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中赤外域用低オーダ波長板、マウント付き![]()
WPLQ05M-2500 2.5 µm Quarter-Wave Plate WPLQ05M-4000 4.0 µm Quarter-Wave Plate WPLH05M-2940 2.94 µm Half-Wave Plate WPLH05M-5300 5.3 µm Half-Wave Plate Related Items ![]() Please Wait
特長
当社の低オーダ波長板は、高品質のフッ化マグネシウム(MgF2)単体から作られており、中心波長(7波長のうちのいずれか)において1/4波長または1/2波長のリターダンスを有します。Ø12.7 mm(Ø1/2インチ)の波長板を、Ø25.4 mm(Ø1インチ)のネジ切りなし筐体に取り付けてご提供しています。一般にλ/2波長板は光の偏光方向を回転するのに用いられ、λ/4波長板は直線偏光の光を円偏光に変換したい場合に用いられます。 低オーダ波長板を透過する光のリターダンスには、設計で定めたリターダンスに加えて1波長や半波長などの倍数(次数mで表される)のシフトが生じています。これは、シフトが発生しない真のゼロオーダ波長板や、シフトが数多く発生するマルチオーダ波長板と異なります。この低オーダ設計ではほぼゼロオーダに近い性能を維持できるため、ゼロオーダ波長板の代替品としてご使用いただくことができます。単体のフッ化マグネシウム(MgF2)基板は、マルチオーダ波長板を2枚組み合わせて設計されたゼロオーダの基板よりも薄いので、この低オーダーリターダは分散に敏感な用途に適しています。当社の中赤外域用1/4波長板のリターダンスは3λ/4もしくは5λ/4となっています。中赤外域用1/2波長板のリターダンスは基本的に3λ/2ですが、WPLH05M-5300のリターダンスはλ/2となっています。3/4波長板は、直線偏光の入射光を円偏光に変換しますが、偏光の向きはファスト軸の方向が同じゼロオーダの1/4波長板とは逆向きになりますのでご注意ください。 ![]() 各波長板は、波長板のファスト軸の方向を示す線が刻印されたアルマイト加工済の筐体にマウントされています。また、マウントには波長板のオーダ(つまり低オーダ)、1/4 波長板か1/2波長板かの表記、波長板の設計波長も刻印されています。カスタム仕様の波長板をご希望の場合は当社までお問い合わせください。 当社ではARコーティング無しまたは異なるARコーティング付き、あるいは下記以外の設計波長のカスタム波長板も製造可能です。当社までお問い合わせください。 取付けオプション 波長板の外径は12.7 +0/-0.1 mmで、筐体の直径は25.4 mm(1インチ)、厚さは5.8 mmです。この25.4 mm(1インチ)の筐体は回転マウントなどの当社のSM1ネジ付き製品に対応していますが、確実に取り付けるためには固定リングSM1RRが必要です。 波長板はマウントから簡単に取り外せるので、カスタム仕様やOEM用途にご使用になることもできます。取り外すにはSM05用スパナレンチ SPW603を使用して固定リングを外してください。マウント無しの波長板は、ファスト軸を示すために、周囲の2箇所にフラットな切り欠きがあります(右図参照)。波長板の使用方法や選択方法の詳細については「波長板のセレクションガイド」タブをご覧になるか、当社までお問い合わせください。 波長板の動作原理波長板は、2本の直交する軸方向の偏光に対して異なる屈折率を有する複屈折性材料から造られています。この複屈折性によって、波長板のファスト軸方向の偏光とスロー軸方向の偏光に速度の差が生じます。波長板のファスト軸方向の偏光に対する屈折率は小さいため、その方向に偏光した光は速く進みます。反対にスロー軸方向の偏光に対する屈折率は大きいので、その方向に偏光した光の速度は遅くなります。光が波長板を通過するとき、この速度の差によって2つの直交する偏光成分の間に位相差が生じます。実際の位相差は材料の特性、波長板の厚さ、および入射光の波長に依存し、次の式で表わされます。 ここで、n1はスロー軸方向の偏光に対する屈折率、n2はそれに直交するファスト軸方向の偏光に対する屈折率、dは波長板の厚さ、λは入射光の波長です。 波長板の使用波長板には一般的にリターダンスが1/4波長と1/2波長のものがあり、それぞれ波長の1/4または1/2の位相シフトが生じることを意味しています。 ![]() ![]() 1/2波長板上述のように、波長板にはファスト軸とスロー軸があります。各軸の屈折率が異なるので、それぞれの速度も異なります。1/2波長板に直線偏光が入射したとき、その偏光方向が波長板のどちらの主軸にも一致しない場合は、出射光は入射光の偏光方向を回転した直線偏光になります(右図参照)。円偏光が入射したときは、入射光の偏光が時計回り(反時計回り)であれば、出射光は反時計回り(時計回り)の円偏光になります。 1/2波長板は、偏光状態を回転させる目的で使用されることが一般的です。回転式マウントに1/2波長板を取り付けると、下図のように連続可変偏光ローテータとして使用できます。さらに偏光ビームスプリッタと一緒に使用することにより、1/2波長板は、分岐比が調整可能なビームスプリッタとして機能します。 出射偏光と入射偏光のなす角度は、入射偏光軸と波長板の軸がなす形成する角度の2倍となります(右下の図参照)。入射光の偏光が、波長板のいずれかの光軸と一致するとき、偏光状態の向きは変化しません。 ![]() 1/4波長板1/4波長板はファスト軸方向とスロー軸方向の偏光に生じる位相差が1/4波長 (λ/4)になるように設計されています。波長板のファスト軸またはスロー軸に対して偏光方向を45°に設定した直線偏光を入射した場合、出射光は円偏光に変換されます(右図参照)。直線偏光を45°以外の角度に設定した場合は、出射光は楕円偏光に変換されます。反対に、円偏光を1/4 波長板に入射した場合、出射光は直線偏光になります。1/4波長板は光アイソレータ、光ポンプ、EO変調器などに使用されています。 ![]() Click to Enlarge 図1: (a、b):2018年10月から新しい工程で組み立てられた製品の刻印。(c、d):旧工程の製品の刻印 ファスト軸ならびにスロー軸の特定当社は2018年10月に、波長板のファスト軸とスロー軸の決定に関するIEEE/SPIEによる取り決め(IEEE/SPIE convention: Polarization Handedness Tutorialを参照)に適合させるために、組立工程と関連製品の刻印を新しくしました。この取り決めにより、新しい工程で組み立てられた波長板のファスト軸には、右の図1のように「FAST AXIS」の刻印があります。波長板の主軸の位置とリターダンスを決定するのは比較的容易ですが、ファスト軸とスロー軸の識別方法は遥かに複雑です。 多くの用途においては、ファスト軸とスロー軸を識別することよりも、リターダンスの値を知ることの方が重要です。しかし、ファスト軸かスロー軸かによって1/4波長板から出射する円偏光の回転方向(左/右)が決まるため、原子物理学や固体物理学における分光分野では重要になる場合があります。表示の精度をより確実にするために、当社では下記のように製造工程に複数の試験を組み込みました。 試験セットアップ1: n > 1の無コーティング金属面による反射このセットアップはPetre Logofatu2の方法に基づいており、またGalgano and Henriques1にもその優れた要約が記載されています。この方法では、まず光源からの光を偏光ジェネレータに通しますが、これは水平方向に対して45°の方向を向いた直線偏光子です。その後、光は試験品(SUT)である波長板を通り、無コーティングの金属表面(n > 1の金属であれば十分)で反射され、アナライザ(ジェネレータに対して90°に配置された2つめの直線偏光子)を通ります。最後に、光はパワーセンサで測定されます。 右の図2に示している当社のセットアップでは、光源としてHeNeレーザ、偏光ジェネレータとアナライザとして2つのグラントムソン偏光子GTH10M-A、カスタム仕様の無コーティングステンレススチール反射面、パワーセンサS120C、およびパワーメーターコンソールPM100Dを使用しています。図2の下にはカスタム仕様の金属面とSUT以外に使用した部品のリストがご覧いただけます。 Logofatuに述べられているように、下の式のパワー反射係数Rは、フレネルの式から導かれ、これはSUTのファスト軸あるいはスロー軸が水平方向にあるか否かによって金属からの反射量が大きく異なることを示しています。 ![]() ここでRp とRs はRのp偏光成分とs偏光成分、ΔはSUTのリターダンス、φは金属表面のp偏光とs偏光の反射係数の位相差です。これにより、どちらの主軸が水平方向に置かれたときに大きな反射を期待できるかが分かり、予測値と実験値の比較ができます。入射角を大きくするとs偏光とp偏光の反射係数の差は大きくなります。このことは反射量の測定値の大きさと相関するため、ファスト軸とスロー軸の判別がより容易になります。両論文と同じように、試験は様々な入射角で実施しています。その結果を理論曲線にあてはめています。 ![]() Click to Enlarge 図 3:低コヒーレンス干渉計を用いた試験のセットアップ 試験セットアップ2: 低コヒーレンス干渉計こちらの試験のセットアップでは、低コヒーレンス干渉計を使用して、SUTを回転させながら光路長(OPL)を測定します。最長の光路長がスロー軸、最短の光路長がファスト軸に対応します。この方法では、干渉計に改造を加え、結晶軸に沿う方向と垂直な方向の群屈折率(ngSUT)を計算できるように参照用ウィンドウと背面に反射鏡を追加して、さらに検証ができるようにしています。それらの値は既知の値と比較することができるため、この試験の信頼性を確かなものにすることができます。 右の図3に示す当社のセットアップでは、Bristol 157シリーズの光学的厚さゲージを改造して使用しています。下の図4でご覧いただけるように、低コヒーレンス干渉計の大部分は光学的厚さゲージaのシャーシ内に納められています。測定アームは当社の部品を用いて改造を行い、ファイバからの出力光は低NAの対物レンズにアライメントされており、直線偏光子LPNIR100を通ったのち、参照ウィンドウWG11010で部分的に反射されるようになっています。またこれらの部品はすべて34 mmレールに取り付けられています。その後、光はSUTと背面の反射鏡で反射され、干渉用の信号光は光学的厚さゲージに戻ります。 追加された参照面と測定から得られたそれらの物理的厚さは、測定結果の有効性を再確認するのに使用されます。これは、ファスト軸とスロー軸両方の群屈折率を求める簡単な計算によって行われます。図5は、このセットアップによって生成される出力信号を定性的に示しています。Peak 1と2は参照ウィンドウによって、Peak 3と4はSUT(波長板)によって、Peak 5は参照用の反射面によってそれぞれ生成されます。厚さのデータはPeak-to-Peakの信号からソフトウェアによって算出され、表に出力されます。波長板を挿入する前にPeak 2~Peak 5の距離を測ることにより、全体の物理的な距離Tair0が得られますb。波長板挿入後は、Peak 2~3の距離Tair1と、Peak 4~5の距離Tair2を測ります。この情報を利用し、Tair0からTair1とTair2を差し引くことにより、波長板の厚さ TSUT を簡単に求めることができます。Peak 3~Peak 4の距離を測定することにより、OPLSUTが分かります。OPLSUTをTSUTで割ると、SUTの群屈折率ngSUTが得られます。この群屈折率を、文献にある石英3あるいはMgF24 の結晶軸方向およびその垂直方向の群屈折率と比較すると、結果は一致します。 ![]() Click to Enlarge 図 4: 低コヒーレンス干渉計の図解例。測定アームに記載されている反射の番号は、図5のPeakの番号に対応しています。 ![]() Click to Enlarge 図5: 光学的厚さゲージからの出射信号
当社のマウント付き低オーダ波長板の損傷閾値データ右の仕様は当社のマウント付き低オーダ波長板の測定値です。
レーザによる損傷閾値についてこのチュートリアルでは、レーザ損傷閾値がどのように測定され、使用する用途に適切な光学素子の決定にその値をどのようにご利用いただけるかを総括しています。お客様のアプリケーションにおいて、光学素子を選択する際、光学素子のレーザによる損傷閾値(Laser Induced Damage Threshold :LIDT)を知ることが重要です。光学素子のLIDTはお客様が使用するレーザの種類に大きく依存します。連続(CW)レーザは、通常、吸収(コーティングまたは基板における)によって発生する熱によって損傷を引き起こします。一方、パルスレーザは熱的損傷が起こる前に、光学素子の格子構造から電子が引き剥がされることによって損傷を受けます。ここで示すガイドラインは、室温で新品の光学素子を前提としています(つまり、スクラッチ&ディグ仕様内、表面の汚染がないなど)。光学素子の表面に塵などの粒子が付くと、低い閾値で損傷を受ける可能性があります。そのため、光学素子の表面をきれいで埃のない状態に保つことをお勧めします。光学素子のクリーニングについては「光学素子クリーニングチュートリアル」をご参照ください。 テスト方法当社のLIDTテストは、ISO/DIS 11254およびISO 21254に準拠しています。 初めに、低パワー/エネルギのビームを光学素子に入射します。その光学素子の10ヶ所に1回ずつ、設定した時間(CW)またはパルス数(決められたprf)、レーザを照射します。レーザを照射した後、倍率約100倍の顕微鏡を用いた検査で確認し、すべての確認できる損傷を調べます。特定のパワー/エネルギで損傷のあった場所の数を記録します。次に、そのパワー/エネルギを増やすか減らすかして、光学素子にさらに10ヶ所レーザを照射します。このプロセスを損傷が観測されるまで繰返します。損傷閾値は、光学素子が損傷に耐える、損傷が起こらない最大のパワー/エネルギになります。1つのミラーBB1-E02の試験結果は以下のようなヒストグラムになります。 ![]() 上の写真はアルミニウムをコーティングしたミラーでLIDTテストを終えたものです。このテストは、損傷を受ける前のレーザのエネルギは0.43 J/cm2 (1064 nm、10 ns pulse、 10 Hz、Ø1.000 mm)でした。 ![]()
試験結果によれば、ミラーの損傷閾値は 2.00 J/cm2 (532 nm、10 ns pulse、10 Hz、 Ø0.803 mm)でした。尚、汚れや汚染によって光学素子の損傷閾値は大幅に低減されるため、こちらの試験はクリーンな光学素子で行っています。また、特定のロットのコーティングに対してのみ試験を行った結果ではありますが、当社の損傷閾値の仕様は様々な因子を考慮して、実測した値よりも低めに設定されており、全てのコーティングロットに対して適用されています。 CWレーザと長パルスレーザ光学素子がCWレーザによって損傷を受けるのは、通常バルク材料がレーザのエネルギを吸収することによって引き起こされる溶解、あるいはAR(反射防止)コーティングのダメージによるものです[1]。1 µsを超える長いパルスレーザについてLIDTを論じる時は、CWレーザと同様に扱うことができます。 パルス長が1 nsと1 µs の間のときは、損傷は吸収、もしくは絶縁破壊のどちらかで発生していると考えることができます(CWとパルスのLIDT両方を調べなければなりません)。吸収は光学素子の固有特性によるものか、表面の不均一性によるものかのどちらかによって起こります。従って、LIDTは製造元の仕様以上の表面の質を有する光学素子にのみ有効です。多くの光学素子は、ハイパワーCWレーザで扱うことができる一方、アクロマティック複レンズのような接合レンズやNDフィルタのような高吸収光学素子は低いCWレーザ損傷閾値になる傾向にあります。このような低い損傷閾値は接着剤や金属コーティングにおける吸収や散乱によるものです。 線形パワー密度におけるLIDTに対するパルス長とスポットサイズ。長パルス~CWでは線形パワー密度はスポットサイズにかかわらず一定です。 このグラフの出典は[1]です。 ![]() 繰返し周波数(prf)の高いパルスレーザは、光学素子に熱的損傷も引き起こします。この場合は吸収や熱拡散率のような因子が深く関係しており、残念ながらprfの高いレーザが熱的影響によって光学素子に損傷を引き起こす場合の信頼性のあるLIDTを求める方法は確立されておりません。prfの大きいビームでは、平均出力およびピークパワーの両方を等しいCW出力と比較する必要があります。また、非常に透過率の高い材料では、prfが上昇してもLIDTの減少は皆無かそれに近くなります。 ある光学素子の固有のCWレーザの損傷閾値を使う場合には、以下のことを知る必要があります。
ビームのパワー密度はW/cmの単位で計算します。この条件下では、出力密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません(右グラフ参照)。平均線形パワー密度は、下の計算式で算出できます。 ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。次に、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときはビームの強度が1/e2の2倍のパワー密度を有します(右下図参照)。 次に、光学素子のLIDTの仕様の最大パワー密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です。おおよその目安として参考にできるのは、損傷閾値は波長に対して比例関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(つまり、1310 nmで10 W/cmのLIDTならば、655 nmでは5 W/cmと見積もります)。 この目安は一般的な傾向ですが、LIDTと波長の関係を定量的に示すものではありません。例えば、CW用途では、損傷はコーティングや基板の吸収によってより大きく変化し、必ずしも一般的な傾向通りとはなりません。上記の傾向はLIDT値の目安として参考にしていただけますが、LIDTの仕様波長と異なる場合には当社までお問い合わせください。パワー密度が光学素子の補正済みLIDTよりも小さい場合、この光学素子は目的の用途にご使用いただけます。 当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社は個別の情報やテスト結果の証明書を発行することもできます。損傷解析は、類似した光学素子を用いて行います(お客様の光学素子には損傷は与えません)。試験の費用や所要時間などの詳細は、当社までお問い合わせください。 パルスレーザ先に述べたように、通常、パルスレーザはCWレーザとは異なるタイプの損傷を光学素子に引き起こします。パルスレーザは損傷を与えるほど光学素子を加熱しませんが、光学素子から電子をひきはがします。残念ながら、お客様のレーザに対して光学素子のLIDTの仕様を照らし合わせることは非常に困難です。パルスレーザのパルス幅に起因する光学素子の損傷には、複数の形態があります。以下の表中のハイライトされた列は当社の仕様のLIDT値が当てはまるパルス幅に対する概要です。 パルス幅が10-9 sより短いパルスについては、当社の仕様のLIDT値と比較することは困難です。この超短パルスでは、多光子アバランシェ電離などのさまざまなメカニクスが損傷機構の主流になります[2]。対照的に、パルス幅が10-7 sと10-4 sの間のパルスは絶縁破壊、または熱的影響により光学素子の損傷を引き起こすと考えられます。これは、光学素子がお客様の用途に適しているかどうかを決定するために、レーザービームに対してCWとパルス両方による損傷閾値を参照しなくてはならないということです。
お客様のパルスレーザに対してLIDTを比較する際は、以下のことを確認いただくことが重要です。 エネルギ密度におけるLIDTに対するパルス長&スポットサイズ。短パルスでは、エネルギ密度はスポットサイズにかかわらず一定です。このグラフの出典は[1]です。
ビームのエネルギ密度はJ/cm2の単位で計算します。右のグラフは、短パルス光源には、エネルギ密度が適した測定量であることを示しています。この条件下では、エネルギ密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません。ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。ここで、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときは一般にビームの強度が1/e2のときの2倍のパワー密度を有します。 次に、光学素子のLIDTの仕様と最大エネルギ密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です[3]。経験則から、損傷閾値は波長に対して以下のような平方根の関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(例えば、1064 nmで 1 J/cm2のLIDTならば、532 nmでは0.7 J/cm2と計算されます)。
波長を補正したエネルギ密度を得ました。これを以下のステップで使用します。 ビーム径は損傷閾値を比較する時にも重要です。LIDTがJ/cm2の単位で表される場合、スポットサイズとは無関係になりますが、ビームサイズが大きい場合、LIDTの不一致を引き起こす原因でもある不具合が、より明らかになる傾向があります[4]。ここで示されているデータでは、LIDTの測定には<1 mmのビーム径が用いられています。ビーム径が5 mmよりも大きい場合、前述のようにビームのサイズが大きいほど不具合の影響が大きくなるため、LIDT (J/cm2)はビーム径とは無関係にはなりません。 次に、パルス幅について補正します。パルス幅が長くなるほど、より大きなエネルギに光学素子は耐えることができます。パルス幅が1~100 nsの場合の近似式は以下のようになります。 お客様のレーザのパルス幅をもとに、光学素子の補正されたLIDTを計算するのにこの計算式を使います。お客様の最大エネルギ密度が、この補正したエネルギ密度よりも小さい場合、その光学素子はお客様の用途でご使用いただけます。ご注意いただきたい点は、10-9 s と10-7 sの間のパルスにのみこの計算が使えることです。パルス幅が10-7 sと10-4 sの間の場合には、CWのLIDTも調べなければなりません。 当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社では個別のテスト情報やテスト結果の証明書を発行することも可能です。詳細は、当社までお問い合わせください。 [1] R. M. Wood, Optics and Laser Tech. 29, 517 (1997). レーザーシステムが光学素子に損傷を引き起こすかどうか判断するプロセスを説明するために、レーザによって引き起こされる損傷閾値(LIDT)の計算例をいくつかご紹介します。同様の計算を実行したい場合には、右のボタンをクリックしてください。計算ができるスプレッドシートをダウンロードいただけます。ご使用の際には光学素子のLIDTの値と、レーザーシステムの関連パラメータを緑の枠内に入力してください。スプレッドシートでCWならびにパルスの線形パワー密度、ならびにパルスのエネルギ密度を計算できます。これらの値はスケーリング則に基づいて、光学素子のLIDTの調整スケール値を計算するのに用いられます。計算式はガウシアンビームのプロファイルを想定しているため、ほかのビーム形状(均一ビームなど)には補正係数を導入する必要があります。 LIDTのスケーリング則は経験則に基づいていますので、確度は保証されません。なお、光学素子やコーティングに吸収があると、スペクトル領域によってLIDTが著しく低くなる場合があります。LIDTはパルス幅が1ナノ秒(ns)未満の超短パルスには有効ではありません。 ![]() ガウシアンビームの最大強度は均一ビームの約2倍です。 CWレーザの例 しかし、ガウシアンビームの最大パワー密度は均一ビームの約2倍です(右のグラフ参照)。従って、システムのより正確な最大線形パワー密度は1 W/cmとなります。 アクロマティック複レンズAC127-030-CのCW LIDTは、1550 nmでテストされて350 W/cmとされています。CWの損傷閾値は通常レーザ光源の波長に直接スケーリングするため、LIDTの調整値は以下のように求められます。 LIDTの調整値は350 W/cm x (1319 nm / 1550 nm) = 298 W/cmと得られ、計算したレーザーシステムのパワー密度よりも大幅に高いため、この複レンズをこの用途に使用しても安全です。 ナノ秒パルスレーザの例:パルス幅が異なる場合のスケーリング 上で説明したように、ガウシアンビームの最大エネルギ密度は平均エネルギ密度の約2倍です。よって、このビームの最大エネルギ密度は約0.7 J/cm2です。 このビームのエネルギ密度を、広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDT 1 J/cm2、そしてNd:YAGレーザーラインミラーNB1-K08のLIDT 3.5 J/cm2と比較します。LIDTの値は両方とも、波長355 nm、パルス幅10 ns、繰返し周波数10 Hzのレーザで計測しました。従って、より短いパルス幅に対する調整を行う必要があります。 1つ前のタブで説明したようにナノ秒パルスシステムのLIDTは、パルス幅の平方根にスケーリングします: この調整係数により広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDTは0.45 J/cm2に、Nd:YAGレーザーラインミラーのLIDTは1.6 J/cm2になり、これらをビームの最大エネルギ密度0.7 J/cm2と比較します。広帯域ミラーはレーザによって損傷を受ける可能性があり、より特化されたレーザーラインミラーがこのシステムには適していることが分かります。 ナノ秒パルスレーザの例:波長が異なる場合のスケーリング スケーリングによりLIDTの調整値は反射型フィルタでは0.08 J/cm2、吸収型フィルタでは14 J/cm2となります。このケースでは吸収型フィルタが光学損傷を防ぐには適した選択肢となります。 マイクロ秒パルスレーザの例 この比較的長いパルス幅のレーザが、波長980 nm、ビーム径(1/e2)12.7 mmのガウシアンビームであった場合、線形パワー密度は5.9 W/cm、1パルスのエネルギ密度は1.2 x 10-4 J/cm2となります。これをポリマーゼロオーダ1/4波長板WPQ10E-980のLIDTと比較してみます。CW放射に対するLIDTは810 nmで5 W/cm、10 nsパルスのLIDTは810 nmで5 J/cm2です。前述同様、光学素子のCW LIDTはレーザ波長と線形にスケーリングするので、CWの調整値は980 nmで6 W/cmとなります。一方でパルスのLIDTはレーザ波長の平方根とパルス幅の平方根にスケーリングしますので、1 µsパルスの980 nmでの調整値は55 J/cm2です。光学素子のパルスのLIDTはパルスレーザのエネルギ密度よりはるかに大きいので、個々のパルスが波長板を損傷することはありません。しかしレーザの平均線形パワー密度が大きいため、高出力CWビームのように光学素子に熱的損傷を引き起こす可能性があります。
波長板の選択当社では、位相差が1/4または1/2波長のアクロマティック波長板、スーパーアクロマティック波長板、ゼロオーダ波長板(マウント無しまたはマウント付き、マルチオーダ波長板(単波長対応またはデュアル波長対応)をご用意しています。 アクロマティック波長板は、広いスペクトル範囲にわたって比較的一定の位相リターダンスを与えるのに対し、スーパーアクロマティック波長板は、これよりも広いスペクトル範囲にわたってほぼ一定のリターダンスを与えます。これに対して、ゼロオーダおよびマルチオーダ波長板は、波長に強く依存した位相差が生じます。当社のアクロマティック波長板は260~410 nm、350~850 nm、400~800 nm、690~1200 nm、1100~2000 nmの4種類の動作範囲からお選びいただけます。また、スーパーアクロマティック波長板の動作範囲は310~1100 nm、または600~2700 nmからお選びいただけます。
ゼロオーダ波長板は、位相差が正確に1/4波長または1/2波長になるように設計されています。マルチオーダ波長板に比べると、温度や波長への依存性は小さいです。1/2波長板、1/4波長板ともに1枚の波長板のファスト軸がもう1枚のスロー軸に合うように2枚重ねることによって、ゼロオーダの性能を実現しています。当社では266 nm~2020 nmの間の波長でゼロオーダ波長板を取り揃えています。ポリマーゼロオーダ1/2波長板および1/4波長板は、リターダンス効果のある液晶ポリマ(LCP)の薄層を2枚のガラスプレートに挟んでできており、405~1050 nmの間の波長でご用意しています。石英波長板はリターダンス確度が高く反射率が低いのに対し(表参照)、LCP波長板は大きな入射角でもリターダンスはわずかに減少するだけ、というそれぞれの特長があります。また、当社ではWDM用途向けにマウント無しのゼロオーダ通信用波長板もご用意しています。 中赤外域用波長板は、高品質のフッ化マグネシウム(MgF2)の単体から作られており、中心波長 2.5 µm、 3.5 µm、 4.0 µm、 4.5 µm、5.3 µmにおいて、1/4波長または1/2波長のリターダンスを有します。中赤外域用波長板を透過する光のリターダンスには、設計で定めたリターダンスに加えて1波長や半波長などの倍数(次数mで表される)のシフトが生じています。これは、シフトが発生しない真のゼロオーダ波長板や、シフトが数多く発生するマルチオーダ波長板と異なります。この低オーダ設計ではほぼゼロオーダに近い性能を維持できるため、真のゼロオーダ波長板の代替品としてご使用いただくことができます。単体のフッ化マグネシウム基板は、マルチオーダ波長板を2枚組み合わせて設計されたゼロオーダの基板よりも薄いため、この低オーダーリターダは分散しやすい用途に適しています。 マルチオーダ波長板は、光路のリターダンスが整数倍(次数またはm)の波長シフトを受けるように設計されています。ゼロオーダ波長板に比べて、マルチオーダのリターダンスは波長や温度変化に敏感です。しかし、マルチオーダ波長板は低価格なのでこのような敏感さが問題とならない用途で多く使われています。当社では、266~1550 nmの間の波長でマルチオーダ波長板を取り揃えています。また、532 nmと1064 nmで設計されたデュアル波長対応のマルチオーダ波長板もご用意しています。 これらの製品に加えて、当社ではカスタム仕様の波長板にも対応いたします。OEM販売用のご注文にも、あるいは個別の小ロットでのご注文にも対応可能です。 特殊製品またはカスタム仕様のご要望、または当社の製造能力についてご質問等がございましたら、当社までお問い合わせください。 ![]() ![]() 1/4波長板は直線偏光を円偏光に変換します。 これらの波長板の開口はØ10.0 mmです。固定リングSM1RRを用いて当社のSM1ネジ付き回転マウントに取り付けることができます。 3/4波長板は、直線偏光の入射光を円偏光に変換しますが、偏光の向きはファスト軸の方向が同じゼロオーダの1/4波長板とは逆向きになりますのでご注意ください。 ![]() ![]() 1/2波長板は直線偏光を回転させることができます。 これらの波長板の開口はØ10.0 mmです。固定リングSM1RRを用いて当社のSM1ネジ付き回転マウントに取り付けることができます。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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