多段チップ型ピエゾアクチュエーター、貫通穴付き、移動量7.0 µm~40.0 µm


  • Low-Voltage Piezo Stack with 150 V Max Voltage
  • Sub-Millisecond Response Time
  • Ø2.0 mm or Ø3.0 mm Central Through Hole
  • 7.0 µm, 20.0 µm, or 40.0 µm Maximum Free Stroke Displacement

PK4FA2H3P2

150 V Piezo Stack with Two Flat Ceramic End Plates

Central Ø2 mm
Through Hole

Front View of the PK4FA2H3P2

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info icon仕様や図面等の情報は、仕様表内のInfo欄の青いアイコンから取得可能です。
Piezo Tutorial

特長

  • 駆動電圧範囲: 0~150 V
  • 4つの種類をご用意
    • フリーストローク変位量: 7.0 µm(Ø2.0 mm貫通穴付き)
    • フリーストローク変位量: 20.0 µm(Ø2.0 mm貫通穴付)
    • フリーストローク変位量: 40.0 µm(Ø2.0 mm貫通穴付
    • フリーストローク変位量: 40.0 µm(Ø3.0 mm貫通穴付き)
    • カスタム仕様にも対応(詳細は当社までお問い合わせください)
  • 開ループでの実験に適した製品
  • ワイヤ(長さ約75 mm)付きで組み込みが容易
  • 組み込み用途(OEM用途)に適した製品
  • フラットエンドプレートにより負荷を分散

当社の多段チップ型ピエゾアクチュエータは、中央に貫通穴の開いた複数のチップ型ピエゾアクチュエータを重ね、エポキシ樹脂とガラス製のビーズで接着した構造になっています。数多くのチップ型ピエゾを組み合わせることで、サブミリ秒の応答時間と低電圧駆動の特性を保持したまま、1個のチップ構造よりも非常に大きいフリーストローク変位量を実現しています。中央に貫通穴があることで、レーザーチューニングやマイクロディスペンスへの応用に適しています。

両端の取付け面には、同じ貫通穴のある平坦なセラミックプレートが付いています。 このセラミックプレートにより、負荷は多段チップ型ピエゾアクチュエータの取付け面内に分散されます。この平坦な取付け面に平坦な面を有する負荷を取り付ける場合は、2つの面が十分に平坦で滑らかであること、また取付けの平行性も十分であることを確認してください。詳細については「取扱い」タブをご参照ください。

ピエゾアクチュエータの取付け面以外の4面と中央の穴はセラミック層に覆われており、アクチュエータを湿度から保護しています。このセラミック層は、エポキシ樹脂のコーティングよりも湿度に対して優れた保護性能を有しています。利便性のために、アクチュエータには長さ75 mmのワイヤが付けられており、またポリイミドテープで覆われています。チップ型ピエゾアクチュエータの寸法、電圧範囲、コーティングについてはカスタム仕様によるご注文も承ります。詳細については当社までお問い合わせください。

チップ型ピエゾアクチュエータの設計や機能についての詳細は、ピエゾ素子のチュートリアルのページをご覧ください。

Piezo Manufacturing

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PZTブロックを個々の素子に切断する様子

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バインダのバーンアウトおよび焼結後のPZT素子

当社におけるピエゾアクチュエータの製造について

チップ型ピエゾの製造やその多段化の作業は当社の施設内で行い、各製造工程を当社で管理しております。これにより、特注や組み込み用途(OEM用途)のデバイスなどを高品質かつ安価でご提供することが可能になります。当社におけるチップ型ピエゾの製造工程の概要は以下の通りです。詳細については、ピエゾ素子の製造能力のページをご参照ください。

  • チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)またはBiScO3-PbTiO3 (BSPT)の粉末で形成されたフレキシブルシートからブロックを作成
    • 各シート上に内部電極をスクリーン印刷
    • 印刷したシートを積み重ねて層を形成  
    • 層状のシートを等方プレス
  • ブロックを個々の素子にダイシング(切断)
  • 素子を焼結して圧電性の圧粉を融着させ、PZTまたはBSPT結晶を生成
  • 厳しい寸法公差(±5 µm)を得るために、素子をラップ研磨
  • 素子に外部電極をスクリーン印刷
  • 素子を分極処理して、PZTまたはBSPT結晶を揃える
Mechanical Drawing of Unwired Chip
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ピエゾアクチュエータPK4DMP2の概略図

使用上の注意点

電源接続
このデバイスには、電極に接続されたワイヤを使用して正バイアスを印加する必要があります。正の極性のワイヤに正のバイアスを印加し、もう一方のワイヤは接地してください。デバイスに負のバイアスを印加すると機械的故障につながる可能性があります。 正極性ワイヤは2通りの方法で識別できます。まず、製品写真からわかるように赤色です。そして、ピエゾアクチュエータのプラス記号が並んでいる方の側面(右図参照)から電極に接続されています(プラス記号ではなく●が付いているデバイスもあります)。接地するワイヤは黒色で、正の電極が接続されている面の反対側に接続されています。

注:駆動後のピエゾアクチュエータには電荷が蓄積しています。正と負の電極を直接接続すると放電し、火花の発生や、さらには故障する危険性もあります。 この電荷を解放するために、当社ではワイヤの間に抵抗(>1 kΩ)を挿入することをお勧めしています。

プリロード(予備負荷) 
こちらのアクチュエータの最大変位量は各製品に規定されている最大変位用負荷をプリロードすることによって得られます。実際の最大変位量は製品によって異なり、実験的に決定する必要があります。しかし最大変位量は必ずフリーストローク変位量よりも大きくなります。プリロードによりアクチュエータのストロークは長くなります。これは製造時の分極処理ではピエゾ素子内の強誘電体粒子をすべて同じ方向に揃えることができないためです。アクチュエータに対して機械的にプリロードを負荷すると、揃っていない粒子の多くはより理想に近い方向に揃ってきます。ピエゾ素子に駆動電圧をかけると強誘電体粒子の向きが回転し、印加した電界の方向に揃います。その結果、ピエゾ素子の寸法に変化が生じます。初期段階でより多くの強誘電体粒子が同じ方向に揃っていると、駆動電圧に対するピエゾ素子の寸法の変化もより大きくなります。最適な最大変位用負荷以上のプリロードを負荷すると、本来の最大変位量よりも小さな変位量しか得られなくなります。これは負荷が大きすぎると、駆動電圧に応じて粒子が向きを変えるのを抑制してしまうためです。

リード線の電極へのはんだ付け

リード線を電極に再接続する場合、はんだ付けの温度は370 °C以下、時間は2秒以下で行ってください。リード線は電極の中心にはんだ付けし、できるだけ熱が広がらないようにしてください。

ピエゾアクチュエータへの負荷
ピエゾセラミックは脆弱で、許容張力も高くはありません。アクチュエータに対して横方向の力や曲げの力がかからないようにしてください。 圧縮方向の外部負荷でも、それに曲げモーメントが伴う場合、ピエゾデバイス内部に高い引っ張り応力が発生することがあります。そのように負荷のかけ方が正しくない場合には、ピエゾアクチュエータには破損の原因となるような内部応力が容易に発生します。 破損を防ぐには、アクチュエータにかかる荷重がアクチュエータの軸に沿って伝達されるように外部負荷を取り付けることが必要です。負荷はできる限りアクチュエータの取付け面の中心部にかかるようにし、また取付け面に対してできるだけ均一にかかるようにしてください。平坦な取付け面の付いたアクチュエータに平坦な面を有する負荷を取り付ける場合は、2つの面が十分に平坦で滑らかであること、また取付けの平行性も十分であることを確認してください。ピエゾアクチュエータに負荷を取り付ける場合、EPO-TEK 353NDやLoctite® Hysol® 9340など、80 °C以下の温度で硬化するエポキシ樹脂のご使用をお勧めします。BiScO3-PbTiO3 (BSPT) ピエゾアクチュエータの場合は、硬化温度120 °C以下、融点250 °C以上の無機接着剤の使用を推奨します。EPO-TEK 353NDは安全にご使用いただけますが、250 °Cで強度が低下するため、機械的構造を保つためにプリロードをかける必要があります。負荷はピエゾアクチュエータの変位する面に取り付けてください。変位しない面への負荷の取付けはアクチュエータの故障につながりますのでご注意ください。

高い周波数で動作させる場合
高い周波数で動作させるには、外部に温度制御システムを取り付けてデバイスを冷やす必要がある場合があります。高い周波数で動作させるとピエゾデバイス内部の温度は上昇しますが、PZTピエゾアクチュエータの最高動作温度は130 °C以下です。より高温でも使用できる製品として、最高動作温度250 °CのBSPTピエゾアクチュエータをご用意しています。各製品のデバイス温度の駆動電圧周波数に対する依存性は、下のinfoアイコンinfo iconをクリックしてご覧いただけます。デバイスの温度は、仕様の最高動作温度を超えないようにしなければなりません。

負荷荷重と共振周波数の関係
多くの用途において、ピエゾアクチュエータの長さがどの程度の速度で変化するかということは重要なパラメータです。長さが変化する速度は、ピエゾアクチュエータの共振周波数、ドライバの最大帯域幅の絶対定格、ピエゾデバイスが発生可能な最大電流、ピエゾアクチュエータの静電容量、駆動信号の振幅など、様々な要因に依存します。電圧によって伸びる長さ(伸長値)は、アクチュエータ駆動電圧とピエゾアクチュエータの長さの関数になります。 静電容量が大きくなるほど、アクチュエータの長さの変化は遅くなります。

印加電圧が急激に変化すると、ピエゾアクチュエータの長さも急速に変化します。印加電圧の大きさによりピエゾアクチュエータの伸長値が決定されます。駆動電圧信号がステップ関数の場合、アクチュエータの長さ変化の開始から終了までの最小時間Tminは、共振周波数の周期のおよそ1/3となります。ピエゾに負荷がかかっていない場合、共振周波数をƒoとすると、最小応答時間は以下の式で表わすことができます。

公称伸長値に達すると、この長さの近傍でアクチュエータが減衰振動します。振動を軽減するためのコントローラを組み込むこともできますが、それによりアクチュエータの応答性は低下します。

アクチュエータに負荷を加えると、ピエゾアクチュエータの共振周波数は低下します。負荷無しの場合のアクチュエータの共振周波数が与えられている場合には、ピエゾアクチュエータの質量m、負荷の質量Mを用いて、負荷のある場合の共振周波数(ƒo')を以下の式で求めることができます。

DC電圧で駆動したときのデバイスの推定寿命
ピエゾデバイスの寿命は動作温度、印加電圧ならびに相対湿度の関数となります。DC電圧が印加されているときには、寿命はピエゾデバイスの電極で発生する湿度による電解反応によって短くなります。この反応により水素が発生し、陰極から陽極に向けて金属の樹状突起が形成されます。電解反応により遊離した水素は、ピエゾ素子と化学反応を起こして劣化させます。形成された樹状突起は陰極と陽極を電気的に接続することになり、その結果として、漏れ電流のレベルが上昇します。ピエゾデバイスが故障しているかどうかは、以下の試験では漏れ電流レベルが規定の閾値よりも高くなっているかどうかで判断しています。

当社のピエゾデバイスは4面がセラミック製の防湿層で覆われているため、湿度がデバイスの寿命に及ぼす影響を最小限に抑えています。ピエゾデバイスの寿命測定についてのご要望を受けて、当社ではセラミックで絶縁された低電圧駆動のピエゾデバイスに対する環境試験を実施しました。その結果を用いて、平均故障時間(MTTF)を見積るための単純なモデルを作成しました。前提として、湿度、温度、印加電圧が既知である必要があります。推定MTTFは、動作温度、相対湿度、電圧に対応する3つの係数の積となります。各パラメータに対応する係数は下記のグラフに示されています。また、このデータをダウンロードし、それを用いて計算したり、必要に応じて内挿したりすることが可能です。

下記の3つのグラフにおける曲線の実線部分は当社が試験を実施した範囲を示しています。これらの測定範囲はよく使用される環境条件を考慮して設定しました。実線から続いている点線部分は外挿値で、デバイスを使用する際に遭遇する可能性のある環境条件の範囲を示しています。

Engraved Back of OAP
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fTと温度の関係を示したデータを含むエクセルファイルは、こちらをクリックしてご覧いただけます。
寿命推定のためのMTTF計算式: MTTF = fV * fT * fH

相対湿度、デバイス温度、DC駆動電圧がわかれば、デバイスの寿命が推定可能です。寿命は、電圧、温度および湿度に係る各係数の積で与えられ、それらは右、下、右下にある3つのグラフから求めることができます。

例えば、PK2FSF1タイプのデバイスを、相対湿度75%の環境下で、電圧60 V、温度30 °Cで駆動する場合:

  • 下のグラフから、電圧係数は427(PK2FSF1の最大定格電圧 Vmaxは75 V、よってV/Vmax = 60 V / 75 V = 0.80)となります。
  • 右のグラフで、温度係数は83です。
  • 右下のグラフで、湿度係数は2.8です。

よって、MTTF = 472 * 83 * 2.8 = 99234.8時間となり、11年以上となります。

注:こちらのページのグラフは、当社のセラミック保護の低電圧チップ型ピエゾアクチュエータにのみ適用できます。

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こちらのfHと相対湿度の関係を示したデータを含むエクセルファイルは、こちらをクリックしてご覧いただけます。

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fVとV/Vmaxの関係を示したデータを含むエクセルファイルは、こちらをクリックしてご覧いただけます。

これらの温度、電圧および湿度の係数を得るためのデータは、6種類の異なる動作環境下での試験による測定値をもとに分析され、グラフ化されています。異なる10個の専用デバイスのセットを、それぞれ異なる駆動電圧、デバイス温度、相対湿度の組合せによる環境下で試験を行いました。デバイスに閾値100 nAを上回るレベルの漏れ電流が発生した時点で、故障としました。温度、湿度および電圧がそれぞれ寿命に与える影響は以下の関係式を仮定して求めています:

  • MTTF = fV(V) * fT(T) * fH(H)
  • 電圧のべき乗に比例: fV(V) = A1Vb1
  • 相対湿度に対しては、指数関数で変化:  fH(T) = A2ecH
  • 温度に対しては、アレニウスの式: fT(H) = A3eb2/T

ここでA1、A2、A3、b1、b2、cは測定データの分析により決定される定数、VはDC駆動電圧、Tはデバイスの温度、Hは相対湿度です。MTTFと各係数との数学的関係式が異なるので、MTTFの各係数への依存性を決定できます。そのようにして得られたのが上図のプロットデータです。グラフ内の青い網掛け部分の曲線は、実験データです。点線部分は外挿値です。

これらのデバイスの寿命試験は引き続き実施されています。追加データは準備ができ次第掲載いたします。温度制御用の製品としては、当社のTEC素子などのラインナップがございます。また、温度および湿度のモニタには当社のUSB温湿度ロガーをご利用いただけます。


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150 V多段チップ型ピエゾアクチュエータ、貫通穴付き

Item #a,bInfoPre-Attached
Wires
Displacement
(Free Stroke)c
Stack DimensionsdThrough Hole
Diameter
Resonant
Frequencye
CapacitanceBlocking ForcefEnd Faces
PK4FA2H3P2infoYes7.0 µm ± 15%5.0 mm x 5.0 mm x 9.0 mm2.0 mm140 kHz560 nF800 N (180 lbs)Flat Plates
PK4FTH3P2infoYes20.0 µm ± 15%5.0 mm x 5.0 mm x 25.0 mm2.0 mm52 kHz1.3 µF800 N (180 lbs)Flat Plates
PK4FXH3P2infoYes40.0 µm ± 15%5.0 mm x 5.0 mm x 50.0 mm2.0 mm26 kHz2.7 µF800 N (180 lbs)Flat Plates
PK4GA3H5P2infoYes40.0 µm ± 15%7.0 mm x 7.0 mm x 45.0 mm3.0 mm30 kHz5.5 µF1600 N (360 lbs)Flat Plates
  • 特記のない限り、上記はすべて25 °C,の値です。仕様の詳細については、上の表のInfoアイコン()をクリックしてください。
  • こちらのアクチュエータは開ループコントローラMDT69xBまたはKPZ101とのご使用をお勧めします。閉ループコントローラMPZ601(≤75 V)またはBPC30xもお使いいただけます。ただしこちらのページでご紹介しているアクチュエータには歪ゲージが付いていないため、そのままでは位置フィードバックを行うことはできません。閉ループフィードバックが必要な場合には、当社のピエゾアクチュエータPK4FYC2またはPZS001をご検討ください。
  • 「Free Stroke(最大ストローク)」変位量は、無負荷時の値です。
  • アクチュエータの寸法には、電極、ポリイミドテープ、およびワイヤの接続部分は含まれておりません。
  • 負荷無しでの値
  • 150 Vにおける仕様値
+1 数量 資料 型番 - ユニバーサル規格 定価(税抜) 出荷予定日
PK4FA2H3P2 Support Documentation
PK4FA2H3P2多段チップ型ピエゾアクチュエータ、2.0 mm貫通穴、150 V、変位量7.0 µm、5.0 mm x 5.0 mm x 9.0 mm、フラットエンドプレート2個
¥11,474
Volume Pricing
7-10 Days
PK4FTH3P2 Support Documentation
PK4FTH3P2多段チップ型ピエゾアクチュエータ、2.0 mm貫通穴、150 V、変位量20.0 µm µm、5.0 mm x 5.0 mm x 25.0 mm、フラットエンドプレート2個
¥20,831
Volume Pricing
7-10 Days
PK4FXH3P2 Support Documentation
PK4FXH3P2多段チップ型ピエゾアクチュエータ、2.0 mm貫通穴、150 V、変位量40.0 µm µm、5.0 mm x 5.0 mm x 50.0 mm、フラットエンドプレート2個
¥41,988
Volume Pricing
7-10 Days
PK4GA3H5P2 Support Documentation
PK4GA3H5P2多段チップ型ピエゾアクチュエータ、3.0 mm貫通穴、150 V、変位量40.0 µm、7.0 mm x 7.0 mm x 45.0 mm、フラットエンドプレート2個
¥49,800
Volume Pricing
7-10 Days