
Light Preparation | ||||
---|---|---|---|---|
Wavelength (nm) | 488 | 637 | 785 | 1064 |
Source | LP488-SF20 | LP637-SF70 | LP785-SF100 | DBR1064S |
Heat Sink | LDM9LP | LM14S2 | ||
Collimator | TC06FC-543 | TC06FC-633 | TC06APC-780 | TC06APC-1064 |
手順
試験には488 nm、637 nm、785 nm、1064 nmの4波長を選びました。データの取得には右の試験装置を用いました(Figure 3.10のリンクからこのセットアップのすべての部品リストがご覧いただけます)。光路はブレッドボード表面から約35 cmの高さに設定しました。ファイバ出力光源からの光は、トリプレットコリメータでコリメートされます。ここでは、設計波長が、光源の波長にできるだけ近いコリメータを使用しました。自由空間ビームを1種類のポリマEngineered Diffusersに入射します。出射された拡散プロファイルの光は、レンズチューブSM05L20に取り付けられた平凸レンズLA1304で部分的に集光されます。信号はフォトダイオードSM05PD1Aにより0.5°毎にサンプリングされます。このアセンブリはレールXT34-500の端に取り付けられています。レールの反対側は回転ステージNR360Sa(旧製品) に取り付けられ、その回転ステージの回転中心は試験対象のEngineered Diffusersに一致するように配置されています。そのためディテクタとレンズアセンブリは右下の図のようにビームプロファイルの中心を掃引し、出射角に対して規格化された強度をプロットできます。Engineered Diffusersとディテクタ間の距離は約43 cmです。出射角はEngineered Diffusersが光路に設置されていないときの光軸を基準として定義しています。周辺光の影響を軽減するために、半導体レーザの駆動電流を1 kHzの正弦波で変調し、信号はロックインアップを用いて検出しています。セットアップの制御とデータ取得には、LabVIEWでプログラムを作成して使用しました。
試験についての制約
型番毎に1つの製品のみを試験していますb。試験は除振装置のないブレッドボードPBG11113c上で行なったため、安定性に影響が出ている可能性があります。拡散形状の中心部のみを計測したため、正方形プロファイルの隅などを含め、中心部以外の場所では一致しない場合があります。
結果
拡散ビームプロファイルの波長による違いは、プロファイルの中心部では僅かであることが判明しました。Figure 3.1、3.3、3.5、3.7、3.9のグラフは、生成されるビームプロファイルを理論的に推定したものです。Figure 3.2、3.4、3.6,、3.8では、理論モデルを検証するために様々な波長で試験したデータをまとめています。
Item # | Theoretical | Experimental | Raw Data | |
---|---|---|---|---|
Circular Patterns | ED1-C20 | ![]() | ![]() | Click Here |
ED1-C50 | ![]() | ![]() | Click Here | |
Square Patterns | ED1-S20 | ![]() | ![]() | Click Here |
ED1-S50 | ![]() | ![]() | Click Here | |
Line Pattern | ED1-L4100 | ![]() | Not Available | Not Available |
Figure 4.1では、当社のUV溶融石英Engineered Diffuser® EDG5C20の理論的かつ実験的なビームプロファイルを示しています。理論データは拡散板に633nmのコリメート光を照射した際の、発散ビームプロファイルの中心を通る強度の近似値であり、0°を基準とした相対強度に正規化されています。透過強度の実験データは、後述する散乱計のセットアップを使用し、635 nmのコリメート光を使用して収集したもので、20個の独立した拡散板での測定値の平均であり、個々の測定値は0°の値に正規化されています。青く網掛けされた範囲は、拡散板の仕様の発散角を示し、0°での透過強度を基準とした相対強度のFWHMによって定義されています。

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Figure 4.1 UV溶融石英Engineered Diffuser EDG5C20の理論的および
実験的ビームプロファイル
青く網掛けされた範囲は、仕様の発散角を示しています。

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Figure 4.3 UV溶融石英Engineered Diffuserからの散乱光を測定してビームプロファイルを特定するために、散乱計を構築しました。

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Figure 4.2 ビームプロファイルの動きを表す図
実験手順
UV溶融石英Engineered Diffuserからの635 nmのレーザ光の拡散パターンを測定するために散乱計を構築します。Figure 4.3に実験セットアップの写真を掲載しています。使用するコンポーネント一覧は写真下のリンクからご覧いただけます。この実験セットアップではロックインアンプが使用されていますが、一覧には含まれておりませんのでご注意ください。ファイバーレーザS1FC635からの出力光をコリメータRC12FC-P01を使用してコリメートし、次に空間フィルターシステムKT311/Mを使用してクリーンで空間的に均一なガウシアンビームを生成しました。コリメートされたビームは、ロックインアンプに同期させた光チョッパMC2000Bで変調し、試験対象の拡散板に入射させました。拡散板は、アルミニウム製ブレッドボードMBR150/M上の回転プラットフォームQRP02/Mに取り付けられ、回転マウントHDR50/Mの中央開口部を介して光学テーブルに直接取り付けました。フォトダイオードSM05PD3Aを取り付けたレールXRN25DR3を回転マウントに接続することで、ディテクタは拡散板からの発散ビームプロファイルの中心を掃引することができます(Figure 4.2参照)。ディテクタは拡散板から約13.5 cmの距離に取り付けられ、出射角は発散板が光路内にないときの本来の光軸を基準に定義されます。ディテクタはロックインアンプに同期され、機器制御とデータ取得用のLabVIEWプログラムを使用してによって0.1°ごとに信号を収集しました。規格化された強度は出射角の関数としてグラフ化されます。
この実験の重要な点は、光チョッパとフォトダイオードディテクタと同期した空間フィルタとロックインアンプを使用することです。この構成では、拡散板からの低強度の散乱も検出できるため、ビームプロファイルを正確に測定できます。
Posted Comments: | |
user
 (posted 2021-10-26 00:47:39.78) hello, can the engineered diffusers be used for MCWHLP1 led source if I buy the collimation adapter SM1U25-A? soswald
 (posted 2021-10-27 04:00:08.0) Dear customer,
thank you for your feedback. The engineered diffusers can be used for the beam of the MCWHLP1.
For mounting you'll need a thread adapter from the SM2 threading of SM1U25-A to the SM1 threading of the diffuser mounts, e.g. SM2A6. |